JPH05214534A - 薄膜製造方法及び製造装置 - Google Patents

薄膜製造方法及び製造装置

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JPH05214534A
JPH05214534A JP1665892A JP1665892A JPH05214534A JP H05214534 A JPH05214534 A JP H05214534A JP 1665892 A JP1665892 A JP 1665892A JP 1665892 A JP1665892 A JP 1665892A JP H05214534 A JPH05214534 A JP H05214534A
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JP
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hydrogen storage
hydrogen
storage alloy
thin film
gas
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JP1665892A
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Inventor
Hidetoshi Nozaki
秀俊 野崎
Hisanori Ihara
久典 井原
Shinji Tsuruta
慎司 鶴田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 活性な水素原子或いは水素イオンを反応性ガ
スの分解エネルギー源の一部として活用するCVD法に
おいて、成膜速度が大きく且つ大面積基板上で膜厚分布
と膜質分布が均一な薄膜を堆積し得る薄膜製造装置を提
供すること。 【構成】 CVD法によって被処理基板43上に薄膜を
堆積する薄膜製造装置において、真空容器10内を2つ
の室30,40に仕切るように設置された水素貯蔵合金
20と、この水素貯蔵合金20により仕切られた上側の
水素吸蔵室30内に水素ガスを導入するガス導入口31
と、水素貯蔵合金20により仕切られた下側の反応室内
40に膜形成の原料となる原料ガスを導入するガス導入
口41と、反応室40内に設置され、水素貯蔵合金20
に被処理基板43を近接して対向配置させる試料台44
と、水素貯蔵合金20の下部に設置され機械的に開閉さ
れるシャッタ48とを具備してなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性な水素原子或いは
水素イオンを分解エネルギー源として活用するCVD法
による薄膜製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、活性水素原子(H原子)を原料ガ
スの分解エネルギー源として用いたCVD技術が注目さ
れている。例えば、マイクロ波や高周波(13.56M
Hz)によりH2 ガスを分解して生成したH原子を反応室
に導入しSiH4 ガスと反応させることにより、水素化
非晶質シリコン膜(a-Si:H)が形成されると報告されて
いる。この場合、SiH4 とH原子が反応し、SiH3
とH2 が生成される。生成されたSiH3 ラジカルは元
来寿命が長いという特徴を有する上、供給される多くの
H原子により成長薄膜表面が終端されラジカルの表面拡
散距離が伸びる効果が加わるため、SiH3 ラジカルは
より安定なサイトを探して結合しやすくなる。この結
果、禁制帯中の局在準位密度が少ない良質な a-Si:H 膜
を形成することができる。
【0003】しかしながら、この種の方法では活性なH
原子の密度が低いため、成膜速度が遅いという欠点があ
った。また、均一な分布を有するH原子ラジカルビーム
を反応室に導入することが困難であるため、大面積基板
において均一な膜厚分布を得ることが難しい上、膜特性
の分布も不均一になるという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、H原
子ラジカルによる薄形成を行う場合、H原子ラジカルの
密度が低いために成膜速度が遅いという問題があるばか
