JPH05196924A - 投射型液晶表示装置 - Google Patents

投射型液晶表示装置

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JPH05196924A
JPH05196924A JP4274998A JP27499892A JPH05196924A JP H05196924 A JPH05196924 A JP H05196924A JP 4274998 A JP4274998 A JP 4274998A JP 27499892 A JP27499892 A JP 27499892A JP H05196924 A JPH05196924 A JP H05196924A
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Yoshinori Hirai
良典 平井
Satoshi Niiyama
聡 新山
Tomonori Korishima
友紀 郡島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】液晶が固化物マトリクス中に分散保持された液
晶表示素子のヒステリシスに基づく焼付き現象を防止
し、大スクリーン上で美しい中間調の投射表示を得る。 【構成】液晶の屈折率異方性Δn を0.18以上とし、誘電
率異方性ΔεLCが 5<ΔεLC<13の関係を満たせしめ、
液晶固化物複合体のしきい値電圧以下の充分に低い電圧
に対する比誘電率εM と、液晶の誘電率異方性ΔεLC
の関係をΔεLC<1.45εM とした投射型液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ネマチック液晶が固化
物マトリクス中に分散保持された液晶表示素子、特に、
画素電極毎に能動素子を配置した液晶表示素子を用いた
投射型液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、近年その低消費電
力、低電圧駆動等の特長を生かしてパーソナルワードプ
ロセッサー、ハンドヘルドコンピューター、ポケットT
V等に広く利用されている。中でも注目され、盛んに開
発されているのが、画素電極毎に能動素子を配置した液
晶表示素子である。
【0003】このような液晶表示素子は当初は、DSM
(動的散乱)型の液晶を用いた液晶表示素子も提案され
ていたが、DSM型では液晶中を流れる電流値が高いた
め、消費電流が大きいという欠点があり、現在ではTN
(ツイストネマチック)型液晶を用いるものが主流とな
っており、ポケットTVとして市場に現われている。T
N型液晶では、漏れ電流は極めて小さく、消費電力が少
ないので、電池を電源とする用途には適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、能動素子を配
置した液晶表示素子をDSモードで使用する場合には、
液晶自身の漏れ電流が大きい。このため、各画素と並列
に大きな蓄積容量を設けなくてはならなく、かつ、液晶
表示素子自体の消費電力が大きくなるという問題点を有
していた。
【0005】TNモードにおいては、液晶自身の漏れ電
流は極めて小さいので、大きな蓄積容量を付加する必要
はないし、液晶表示素子自体の消費電力は小さくでき
る。しかし、TNモードでは、2枚の偏光板を必要とす
るので、光の透過率が小さいという問題点を有してい
る。特に、カラーフィルターを用いてカラー表示を行う
場合には、入射する光の数%しか利用できないこととな
り、強い光源を必要とし、そのため結果として消費電力
を増加させてしまう。
【0006】また、画像の投影を行う際には極めて強い
光源を必要とし、投影スクリーン上で高いコントラスト
が得られにくいことや、光源の発熱による液晶表示素子
への影響という問題点を有している。
【0007】そこで、TNモードの課題を解決すべく、
ネマチック液晶を樹脂マトリクス中に分散保持した液晶
樹脂複合体を使用して、その散乱−透過特性を利用した
10V以下の低電圧で駆動できるモードが提案されてい
る。
【0008】しかし、従来の液晶樹脂複合体において
は、その電圧−透過率特性にヒステリシスが存在する、
すなわち、昇圧時と降圧時において透過率が異なるとい
う課題を有し、そのため、表示画面の変化時に前画面の
情報が数秒以上にわたって残ってしまうという焼付き現
象が生ずることがあるという問題点を有していた。つま
り、焼付き現象とは、ものが焼けるということではなく
表示画面上に残像が発生するという意味である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、高輝度、高コ
ントラスト比を有し、中間調表示がきれいにでき、液晶
樹脂複合体のヒステリシスに基づく焼付き現象を低減し
た液晶表示素子を用いた高性能の投射型液晶表示装置を
提供するものである。
【0010】即ち、一対の電極付きの基板間に、屈折率
異方性Δn が0.18以上であり、誘電率異方性ΔεLCが 5
<ΔεLC<13の関係を満たすネマチック液晶が固化物マ
トリクス中に分散保持され、電圧の印加状態によりネマ
チック液晶の屈折率が変化し、一方の状態では固化物マ
トリクスの屈折率とほぼ一致して光が透過し、他方の状
態では固化物マトリクスの屈折率と一致しなく光が散乱
するようにされた液晶固化物複合体を挟持してなる液晶
表示素子と、投射用光源と、投射光学系とを組み合わせ
たことを特徴とする投射型液晶表示装置を提供するもの
である。
【0011】本発明によれば上記の構成をとることによ
り、透過−散乱型動作をする液晶樹脂複合体に特有のヒ
ステリシスに基づく焼付き現象を低減し、かつ高コント
ラスト比を有し、低電圧で駆動でき、大画面に投射する
ことのできる投射型液晶表示装置を得ることができる。
【0012】本発明の投射型液晶表示装置では、ネマチ
ック液晶が固化物マトリクス中に分散保持された液晶固
化物複合体を挟持した液晶表示素子を用いる。特に、正
の誘電異方性を有するネマチック液晶が固化物マトリク
ス中に分散保持され、その固化物マトリクスの屈折率が
使用する液晶の常光屈折率(n0)とほぼ一致するようにさ
れた液晶固化物樹脂複合体を用いることが好ましい。そ
して、液晶固化物複合体を、一対の電極付きの基板間、
特には画素電極毎に能動素子を設けたアクティブマトリ
クス基板と、対向電極を設けた対向電極基板との間に挟
持する。
【0013】この電極付きの基板はガラス、プラスチッ
ク、セラミック等の基板上に電極が設けられたものが使
用される。このアクティブマトリクス基板とは、ガラ
ス、プラスチック、セラミック等の基板上に電極と、薄
膜トランジスタ(TFT)、薄膜ダイオード、金属絶縁
体金属非線形抵抗素子(MIM)等の能動素子とが形成
された基板である。この各画素電極には夫々に1個乃至
複数個の能動素子が接続されている。
【0014】この対向電極基板とは、ガラス、プラスチ
ック、セラミック等の基板上に電極が形成され、アクテ
ィブマトリクス基板基板と組み合わせて、表示が可能な
ようにされている。
【0015】この一対の電極付きの基板間に、液晶固化
物複合体を挟持する。この液晶固化物複合体は、電圧の
印加状態により、液晶固化物複合体中の液晶の屈折率が
変化する。その固化物マトリクスの屈折率が、液晶の屈
折率とほぼ一致した時に、光が透過し、一致しない時に
光が散乱する。これには偏光板を用いていないので、明
るい表示が容易に得られる。
【0016】このようにして設けられた液晶表示素子
は、直視型表示素子、投射型表示素子の両方で一般的に
用いることができる。直視型表示素子として用いる場
合、得たい表示特性に応じて、バックライト、レンズ、
プリズム、ミラー、拡散板、光吸収体、カラーフィルタ
