JPH05205839A - 絶縁被覆導体のろう付け方法 - Google Patents

絶縁被覆導体のろう付け方法

Info

Publication number
JPH05205839A
JPH05205839A JP4012441A JP1244192A JPH05205839A JP H05205839 A JPH05205839 A JP H05205839A JP 4012441 A JP4012441 A JP 4012441A JP 1244192 A JP1244192 A JP 1244192A JP H05205839 A JPH05205839 A JP H05205839A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductor
coil
conductors
wire
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4012441A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2740385B2 (ja
Inventor
Nobuyuki Asahi
信行 朝日
Masao Kubo
雅男 久保
Yoshimitsu Nakamura
良光 中村
Toru Kuwata
亨 桑田
Masami Hori
正美 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP4012441A priority Critical patent/JP2740385B2/ja
Publication of JPH05205839A publication Critical patent/JPH05205839A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2740385B2 publication Critical patent/JP2740385B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacturing Of Electrical Connectors (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Connections Effected By Soldering, Adhesion, Or Permanent Deformation (AREA)
  • Removal Of Insulation Or Armoring From Wires Or Cables (AREA)
  • Processing Of Terminals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁被覆導体を別の導体に、ろう付けによっ
て、電気的および機械的に接合する作業を、容易かつ確
実に行えるようにし、特に、作業能率が高いと同時に、
導体の断線などを起こすことがなく、接合信頼性の高い
方法を提供する。 【構成】 絶縁被覆導体20を別の導体30にろう付け
する方法であって、ろう付けする両導体20、30を対
面させる導体供給段階と、前記両導体20、30を対面
させた状態で前記絶縁被覆導体20に剥離用光40を照
射する被覆剥離段階と、前記両導体20、30を対面さ
せた状態で前記両導体20、30をろう付けすろう付
段階とを含み、絶縁被覆導体20を動かさずともに、
絶縁被覆導体20の導体22の周囲を覆う絶縁被覆24
を良好に剥離除去でき、導体22の露出部分をそのまま
別の導体30とろう付けすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、絶縁被覆導体の接合
方法に関し、詳しくは、絶縁被覆線などの絶縁被覆導体
同士、もしくは金属基材などの別の導体と電気的および
機械的に接合する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、絶縁被覆線と金属基材を接合する
には、絶縁被覆線の絶縁被膜として、ろう材溶融温度で
十分に溶融するポリウレタン樹脂等の絶縁性薄膜材料が
用いられている。しかしながら、近年、ハイブリット
化、高密度実装化などが進むことに伴い、絶縁被覆線に
も、より高温においても十分な信頼性が要求させるよう
になってきた。具体的には、このような高温中での使用
を考えると、従来のポリウレタン樹脂などでは、もはや
限界であり、より高温に耐えるポリイミド樹脂などの高
耐熱性薄膜材料が用いられるようになってきた。
【0003】このような高耐熱性の絶縁被覆を用いた場
合、ろう材溶融温度では十分に溶融しないため、絶縁被
覆を剥離してから導体同士の接合を行う必要がある。す
なわち、絶縁被覆層を剥離する工程と、剥離部分の露出
した導体を金属基材接合部に配置する工程と、導体同士
を接合する工程の3段階の工程を行うことになる。絶縁
被覆線が極細線などの場合、機械的な方法で絶縁剥離層
を剥離したのでは、断線を起こす心配がある。そのた
め、紫外線光やレーザ光を用いて、絶縁被覆層だけを除
去する方法が提案されている。図16は、絶縁被覆線と
してコイル素線を用いた場合について説明している。コ
イルボビンbに絶縁被覆されたコイル素線cを巻き付け
る場合、コイル素線cの送給経路中に絶縁被覆の剥離工
程部を設け、ここでコイル素線の絶縁被覆に紫外線光r
などを照射して、絶縁被覆を除去し、コイルボビンbに
巻き付けたコイル素線cの所定個所に、絶縁被覆の剥離
部分がくるようにする。この絶縁被覆の剥離部分で、コ
イル素線cの導体を、コイルボビンbの一部に設けられ
た金属導体からなるコイル端子tに、ろう付けなどで接
合することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な従来における絶縁被覆導体の接合方法では、絶縁被覆
を剥離した導体の露出部分を、接合する金属基材の所定
位置に正確に位置合わせを行ってから、接合を行う必要
があるため、作業が面倒であるとともに、作業中に絶縁
剥離部分の導体が断線する問題もあった。
【0005】具体的には、絶縁被覆の剥離範囲が狭い
と、導体の露出部分も狭くなるため、この導体の露出部
分を、金属基材の所定位置に正確に位置合わせしない
と、接合面積が十分にとれずに、電気的および機械的な
接合が不十分になってしまう。また、導体の微小な露出
部分を、金属基材の所定位置に正確に配置するのは、技
術的に難しく、手間もかかるため、生産性を阻害するこ
とになる。絶縁被覆の剥離範囲を広くすると、位置合わ
せは容易になるが、線状の導体すなわち導線の強度は非
常に弱いため、露出部分が多くなると、取り扱い作業中
に、外力が加わったり、異物が接触したりして、前記露
出部分で導線が断線する問題が生じる。
【0006】そこで、この発明の課題は、上記したよう
な従来方法の問題点を解消し、作業が容易かつ確実に行
えるとともに、導体の断線などを起こすことのない絶縁
被覆導体の接合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる絶縁被覆導体の接合方法のうち、請求項
1の方法は、絶縁被覆導体を別の導体に接合する方法で
あって、接合する両導体を対面させる導体供給段階と、
前記両導体を対面させた状態で前記絶縁被覆導体に剥離
用光を照射する被覆剥離段階と、前記両導体を対面させ
た状態で前記両導体を接合させる接合段階とを含む。
【0008】絶縁被覆導体は、銅やアルミその他の導体
材料からなり、線状その他の比較的小さな導体部分が、
ポリイミド樹脂などの高耐熱性材料その他の絶縁材料で
被覆されたものである。別の導体とは、絶縁被覆導体を
電気的および機械的に接合する相手側の導体部分であ
り、同じような絶縁被覆導体からなる場合と、絶縁被覆
導体とは異なる構造で、金属板などの導体材料で形成さ
れている場合がある。この別の導体のうち、絶縁被覆導
体と対面する表面の反射性を高くしておくと、後述する
反射光による絶縁被覆の剥離除去が良好に行える。その
ためには、導体材料として反射性の高い材料を用いた
り、表面を鏡面仕上げしておいたりすればよい。
【0009】剥離用光とは、紫外線などの高いエネルギ
ーを有する光であって、絶縁被覆の材料を、変性、分解
あるいは溶融させて、絶縁被覆を剥離する作用のある光
が用いられる。剥離用光として、レーザ光を用いれば、
より高いエネルギーの光を必要な範囲のみに集中的に照
射できる。具体的には、エキシマレーザ、YAGレー
ザ、あるいはCO2 レーザなどの使用が好ましい。
【0010】導体供給段階では、絶縁被覆導体と別の導
体を、互いに接合するときの状態、あるいは、それに近
い状態で対面させる。絶縁被覆導体と別の導体が、接触
していてもよいが、一定の間隔をあけて対面させておく
ほうが、絶縁被覆導体の対面部分の絶縁被覆を除去し易
い。被覆剥離段階では、絶縁被覆導体のうち、別の導体
との接合に必要な範囲のみに、剥離用光を照射して絶縁
被覆を剥離除去すればよいが、接合範囲よりも少し広い
程度の範囲で、絶縁被覆を剥離除去しておいてもよい。
また、剥離範囲すなわち接合範囲が広いほど、電気的お
よび機械的な接合は良好になる。
【0011】接合段階では、絶縁被覆導体の導体露出部
分と、別の導体とを、ろう付けなどの導体接合手段を用
いて、電気的および機械的に接合する。ろう材の種類や
処理方法は、通常の導体接合と同様でよい。例えば、ろ
