JPH05210248A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH05210248A
JPH05210248A JP3832792A JP3832792A JPH05210248A JP H05210248 A JPH05210248 A JP H05210248A JP 3832792 A JP3832792 A JP 3832792A JP 3832792 A JP3832792 A JP 3832792A JP H05210248 A JPH05210248 A JP H05210248A
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JP
Japan
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group
resin
polymer
weight
polymer component
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Application number
JP3832792A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Kazuo Ishii
一夫 石井
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電特性及び撮像性の改良された、特に液体
現像剤を用いての高精細な画像の再現性、低出力のレー
ザー光を用いたスキャニング露光方式による撮像性の優
れた、電子写真感光体を提供する。 【構成】 結着樹脂として、式(I)の重合体成分及び
極性基含有の重合体成分を含有する高分子鎖を有機分子
中に3個以上結合する低分子量のスタ−型共重合体
〔A〕と、式(I)の重合体成分を含有するAブロック
及び極性基含有の重合体成分を含有するBブロックから
なるAB型ブロック高分子鎖が有機分子中に3個以上結
合する高分子量のスター型共重合体である樹脂〔B〕を
含有する電子写真感光体。 〔式(I)a1 、a2 は水素、ハロゲン、シアノ基又は
炭化水素基、R11は炭化水素基を表す。〕 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは静電特性及び耐湿性に優れた電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、所定の特性を得るた
め、あるいは適用される電子写真プロセスの種類に応じ
て、種々の構成をとる。電子写真感光体の代表的なもの
として、支持体上に光導電層が形成されている感光体及
び表面に絶縁層を備えた感光体があり、広く用いられて
いる。
【0003】支持体と少なくとも1つの光導電層から構
成される感光体は、最も一般的な電子写真プロセスによ
る、即ち帯電、画像露光及び現像、更に必要に応じて転
写による画像形成に用いられる。更には、ダイレクト製
版用のオフセット原版として電子写真感光体を用いる方
法が広く実用されている。特に近年、ダイレクト電子写
真平版は数百枚から数千枚程度の印刷枚数で高画質の印
刷物を印刷する方式として重要となってきている。こう
した状況の中で、電子写真感光体の光導電層を形成する
ために使用する結着樹脂は、それ自体の成膜性および光
導電性粉体の結着樹脂への分散能力が優れるとともに、
形成された記録体層の基材に対する接着性が良好であ
り、しかも記録体層の光導電層は帯電能力に優れ、暗減
衰が小さく、光減衰が大きく、前露光疲労が少なく、且
つ、撮影時の湿度の変化によってこれら特性を安定に保
持していることが必要である等の各種の静電特性および
優れた撮像性を具備する必要がある。
【0004】更に、電子写真感光体を用いた平版印刷用
原版の研究が鋭意行なわれており、電子写真感光体とし
ての静電特性と印刷原版としての印刷特性を両立させた
光導電層用の結着樹脂が必要である。無機光導電材料、
分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光導電
層において、結着樹脂の化学構造によって、平滑性のみ
ならず静電特性が大きく影響を受けることが判ってき
た。特に静電特性において、暗中電荷保持率(D.R.
R.)や光感度が大きく左右される。
【0005】これに対し、酸性基を含有する比較的低分
子量(103 〜104 程度)の樹脂を結着樹脂として用
いる事で、平滑性及び静電特性を良化する技術が種々検
討されている。例えば、特開昭63−217354号に
は酸性基含有重合成分が重合体主鎖にランダムに存在す
る樹脂、同64−70761号には重合体主鎖の片末端
に酸性基を結合して成る樹脂、特開平2−67563
号、同2−236561号、同2−238458号、同
2−236562号及び同2−247656号等には酸
性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合して成る樹
脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有
する樹脂、同3−181948号には酸性基をブロック
で含有するAB型ブロック共重合体等がそれぞれ記載さ
れている。これらは、該低分子量の樹脂が、光導電体の
分散を充分に行ない光導電体同志の凝集を抑制する効果
を有すること及び光導電体と分光増感色素との吸着を疎
外しないで該無機光導電体の化学量論的な欠陥に充分に
吸着するとともに光導電体の表面をゆるやかに且つ充分
に被覆していることによると推定される。
【0006】その作用機構により、無機光導電体の化学
量論的な欠陥部が多少変動しても、充分な吸着領域をも
つ事から比較的安定した無機光導電体、分光増感色素及
び樹脂同志の相互作用が保たれると推論される。なかで
も、グラフト型共重合体やAB型ブロック共重合体を用
いると、環境が変動しても比較的安定した性能を得るこ
とができることが判っている。
【0007】更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不
充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめるために、
中〜高分子量の他の樹脂を併用する技術あるいは硬化性
基を含有した樹脂を併用して成膜後に硬化する技術等が
種々検討されている。例えば、特開昭64−564号、
同63−220149号、同63−220148号、特
開平1−280761号、同1−116643号、同1
−169455号、同1−211766号、同2−34
859号、同2−53064号、同2−56558号、
同3−29954号、同3−77954号、同3−92
861号、同3−53257号、同3−181948
号、同3−206464号各公報等に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の酸性基を含有する種々の低分子量の樹脂、更にこれら
の樹脂に中〜高分子量の樹脂を組み合わせて用いても、
環境が高温・高湿から低温・低湿まで著しく変動した場
合における安定した性能の維持においてはいまだ不充分
であることが判った。半導体レーザー光を用いたスキャ
ンニング露光方式では、従来の可視光による全面同時露
光方式に比べ、露光時間が長くなり、また露光強度にも
制約があることから、静電特性、特に暗電荷保持特性、
光感度に対して、より高い性能が要求される。
【0009】特に、電子写真式平版印刷用原版におい
て、半導体レーザー光を用いたスキャンニング露光方式
を採用した場合,従来の感光体で実際に試験してみる
と、上記の静電特性が十分に満足できるものでなく、特
にE1/2 とE1/10との差が大きく複写画像の階調が軟調
となり、更には露光後の残留電位を小さくするのが困難
となり、複写画像のカブリが顕著となってしまい、又、
オフセットマスターとして印刷しても、印刷物に印刷原
稿の貼り込み跡が出てしまう等の問題が現れた。
【0010】更に、近年、線画及び網点から成る画像の
複写画像のみならず、連続階調から成る高精細な画像を
液体現像剤を用いて忠実に再現する技術の実現が望まれ
ているが、前記公知の技術はこれらの要望まで十分に満
足できるものではなかった。従来公知の技術において
は、低分子量の樹脂と併用する中〜高分子量の樹脂によ
って、上記低分子量の樹脂で高性能化された静電特性が
低下することがあり、実際に前記した様なこれら公知の
樹脂の組合せで用いた光導電層を有する電子写真感光体
は、前述の様な高精細な画像(特に連続階調画像)の忠
実な複写画像の再現性あるいは、低出力のレーザー光を
用いたスキャンニング露光方式による撮像性に対して、
問題を生じ得ることが明らかになった。
【0011】本発明は、以上の様な従来公知の電子写真
感光体の有する課題を改良するものである。本発明の目
的は、複写画像形成時の環境が低温低湿あるいは高温高
湿の如く変動した場合でも、常に安定して良好な静電特
性を維持し、鮮明で良質な画像を有する電子写真感光体
を提供することである。
【0012】本発明の他の目的は、静電特性に優れ且つ
環境依存性の小さいCPC電子写真感光体を提供するこ
とである。本発明の他の目的は、半導体レーザー光を用
いたスキャンニング露光方式に有効な電子写真感光体を
提供することである。本発明の更なる目的は、電子写真
式平版印刷原版として、静電特性(特に暗電荷保持性及
び光感度)に優れ、原画(特に高精細な連続階調画像)
に対して忠実な複写画像を再現し、且つ、印刷物の全面
一様な地汚れはもちろん点状の地汚れをも発生させず、
また耐刷性の優れた平版印刷原版を提供することであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は無機光導電
体、分光増感色素及び結着樹脂を少なくとも含有する光
導電層を有する電子写真感光体において、該結着樹脂
が、下記に示される樹脂〔A〕の少なくとも1種及び下
記樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有して成る事を特徴
とする電子写真感光体により達成されることが見出され
た。 樹脂〔A〕 1×103 〜2×104 の重量平均分子量を有し、下記
一般式(I)で示される繰り返し単位からなる重合体成
分(イ)と−PO3 2 基、−SO3 H基、−COOH
基、−P(=O)(OH)R1 〔R1 は炭化水素基又は−
OR2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す〕基及び環
状酸無水物含有基から選択される少なくとも1種の極性
基を含有する重合体成分(ロ)とを少なくとも含有する
ことから成る高分子鎖を有機分子中に少なくとも3個結
合して成り、該重合体成分(イ)が30重量%以上及び
該重合体成分(ロ)が1〜20重量%であるスター型共
重合体。
【0014】
【化4】
【0015】〔式(I)中、a1 及びa2 は各々水素原
子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を表わす。
11は炭化水素基を表わす。〕 樹脂〔B〕 2×104 〜1×106 の重量平均分子量を有し、上記
樹脂〔A〕における一般式(I)で示される繰り返し単
位を重合体成分として少なくとも含有するAブロックと
−PO3 2 基、−SO3 H基、−COOH基、−P
(=O)(OH)R1 (R1 は上記と同様の意味を表す)
基及び環状酸無水物基のうちから選択される少なくとも
1種の極性基を含有する少なくとも1つの重合体成分を
含有することから成るBブロックとから構成されるAB
型ブロック高分子鎖が、有機分子中に少なくとも3個結
合して成るスタ−型共重合体。
【0016】即ち、本発明の結着樹脂は、上記一般式
(I)で示される重合体成分と上記特定の極性基含有成
分とを含有する高分子鎖を有機分子中に少なくとも3個
結合して成る低分子量のスター型共重合体(樹脂
〔A〕)と、上記一般式(I)で示される重合体成分を
含有するAブロックと上記特定の極性基含有成分を含む
Bブロックから成るABブロック高分子鎖を有機分子中
に少なくとも3個結合して成る高分子量のスター型共重
合体(樹脂〔B〕)とから少なくとも構成される。
【0017】前述の如く、光導電層の平滑性及び静電特
性を良化させるとして公知の酸性基含有結着樹脂の中で
低分子量体を用いるものとして、酸性基含有重合成分が
重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、重合体主鎖の片
末端にのみ酸性基を結合して成る樹脂、酸性基をグラフ
ト部又は主鎖末端に含有するグラフト型共重合体、酸性
基をブロックで含有するAB型ブロック共重合体が挙げ
られる。これに対し、本発明の低分子量の結着樹脂
〔A〕は、公知の樹脂とは重合成分の結合パタ−ンが異
なる、極性基含有の重合体成分を含有する高分子鎖を3
個以上有機分子中に結合してなる、著しくポリマーの化
学構造を特定化したスター型共重合体である。