ーなどを組み合わせて表示装置を構成すれば良い。この
他、レーザー光のシャッターや反射型表示素子にも使用
できる。
【0017】そしてこの液晶表示素子は特に、投射型表
示装置に適しており、投射用光源、投射光学系などと組
み合わせて、投射型液晶表示装置とする。投射用光源、
投射光学系は従来から公知の投射用光源、レンズ等の投
射光学系が使用でき、通常は上記液晶表示素子を投射用
光源と投射レンズとの間に配置して用いられる。
【0018】本発明の投射型液晶表示装置に用いられた
液晶表示素子では、一対の電極付きの基板間、特にはア
クティブマトリクス基板と対向電極基板との間に、透過
−散乱型の液晶固化物複合体を挟持している。
【0019】具体的には、液晶表示素子として細かな孔
の多数形成された固化物マトリクスとその孔の部分に充
填されたネマチック液晶とからなる液晶固化物複合体を
用いる。この液晶固化物複合体を、アクティブマトリク
ス基板と、対向電極基板との間に挟持する。その電極間
への電圧の印加状態により、その液晶の屈折率が変化
し、固化物マトリクスの屈折率と液晶の屈折率との関係
が変化する。これら両者の屈折率が一致した時には透過
状態となり、屈折率が異なった時には散乱状態となるよ
うな液晶表示素子が使用できる。
【0020】この細かな孔の多数形成された固化物マト
リクスとその孔の部分に充填された液晶とからなる液晶
固化物複合体は、マイクロカプセルのような液泡内に液
晶が封じ込められたような構造である。しかし、個々の
マイクロカプセルが完全に独立していなくてもよく、多
孔質体のように個々の液晶の液泡が細隙を介して連通し
ていてもよい。
【0021】本発明に用いる液晶固化物複合体は、次の
ようにして製造される。ネマチック液晶と、固化物マト
リクスを構成する硬化性化合物とを混ぜ合わせて溶液状
またはラテックス状にする。次いで、これを光硬化、熱
硬化、溶媒除去による硬化、反応硬化等させて固化物マ
トリクスを分離し、固化物マトリクス中にネマチック液
晶が分散した状態をとるようにすればよい。
【0022】使用する硬化性化合物を、光硬化または熱
硬化タイプにすることにより、密閉系内で硬化できるた
め好ましい。特に、光硬化タイプの硬化性化合物を用い
ると、熱による影響を受けなく、短時間で硬化させるこ
とができ好ましい。
【0023】具体的な製法としては、従来の通常のネマ
チック液晶と同様にシール材を用いてセルを形成し、注
入口からネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混
合物を注入し、注入口を封止した後、光照射をするか加
熱して硬化させることもできる。
【0024】また、本発明における液晶表示素子の場合
には、シール材を用いなく、例えば、対向電極としての
透明電極を設けた基板上に、ネマチック液晶と硬化性化
合物との未硬化の混合物を供給し、その後、画素電極毎
に能動素子を設けたアクティブマトリクス基板を重ね
て、光照射等により硬化させることもできる。
【0025】もちろん、その後、周辺にシール材を塗布
して周辺をシールしてもよい。この製法によれば、単に
ネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混合物をロ
ールコート、スピンコート、印刷、ディスペンサーによ
る塗布等の供給をすればよいため、注入工程が簡便であ
り、生産性が極めてよい。
【0026】また、これらのネマチック液晶と硬化性化
合物との未硬化の混合物には、基板間隙制御用のセラミ
ック粒子、プラスチック粒子、ガラス繊維等のスペーサ
ー、顔料、色素、粘度調整剤、その他本発明の性能に悪
影響を与えない添加剤を添加してもよい。
【0027】電圧印加時に透過状態になる素子に、この
硬化工程の際に特定の部分のみに充分高い電圧を印加し
た状態で硬化させることにより、その部分を常に光透過
状態にすることができるので、固定表示したいものがあ
る場合には、そのような常透過部分を形成してもよい。
逆に、電圧印加時に散乱状態になる素子を用いた場合に
は、同様にして常散乱部分を形成できる。
【0028】なお、この液晶固化物複合体を使用した液
晶表示素子の透過状態での透過率は高いほどよく、散乱
状態でのヘイズ値は80%以上であることが好ましい。
【0029】本発明では、電圧を印加している状態で、
固化物マトリクス(硬化後の)の屈折率が、使用する液
晶の常光屈折率(no)と一致するようにされることが好ま
しい。これにより、固化物マトリクスの屈折率と液晶の
屈折率とが一致した時に光が透過し、一致しない時に光
が散乱(白濁)することになる。この素子の散乱性は、
従来のDSモードの液晶表示素子の場合よりも高く、高
いコントラスト比の表示が得られる。
【0030】本発明の最も大きな目的は、液晶固化物複
合体のヒステリシスに基づく焼付き現象を低減せしめ、
かつ低電圧で駆動できる液晶表示素子を用いて投射型液
晶表示装置を提供するものである。この投射型液晶表示
装置は、従来のものに比して、明るく高密度でコントラ
スのよい画面表示を提供することができる。特に、中間
調の必要な場合の表示に、その機能は有効に発揮でき
る。
【0031】従来の液晶固化物複合体においては、電圧
−透過率特性にヒステリシスが存在しそれが階調表示を
する際の問題点となっていた。ヒステリシスとは、電圧
を上昇する過程と電圧を降下させる過程において透過率
が異なるといった現象である。ヒステリシスが存在する
と、階調表示の際に前画面の情報が残ってしまう、即
ち、画像が焼き付くという現象が生じ、これが、画質を
低下させていた。
【0032】液晶固化物複合体においてヒステリシスが
存在する原因の一つは、液晶固化物複合体が、液晶が固
化物中に分散保持されているという構造による。即ち、
分離して固化物中に存在する液晶同士の相互作用によっ
てヒステリシスが存在すると考えられる。このヒステリ
シスの大小は、固化物中に保持される液晶中に蓄えられ
る弾性エネルギー、外から印加される電界による電気的
エネルギーと、分離して固化物中に存在する液晶同士の
相互作用エネルギーによって決定されるものである。従
って、このエネルギーバランスを最適化することによっ
てヒステリシスは低減することができ、階調表示の際に
も焼付きのない優れた表示を得ることができる。
【0033】本発明の目的は、高いコントラスト比、高
い輝度、優れた応答性を有し、ヒステリシスを低減した
液晶表示素子を得ることである。さらには、従来のTN
用の能動素子や駆動回路で駆動できる液晶表示素子を得
ることである。
【0034】液晶粒子が固化物マトリクス中に分散して
いることに伴うヒステリシスを低減するには、これらの
中でも、液晶の誘電率、その異方性ΔεLC並びに固化物
マトリクスの誘電率εP のバランスを取ることが重要で
ある。これは、それらが分散する粒子間の相互作用を決
定する主たる要因であるからである。ヒステリシスの低
減には、使用する液晶の誘電異方性ΔεLCが、 5 < ΔεLC < 13 (1) の関係を満たすことが好ましい範囲である。
【0035】このΔεLCは、ヒステリシス及び駆動電圧
の両方に関係する量であり、上限は、ヒステリシスの大
きさより、下限は駆動電圧より決められる。この条件は
ΔεLCが大きいほど、駆動電圧が低くなるという従来の
TN型液晶表示素子の常識からは一見不利に見える。
【0036】しかし、このような液晶粒子の分散した系
においては、駆動電圧がΔεLCの平方根に反比例すると
いう従来のTN型液晶表示素子の概念は成立しない。こ
れは、液晶部分とマトリクス部分への電圧配分が液晶の
配列により異なるためである。本発明のような液晶固化
物複合体では、ΔεLCは駆動電圧にあまり大きな影響は
示さず、ΔεLCが 5より大きな範囲であれは、ΔεLC