う付け時の加熱方法は、熱ヒータ、温風、レーザ光など
が適用できる。請求項2の方法は、請求項1の方法にお
いて、絶縁被覆導体を接合する別の導体として、表面に
反射部材が形成されたものを用いる。
【0012】反射部材は、剥離用光を反射して、反射光
が絶縁被覆導体に照射されるような位置および形状で配
置される。反射部材としては、剥離用光を良好に反射で
きる材料であれば、金属その他の任意の材料からなるも
のを用いることができる。請求項3の方法は、請求項1
または2の方法において、絶縁被覆導体を接合する別の
導体として、断面略U字形をなすものを用い、前記導体
供給段階において、断面略U字形の導体で絶縁被覆導体
を包囲させることにより、両導体を対面させる。言い換
えると、断面略U字形をなす導体の中央に、絶縁被覆導
体が挿入配置された状態であり、絶縁被覆導体の3方が
別の導体で囲まれる。
【0013】請求項4の方法は、請求項2または3の方
法において、反射部材として、ろう材からなるものを用
い、接合段階において、ろう材からなる反射部材で両導
体を接合させる。ろう材としては、剥離用光が良好に反
射するような表面性状と、両導体を接合させる接合機能
を有していれば、従来のろう付け接合に用いられていた
ような、通常のろう材が使用できる。
【0014】請求項5の方法は、請求項4の方法におい
て、被覆剥離段階で、剥離用光を、反射部材による反射
および直接照射で、絶縁被覆導体に照射するとともに、
前記接合段階において、ろう材からなる反射部材を加熱
溶融させて両導体を接合させる。請求項6の方法は、請
求項1〜5の何れかに記載の方法において、導体供給段
階において、絶縁被覆導体と別の導体を複数対で配列
し、前記被覆剥離段階で、複数の絶縁被覆導体に同時に
剥離用光を照射する。
【0015】剥離用光を同時に照射とは、複数の絶縁被
覆導体を同時にカバーする広い範囲の剥離用光を照射す
る場合、および、1個もしくは少数の絶縁被覆導体のみ
をカバーする狭い範囲の剥離用光を照射し、この剥離用
光の照射範囲を迅速に移動させることによって、全ての
絶縁被覆導体に剥離用光を照射するようにするものでも
よい。すなわち、1回の連続的な光照射で、複数の絶縁
被覆導体に対して剥離用光を照射できればよいのであ
る。
【0016】上記方法で、接合段階における複数対の導
体の接合は、個々の導体対毎に行ってもよいし、複数対
の導体同士を同時に接合してもよい。なお、この発明に
おける、ろう材とは、加熱などの手段で溶融して、導体
同士を電気的および機械的に接合できる可溶性および接
合性を備えた材料という広い意味で用いており、比較的
溶融温度が低い、いわゆる半田材と、半田材よりも溶融
温度の高い狭義のろう材との、両方を含むものである。
また、ろう付けという用語も、同様に広い意味で用いて
おり、いわゆる半田付けとろう付けの両方を含むもので
ある。
【0017】
【作用】この発明の方法によれば、絶縁被覆剥離工程と
接合工程が同じ位置で行え、絶縁被覆を剥離された導体
を移動させたり、導体の露出部分などに外力による過大
な応力が生じたりすることがないので、絶縁被覆剥離工
程から接合工程への移動の手間が省け、生産性が向上す
るとともに、導体の損傷が防げ、断線の危険性も減少す
る。
【0018】絶縁被覆導体を接合する別の導体として、
表面の反射性が良好なもの、あるいは、表面に反射部材
が形成されたものを用いれば、剥離用光の直接照射のみ
では、光が届かない部分にも、反射光を照射することが
できたり、直接照射だけの場合よりも広い範囲に剥離用
光を照射することができる。その結果、絶縁被覆導体の
うち、絶縁被覆の剥離が必要な所望の範囲、および、よ
り広い範囲に対して、剥離用光による絶縁被覆の剥離が
行える。剥離用光を反射させる導体あるいは反射部材の
形状および配置を変更すれば、剥離用光の照射装置や絶
縁被覆導体の配置構造を変更することなく、剥離用光の
照射範囲すなわち絶縁被覆の剥離範囲を、容易に変更す
ることができる。反射光による作用で、絶縁被覆の剥離
範囲が広がれば、別の導体と接合するときの接合面積が
増大する結果、導体同士の接合信頼性が向上する。
【0019】断面略U字形をなす導体で、絶縁被覆導体
を包囲するようにすれば、導体同士の対面面積が増える
ので、前記同様に接合面積を増大できる。反射部材がろ
う材からなるものであれば、剥離用光を反射するための
手段と、導体同士を接合するための接合手段が兼用でき
ることになり、材料の節約および作業の簡略化を図るこ
とができる。また、反射部材の存在が、接合の障害にな
るということも無くなる。
【0020】絶縁被覆導体と別の導体を複数対で配列し
て、剥離用光の1回の照射で、複数の絶縁被覆導体に対
して同時に被覆剥離を行えば、剥離用光を効率的に利用
することができ、作業能率あるいは生産能率が向上す
る。
【0021】
【実施例】ついで、この発明の実施例を図を参照しなが
ら、以下に説明する。 −実施例1− 図2の左側に示すように、コイルボディ10に、絶縁被
覆導体であるコイル素線20を巻き付け、このコイル素
線20の端部を、コイルボディ10の一端に設けられ
た、別の導体であるコイル端子30に巻き付けた後、図
2の右側に示すように、ろう材50による、ろう付けな
どの手段で、コイル素線20の導体をコイル端子30に
接合する。このとき、コイル端子30と対面する部分の
コイル素線20に対して、絶縁被覆を剥離する作業が必
要になる。そこで、コイル端子30とコイル素線20が
対面している部分に、剥離用光となるレーザ光40など
を照射して、絶縁被覆を剥離する。なお、コイル端子3
0に接合されたコイル素線20の外側で、コイル素線2
0は切断しておく。
【0022】図1は、コイル素線20の接合方法を、よ
り詳細に示している。AlやCu合金などからなるコイ
ル端子30の金属基材と対面して、コイル素線20を配
置した。コイル端子30は、光の反射性のよい高反射材
料で形成されている。したがって、この場合、導体その
ものが反射部材となる。コイル素線20は、Cuなどか
らなる導線22の全周が、ポリイミド樹脂などの絶縁被
覆24で覆われている。コイル素線20は、コイル端子
30の表面から少し距離をあけて対面するように配置し
た。
【0023】レーザ光40を、コイル素線20の上方か
らコイル端子30の表面に照射すると、コイル素線20
に直接レーザ光40が照射されるとともに、コイル端子
30の表面で反射した光が、コイル素線20の絶縁被覆
24に照射されて、絶縁被覆24が剥離された。このと
きの、レーザ光40の照射エネルギーは、絶縁被覆24
が良好に溶融除去されるとともに、コイル端子30の金
属材料が溶融を起こさない程度に設定した。具体的に
は、0.1〜1.5J/cm2 程度が好ましい。なお、コ
イル素線20は、少なくとも、コイル端子30と対面す
る範囲の絶縁被覆24のみを剥離除去しておけばよい
が、レーザ光40を、コイル素線20の反対側の表面に
も直接照射して、この部分の絶縁被覆24も剥離するよ
うにすれば、コイル素線20の導線22とコイル端子3
0との接合面積が増える。さらに、レーザ光40の直接
照射だけを行って、コイル端子30表面での反射光を利
用せず、コイル素線20の上面側の絶縁被覆24を除去
するだけでもよい。
【0024】所定範囲の絶縁被覆24が剥離除去された
後、コイル素線20の導線22の露出部分とコイル端子
30の表面の間に、ろう材50を供給するとともに、コ
イル端子30の背面から加熱ヒータ60で加熱するなど
して、ろう付けによって、コイル素線20の導線22と
コイル端子30を、電気的および機械的に接合した。ろ
う付けの具体的な手順や処理条件は、通常の導体接合の
場合と同じであった。
【0025】このようにして、コイル素線20のコイル
端子30への接合が完了した。コイル端子30の材料と
しては、様々な金属材料が使用できるが、出来るだけ反
射性がよく、かつ、導体性能にも優れたものが好まし
い。具体的には、例えは、銀の反射率は28.0%、金
は27.5%であるのに対し、銅は40.4%、アルミ
ニウムは91.5%であるから、反射性の点では、銅や
アルミニウムが好ましいことになる。
【0026】−実施例2− 図3に示す実施例では、コイル端子30の表面に、Al
またはCuの薄膜32を形成しておいた。この薄膜32
は、表面の反射性が良好であり、反射部材となるもので
ある。その他の手順は、前記実施例1と同様に行ったと
ころ、良好な結果が得られた。薄膜32の材料には、前
記した反射性の良い金属材料が用いられる。この実施例
では、コイル端子30自体の材料には、特に反射性の良
い材料を用いなくても、その表面に反射性に優れた薄膜
32を形成しておくことにより、反射光のエネルギーが
増大し、反射光による絶縁被膜24の剥離除去が効率的
に行われ、また、剥離面積も増大する。その結果、導線
22とコイル端子30の接合面積も増大し、接合が良好
に行われるようになるので、接合信頼性が高まった。
【0027】なお、薄膜32の厚みは、レーザ光40な
どの剥離用光が、良好に反射されるだけの金属層が形成
されていれば十分である。具体的には、剥離用光とし
て、紫外線光を出すエキシマレーザを用いた場合、1μ
m以下でも良好に実施できた。 −実施例3− 図4に示す実施例では、導体表面すなわちコイル端子3
0の表面を、鏡面に仕上げておくことにより、表面の反
射性を高めた。鏡面仕上げの手段は、通常の研磨加工な
どが採用できる。
【0028】表面に凹凸があると、図4(b) に示すよう