りでなく、大面積基板上に均一な膜厚分布と均質な膜特
性分布を有する薄膜を形成することは困難という問題が
あった。
【0005】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、原料ガスの分解エネル
ギー源として活性な水素原子或いは水素イオンを活用す
るCVD法において、成膜速度が速く且つ大面積基板上
で膜厚分布と膜質分布が均一な薄膜を堆積し得る薄膜製
造方法及び製造装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、水素貯
蔵合金内部に吸蔵されている非常に高密度なH原子を薄
膜の堆積に活用することにある。
【0007】即ち本発明(請求項1)は、CVD法によ
り被処理基板上に薄膜を堆積する薄膜製造方法におい
て、膜形成に供される原料ガスに対する分解エネルギー
源として、水素貯蔵合金より合金表面或いは気相中へ放
出される水素原子又は水素イオンを用いることを特徴と
する。
【0008】また本発明(請求項2)は、CVD法によ
り被処理基板上に薄膜を堆積する薄膜製造装置におい
て、容器内を2つの室に仕切るように設置された水素貯
蔵合金と、この水素貯蔵合金により仕切られた一方の水
素吸蔵室内に水素ガスを導入する手段と、水素貯蔵合金
により仕切られた他方の反応室内に膜形成の原料となる
原料ガスを導入する手段と、反応室内に設置され、水素
貯蔵合金に被処理基板を近接して対向配置させる試料台
とを具備してなることを特徴とする。
【0009】
【作用】気体、例えば標準状態の水素ガスは水素密度が
5.4×1019atms/cm3 であるが、一方、水素貯蔵
合金はそれの約1000倍の水素貯蔵能力を有している
ため、非常に高密度な活性H原子やHイオンを供給でき
る。従って、H原子やHイオンと反応,分解し得る原料
ガスを気相中に存在させることにより、基板上に高速度
で薄膜を堆積させることができる。また、水素貯蔵合金
は、圧延法などを用いて大面積平板にしたり、薄膜や粒
状又は粉末状の形態で大面積化することが容易であると
共に、放出されるH原子やHイオンの単位面積当たりの
数が一様であるという特徴を有する。このため、大面積
基板上でも均一な膜厚分布と膜特性分布を実現すること
が可能になる。
【0010】水素貯蔵合金から放出されるH原子やHイ
オンの総量は常に一定ではなく、初期に速くても次第に
減少する傾向がある。放出量を適切に制御する手段とし
て、固体電解質を用いることができる。例えば、SrC
eO3 系のセラミックスは水素イオン、特に陽子を通過
させる機能を有し、セラミックス板の両面に加える電界
の大きさと方向を変えることにより透過する陽子の総量
を制御できることが知られている(H.IWAHARA et.al.,P
roc. Int'1 Meeting on Chemical Sensors, 1983,P22
7)。この場合、陽子は電解質表面で電子を受取りH原子
に変わり得る。従って、水素貯蔵合金と固体電解質を組
み合わせ、印加電界を調節することによって、高密度な
H原子やHイオンの放出量を制御できることになる。そ
の結果、放出速度を常に一定に保つことが可能になるば
かりでなく、放出のオン/オフ、つまりシャッタ機能の
役割も果たすことが可能である。これにより、成膜反応
室に原料ガスを導入し、基板温度,ガス圧力,ガス流量
などの成膜諸条件を一定に保った後に、H原子或いはH
イオンを常に一定の放出速度で気相中に供給することが
可能になる。この効果により、薄膜の堆積速度が略一定
になり、膜特性の積層方向の均一性が確保されることに
なる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の詳細を図示の実施例によって
説明する。
【0012】図1は本発明の第1の実施例に係わる薄膜
製造装置を示す概略構成図である。図中10は真空容器
であり、この容器10内は仕切り板11及び水素貯蔵合
金20により上下に分離されている。ここで、水素貯蔵
合金20としては、マグネシウム系,カルシウム系,ベ
リリウム系,アルミニウム系,希土類系,チタン系,ジ
ルコニウム系,そしてアモルファス合金系がある。作製
法,機能や種類などの詳細な説明は、例えば『水素貯蔵
