JPH05209249A - 低熱膨張超耐熱合金 - Google Patents

低熱膨張超耐熱合金

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JPH05209249A
JPH05209249A JP21638192A JP21638192A JPH05209249A JP H05209249 A JPH05209249 A JP H05209249A JP 21638192 A JP21638192 A JP 21638192A JP 21638192 A JP21638192 A JP 21638192A JP H05209249 A JPH05209249 A JP H05209249A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスタービン部品や低熱膨張材との複合材と
して最適な高温強度に優れ、低い熱膨張係数を有し、高
い切欠破断強度を有する低熱膨張合金を提供する。 【構成】 重量%で、C 0.2%以下、Si 1.0%以下、Mn
1.0%以下、Cr 0.5〜4.0%、Al 0.25〜1.0%、Ti 0.
5〜2.5%、NbおよびTaの1種または2種をNb+1/2Ta
で3.0〜6.0%、B 0.02%以下、Ni 24%以上30%未満お
よびCo 20〜28%を含有し、残部は不純物を除き、実質
的にFeからなることを特徴とする。このような合金組
成とすることにより、微細な結晶粒とLaves相を得
て、高温強度が高く、低い熱膨張係数と高い切欠破断強
度を有する超耐熱合金が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスタービン部品やセ
ラミックスおよび超硬合金との複合材として使用され、
高温強度に優れ、かつ低い熱膨張係数を必要とされる超
耐熱合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、低い熱膨張係数が必要な用途の合
金としては、Fe-36%Ni系のインバー合金、Fe-42%Ni
系の42ニッケル合金、Fe-29%Ni-17%Co系のコバール
合金等が知られている。これらの合金は熱膨張係数は低
いが、常温および高温での強度が小さいため、強度が必
要とされる部品には用いることができない。
【0003】一方、上記の合金の熱膨張係数には及ばな
いものの、通常のオーステナイト合金に比べ熱膨張係数
が小さく、かつ、Al、Ti、Nb等の析出強化元素添加
により高温強度を高めた合金として、特公昭41−27
67号に記載されたインコロイ903合金や、このイン
コロイ903合金の一連の改良合金として、特開昭50
−30729号、特開昭50−30730号、米国特許
4200459号、特開昭59−56563号、特開昭60−
128243号、特開昭53−6225号、特開昭50
−30728号、特公昭63−43457号、米国特許
4006011号などに開示された合金が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、ガスタービン部
品の使用温度の上昇に伴い、常温から高温までより高い
強度と、各種の部品や部材間に設けられたクリアランス
を常温から高温まで一定量に維持できる材料の要求や、
セラミックスや超硬合金のような低熱膨張材料と金属材
料との接合性の向上に対する要求は、ますます高まる傾
向にある。その用途の一例が、自動車のタービンロータ
の軸部と翼部(通常セラミックスである)を接合するタ
ーボカラーである。他の使用例はガスタービンのコンプ
レッサーケース、排気ケースおよびシール材等の部品
や、セラミックス製の内筒と低熱膨張超耐熱合金製の外
筒からなるアルミダイカスト用スリーブあるいは、超硬
合金と台金の緩衝材として、低熱膨張超耐熱合金を用い
た超硬合金製刃物などがある。従来、このようなニーズ
に対しては、特公昭41−2767号に開示されるイン
コロイ903が、実用化されてきたが、インコロイ90
3は500℃前後の使用温度において、切欠感受性が著し
く高くなることが明らかとなり、問題となっていた。実
際、この種の低熱膨張超耐熱合金は、実用されている製
品においては応力集中部をいくつか持つ場合が多く、そ
の部分の切欠強度が平滑面の強度より低いと、設計上の
破壊寿命よりも大幅に早い破壊を生じることとなる。こ
のような切欠強度の低下は、この種の合金では500℃前