に、レーザ光40の2次反射、3次反射が生じたりする
ため、反射光のエネルギーが削減される。これに対し、
図4(a) に示すように、表面が鏡面であると、上記のよ
うな高次の反射が少なくなり、全体的な反射率が向上す
る。例えば、入射エネルギーE、反射率R(R<1)と
すると、鏡面仕上げでは、反射光のエネルギーはERに
なる。ところが、2次反射、3次反射およびn次反射が
あると、最終的な反射光のエネルギーはERnとなるか
ら、反射光のエネルギーが極端に小さくなるのである。
【0029】この実施例でも、前記各実施例と同様に、
反射光による絶縁被覆24の剥離効果が増大して、接合
信頼性が向上する。 −実施例4− 図5に示す実施例は、別の導体であるコイル端子30を
断面略U字形に形成しておき、絶縁被覆導体であるコイ
ル素線20を包囲するようにコイル端子30を配置して
いる。コイル端子30のU字形をなす内面で反射したレ
ーザ光40が、コイル素線30の周囲から照射される。
また、接合工程では、加熱溶融された、ろう材50が、
U字形の溝部分に溜まるようにしてコイル素線20の導
体22を取り囲むようになる。コイル素線20は、コイ
ル端子30の内面曲線の中心もしくは焦点位置に配置し
て、コイル端子30の内面で反射したレーザ光40を効
率的に集めるようにしている。コイル端子30の開き角
度は、作業性や加工性なども考慮して自由に設定でき
る。
【0030】図6(a) に示すように、コイル端子30の
左右の対向辺が先端側に向かって開いたV字に近いU字
形をなすものでは、広い範囲から入射したレーザ光40
が、コイル端子30の内面で反射してコイル素線20に
照射されることになり、剥離用光のエネルギー効率が高
まる。コイル素線20の絶縁被覆24には、図の下方側
からだけでなく、側方からもレーザ光40が照射される
ことなるので、広い範囲の絶縁被覆24が剥離できる。
【0031】図6(b) に示す実施例は、コイル素線20
に照射される直接光と反射光が同じエネルギーになるよ
うに、コイル端子30の反射面を構成したものである。
コイル端子30は、左右の対向辺が平行なU字形になっ
ている。レーザ光40は、コイル端子30の対向辺の間
に照射される。コイル端子30の対向辺の間隔は、コイ
ル素線20の幅W1 とその両側の隙間2×W2 を合わせ
たものとなる。したがって、W1 の幅のレーザ光40が
直接光としてコイル素線20に照射される。つぎに、反
射光は、コイル端子30の表面の反射率をrとすれば、
2×r×W2 となる。したがって、W1 =2×r×W2
となるように、コイル端子30の対向辺の間隔を設定し
ておけば、コイル素線20のほぼ全周にわたって均一に
光エネルギーを照射できることになる。この実施例の場
合、ろう付けによるコイル素線20のコイル端子30へ
の接合は、コイル端子30の内部にろう材や半田材を流
し込むようにして行えばよい。
【0032】−実施例6− 図7は、レーザ光40の照射光学系の構造を示してい
る。図7(a) では、紫外線などのレーザ光40を、断面
三角形状のミラー72で左右に分割し、それぞれの光を
左右のミラー73で反射させ、レンズ74で集光して、
2方向からコイル素線20に照射するようになってい
る。コイル端子30は、左右からのレーザ光40を取り
込めるように、その開き角度や対向辺の長さを設定して
いる。
【0033】この実施例では、コイル素線20の円周に
対して、広い範囲に光を照射することができ、その結
果、広い範囲の絶縁被覆24を確実に剥離することがで
きる。図7(b) でも、レーザ光40を2方向に分割して
コイル素線20に照射しているが、前記図7(a) の実施
例と異なり、レーザ光40を、まずレンズ74で集光し
てから、ミラー72で左右に分割し、左右のミラー73
でコイル素線20に向けて照射している。
【0034】上記各実施例では、レーザ光40を2方向
に分割しているが、3方向以上の多方向に分割すること
も可能である。なお、エネルギー密度の高いレーザ光4
0をミラー72などで反射させる場合、ミラー72が損
傷しないように耐久性のある材料を用いることが好まし
い。 −実施例7− 図8に、レーザ光40をレンズ75で集光してコイル素
線20に照射した場合の効果を示している。図に示すよ
うに、比較的短焦点距離のレンズ75を用いると、レー
ザ光40の集光角度ψが大きくなり、直接光だけでも、
コイル素線20の前面から側面および裏側までの広い範
囲に剥離用光を照射できる。
【0035】図9は、レンズ75の焦点とコイル素線2
0の位置関係による照射状態の違いを示している。図9
(a) では、レンズ75の焦点fが、コイル素線20の位
置にあり、図9(b) では、レンズ75の焦点fが、コイ
ル素線20よりも少し手前にある。それぞれの図の下方
に絶縁被覆24の剥離状態を示している。図7(a) で
は、前記図8に示したように、コイル素線20の位置に
剥離用光が集まるので、コイル素線20の前面側から背
面側までの広い範囲で、絶縁被覆24が剥離除去され
る。図9(b) では、焦点fから拡がる光がコイル素線2
0に照射されるので、コイル素線20の導線22の影に
なる背面側の絶縁被覆24が剥離除去されずに残る。但
し、この場合も、コイル端子30による反射光を利用す
れば、背面側の絶縁被覆24も剥離除去できる。
【0036】このように、レンズ75とコイル素線20
の位置設定、および、レンズ75の焦点距離を変えるこ
とで、コイル素線20に対する剥離用光の照射状態を変
更することができ、絶縁被覆24の剥離性能を調整する
ことができるのである。 −実施例8− この実施例は、反射部材として、ろう材を用いる場合で
ある。
【0037】図10(a) に示すように、コイル端子30
の金属基材の上に、Alろう、あるいはCuろう等のろ
う材からなる反射部材の層34を形成しておく。したが
って、レーザ光40は、ろう材層34の表面で反射して
コイル素線20に照射され、絶縁被覆24を剥離除去す
ることになる。その後、ろう材層34を加熱溶融させれ
ば、コイル端子30とコイル素線20の導線22が接合
される。
【0038】この実施例では、接合工程で、ろう材を供
給する必要がないので、コイル素線20をコイル端子3
0の所定位置に供給配置した後は、レーザ光40による
絶縁被覆24の剥離から、ろう付けによる接合工程まで
を、能率的に行うことができる。図10(b) では、上記
ろう材層34の上に、前記実施例2で説明した反射性の
良い金属の薄層32を形成している。この場合には、ろ
う材層34としては、反射性の良い材料を用いなくても
よい。また、金属薄層32は、接合工程で、ろう材とと
もに加熱溶融させれば、ろう付けの障害にはならない。
【0039】−実施例9− つぎに、より具体的な実施例について説明する。図11
(a) に示すように、コイル素線20は、銅などからなる
導線22を、ポリイミド樹脂からなる絶縁被覆24で覆
われたポリイミド被覆線(15〜200μmφ)を用い
た。図11(b) に示すように、コイルボディ10の末端
のフランジ12に、板状に突出したコイル端子30が設
けられている。コイルボディ10には、コイル素線20
が巻回され、コイル素線20の端部が、コイル端子30
に接合される。コイル端子30は、ステンレスで形成さ
れている。図11(c) に示すように、コイル端子30は
断面が略U字形になっている。具体的には、左右の対向
辺が少し開いているとともに、左右の対向辺の長さに違
いを付けて、J字に近い断面形状になっている。コイル
端子30の内面には、銀ろうからなるろう材層34が形
成されている。コイル素線20は、図11(b) に示すよ
うに、コイル端子30に数回巻き付けた後、その端部
を、コイル端子30の内側に挿入配置しておく。
【0040】コイル端子30の上方から、紫外線のレー
ザ光40を照射して、コイル素線20の絶縁被覆24を
剥離除去し、ついで、熱ヒータなどで、ろう材層34を
加熱溶融させると、U字形のコイル端子30の底で、溶
融したろう材がコイル素線20の導線22を囲むように
して、導線22とコイル端子30が接合されることにな
る。
【0041】−実施例10− この実施例は、コイルボディ10に備えられた複数のコ
イル端子30について、同時にコイル素線20の接合を
行う場合である。図12(a) 〜(c) に示すように、コイ
ルボディ10の一方のフランジ12に、コイル素線20
の両端を接合する一対のコイル端子30が並んで設けら
れている。
【0042】このような構造で、図15(a) に示すよう
に、コイル端子30の断面形状が、対向辺が平行でその
隙間が比較的狭いものの場合、直線状に並んだ一対のコ
イル端子30に対して、レーザ光40の1回の照射で、
それぞれのコイル素線20の絶縁被覆24を剥離除去し
ようとすると、特に、下側のコイル端子30には、レー
ザ光40が届き難くなる。具体的には、コイル端子30
の寸法が、対向辺の一方の長さが0.6mm、他方の長さ
が0.3mmで、その対向間隔が0.08mmであり、上下
のコイル端子30、30の配置間隔が2.9mmである場
合、下側のコイル端子30を照射することの出来るレー
ザ光40の照射角度範囲θ1 は、約5.7°という極め
て狭い範囲になってしまう。当然、上下のコイル端子3
0、30を同時に照射することも困難である。
【0043】そこで、図13(a) 、(b) に示すようなコ
イル端子30を用いる。コイル端子30は、面積の広い
本体部36と、本体部36の中央下端から折り曲げ形成