【0018】本発明の樹脂〔A〕は、高分子鎖中に存在
する極性基含有成分が無機光導電体の化学量論的な欠陥
に充分に吸着し、高分子鎖を構成する他の成分(例えば
式(I)成分)は、無機光導電体の表面をゆるやかに且
つ充分に被覆していると推定される。この無機光導電体
表面への充分な吸着と表面近傍の被覆の効果が公知の樹
脂に比べより一層効果的に行なわれることにより、無機
光導電体の化学量論的な欠陥部が多少変動しても充分な
吸着領域をもつ事から、常に安定した無機光導電体と樹
脂〔A〕との相互作用が保たれると推論される。換言す
れば、本発明の樹脂〔A〕の効果により、光導電体粒子
が充分に分散され且つ凝集しない状態で存在し、更に分
光増感色素が光導電体粒子表面に充分に吸着されている
こと及び光導電体表面の余分な活性サイトを結着樹脂が
充分に吸着してトラップを補償していること、また、光
導電体粒子に充分吸着して該粒子を均一に分散し、その
高分子鎖が非常に短いことにより凝集を抑制すること、
分光増感色素の吸着疎外を起こさないこと等の重要な作
用を有するものと考えられる。このような種々の作用か
ら、本発明に従えば、従来公知の極性基含有の低分子量
樹脂に比べて一段と良好に光導電体のトラップを充分に
補償すると共に湿度特性を向上させる一方、光導電体の
分散が充分に行なわれ、凝集を抑制することを見出し
た。
【0019】更に、種々検討の結果、本発明に従う低分
子量の極性基含有のスター型共重合体樹脂〔A〕を、中
〜高分子量の極性基非含有のAブロックと極性基含有の
Bブロックから成るABブロック高分子鎖を含むスター
型共重合体樹脂〔B〕と組み合わせて用いることによ
り、上記低分子量の樹脂で高性能化された静電特性を低
下させることなく、機械的強度を充分に保持することが
判った。
【0020】また、これらの中〜高分子量樹脂が、該光
導電層中で、光導電体、分光増感色素及び低分子量の樹
脂同志の相互作用に、更に適切に相互作用することも、
予想以上に重要な原因であることが明らかになってき
た。このことは、本発明の結着樹脂〔A〕及び〔B〕の
更なる相乗効果により、光導電体粒子が充分に分散され
且つ凝縮しない状態で存在し、更に分光増感色素が光導
電体粒子表面に充分に吸着されていること及び光導電体
表面の余分な活性サイトを結着樹脂が充分に吸着してト
ラップを補償していること等によるものと推定される。
【0021】即ち、特定の極性基を含有する低分子量体
の樹脂〔A〕は、光導電体粒子に充分吸着して該粒子を
均一に分散し、その高分子鎖が短いことにより凝集を抑
制すること、また、分光増感色素の吸着疎外を起こさな
いこと等の重要な作用を有するとともに、これに特定の
極性基含有のBブロックと該極性基非含有のAブロック
とのABブロックで構成される高分子鎖を含むスター型
共重合体樹脂〔B〕を用いることで、光導電層の機械的
強度が充分に保持された。これは、この樹脂のBブロッ
クの部分が光導電体粒子と樹脂〔A〕よりも弱い相互作
用であること及びAブロックの部分同志の高分子鎖間の
絡み合い効果等によるものと考えられる。
【0022】この作用は、近赤外〜赤外光の分光増感用
色素として特に有効なポリメチン色素あるいはフタロシ
アニン系顔料で特に顕著な効果を示した。一方、光導電
体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の電子写真感
光体を従来公知のダイレクト刷版として用いた場合には
優れた撮像性とともに著しく良好な保水性を示す。
【0023】即ち、電子写真感プロセスを経て複写画像
を形成した本発明の感光体を、従来公知の不感脂化処理
液により非画像部を化学処理により不感脂化して、印刷
用原版とし、これをオフセット印刷により印刷した時に
優れた印刷用原版としての性能を示すものである。本発
明の感光体を不感脂化処理すると、非画像部の親水化が
充分になされ、保水性が向上することから印刷枚数が飛
躍的に向上した。これは、上記した酸化亜鉛粒子が均一
に分散されていること及び酸化亜鉛粒子表面に存在する
結着樹脂の存在状態が適切で不感脂化処理液との不感脂
化反応が疎外されず迅速に且つ効果的に進行することに
よるものと考えられる。
【0024】更には本発明において、樹脂〔A〕とし
て、下記一般式(Ia)及び一般式(Ib)で示され
る、2位に、及び/又は2位と6位に特定の置換基を有
するベンゼン環又は無置換のナフタレン環を含有する、
特定の置換基をもつメタクリレート成分と酸性基成分と
を含有する樹脂〔A〕(以降この樹脂を特に樹脂
〔A′〕と称する)であることが好ましい。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】〔式(Ia)及び(Ib)中、A1 及びA
2 は互いに独立に、それぞれ水素原子、炭素数1〜10
の炭化水素基、塩素原子、臭素原子、−COR14又は−
COOR14(R14は炭素数1〜10の炭化水素基を示
す)を表す。B1 及びB2 はそれぞれ−COO−とベン
ゼン環を結合する、単結合又は連結原子数1〜4個の連
結基を表わす。〕 上記特定の樹脂〔A′〕を用いると樹脂〔A〕の場合よ
りもより一層電子写真特性(特にV10、D.R.R、E
1/10)の向上が達成できる。このことの理由は不明であ
るが、1つの理由として、メタクリレートのエステル成
分である、オルト位に置換基を有する平面性のベンゼン
環又はナフタレン環の効果により、膜中の光導電体界面
でのこれらポリマー分子鎖の配列が適切に行なわれるこ
とによるものと考えられる。
【0028】以下に、本発明の結着樹脂について更に詳
しく説明する。まず、本発明の樹脂〔A〕について説明
する。樹脂〔A〕は、上記一般式(I)で示される重合
体成分(イ)と特定の極性基含有の重合体成分(ロ)と
を少なくとも含有する高分子鎖を少なくとも3個同一有
機分子内に結合した、いわゆるスター型共重合体からな
る樹脂である。即ち、該重合体を模式的に示すと例えば
下記のように表される。
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】〔上記においてXは有機分子を表し、〔P
olymer〕は高分子鎖を表す。〕ここで、有機分子
に結合した3個以上存在する高分子鎖は、それぞれ構造
的に同一であっても異なっていてもよく、それぞれ少な
くとも一般式(I)で示される重合体成分と極性基含有
成分とを含有していればよい。またそれぞれの高分子鎖
の長さも同じであっても異なっていてもよい。また、か
かる高分子鎖は、有機分子中に含まれる上限は多くても
15個、通常10個程度である。
【0032】樹脂〔A〕の重量平均分子量は1×103
〜2×104 、好ましくは3×103 〜1×104 であ
り、樹脂〔A〕のガラス転移点は好ましくは−40℃〜
110℃、より好ましくは−20℃〜90℃である。樹
脂〔A〕の分子量が1×103 より小さくなると、皮膜
形成能が低下し充分な膜強度を保てず、一方分子量が2
×104 より大きくなると本発明の樹脂であっても、特
に近赤外〜赤外分光増感色素を用いた感光体において、
高温・高湿、低温・低湿の苛酷な条件下での電子写真特
性(特に初期電位、暗減衰保持率及び光感度)の変動が
多少大きくなり、安定した複写画像が得られるいとう本
発明の効果が薄れてしまう。
【0033】本発明の樹脂〔A〕は、上記の様に枝分れ
したスター型共重合体となっているが、樹脂〔A〕の高
分子鎖中に含有される極性基含有成分(ロ)の存在量
は、樹脂〔A〕100重量部中に0.5〜20重量部で
あることが好ましく、より好ましくは2〜15重量部で
ある。樹脂〔A〕における極性基含有量が1重量%より
少ないと、初期電位が低くて充分な画像濃度を得ること
ができない。一方、該極性基含有量が20重量%よりも
多いと、いかに低分子量体といえども分散性が低下し、
更にオフセットマスターとして用いるときに地汚れが増
大する。
【0034】かかる特定の極性基を含有する重合体成分
は該高分子鎖中に2種以上含有されていてもよい。ま
た、樹脂〔A〕の高分子鎖中における一般式(I)の繰
り返し単位に相当する重合体成分の存在割合は、樹脂
[A]100重量部中30重量部以上、好ましくは30
重量部〜99.5重量部、より好ましくは50重量部〜
98重量部である。
【0035】本発明のスタ−型共重合体(樹脂〔A〕)
の高分子鎖を構成する各重合成分は以下の特徴を有す
る。前記一般式(I)で示される繰り返し単位を説明す
る。a1 及びa2 は各々水素原子、ハロゲン原子(例え
ばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基又は
炭化水素基(例えば炭素数1〜8の脂肪族基;例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ベンジル基等、炭素数6〜12の芳香
族基;例えばフェニル基等)を表す。a1 が水素原子を
表し、及びa2 がメチル基を表す場合が好ましい。
【0036】R11は炭化水素基を表し、具体的にはアル
キル基、アラルキル基又は芳香族基を表し、好ましくは
ベンゼン環又はナフタレン環を含有する炭化水素基であ
るアラルキル基又は芳香族基である。更に、R11は好ま
しくは炭素数1〜18の置換されていてもよい炭化水素
基を表わす。置換基としては、例えば、ハロゲン原子
(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−OZ
1 、−COOZ1 、−OCOZ1 (Z1 は炭素数1〜2
2のアルキル基を表わし、例えばメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシ
ル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等
である)等の置換基が挙げられる。好ましい炭化水素基
としては、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−ク
ロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエ
チル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の
置換されてもよいアルケニル基(例えば2−メチル−1
−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ぺンテニル基、
3−メチル−2−ぺンテニル基、1−ぺンテニル基、1
−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−
ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよい
アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3
−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチ
ルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メ
チルベンジル基、エ9ルベンジル基、メトキシベンジル
基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、
炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シ
クロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シ
クロぺンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の置換さ
れてもよい芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル基、
トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフ
ェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフ
ェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル
基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフ
ェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフ
ェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカ
ルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピ
オアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基
等)等があげられる。
【0037】R11の示す炭化水素基において、R11が脂
肪族基の場合には好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基