小さくすることにより駆動電圧が極めて高くなるという
ことはない。
【0037】また、ΔεLCがあまり大きな液晶を用いた
場合には、弾性定数の温度依存性がそのまま電圧透過率
特性の温度依存性を引き起こしてしまう問題点もあるの
で、ΔεLCは上記のような範囲にされる。これについて
は、弾性定数の説明の部分でもう少し詳しく説明する。
【0038】また、ヒステリシスの低減には、液晶固化
物複合体のしきい値電圧以下の充分に低い電圧に対する
誘電率εM と、使用する液晶の誘電率異方性ΔεLCが、 ΔεLC < 1.45εM (2) の関係を持つことが好ましい。
【0039】ΔεLCがこの範囲より大きいと、1つの液
晶粒子内の液晶の動きが、その粒子内の大きな誘電率変
化となる。その結果、その粒子の周辺に大きな電界変化
を生じさせるため、ヒステリシスを引き起こす要因であ
る液晶粒子間の電気的相互作用が大きくなってしまう。
このεM は固化物マトリクスの誘電率εP とも関係する
量であり、固化物マトリクスの誘電率εP が増大すると
液晶固化物複合体全体の誘電率εM は増大し、取りうる
ΔεLCの範囲も広がる。
【0040】液晶の屈折率異方性Δn は、電界非印加状
態での散乱性を高めて高コントラスト比を得るために
は、0.18≦Δn が必要であり、特に好ましくは0.20≦Δ
n とされる。液晶の常光屈折率noは固化物マトリクスの
屈折率npとほぼ一致することが好ましく、この時電界印
加時に高い透明性が得られる。具体的にはno−0.03<np
<no+0.05の関係を満たすことが好ましい。
【0041】液晶固化物複合体におけるヒステリシス
は、上記の要因が主要因として引き起こされるものであ
るが、光学素子または表示素子としての電気光学的なヒ
ステリシスは上記の弾性エネルギー、電気的エネルギ
ー、相互作用エネルギーのみにより決定されるわけでは
ない。即ち、光学的なヒステリシスは、液晶の配列にか
かわるヒステリシスが光学的にどのように反映されるか
にも依存する。例えば、液晶配列においてヒステリシス
が存在する領域が存在しても、それが光学的に全く反映
されなければ、電気光学的ヒステリシスは発生しない。
【0042】液晶配列と光学的特性を結び付ける最大の
要因は液晶の屈折率異方性Δn である。これは、Δn の
大きさにより、液晶配列の変化がどのくらい光学的変化
を引き起こすかが決定されるためである。Δn が大きけ
れば、電場等の外場により液晶の配列が変化した際の場
の屈折率変化は大きくなり、液晶配列の変化は光学的に
大きく反映される。Δn が小さければ、液晶配列が大き
く変化しない限り大きな光学的な変化は生じない。
【0043】従って、Δn が大きいほど液晶配列のヒス
テリシスが大きな電気光学的ヒステリシスとして現れて
しまうことになる。言い替えれば、液晶配列の対電圧特
性から光学特性への増幅率が、Δn が大きいほど大きく
なるということができる。
【0044】この観点より、電気光学的ヒステリシスの
低減にはΔn があるレベルより小さいことが望ましく、
具体的には、Δn ≦0.25の関係を満たすことが望まし
い。より望ましくは、Δn ≦0.24とされる。
【0045】また、駆動電圧を主として支配するのは、
液晶粒子の直径とその分布である。前者に関しては、液
晶固化物複合体の平均的な液晶粒子直径(平均粒子径)
R(μm)が、 0.2 < Δn ・R < 0.7 (3) となることが望ましい。これは、液晶の屈折率電界印加
時に固化物マトリクスの屈折率とが一致する素子の場
合、無電界時に散乱強度が大きくなり、かつ低電界で液
晶が駆動できる必要条件である。
【0046】Δn は、液晶固化物複合体の電気光学特性
の温度依存性とも、密接に関連する。Δn が0.18より大
きい範囲においては、 (3)式で規定される最適な液晶粒
子径が存在し、オフ時に高い散乱性または透過性を持っ
た素子を得ることができるが、Δn の値によって温度依
存性は大きく異なる。オフ時の1つの液晶粒子当りの散
乱能は X=Δn・R/λ(λは波長)の関数であるが、X の
増大に伴って最初散乱能は増大するが、徐々に一定値と
なり、その後散乱能は減少する。
【0047】そのため、この散乱能または透過性が一定
値となる条件で素子を構成すれば、Δn の変化によって
オフ時の散乱能または透過性がほとんど変化しない素子
を得ることができる。また、この場合、波長の変化に対
しても散乱能が変化しにくいということになり、オフ時
の散乱能または透過性が波長依存性の少ない素子が得ら
れるという利点をも有する。従って、カラー表示の際に
各色のバランスを容易に取ることができる。
【0048】このような条件を満たす具体的なΔn の範
囲としては、0.18≦Δn ≦0.24であり、これと (3)式に
よって決まるR を持つ素子は、温度によるオフ時の散乱
能または透過性の変化を著しく低減できる。例えば、Δ
n =0.21でR = 2.4μmの素子は、室温付近の温度域
(例えば、 0〜60℃)で、ほとんどオフ時の散乱能また
は透過性は変化しない。
【0049】また、液晶固化物複合体は、2値表示で駆
動する際、オフ状態と充分高い(飽和電圧以上の)オン
状態で駆動されるため、数十msec以下の応答性を有して
おり一般に高速表示に適したものである。しかし、階調
表示の際には中間調を表示するために飽和電圧よりも低
い電圧も用いられる。このため、2値表示駆動での応答
より遅い状態が存在する。階調表示時の応答性は低電圧
側での表示(暗い表示)ほど応答が遅くなる傾向があ
る。特に、オフ状態から低い透過率状態への変化が最も
遅く、2値表示駆動時の応答の数十倍以上遅くなること
もある。
【0050】この階調表示の際にも残像を減らすために
は、固化物マトリクス中に分散保持される液晶の屈折率
異方性Δn 、粘度η(cSt) が、 Δn2/η > 0.001 (4) とされることが好ましい。特には、 Δn2/η > 0.0014 (4A) の関係を満たすことが、電圧オフ時の応答を良くするた
め好ましい。
【0051】さらに、以下の関係を満たすことが好まし
い。 5 (K33/ η)0.5>R >(K33/ ΔεLC)0.5 (5) 特に、以下の関係を満たすことが好ましい。 4(K33/η)0.5>R >(K33/ ΔεLC)0.5 (5A) この範囲においては、階調表示時の各電圧における液晶
に働くトルクバランスがとれ、残像の少ない美しい中間
調表示が得られると共に、液晶の駆動に要する電界が低
く抑えられる。なお、ここで用いられる液晶の物性値は
室温での値である。
【0052】なお、上記の関係は、液晶の粒の形状がほ
ぼ球形の場合の関係である。本発明では、この形状を球
形でない形状としてさらにそのヒステリシス低減の効果
を改善することもできる。この場合、あまり複雑な凹凸
があるような形状は応答性は良いものの非常に高い駆動
電界を必要とするため好ましくなく、回転楕円体状の形
状が望ましい。また、この場合、長軸が一定方向に並ん
でいると、上記効果は生じない。このため、少なくとも
電極面への垂線に対して液晶の長軸がランダム、即ち、
2次元的にはランダムにされる。できれば3次元的にラ
ンダムになっていることが好ましい。
【0053】ここで、液晶の平均粒子径R は、散乱特
性、応答性、動作電界などと密接に関連する。 Rが大き
くなると駆動に必要な電界は小さくなるが、応答性は遅
くなる。また、 Rが小さくなると単位液晶量当りに蓄積
される弾性エネルギーは大きくなり応答速度は速くなる
ものの駆動に高い電界を必要となる。
【0054】液晶の粘度η、誘電率異方性ΔεLCも応答
性と深く関連する要因であり、粘度が小さいほど、誘電
率異方性が大きいほど応答速度は速くなる。また、Δε
LCは駆動に必要な電界とも関連し、ΔεLCが大きいほど