された折曲部38で構成されている。本体部36の両端
近くには、コイル素線20を巻き付けるくびれ部37、
37が設けられている。そして、図13(b) に示すよう
に、本体部36に対して折曲部38が、約45°の角度
をなすように設定されている。
【0044】このような構造のコイル端子30に、レー
ザ光40を照射する際には、図14(a) に示すように、
レーザ光40の照射方向に対して、コイル端子30、3
0の並び方向すなわちコイルボディのフランジ12の姿
勢を、少し傾けるように配置する。このようにすれば、
下側のコイル端子30にレーザ光40を照射する際に、
上側のコイル端子30が邪魔になることがなく、両方の
コイル端子30、30に剥離用光を良好に照射できる。
この方法とは別に、図14(b) に示すように、レーザ光
40の照射方向を、コイル端子30、30すなわちフラ
ンジ12に対して、一定の角度だけ傾けても、上記同様
の効果が達成される。
【0045】しかも、図15(b) に示すように、開き角
度の大きなコイル端子30、30を用いた場合、前記図
15(a) の場合と同じ条件でも、レーザ光40の照射角
度範囲θ2 が約38°になる。したがって、コイル端子
30、30とレーザ光40の方向をある程度まで傾けて
も、コイル素線20に対する剥離用光の照射は何ら問題
なく行えるのである。
【0046】上記実施例によれば、複数対のコイル素線
20すなわち絶縁被覆導体とコイル端子30、30すな
わち別の導体とに、同時に剥離用光を照射することが可
能になり、コイル部品などにおける絶縁被覆導体の接合
を確実かつ能率的に行うことができる。
【0047】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかる絶縁被
覆導体の接合方法によれば、絶縁被覆線の絶縁層剥離工
程と接合工程とが同じ位置で行え、絶縁被覆の剥離部分
と接合部分の位置合わせのために絶縁被覆線を動かした
りすることなく、容易かつ確実良好に導体同士の電気的
かつ機械的な接合が行える。
【0048】また、反射部材を用いたり、別の導体とし
て断面略U字形のものを用いたりすれば、絶縁被覆線を
動かすことなく、絶縁被覆線の広い範囲にわたって、効
率的に絶縁被覆の剥離除去が行え、導体同士の接合面積
を増大させて、一層のこと、接合信頼性を高めることが
できるとともに、作業の能率化、生産性の向上を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示す概略工程図である。
【図2】 コイル素線の接合を行う場合の概略工程図で
ある。
【図3】 別の実施例を示す概略工程図である。
【図4】 表面性状の違いによる効果を説明する模式的
説明図である。
【図5】 別の実施例を示す概略工程図である。
【図6】 別の実施例を示すコイル端子の概略構造図で
ある。
【図7】 レーザ光の照射方法を示す光学系の概略構造
図である。
【図8】 レンズの焦点距離による効果を示す説明図で
ある。
【図9】 レンズの焦点位置による効果の違いを示す説
明図である。
【図10】 別の実施例を示す概略構造図である。
【図11】 別の実施例を示す概略構造図である。
【図12】 別の実施例を示す概略構造図である。
【図13】 コイル端子の構造図である。
【図14】 レーザ光の照射方法を示す説明図である。
【図15】 コイル端子の構造による効果の違いを示す
説明図である。
【図16】 従来技術を示す概略説明図である。
【符号の説明】
20 コイル素線(絶縁被覆導体) 22 導線 24 絶縁被覆 30 コイル端子(別の導体) 40 レーザ光(剥離用光)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 絶縁被覆導体のろう付け方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、絶縁被覆導体のろう
付け方法に関し、詳しくは、絶縁被覆線などの絶縁被覆
導体同士、もしくは金属基材などの別の導体とを、ろう
付けにより電気的および機械的に接合する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、絶縁被覆線と金属基材をろう付け
するには、絶縁被覆線の絶縁被膜として、ろう材溶融温
度で十分に溶融するポリウレタン樹脂等の絶縁性薄膜材
料が用いられている。しかしながら、近年、ハイブリッ
ト化、高密度実装化などが進むことに伴い、絶縁被覆線
にも、より高温においても十分な信頼性が要求させるよ
うになってきた。具体的には、このような高温中での使
用を考えると、従来のポリウレタン樹脂などでは、もは
や限界であり、より高温に耐えるポリイミド樹脂などの
高耐熱性薄膜材料が用いられるようになってきた。
【0003】このような高耐熱性の絶縁被覆を用いた場
合、抵抗溶接で加圧しながら接合する方法があるが、こ
の方法では、加圧によって導線が変形し断線するおそれ
がある。また、ろう材溶融温度では絶縁被覆が十分に溶
融しないため、絶縁被覆を剥離してから導体同士のろう
付けを行う必要がある。すなわち、絶縁被覆層を剥離す
る工程と、剥離部分の露出した導体を金属基材接合部に
配置する工程と、導体同士をろう付けする工程の3段階
の工程を行うことになる。絶縁被覆線が極細線などの場
合、機械的な方法で絶縁剥離層を剥離したのでは、断線
を起こす心配がある。そのため、紫外線光やレーザ光を
用いて、絶縁被覆層だけを除去する方法が提案されてい
る。図16は、絶縁被覆線としてコイル素線を用いた場
合について説明している。コイルボビンbに絶縁被覆さ
れたコイル素線cを巻き付ける場合、コイル素線cの送
給経路中に絶縁被覆の剥離工程部を設け、ここでコイル
素線の絶縁被覆に紫外線光rなどを照射して、絶縁被覆
を除去し、コイルボビンbに巻き付けたコイル素線cの
所定個所に、絶縁被覆の剥離部分がくるようにする。こ
の絶縁被覆の剥離部分で、コイル素線cの導体を、コイ
ルボビンbの一部に設けられた金属導体からなるコイル
端子tに、ろう付けすることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な従来における絶縁被覆導体のろう付け方法では、絶縁
被覆を剥離した導体の露出部分を、接合する金属基材の
所定位置に正確に位置合わせを行ってから、ろう付け
行う必要があるため、作業が面倒であるとともに、作業
中に絶縁剥離部分の導体が断線する問題もあった。
【0005】具体的には、絶縁被覆の剥離範囲が狭い
と、導体の露出部分も狭くなるため、この導体の露出部
分を、金属基材の所定位置に正確に位置合わせしない
と、接合面積が十分にとれずに、電気的および機械的な
接合が不十分になってしまう。また、導体の微小な露出
部分を、金属基材の所定位置に正確に配置するのは、技
術的に難しく、手間もかかるため、生産性を阻害するこ
とになる。絶縁被覆の剥離範囲を広くすると、位置合わ
せは容易になるが、線状の導体すなわち導線の強度は非
常に弱いため、露出部分が多くなると、取り扱い作業中
に、外力が加わったり、異物が接触したりして、前記露
出部分で導線が断線する問題が生じる。
【0006】そこで、この発明の課題は、上記したよう
な従来方法の問題点を解消し、作業が容易かつ確実に行
えるとともに、導体の断線などを起こすことのない絶縁
被覆導体のろう付け方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる絶縁被覆導体のろう付け方法のうち、請
求項1の方法は、絶縁被覆導体を別の導体にろう付け
る方法であって、ろう付けする両導体を対面させる導体
供給段階と、前記両導体を対面させた状態で前記絶縁被
覆導体に剥離用光を照射する被覆剥離段階と、前記両導
体を対面させた状態で前記両導体をろう付けすろう付
段階とを含む。
【0008】絶縁被覆導体は、銅やアルミその他の導体
材料からなり、線状その他の比較的小さな導体部分が、
ポリイミド樹脂などの高耐熱性材料その他の絶縁材料で
被覆されたものである。別の導体とは、絶縁被覆導体を
電気的および機械的に接合する相手側の導体部分であ
り、同じような絶縁被覆導体からなる場合と、絶縁被覆
導体とは異なる構造で、金属板などの導体材料で形成さ
れている場合がある。この別の導体のうち、絶縁被覆導
体と対面する表面の反射性を高くしておくと、後述する
反射光による絶縁被覆の剥離除去が良好に行える。その
ためには、導体材料として反射性の高い材料を用いた
り、表面を鏡面仕上げしておいたりすればよい。
【0009】剥離用光とは、紫外線などの高いエネルギ
ーを有する光であって、絶縁被覆の材料を、変性、分解
あるいは溶融させて、絶縁被覆を剥離する作用のある光
が用いられる。剥離用光として、レーザ光を用いれば、
より高いエネルギーの光を必要な範囲のみに集中的に照
射できる。具体的には、エキシマレーザ、YAGレー
ザ、あるいはCOレーザなどの使用が好ましい。
【0010】導体供給段階では、絶縁被覆導体と別の導
体を、互いに接合するときの状態、あるいは、それに近
い状態で対面させる。絶縁被覆導体と別の導体が、接触
していてもよいが、一定の間隔をあけて対面させておく
ほうが、絶縁被覆導体の対面部分の絶縁被覆を除去し易
い。被覆剥離段階では、絶縁被覆導体のうち、別の導体
との接合に必要な範囲のみに、剥離用光を照射して絶縁
被覆を剥離除去すればよいが、接合範囲よりも少し広い
程度の範囲で、絶縁被覆を剥離除去しておいてもよい。
