JPH05217135A - 磁気ディスクのクランプ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気ディスクの磁性膜に対する磁気特性測定
装置において、励磁電磁石に抵触せず、スタート／スト
ップを繰り返す磁気ディスクを確実にクランプできるク
ランプ機構を提供する。 【構成】 ディスク１の中心孔の内径に一致した内径の
載置面５b を有する載置台５a と、載置台の中心を貫通
し、エアシリンダ７a により上下に移動する中心ロッド
５e と、中心ロッドの上部に固定され、上端面が載置面
５b 以下の低い位置とされた押圧ヘッド５f 、およびシ
リンダを軸方向に等分割して形成された複数のクランプ
片５c とにより構成される。複数のクランプ片は、上端
が励磁電磁石の磁極３a,３b の下面より低い位置をな
し、スプリング５d により内方に付勢されて載置台の内
面にそれぞれ軸支される。 【効果】 水平移動機構により励磁電磁石を移動して
も、これが押圧ヘッドとクランプ片に抵触せず、ディス
クの内外周の全域に対する磁性膜の磁気特性を測定する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、磁気ディスクの磁気
特性測定装置における、磁気ディスクのクランプ機構に
関する。

【０００２】

【従来の技術】最近における磁気ディスクの磁性膜の記
録密度の向上に対応して、その磁気特性を測定すること
が重要となっている。図２により磁気特性測定装置の概
要を説明する。(a) において、表面に磁性膜１a が形成
された被測定の磁気ディスク（以下単にディスクとい
う）１は、回転機構２のスピンドル２a に装着されて移
動機構２c により半径方向に移動し、モータ２b により
回転されて所定の角度位置に停止する。ディスク１に対
して励磁電磁石３を設ける。(b) のように励磁電磁石３
の磁極３a,３b をディスクのトラックＴ_R の方向とし、
水平移動機構（図示省略）によりディスク１の半径Ｒの
方向に移動する。また、(c) のように磁極３a,３b の下
面が磁性膜１a に対して、一定の例えば０．５ｍｍのギ
ャップＧをなすように励磁電磁石３を配置する。励磁コ
イル３c に励磁電流ｉを供給して磁極３a,３b の間隙に
磁界Ｈを発生し、磁性膜１a の測定点ｐを磁化する。磁
化された測定点ｐに対して、斜め上方よりレーザビーム
Ｌ_T を投射して反射ビームＬ_R を受光する。反射ビーム
Ｌ_R の偏光面は、いわゆるカー効果により測定点ｐの磁
化度に比例して回転するので、この回転角度を偏光板に
より検出することにより磁化度が測定される。励磁電流
ｉを正負に渡って適当な範囲に変化して磁化度のループ
曲線を求め、これより測定点ｐの保磁力がえられる。励
磁電磁石３を水平移動機構により半径方向に移動して所
定のトラックＴ_R の位置に逐次に停止し、モータ２b に
よりディスク１の回転と停止が繰り返され、多数の測定
点ｐに対する保磁力が測定される。

【０００３】上記において、スピンドル２a に対するデ
ィスク１の装着方法には各種が考えられる。例えばエア
吸着方法は、ディスクの回転のスタート／ストップのと
き急激な力が加わるため吸着力がこれに負けてディスク
がスリップし、または脱落するなどの危険があるため採
用できない。これに対して、この発明の特許出願人によ
り、スタート／ストップは勿論、かなりの高速回転に対
しても安定、確実にディスクを保持して回転できるチャ
ック機構またはクランプ機構が、実用新案登録出願また
は特許出願され、磁気特性測定装置を除く各種のディス
ク検査装置に使用されている。