後の温度で最も敏感となるため、500℃の平滑−切欠複
合クリープ破断試験において、平滑部より切欠部の方が
早期に破断する材料は、実用上の使用条件が極端に限定
される。よって、500℃の平滑−切欠複合クリープ破断
試験において、切欠破断強度は平滑破断強度を上回るこ
とが重要である。
【0005】この点に関する一連の改良合金としては、
先に挙げた特開昭50−30729号、特開昭50−3
0730号、米国特許4200459号、特開昭59−565
63号、特開昭60−128243号、特開昭53−6
225号、特開昭50−30728号、特公昭63−4
3457号、米国特許4006011号などが提案され、これ
らの改良のなかから、インコロイ909が実用化される
ようになった。インコロイ909は確かにインコロイ9
03より、切欠破断強度には優れているが、700〜8
00℃程度での高温加熱時の組織が不安定であること、
あるいは、セラミックスや超硬合金とのろう付け処理な
どの短時間高温加熱時の時効硬化性が不十分であり、硬
さの点で不十分であるといった問題があった。一方、イ
ンコロイ903の切欠感受性を改善する手法の一つとし
てCr添加も検討されているが、従来検討されてきたF
e−Co−Niのマトリックス組成範囲では、Crの添
加はいたずらに熱膨張係数の増加を招くのみで、切欠感
受性や耐酸化性を改善するに十分なCr量を添加するこ
とができず、実用化には至っていない。
【0006】本発明は、かかる問題点に鑑み、これまで
に実用化されてきた低熱膨張超耐熱合金インコロイ90
3やインコロイ909と同レベルの低熱膨張特性を有
し、かつこれらの合金では得られなかった高い時効硬化
性と切欠破断強度を両立する新規の低熱膨張超耐熱合金
を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、かかる問
題点を解決すべく、Fe-Co-Ni系合金を対象に実験を
行なった結果、時効硬化性の改善と切欠感受性の改善に
寄与するCrの最適添加範囲と、このようなCr添加に
よっても従来合金と遜色のない低い熱膨張係数を持ち、
かつ、結晶粒の微細化と切欠強度改善に役立つ適量のLa
ves相を析出させるFe、CoおよびNiの割合と、さらに
安定かつ時効硬化性の高いガンマプライム相を析出する
ためのTi、NbおよびAlの適正な添加範囲を見出し、
その結果、従来合金にない高い高温強度と低熱膨張係数
を兼備した合金を発明するに至った。
【0008】すなわち本発明は、重量%にて、C 0.2%
以下、Si 1.0%以下、Mn 1.0%以下、Cr 0.5〜4.0%、
Al 0.25〜1.0%、Ti 0.5〜2.5%、Nb 3.0〜6.0%、B
0.02%以下、Ni 24%以上30%未満およびCo 20〜28%を含
有し、残部は不純物を除き、実質的にFeからなること
を特徴とする低熱膨張超耐熱合金であり、望ましくは重
量%にてC 0.1%以下、Si 1.0%以下、Mn 1.0%以下、C
r 0.5〜4.0%、Al 0.25〜1.0%、Ti 0.5〜2.5%、Nb
およびTaの1種または2種をNb+1/2Taで3.0〜6.0
%、B 0.01%以下、Ni 27%以上30%未満およびCo 20
〜25%を含有し、残部は不純物を除き、実質的にFeから
なる低熱膨張超耐熱合金であり、さらに望ましくは、重
量%にて、C 0.1%以下、Si 1.0%以下、Mn 1.0%以
下、Cr 0.5〜2.95%、Al 0.25〜1.0%、Ti 0.5〜2.5
%、NbおよびTaの1種または2種をNb+1/2Taで3.0
〜6.0%、B 0.01%以下、Ni 27〜29.8%およびCo 20〜2
5%を含有し、残部は不純物を除き、実質的にFeからな
る低熱膨張超耐熱合金である。
【0009】
【作用】以下、本発明合金の成分限定理由について述べ
る。CはTiやNbと結合して炭化物を形成し、結晶粒の
粗大化を防ぎ、強度の向上に寄与するが、0.2%を越える
過度の添加はTiやNbの炭化物が多くなりすぎて析出強
化元素として作用するTiやNbを減少させるとともに、
合金の熱膨張係数を増大させるので、Cは0.2%以下とす
る。望ましいCの範囲は0.1%以下である。
【0010】Siは脱酸剤としての効果のほかに、結晶
粒微細化と粒界形状の改善に役立つLaves相の析出を促
進させるので必須の添加元素であるが、1%を越える過
度の添加は熱間加工性と高温強度の低下を招くので、1.