また、剥離範囲すなわち接合範囲が広いほど、電気的お
よび機械的な接合は良好になる。
【0011】ろう付け段階では、絶縁被覆導体の導体露
出部分と、別の導体とを、ろう付けにより、電気的およ
び機械的に接合する。ろう材の種類や処理方法は、通常
の導体接合と同様でよい。例えば、ろう付け時の加熱方
法は、熱ヒータ、温風、レーザ光などが適用できる。請
求項2の方法は、請求項1の方法において、絶縁被覆導
体をろう付けする別の導体として、表面に反射部材が形
成されたものを用いる。
【0012】反射部材は、剥離用光を反射して、反射光
が絶縁被覆導体に照射されるような位置および形状で配
置される。反射部材としては、剥離用光を良好に反射で
きる材料であれば、金属その他の任意の材料からなるも
のを用いることができる。請求項3の方法は、請求項1
または2の方法において、絶縁被覆導体をろう付けする
別の導体として、断面略U字形をなすものを用い、前記
導体供給段階において、断面略U字形の導体で絶縁被覆
導体を包囲させることにより、両導体を対面させる。言
い換えると、断面略U字形をなす導体の中央に、絶縁被
覆導体が挿入配置された状態であり、絶縁被覆導体の3
方が別の導体で囲まれる。
【0013】請求項4の方法は、請求項2または3の方
法において、反射部材として、ろう材からなるものを用
い、ろう付け段階において、ろう材からなる反射部材で
両導体をろう付けする。ろう材としては、剥離用光が良
好に反射するような表面性状と、両導体を接合させる接
合機能を有していれば、従来のろう付け接合に用いられ
ていたような、通常のろう材が使用できる。
【0014】請求項5の方法は、請求項4の方法におい
て、被覆剥離段階で、剥離用光を、反射部材による反射
および直接照射で、絶縁被覆導体に照射するとともに、
前記ろう付け段階において、ろう材からなる反射部材を
加熱溶融させて両導体をろう付けする。請求項6の方法
は、請求項1〜5の何れかに記載の方法において、導体
供給段階において、絶縁被覆導体と別の導体を複数対で
配列し、前記被覆剥離段階で、複数の絶縁被覆導体に同
時に剥離用光を照射する。
【0015】剥離用光を同時に照射とは、複数の絶縁被
覆導体を同時にカバーする広い範囲の剥離用光を照射す
る場合、および、1個もしくは少数の絶縁被覆導体のみ
をカバーする狭い範囲の剥離用光を照射し、この剥離用
光の照射範囲を迅速に移動させることによって、全ての
絶縁被覆導体に剥離用光を照射するようにするものでも
よい。すなわち、1回の連続的な光照射で、複数の絶縁
被覆導体に対して剥離用光を照射できればよいのであ
る。
【0016】上記方法で、ろう付け段階における複数対
の導体のろう付けは、個々の導体対毎に行ってもよい
し、複数対の導体同士を同時に接合してもよい。なお、
この発明における、ろう材とは、加熱などの手段で溶融
して、導体同士を電気的および機械的に接合できる可溶
性および接合性を備えた材料という広い意味で用いてお
り、比較的溶融温度が低い、いわゆる半田材と、半田材
よりも溶融温度の高い狭義のろう材との、両方を含むも
のである。また、ろう付けという用語も、同様に広い意
味で用いており、いわゆる半田付けと狭義のろう付けの
両方を含むものである。
【0017】
【作用】この発明の方法によれば、絶縁被覆剥離工程と
ろう付け工程が同じ位置で行え、絶縁被覆を剥離された
導体を移動させたり、導体の露出部分などに外力による
過大な応力が生じたりすることがないので、絶縁被覆剥
離工程からろう付け工程への移動の手間が省け、生産性
が向上するとともに、導体の損傷が防げ、断線の危険性
も減少する。
【0018】絶縁被覆導体を接合する別の導体として、
表面の反射性が良好なもの、あるいは、表面に反射部材
が形成されたものを用いれば、剥離用光の直接照射のみ
では、光が届かない部分にも、反射光を照射することが
できたり、直接照射だけの場合よりも広い範囲に剥離用
光を照射することができる。その結果、絶縁被覆導体の
うち、絶縁被覆の剥離が必要な所望の範囲、および、よ
り広い範囲に対して、剥離用光による絶縁被覆の剥離が
行える。剥離用光を反射させる導体あるいは反射部材の
形状および配置を変更すれば、剥離用光の照射装置や絶
縁被覆導体の配置構造を変更することなく、剥離用光の
照射範囲すなわち絶縁被覆の剥離範囲を、容易に変更す
ることができる。反射光による作用で、絶縁被覆の剥離
範囲が広がれば、別の導体とろう付けするときの接合面
積が増大する結果、導体同士の接合信頼性が向上する。
【0019】断面略U字形をなす導体で、絶縁被覆導体
を包囲するようにすれば、導体同士の対面面積が増える
ので、前記同様に接合面積を増大できる。反射部材がろ
う材からなるものであれば、剥離用光を反射するための
手段と、導体同士を接合するための接合手段が兼用でき
ることになり、材料の節約および作業の簡略化を図るこ
とができる。また、反射部材の存在が、ろう付けの障害
になるということも無くなる。
【0020】絶縁被覆導体と別の導体を複数対で配列し
て、剥離用光の1回の照射で、複数の絶縁被覆導体に対
して同時に被覆剥離を行えば、剥離用光を効率的に利用
することができ、作業能率あるいは生産能率が向上す
る。
【0021】
【実施例】ついで、この発明の実施例を図を参照しなが
ら、以下に説明する。 −実施例1− 図2の左側に示すように、コイルボディ10に、絶縁被
覆導体であるコイル素線20を巻き付け、このコイル素
線20の端部を、コイルボディ10の一端に設けられ
た、別の導体であるコイル端子30に巻き付けた後、図
2の右側に示すように、ろう材50による、ろう付
、コイル素線20の導体をコイル端子30に接合す
る。このとき、コイル端子30と対面する部分のコイル
素線20に対して、絶縁被覆を剥離する作業が必要にな
る。そこで、コイル端子30とコイル素線20が対面し
ている部分に、剥離用光となるレーザ光40などを照射
して、絶縁被覆を剥離する。なお、コイル端子30に接
合されたコイル素線20の外側で、コイル素線20は切
断しておく。
【0022】図1は、コイル素線20のろう付け方法
を、より詳細に示している。AlやCu合金などからな
るコイル端子30の金属基材と対面して、コイル素線2
0を配置した。コイル端子30は、光の反射性のよい高
反射材料で形成されている。したがって、この場合、導
体そのものが反射部材となる。コイル素線20は、Cu
などからなる導線22の全周が、ポリイミド樹脂などの
絶縁被覆24で覆われている。コイル素線20は、コイ
ル端子30の表面から少し距離をあけて対面するように
配置した。
【0023】レーザ光40を、コイル素線20の上方か
らコイル端子30の表面に照射すると、コイル素線20
に直接レーザ光40が照射されるとともに、コイル端子
30の表面で反射した光が、コイル素線20の絶縁被覆
24に照射されて、絶縁被覆24が剥離された。このと
きの、レーザ光40の照射エネルギーは、絶縁被覆24
が良好に溶融除去されるとともに、コイル端子30の金
属材料が溶融を起こさない程度に設定した。具体的に
は、0.1〜1.5J/cm程度が好ましい。なお、
コイル素線20は、少なくとも、コイル端子30と対面
する範囲の絶縁被覆24のみを剥離除去しておけばよい
が、レーザ光40を、コイル素線20の反対側の表面に
も直接照射して、この部分の絶縁被覆24も剥離するよ
うにすれば、コイル素線20の導線22とコイル端子3
0との接合面積が増える。さらに、レーザ光40の直接
照射だけを行って、コイル端子30表面での反射光を利
用せず、コイル素線20の上面側の絶縁被覆24を除去
するだけでもよい。
【0024】所定範囲の絶縁被覆24が剥離除去された
後、コイル素線20の導線22の露出部分とコイル端子
30の表面の間に、ろう材50を供給するとともに、コ
イル端子30の背面から加熱ヒータ60で加熱するなど
して、ろう付けによって、コイル素線20の導線22と
コイル端子30を、電気的および機械的に接合した。ろ
う付けの具体的な手順や処理条件は、通常の導体接合の
場合と同じであった。
【0025】このようにして、コイル素線20のコイル
端子30への接合が完了した。コイル端子30の材料と
しては、様々な金属材料が使用できるが、出来るだけ反
射性がよく、かつ、導体性能にも優れたものが好まし
い。具体的には、例えは、銀の反射率は28.0%、金
は27.5%であるのに対し、銅は40.4%、アルミ
ニウムは91.5%であるから、反射性の点では、銅や
アルミニウムが好ましいことになる。
【0026】−実施例2− 図3に示す実施例では、コイル端子30の表面に、Al
またはCuの薄膜32を形成しておいた。この薄膜32
は、表面の反射性が良好であり、反射部材となるもので
ある。その他の手順は、前記実施例1と同様に行ったと
ころ、良好な結果が得られた。薄膜32の材料には、前
記した反射性の良い金属材料が用いられる。この実施例
では、コイル端子30自体の材料には、特に反射性の良
い材料を用いなくても、その表面に反射性に優れた薄膜
32を形成しておくことにより、反射光のエネルギーが
増大し、反射光による絶縁被膜24の剥離除去が効率的
に行われ、また、剥離面積も増大する。その結果、導線
22とコイル端子30の接合面積も増大し、ろう付け
良好に行われるようになるので、接合信頼性が高まっ
た。
【0027】なお、薄膜32の厚みは、レーザ光40な
どの剥離用光が、良好に反射されるだけの金属層が形成
されていれば十分である。具体的には、剥離用光とし