【０００４】図３(a) は上記した実用新案登録出願にか
かる「実願昭63-48958号、ディスクの位置決めチャック
機構」を示すもので、チャック機構４Ａは、エアシリン
ダにより上下に移動する中心ロッド４a を設け、その上
部に図示の断面形状の押圧ヘッド４b が固定される。中
心ロッド４a が貫通し、回転機構により回転する円筒形
の載置台４c を設け、その上面にディスク１の内径が嵌
合する載置面を形成し、これにディスク１を載置する。
中心ロッド４a と載置台４c の間に、図示の断面形状の
複数の押圧片４d と、これを上方に付勢するスプリング
４e とを設けて構成される。押圧ヘッド４b が上昇した
状態（図の右半分に示す）でディスク１を載置台４c に
載置し、押圧ヘッド４b を下降する（左半分）と、その
外周の斜面により押圧片４d が外方に押圧されるととも
に下降し、ディスクの中心孔１bの周辺の表面を押圧
し、ディスク１が装着台４c の載置面に確実にチャック
される。 図３(b) は上記した特許出願にかかる「特願
平01-81018号、磁気ディスクのクランプ機構」を示し、
クランプ機構４Ｂは、(a) のチャック機構の複数の押圧
片４d の代わりに、直径が伸縮する押圧リング４f を設
けたもので、その動作は上記とほぼ同様であり、構造が
簡易化されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記チャック機構また
はクランプ機構は、図により明らかなように、押圧ヘッ
ド４b の高さ位置がディスク1 の表面よりかなり高くさ
れている。このためディスク１の内周部においては、励
磁電磁石３が押圧ヘッド４b に抵触するため測定が不可
能である。チャック機構またはクランプ機構は上記以外
にも多数が考案されているが、これらはいずれも上記と
同様に押圧機構がディスクの表面より高くなるものばか
りで採用できない。そこで上記のチャック機構またはク
ランプ機構の押圧ヘッド高さを低くして、励磁電磁石３
に抵触せず、スタート／ストップを繰り返すディスクを
確実にクランプできるクランプ機構が必要とされてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、上面をディ
スクの載置面とする円筒形の載置台と、載置台を回転す
る回転機構、およびディスクの磁性膜に対して垂直方向
に一定のギャップをなして配置され、水平移動機構によ
りディスクの半径方向に移動する励磁電磁石とを具備し
た磁気特性測定装置におけるディスクのクランプ機構で
ある。ディスクの中心孔の内径に一致した内径の載置面
を有する載置台と、載置台の中心を貫通し、エアシリン
ダにより上下に移動する中心ロッドと、中心ロッドの上
部に固定され、上端面が載置面以下の低い位置をなして
設けられた押圧ヘッド、およびシリンダを軸方向に等分
割して形成された複数のクランプ片とにより構成され
る。複数のクランプ片は、上端が励磁電磁石の下面より
低い位置をなし、スプリングにより内方に付勢されて載
置台の内面にそれぞれ軸支され、中心ロッドの下降によ
り、押圧ヘッドの側面により外方に押圧されて中心孔の
周囲を押圧し、ディスクを載置面にクランプするもので
ある。

【０００７】

【作用】上記のクランプ機構においては、エアシリンダ
により中心ロッドを上昇してディスクを載置台の載置面
に載置し、中心ロッドを下降すると、押圧ヘッドが下降
してその側面によりクランプ片が外方に押圧され、ディ
スクの中心孔の周囲を押圧して載置面にクランプする。
この場合、押圧ヘッドの上端面は載置台の載置面以下に
低くされ、またクランプ片の上端は励磁電磁石の下面よ
り低くされているので、水平移動機構によりディスクを
移動してもこれらに励磁電磁石が抵触せず、ディスクの
内周部の磁性膜の磁気特性を測定することができる。

【０００８】

【実施例】図１はこの発明の一実施例を示し、(a) はク
ランプ機構の全体の垂直断面図、(b) は載置台の載置面
における水平断面図、(c) はクランプ片のクランプ動作
を示す垂直断面図である。図１(a) において、クランプ
機構５は上面を載置面５b とする円筒形の載置台５a を
設け、これをモータ６の回転軸６a に結合して回転す
る。載置台５a の内側に複数のクランプ片５c を軸支
し、スプリング５d により各クランプ片の上部を内側に
付勢する。クランプ片５c は適当なシリンダを軸方向に
複数に分割して形成し、その上端の高さを(c) のよう
に、磁性膜１a の表面よりの一定のギャップＧをなす励
磁電磁石３の各磁極３a,３b の下面より低いδｚとす
る。次に、載置台５a の中心を貫通する中心ロッド５e
を設け、その上部に押圧ヘッド５f を固定する。押圧ヘ
ッド５f の上端面の高さを載置面５b の高さ以下とす
る。エアシリンダ７a とスプリング７b よりなる昇降機
構７を設け、中心ロッド５e を上下に弾性的に移動する
ように構成する。