を式(I)で表わされる成分中の60重量%以上含有す
ることが好ましい。このような置換基R11を有する成分
である一般式(I)の繰り返し単位において、より好ま
しくは前記一般式(Ia)及び/又は一般式(Ib)で
示される繰り返し単位の重合体成分が挙げられる。
【0038】式(Ia)において、好ましいA1 及びA
2 として、互いに独立に各々水素原子、塩素原子及び臭
素原子の外に、炭素数1〜10の炭化水素基として、好
ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、炭素数7〜9のアラ
ルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、クロロベンジル基、ジクロロベンジル
基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、クロロメチルベンジル基)及びアリール基
(例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ブロモフ
ェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、ジ
クロロフェニル基)、並びに−COZ2 及び−COOZ
2 (好ましいZ2 としては上記の炭素数1〜10の好ま
しい炭化水素基として記載したものを挙げることができ
る)を挙げることができる。
【0039】式(Ia)及び(Ib)において、B1
びB2 は各々−COO−とベンゼン環を結合する単結合
又は−(CH2 a −(aは1〜3の整数を表す)、−
CH2 OCO−、−CH2 CH2 OCO−、−(CH2
O)b −(bは1又は2の整数を表す)、−CH2 CH
2 O−等の如き連結原子数1〜4個の連結基であり、好
ましくは単結合又は結合原子数1〜2個の連結基を挙げ
ることができる。
【0040】本発明の樹脂〔A〕で用いられる式(I
a)又は(Ib)で示される繰り返し単位の具体例を以
下に挙げる。しかし、本発明の範囲はこれに限定される
ものではない。また、以下の(a−1)〜(a−20)
において、cは1〜4の整数、dは0又は1〜3の整
数、eは1〜3の整数、R21はいずれも−CcH2c+1
は−(CH2 d −C6 5 (ただし、c、dは上記と
同じ内容を表す)を表し、D1 及びD2 は同じでも異な
ってもよく、水素原子、−Cl、−Br、−Iのいずれ
かを表す。
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】高分子鎖中に含有される極性基含有成分に
ついて説明する。該極性基は、−PO3 2 基、−SO
3 H基、−COOH基、−P(=O)(OH)R1 基及び
環状酸無水物含有基のなかから選択される少なくとも1
種の極性基である。ここで、−P(=O)(OH)R
1 は、下記化11で表わされる基を示し、ここにおいて
該R1 は炭化水素基又は−OR2 基(R2 は炭化水素基
を表す)を表し、具体的にはR1 は炭素数1〜6の置換
されていてもよい炭化水素基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−
ブロムエチル基、2−フロロエチル基、3−クロロプロ
ピル基、3−メトキシプロピル基、2−メトキシブチル
基、ベンジル基、フェニル基、プロペニル基、メトキシ
メチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基)
等であり、R2 はR1 と同一の内容を表す。
【0044】
【化11】
【0045】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボ
ン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、、グルタコ
ン酸無水物環、マレイン酸無水物環、シクロぺンタン−
1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキサン−1,
2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2.2.
2〕オクタジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これら
の環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、
メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキ
ル基等が置換されていてもよい。
【0046】また、芳香族ジカルボン酸無水物の例とし
ては、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無
水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン
−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、
例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、
ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカル
ボニル基(アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、
エトキシ基等)等が置換されていてもよい。
【0047】樹脂〔A〕における極性基を含有する共重
合成分は、例えば一般式(I)〔一般式(Ia)、(I
b)も含む〕で示される繰り返し単位に相当する単量体
と共重合し得る該極性基を含有するビニル系化合物であ
ればいずれでもよく、例えば高分子学会編「高分子デー
タ・ハンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)
等に記載されている。具体的には、アクリル酸、α及び
/又はβ置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α
−アセトキシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、
α−クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリ
ブチルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブ
ロモ体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロ
ロ体等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エ
ステル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−ア
ルケニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メ
チル−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−
2−ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マ
レイン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミ
ド類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスル
ホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカル
ボン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及
びこれらのカルボン酸又はスルホン酸のエステル誘導
体、アミド誘導体の置換基中に該極性基を含有する化合
物等が挙げられる。
【0048】以下に極性基含有の共重合成分について例
示する。ここで、d1 は−H又は−CH3 を示し、d2
は−H、−CH3 又は−CHCOOCH3 を示し、R22
は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R23は炭素数1〜
6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、f
は1〜3の整数を示し、gは2〜11の整数を示し、h
は1〜11の整数を示し、iは2〜4の整数を示し、j
は2〜10の整数を示す。
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】上記の如き特定の極性基を含有する重合成
分は該高分子鎖中に2種以上含有されていてもよい。該
高分子鎖中には上記極性基含有成分及び式(I)で示さ
れる成分以外の重合成分を含有していてもよく、含有さ
れ得る他の重合成分としては、例えば下記の一般式(I
I)で示される成分が挙げられる。
【0057】
【化19】
【0058】〔式(II)中、b1 及びb2 は各々水素原
子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭化水素基を表わす。
1 は−COO−、−OCO−、−(CH2 m OCO
−、−(CH2 m COO−(mは1〜3の整数を表
す)、−O−、−SO2 −、−CO−、−CON
(T1 )−、−SO2 N(T1 )−、−CONHCOO
−、−CONHCONH−又は−C6 4 −を表わす
(ここで、T1 は水素原子又は炭化水素基を表す)。R
12は炭化水素基を表わす。但しV1 が−C6 4 −を表
わす場合、R12は水素原子又は炭化水素基を表わす。〕 ここで、T1 は水素原子のほか、好ましい炭化水素基と
しては、炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デジル基、
ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−ク
ロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエ
チル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の
置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−
1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル
基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基、等)、炭素数7〜12の置換され
てもよいアラルキル基(例えば、べンジル基、フェネチ
ル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2
−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジ
ル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシ
べンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル
基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例
えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル
基、2−シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6〜1
2の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、
ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル
基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシル
フェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル
基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、ク
ロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル
基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシ
カルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル
基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェ
ニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミ
ドフェニル基等)があげられる。