て、紫外線光を出すエキシマレーザを用いた場合、1μ
m以下でも良好に実施できた。 −実施例3− 図4に示す実施例では、導体表面すなわちコイル端子3
0の表面を、鏡面に仕上げておくことにより、表面の反
射性を高めた。鏡面仕上げの手段は、通常の研磨加工な
どが採用できる。
【0028】表面に凹凸があると、図4(b)に示すよ
うに、レーザ光40の2次反射、3次反射が生じたりす
るため、反射光のエネルギーが削減される。これに対
し、図4(a)に示すように、表面が鏡面であると、上
記のような高次の反射が少なくなり、全体的な反射率が
向上する。例えば、入射エネルギーE、反射率R(R<
1)とすると、鏡面仕上げでは、反射光のエネルギーは
ERになる。ところが、2次反射、3次反射およびn次
反射があると、最終的な反射光のエネルギーはER
なるから、反射光のエネルギーが極端に小さくなるので
ある。
【0029】この実施例でも、前記各実施例と同様に、
反射光による絶縁被覆24の剥離効果が増大して、接合
信頼性が向上する。 −実施例4− 図5に示す実施例は、別の導体であるコイル端子30を
断面略U字形に形成しておき、絶縁被覆導体であるコイ
ル素線20を包囲するようにコイル端子30を配置して
いる。コイル端子30のU字形をなす内面で反射したレ
ーザ光40が、コイル素線30の周囲から照射される。
また、ろう付け工程では、加熱溶融された、ろう材50
が、U字形の溝部分に溜まるようにしてコイル素線20
の導体22を取り囲むようになる。コイル素線20は、
コイル端子30の内面曲線の中心もしくは焦点位置に配
置して、コイル端子30の内面で反射したレーザ光40
を効率的に集めるようにしている。コイル端子30の開
き角度は、作業性や加工性なども考慮して自由に設定で
きる。
【0030】図6(a)に示すように、コイル端子30
の左右の対向辺が先端側に向かって開いたV字に近いU
字形をなすものでは、広い範囲から入射したレーザ光4
0が、コイル端子30の内面で反射してコイル素線20
に照射されることになり、剥離用光のエネルギー効率が
高まる。コイル素線20の絶縁被覆24には、図の下方
側からだけでなく、側方からもレーザ光40が照射され
ることなるので、広い範囲の絶縁被覆24が剥離でき
る。
【0031】図6(b)に示す実施例は、コイル素線2
0に照射される直接光と反射光が同じエネルギーになる
ように、コイル端子30の反射面を構成したものであ
る。コイル端子30は、左右の対向辺が平行なU字形に
なっている。レーザ光40は、コイル端子30の対向辺
の間に照射される。コイル端子30の対向辺の間隔は、
コイル素線20の幅Wとその両側の隙間2×Wを合
わせたものとなる。したがって、Wの幅のレーザ光4
0が直接光としてコイル素線20に照射される。つぎ
に、反射光は、コイル端子30の表面の反射率をrとす
れば、2×r×Wとなる。したがって、W=2×r
×Wとなるように、コイル端子30の対向辺の間隔を
設定しておけば、コイル素線20のほぼ全周にわたって
均一に光エネルギーを照射できることになる。この実施
例の場合、ろう付けによるコイル素線20のコイル端子
30への接合は、コイル端子30の内部にろう材や半田
材を流し込むようにして行えばよい。
【0032】−実施例6− 図7は、レーザ光40の照射光学系の構造を示してい
る。図7(a)では、紫外線などのレーザ光40を、断
面三角形状のミラー72で左右に分割し、それぞれの光
を左右のミラー73で反射させ、レンズ74で集光し
て、2方向からコイル素線20に照射するようになって
いる。コイル端子30は、左右からのレーザ光40を取
り込めるように、その開き角度や対向辺の長さを設定し
ている。
【0033】この実施例では、コイル素線20の円周に
対して、広い範囲に光を照射することができ、その結
果、広い範囲の絶縁被覆24を確実に剥離することがで
きる。図7(b)でも、レーザ光40を2方向に分割し
てコイル素線20に照射しているが、前記図7(a)の
実施例と異なり、レーザ光40を、まずレンズ74で集
光してから、ミラー72で左右に分割し、左右のミラー
73でコイル素線20に向けて照射している。
【0034】上記各実施例では、レーザ光40を2方向
に分割しているが、3方向以上の多方向に分割すること
も可能である。なお、エネルギー密度の高いレーザ光4
0をミラー72などで反射させる場合、ミラー72が損
傷しないように耐久性のある材料を用いることが好まし
い。 −実施例7− 図8に、レーザ光40をレンズ75で集光してコイル素
線20に照射した場合の効果を示している。図に示すよ
うに、比較的短焦点距離のレンズ75を用いると、レー
ザ光40の集光角度ψが大きくなり、直接光だけでも、
コイル素線20の前面から側面および裏側までの広い範
囲に剥離用光を照射できる。
【0035】図9は、レンズ75の焦点とコイル素線2
0の位置関係による照射状態の違いを示している。図9
(a)では、レンズ75の焦点fが、コイル素線20の
位置にあり、図9(b)では、レンズ75の焦点fが、
コイル素線20よりも少し手前にある。それぞれの図の
下方に絶縁被覆24の剥離状態を示している。図7
(a)では、前記図8に示したように、コイル素線20
の位置に剥離用光が集まるので、コイル素線20の前面
側から背面側までの広い範囲で、絶縁被覆24が剥離除
去される。図9(b)では、焦点fから拡がる光がコイ
ル素線20に照射されるので、コイル素線20の導線2
2の影になる背面側の絶縁被覆24が剥離除去されずに
残る。但し、この場合も、コイル端子30による反射光
を利用すれば、背面側の絶縁被覆24も剥離除去でき
る。
【0036】このように、レンズ75とコイル素線20
の位置設定、および、レンズ75の焦点距離を変えるこ
とで、コイル素線20に対する剥離用光の照射状態を変
更することができ、絶縁被覆24の剥離性能を調整する
ことができるのである。 −実施例8− この実施例は、反射部材として、ろう材を用いる場合で
ある。
【0037】図10(a)に示すように、コイル端子3
0の金属基材の上に、Alろう、あるいはCuろう等の
ろう材からなる反射部材の層34を形成しておく。した
がって、レーザ光40は、ろう材層34の表面で反射し
てコイル素線20に照射され、絶縁被覆24を剥離除去
することになる。その後、ろう材層34を加熱溶融させ
れば、コイル端子30とコイル素線20の導線22が接
合される。
【0038】この実施例では、ろう付け工程で、ろう材
を供給する必要がないので、コイル素線20をコイル端
子30の所定位置に供給配置した後は、レーザ光40に
よる絶縁被覆24の剥離から、ろう付け工程までを、能
率的に行うことができる。図10(b)では、上記ろう
材層34の上に、前記実施例2で説明した反射性の良い
金属の薄層32を形成している。この場合には、ろう材
層34としては、反射性の良い材料を用いなくてもよ
い。また、金属薄層32は、ろう付け工程で、ろう材と
ともに加熱溶融させれば、ろう付けの障害にはならな
い。
【0039】−実施例9− つぎに、より具体的な実施例について説明する。図11
(a)に示すように、コイル素線20は、銅などからな
る導線22を、ポリイミド樹脂からなる絶縁被覆24で
覆われたポリイミド被覆線(15〜200μmφ)を用
いた。図11(b)に示すように、コイルボディ10の
末端のフランジ12に、板状に突出したコイル端子30
が設けられている。コイルボディ10には、コイル素線
20が巻回され、コイル素線20の端部が、コイル端子
30に接合される。コイル端子30は、ステンレスで形
成されている。図11(c)に示すように、コイル端子
30は断面が略U字形になっている。具体的には、左右
の対向辺が少し開いているとともに、左右の対向辺の長
さに違いを付けて、J字に近い断面形状になっている。
コイル端子30の内面には、銀ろうからなるろう材層3
4が形成されている。コイル素線20は、図11(b)
に示すように、コイル端子30に数回巻き付けた後、そ
の端部を、コイル端子30の内側に挿入配置しておく。
【0040】コイル端子30の上方から、紫外線のレー
ザ光40を照射して、コイル素線20の絶縁被覆24を
剥離除去し、ついで、熱ヒータなどで、ろう材層34を
加熱溶融させると、U字形のコイル端子30の底で、溶
融したろう材がコイル素線20の導線22を囲むように
して、導線22とコイル端子30が接合されることにな
る。
【0041】−実施例10− この実施例は、コイルボディ10に備えられた複数のコ
イル端子30について、同時にコイル素線20の接合を
行う場合である。図12(a)〜(c)に示すように、
コイルボディ10の一方のフランジ12に、コイル素線
20の両端を接合する一対のコイル端子30が並んで設
けられている。
【0042】このような構造で、図15(a)に示すよ
うに、コイル端子30の断面形状が、対向辺が平行でそ
の隙間が比較的狭いものの場合、直線状に並んだ一対の
コイル端子30に対して、レーザ光40の1回の照射
で、それぞれのコイル素線20の絶縁被覆24を剥離除
去しようとすると、特に、下側のコイル端子30には、
レーザ光40が届き難くなる。具体的には、コイル端子
30の寸法が、対向辺の一方の長さが0.6mm、他方
の長さが0.3mmで、その対向間隔が0.08mmで
あり、上下のコイル端子30、30の配置間隔が2.9
mmである場合、下側のコイル端子30を照射すること
の出来るレーザ光40の照射角度範囲θは、約5.7