【０００９】上記のクランプ機構５の動作を説明する
と、エアシリンダ７a による中心ロッド５e の上昇によ
り押圧ヘッド５f が上昇し（図示右半分）、各クランプ
片５cがスプリング５d の付勢力により押圧ヘッド５f
の外周斜面に接触する。ここでディスク１を載置面５b
に載置し、ついで中心ロッド５e を下降する（左半分）
と、(b) のように、押圧ヘッド５f の外周斜面により各
クランプ片５c が内周１b を外方に押圧し、ディスク１
が載置面５b に確実にクランプされる。この場合、押圧
ヘッド５f の上端面とクランプ片５c の上端の位置はい
ずれも磁極３a,３b の下面より低いのでこれに抵触しな
い。水平移動機構（図示省略）により励磁電磁石３をデ
ィスク１の半径方向に移動し、所定のトラックＴ_R に対
して逐次に位置決めして停止し、モータ６によりディス
ク１のスタート／ストップを繰り返し、多数の測定点ｐ
に対する磁性膜１a の磁気特性が測定される。

【００１０】

【発明の効果】以上の説明のとおり、この発明によるク
ランプ機構においては、押圧ヘッドｓクランプ片の上端
がいずれも励磁電磁石より低くされているので、水平移
動機構により励磁電磁石を移動してもこれらに抵触せ
ず、ディスクの内周部についても外周部と同様に、磁性
膜の磁気特性を測定できるもので、高記録密度化された
ディスクの全域に対する磁性膜の磁気特性の測定が可能
となる効果には大きいものがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の一実施例を示し、(a) はクランプ
機構の全体の垂直断面図、(b) は載置台の載置面におけ
る水平断面図、(c) はクランプ片のクランプ動作を示す
垂直断面図である。

【図２】 磁気特性測定装置による磁気ディスクの磁性
膜の磁気特性の測定方法の説明図である。

【図３】 (a) は実用新案登録出願にかかるディスクチ
ャック機構、(b) は特許出願にかかるディスククランプ
機構の、それぞれの垂直断面図である。

【符号の説明】

１…磁気ディスク、１a …磁性膜、１b …ディスクの内
周、２…回転機構、２a …スピンドル、２b …モータ、
３…励磁電磁石、３a,３b …磁極、３c …励磁コイル、
４Ａ…チャック機構、４Ｂ…クランプ機構、４a …中心
ロッド、４b …押圧ヘッド、４c …載置台、４e …スプ
リング、４f …押圧リング、５…この発明のクランプ機
構、５a …載置台、５b …載置面、５c …クランプ片、
５d …スプリング、５e …中心ロッド、５f …押圧ヘッ
ド６…モータ、６a …回転軸、７…昇降機構、７a …エ
アシリンダ、７b …スプリング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面を磁気ディスクの載置面とする円筒
   形の載置台と、該載置台を回転する回転機構、および該
   磁気ディスクの磁性膜に対して垂直方向に一定のギャッ
   プをなして配置され、水平移動機構により該磁気ディス
   クの半径方向に移動する励磁電磁石とを具備した磁気特
   性測定装置において、前記磁気ディスクの中心孔の内径
   に一致した内径の前記載置面を有する載置台と、該載置
   台の中心を貫通し、エアシリンダにより上下に移動する
   中心ロッドと、該中心ロッドの上部に固定され、上端面
   が前記載置面以下の低い位置をなして設けられた押圧ヘ
   ッド、およびシリンダを軸方向に等分割して形成され、
   上端が前記励磁電磁石の下面より低い位置をなし、スプ
   リングにより内方に付勢されて前記載置台の内面にそれ
   ぞれ軸支され、前記中心ロッドの下降により、前記押圧
   ヘッドの側面により外方に押圧されて前記中心孔の周囲
   を押圧し、前記磁気ディスクを前記載置面にクランプす
   る複数のクランプ片とにより構成されたことを特徴とす
   る、磁気ディスクのクランプ機構。