必要な電界は小さくなる。
【0055】液晶の弾性定数は液晶に蓄積される弾性エ
ネルギーを決定するが、液晶固化物複合体においては、
特にK33 によるベンドエネルギーが大きな役割を果た
し、応答特性、駆動特性すなわち液晶に働く弾性トルク
と深く関与する。ヒステリシスの低減のためには、弾性
定数K33 は大きいほうが有利であるが、K33 があまり大
きくなると、駆動電界の上昇につながる。このため、他
の液晶物性(例えばΔn、ΔεLC、η等)とのバランス
により、選択することができる。
【0056】また、電圧−透過率特性の温度依存性の点
から、前記したΔn とR の関係に加えて、温度により変
化する物理量である用いる液晶の誘電率異方性ΔεLC
弾性定数K11 、K33 を最適化する必要がある。
【0057】液晶固化物複合体においては、液晶が固化
物マトリクス中に分散保持されているために、印加され
た電圧は全てが液晶にかかるわけではなく液晶部分とマ
トリクス部分に分配される。一般に用いる液晶のΔεLC
が大きいほど液晶の大きい方の誘電率ε//は大きく、電
圧印加時にマトリクスに分配される電圧が増え、液晶部
分に分配される電圧は減少する。
【0058】このため、ΔεLCの大きな領域では、Δε
LCを大きくしても駆動電圧を下げる効果はほとんどなく
なってしまう。ΔεLCが大きな場合には、この理由か
ら、弾性定数が電圧透過率特性を主として支配する。従
って、ΔεLCが大きな液晶を用いた場合には、弾性定数
の温度依存性がそのまま電圧透過率特性の温度依存性を
引き起こすことになる。一方、ΔεLCを小さくするにつ
れ、液晶に配分される電圧は増加し、電圧透過率特性
は、ΔεLCと弾性定数の比により決定されるようにな
る。
【0059】温度の上昇により、ΔεLC、弾性定数の両
方とも減少する物理量であるため、それぞれの物理量を
適切に選ぶことにより、それぞれの温度変化をキャンセ
ルし、温度にほとんど依存しないかまたは依存性の少な
い電圧透過率特性を持った液晶固化物複合体を得ること
ができるようになる。
【0060】以上の観点から、液晶の誘電異方性ΔεLC
は前記のようにΔεLC<13とし、弾性定数K (K=(K11+
K33)/2) (10-12N)は、 1<K/ΔεLCの条件を満たすこ
とが好ましい。また、K/ΔεLCがあまり大きくなりすぎ
ると、駆動電圧の上昇につながるため、K/ΔεLC< 3と
することが好ましい。
【0061】なお、これらの温度依存性には液晶のクリ
アリングポイント(液晶から等方液体への転移温度)Tc
も重要であり、常用温度域よりもある程度以上高くない
と上記の効果は期待できない。これは、転移点付近の温
度では物理量の変化があまりにも急激であるからであ
る。従って、用いる液晶のTcは、使用温度域の中心温度
+30℃か使用上限温度+10℃のいずれか高い方の温度を
下回らないことが好ましい。先述の例である 0℃〜60℃
の温度域の場合、Tcは70℃を下回らないことが好まし
い。
【0062】固化物マトリクス中に分散保持される液晶
は、独立した粒子、または一部が連通した粒子であるこ
とが好ましい。これは、高い散乱能と低電圧で駆動した
際の高い透過性を両立させるために有効である。散乱は
液晶と固化物マトリクスの界面の存在により引き起こさ
れる。このため、この界面の面積が大きいほど散乱性は
向上する。
【0063】ある最適な平均粒子径で、この界面の面積
を増大させるためには、独立して固化物マトリクスと分
離した液晶量を多くする、即ち、液晶粒子密度を多くす
ることが重要である。しかしながら、固化物マトリクス
と分離した液晶量を増大していくと、いずれ夫々の液晶
粒子が連通するようになり、さらには液晶が全て連通し
た構造を取るようになる。これは固化物マトリクスと分
離した液晶界面の喪失につながるため、散乱能の低下に
つながる。
【0064】また、駆動電圧を低くするためには、固化
物マトリクス中に保持される夫々の液晶がほぼ等しい駆
動電界を持つことが重要である。このためには、液晶が
明確な界面を固化物マトリクスとの間に持つ方が有利で
あり、界面の喪失は駆動電界の分散につながり、コント
ラスト比の低下と駆動電圧の上昇を生じる傾向がある。
このため、固化物マトリクス中に分散保持される液晶
は、高密度に存在する独立粒子または一部が連通した粒
子であることが好ましい。
【0065】この液晶の粒子径は、均一であることが好
ましい。粒子径に分布がある場合、大きな液晶粒子は散
乱能の低下に、小さな液晶粒子は駆動電界の上昇につな
がり、結果として、駆動電圧の上昇とコントラストの低
下を招く。粒子径の分散σは平均粒子径の0.25倍以内が
望ましく、0.15倍以内がより好ましい範囲である。な
お、平均粒子径、分散は体積で重み付けをした平均、分
散である。
【0066】用いる液晶の選定は、 (1)式及び(2) 式に
示した誘電異方性ΔεLC、(3) 式に示した屈折率異方性
と平均粒子径との関係をも考慮して行えばよい。具体的
には、Δn は、0.18以上とされる。
【0067】電極基板間隙d に関しては、電界印加時に
透過状態になる素子の場合、 dを大きくすると、無電界
時の散乱性は向上する。しかし、 dがあまり大きすぎる
と、電界印加時の充分な透明性を達成するために高い電
圧を必要とし、消費電力の増大や、従来のTN用の能動
素子、駆動用ICが使用できないといった問題が生じて
くる。また、 dを小さくすると、低電圧で高い透明性が
得られるが、無電界時の散乱性は減少していく。
【0068】このため、無電界時の散乱性と電界印加時
の高透明性を両立させるためには、d(μm)が、 3R < d < 9R (6) を満足し、さらには、液晶固化物複合体に印加される最
大実効印加電圧V(V) が、 0.6R・V< d < 1.6R・V (7) の関係を満たすことが好ましい。この範囲内では、従来
のTN用の能動素子、駆動用ICを用いて高いコントラ
スト比を有する表示が可能である。
【0069】なお、上記素子を反射型で用いる場合に
は、光は2度液晶固化物複合体を通過するので、散乱時
の散乱性が増大する。従って、 (6)式の範囲内で、d を
薄くすることが可能で、 (7)式によって決められる最大
駆動電圧も低減できる。
【0070】上記の説明では、単独の液晶表示素子の場
合を説明している。投射型液晶表示装置等に用いるよう
に、例えば3個の液晶表示素子を用い、RGB3色の光
を各液晶表示素子に分けて透過させる場合には、各色毎
に前記の各式を満足するようにする。さらに、各色毎に
その特性を揃えておくことが好ましい。
【0071】具体的には、使用する光の中心波長λに対
する液晶表示素子のΔn 、R 、d の関係を下記の(8) 式
及び(9) 式を同時に満足するか、または(10)式を各色毎
にほぼ一定になるように調整することが好ましい。これ
により、各色光毎にほぼ揃った光の透過−散乱性能が得
られる。
【0072】 Δni・Ri/λi ≒Δnj・Rj/λj (8) di/Ri≒dj/Rj (9) Δni・di 2 /λi ≒Δnj・dj 2 /λj (10) なお、i,j は各色を表す。
【0073】また、無電界時の散乱性を向上させるに
は、液晶固化物複合体の動作可能な液晶の体積分率Φを
増加させることが有効である。具体的にはΦ>20%が好
ましく、より高い散乱性を有するにはΦ>35%が好まし
く、さらにはΦ>45%が好ましい。一方Φがあまり大き
くなると、液晶固化物複合体の構造安定性が悪くなるた
め、Φ<70%が好ましい。
【0074】本発明の投射型液晶表示装置に用いた液晶
表示素子は、液晶の常光屈折率(no)が固化物マトリクス
の屈折率と一致するようにすることにより、電界が印加
されていない場合は、基板に垂直方向には配列していな