°という極めて狭い範囲になってしまう。当然、上下の
コイル端子30、30を同時に照射することも困難であ
る。
【0043】そこで、図13(a)、(b)に示すよう
なコイル端子30を用いる。コイル端子30は、面積の
広い本体部36と、本体部36の中央下端から折り曲げ
形成された折曲部38で構成されている。本体部36の
両端近くには、コイル素線20を巻き付けるくびれ部3
7、37が設けられている。そして、図13(b)に示
すように、本体部36に対して折曲部38が、約45°
の角度をなすように設定されている。
【0044】このような構造のコイル端子30に、レー
ザ光40を照射する際には、図14(a)に示すよう
に、レーザ光40の照射方向に対して、コイル端子3
0、30の並び方向すなわちコイルボディのフランジ1
2の姿勢を、少し傾けるように配置する。このようにす
れば、下側のコイル端子30にレーザ光40を照射する
際に、上側のコイル端子30が邪魔になることがなく、
両方のコイル端子30、30に剥離用光を良好に照射で
きる。この方法とは別に、図14(b)に示すように、
レーザ光40の照射方向を、コイル端子30、30すな
わちフランジ12に対して、一定の角度だけ傾けても、
上記同様の効果が達成される。
【0045】しかも、図15(b)に示すように、開き
角度の大きなコイル端子30、30を用いた場合、前記
図15(a)の場合と同じ条件でも、レーザ光40の照
射角度範囲θが約38°になる。したがって、コイル
端子30、30とレーザ光40の方向をある程度まで傾
けても、コイル素線20に対する剥離用光の照射は何ら
問題なく行えるのである。
【0046】上記実施例によれば、複数対のコイル素線
20すなわち絶縁被覆導体とコイル端子30、30すな
わち別の導体とに、同時に剥離用光を照射することが可
能になり、コイル部品などにおける絶縁被覆導体のろう
付けを確実かつ能率的に行うことができる。
【0047】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかる絶縁被
覆導体のろう付け方法によれば、絶縁被覆線の絶縁層剥
離工程とろう付け工程とが同じ位置で行え、絶縁被覆の
剥離部分と接合部分の位置合わせのために絶縁被覆線を
動かしたりすることなく、容易かつ確実良好に導体同士
ろう付けによる電気的かつ機械的な接合が行える。
【0048】また、反射部材を用いたり、別の導体とし
て断面略U字形のものを用いたりすれば、絶縁被覆線を
動かすことなく、絶縁被覆線の広い範囲にわたって、効
率的に絶縁被覆の剥離除去が行え、導体同士の接合面積
を増大させて、一層のこと、接合信頼性を高めることが
できるとともに、作業の能率化、生産性の向上を図るこ
とができる。
【0049】なお、この発明では、導体同士をろう付け
によって接合するので、圧着接合のように、導体に機械
的ストレスを与えることがない。導体が細い線材で構成
されていたりすると、従来の圧着接合では、導体を押し
つぶしたり断線を起こしたりすることがあったが、この
発明の方法では、導体に極細線を用いても、全く損傷す
る心配はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示す概略工程図である。
【図2】 コイル素線のろう付けを行う場合の概略工程
図である。
【図3】 別の実施例を示す概略工程図である。
【図4】 表面性状の違いによる効果を説明する模式的
説明図である。
【図5】 別の実施例を示す概略工程図である。
【図6】 別の実施例を示すコイル端子の概略構造図で
ある。
【図7】 レーザ光の照射方法を示す光学系の概略構造
図である。
【図8】 レンズの焦点距離による効果を示す説明図で
ある。
【図9】 レンズの焦点位置による効果の違いを示す説
明図である。
【図10】 別の実施例を示す概略構造図である。
【図11】 別の実施例を示す概略構造図である。
【図12】 別の実施例を示す概略構造図である。
【図13】 コイル端子の構造図である。
【図14】 レーザ光の照射方法を示す説明図である。
【図15】 コイル端子の構造による効果の違いを示す
説明図である。
【図16】 従来技術を示す概略説明図である。
【符号の説明】 20 コイル素線(絶縁被覆導体) 22 導線 24 絶縁被覆 30 コイル端子(別の導体) 40 レーザ光(剥離用光)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑田 亨 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 堀 正美 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁被覆導体を別の導体に接合する方法
    であって、接合する両導体を対面させる導体供給段階
    と、前記両導体を対面させた状態で前記絶縁被覆導体に
    剥離用光を照射する被覆剥離段階と、前記両導体を対面
    させた状態で前記両導体を接合させる接合段階とを含む
    ことを特徴とする絶縁被覆導体の接合方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において、絶縁被覆導体
    を接合する別の導体として、表面に反射部材が形成され
    たものを用いる絶縁被覆導体の接合方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の方法において、絶縁
    被覆導体を接合する別の導体として、断面略U字形をな
    すものを用い、前記導体供給段階において、断面略U字
    形の導体で絶縁被覆導体を包囲させることにより、両導
    体を対面させる絶縁被覆導体の接合方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3の方法において、反射
    部材として、ろう材からなるものを用い、前記接合段階
    において、ろう材からなる反射部材で両導体を接合させ
    る絶縁被覆導体の接合方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の方法において、前記被覆剥離
    段階で、剥離用光を、反射部材による反射および直接照
    射で、絶縁被覆導体に照射するとともに、前記接合段階
    で、ろう材からなる反射部材を加熱溶融させて両導体を
    接合させる絶縁被覆導体の接合方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の方法にお
    いて、前記導体供給段階において、絶縁被覆導体と別の
    導体を複数対で配列し、前記被覆剥離段階で、複数対の
    絶縁被覆導体に同時に剥離用光を照射する絶縁被覆導体
    の接合方法。
JP4012441A 1992-01-27 1992-01-27 絶縁被覆導体のろう付け方法 Expired - Fee Related JP2740385B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4012441A JP2740385B2 (ja) 1992-01-27 1992-01-27 絶縁被覆導体のろう付け方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4012441A JP2740385B2 (ja) 1992-01-27 1992-01-27 絶縁被覆導体のろう付け方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05205839A true JPH05205839A (ja) 1993-08-13
JP2740385B2 JP2740385B2 (ja) 1998-04-15

Family

ID=11805401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4012441A Expired - Fee Related JP2740385B2 (ja) 1992-01-27 1992-01-27 絶縁被覆導体のろう付け方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2740385B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08255708A (ja) * 1994-12-27 1996-10-01 Furukawa Electric Co Ltd:The 電子部品、これに用いる金属端子、前記電子部品の製造方法、及び絶縁電線の皮膜剥離処理方法
JP2002160057A (ja) * 2000-11-27 2002-06-04 Honda Motor Co Ltd 端子の接合方法
JP2008243725A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Nec Corp コネクタ及びコネクタとケーブルの結線方法
JP2009099689A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Denso Corp コイル体の製造方法
JP2009231547A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Tdk Corp 電子部品の継線構造