【0059】R12は、炭化水素基を表わす。但し、一般
式(II)中のV1 が−C6 4 −を表わす場合、R12
水素原子又は炭化水素基を表わす。好ましい炭化水素基
としては、炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル
基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデ
シル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブ
ロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカル
ボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプ
ロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアル
ケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2
−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ぺ
ンテニル基、1−ぺンテニル基、1−ヘキセニル基、2
−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、
炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例え
ば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロ
ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換
されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロぺンチルエチル
基等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基
(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリ
ル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチ
ルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル
基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシル
オキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチル
フェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシ
カルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル
基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0060】V1 が−C6 4 −を表わす場合、ベンゼ
ン環は置換基を有してもよい。置換基としては、ハロゲ
ン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、クロロメチル基、メトキシメチル基等)、アルコキ
シ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ
基、ブトキシ基等)等が挙げられる。
【0061】b1 及びb2 は、互いに同じでも異なって
いてもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4
のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等)、−COOZ3 又は炭化水素を介した
−COOZ3 (Z3 は、水素原子又は炭素数1〜18の
アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基ま
たはアリール基を表わし、これらは置換されていてもよ
く、具体的には、上記T1 について説明したものと同様
の内容を表わす)を表わす。
【0062】上記炭化水素を介した−COOZ3 におけ
る炭化水素としては、メチレン基、エチレン基、プロピ
レン基等が挙げられる。更に好ましくは、一般式(II)
において、V1 は−COO−、−OCO−、−CH2
CO−、−CH2 COO−、−O−、−CONH−、−
SO2 NH−又は−C6 4 −を表わし、b1 及びb2
は互いに同じでも異なってもよく、水素原子、メチル
基、−COOZ3 又は−CH2 COOZ3 {Z3 は好ま
しくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基等)を表わす}を表わす。更により好ましくは、b1
及びb2 においていずれか一方が水素原子を表わす。ま
た、該高分子鎖中に、更に他の重合成分を含有すること
ができ、該含有され得る他の重合体成分として、該式
(II)の重合体成分と共重合しうる他の繰り返し単位に
相当する単量体、例えば一般式(I)で説明した以外の
置換基を含有するメタクリル酸エステル類、アクリル酸
エステル類、クロトン酸エステル類に加え、α−オレフ
ィン類、カルボン酸ビニル又はアリル酸エステル類(例
えばカルボン酸として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸等)、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル類、イ
タコン酸エステル類(例えばジメチルエステル、ジエチ
ルエステル等)、アクリルアミド類、メタクリルアミド
類、スチレン類(例えばスチレン、ビニルトルエン、ク
ロロスチレン、ヒドロキシスチレン、N,N−ジメチル
アミノメチルスチレン、メトキシカルボニルスチレン、
メタンスルホニルオキシスチレン、ビニルナフタレン
等)、ビニルスルホン含有化合物、ビニルケトン含有化
合物、複素環ビニル類(例えばビニルピロリドン、ビニ
ルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェン、
ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾール、ビニルジオキ
サン、ビニルキノリン、ビニルテトラゾール、ビニルオ
キサジン等)等が挙げられる。これら他の単量体は高分
子鎖の全重合体成分100重量部中20重量部を超えな
い範囲で用いられることが好ましい。
【0063】一方、本発明に従う、高分子鎖を少なくと
も3個以上結合してなる有機分子としては、該分子の分
子量が1000以下のものであれば特に限定されるもの
ではない。例を挙げれば、下記化20等の3価の炭化水
素残基が挙げられる。
【0064】
【化20】
【0065】〔ここで、r1 〜r6 はそれぞれ水素原子
又は炭化水素基を表す。但し、r1 及びr2 又はr3
6 のうちの少なくとも1つは高分子鎖に連結する。〕 これらの有機残基は、単独又はこれらの任意の組合せの
構成からなり、組合せの場合は、−O−、−S−、−N
(r7 )−、−COO−、−CON(r7 )−、−SO
2 −、−SO2 N(r7 )−{ここでr7 はそれぞれ水
素原子又は 炭化水素基を表す}、−NHCOO−、−
NHCONH−、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等の
ヘテロ原子含有の複素環(例えばチオフェン環、ピリジ
ン環、ピラン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール
環、フラン環、ピペリジン環、ピラジン環、ピロール
環、ピペラジン環等)等の結合単位の組合せを含んでい
てもよい。
【0066】他の該高分子鎖を結合する有機分子の例と
しては、下記化21又は化22と上記結合単位との組合
せから構成されるものが挙げられる。しかしながら、本
発明に従う有機分子の具体例としては、これらに限定さ
れるものではない。
【0067】
【化21】
【0068】
【化22】
【0069】本発明のスター型共重合体の樹脂〔A〕
は、従来公知の極性基含有で且つ重合性二重結合基をも
つ単量体のスター型ポリマーの合成法を利用して合成す
ることができる。例えばその一つとしてカルバニオンを
開始剤とする重合反応が挙げられる。具体的には、M.
Morton、T.E.Helminiak eta
l、J.Polym.Sci.、57、471(196
2)、B.GordonIII、M.Blumenth
al、J.E.Loftus、etal、Polym.
Bull.、11、349(1984)、R.B.Ba
tes、W.A.Beavers、etal、J.Or
g.Chem.、44、3800(1979)に記載の
方法に従って合成できる。
【0070】但し、本反応を用いる際には、本発明の
「特定の極性基」は、保護した官能基として用いて重合
させた後、保護基の脱離を行う。これらの、本発明の特
定の極性基の保護基による保護及びその保護基の脱離
(脱保護反応)については、従来公知の知見を利用して
容易に行なうことができる。例えば前記引用文献にも種
々記載されており、更には、岩倉義男、栗田恵輔「反応
性高分子」(株)講談社刊(1977年)、T.W.G
reene「Protective Groupsin
Organic Synthesis」、John
Wiley & Sons(1981年)、J.F.
W.McOmic 「ProtectiveGroup
s in Organic Chemistry」、P
lenumPress(1973年)等の総説に詳細に
記載されている方法を適宜選択して行なうことができ
る。
【0071】他の方法としては、本発明の特定の極性基
を保護しないままの単量体を用い、ジシオカーバメント
基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する
化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行なって
合成することもできる。例えば、大津隆行「高分子」
、248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Pol
ym.Rep.Jap.37.3508(1988)、
特開昭64−111号、特開昭64−26619号、東
信行等、Polymer Preprints、Jap
an、36(6)、1511(1987)、M.Niw
a、N.Higashi、etal、J.Macrom
ol.Sci.Chem.A24(5)、567(19
87)等に記載の合成方法に従って合成することができ
る。
【0072】本発明の樹脂〔A〕の重量平均分子量の調
整は、重合反応において従来公知の如く、重合に用いる
全単量体総量と各種重合開始剤量との使用割合あるいは
重合温度等によって容易に調整することができる。具体
的には、用いる単量体の種類及び開始剤の種類によって
任意に合成できるものである。次に本発明の樹脂〔B〕
について説明する。
【0073】樹脂〔B〕は、前記一般式(I)で示され
る重合体成分を少なくとも含有するブロックAと、−P
3 2 基、−SO3 H基、−COOH基、−P(=
O)(OH)R1 (R1 は上記と同様の意味を表す)基及
び環状酸無水物基のうちから選択される少なくとも一種
の極性基を含有する重合体成分を少なくとも含有するブ
ロックBとから構成されるAB型ブロック高分子鎖が有
機分子中に少なくとも3個結合してなるスター型共重合
体である。
【0074】ここにおいて、ブロックAとブロックBの
高分子鎖中における配列の順序はいずれでもよい。即
ち、該重合体を模式的に示すと下記の如くになる。
【0075】
【化23】
【0076】
【化24】
【0077】〔ここで、Xは有機分子を表し、(A)は
ブロックAを、(B)はブロックBを表し、(A)−
(B)は高分子鎖を表す。〕 また、かかるAB型ブロック高分子鎖は、有機分子中に
含まれる上限は多くても15個、通常10個程度であ
る。
【0078】樹脂〔B〕における特定の極性基含有成分
の含有量は、樹脂〔B〕100重量部当り好ましくは
0.01〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重
量部の割合で含有される。
【0079】結着樹脂〔B〕における極性基含有量が
0.05重量%より少ないと、初期電位が低くて充分な
画像濃度を得ることができず、該極性基含有量が15重
量%よりも多いと、分散性が低下し、膜平滑度及び電子
写真特特性の高温高湿が低下し、更にオフセットマスタ
ーとして用いるときに地汚れが増大するため、好ましく
ない。
【0080】また,樹脂[B]において,全共重合体に
含有される特定の極性基含有重合体成分の総量が,前記
樹脂[A]中に含有される特定の極性基含有成分の総量
に対し10重量%〜50重量%であることが好ましい.