い液晶と、固化物マトリクスの屈折率の違いにより、散
乱状態(つまり白濁状態)を示す。このため、電極のな
い部分は光が散乱される。
【0075】このようにして、画素部分以外の部分は光
が散乱されるので、遮光膜を設けなくても、光が投射ス
クリーンに到達しないため、黒く見える。このことによ
り、画素電極以外の部分からの光の漏れを防止するため
に、画素電極以外の部分を遮光膜等で遮光する必要がな
い。このため、遮光膜の形成工程が不要となるという利
点も有する。
【0076】これに所望の画素に電界を印加する。この
電界を印加された画素部分では、液晶が電界方向に配列
し、液晶の常光屈折率(no)と固化物マトリクスの屈折率
(np)とが一致する。これにより透過状態を示し、当該所
望の画素で光が透過することとなり、投射スクリーンに
明るく表示される。
【0077】この素子に、この硬化工程の際に特定の部
分のみに充分に高い電圧を印加した状態で硬化させてや
ることにより、その部分を常に光透過状態とすることが
できる。固定表示したいものがある場合には、そのよう
な常透過部分を形成してもよい。
【0078】また、本発明においては、カラーフィルタ
ーを設けることによりカラー表示を行うことができる。
このカラーフィルターは、1個の液晶表示素子に3色設
けてもよいし、1個の液晶表示素子に1色設けてもこれ
を3個組み合わせてもよい。このカラーフィルターは、
基板の電極面側に設けてもよいし、外側に設けてもよ
い。
【0079】また、液晶固化物複合体中に染料、顔料等
を混入しておくことにより、カラー表示を行うようにし
てもよい。
【0080】図1は、本発明の投射型液晶表示装置に用
いた液晶表示素子の断面図である。この図1において、
1は液晶表示素子、 2はアクティブマトリクス基板用の
ガラス、プラスチック等の基板、 3はITO(In2O3-Sn
O2)、SnO2等の画素電極、 4はトランジスタ、ダイオー
ド、非線形抵抗素子等の能動素子、 5は対向電極基板用
のガラス、プラスチック等の基板、 6はITO、SnO2
の対向電極、 7は両基板間に挟持された液晶固化物複合
体を示している。
【0081】図2は、図1の液晶表示素子を用いた投射
型液晶表示装置の模式図である。この図2において、11
は投射用光源、21は液晶表示素子、13はレンズ、アパー
チャー等を含む投射光学系、14は投射する投射スクリー
ンを示している。なお、投射光学系はこの例では、孔の
あいた板であるアパーチャーやスポット15、集光レンズ
16、投射レンズ17を含んでいる。
【0082】図3は、本発明のフルカラーの投射型液晶
表示装置のダイクロイックプリズムを用いた例の模式図
である。図3において、21は光源、22は凹面鏡、23はコ
ンデンサーレンズ、24は分光用ダイクロイックプリズ
ム、25A、25B、25C、25D は鏡であり、21〜25D で色光源を
構成する。26A、26B、26C は各色に対応した液晶固化物複
合体を挟持した液晶表示素子、27は合成用ダイクロイッ
クプリズム、28は投射レンズ、29は直進光以外を除去す
るためのアパーチャー、30は投射する投射スクリーンで
ある。27〜29で投射光学系を構成している。
【0083】この例では、直進光以外の拡散光を除去す
るためのアパーチャーが1個ですみ、光軸が1本なので
調整が容易であり、投射スクリーンまでの距離が可変に
できる利点がある。
【0084】図4は、本発明のフルカラーの投射型液晶
表示装置のダイクロイックプリズムを用いない例の模式
図である。図4において、31は光源、32は凹面鏡、33は
コンデンサーレンズ、35A、35B、35C はダイクロイック鏡
であり、31〜35C で色光源を構成する。36A、36B、36C は
各色に対応した液晶固化物複合体を挟持した液晶表示素
子、38A、38B、38C は各色毎に設けられた投射レンズ、39
A、39B、39C は各色毎に設けられた直進光以外を除去する
ためのアパーチャー、40は投射するスクリーンである。
38A 〜39C で投射光学系を構成している。
【0085】本発明の能動素子としてTFT等の3端子
素子を使用する場合、対向電極基板は全画素共通のベタ
電極を設ければよい。MIM素子、PINダイオード等
の2端子素子を用いる場合には、対向電極基板はストラ
イプ状のパターニングをされる。
【0086】また、能動素子として、TFTを用いる場
合には、半導体材料としてはシリコンが好適でありる。
特に多結晶シリコンは、非結晶シリコンのように感光性
がないため、光源からの光を遮光膜により遮光しなくて
もまたは厳密な遮光膜でなくても誤動作しにくく、好ま
しい。この多結晶シリコンは、本発明のように投射型液
晶表示装置として用いる場合、強い投射用光源を利用で
き、明るい表示が得られる。
【0087】また、従来のTN型液晶表示素子の場合に
は、画素間からの光の漏れを抑止するために、画素間に
遮光膜を形成することが多い。この際に、ついでに能動
素子部分にも同時遮光膜を形成することができる。この
ため、能動素子部分に遮光膜を形成することは全体の工
程にあまり影響を与えない。即ち、能動素子として多結
晶シリコンを用いて、能動素子部分に遮光膜を形成しな
いことにしても、画素間に遮光膜を形成する必要があれ
ば、工程を減らすことはできない。
【0088】これに対して、本発明では、前述の如く、
固化物マトリクスの屈折率が使用する液晶の常光屈折率
(no)とほぼ一致するようにされた液晶固化物複合体を使
用することができる。このため、電界を印加しない部分
では光が散乱して投射された投射スクリーン上では黒く
なるため、画素間に遮光膜を形成しなくてよい。一方、
能動素子として多結晶シリコンを用いる場合、能動素子
部分に遮光膜を形成しなくてもよい。このため、遮光膜
を形成する工程をなくすことができ、生産性が向上す
る。
【0089】なお、非結晶シリコンを用いても、その半
導体部分に遮光膜を形成すれば、使用することができ
る。また、電極は通常は透明電極とされるが、反射型の
液晶表示装置として使用する場合には、クロム、アルミ
ニウム等の反射電極としてもよい。
【0090】本発明の液晶表示素子及び液晶表示装置
は、このほか赤外線カットフィルター、紫外線カットフ
ィルター等を積層したり、文字、図形等を印刷したりし
てもよいし、複数枚の液晶表示素子を用いたりするよう
にしてもよい。さらに、本発明では、この液晶表示素子
の外側にガラス板、プラスチック板等の保護板を積層し
てもよい。これにより、その表面を加圧しても、破損す
る危険性が低くなり、安全性が向上する。
【0091】本発明では、前述の液晶固化物複合体を構
成する硬化性化合物として光硬化性化合物樹脂を用いる
場合、光硬化ビニル系化合物の使用が好ましい。具体的
には、光硬化性アクリル系化合物が例示され、特に、光
照射によって重合硬化するアクリルオリゴマーを含有す
るものが好ましい。
【0092】本発明で使用される液晶は、ネマチック液
晶である。特に、正の誘電異方性を有するネマチック液
晶であり、固化物マトリクスの屈折率がその液晶の常光
屈折率(no)と一致するような液晶を用いることが好まし
い。これは、単独で用いても組成物を用いても良いが、
動作温度範囲、動作電圧など種々の要求性能を満たすに
は組成物を用いた方が有利といえる。
【0093】また、この液晶は、光硬化性化合物を用い
た場合には、光硬化性化合物を均一に溶解することが好
ましい。そして、光露光後の硬化物は溶解しない、もし
くは溶解困難なものとされる。液晶の組成物を用いる場
合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いものが望ま
しい。
【0094】この液晶組成物は、液晶分子の末端あるい
はそのo-位(オルト位)のいずれかあるいは両方に極性
