JPH05213694A - ダイヤモンド膜の製造装置および製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド膜の製造装置および製造方法

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JPH05213694A
JPH05213694A JP5882491A JP5882491A JPH05213694A JP H05213694 A JPH05213694 A JP H05213694A JP 5882491 A JP5882491 A JP 5882491A JP 5882491 A JP5882491 A JP 5882491A JP H05213694 A JPH05213694 A JP H05213694A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 合成速度を速くした上で、高純度のダイヤモ
ンド膜を形成する。 【構成】 棒状電極7とシリンダ状電極10との間に発
生されたアーク放電に炭素源ガス導入口19よりメタン
ガスと水素ガスの混合ガスを導入してガスプラズマと
し、このガスプラズマを絞り部18を通過させることで
プラズマジェットとして基板2に吹きつける。このと
き、棒状電極7と第3の電極22の間にはプラズマ電流
用電源26が第3の電極22側の電位を正電位として印
加されており、また、基板支持台3もプラズマ電流用電
源26の正電位が印加されている。従って、プラズマ中
に電流が流れ、水素及び炭化水素が解離し易くなり、高
純度のダイヤモンド膜が高速で析出形成できるようにな
る。また、第3の電極22と基板2が同電位とされてい
るため、プラズマ中を流れる電流により基板温度が上昇
することもない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はダイヤモンド膜の製造装
置および製造方法に関し、特にアーク放電を利用してダ
イヤモンド膜を気相合成する製造装置および製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイヤモンド膜の低圧気相合成方
法として種々提案されている。まず、第1に、熱フィラ
メントCVD法がある。これは、800〜1000℃に
加熱した基板の直上にタングステンフィラメントを設
け、フィラメントを2000℃以上に加熱し、水素と炭
化水素ガス(例えばCH4 )をフィラメントを通して基
板に吹きつけ、基板上にダイヤモンド膜を成長させる方
法である。
【0003】第2に、マイクロ波プラズマCVD法が知
られている。これは、数百ワットのマイクロ波により水
素と炭化水素ガスの混合ガス気体にプラズマを発生さ
せ、プラズマ内に設置された基板上にダイヤモンドを成
長させる方法で、基板はマイクロ波により加熱され、7
00〜900℃程度の温度になっている。
【0004】これら2種類の合成法では、原子状水素が
CH4 の分解を促進し、さらに無定形炭素などダイヤモ
ンド以外の合成物質を選択的にエッチングする作用を担
っており、この原子状水素が重要な役割をしている。し
かしながら、フィラメントを高温とする熱フィラメント
CVD法ではフィラメントが断線するトラブルが多く実
用的とは言えない。又、タングステンの融点を考えると
フィラメントの温度は2000℃程度でそれ以上の温度
では断線を招いてしまい、十分な原料ガス分解ができな
いという問題がある。また、マイクロ波プラズマを用い
た合成法ではプラズマ室の寸法が制約されることにより
大面積の試料への適用が困難であり、さらに原料ガス,
特に水素の分解が不十分となるという問題がある。
【0005】第3の方法としてイオンビームを用いた合
成法である。これは炭素のイオンビームを基板にあてる
ことでダイヤモンド膜を成長させようとするものであ
る。しかし、アモルファス等の不純物を多く含むダイヤ
モンドとなってしまうという問題があった。
【0006】そこで、例えば特開昭63−176399
号公報あるいは特開平1−201097号公報にて提案
されているように、対向した電極にアーク放電を生じさ
せ、原料ガスをアーク放電内に通過せしめてガスプラズ
マとし、このガスプラズマを絞り部によりプラズマジェ
ットガスとして基板に吹きつけることにより、この基板
上にダイヤモンドを析出形成する合成方法が知られてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この合
成方法によれば確かに合成速度を著しく向上することは
できるものの、ダイヤモンド膜の純度を向上させるため
には、導入する炭化水素の水素に対する濃度を低下させ
なければならず、それにより合成速度が低下してしまう
という問題がある。
【0008】すなわち、図7に示すデータから明らかな
ように、炭化水素濃度を低下させると合成ダイヤモンド
膜の熱拡散率(純度)は向上するが、逆に合成速度が低
下してしまうのである。
【0009】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされた
もので、合成速度を速くした上で、高純度のダイヤモン
ド膜を形成することのできるダイヤモンド膜の製造装置
および製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明にかかるダイヤモンド膜の製造装置は次の構
成を有している。すなわち、所定真空度に維持される真
空容器と、互いに対向するように前記真空容器内に配置
された正極および負極と、前記正極および負極に電気接
続し、該正極および負極との間の空間にアーク放電を起
こすべく所定の電力を供給するアーク放電用電源と、前
記アーク放電に少なくとも水素及び炭素を含有する原料
ガスを供給してガスプラズマを発生し、該ガスプラズマ
をその下流に配置された基板に吹きつけるガス供給手段
と、前記ガスプラズマが発生する領域側と前記基板側と
の間に設置された第3の電極と、この第3の電極から前
記ガスプラズマを介して前記正極あるいは負極に電流を
流すためのプラズマ電流用電源と、前記基板から前記第
3の電極に正電流が流れるのを禁止すべく、前記基板と
前記第3の電極が同電位あるいは前記基板より前記第3
の電極が高電位となるように前記基板の電位を設定する
基板電位設定手段とを備えることを特徴としている。
【0011】また、本発明にかかるダイヤモンド膜の製
造方法は、少なくとも水素及び炭素を含有する原料ガス
をアーク放電に流すことによりガスプラズマを発生し、
該ガスプラズマをその下流に配置する基板に吹きつける
ことにより該基板上にダイヤモンド膜を析出形成する方
法において、前記ガスプラズマが発生する領域側と前記
基板との間に第3の電極を設置し、前記基板からこの第
3の電極に正電流が流れることが禁止された状態で、前
記第3の電極と前記ガスプラズマが発生する領域側との
間に電流を流すために該第3の電極が高電位となる電界
を印加するようにしたことを特徴としている。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説
明する。図1は本発明第1実施例の製造装置の断面構造
図である。
【0013】図1において、プラズマジェットガン1
と、基板2及び銅から成る基板支持台3は、5Torr〜5
気圧の範囲内の所定の真空度に維持される真空容器5内
に設けられている。
【0014】プラズマジェットガン1は、一端が鋭角に
形成された先端部7aと他端がフランジ部7bとに形成
されたタングステンよりなる棒状電極7を軸として、フ
ランジ部7b側から銅よりなる電極冷却部8,テフロン
よりなるガス導入部9および銅よりなるシリンダ状電極
10が設けられている。電極冷却部8およびシリンダ状
電極10には、中空である中空部108,110が設け
られている。そして、シリンダ状電極10に接続された
冷却水パイプ14より供給される冷却水がシリンダ状電
極10の中空部110から冷却水パイプ14aに流れ出
る。同様に、電極冷却部8に接続された冷却水パイプ1
5より供給される冷却水が電極冷却部8の中空部108
に供給され、電極冷却部8に接続される冷却水パイプ1
5aより排出される。この冷却水によって棒状電極7と
シリンダ状電極10との間に生ずるアーク放電の熱によ
る両電極の損耗が防がれる。ガス導入部9には、原料ガ
ス導入パイプ16が設けられており、さらに、このガス
導入パイプ16より供給されたガスを棒状電極7の先端
部7aに送るようにする開口部が棒状電極7の一端側に
おいて構成されている。
【0015】さらに、棒状電極7とシリンダ状電極10
の間でアーク放電を起こすために、棒状電極7とシリン
ダ状電極10とはアーク放電用電源17に接続されてい
る。なお、このアーク放電用電源17は、アーク放電を
効果的に発生させるために、鋭角に形成された先端部7
aを有する棒状電極7側を負電位にするように接続され
ている。また、シリンダ状電極10においてそのガス導
入部9と反対側の面には、ガスプラズマをプラズマジェ
ットガスとする絞り部18が設けられている。そして、
この絞り部18と連通して該絞り部18より大きい径の
プラズマ通過口24を有する絶縁物21を介して、プラ
ズマジェットガン1には銅よりなる第3の電極22が設
けられている。また、絞り部18には、炭素源ガス導入
口19が設けられている。
【0016】この第3の電極22はリング状に構成され
ており、そのリング内をプラズマ噴出口25として絶縁
物21のプラズマ通過口24と連通している。そして、
棒状電極7とこの第3の電極22との間にはプラズマ電
流用電源26が電気接続してある。これは、棒状電極7
と該第3の電極22の間に電界を印加し、第3の電極2
2から棒状電極7へプラズマ中を介して電流を流すよう
にするためである。なお、第3の電極22には中空であ
る中空部122が設けられ、該中空部122に接続され
た冷却水導入パイプ23より冷却水が供給され、冷却水
パイプ23aより排出される。この冷却水によって第3
の電極22は冷却され、棒状電極7と第3の電極22と
の間に流れる電流による第3の電極22の加熱は抑制さ
れて該加熱による第3の電極22の損耗は防がれる。
【0017】プラズマ噴出口25の下流には基板支持台
3が設定されており、該基板支持台3には基板2が配置
されている。この基板支持台3は、基板を所定温度(本
実施例では約800℃)に維持するために冷却水パイプ
20より冷却水が供給され、冷却水パイプ20aより排
出できるよう中空となっている。これは、プラズマ噴出
口25より噴き出されるプラズマジェットの気体温度が
数千〜数万度に達してしまうため、基板温度をダイヤモ
ンドの合成域である600〜1100℃にするために基
板2を冷却する必要があるからである。
【0018】そして、基板支持台3が第3の電極22の
電位と同電位となるように、該基板支持台3と棒状電極
7との間にもプラズマ電流用電源26が電気接続してあ
る。なお、第3の電極22と基板2間の距離が1〜10
0mmであり、かつガスプラズマが発生する領域側と第
3の電極22間が5〜100mmであれば、ダイヤモン
ドの合成は可能であり、本実施例においてはプラズマ噴
出口25と基板2との間の距離を18mmとしている。
【0019】次に、本実施例のダイヤモンド膜の合成方
法を説明する。まず初めに、真空容器5内を排気した
後、電離度の高い第0族のガスであるアルゴンをガス導
入パイプ16からプラズマジェットガン1に導入し、か
つ真空容器5内圧力を20Torrに設定する。その後、ア
ーク放電用電源17により棒状電極7(負極)とシリン
ダ状電極10(正極)との間にアーク放電を発生させ
る。なお、本実施例では、アーク放電は電圧40Vで電
流65Aの条件としている。
【0020】放電が安定したところで、このアーク放電
にガス導入パイプ16より、プラズマ源ガスとしてアル
ゴン50vol%,H2 50vol%の混合ガスを毎分
12リットルの流量で流しガスプラズマとし、このガス
プラズマを絞り部18を通過せしめてプラズマジェット
とする。そして、炭素源ガス導入口19よりメタンガス
240cc/min と水素ガス60cc/min の混合ガスを導
入する。ここで、メタンガスに代表される炭素源ガスと
しての炭化水素ガスは、ガス導入パイプ16から導入し
てもよいが、タングステン電極棒が炭化されて長時間放
電が安定しなくなることがあるため、炭化水素ガスは放
電部下流にガス導入口を設けてそこから導入するように
するのが望ましい。そして、この炭素源ガス導入口19
より導入したメタンガスを上述のプラズマ源ガスのプラ
ズマジェットに吹きつけプラズマジェットガスとする。
なお、ここで真空容器5内の圧力を20Torrに保つよう
に適当に排気が行われている。
【0021】ここで、棒状電極7と第3の電極22の間
には、直流電源であるプラズマ電流用電源26により電
界が印加されている。本実施例では、電圧として50
V,電流値40Aとし、第3の電極22側の電位を正電
位としている。また、基板支持台3もプラズマ電流用電