0%以下に限定する。Mnは、脱酸剤として添加されるの
で合金中に含まれるが、過度の添加は合金の熱膨張係数
を増加させるので好ましくない。したがって、Mnは1.0
%以下に限定する。
【0011】Crは本発明において、時効硬化性の改善
と切欠感受性の改善において重要な役割を果たす。すな
わち、Crはマトリックス中に固溶して、析出強化相で
あるガンマプライム相の析出を促進させ、短時間の時効
でも十分な強度が得られるとともに、切欠感受性の一因
と考えられる結晶粒界の酸化抵抗を高める。そのために
Crは最低0.5%以上を必要とするが、4%を超える過度
の添加は、マトリックスを構成するFeとCoおよびN
iの比をいかに調整しても、十分な低熱膨張特性が得ら
れなくなるため、0.5〜4.0%に限定する。望ましいCr
の範囲は0.5〜2.95%である
【0012】Alは時効処理によって、(Ni,Co)3(Al,T
i,Nb)からなる組成の直径数10nm程度の微細なガンマプ
ライム相を析出し、高温引張強度を著しく向上させる。
ガンマプライム相中のAlの濃度が低下すると、700
〜800℃程度の高温で、ガンマプライム相が不安定と
なり、六方晶のη相や斜方晶のδ相が析出するようにな
り、常温と高温の強度の低下を招くようになる。したが
って、安定なガンマプライム相を析出させるために、A
lは最低0.25%以上の添加を必要とするが、1%を超え
る過度の添加はガンマプライム相を多量に析出させ、熱
間加工性を低下させるので、0.25〜1.0%に限定する。
【0013】前述したようにTiとNbは、まずCと結合
して炭化物を形成し、残りのTiとNbが下記に説明する
ようにAlとともにNi、Co等と結合し、ガンマプライ
ム相を形成して合金を強化する。Tiは時効処理によっ
て、Ni、Co、Al、Nbと共にガンマプライム相を析出
し、高温引張強度を著しく向上させる。そのために必要
なTi量は最低0.5%であるが、2.5%を越える過度の添加
はガンマプライム相を不安定にするとともに、熱膨張係
数の増加や熱間加工性の低下を招くので、Tiは0.5〜2.
5%に限定する。
【0014】NbはTiと同様に、時効処理によってN
i、Co、Alとともにガンマプライム相を析出し、熱間
強度を著しく向上させる。さらに一部のNbは直径数μm
程度のLaves相を粒界および粒内に析出させ、結晶粒の
微細化を可能にすると共に、粒界の強度を高める作用を
持ち、高温引張強度と500℃前後の切欠クリープ破断強
度を著しく向上させる作用を持つ。そのためにNbは3.0
%以上を必要とするが、6.0%を越える過度の添加は、熱
膨張係数を高めると共に熱間加工性を低下させるので、
Nbは3.0〜6.0%に限定する。また、TaはNbと同族の元
素でNbの2倍の原子量を持つのでNbの一部を3.0≦Nb
+1/2Ta≦6.0の範囲で置換が可能である。
【0015】Bは結晶粒界に偏析して粒界強度を高め、
熱間加工性と500℃前後の切欠クリープ破断強度の向上
に寄与するので極く微量でも有効である。しかし、0.02
%を越える過剰のB添加はボロン化合物を形成するた
め、逆に合金の初期溶融温度を低下させ、熱間加工性を
害するので0.02%以下に限定する。望ましいBの範囲は
0.01%以下である。
【0016】NiはCo,Feとともにマトリックスを構成
し、FeとCoおよびNiの比は合金の熱膨張係数と金属
間化合物の析出形態に著しく影響を及ぼす。本発明合金
は、従来合金の中でも最も高いレベルの高温強度を付与
するために、TiやNbさらにはAlなどの析出強化元素
を多く含んでいるが、従来合金にないFe、Co、Niの
割合を見出して高い高温引張強度と低熱膨張係数の両立
が可能となった。さらに、本発明合金のFeとCoとNi
の量とその割合においては、微細球状のLaves相の析出
量が従来合金に比べてはるかに多く、粒界強化に役立
ち、500℃前後の切欠クリープ破断強度を高める効果を
持つ。そのために必要なNi量は24%以上である。Ni量
が24%を下回るとオーステナイト相が不安定になるとと
もに、ガンマプライム相の析出が不十分となって時効応
答性が鈍くなって高温強度を低下させる。逆に30%以上
のNiは熱膨張係数を増加させ、Laves相の析出量を減少
させるので、結晶粒の微細化や粒界強化が困難となり、
本発明の目的達成はできなくなる。したがって、Niは2
4%以上30%未満であることが重要である。望ましいNiの
範囲は27%以上30%未満であり、さらに望ましくは27〜2
9.8%である。
【0017】CoもNiと同様Feとともにマトリックス
を構成し、熱膨張係数の低下とLa-ves相の析出に
役立つ。そのためにCoは20%以上の添加を必要とする。
逆に28%を越えるCoの添加は熱膨張係数の増加と、過度
のLaves相析出にともなう高温強度の低下をまねくの
で、Coは20〜28%の範囲とする。望ましいCoの範囲は2
0〜25%である。
【0018】
【実施例】
(実施例1)表1に本発明合金、比較合金および従来合
金の化学組成を示す。本発明合金および従来合金は、真
空誘導溶解炉にて溶解し、10kgのインゴットとした後、
1150℃×20hr保持の均質化処理を施し、その後加熱温度
1100℃で鍛伸して、30mm角の試料とした。その後、従来
合金No.21を除く他の合金はすべて982℃×1hr保持後空
冷する固溶化処理を、No.21は930℃×1hr保持後空冷す
る固溶化処理を実施した。
【0019】
【表1】
【0020】従来合金No.21はインコロイ903、No.
22はインコロイ909であり、インコロイ903(No.2
1)のみは合金の再結晶温度が低く、結晶粒が成長しやす
いので、固溶化処理温度は他の合金より低い930℃で実
施した。時効処理条件は、セラミックスや超硬合金との
ろう付けによる実用上の接合処理条件を模擬して、850
℃で30分保持後、100℃/hの冷却速度で650℃まで炉冷
後、空冷とした。この熱処理は従来のインコロイ903
やインコロイ909の標準時効処理に比べて、高温短時
間の熱処理である。表1に示す合金のうち、本発明合金
No.4、従来合金No.21およびNo.22の熱処理後の光学
顕微鏡ミクロ組織写真を、図1に示す。図1より、本発
明合金No.4は微細な結晶粒をもち、粒界および粒内に
微細なLaves相が均一に分布していることがわかる。一
方、従来合金No.21(インコロイ903)は、固溶化処
理温度を低めたにもかかわらず、結晶粒は粗大化し、粒
界や粒内には本発明合金のようなLaves相の析出は見ら
れない。また、従来合金No.22(インコロイ909)は
高温の時効処理によって、少量のLaves相の他に粒内に
針状のδ相の析出が見られ、このような析出相の生成の
ために、常温と高温での十分な引張強度を得ることがで
きない。
【0021】(実施例2)表2に本発明合金、比較合金
および従来合金の常温引張特性、500℃引張特性、500℃
平滑−切欠複合クリープ破断特性および30℃から400℃
までの平均熱膨張係数を示す。引張試験は常温、500℃
ともASTM法に規定された試験方法に基づき、平行部
直径 6.35mm標点間距離 25.4mmのA370の縮小引張試験片
で実施した。また、平滑−切欠複合クリープ破断試験も
ASTM法に規定された試験方法に基づき、平滑部、切
欠部とも直径 4.52mm、平滑部の標点間距離 18.08mmのA
453の9号試験片を用いた。試験温度は500℃で初期応力
はNo.21と22のみ50kgf/mm2とし、他はいずれも80kgf/m
m2の初期応力で試験を行なった。破断時間が200hrを超
過したものについては、8〜16時間毎に5kgf/mm2の応力
増加を行ない、強制的に破断させた。
【0022】
【表2】
【0023】表2には、初期応力と最終破断時の応力
(破断応力の欄)、破断に至るまでの試験時間の総計
(破断寿命の欄)および平滑部で破断した場合には伸び
の値、切欠部で破断した場合には、「N」の記号を伸び
の欄に記載した。熱膨張係数の測は直径5mm、長さ19.5m
mの試験片を用いて30℃から400℃までの平均熱膨張係数
を求めた。
【0024】表1および表2より本発明合金No.1〜9お
よびNo.31〜35は、いずれも優れた常温および500℃の
引張強さを有し、500℃の平滑−切欠複合クリープ破断
試験において、いずれも平滑部での破断で、切欠強度が
平滑部の強度を上回っており、かつその破断応力も高い
ことがわかる。さらに、常温から400℃までの平均熱膨
張係数において、本発明合金はいずれも8.5×10マイナ
ス6乗/℃以下の値を示し、従来合金No.21やNo.22にく
らべ、遜色のない低い熱膨張係数を併せ持つことがわか
る。それに対し、比較合金No.10は、本発明合金No.9
と比較してNiの含有量が30%以上とわずかに高い以外は
ほとんど類似した組成にもかかわらず、Laves相の析出
が不十分のため切欠部で破断が生じたものと考えられ
る。
【0025】比較合金No.11は、本発明合金に比べ、高
Ni、低Coのマトリックス組成で、特開昭53−62
25号に含まれる合金であるが、この組成では常温と高
温での引張強度は高い値が得られるが、Ni/Co比が
高すぎるためにLaves相が析出せず、結晶粒が粗大化し
て切欠部破断となり、また、熱膨張係数も本発明合金に
劣る。比較合金No.12は、本発明合金に対してCrを含
まない組成であるために、高温短時間の時効では、十分
にガンマプライム相が析出せず、強度が本発明合金に比
べて劣る。さらに、粒界酸化抵抗も低くなるために、切
欠部で破断を生じる。また、比較合金No.13は、本発明
合金よりもCrが高く、良好な常温・高温の引張強度が
得られるが、熱膨張係数が高くなりすぎる。
【0026】また、従来合金No.21(インコロイ903)
は、常温および500℃の引張強さこそ本発明合金と同等
の強度が得られるものの、500℃の切欠強度が極端に低
い。No.21(インコロイ903)の切欠感受性が異常に高
い理由は、Nbがやや低いことと、FeとCoおよびNiの
割合がLaves相の析出を生じさせるには十分な組織とな
らず、その結果として粒界強度が十分保たれていないこ
とが原因であると考えられる。従来合金No.22(インコ
ロイ909)は、No.21(インコロイ903)のAlを低下
させ、Nbを増加させた合金であり、No.21と同じFeと
CoとNiの割合であってもLaves相の析出が生じるよう
になり、切欠破断強度は確かに向上している。しかし、
Alを含まないために高温の時効をおこなうと安定なガ
ンマプライム相を析出することができず、本発明合金に
比べると明らかに強度は低下している。
【0027】
【発明の効果】本発明の合金をガスタービン部品、セラ
ミックス接合部品および超硬合金接合部品等の用途に使
用すれば、従来合金では得られなかった高い高温強度と
低熱膨張特性を同時に満足することができ、常温から高
温まで高強度かつ各種の部材や部品間に設けられたクリ
アランスを常温から高温まで一定量に維持することが必
要な構造用材料への適応が可能となる。また、セラミッ
クスや超硬合金のような低熱膨張材料と構造用の材料と
の接合に際し高強度で信頼性の高い接合が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合金No.4、従来合金No.21、および従
来合金No.22の熱処理後の光学顕微鏡ミクロ金属組織写
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井手 敏行 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、C 0.2%以下、Si 1.0%以
    下、Mn 1.0%以下、Cr 0.5〜4.0%、Al 0.25〜1.0
    %、Ti 0.5〜2.5%、NbおよびTaの1種または2種をN
    b+1/2Taで3.0〜6.0%、B 0.02%以下、Ni 24%以上30
    %未満およびCo 20〜28%を含有し、残部は不純物を除
    き、実質的にFeからなることを特徴とする低熱膨張超
    耐熱合金。
  2. 【請求項2】 重量%にて、C 0.1%以下、Si 1.0%以
    下、Mn 1.0%以下、Cr 0.5〜4.0%、Al 0.25〜1.0
    %、Ti 0.5〜2.5%、NbおよびTaの1種または2種をN
    b+1/2Taで3.0〜6.0%、B 0.01%以下、Ni 27%以上30
    %未満およびCo 20〜25%を含有し、残部は不純物を除
    き、実質的にFeからなることを特徴とする低熱膨張超
    耐熱合金。
  3. 【請求項3】 重量%にて、C 0.1%以下、Si 1.0%以
    下、Mn 1.0%以下、Cr 0.5〜2.95%、Al 0.25〜1.0
    %、Ti 0.5〜2.5%、NbおよびTaの1種または2種をN
    b+1/2Taで3.0〜6.0%、B 0.01%以下、Ni 27〜29.8%
    およびCo 20〜25%を含有し、残部は不純物を除き、実
    質的にFeからなることを特徴とする低熱膨張超耐熱合
    金。
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