基を持つようなΔεLCが大きいNp化合物(正の誘電異方
性を有するネマチック液晶)を複数種類混合して作成し
ても良いし、それらに|ΔεLC|≦2.0 で表されるよう
な誘電異方性の小さい化合物を併用して作成しても良
い。
【0095】一般に、未硬化時には硬化性化合物と均一
に溶解し、硬化後はマトリクスとよく相分離することが
好ましい。このためには、凝集エネルギーが適度に異な
る複数の液晶性化合物またはさらにそれに類似した構造
を有する化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
このことから、ΔεLCが大きい化合物とΔεLCが小さい
(|ΔεLC|≦2.0 )化合物とを併用して用いることが
好ましい。特に、この比(ΔεLCが大きい化合物/Δε
LCが小さい(|ΔεLC|≦2.0 )化合物)を重量比で、
20/80〜75/25とすることが好ましい。
【0096】液晶性化合物としては、以下のような一般
式を有する化合物がある。 R1-(A1)-Y1-(A2)-R2 R1-(A1)-Y1-(A2)-Y2-(A3)-R2 R1-(A1)-Y1-(A2)-Y2-(A3)-Y3-(A4)-R2
【0097】上記式において、R1は炭素数 1〜10のアル
キル基、アルコキシ基、アルケニル基等であり、R2は炭
素数 1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル
基、それらの水素原子をハロゲン原子に置換した基、ハ
ロゲン原子、シアノ基、チオシアナト基等である。A1
A2、A3、A4は1,4-ジ置換フェニレン基、トランス-1,4-
ジ置換シクロヘキシレン基、2,5-ジ置換ピリジニレン
基、2,5-ジ置換ピリミジニレン基等の環であり、その一
部がアルキル基、-F,-Cl等で置換されていてもよい。
Y1、Y2、Y3は単結合あるいは-COO-,-OCO-,-C≡C-,-CH=C
H-,-CH2CH2-,-CH2O-,-OCH2- 等の基である。
【0098】ΔεLCが大きい化合物の場合には、上記式
のR2がその水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキ
ル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子、シアノ基、
チオシアナト基等である化合物が例示される。また、Δ
εLCが小さい化合物の場合には、上記式のR2が単なるア
ルキル基、アルコキシ基、アルケニル基等である化合物
が例示される。
【0099】なお、これは単なる例示にすぎなく、これ
ら以外にもΔεLCの大きさを満足する化合物はあるし、
逆に上記例示の化合物であってもΔεLCの大きさを満足
しない化合物はありうる。このため、各化合物のΔ
εLC、Δn 、相安定性、クリアリングポイント(Tc)、粘
度、弾性率等を考慮しつつ適宜選択すれば良い。
【0100】液晶固化物複合体を製造する場合、次のよ
うな製法がある。1つは従来の通常の液晶表示素子のよ
うに一対の基板を電極面が対向するように配置して、周
辺をシール材でシールして、注入口から未硬化の液晶固
化物複合体用の混合液を注入して、注入口を封止する製
法である。もう1つは、基板上に硬化性化合物と液晶と
の混合物を供給し、対向する基板を重ね合わせる製法で
ある。
【0101】本発明に用いることのできる液晶表示素子
は、その液晶中に2色性色素や単なる色素、顔料を添加
したり、硬化性化合物として着色したものを使用したり
してもよい。
【0102】本発明においては、液晶固化物複合体とし
て液晶を溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合
物を硬化させることにより、硬化時に不要となる単なる
溶媒や水を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で
硬化できるため、従来のセルへの注入という製造法がそ
のまま採用でき、信頼性が高くなる。さらに、光硬化性
化合物で 2枚の基板を接着する効果も有するため、より
信頼性が高くなる。
【0103】このように液晶固化物複合体とする構造を
とることにより、上下の透明電極が短絡する危険性が低
くなる。さらに、通常のTN型の表示素子のように配向
や基板間隙を厳密に制御する必要もなく、透過状態と散
乱状態とを制御しうる液晶表示素子を極めて生産性良く
製造できる。
【0104】投射用光源、投射光学系、投射スクリーン
等は従来からの投射用光源、投射光学系、投射スクリー
ンが使用でき、投射用光源と投射光学系との間に本発明
の液晶表示素子を配置すればよい。もちろん、複数の液
晶表示素子の像を光学系を用いて合成して表示するよう
にしてもよい。これらの投射用光源に用いられる光源と
しては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセ
ノンランプ等があり、凹面鏡、コンデンサーレンズ等を
組み合わせて光の利用効率を上げることができる。ま
た、これに冷却系を付加したり、LED等のチャンネル
表示等を付加したりしてもよい。
【0105】特に、この投射型の表示をする場合、光路
上に拡散光を減ずる装置、例えば、図2の15で示される
ようなアパーチャーやスポットを設置することがによ
り、表示コントラストを大きくすることができる。
【0106】即ち、拡散光を減ずる装置とは、液晶表示
素子を通過した光の内、入射光に対して直進する光(画
素部分が透過状態の部分を透過する光)を取り出し、直
進しない光(液晶固化物複合体が散乱状態の部分で散乱
される光)を減ずるものであればよい。特に、直進する
光は減ずることなく、直進しない光(拡散光)を減ずる
ことが好ましい。
【0107】具体的な装置としては、図2のように、液
晶表示素子と投射光学系とで構成され、液晶表示素子1
2、集光レンズ16、孔のあいた板であるアパーチャーや
スポット15、投射レンズ17を設けたものがある。
【0108】この例によれば、投射用光源からでて液晶
表示素子12を通過した光の内、入射光に対して直進する
光は集光レンズ16により集光され、アパーチャーやスポ
ット15に開けられた孔を通過して、投射レンズ17を通し
投射される。一方、液晶表示素子12で散乱させられた直
進しない光は、集光レンズ16により集光されても、アパ
ーチャーやスポット15に開けられた孔を通過しない。こ
のため、散乱光が投射されないことになり、コントラス
ト比が向上する。
【0109】また、他の例としては、アパーチャーやス
ポット15の代りに、小さな面積を有する鏡を同じ位置に
斜めに配置し、反射させてその光軸上に配置された投射
レンズを通して投射させることもできる。また、このよ
うな集光レンズを用いることなく、投射レンズにより光
線が絞られる位置にスポット、鏡等を設置してもよい。
また、特別なアパーチャー等を用いなくとも、投射用レ
ンズの焦点距離、口径を、散乱光が除去されるように選
択してもよい。
【0110】また、マイクロレンズ系なども用いること
もできる。具体的には、液晶表示素子の投射光学系側に
マイクロレンズアレーと細やかな穴がアレー化されたス
ポットアレーを配置して、不要な散乱光を除去すること
ができる。この場合、散乱光除去に必要な光路長を非常
に短くすることができるため全体の投射型表示装置をコ
ンパクトにできるという利点を持つ。光路長の短縮に関
しては、投射光学系の中に散乱除去系を組み込むことも
有効である。この場合、独立に投射光学系と散乱除去系
を設置するより光学系がシンプルになると共に、サイズ
を小さく抑えることができる。
【0111】これらの光学系は、ミラー、ダイクロイッ
クミラー、プリズム、ダイクロイックプリズム、レンズ
