JPH05208195A - バイオリアクター用成形体 - Google Patents

バイオリアクター用成形体

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JPH05208195A
JPH05208195A JP4040411A JP4041192A JPH05208195A JP H05208195 A JPH05208195 A JP H05208195A JP 4040411 A JP4040411 A JP 4040411A JP 4041192 A JP4041192 A JP 4041192A JP H05208195 A JPH05208195 A JP H05208195A
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JP
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gel
fiber
fibrous
fibrous gel
biocatalyst
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Tamemaru Ezaki
為丸 江嵜
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Kuraray Co Ltd
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    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体触媒を包括固定した繊維状ゲルあるいは
繊維を、リアクター内で用いて工業的に実施しうるよう
にするために、該繊維状ゲルあるいは繊維に酸素を均一
かつ十分に供給することができる有効な手段としての、
該繊維状ゲルあるいは繊維からなる成形体を提供する。 【構成】 リアクター中で生体反応を行わせるための生
体触媒を包括固定した繊維状ゲルあるいは繊維を、微細
な連続気孔を有するベース上へ林立状態で植え込んだ形
態で保持あるいは固定したバイオリアクター用成形体
で、その内の代表的な構成としては、繊維状ゲルあるい
は繊維を、微細な連続気孔を有する短冊状シート上に並
列的に配置し、その少なくとも一端部が載った状態で固
定し、その状態の短冊状体を巻き上げてなる成形体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排水処理や発酵生産に
おいて微生物や酵素などの生体触媒を包括固定した繊維
状ゲルあるいは繊維を用いる場合の、その繊維状ゲルあ
るいは繊維の保持固定化構造に関し、特に、この種繊維
状ゲルあるいは繊維の極めて多数本をリアクター内で用
い実用化を図る場合、この極めて多数本からなる繊維状
ゲルあるいは繊維の各々に、酸素(空気)を均一かつ充
分に供給することを可能とするバイオリアクター用成形
物の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の生体触媒固定化材として粒状ゲ
ルはすでに知られており、またそのゲル素材としてポリ
ビニルアルコール(以下PVAと略記する)を利用する
ことも知られている。またさらに、そのPVAゲルを繊
維状に成形することも、例えば特開平2−112407
号公報、特開平2−211875号公報などで知られて
いる。しかしこれらゲルは、それが単に粒状ゲルである
場合には、その表面積が小さく生体触媒の固定化量が上
げられず、したがって要求される活性度が高くて能率が
高い処理は望めない。これを解消するために、粒状ゲル
の粒径を小さくし、その充填密度を高くすることも考え
られるが、そうすると処理液の偏流が生じたり、あるい
は粒状ゲルの系外への流失などのトラブルが生ずる。ま
たその充填ゲル全体への酸素の供給が充分に行えず、固
定化した生体触媒の能率が上がらず、場合によっては固
定化した生体触媒が死滅する結果となり、この場合もさ
ほど能率を高めることができない。
【0003】これを解決する一手段として、上記公知技
術のようにゲルを繊維状にできればこれを用い、生体触
媒固定面積をより増大させることも考えらえる。しかし
この繊維状ゲルをリアクターで用い、実際上工業化に適
用できるようにするためには、この繊維状ゲルの極めて
多数本を用いなければならず、その極めて多数本の繊維
状ゲルを、リアクター内でいかに設置しかつその極めて
多数本の繊維状ゲルにいかに均一にしかも充分に酸素を
供給できるかが大きな問題である。何とならば、その繊
維状ゲル各々に包括固定した生体触媒の活性を充分に発
揮させるためには、その生体触媒に充分な酸素の供給が
必要だからである。
【0004】前記特開平2−112407号公報には、
繊維状ゲルを使う場合の形態について、織物、編物、布
帛状等で用いられることが記載されている。しかしこの
繊維状ゲルを単に織物や編物に仕立てて用いただけで