合金データブック,大角著、与野書房発行、昭和62年
刊行』を参照すればよい。本発明では任意の水素貯蔵合
金を使用でき、また、2種類以上の水素貯蔵合金を組み
合わせて用いることができるが、水素の貯蔵と放出の繰
り返しに伴う合金の微粉化を防止するためにはアモルフ
ァス合金系が有用である。
【0013】なお、図1では、水素貯蔵合金20を板状
で表わしたが、粒状又は粉末状でもよい。この場合は、
図2で示すように放出孔21を備えた容器22内に粒状
又は粉末状の水素貯蔵合金20を格納すればよい。ま
た、粉末を弗素樹脂バインダーなど熱,化学的に安定な
バインダーで結合,成形し、板状の合金の場合と同様に
扱う方法もある。
【0014】上側の水素吸蔵室30には、ガス導入口3
1より水素ガスが導入される。水素吸蔵室30内の圧力
は、調圧部32で所望の圧力に設定されるが、通常は水
素貯蔵合金20の固有のプラトー圧(金属水素化物の解
離圧)以上に設定することにより水素吸蔵が促進され
る。水素吸蔵室30内には、必要に応じて水素貯蔵合金
20を加熱するための赤外ランプ33及び反射板34が
設置されている。水素貯蔵合金20は、温度を変えるこ
とにより所望のプラトー圧を選ぶことができる。なお、
加熱源であれば、赤外ランプに限る必要はない。
【0015】下側の反応室40内には、ガス導入口41
より水素ガスや原料ガスが導入される。反応室40内の
圧力は、調圧部42で所望の圧力に設定される。反応室
40内には、被処理基板43を載置するための支持台
(試料台)44が設置されている。この支持台44は、
被処理基板43を加熱するための加熱ヒータ45を備え
ており、可動機構46により上下方向に移動可能となっ
ている。さらに支持台44には、バイアス電位を与える
ための直流又は交流電源47が接続されている。また、
水素貯蔵合金20の下部には、シャッタ48が設置され
ている。
【0016】なお、図中51はレーザなどの可視又は紫
外光源であり、この光源51からの光は、容器10の側
面に設けた窓52を通して反応室40内に導入されるも
のとなっている。次に、上記装置を用いて基板上に薄膜
を堆積する方法について説明する。ここで、基板43は
設定温度に保たれているものとする。
【0017】第1の方法は、反応室40内を真空排気
し、水素貯蔵合金20より常に基板43に向かってH原
子或いはHイオンが放出されている状態において、原料
ガスを導入口41より導入し、その後適切な時期にシャ
ッタ48を開くやり方である。反応室40内の圧力は調
圧部42により所望の圧力に調整される。この結果、H
原子やHイオンと原料ガスが衝突,反応することにより
反応ガスが分解され、基板43上に薄膜を堆積させるこ
とができる。また、支持台44の可動機構46により、
シャッタ48を開いた後に支持台44と基板43を水素
吸蔵合金20に接近させて、より反応速度を大きくする
ことができる。
【0018】第2の方法は、図3(a)に示すように、
シャッタ48が閉じている状態において反応室40内に
水素ガスを導入し、調圧部42により水素ガスの分圧が
前記プラトー圧以上になるように圧力を調整して、水素
貯蔵合金20よりH原子或いはHイオンが放出されない
状態を保つ。次いで、水素ガスの導入を止め、図示しな
い真空ポンプにより反応室40内を真空排気する。その
後、反応室40内に原料ガスを導入し、ガス圧力が所定
値に達した時点でシャッタ48を開くやり方である。こ
の場合も、シャッタ48を開くと同時に可動機構46に
より基板43を水素貯蔵合金20に近付けることによっ
て、成膜速度を上げることができる。
【0019】第3の方法は、図3(b)に示すように、
シャッタ48が閉じている状態において反応室40内に
水素ガスで希釈された原料ガスを導入し、調圧部42に
より水素ガスの分圧が前記プラトー圧以上になるように
圧力を調整して、水素貯蔵合金20よりH原子或いはH
イオンが放出されない状態を保つ。その後、調圧部42
を次第に解放して反応室40内の圧力を下げ、水素ガス
の分圧がプラトー圧より下がりH原子或いはHイオンが
放出され始める適切な時期にシャッタ48を開くやり方
である。この場合も、シャッタ48を開くと同時に可動
機構46により基板43を水素貯蔵合金20に近付け成
膜速度を上げることができる。
【0020】また、第1〜第3の方法において、基板支
持台44に加えるバイアス電位を変えることにより、基
板43に向かって放出されるH原子やHイオンの総量を
制御することができると共に、放出されるHイオン流の
方向を基板面に対して略垂直に揃える効果も有する。こ
れにより、結果的に成膜速度や膜特性を所望の値にコン
トロールできる。さらに、光源51からの可視又は紫外
光を導入することにより水素貯蔵合金20より放出され
るH原子やHイオンを励起したり、或いは水素貯蔵合金
表面を照射することにより、合金表面のH原子やHイオ
ンが励起されて気相中への放出が容易になるという効果
がある。
【0021】以上、水素吸蔵室30をプラトー圧以上に
保つ場合について説明したが、プラトー圧が高い場合
は、水素吸蔵室30と反応室40との差圧により合金が
破壊されないように水素吸蔵室30を適当に減圧させる
方法もある。
【0022】次に、具体的に、図1の装置を用いた成膜
に関する実施例を説明する。まず、a−Si:Hと多結
晶シリコン(ポリSi)の成膜例を説明する。反応ガス
にはSiH4 又は水素ガスで希釈されたSiH4 を用い
た。勿論、SiH4 の代わりに高次シラン(Si
2 6 ,Si3 8 など)を用いてもよい。基板温度は
a−Si:Hの場合が50〜400℃、ポリSi成膜に
対しては400〜700℃とした。反応室40の設定圧
力は、いずれの場合も10Torr以下に設定した。成膜の
結果、非常に高密度なH原子やHイオンが水素貯蔵合金
20から放出され、SiH4 の分解反応が高速度で進行
するので、非常に大きな成膜速度を得た。
【0023】a−Si:Hの場合は3nm/s以上とい
う通常のプラズマCVD法と比べて10倍以上、ポリS
iの場合は1nm/s以上という通常の熱CVD法と比
べて20倍以上の高い成膜速度が得られた。また、H原
子やHイオンが常に大量に基板表面に供給されるという
効果から、局在準位密度が少なく(スピン密度<5×1
15cm-3)且つキャリア移動度が高い(電子移動度>
1.5cm2 /Vs,正孔移動度>0.1cm2 /V
s)a−Si:H膜が得られた。同様な理由から基板温
度が500℃以下の低い条件でも、電子移動度が300
cm2 /Vs,正孔易動度>150cm2 /Vsという
良質なポリSi膜を得ることができた。
【0024】2番目にダイヤモンドの成膜例を示す。原
料ガスにはCH4 ,C2 2 ,C2 4 ,C2 6 など
の炭化水素ガス又は水素ガスで希釈した炭化水素ガスを
用いた。基板温度は400℃〜1000℃の範囲とし
た。成膜室内のガス圧力は100Torr以下に設定した。
【0025】ダイヤモンドの作製に本発明を用いる利点
には、成膜速度が20μm/h以上という高い値になる
ことの他に、大量のH原子やHイオンが成長表面に供給
されるという効果が高品質なダイヤモンド膜の形成に役
立つことがある。何故なら、成長表面で形成されやすい
黒鉛や無定型炭素がH原子によりエッチング除去された
り、黒鉛などに含まれる二重結合が開いて一重結合に変
化するからである。また、CH4 などの炭化水素とH原
子或いはHイオンとの反応により生成されたCH3 ラジ
カルが大量に成長表面に供給されるため、CH3 ラジカ
ル同士の反応が促進される結果になり、二重結合や黒煙
成分の少ない良質なダイヤモンド膜が得られることにな
る。
【0026】また、本発明によるダイヤモンドの合成条
件を様々に変形することにより、多結晶成分の少ない単
結晶に近い薄膜を形成したり、成長表面の平滑性に優れ
た薄膜を形成したり、500μm以上の大粒径を有する
ダイヤモンドを形成することが可能であった。
【0027】3番目に絶縁膜の形成例を示す。原料ガス
として、非晶質シリコン窒化膜(a-SiNx)を形成する場
合には、SiH4 又は水素ガスで希釈されたSiH4
NH3 ガスを用い、非晶質シリコン酸化膜(a-SiOx)を
形成する場合には、SiH4 又は水素ガスで希釈された
SiH4 とN2 Oガスを用いた。基板温度はいずれの場
合も50〜400℃とし、反応室内のガス圧力はいずれ
の場合も10Torr以下とした。成膜速度は、a−SiN
xとa−SiOxとも0.5nm/s以上という通常の
プラズマCVD法による場合の5倍以上の高い値が得ら
れた。また、面内分布において均質かつ絶縁体厚の高い
良好な絶縁膜を得ることができた。以上、半導体薄膜と
絶縁薄膜の形成法について述べてきたが、この他、金属
薄膜の形成にも本発明を応用できる。図4は本発明の第
2の実施例に係わる薄膜製造装置を示す概略構成図であ
る。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その
詳しい説明は省略する。
【0028】反応室40側において水素貯蔵合金20に
対して、ポーラス状にPt又はNiなどの金属電極61
を形成した固体電解質62を接触させるか、又は僅かな
隙間を明けて対向させるように配置し、水素貯蔵合金2
0と固体電解質62間にバイアス電圧を加えられるよう
に可変バイアス電源63を設置する。通常は、直流バイ
アス電源を用いる。仕切り板11と水素貯蔵合金20を
電気的に分離する必要がある場合には、接触部に弗素樹
脂製の絶縁部64を設ければよい。固体電解質には、S
rCeO3 系やSrCeO3 系が良く用いられる。製法
例は、文献(H.Iwahara et.al.,J.Solid State Ionics
3/4,(1981),359)に開示されている。この他、固体電解
質として、高分子などの材料も用いることができる。
【0029】本実施例においては、水素貯蔵合金20と
固体電解質62の温度は−100℃〜1000℃の適切
な範囲の値に設定した。数百度以上の高温に設定する場
合には、Pt,Pd,Mg,La,Caなどの純金属を
水素貯蔵合金として用いてもよい。水素貯蔵合金より放
出される高密度な水素原子は固体電解質表面において電
子を放出し陽子に変化し、その陽子は固体電解質62内
を伝搬して反応室40側の固体電解質表面において再び
電子を受取り水素原子に変換された後、反応室40内の
気相中に放出される。
【0030】従って、水素貯蔵合金20と固体電解質6
2をつなぐ閉回路中に直流可変バイアス電源63を設置
し、固体電解質62内に電界を加えることによって、固
体電解質表面から放出されるH原子又はHイオンの総量
を制御することができる。通常、固体電解質62の両端
に水素濃度の差があり、かつ両端が電気的に解放されて
いる場合には0〜500mV程度の電圧が両端に発生す
る。つまり、この解放電圧に等しいかそれ以上の電圧を
固体電解質62が正、水素貯蔵合金20側が負として加
えれば、放出を止めるシャッタの役割を果たすことがで
きる。
【0031】次に、本装置を用いて薄膜を形成する手順
について説明する。水素貯蔵室30内にガス導入口31
より水素ガスを導入し、水素貯蔵室30内の圧力をプラ
トー圧以上に保ち、水素吸蔵を促進させる。このとき、
反応室40内は真空状態に保ち、固体電解質62の側に
正の直流電圧、水素貯蔵合金20の側に負の電圧を加
え、固体電解質表面からのH原子又はHイオンの放出を
止めておく。そして、赤外ランプ33などの加熱手段に
より水素貯蔵合金20と固体電解質62を適切な温度に
加熱する。その後、反応室40内に反応性ガスを導入
し、所望の圧力に設定する。この後、固体電解質62側
に加える電圧をゼロ又は負、水素貯蔵合金20側に加え
る電圧をゼロ又は正とすることにより放出が開始され、
設定温度に保たれた基板33上に薄膜が堆積する。
【0032】一般に、固体電解質表面より放出されるH
原子やHイオンの数は、固体電解質62中の電界が一定
の場合、放出初期に多く、水素貯蔵合金20中のH濃度
が減少するに従って少なくなっていく。放出量を一定に
保つには、固体電解質62中の電界強度を経時的に変化
させればよい。例えば、水素貯蔵合金20中に加える電
圧をゼロに設定し、固体電解質62に加える正の電圧を
放出初期に大きくし、放出量が一定になるようにその正
の電圧を次第に減少させていけばよい。この手順によ
り、積層方向における成膜速度や積層方向の膜特性を均
一に保つことができる。
【0033】この第2の実施例を用いれば、成膜速度は
第1の実施例に比べると小さくなるが、従来のCVD法
に比べると十分大きな値を得ることができる。勿論、水
素貯蔵合金20内に蓄えられる水素濃度は非常に均一な
ので、大面積基板上で面内分布において一様な成膜速度
分布と膜特性分布を得ることが第1の実施例と同様に容
易である。
【0034】なお、本発明は上述した各実施例に限定さ
れるものではない。本発明は薄膜を用いる素子の作製全
般に有効であり、例えば薄膜トランジスタや太陽電池な
どのa−Siを用いた素子や、ダイヤモンド膜を用いた
素子や、実装技術用の配線材料などにも用いることがで
きる。また、本発明の基本技術は、薄膜の作製に限定さ
れるものではなく、大量かつ均一に発生する活性なH原
子又はHイオンを活用して、a−Si,結晶Siや透明
導電膜(SnO2 など)のエッチング技術にも応用でき
ると共に、a−SiやポリSi中のSiの未結合手をH
で補償するためのパッシベーション技術などにも応用す
ることが可能である。さらに、水素貯蔵合金や固体電解
質の表面に水素を透過しない材料でパターンを形成して
おくなどの方法により、パターン成膜やパターンエッチ
ングなども可能である。その他、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、水
素貯蔵合金内部に吸蔵されている非常に高密度なH原子
を薄膜の堆積に活用することにより、大面積基板上に高
い成膜速度で薄膜を形成できると共に、膜厚分布や膜特
性分布を非常に均一にすることができる。従って、薄膜
を用いる素子の低コスト化や高性能化などのために極め
て有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係わる水素貯蔵合金を用いたC
VD装置を示す概略構成図、
【図2】粒状或いは粉末状の水素貯蔵合金を用いた例を
示す図、
【図3】第1の実施例における膜形成時のプロセスチャ
ート、
【図4】第2の実施例に係わる水素貯蔵合金を用いたC
VD装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
10…真空容器、 20…水素貯蔵合金、 21…放出孔、 22…容器、 30…水素吸蔵室、 31,41…ガス導入口、 32,42…調圧部、 33…赤外ランプ、 40…反応室、 43…被処理基板、 44…基板支持台、 45…加熱ヒータ、 46…可動機構、 47…電源、 48…シャッタ、 62…固体電解質。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜形成に供される原料ガスに対する分解エ
    ネルギー源として、水素貯蔵合金より合金表面或いは気
    相中へ放出される水素原子又は水素イオンを用い、被処
    理基板上に前記原料ガスに含まれる材料及び水素原子か
    らなる薄膜を堆積することを特徴とする薄膜製造方法。
  2. 【請求項2】容器内を2つの室に仕切るように設置され
    た水素貯蔵合金と、この水素貯蔵合金により仕切られた
    一方の水素吸蔵室内に水素ガスを導入する手段と、前記
    水素貯蔵合金により仕切られた他方の反応室内に膜形成
    の原料となる原料ガスを導入する手段と、前記反応室内
    に設置され、前記水素貯蔵合金に被処理基板を近接して
    対向配置させる試料台とを具備してなることを特徴とす
    る薄膜製造装置。
  3. 【請求項3】前記水素貯蔵合金の反応室側の表面に、機
    械的に開閉するシャッタ、又は水素イオンを透過させ気
    相中に放出される水素原子若しくは水素イオンの総数を
    制御する固体電解質を設置したことを特徴とする請求項
    2記載の薄膜製造装置。
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JP1665892A Pending JPH05214534A (ja) 1992-01-31 1992-01-31 薄膜製造方法及び製造装置

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JP (1) JPH05214534A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013151045A1 (ja) * 2012-04-03 2015-12-17 国立研究開発法人物質・材料研究機構 結晶成長方法および結晶成長装置

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