などと組み合わせ、画像の合成、カラー化ができる。ま
た、カラーフィルターと組み合わせることによっても画
像のカラー化が可能である。
【0112】投射スクリーン上に到達する直進成分と散
乱成分との比は、スポット、鏡等の径及びレンズの焦点
距離により制御可能で、所望の表示コントラスト、表示
輝度を得られるように設定すれば良い。
【0113】図2のような拡散光を減ずる装置を用いる
場合、表示の輝度を上げるためには、投射用光源から液
晶表示素子に入射される光はより平行であることが好ま
しい。そのためには、高輝度でかつできるだけ点光源に
近い光源と、凹面鏡、コンデンサーレンズ等を組み合わ
せて投射用光源を構成することが好ましい。
【0114】また、上記の説明では、主として透過型液
晶表示装置で説明したが、反射型の投射型液晶表示装置
であってもよい。例えば、スポットの代わりに小型の鏡
を配置して必要な光のみを取り出すようにすることがで
きる。
【0115】本発明の素子は、中間調表示を行うアクテ
ィブマトリクス液晶表示素子として優れた特性を持つ
が、他の非アクティブ駆動方式(スタティック駆動、マ
ルチプレクス駆動)にも有効である。特に、マルチプレ
クス駆動に関しては、従来の素子と比べて格段に有利で
ある。マルチプレクス駆動では、オフ電圧とオン電圧の
電圧の差により、駆動を行うわけであるが、液晶樹脂複
合体では、電圧透過率特性のシャープネスとヒステリシ
スの有無が、マルチプレクス時の光学特性に大きな役割
を果たす。
【0116】電圧透過率特性が鋭いしきい値特性を持て
ば、マルチプレクス駆動に適しており、特性が鋭いほど
同時に駆動するライン数を大きくできるため、より高密
度の表示が達成可能となる。しかしながら、大きなヒス
テリシスが存在すると、透過率は電圧昇圧時と降圧時に
より異なり、マルチプレクス駆動時のコントラストの低
下、表示ムラなどにつながってしまう。
【0117】本発明においては、鋭いしきい値特性と、
低ヒステリシスを同時に達成できるため、マルチプレク
ス駆動において、従来にない優れたコントラストと均一
性を持った表示を達成することが可能である。
【0118】また、ヒステリシス低減には、分散する液
晶粒子形状に歪を加えたり、駆動波形に変調を加えるな
ど、他の手法も存在するが、本発明の素子においては、
エネルギーロスなく、即ち、駆動電圧を上昇させること
なくヒステリシスを低減することができるといった点
で、他の手法と比べて有利である。もちろん、本発明の
手法に加えて、上記のような他の手法を組み合わせて用
いることは、相乗効果として有効に働くため、用いる液
晶、マトリクス材料、駆動電圧、応答特性などを考慮し
た上で、組み合わせて用いることができる。
【0119】
【作用】本発明によれば、高いコントラスト比の表示が
得られ、投射型表示で用いられた場合には、透過−散乱
型の液晶表示素子が透過状態の部分では光が透過し、投
射スクリーンは明るく表示され、散乱状態の部分では光
が散乱され、投射スクリーンは暗く表示され、所望の高
輝度、高コントラスト比の表示が得られる。
【0120】特に、本発明では、前記のような構成を有
しているので、ヒステリシスが低減され、像の焼付きが
低減されている。このため、美しい中間調の表示が可能
になり、従来のTN用のアクティブマトリクス液晶表示
素子に使用したような能動素子や駆動用ICを用いて、
階調の細やかな動画表示が容易にできる。
【0121】
【実施例】
実施例1 誘電異方性ΔεLCが10.5、屈折率異方性Δnが0.24、弾
性定数K11 が12×10-12N、K33 が15×10-12N、粘度ηが
約35cSt の正の誘電異方性のネマチック液晶と、アクリ
レートモノマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、光
反応開始剤を均一に溶解して、未硬化の混合物を製造し
た。
【0122】一方、多結晶シリコンTFTが画素毎に形
成されたアクティブマトリクス基板と、全面ベタ電極が
形成された対向電極基板とを、周辺部に配置したシール
材でシールして、電極基板間隙13μmのセルを形成し
た。このセルに、前記の未硬化の混合物を注入した後、
紫外線露光により硬化させ、液晶樹脂複合体とした。こ
の液晶表示素子の駆動電圧は約 7Vであった。
【0123】しきい値電圧以下( 0.3V)で誘電率εM
を測定したところ、1kHzで約8.7 であった。この素子を
ビデオ信号で駆動したところ中間調表示に優れた動画表
示が得られた。また、画像の切り替え時に、画像の焼付
き(数秒以上にわたる画像の残り)は見られなかった。
【0124】この液晶表示素子と、光源系、投射光学系
を組み合わせて、投射型表示装置とした。スクリーン上
に画像を投影したところ、非常に明るい動画像が得ら
れ、中間調に優れた表示であった。スクリーン上でコン
トラスト比を測定したところ、約150:1 であった。な
お、投射光学系の集光角( 2tan-1(Φ/2f)で表され、Φ
はアパーチャー(スポット)の直径、 fはレンズの焦点
距離を表す。)は、全角で約 5度であった。
【0125】実施例2〜5、比較例1〜4 誘電異方性と屈折率異方性を変化させた液晶を用いて、
実施例1と同様に液晶表示素子を作成した。なお、駆動
電圧をほぼ揃えるために、電極基板間隙を夫々の液晶に
合わせて調整した。
【0126】ここで、駆動電圧は全て 7Vである。夫々
の液晶の誘電異方性ΔεLC、屈折率異方性Δn 、電極基
板間隙d(μm) 、液晶樹脂複合体の 0.3Vでの誘電率ε
M (1kHz)、液晶の弾性定数K11(×10-12N) 、K33(×10
-12N) 、粘度η(cSt) 、実施例1と同じ光学系を用いて
投射型とした場合のスクリーン上コントラスト比CR、ヒ
ステリシスHを、表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】なお、表中のヒステリシスは、比較例4の
電圧−透過率特性におけるヒステリシスの大きさを1と
した場合の相対値を示している。また、これらの液晶樹
脂複合体中の液晶の平均直径は約 2.0μmであった。実
施例5に用いた液晶は透明点Tcが80℃であり、平均粒子
直径R は約 2.5μmであり、この液晶表示素子の駆動電
圧は約 7Vであった。この液晶表示素子の温度を変えて
スクリーン上でコントラスト比を測定したところ、素子
温度10〜60℃(周囲温度 0〜50℃)において、コントラ
スト比の変化はほとんどなく、約120以上の値が得られ
た。
【0129】また、飽和透過率の50%の透過率を示す電
圧V50 は温度に対してあまり変化せず、10℃で 4.8V、
60℃で 4.0Vであった。また、液晶表示素子に入射する
光を赤、緑、青と変化させたところ、この素子は素子温
度が30℃(周囲温度20℃)で、いずれの色に対しても約
120以上の高いコントラスト比を示した。
【0130】また、比較例3に用いた液晶は透明点Tc
70℃であり、この液晶表示素子の駆動電圧は約 8Vであ
った。この液晶表示素子の温度を変えてスクリーン上で
コントラスト比を測定したところ、素子温度10〜60℃
(周囲温度 0〜50℃)において、コントラスト比が大き
く変化した。即ち、素子温度10℃で約170 、素子温度60
℃で約7 であり、コントラスト比が約 100以上であった
のは、10〜35℃の範囲であった。また、飽和透過率の50
%の透過率を示す電圧V50 は温度に対して大きく変化
し、10℃で 6.3V、60℃で 2.6Vであった。
【0131】また、液晶表示素子に入射する光を赤、
緑、青と変化させたところ、この素子は素子温度が30℃
(周囲温度20℃)で、緑と青に対しては約 120以上の高
いコントラスト比を示したが、赤に対しては約60のコン