は、この布状体を多数枚リアクター内に固定設置するこ
とは難しく、固定設置するとしても酸素の均一な供給が
難しく、また酸素供給のためのエネルギー負荷も大き
い。また非固定で入れればこの布状体が偏在状態とな
り、酸素の均一な供給ができず、やはり要求される高い
処理能率を得ることは難しい。
【0005】また特開平2−211875号公報には、
繊維状ゲルをその一端を束ねて2リッターの曝気槽の中
の散気管の周囲に取り付けて人工下水を浄化する実験が
開示されている。しかしここで開示されるように、繊維
状ゲルをその一端で束ねて用いる方法では、実験室的な
規模での実施は可能であっても工業的な実施では不可能
と言わざるを得ない。それは、活性化を高めるために生
体触媒を固定した繊維状ゲルあるいは繊維を極めて多数
本用いなければならず、その個々の繊維に充分な酸素を
供給することが難しく、活性能力を高めた状態でそれを
長時間持続させて処理することは、実際上不可能といっ
ても過言ではないからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、従来
公知の繊維状ゲルあるいは繊維を、リアクター内で用い
工業的に実施しうるようにするために、極めて多数本の
繊維状ゲルあるいは繊維各々に酸素(空気)の供給をい
かに効率よく充分に行うか、そのためには、多数の繊維
状ゲルあるいは繊維はリアクター内でどうあらねばなら
ないか、を追求したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、リアクタ
ー中で生体反応を行わせるための生体触媒を包括固定し
た繊維状ゲルあるいは繊維を、微細な連続気孔を有する
ベース上に林立状態で植え込んだ形態で保持あるいは固
定した成形体とすることにより、繊維状ゲルあるいは繊
維は高密度に保持あるいは固定でき、かつその回りへ充
分な酸素を供給することを可能としたものであり、これ
によりバイオリアクターでの効率の良い実施を可能とし
たものである。
【0008】以下、本発明につきより詳しく説明する。
まず本発明は、リアクター中で生体反応を行わせるため
の生体触媒を包括固定した繊維状ゲルあるいは繊維の取
扱いを対象とするものであり、その対象が生体触媒を包
括固定した繊維状ゲルであっても、また生体触媒を包括
固定した有機あるいは無機繊維であっても、その解決手
段とするところは同じであり、言葉の繁雑さを避けるた
めに、以下では対象繊維を繊維状ゲルの場合について説
明している。
【0009】ゲル基材の内部に包括固定化される生体触
媒としては、微生物、酵素、動植物細胞など特に限定さ
れるものでない。微生物は、細菌、放線菌、カビ、酵母
などのいずれでもよく、純粋培養で取得されたもので
も、混合培養で取得されたものでも、また活性汚泥菌で
あってもよい。微生物としては例えば、ムコール(Mu
ccor)属、フザリウム(Fusarium)属、ク
ラドツリックス(Cladothrix)属、スフェロ
チルス(Sphaerotilus)属、ヅーグレア
(Zoogloea)属、レプトミッス(Leptom
itus)属、アスペルギルス(Aspergillu
s)属、リゾプス(Rhizopus)属、シュードモ
ナス(Pseudomonas)属、アセトバクター
(Asetobacter)属、ストレプトマイセス
(Streptomyces)属、エシエリシア(Es
cherichia)属、サッカロマイセス(Sacc
haromyces)属、キャンディダ(Candid
a)属などの属に属する微生物が挙げられ、イオウ細
菌、メタン菌、酪酸菌、乳酸菌、枯草菌、変形菌、不全
菌、硝酸菌、亜硝酸菌なども例示される。また、排水処
理を目的とする場合には、タンパク質分解酵素、炭水化
物分解酵素、脂肪分解酵素を生産する菌を固定化するこ
とが望ましい。酵素としては、その起源にかかわらず、
動物由来のもの、微生物由来のものなどを任意に選ぶこ
とができる。酵素の代表例として、ラクテートデヒドロ
ゲナーゼ(1.1.2.3)、ラクテートオキシダーゼ
(1.1.3.2)、グルコースオキシダーゼ(1.
1.3.4)、ホルメートデヒドロゲナーゼ(1.2.
1.3)、アルデヒドオキシダーゼ(1.2.3.
1)、キサンチンオキシダーゼ(1.2.3.2)、ピ
ルビン酸オキシダーゼ(1.2.3.3)、ピルビン酸
リダクターゼ(1.2.4.1)、コルチゾン−α−リ
ダクターゼ(1.3.1.4)、アシルCoA−デヒド
ロゲナーゼ(13.99.3)、3−ケトステロイド△
1−デヒドロゲナーゼ(1.3.99.4)、3−ケト
ステロイド△4−デヒドロゲナーゼ(1.3.99.
5)、L−アラニンデヒドロゲナーゼ(1.4.1.
1)、L−グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(1.4.
1.3)、L−アミノ酸オキシダーゼ(1.4.3.
2)、D−アミノ酸オキシダーゼ(1.4.3.3)、
ピリドキサールリン酸オキシダーゼ(1.4.3.
5)、カタラーゼ(1.11.1.6)、カテコールメ
チルトランスフェラーゼ(2.1.1.6)、カルニチ
ンアセチルトランスフェラーゼ(2.3.1.7)、ア
セチルCoAアセチルトランスフェラーゼ(2.3.
1.9)、アスペルテ−トアミノトランスフェラーゼ
(2.6.1.1)、アラニンアミノトランスフェラー
ゼ(2.6.1.2)、ピリドキサミンピルベートトラ
ンスフェラーゼ(2.6.1)、ヘキソキナーゼ(2.
7.11)、グルコキナーゼ(2.7.1.2)、フル
クトキナーゼ(2.7.1.4)、ホスホグルコキナー
ゼ(2.7.1.10)、ホスホフルクトキナーゼ
(2.7.1.11)、ピルベートキナーゼ(2.7.
1.40)、カルボキシエステラーゼ(3.1.1.
1)、アリールエステラーゼ(3.1.1.2)、リパ
ーゼ(3.1.1.3)、ホスホリパーゼA(3.1.
1.4)、アセチルエステラーゼ(3.1.1.6)、
コレステロールエステラーゼ(3.1.1.13)、グ
ルコアミラーゼ(3.2.1.3)、セルラーゼ(3.
2.1.4)、イヌラーゼ(3.2.1.7)、α−グ
ルコシダーゼ(3.2.1.20)、β−グルコシダー
ゼ(3.2.1.21)、α−ガラクトシダーゼ(3.
2.1.22)、β−ガラクトシダーゼ(3.2.1.
23)、インベルターゼ(3.2.1.26)、ベプシ
ン(3.4.4.1)、トリプシン(3.4.4.
4)、キモトリプシンA(3.4.4.5)、カテプシ
ンA(3.4)、パパイン(3.4.4.10)、トロ
ンビン(3.4.4.13)、アミダーゼ(3.5.
1.4)、ウレアーゼ(3.5.1.5)、ペニシリン
アシダーゼ(3.5.1.11)、アミノアシラーゼ
(3.5.1.14)、アデニンデアミナーゼ(3.
5.4.2)、A.T.P.アーゼ(3.6.1.
3)、ピルベートデカルボキシラーゼ(4.1.1.
1)、オキザレートデカルボキシラーゼ(4.1.1.
2)、トリプトフアンデカルボキシラーゼ(4.1.
1.27)、アルドラーゼ(4.1.2.13)、マレ
ートシュターゼ(4.1.3.2)、トリプトフアンシ
ダーゼ(4.2.1.20)、アスペルターゼ(4.
3.1.1)、リジンラセマーゼ(5.1.1.5)、
グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(5.3.1.
9)、ステロイド△−イソメラーゼ(5.3.3.
1)、マクシニルCoAシンセターゼ(6.2.1.
5)〔(註)カッコ内の数字は酵素番号を表わす。〕な
どを挙げることができる。また、動植物細胞としては、
成長点細胞、カルス、胚芽などを例示することができ
る。
【0010】前記の如き生体触媒を包括固定した繊維状
ゲル、例えばPVA系繊維状ゲルは、例えば前記記載の
特許公開公報の製造方法によって得られるが、これらに
限定されるものではない。ただ前記後者の特開平2−2
11875号公報の製造方法は、種々の点でバイオリア
クターで用いるのに最適なゲル状繊維が得られる。即
ち、PVAと、陽イオンとの接触によりゲル化する能力
のある水溶性高分子多糖類と、それに生体触媒とを加え
てなる混合水溶液を、ノズルから、凝固液となる陽イオ
ン含有化合物を含有する水溶液中に吐出させることによ
って繊維状となし、この得られた繊維状物を−5℃以下
での凍結とそれに続く解凍からなる処理を少なくとも1
回施すことによって得られる。このPVAとしては、平
均重合度が1000以上、好ましくは1700以上、さ
らに好ましくは2500以上であり、またそのケン化度
は98.5モル%以上、好ましくは99.85モル%以
上の完全ケン化のものが用いられる。また目的を阻害し
ない範囲において公知の種々の変性PVAも用いること
ができる。
【0011】陽イオンとの接触によりゲル化する能力の
ある水溶性高分子多糖類としては、アルギン酸のアルカ
リ金属塩、カラギーナン、マンナン、キトサン等が挙げ
られるが、その内特に、アルギン酸ナトリウムやk−カ
ラギーナンが好ましい。PVAと水溶性高分子多糖類と
の混合割合は、35:65ないし95:5の範囲が好ま
しい。上記をゲル化させ得る陽イオンを含有する化合物
としては、塩化カルシウム(CaCl2)が好ましい。
したがって凝固液としてはその水溶液となるが、その濃
度は0.05〜1.0モル/l、より好ましくは0.1
〜0.5モル/lである。またk−カラギーナンを使用
する場合には、硫酸カリウム又は硫酸アルミニウム0.
05〜1.0モル/lをそれぞれ硫酸ナトリウム0.1
〜2モル/lと共に使用するのが好適である。
【0012】PVA混合水溶液におけるPVA濃度は、
PVAゲル形成能の範囲から3〜40重量%まで可能で
ある。PVA濃度が高い程、より強固なゲルが生成する
が、必要なゲル強度が得られるのであれば、PVA濃度
が低い方がゲル基材の生体触媒に体する親和性が高く、
含水率が高く、基質並びに酸素の透過性も良好となる傾
向があるので、目的によりその濃度の選択が必要であ
る。
【0013】PVA混合水溶液に添加する前記水溶性高
分子多糖類の濃度は、水に対して0.2〜4重量%、さ
らに好ましくは0.5〜2重量%がよい。0.2重量%
未満ではゲルの耐久性並びに強度が不充分である。また
逆に4重量%より大となると、固いゲルとはなるが、基
質並びに酸素の透過性が阻害されることとなるので、生
体触媒の活性が不充分となり、またゲルの繊維強度も低
く、脆くなるので、好ましくない。
【0014】ノズルは孔径0.1〜5mmのものが用い
られる。0.1〜2mmのものがより好ましい。
【0015】これで得られる繊維状ゲルの直径は、通常
0.05〜7mmである。この繊維状ゲルは、凝固浴水
溶液と分離してそのまま又は水洗した後−5℃以下に凍
結させる。より強力なPVAゲルを得るには−20℃以
下での凍結が必要である。凍結保持時間は2時間以上、
好ましくは10時間以上がよい。凍結処理したゲル化物
は、次に生体触媒に悪影響を及ぼさない温度範囲に放置
して解凍することによって繊維状のPVAが得られる。
このゲルが必要な強度に達しない場合には、好ましくは
2回以上の冷凍−解凍処理を繰り返せばよい。
【0016】上記はゲル状繊維自体での強度向上処理で
あるが、繊維構造を、強度のある通常の繊維を補強材と
して芯部に有し、ゲルがその芯部を覆う鞘とした芯鞘構
造とすることによって、繊維強度を飛躍的に向上させ、
繊維切断の恐れのないものとすることができる。その芯
鞘構造ゲル状繊維のつくり方の一例としては、前記ゲル
となるべきPVA混合原液を、通常の強度の優れた繊維
とともにノズルから前記凝固浴中に吐出させることによ
って得られる。この芯材として使用される繊維として
は、反応槽での使用に耐える強度をもつものであれば、
特に制約はない。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの天然
繊維、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合
成繊維、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリ
塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル
系、ポリアクリロニトリル系、ポリエチレン系、ポリプ
ロピレン系、ポリウレタン系、ポリアルキレンパラオキ
シベンゾエート系、フェノール系、ポリフルオロエチレ
ン系などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機
繊維が挙げられるが、バイオリアクター内での耐久性を
考えると、生体触媒による分解を受けない合成繊維が好
ましい。またこの芯剤として使用される繊維の形態とし
ては、鞘部となるゲルの固着性がよい形態であること、
すなわち、毛羽のあるスパン糸やタスランなどの加工を
した繊維が好ましい。
【0017】本発明は、このようにして得られた生体触
媒を固定したPVA系繊維状ゲルを、高密度でありなが
ら、固定した生体触媒の生存に不可欠な酸素を極めて微
小な泡状で各繊維状ゲルの近傍をむらなく通過させるよ
うに構成することが基本的な考えである。そのために、
図1の成形体1として示すように、極めて多数本の繊維
状ゲル2が、結果として、微小な連続気孔3を有するベ
ース4上に互いに適度の間隔をおいて高密度に植え込ま
れた構造となし、その下方から送り込む酸素(空気)
を、ベースの連続気孔を通り、植え込まれた繊維状ゲル
の回りで、その下方から上方へ供給できるように構成し
たものである。
【0018】図2は、このような成形体を得る説明図
で、不織布、織布、あるいは連続気孔を有するポリマー
スポンジ状シート5等を短冊状とし、その上に、繊維状
ゲル2を適度の間隔をおいて並列的に張り付け、その後
この短冊状シート5を、その一方から包帯を巻き上げる
ように巻き上げ、図1の如き成形体1とするものであ
る。 このつくり方で理解されるように、繊維状ゲルの
間隔は、該繊維状ゲルをシート上に張り付ける際の、そ
の繊維状ゲル間の間隔と短冊状シートの厚みによって定
まる。従って、そのシート中を曝気空気が良好に上昇で
きる限りにおいて、前記間隔を密に設定することがで
き、高密度な植え込み構造を可能とするものである。な
お上記において、繊維状ゲルの短冊状シートへの張り付
けは、そのシートの巻き上げ成形時に繊維状ゲルの位置
がずれないようにできればよく、またシートでの曝気空
気の通気構造を潰さない点からも、軽い点接着程度の、
いわば仮止め固定で充分である。
【0019】短冊状シートは、要は、繊維状ゲルの端末
を保持固定できること、保持固定した繊維状ゲルの近傍
にむらなく曝気空気が供給できること、しかも出来るだ
けその曝気空気の供給が圧力損失なくできること、を要
する。その点から短冊状シートは、その短辺の長さを適
宜調整すればよいが、用いる素材としては、不織布やポ
リマースポンジが好ましく、また他に織布も用いること
ができる。
【0020】これまで述べてきた本発明でのバイオリア
クター用成形体の製造法は、微細な連続気孔を有する短
冊状シート上で、繊維状ゲルを個々に分離した状態にし
ておき、そのシートを包帯巻きにすることによって、繊
維状ゲルを、うず巻き線上に互いに分離しつつ高密度に
配し得たものである。しかし、このような短冊状シート
を巻き上げる方法ではなく、ポリマ−物質の発泡成形を
利用することによっても同様の成形体を得ることができ
る。即ち、PVA系ポリマーやポリウレタン系ポリマー
は、それを発泡体とし、所謂発泡スポンジとして利用す
ることはよく知られているが、繊維状ゲルを、それぞれ
予め互いに分離した位置関係が保てるように糸道を設け
た容器中に導いて、そのゲルを弛まないようにセットし
ておき、ここへ前記発泡ポリマーを導入し、常法によっ
て発泡させ、かつ繊維状ゲルをその発泡体中へ固定する
ものである。この方法によっては、繊維状ゲルの繊維束
の長さ方向のある個所で、その繊維状ゲルが発泡ポリマ
ー中で互に分離しつつ高密度に埋まった形態のものをつ
くることができ、そのポリマー部分で2つに切断するこ
とによって、繊維状ゲルが発泡ポリマーから一方向への
み伸びた、即ち林立した、本発明の成形体を同時に2個
ずつ得ることができる。なお、この場合の発泡ポリマー
は連続気孔を有するものであることが必要であること無
論である。
【0021】本発明の成形体1のリアクター6への設置
は、代表的には、図3で示されるようにリアクター下部
へ設置し、その下方から曝気空気を送り込む方法が採用
される。
【0022】本発明の成形体は、その構造から、繊維状
ゲルの繊維束部分並びに繊維状ゲルの末端固定部分を、
返液穴を有する円筒状体で包んだカートリッジ化した構
成とすることができる。このカートリッジ化成形体7は
取扱い性がよいので、その使用目的によっては、このよ
うな構成とすることが推奨される。図4は、本発明の成
形体を、そのようなカートリッジ化して用いる場合の例
を示す説明図である。
【0023】本発明は上記のように構成したので、次の
ような効果を有する。即ち、 (1)生体触媒を固定した繊維状ゲルあるいは繊維を用
い、しかもそれを高密度化し、さらに高密度でありなが
ら生体触媒に不可欠な酸素を極めて微小な泡状として供
給できるようにしたので、バイオリアクターとして高速
処理が可能となる。 (2)また酸素供給性と活性化が高いので、反応が極め
て効率よく、汚水処理に用いた場合には、汚泥発生量の
低下となる。 (3)カートリッジ化が可能で、その取扱い性がよい。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。 実施例1: (株)クラレ製PVA(平均重合度400
0、ケン化度 99.85モル%)を40℃の温水で約
1時間洗浄後、PVA濃度が10重量%になるようにP
VAに水を加え全量を400gにし、pH6に調整し
た。これをオートクレーブで、120℃、30分間処理
し、PVAを溶解した後、室温まで放冷した。このPV
A水溶液に4重量%アルギン酸ナトリウム水溶液200
gを加えて混合し、さらに(株)クラレ岡山工場(岡山
県岡山市海岸通り1丁目2番1号)の排水処理槽により
採取し、濃縮操作を施して得られた活性汚泥(MLSS
80000 mg/リットル)を200g加え、充分
に撹拌した。この混合液を、内径1.2mmの注射針状
の吐出口より、(株)クラレ製のポリエステル紡績糸
(20番手)とともに吐出させた。吐出口は0.2モル
/lの塩化カルシウム(CaCl2)水溶液に浸漬さ
せ、吐出物を毎分5mの速度で引きとった。吐出物のC
aCl2水溶液への滞留時間は1分間とした。吐出物は
CaCl2水溶液との接触により直ちに糸の表面を覆っ
て凝固した。これを蒸留水で軽く洗浄した後、−20℃
の冷凍庫で24時間凍結させ、その後、室温で解凍し
た。さらにこの凍結、解凍操作を2回繰り返した。これ
により、不透明な褐色の柔軟性に富んだ芯鞘繊維状ゲル
が得られた。この繊維は、平均直径が1.2mm、引張
強力が101kg/cm2、含水率が94%であった。
この繊維を(株)クラレ岡山工場の活性汚泥曝気槽に1
0日間浸漬させた。芯鞘繊維状ゲルの色が淡褐色から濃
褐色に変化したことから、活性汚泥の増殖が認められ
た。また、培養前後で芯鞘繊維状ゲルの形状は変化しな
かったことから、芯鞘繊維状ゲルの耐久性も優れている
ことが判明した。
【0025】また一方、上記繊維状ゲルを固定する微細
な連通気孔を有するシート体としては、単繊維繊度2デ
ニールのポリエステル製繊維からなる目付50g/
2、厚み0.5mmの不織布を用い、短辺の長さ30
mmの短冊状とした。
【0026】この短冊状不織布の上に図2で示す如く上
記の繊維状ゲルの末端部を、その間隔がほぼ2mmとな
るように並列させ、長さが約150cmになるように切
断し、接着剤にて不織布上に固定した。次にこの短冊状
不織布を、その一端側から包帯を巻き上げるようにして
巻き上げ、図1で示される直径5cmの成形体をつくっ
た。
【0027】上記成形体を、内径60mm、高さ200
0mmの透明塩化ビニル製円筒形状のリアクター中へ図
3の如く設置し、以下の人工下水を導入し、リアクター
下方から曝気用空気を吹き入れながら処理状況を観察し
た。 《人工下水》(使用水は、以下の組成で、BOD240
00mg/lのものを80倍に希釈したもの) ペプトン:20g/l 肉エキス:16g/l 尿素:4g/l NaCl:1.2g/l KCl:0.56g/l MgSO4:0.4g/l Na2HPO4:4g/l CaCl2:0.56g/l
【0028】その結果を次の表1に示す。本発明の成形
体は、リアクター内に高密度に繊維状ゲルを充填してい
るにもかかわらず、その個々のゲルの近傍を曝気エアが
むらなく通過するので、活性泥汚菌の活性度を高め、そ
れを長期にわたって維持できる。又曝気エネルギーも少
なくてよい。
【0029】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明成形体の一例を示す模式図である。
【図2】本発明成形体の製造方法の一例を説明する説明
図である。
【図3】本発明成形体を設置したバイオリアクターの一
例概念図である。
【図4】本発明のカートリッジ化成形体を設置したバイ
オリアクターの一例概念図である。
【符号の説明】
1 バイオリアクター用成形体 2 繊維状ゲル 3 微小連続気孔 4 ベース 5 短冊状シート 6 リアクター 7 カートリッジ化成形体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体触媒を包括固定した繊維状ゲルある
    いは繊維を、微細な連続気孔を有するベース上へ林立状
    態で植え込んだ形態で保持あるいは固定したバイオリア
    クター用成形体。
  2. 【請求項2】 繊維状ゲルあるいは繊維を、微細な連続
    気孔を有する短冊状シート上に並列的に配置し、その少
    なくとも一端部が載った状態で固定し、その状態の短冊
    状体を巻き上げてなる構造であることを特徴とする請求
    項1記載のバイオリアクター用成形体。
JP4040411A 1992-01-29 1992-01-29 バイオリアクター用成形体 Pending JPH05208195A (ja)

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