US20200246916A1 (en) * 2019-02-05 2020-08-06 Dukane Ias, Llc Systems and methods for laser-welding tubular components using a single, fixed optical reflector with multiple reflecting surfaces
JP2022128431A (ja) * 2021-02-22 2022-09-01 デューケイン アイエーエス エルエルシー 複数個の反射部分を用いワークピースのアクセス不能エリアにレーザビームを到達させてそのワークピースをレーザ熔接するシステム及び方法
US11819940B2 (en) 2019-02-05 2023-11-21 Dukane Ias, Llc Systems and methods for laser-welding a workpiece with a laser beam that reaches inaccessible areas of the workpiece using multiple reflecting parts
US11931823B2 (en) 2019-02-05 2024-03-19 Dukane Ias, Llc Systems and methods for laser-welding a workpiece with a laser beam that reaches inaccessible areas of the workpiece using multiple reflecting parts

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57153419A (en) * 1981-03-18 1982-09-22 Toshiba Corp Laser welding method
JPS5841942A (ja) * 1981-09-04 1983-03-11 セント・ラレン・サベツト・ナ・ナウクノ−テクニチエスキテ・サユツイ 横糸置き換え装置
JPH03210783A (ja) * 1990-01-12 1991-09-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd 被覆線半田づけ方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57153419A (en) * 1981-03-18 1982-09-22 Toshiba Corp Laser welding method
JPS5841942A (ja) * 1981-09-04 1983-03-11 セント・ラレン・サベツト・ナ・ナウクノ−テクニチエスキテ・サユツイ 横糸置き換え装置
JPH03210783A (ja) * 1990-01-12 1991-09-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd 被覆線半田づけ方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08255708A (ja) * 1994-12-27 1996-10-01 Furukawa Electric Co Ltd:The 電子部品、これに用いる金属端子、前記電子部品の製造方法、及び絶縁電線の皮膜剥離処理方法
JP2002160057A (ja) * 2000-11-27 2002-06-04 Honda Motor Co Ltd 端子の接合方法
JP2008243725A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Nec Corp コネクタ及びコネクタとケーブルの結線方法
JP2009099689A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Denso Corp コイル体の製造方法
JP2009231547A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Tdk Corp 電子部品の継線構造
US20200246916A1 (en) * 2019-02-05 2020-08-06 Dukane Ias, Llc Systems and methods for laser-welding tubular components using a single, fixed optical reflector with multiple reflecting surfaces
US10926355B2 (en) * 2019-02-05 2021-02-23 Dukane Ias, Llc Systems and methods for laser-welding tubular components using a single, fixed optical reflector with multiple reflecting surfaces
CN113396044A (zh) * 2019-02-05 2021-09-14 杜肯Ias有限责任公司 用于使用具有多个反射表面的单个的固定光学反射器激光焊接管状元件的系统和方法
US11819940B2 (en) 2019-02-05 2023-11-21 Dukane Ias, Llc Systems and methods for laser-welding a workpiece with a laser beam that reaches inaccessible areas of the workpiece using multiple reflecting parts
US11931823B2 (en) 2019-02-05 2024-03-19 Dukane Ias, Llc Systems and methods for laser-welding a workpiece with a laser beam that reaches inaccessible areas of the workpiece using multiple reflecting parts
JP2022128431A (ja) * 2021-02-22 2022-09-01 デューケイン アイエーエス エルエルシー 複数個の反射部分を用いワークピースのアクセス不能エリアにレーザビームを到達させてそのワークピースをレーザ熔接するシステム及び方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2740385B2 (ja) 1998-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6318624B1 (en) Solder balltape and method for making electrical connection between a head transducer and an electrical lead
JP2511123B2 (ja) 圧着端子、及び圧着端子と電線の接続方法
US4697061A (en) Method for welding by means of laser light
US8283592B2 (en) Laser welding method
US4995838A (en) Electrical terminal and method of making same
JP6604295B2 (ja) コイル部品の製造方法
JPH05205839A (ja) 絶縁被覆導体のろう付け方法
JP7059953B2 (ja) コイル部品の製造方法
US7770290B2 (en) Electrical connection method for plural coaxial wires
KR100290689B1 (ko) 절연와이어의 본딩방법 및 장치
WO2007142030A1 (ja) レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置
JPH03127472A (ja) 電線接続方法
JP3552189B2 (ja) ワイヤを有する電子部品
JP2904638B2 (ja) ロー付け方法及びロー付け接合体
JP2807748B2 (ja) 電気コネクタの組立方法及びそれに使用するはんだ付リードフレーム
JP3017142B2 (ja) プリント配線板の回路断線修理方法
JP7281463B2 (ja) テール部を有する電気圧着コネクタ
JP3090756B2 (ja) チップインダクタ
JPH05121277A (ja) アルミ箔に対するリード線のタブ付け方法
JP2001127426A (ja) 平型導体配線板の回路導体の接続方法及び接続構造
JP2008000793A (ja) レーザ溶接装置及びレーザ溶接方法
JP2001155807A (ja) テープ電線の接続方法およびその構造
JP2004063204A (ja) 導線の接合構造
JPS6050881A (ja) 被覆電気導線の配線接続方法
EA042832B1 (ru) Электрический обжимной соединитель с защитным элементом

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees