JPH0520532Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は日付や金額などの数字、記号を押捺す
る回転印に係り、特殊な印字ベルトを使つてイン
クスタンプを用いずに連続押捺できるようにした
ものである。

〔従来の技術〕

本考案は第１図および第２図に示すごとく、門
形フレーム１の左右側板２，２間にわたつて上部
に支軸３を、下端に縦断側面視においてＵ字形状
の受金４をそれぞれ架着し、前記支軸３に数個の
ダイヤル５を回転自在に支持し、各ダイヤル５と
前記受金４との間にエンドレスの印字ベルト６を
左右に並べて縦方向に巻き掛けた回転印を前提と
する。かかる回転印は従来より周知である。そこ
では各印字ベルト６に印字部７を等間隔置きに設
けてあり、各ダイヤル５で各印字ベルト６が手送
り回転操作できる。

この種の回転印でも、インクスタンプを必要と
せずに連続押捺ができれば便利である。かかる要
請に応えるものとして、基本的には前記受金４に
インク含浸体８を装着しておき、このインク含浸
体８に吸蔵せるインクを多孔性ゴム製の印字ベル
ト６に移行させる形態が、例えば実開昭54−
118212号、実公昭30−13405号公報および米国特
許第3955499号明細書などに公知である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、従来の公知例はインク含浸体に接触す
る印字ベルト６がインクの浸透を許す多孔性のゴ
ム材からなつている。

そのため、第１に印字ベルト６が高価につき、
量産性に難がある。第２に、その印字部７が凹凸
レリーフを以て突出形成されるところ、全体を多
孔性にする関係で特に印字部７が脆弱になつて欠
落しやすく、耐久性に劣る。第３に、多孔性の印
字部７は圧縮性に富み過ぎ、紙面に押圧したとき
過剰に圧縮してインク過多で印影のベタつきを招
き、それを防止するには別にストツパを要するな
ど構造の複雑化を招く。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、連続押捺を可能とする回転印
において、印字ベルトが安価に量産できるものと
することにある。

本考案の他の目的は、印字ベルトの印字部が欠
落することのない耐久性に優れたものを得るにあ
る。

本考案の更に他の目的は、簡単な構成を以て紙
面に強く押しても印影がベタつくことなく、鮮明
に連続押捺できるものとするにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、前記受金４内にインクを貯蔵してお
き、謄写版印刷の要領で該インクを印字ベルト６
の印字部７にのみ穿設した孔から紙面に通過させ
るようにしたものである。

すなわち、本考案は回転印において、前記受金
４内のＵ字溝にインクを吸蔵するインク含浸体８
を備えており、該受金４の底壁４ａに各印字ベル
ト６に対応させてインク流出孔９を内外貫通状に
形成する。

かくして各印字ベルト６は、これの外面側に印
字部７が等間隔置きに突設されているとともに、
該印字部７の裏面側に前記インク流出孔９に嵌合
する突部７ａが突設されており、該突部７ａを含
む各印字部７のみにインクを通す多数の小孔１３
が設けられたものとする。

〔作用〕

しかるときは、受金４内のインク含浸体８にイ
ンクが含浸されており、そのインクは受金底部の
流出孔９を通つて外部に流出可能である。ダイヤ
ル５を回転操作して各印字ベルト６の各印字部７
を受金４の底壁４ａの外面に案内すると、該当の
印字部７における裏面側の突部７ａが、対応する
インク流出孔９に嵌合し、節度的に該印字部７を
位置決めするとともに、該突部７ａがインク含浸
体８と接触する。この状態で紙面に押印すると、
インク含浸体８に吸蔵のインクが小孔１３群を介
して該印字部７の外面（印字面）に滲み出し、こ
れで押捺できることになる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、印字ベルト６は印字部７のみ
をその形象に従つて孔明きに構成するだけであ
り、従来のように多孔性のゴム材で加硫成形する
必要がない。したがつて、その素材および製作が
安価で量産性に適うものとでき、全体の製作コス
トを大幅に低減できる。しかも、印字ベルト６の
印字部７が欠落するといつた事態を招くことがな
い。紙面に強く押し過ぎたときに過剰なインクで
印影がベタつくといつたこともない。

更に各印字ベルト６には、これの外面側に印字
部７を等間隔置きに突設し、該印字部７の裏面側
に突部７ａを突設してあり、受金４の底壁４ａに
設けたインク流出孔９に該突部７ａが嵌合するも
のとした。従つて、ダイヤル５を回転操作して各
印字ベルト６中の目的の印字部７を受金４の底壁
４ａの外面に案内したとき、インク流出孔９と前
記突部７ａとの嵌合で該当の印字部７を節度を以
て確りと位置決めでき、かつ手答えで嵌合したこ
と、すなわち印字部７が正しく位置決めされてい
ることを確認できる。その結果、数個の印字ベル
ト６を左右に並べてある本考案の回転印におい
て、押捺時に各印字ベルト６の印字部７が不揃い
になることをよく防止できる。

各ダイヤル５でこれに巻き掛けた各印字ベルト
６を手送りする際に、各印字部７の突部７ａは各
ダイヤル５側に対する摩擦係合力を高める働きを
するから、印字ベルト６が空滑りすることもな
い。

にもかかわらず、受金４内のインク含浸体８に
吸蔵のインクは、受金底壁４ａのインク流出孔９
から印字ベルト６の各印字部７の小孔１３群を通
り、該印字部７の外面に滲み渡る。その際に、各
印字部７の突部７ａは対応する各インク流出孔９
に嵌合して、インク含浸体８に確実に接触すると
ともに、捺印毎に該突部７ａが該インク含浸体８
を押してインクがインク流出孔９から小孔１３群
に流出するのを促し、これにて紙面に鮮明な印影
を以て連続捺印ができるものとなる。

〔第１実施例〕 第１図ないし第３図は本考案の第１実施例を示
す。

第２図は本考案が対象とする回転印の一部切欠
き正面図であり、これの基本構成は既に述べた通
りである。

第１図において、前記受金４のＵ字溝は上面が
蓋１０で閉じられており、内部に柔軟なスポンジ
体などからなるインク含浸体８が詰め込まれてい
る。受金４の左右の一側に第２図に示すごとく栓
１１付きの補給孔１２を有し、この補給孔１２を
介して外部からインク含浸体８にインクが補給さ
れる。

第１図において、この受金４の偏平な底壁４ａ
の前後幅方向の中央には、左右長手方向にわたつ
て所定間隔置きに各印字ベルト６に対応する数個
のインク流出孔９をそれぞれ内外貫通状に透設し
てあり、受金４内に充填した柔軟なインク含浸体
８の一部が該流出孔９に入り込んでいる。これで
インク含浸体８に吸蔵されたインクが該流出孔９
を介して受金底壁４ａの外面に流出可能である。
但し、常態ではインクがインク含浸体８に含浸さ
れており、インク流出孔９の外方にボタ落ちしな
い。そして、各インク流出孔９の外面が各印字ベ
ルト６で塞がれた状態にある。

図示例の各印字ベルト６は、引張強度を有する
プラスチツクシート、例えばポリエステルシート
などからなり、等間隔置きに印字部７が形成され
ている。

第３図において、各印字部７は印字ベルト６の
外面側に突設したうえで、求める形象に従い多数
の小孔１３を穿ち、この点在する小孔群で孔明き
に構成してある。

かくして、受金４内のインク含浸体８の一部と
各印字ベルト６とを前記インク流出孔９を介して
直接に又は間接的に接触させる。間接的にとは各
印字ベルト６の下端に位置する印字部７を紙面に
押し付けたときに初めて接触し合う関係を意味す
る。その為の合理的な手段として、印字ベルト６
の印字部７には、裏面側に前記インク流出孔９に
遊嵌する突部７ａを突設してある。

しかるときは、前記ダイヤル５を回転操作して
各印字ベルト６の各印字部７を受金４の底壁４ａ
の外面に案内すると、前記突部７ａがインク流出
孔９に嵌合して節度的に位置決めがなされるとと
もに、該突部７ａがインク含浸体８と接触する。
この状態で紙面に押圧すると、突出する印字部７
のみが紙面に押圧され、印字部７を構成する小孔
１３群を介してインクが該印字部７の外面に滲み
出し、これで押捺できる。印字ベルト６の材質を
適度の弾性を有するものとしておけば、印字部７
が紙面の凹凸を吸収して密着し、押し心地が良く
鮮明な印影が出ることを保証する。また、突出印
字部７を介して前記突部７ａが受金４内に僅かに
押し込まれ、インク含浸体８を押してこれからイ
ンクを絞り出す働きをすることにもなる。さら
に、前記突部７ａはダイヤル５の受筒部との摩擦
係合力を高める働きをし、印字ベルト６の空滑り
をも有効に防止することになる。

ガラス、プラスチツク、金属等の表面に押捺す
るときは、速乾性インク（いわゆる不滅インク）
が用いられるが、とくにこの場合などには第１図
に示すごとく印字ベルト６の少なくとも１箇所に
孔を明けていない孔塞ぎ部１４を設けておき、こ
の孔塞ぎ部１４で前記流出孔９を不使用時に塞い
でおけばよい。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の第１実施例を示
しており、第１図は要部の縦断側面図、第２図は
回転印の全体を示す一部切欠き正面図、第３図は
本考案の構成部材のひとつである印字ベルトの一
部を示す正面図である。 １……門形フレーム、２……門形フレームの左
右の側板、３……支軸、４……受金、５……ダイ
ヤル、６……印字ベルト、７……印字部、７ａ…
…印字部の突部、８……インク含浸体、９……イ
ンク流出孔、１３……小孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 門形フレーム１の左右側板２，２間にわたつて
   上部に支軸３を、下端に縦断側面視においてＵ字
   形状の受金４をそれぞれ架着してあり、前記支軸
   ３に回転自在に支持した数個の各ダイヤル５と前
   記受金４との間に印字ベルト６を左右に並べて巻
   き掛けた回転印において、 前記受金４内のＵ字溝にインキを吸蔵するイン
   ク含浸体８を備えており、 前記受金４の底壁４ａに各印字ベルト６に対応
   させてインク流出孔９を内外貫通状に形成してあ
   り、 各印字ベルト６は、これの外面側に印字部７が
   等間隔置きに突設されているとともに、各印字部
   ７の裏面側に前記インク流出孔９に嵌合する突部
   ７ａが突設されており、該突部７ａを含む各印字
   部７のみにインクを通す多数の小孔１３が設けら
   れていることを特徴とする回転印。