樹脂[B]における該総量が樹脂[A]のそれの10重
量%未満であると,電子写真特性(特に暗中電荷保持
率),光感度の低下が著しく,膜の強度も低下する.ま
た,50重量%を越えると,分散の均一化が不十分とな
り,電子写真特性が低下し,オフセット原版としては保
水性が低下する.
【0081】樹脂〔B〕の重量平均分子量は2×104
〜1×106 、好ましくは3×104 〜5×105 であ
る。樹脂〔B〕の分子量が2×104 より小さくなる
と、皮膜形成能が低下し充分な膜強度が保てず、また分
子量が1×106 より大きくなると本発明の樹脂〔B〕
の効果が少なくなり、従来公知の樹脂と同程度の電子特
性になってしまう。
【0082】該樹脂〔B〕のガラス転移点は、−10℃
〜100℃の範囲のものが好ましいが、より好ましくは
0℃〜90℃である。本発明のABブロックスター型共
重合体(樹脂〔B〕)の高分子鎖を構成する各ブロック
は以下の特徴を有する。
【0083】Aブロック成分は、前記一般式(I)で示
される繰り返し単位で示される重合体成分を少なくとも
含有し、該式(I)で示される成分はAブロック成分中
好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜
100重量%含有される。また、ブロックAにおいて
は、ブロックBで含有される特定の極性基含有成分を含
有しないことを特徴とする。
【0084】一般式(I)の成分の具体的内容について
は、樹脂〔A〕で説明したものと同様のものに準じる。
又、他に含有され得る重合体成分としては、樹脂〔A〕
で説明した一般式(II)で示される重合体成分が挙げら
れる。更には、式(II)に示される重合体成分とともに
該Aブロック中に含有され得る重合体成分として、該式
(II)の重合体成分と共重合しうる他の繰り返し単位に
相当する単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、複素環ビニル類(例えばビニルピリジン、ビ
ニルイミダゾール、ビニルピロリドン、ビニルチオフェ
ン、ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、ビニルオキ
サジン等)等が挙げられる。これら他の単量体はAブロ
ックの全重合体成分100重量部中20重量部を超えな
い範囲で用いられる。
【0085】次にスター型共重合体〔B〕の高分子鎖を
構成するBブロック成分について詳しく説明する。ブロ
ックBを構成する特定の極性基を含有する重合成分の具
体例としては、前記した樹脂〔A〕の特定の極性基を含
有する重合体成分と同様のものを挙げることができる。
【0086】上記の如き特定の極性基を含有する重合成
分は該Bブロック中に2種以上含有されていてもよく、
その場合における該2種以上の極性基含有成分は該Aブ
ロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の
いずれの態様で含有されていてもよい。
【0087】また、上記極性基含有の重合体成分以外の
重合体成分をブロックB中に含有していてもよく、かか
る重合体成分としては好ましくは前記一般式(I)及び
(II)の繰り返し単位に相当する重合体成分、更にはその
他の成分として記載したものと同様のものが挙げられ
る。
【0088】一方、本発明に従う、高分子鎖を少なくと
も3本以上結合して成る有機分子としては、樹脂〔A〕
のところで記載したものと同様のものが挙げられる。本
発明のABブロック型スター型共重合体〔B〕は、従来
公知の極性基含有で且つ重合性二重結合基をもつ単量体
のスター型ポリマーの合成法を利用して合成することが
できる。詳しくは、前記樹脂〔A〕の合成法のところ
で、記載したとおりである。
【0089】本発明の光導電層に供される結着樹脂とし
て、本発明の樹脂〔A〕及び樹脂〔B〕以外に前記した
無機光導電体用の公知の樹脂を併用することもできる。
但し、これらの他の樹脂の使用割合は、全結着樹脂10
0重量部中30重量部を越えない範囲が好ましい。この
割合を越えると、本発明の効果は著しく低下してしま
う。
【0090】併用可能な他の樹脂としては例えば、代表
的なものは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン
−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリレート共重
合体、メタクリレート共重合体、アクリレート共重合
体、酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アル
キド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエ
ステル樹脂、ポリエステル樹脂等である。
【0091】具体的には、柴田隆治・石綿次郎「高分
子」第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視・
武井英彦「イメージング」1973(No.8)第9
頁、中村孝一編「絶縁材料用バインダーの実際技術」第
10章、C.H.C.出版(1985年刊)、D.D.
Tatt、S.C.Heidecker、Tappi、
49(No.10)、439(1966)、E.S.B
altazzi、R.G.Blanclotte et
al、Photo.Sci.Eng.16(No.
5)、354(1972)、グエン・チャン・ケー、清
水 勇、井上英一、電子写真学会誌18(No.2)、
28(1980)、特公昭50−31011号、特開昭
53−54027号、同54−20735号、同57−
202544号、同58−68046号各号公報等に開
示の樹脂が挙げられる。
【0092】本発明の光導電層において用いられる結着
樹脂の総量は、無機光導電体100重量部に対して、1
0重量部〜100重量部であることが好ましく、より好
ましくは15重量部〜50重量部である。
【0093】本発明の結合樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使
用割合は5〜60重量部対95〜40重量部であり、好
ましくは10〜50重量部対90〜50重量部である。
【0094】結着樹脂の総量比が10重量部以下となる
と、光導電層の膜強度が維持できなくなる。又100重
量部以上になると、静電特性が低下し、実際の撮像性に
おいても複写画像の悪化を生じてしまう。
【0095】又、本発明の樹脂〔A〕と樹脂〔B〕の使
用割合において樹脂〔A〕の重量比が0.05以下にな
ると、静電特性向上の効果が薄れてしまう。一方0.8
以上になると光導電層の膜強度が充分維持できなくなる
場合(特に電子写真式平版印刷用原版として)が生じ
る。
【0096】本発明に使用する無機光導電材料として
は、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウ
ム、炭酸カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウ
ム、セレン化テルル、硫化鉛等が挙げられる。
【0097】本発明に使用する分光増感色素としては、
必要に応じて各種の色素を単独又は併用して用いる。例
えば、宮本晴視、武井英彦、イメージング1973(N
o.8)第12頁、C.J.Young等、RCA R
eview 15、469(1054)、清田航平等、
電気通信学会論文誌J63C(No.2)、97
(1980)、原崎勇次等、工業科学雑誌66 78及
び188(1963)、谷忠昭、日本写真学会誌35
208(1972)等の総説引例のカーボニウム系色
素、ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、
キサンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素
(例えば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シア
ニン色素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタ
ロシアニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられ
る。
【0098】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン色素、キサンテン系色素、フタレイン
系色素を中心に用いたものとしては、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許第3,052,540号、同4,054,45
0号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げ
られる。
【0099】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F.M.Harmmer 「The Cyani
neDyes and Related Compou
nd」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的
には、米国特許第3,047,384号、同3,11
0,591号、同3,121,008号、同3,12
5,447号、同3,128,179号、同3,13
2,942号、同3,622,317号、英国特許第
1,226,892号、同1,309,274号、同
1,405,898号、特公昭48−7814号、同5
5−18892号等に記載の色素が挙げられる。
【0100】更に700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許第3,619,154
号、同4,175,956号、「Research D
isclosure」1982年、216、第117〜
118頁等に記載のものが挙げられる。本発明の感光体
は種々の増感色素を併用させても、その性能が増感色素
により変動しにくい点において優れている。更には、必
要に応じて、化学増感剤等の従来知られている電子写真
感光層用各種添加剤を併用することもできる。例えば、
前記した総説:イメージング1973(No.8)第1
2頁等の総説引例の電子受容性化合物(例えば、ハロゲ
ン、ベンゾキノン、クロラニル、酸無水物有機カルボン
酸等)、小門宏等、「細菌の光導電材料と感光体の開発
・実用化」第4章〜第6章・日本科学情報(株)出版部
(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化合
物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジア
ミン化合物等が挙げられる。
【0101】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
001〜2.0重量部である。光導電層の厚さは1〜1
00μ、特に10〜50μが好適である。
【0102】また、電荷発生層と電荷輸送層の積層型感
光体の電荷発生層として光導電層を使用する場合は電荷
発生層の厚さは0.01〜1μ、特に0.05〜0.5
μが好適である。
【0103】感光体の保護および耐久性、暗減衰特性の
改善等を主目的として絶縁層を付設させる場合もある。
この時は絶縁層は比較的薄く設定され、感光体を特定の
電子写真プロセスに用いる場合に設けられる絶縁層は比
較的厚く設定される。
【0104】後者の場合、絶縁層の厚さは、5〜70
μ、特には、10〜50μに設定される。積層型感光体
の電荷輸送材料としてはポリビニルカルバゾール、オキ
サゾール系色素、ピラゾリン系色素、トリフェニルメタ
ン系色素などがある。電荷輸送層の厚さとしては5〜4
0μ、特には10〜30μが好適である。
【0105】絶縁層あるいは電荷輸送層の形成に用いる
樹脂としては、代表的なものは、ポリスチレン樹脂、ポ
リエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、
塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビー酸ビ共重合体
樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、シリコン樹脂の熱可塑性樹脂及び効果性樹脂が適宜
用いられる。
【0106】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば、金属、紙、プ
ラスチックシート等の基本に低抵抗性物質を含浸させる
などして導電処理したもの、基本の裏面(感光層を設け
る面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を
図る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、
前記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支
持体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレ
コート層が設けられたもの、Al等を蒸着した基体導電
化プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用でき
る。
【0107】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例としては、坂本幸男、電子写真、14(No.
1)、P2〜11(1975)、森賀弘之、「入門特殊
紙の化学」高分子刊行会(1975)、M.F.Hoo
ver,J.Macromol.Sci.Chem.A
−4(6)、第1327〜第1417頁(1970)等
に記載されているもの等を用いる。
【0108】本発明の電子写真感光体は、従来公知のあ
らゆる電子写真プロセスを利用した用途において利用す
ることができる。即ち、本発明の感光体はPPC方式お
よびCPC方式のいずれの記録方式にも利用でき、又、
現像剤として乾式現像剤あるいは液体現像剤のいずれの
組合せにも用いることができる。
【0109】特に、高精細なオリジナルの忠実な複写画
像形成が可能なことから、液体現像剤との組合せで利用
すると、本発明の効果がより発揮される。又カラー現像
剤との組合せとすることで、黒白複写画像のみならず、
カラー複写画像にも応用することができる(例えば、滝
沢九郎、「写真工業」33、34(1975年)、安西
正保、「電子通信学会技術研究報告」77、17(19
77年)等に記載の方法)。
【0110】更に近年の電子写真プロセスを利用した他
の用途への利用のシステムにおいても有効である。例え
ば光導電体として光導電性酸化亜鉛を用いた本発明の感
光体は、オフセット平版印刷用原版として、又無公害で
白色度の良好な光導電性酸化亜鉛あるいは光導電性酸化
チタンを用いた感光体は、オフセット印刷プロセスで用
いられる版下用記載材料あるいはカラープループ等に用
いることができる。
【0111】
【実施例】以下に本発明の実施例を例示するが、本発明
の内容がこれらに限定されるものではない。 〔樹脂〔A〕の合成〕 樹脂〔A〕の合成例1:〔A−1〕 メチルメタクリレート66g、メチルアクリレート30
g、アクリル酸4g及び下記構造の開始剤〔I−1〕2
8g及びテトラヒドロフラン150gの混合溶液を窒素
気流下に温度50℃に加温した。
【0112】
【化25】
【0113】この溶液に400Wの高圧水銀灯で10c
mの距離からガラスフィルターを通して10時間光照射
し光重合した。得られた反応物をメタノール1リットル
中に再沈し、沈殿物を補集し乾燥して、収量72gで重
量平均分子量(Mw:樹脂〔A〕にいうMwはポリスチ
レン換算によるGPC法による値)8×103 の重合体
を得た。
【0114】
【化26】
【0115】樹脂〔A〕の合成例2:〔A−2〕 樹脂〔A〕の合成例1において、開始剤〔I−1〕28
gの代わりに、下記構造の開始剤〔I−2〕36.3g
を用いた他は、樹脂〔A〕の合成例1と同様の条件で操
作した。得られた重合体の収量は75gでMw7.5×
103 であった。
【0116】
【化27】
【0117】
【化28】
【0118】 樹脂〔A〕の合成例3〜9:〔A−3〕〜〔A−9〕 2−クロロフェニルメタクリレート95g、メタクリル
酸5g、下記表−Aの開始剤0.10モル及びテトラヒ
ドロフラン100gの混合溶液とした他は、樹脂〔A〕
の合成例1と同様の条件で操作し、各重合体を得た。得
られた各重合体のMwは6×103 〜8×103 の範囲
であった。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】樹脂〔A〕の合成例10〜25:〔A−1
0〕〜〔A−25〕 樹脂〔A〕の合成例1において、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート及びアクリル酸の代わりに、表
−Bに記載の重合成分に相当する各単量体を用いた他
は、樹脂〔A〕の合成例1と同様の条件で操作して各重
合体を得た。得られた各重合体のMwは6×103 〜9
×103 の範囲であった。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】樹脂〔A〕の合成例26〜30:〔A−2
6〕〜〔A−30〕 前記開始剤〔I−2〕33.9g、及び下記表−Cに示
される各重合体成分に相当する単量体の混合物を、窒素
気流下、温度40℃に加温した。以下の操作を合成例1
と同様にして、光照射し、重合させた後、固形分を取り
出し、テトラヒドロフラン250mlに溶解した後、メ
タノール1.5リットル中に再沈し、沈殿物を濾集・乾
燥した。各重合体の収量は60〜75gでMw6×10
3 〜8×103 の範囲であった。
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】〔樹脂〔B〕の合成〕 樹脂〔B〕の合成例:〔B−1〕 メチルメタクリレート74g及び下記構造の開始剤〔I
−10〕12.4gの混合物を、窒素気流下に温度50
℃に加温した。この溶液に400Wの高圧水銀灯で10
cmの距離からガラスフィルターを通して5時間光照射
し光重合した。
【0130】この重合物に、テトラヒドロフラン100
gを加えて溶解し、更にメチルアクリレート25g及び
アクリル酸1.0gを加えた後、窒素気流下に再び温度
50℃に加温した。
【0131】
【化29】
【0132】次に、上記と同様にして、光照射を10時
間行なった後、得られた反応物をメタノール2リットル
中に再沈し、沈澱物を捕集し乾燥して、収量78gで重
量平均分子量(Mw:Mwはポリスチレン換算によるG
PC法による値)6×104の重合体を得た。
【0133】
【化30】
【0134】樹脂〔B〕の合成例2:〔B−2〕 樹脂〔B−1〕の合成例において、開始剤〔I−10〕
12.4gの代わりに下記構造の開始剤〔I−2〕1
6.0gを用いた他は、合成例1と同様の条件で操作し
た。得られた重合体の収量は72gでMwは6×104
であった。
【0135】
【化31】
【0136】
【化32】
【0137】 樹脂〔B〕の合成例3〜9:〔B−3〕〜〔B−9〕 メチルメタクリレート65g及び下記表−Dの開始剤各
0.013モルの混合物を、樹脂〔B〕の合成例1と同
様にして光重合反応を行なった。
【0138】次にこれにテトラヒドロフラン100gを
加えて溶解し、更に、メチルアクリレート30g、N−
ビニルピロリドン4g及びメタクリル酸1gを加えた
後、合成例1と同様に、光重合及び再沈を行なった。得
られた重合体のMwは5×104 〜8×104 の範囲で
あった。
【0139】
【表9】
【0140】
【表10】
【0141】
【表11】
【0142】樹脂〔B〕の合成例10〜15:〔B−1
0〕〜〔B−15〕 樹脂〔B〕の合成例1において、メチルメタクリレー
ト、メチルアクリレート及びアクリル酸の代わりに、表
−Eに記載の重合成分に相当する各単量体を用いた他
は、合成例1と同様の条件で操作して各重合体を得た。
得られた重合体のMwは5×104 〜6×104 の範囲
であった。
【0143】
【表12】
【0144】
【表13】
【0145】樹脂〔B〕の合成例16〜21:〔B−1
6〕〜〔B−21〕 メチルアクリレート16.5g、アクリロニトリル2.
5g、アクリル酸1.0g、下記表−Fの開始剤を0.
0072モル及びテトラヒドロフラン20gの混合溶液
を、合成例1と同様にして、光照射を15時間行なっ
た。次に、この反応物に、メチルメタクリレート60
g、メチルアクリレート20g及びテトラヒドロフラン
80gを加えた後合成例1と同様にして重合反応及び再
沈を行なった。得られた重合体のMwは5×104 〜8
×104 の範囲であった。
【0146】
【表14】
【0147】
【表15】
【0148】樹脂〔B〕の合成例22〜26:〔B−2
2〕〜〔B−26〕 下記表−Gの重合体成分に相当する単量体及び前記開始
剤〔I−2〕14gの混合物を、窒素気流下温度40℃
に加温し、以下の操作を実施例1と同様にして、光照射
し、5時間重合させた。
【0149】固形物を取り出し、テトラヒドロフラン1
00gに溶解した後、メチルアクリレート25g及びア
クリル酸1.5gを加え、更に窒素気流下温度50℃に
加温し、上記と同様にして光照射して重合させた。得ら
れた反応物をメタノール1リットル中に再沈し、沈澱物
を捕集・乾燥した。各重合体の収量は65〜75gでM
wは5×104 〜7×104 であった。
【0150】
【表16】
【0151】樹脂〔B〕の合成例27〜33:〔B−2
7〕〜〔B−33〕 メチルメタクリレート56g、メチルアクリレート24
g及び下記構造の開始剤〔I−11〕10gの混合物
を、窒素気流下温度40℃に加温後、以下の操作を実施
例1と同様にして、光照射し4時間重合させた。
【0152】固形物を、テトラヒドロフラン100gに
溶解した後、下記表−Hの重合成分に相当する各単量体
を加え、更に窒素気流下温度50℃に加温し、上記と同
様にして光照射して重合させた。得られた反応物をメタ
ノール1リットル中に再沈し、沈澱物を捕集・乾燥し
た。各重合体の収量は65〜75gでMwは4×104
〜7×104 であった。
【0153】
【化33】
【0154】
【表17】
【0155】
【表18】
【0156】実施例1並びに比較例1〜4 樹脂〔A−3〕6g(固形分量として)、樹脂〔B−
3〕34g(固形分量として)、光導電性酸化亜鉛20
0g、下記構造のシアニン色素〔I〕0.018g、サ
リチル酸0.15g及びトルエン300gの混合物をホ
モジナイザー(日本精機(株)製)中、回転数6×10
3 r.p.m.で6分間分散し、更に無水フタル酸0.
20g及びo−クロロフェノール0.003gを添加
し、回転数1×103 r.p.m.で1分間分散した。
この様にして調製した感光層形成物を導電処理した紙
に、乾燥付着量が22g/m2 となる様に、ワイヤーバ
ーで塗布し、110℃で10秒間乾燥した。ついで暗所
で20℃、65%RHの条件下で24時間放置すること
により、電子写真感光材料を作製した。
【0157】
【化34】
【0158】比較例1:実施例1において、樹脂〔A−
3〕6gの代わりに下記構造の樹脂〔R−1〕6gを用
いた他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光材料
を作製した。
【0159】
【化35】
【0160】比較例2:実施例1において、樹脂〔A−
3〕6gの代わりに下記構造の樹脂〔R−2〕6gを用
いた他は、実施例1と同様に操作して電子写真感光材料
を作製した。
【0161】
【化36】
【0162】比較例3:実施例1において、樹脂〔A−
3〕6g及び樹脂〔B−3〕34gの代わりに前記構造
の樹脂〔R−1〕6g及び下記構造の樹脂〔R−3〕3
4gを用いた。
【0163】
【化37】
【0164】比較例4:実施例1において、樹脂〔A−
3〕6g及び樹脂〔B−3〕34gの代わりに下記構造
の樹脂〔R−4〕6g及び樹脂〔R−5〕34gを用い
た。
【0165】
【化38】
【0166】
【化39】
【0167】これらの感光材料について、撮像性、印刷
性及び環境条件を(20℃、65%RH)、(30℃、
80%RH)及び(15℃、30%RH)とした時の撮
像性及び印刷性を調べた。以上の結果を表−Iに示す。
【0168】
【表19】
【0169】表−Iに示した評価項目の実施の態様は以
下の通りである。 注1)表面層の平滑性:得られた感光材料は、ベック平
滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量1c
cの条件にて、その平滑度(sec/cc)を測定し
た。 注2)撮像性:各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放
置した後、各感光材料を−6kVで帯電し、光源として
2.8mW出力のガリウム−アルミニウム−ヒ素、半導
体レーザー(発振波長780nm)を用いて、感光材料
表面上で64erg/cm2 の照射量下で、ピッチ25
μm及びスキャニング速度300m/secのスピード
露光後液体現像剤として、ELP−T(富士写真フィル
ム(株)製)を用いて現像し、イソパラフィンアイソパ
ーG(エッソ化学(株)製)溶媒のリンス液で洗浄後定
着することで得られた複写画像(カブリ、画像の画質)
を目視評価した。
【0170】撮像時の環境条件は20℃、65%RH
(I)、30℃、80%RH(II)及び15℃、30%
RH(III)で実施した。 注3)生版保水性:感光材料を印刷用原版として用いる
際の不感脂化処理による親水化の程度を、下記の強制条
件で処理して調べた。
【0171】各感光材料そのもの(製版しない原版:即
ち、生版と略称)を富士写真フィルム(株)製不感脂化
処理液ELP−EXを蒸留水を5倍に希釈した水溶液を
用いて、エッチングマシーンを1回通した。次に、これ
らの版をハマダスター(株)製ハマダスター8005X
型を用いて印刷し、刷り出しから50枚目の印刷物の地
汚れの有無を目視で評価した。 注4)印刷物の地汚れ:各感光材料を上記注2)と同一
の操作で製版した後、ELP−EXを用いて、エッチン
グマシーンを1回通した後、印刷物の地汚れが目視で判
別できるまでの印刷枚数を調べた。
【0172】表−Iに示す様に、本発明の感光材料は、
実際の複写画像で、地カブリがなく、細線・細文字ある
いは連続階調の網点部分等高精細な画像部分が非常に鮮
明な画像が得られた。且つ、撮像時の環境条件が、低温
・低湿あるいは高温・高湿といった過酷な条件下でも、
安定した鮮明な複写画像が得られた。他方、比較例1〜
4は、常温・常湿(I)の環境条件では、良好な複写画
像が得られたが、環境条件が変動すると、いずれも高精
細な画像部分(特に連続階調の中間濃度部分)に濃度の
ムラ、あるいはベタ画像部に白ヌケの微小なムラの発生
が見られた。
【0173】次にオフセットマスター用印刷原版とし
て、不感脂化処理して、印刷原版としての性能を調べ
た。まず、製版をしない前の各感材を、注3)の不感脂
化力を弱めた強制条件下に不感脂化処理し、実際に印刷
して、インキの付着程度を観察した所、本発明の原版の
みが良好で、比較例1、2及び4はインキ付着の発生が
微かだが見られた。
【0174】更に、注4)の様に実際に製版した感材
を、通常の不感脂化条件で処理し、印刷した所、本発明
の原版は、地汚れの発生がなく、画像の忠実な再現が認
められる印刷物を1万枚得ることができた。他方、比較
例1は4千枚、比較例2は6千枚、比較例3は6千枚、
比較例4は4千枚であった。更に、環境条件が過酷な
(II)及び(III)で製版した原版は、複写画像の再現不
良のため、刷り出しより印刷物の画像も不良となった。
【0175】以上の事は、本発明の樹脂〔A〕が適切に
酸化亜鉛粒子と相互作用し、不感脂化処理液による不感
脂化反応が容易に且つ充分に進行し易い状態を形成して
いる事及び樹脂〔B〕の働きによる膜強度の著しい向上
を達成していることを示すものと考えられる。 実施例2 樹脂〔A−12〕6g(固形分量として)、樹脂〔B−
2〕34g(固形分量として)、光導電性酸化亜鉛20
0g、下記構造のメチン色素〔II〕0.020g、N−
ヒドロキシマレインイミド0.20g及びトルエン30
0gの混合物を、実施例1と同様に操作して、電子写真
感光材料を作製した。
【0176】
【化40】
【0177】この感光材料の皮膜性(表面の平滑度)、
静電特性、撮像性及び環境条件を30℃、80%RHと
した時の静電特性、撮像性を調べた。更に、電子写真式
平版印刷用原版として用いた時の印刷性を調べた。それ
らの結果を表−Jに示す。
【0178】
【表20】
【0179】表−Jに示した評価項目の静電特性の実施
の態様は以下の通りである。 注5)静電特性:温度20℃、65%RHの暗室中で、
各感光材料にペーパーアナライザー(川口電機(株)製
ペーパーアナライザーSP−428型)を用いて、−6
kVで20秒間コロナ放電させた後、10秒間放置し、
この時の表面電位V10を測定した。次いでそのまま暗中
で120秒間静置させた後の電位V130 を測定し、12
0秒間暗減衰させた後の電位の保持性、即ち、暗減衰保
持率〔DRR(%)〕を〔(V130 /V10〕×100
(%)〕で求めた。
【0180】また、コロナ放電により光導電層表面を−
500Vに帯電させた後、波長780nmの単色光で照
射し、表面電位(V10)が1/10に減衰するまでの時
間を求め、これから露光量E1/10(erg/cm2 )を
算出する。更にE1/10測定と同様にコロナ放電により−
500Vに帯電させた後、波長780nmの単色光で照
射し、表面電位(V10)が1/100に減衰するまでの
時間を求め、これから露光量E1/100 ( erg/c
2 )を算出する。撮像時の環境条件はI(20℃、6
5%RH)、II(30℃、80%RH)及びIII(15
℃、30%RH)で実施した。
【0181】本発明の感光材料は、平滑性は良好で充分
に均一な分散状態になっていた。又環境条件を変えて静
電特性を調べた所、条件が変動しても安定で且つ良好な
値を示した。実際の撮像性においても、原稿に対して忠
実な複写画像を再現し、且つ地カブリも認められなかっ
た。また、オフセットマスター用原版として、不感脂化
処理して、印刷した所良好な印刷物が1万枚得られた。 実施例3〜22 実施例2において、樹脂〔A−12〕及び樹脂〔B−
2〕に代えて、下記表−Kの各樹脂〔A〕及び各樹脂
〔B〕に代えた他は、実施例1と同様に操作して、各電
子写真感光体を作製した。実施例2と同様にして静電特
性を測定した。結果を表−Kに示す。
【0182】
【表21】
【0183】これらの感光材料の実際の撮像性を調べた
所、細線・文字の再現性良好で中間調のムラの発生もな
い、地カブリの全くない鮮明な複写画像のものが得られ
た。又、オフセットマスター原版として用いて、実施例
2と同様にして印刷した所、いずれも少なくとも、1万
枚以上印刷することができた。以上から、本発明の各感
光材料は光電導層の平滑性、静電特性及び印刷性の全て
の点において良好なものであった。 実施例23〜26 実施例1において用いた、メチン色素〔I〕の代わりに
下記表−Lの色素に代えた他は、実施例1と同様の条件
で電子写真感光材料を作製した。
【0184】
【表22】
【0185】
【表23】
【0186】本発明の感光材料はいずれも帯電性、暗電
荷保持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿
(30℃、80%RH)及び低温・低湿(15℃、30
%RH)の過酷な条件においても、地カブリの発生のな
い鮮明な画像を与えた。 実施例27及び28並びに比較例5 樹脂〔A−1〕6gと樹脂〔B−1〕34g(実施例2
7)あるいは樹脂〔A−30〕6gと樹脂〔B−16〕
34g(実施例28)と、酸化亜鉛200g、ウラニン
0.02g、下記構造のメチン色素〔VII 〕0.03
g、下記構造のメチン色素〔VIII〕0.03g、p−ヒ
ドロキシ安息香酸0.18g及びトルエン300gの混
合物をホモジナイザー中で回転数7×103 r.p.