源26の正電位が印加されており、第3の電極22と基
板支持台3は同電位とされている。
【0022】この状態で、赤紫色のプラズマジェットガ
スを基板2に吹きつけることにより基板2上にダイヤモ
ンドが析出形成される。なお、本実施例ではプラズマ中
心部の温度は3000℃以上であり、またガン内部の放
電部はそれ以上に上昇している。
【0023】実際に以上の条件で30分合成を行った基
板2の表面付着物の評価結果について説明する。なお、
基板2としてはタングステン金属板を用い、ダイヤモン
ド膜が密着し易いように基板2の表面をあらかじめ鏡面
研磨した。また、基板2上付着物の観察にはラマン分光
装置と電子顕微鏡を用いた。図2(a)に本実施例にお
けるラマンシフトとピーク高さの関係を示す。また、同
図(b)には比較のために図1に示す構成において、プ
ラズマ電流用電源26により電界を印加しなかった場合
のラマンシフトとピーク高さの関係を示す。
【0024】このラマンスペクトルからは、図2(a)
に示すように、ラマンシフトが1333cm-1付近のダ
イヤモンドの存在を示すラマンピークが確認された。ま
た、図2(b)ではこのラマンスペクトルより、黒鉛無
定形炭素,i−カーボン等を示す1400〜1600c
-1のブロードなピークが明らかに現れている。この図
2(a),(b)に示される結果から、プラズマ電流用
電源26により電界を印加すれば、高純度のダイヤモン
ド膜を析出形成できるということがわかる。なお、電子
顕微鏡の観察でも結晶粒子像が確認されており、結晶形
もマイクロ波プラズマCVD法で合成されたダイヤモン
ド粒子と同様の形態を示している。
【0025】また、ダイヤモンド膜の合成速度について
は、従来知られているマイクロ波プラズマCVDを用い
て行ったダイヤモンド合成実験では、0.3μm/hの
合成速度であったのに対し、本実施例の合成法では75
μm/hの合成速度であり、十分に速い速度にて合成で
きる。
【0026】次に、上記実施例のように、棒状電極7と
第3の電極22との間に電界を印加することにより、高
純度のダイヤモンド膜が速い合成速度にて析出形成でき
るようになる理由について、本発明者等の考察結果をも
とに、以下に説明する。
【0027】アーク放電を利用したダイヤモンド膜の合
成法は、アーク放電の熱エネルギーによりガスを十分に
分解してダイヤモンド膜を合成する方法であり、使用ガ
スは一般には炭化水素と水素である。ガスの役割を考え
ると炭化水素はプラズマ分解により分解しダイヤモン
ド,グラファイト,無定形炭素,i−カーボンを生成す
る。一方、水素はプラズマ分解により分解し、水素ラジ
カル,水素イオン等になると考えられる。この水素ラジ
カルは還元力が大きいため、例えば炭素を還元してメタ
ン等に気化する働きがある。つまり、炭化水素がプラズ
マ分解することにより発生するダイヤモンド,グラファ
イト,無定形炭素,i−カーボン等を水素ラジカルが還
元するのである。
【0028】ここで、上記ダイヤモンド,グラファイ
ト,無定形炭素,i−カーボンに対する水素ラジカルの
還元能力,即ち除去能力はそれぞれに対して異なり、ダ
イヤモンドに対する除去能力は他のグラファイト,無定
形炭素,i−カーボンに対する除去能力に比べ格段に低
い。したがって、プラズマ分解によるダイヤモンド合成
では、水素ラジカルによりダイヤモンド以外のグラファ
イト,無定形炭素,i−カーボン等が見かけ上選択的に
除去されることになり、ダイヤモンドのみ合成されるわ
けである。
【0029】したがって、ダイヤモンドの合成速度およ
び純度を向上させるには、炭化水素の導入量を増加させ
るだけではなく、水素及び炭化水素の分解(解離)を向
上させる必要がある。例えば、統計力学により気体温度
に対する水素の解離率を計算すると、図4に示すグラフ
のようになる。このグラフより、例えば熱フィラメント
法の様に2千数百゜K程度では水素は数%も解離してい
ない。水素を高解離させるには少なくとも3千゜K以上
の気体温度が必要である。ここで、アーク放電は、数To
rrから数気圧の圧力範囲で発生し、対向電極間の電位差
が数十V程度と低いかわりに空間中を高密度の電流が流
れる放電であり、数千から数万゜Kの気体温度が得られ
るため水素を十分に解離できると考えられる。
【0030】そして、棒状電極7と第3の電極22との
間に電界を印加することにより、ガスプラズマ中を流れ
る電子が第3の電極22側に加速され、その電子のエネ
ルギーが大きくなる。そして、この電子が水素及び炭化
水素に衝突することにより、そのエネルギーを水素及び
炭化水素が吸収する結果、水素及び炭化水素が分解,解
離し易くなり、しいては高純度のダイヤモンド膜を高速
で析出形成できるようになるものと考えられる。
【0031】図3に棒状電極7と第3の電極22との間
に印加する電流値を変化させた場合のラマンシフトとピ
ーク高さの関係を示す。図3からわかるように、印加す
る電流を20A以上にすると1400〜1600cm-1
のブロードなピークがほとんど現れなくなり、高純度の
ダイヤモンド膜が得られる。
【0032】ここで、電流を流すのはプラズマ中であ
り、その値としては10A以上であれば効果があるもの
である。又、その値が大きい程析出形成されるダイヤモ
ンド膜の純度,合成速度は向上する。しかし、プラズマ
中を流す電流を大きくすることにより加速された電子が
基板2に到達し、基板温度を上昇させ、基板温度を上述
したダイヤモンドの合成域である600〜1100℃に
保つことができなくなることが考えられる。すなわち、
本実施例で第3の電極22と基板支持台3とを電気接続
して同電位としたのは、第3の電極22と基板2との間
に電流が流れることが原因で基板温度が上昇するのを防
止するためである。
【0033】図5は基板2上5mmのところの水素ラジ
カル発光ピーク強度と通電する電流との関係を調べたも
のであるが、電流の増加に伴ない水素ラジカルの存在量
も増加していることがわかる。つまり、ガスプラズマ中
に通電することで基板付近での水素解離量が増大し、こ
の解離水素の増大がダイヤモンド以外の黒鉛,無定形炭
素,i−カーボンといった非ダイヤモンド炭素の除去能
力を向上することにより、ダイヤモンドの純度が向上で
きるのである。
【0034】次に、本発明の第2実施例を図6を用いて
説明する。上記第1実施例では、アーク放電プラズマジ
ェット法により行ったが、図6に示すような構成のアー
ク放電法によっても第1実施例と同様の効果が得られ
る。つまり、対向している電極210,207間にアー
ク放電用電源217によりアーク放電を発生させ、原料
ガス導入パイプ216よりプラズマ源ガスおよび炭素源
ガスを含む原料ガスとして水素,メタン,アルゴンの混
合ガスを第1実施例と同比率,同流量流す。そして、第
3の電極222と電極207(もしくは電極210)の
間に電界を直流電源であるプラズマ電流用電源226に
より印加する。合成条件は第1実施例に示した条件と同
じとした。本実施例の装置によっても第1実施例と同
様、純度の高いダイヤモンドの合成が確認できている。
【0035】以上、本発明を上記第1,第2実施例を用
いて説明したが、本発明はそれらに限定されることなく
その趣旨を逸脱しない限り、種々変形実施可能である。
例えば、上記第1実施例ではプラズマ電流用電源26の
負(低)電位側を棒状電極7に接続しているが、シリン
ダ状電極10側に接続しても良い。また、上記第1実施
例では第3の電極22を絶縁物21を介してプラズマジ
ェットガン1に一体化構成したものを示したが、第3の
電極22は絞り部18から絶縁されておればよく、絶縁
物21を省いても、また絞り部18を該ガン1のプラズ
マ噴出口として第3の電極22を該プラズマ噴出口と基
板2との間の空間に保持するようにしてもよい。さら
に、上記第1,第2実施例では各々基板2,202と第
3の電極22,222とを同電位とするものであった
が、これは基板に電子が到達することが原因で基板温度
が上昇してしまうのを防止できればよく、他に第3の電
極が基板より高電位となるように該基板を第3の電極よ
り低電位とする電源を基板保持台に接続するようにして
もよい。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ガ
スプラズマを発生する領域側と基板上方の電極間に、基
板上方の電極側が高電位となる電界を印加しプラズマ中
に電流を流すことにより、ガスの分解が基板近傍で十分
行うことができる。そして、基板電位が該電極と同電位
あるいは低電位と設定されているために、プラズマ中を
流れる電流により基板温度が上昇することは防止され、
しかして合成速度を速くした上で高純度のダイヤモンド