m.で5分間分散して感光層形成物を調整し、これを導
電処理した紙に、乾燥付着量が25g/m2 となる様に
ワイヤーバーで塗布し、110℃で20秒間乾燥した。
次いで暗所で20℃、65%RHの条件下で24時間放
置することにより各電子写真感光体を作製した。
【0187】
【化41】
【0188】
【化42】
【0189】比較例5 実施例28において、樹脂〔A−30〕の代わりに、前
記樹脂〔R−1〕6gを用いた他は、実施例28と同様
にして、感光材料を作製した。実施例1と同様に、各感
光材料の各特性を調べた。その結果を下記表−Mにまと
めた。
【0190】
【表24】
【0191】上記の測定において、静電特性及び撮像性
については下記の操作に従った他は、実施例1と同様の
操作で行なった。 注6)静電特性のE1/10及びE1/100 の測定方法 コロナ放電により光導電層表面を−400Vに帯電させ
た後、該光導電層表面を照度2.0ルックスの可視光で
照射し、表面電位(V10)が1/10又はE1/100 に減
衰するまでの時間を求め、これから露光量E1/10又はE
1/100 (ルックス・秒)を算出する。 注7)撮像性 各感光材料を以下の環境条件で1昼夜放置した後、全自
動製版機EPL−404V(富士写真フイルム(株)
製)でEPL−Tをトナーとして用いて製版して得られ
た複写画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。撮
像時の環境条件は、20℃、65%RH(I)30℃、
80%RH(II)及び15℃、30%RH(III)で実施
した。但し、複写用の原稿(即ち、版下原稿)には、ほ
かの原稿を切り抜いて、貼り込みを行なって作成したも
のを用いた。
【0192】各感光材料は、光導電層の平滑性、静電特
性においては、ともに良好な性能を示した。実際の撮像
性を調べて見ると、比較例5は、過酷条件下で複写画像
として原稿以外に、切り抜いて貼り込んだ部分の枠(即
ち、貼り込み跡)が非画像部の地汚れとしてあるいはベ
タ画像部に白ヌケのムラの発生が認められた。しかし、
本発明のものは、いずれも、地汚れのない、鮮明な画像
のものが得られた。
【0193】更に、これらをオフセット印刷用原版とし
て不感脂化処理して印刷した所、本発明のものはいずれ
も地汚れのない鮮明な画質の印刷物が8千枚以上得られ
た。しかし、比較例5は、過酷条件下で製版した原版で
は上記の貼り込み跡が、不感脂化処理でも除去されず、
刷り出しの印刷物から発生してしまうか、あるいは製版
画像のムラが印刷物に発生した。
【0194】以上のことより、本発明の感光材料のみ
が、良好な特性を与えることができた。 実施例29 樹脂〔A−29〕5g及び樹脂〔B−23〕35g、酸
化亜鉛200g、ウラニン0.02g、ローズベンガル
0.04g、ブロムフェノールブルー0.03g、無水
フタル酸0.20g及びトルエン300gの混合物を、
ホモジナイザー中回転数8×103 r.p.m.で5分
間分散した。この分散物をワイヤーバーで導電処理した
紙に、乾燥付着量が25g/m2 となる様にワイヤーバ
ーで塗布し、110℃で10秒間乾燥した。次いで、暗
所で20℃65%RHの条件下で24時間放置すること
により、電子写真感光材料を作製した。
【0195】本発明の感光材料を、実施例28と同様に
操作して各性能を調べた所、いずれも帯電性、暗電荷保
持率、光感度に優れ、実際の複写画像も高温・高湿(3
0℃、80%RH)あるいは低温・低湿(15℃、30
%RH)の過酷な条件においても、地カブリ、画像部の
ムラの発生のない、鮮明な画像を与えた。更に、これを
オフセットマスターの原版として用いて印刷した所、1
万枚の所でも鮮明な画質の印刷物を得た。 実施例30〜41 実施例29において、樹脂〔A−29〕5g及び樹脂
〔B−23〕35gの代わりに、下記表−Nの樹脂
〔A〕5g及び樹脂〔B〕35gを用いた他は、実施例
29と同様にして各感光材料を作製した。
【0196】
【表25】
【0197】これらの感光材料の実際の撮像性を調べた
所、細線・文字の再現性良好で中間調のムラの発生もな
い、地カブリの全くない鮮明な複写画像のものが得られ
た。又、オフセットマスター原版として用いて、実施例
29と同様にして印刷した所、いずれも少なくとも1万
枚以上印刷することができた。以上から、本発明の各感
光材料は光電導層の平滑性、静電特性及び印刷性の全て
の点において良好なものであった。
【0198】
【発明の効果】本発明によれば、静電特性(とくに厳し
い条件下での静電特性)に優れた、鮮明で良質な画像を
有し、更に優れた機械的強度を有する電子写真感光体を
得ることができる。特に、半導体レーザー光を用いたス
キャニング露光方式に有効である。
【0199】式(Ia)又は(Ib)で示される特定の
メタクリレート成分を含有する繰り返し単位を本発明の
樹脂に用いることにより、更に静電特性が向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機光導電材料、分光増感色素及び結着
    樹脂を少なくとも含有する光導電層を有する電子写真感
    光体において、該結着樹脂が、下記樹脂〔A〕の少なく
    とも1種及び下記樹脂〔B〕の少なくとも1種を含有し
    て成ることを特徴とする電子写真感光体。 樹脂〔A〕 1×103 〜2×104 の重量平均分子量を有し、下記
    一般式(I)で示される繰り返し単位からなる重合体成
    分(イ)と−PO3 2 基、−SO3 H基、−COOH
    基、−P(=O)(OH)R1 〔R1 は炭化水素基又は−
    OR2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す〕基及び環
    状酸無水物含有基から選択される少なくとも1種の極性
    基を含有する重合体成分(ロ)とを少なくとも含有する
    ことから成る高分子鎖を有機分子中に少なくとも3個結
    合して成り、該重合体成分(イ)が30重量%以上及び
    該重合体成分(ロ)が1〜20重量%であるスター型共
    重合体。 【化1】 〔式(I)中、a1 及びa2 は各々水素原子、ハロゲン
    原子、シアノ基又は炭化水素基を表わす。R11は炭化水
    素基を表わす。〕 樹脂〔B〕 2×104 〜1×106 の重量平均分子量を有し、上記
    樹脂〔A〕における一般式(I)で示される繰り返し単
    位を重合体成分として少なくとも含有するAブロックと
    −PO3 2 基、−SO3 H基、−COOH基、−P
    (=O)(OH)R1 (R1 は上記と同様の意味を表す)
    基及び環状酸無水物基のうちから選択される少なくとも
    1種の極性基を含有する少なくとも1つの重合体成分を
    含有することから成るBブロックとから構成されるAB
    型ブロック高分子鎖が、有機分子中に少なくとも3個結
    合して成るスタ−型共重合体。
  2. 【請求項2】 上記樹脂〔A〕が、一般式(I)で示さ
    れる共重合体成分として下記一般式(Ia)及び下記一
    般式(Ib)で示されるアリール基含有のメタクリレー
    ト成分のうちの少なくとも1つを含有することを特徴と
    する請求項1記載の電子写真感光体。 【化2】 【化3】 〔式(Ia)及び(Ib)中、A1 及びA2 は互いに独
    立に各々水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、塩素
    原子、−COR14又は−COOR14(R14は炭素数1〜
    10の炭化水素基を表す)を表し、B1 及びB2 は各々
    −COO−とベンゼン環を結合する単結合又は連結原子
    数1〜4個の連結基を表す。〕
  3. 【請求項3】 上記樹脂〔B〕において、全共重合体中
    に含有される特定の極性基含有重合体成分の総量が、上
    記樹脂〔A〕中に含有される特定の極性基含有重合体成
    分の総量に対し10重量%〜50重量%であることを特
    徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
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