膜を形成することができるという優れた効果が奏され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例のダイヤモンド膜製造装置の
断面図である。
【図2】ラマンシフトとピーク高さとの関係を示す特性
図で、図(a)は上記第1実施例により合成した試料の
特性図、図(b)は上記第1実施例において第3の電極
からガスプラズマ中に電流を流さない場合に合成した試
料の特性図である。
【図3】上記第1実施例において第3の電極からガスプ
ラズマ中に流す電流の大きさを変えた場合に各々合成し
た試料のラマンシフトとピーク高さとの関係を示す特性
図である。
【図4】気体温度に対する水素の解離度を示すグラフで
ある。
【図5】プラズマ中に通電する電流値に対する基板上5
mmの位置の水素解離量の関係を測定したグラフであ
る。
【図6】本発明第2実施例のダイヤモンド膜製造装置の
断面図である。
【図7】炭化水素濃度(CH4 /H2 )に対するダイヤ
モンドの熱拡散率と合成速度を表すグラフである。
【符号の説明】
1 プラズマジェットガン 2 基板 3 基板支持台 5 真空容器 7 棒状電極 10 シリンダ状電極 16 ガス導入パイプ 17 アーク放電用電源 19 炭素源ガス導入口 22 第3の電極 26 プラズマ電流用電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 正 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定真空度に維持される真空容器と、 互いに対向するように前記真空容器内に配置された正極
    および負極と、 前記正極および負極に電気接続し、該正極および負極と
    の間の空間にアーク放電を起こすべく所定の電力を供給
    するアーク放電用電源と、 前記アーク放電に少なくとも水素及び炭素を含有する原
    料ガスを供給してガスプラズマを発生し、該ガスプラズ
    マをその下流に配置された基板に吹きつけるガス供給手
    段と、 前記ガスプラズマが発生する領域側と前記基板側との間
    に設置された第3の電極と、 この第3の電極から前記ガスプラズマを介して前記正極
    あるいは負極に電流を流すためのプラズマ電流用電源
    と、 前記基板から前記第3の電極に正電流が流れるのを禁止
    すべく、前記基板と前記第3の電極が同電位あるいは前
    記基板より前記第3の電極が高電位となるように前記基
    板の電位を設定する基板電位設定手段とを備えることを
    特徴とするダイヤモンド膜の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記第3の電極はリング形状であり、そ
    のリング内を通して炭素源ガスを含む前記ガスプラズマ
    を前記基板に吹きつけるようにしたことを特徴とする請
    求項1に記載のダイヤモンド膜の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記ガスプラズマを介して前記第3の電
    極から前記正極あるいは負極に電流が流れるように、該
    正極あるいは負極と前記第3の電極との間には前記ガス
    プラズマが流れる周りを囲む絶縁物が配設されているこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のダイヤモンド膜
    の製造装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも水素及び炭素を含有する原料
    ガスをアーク放電に流すことによりガスプラズマを発生
    し、該ガスプラズマをその下流に配置する基板に吹きつ
    けることにより該基板上にダイヤモンド膜を析出形成す
    る方法において、 前記ガスプラズマが発生する領域側と前記基板との間に
    第3の電極を設置し、前記基板からこの第3の電極に正
    電流が流れることが禁止された状態で、前記第3の電極
    と前記ガスプラズマが発生する領域側との間に電流を流
    すために該第3の電極が高電位となる電界を印加するよ
    うにしたことを特徴とするダイヤモンド膜の製造方法。
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