トラスト比であった。
【0132】実施例6 実施例1の液晶表示素子を、液晶は同じ液晶を用いた
が、RGB毎に電極基板間隙dR、dG、dB、及び液晶の平
均粒子径RR、RG、RBを変えたものを製造した。赤用とし
ては、dR=14.5μm、RR= 2.1μm、緑用としては、dG
=12.0μm、RG=1.9μm、青用としては、dB=10.5μ
m、RB= 1.7μmとした。
【0133】この3個の液晶表示素子を、ダイクロイッ
クミラーで光を分光した経路内に配置し、再度集光して
投射するようにした。投射用光源及び投射光学系につい
ては、実施例1と同様のものを使用した。このカラー投
射型液晶表示装置は、高コントラスト比で焼付きのない
中間調のきれいな投射画像が得られた。さらに駆動回路
側で複雑な色調整を行わなくても色バランスの良い投射
画像が得られた。
【0134】実施例7 実施例1の液晶表示素子を、液晶は同じ液晶を用いた
が、RGB毎に電極基板間隙dR、dG、dBのみを変えたも
のを製造した。赤用としては、dR=12.5μm、緑用とし
ては、dG=11.0μm、青用としては、dB=10.5μmとし
た。なお、液晶の平均粒子径は全てR = 1.8μmとし
た。
【0135】この3個の液晶表示素子を、実施例6と同
様に配置して投射型液晶表示装置ととした。このカラー
投射型液晶表示装置は、実施例6よりはややコントラス
ト比が低下したが、高コントラスト比で焼付きのない中
間調のきれいな投射画像が得られた。さらに駆動回路側
で複雑な色調整を行わなくても色バランスの良い投射画
像が得られた。
【0136】実施例8 実施例3とほぼ同様にして液晶表示素子を3枚作成し、
投射型表示装置とした。ただし、全ての電極基板間隙11
μmとし、RGBの3色に対応した素子とし、画素電極
はアルミニウム電極とし、 1個のダイクロイックプリズ
ムを色分離及び色合成の兼用として用いた反射型の投射
光学系を用いてカラー投射型表示装置とした。
【0137】最大印加電圧を 8Vとして駆動したとこ
ろ、非常に明るく中間調表示に優れた表示が得られた。
スクリーン上でのコントラスト比は約 100であった。な
お、投射光学系の集光角は約10°とした。夫々の色に対
し、素子の透過率の電圧依存性は若干の違いがあったた
め、駆動電圧を各色毎に変化させ、カラーバランスをと
り、カラーの動画表示を得た。
【0138】
【発明の効果】本発明に用いた液晶表示素子では、アク
ティブマトリクス基板と対向電極基板との間等の一対の
基板間に挟持される液晶材料として、電気的に散乱状態
と透過状態とを制御しうる液晶固化物複合体を挟持した
構成としているため、偏光板が不要であり、透過時の光
の透過率を大幅に向上できる。
【0139】また、正の誘電異方性を有するネマチック
液晶を用い、その樹脂マトリクスの屈折率が使用する液
晶の常光屈折率(nO)とほぼ一致するようにすることによ
り、電界が印加されない状態で高い散乱性を有し、電界
を印加した状態で高い透過性を有する。そして、従来の
TN型液晶表示素子用の駆動用ICを用いた駆動におい
ても、高コントラスト比を有し、かつ高輝度の表示が可
能になる。
【0140】さらに、本発明によれば、階調駆動を行っ
た際にも、中間調がきれいにでた階調表示ができ、ヒス
テリシスに基づく焼付き現象を低減することができる。
このため、本発明の投射型液晶表示装置では、画像の焼
付きがなく、明るくコントラストの良い投射型表示装置
が得られる。また、光源も小型化できる。また、温度に
よる散乱能の変化が少なく、温度による電圧−透過率特
性の変化が少ないので、広い温度範囲で安定した階調駆
動が容易にできる。
【0141】また、偏光板を用いなくてもよいため、光
学特性の波長依存性が少なく、光源の色補正等がほとん
ど不要になるという利点も有している。また、TN型液
晶表示素子に必須のラビング等の配向処理やそれに伴う
静電気の発生による能動素子の破壊といった問題点も避
けられるので、液晶表示素子の製造歩留りを大幅に向上
させることができる。
【0142】さらに、この液晶固化物複合体は、硬化後
はフィルム状になっているので、基板の加圧による基板
間短絡やスペーサーの移動による能動素子の破壊といっ
た問題点も生じにくい。
【0143】また、この液晶固化物複合体は、比抵抗が
従来のTNモードの場合と同等であり、従来のDSモー
ドのように大きな蓄積容量を画素電極毎に設けなくても
よい。このため、能動素子の設計が容易で、有効画素電
極面積の割合を大きくしやすく、かつ、液晶表示素子の
消費電力を少なく保つことができる。さらに、TNモー
ドの従来の液晶表示素子の製造工程から、配向膜形成工
程を除くだけで製造が可能になるので、生産が容易であ
る。
【0144】また、この液晶固化物複合体を用いた液晶
表示素子は、応答時間が短いという特長も有しており、
動画の表示も容易なものである。さらに、この液晶表示
素子の電気光学特性(電圧−透過率)は、TNモードの
液晶表示素子に比して比較的なだらかな特性であるの
で、階調表示への適用も容易である。
【0145】また、この液晶表示素子は、電界を印加し
ない部分では光が散乱されるようにすることにより、画
素以外の部分を遮光膜により遮光しなくても投射時に光
の漏れがなく、隣接画素間の間隙を遮光する必要がな
い。このため、特に、能動素子として多結晶シリコンに
よる能動素子を用いることにより、能動素子部分に遮光
膜無しで高輝度の投射用光源を用いることができ、高輝
度の投射型液晶表示装置を容易に得ることができる。さ
らにこの場合には遮光膜を全く設けなくてもよいことに
なり、さらに生産工程を簡便化することができる。
【0146】一般には、液晶固化物複合体を表示素子に
用い、さらに投射型表示装置とすることにより高いコン
トラスト比を得ることができる。何故なら、指向性の高
い入射光を利用して、散乱光と直進透過光とを光学系に
よって分離することができるからである。しかし、投射
型表示装置のライトバルブとして液晶固化物複合体から
なる表示素子を用いる場合、入射光はきわめて高密度の
光となるために、表示素子内の温度が上昇したり、温度
むらが生ずることにより、コントラスト低下や表示面内
での表示むらといった表示品位の劣化を起こさせる要因
が生じてしまう。
【0147】また、投射型の表示装置においては、光の
散乱と透過性の差がそのまま表示画面上に投影されるた
めに、表示素子の部位での駆動電圧対透過・散乱特性の
ヒステリシス現象は、表示画面上での焼き付き現象を生
じさせ、表示品位を著しく損なうこととなってしまう。
【0148】本発明による投射型液晶表示装置の構成に
よって、このような問題点を解決することができる。上
述したようにヒステリシスを低減することで、高コント
ラスト表示における微妙な階調性をも表現することがで
き、従来にない高輝度でかつ階調性のある高品位の画像
を提供することができる。さらにアクティブ・マトリク
ス駆動回路等との組み合わせにより高密度の表示が可能
となる。
【0149】本発明で用いる液晶固化物複合体での液晶
の粒子の大きさの範囲においては、光の制御が透過・散
乱型であることによる解像度の低下は問題とならず、き
わめて良好な高解像度が達成できる。高輝度で高密度の
投射型表示が得られる。
【0150】本発明は、この外、本発明の効果を損しな
い範囲内で種々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の投射型液晶表示装置に用いた液晶表示
素子の基本的な構成を示す断面図。
【図2】本発明の投射型アクティブマトリクス液晶表示
装置の基本的な構成を示す模式図。
【図3】本発明のフルカラーの投射型液晶表示装置のダ
イクロイックプリズムを用いた例の模式図。
【図4】本発明のフルカラーの投射型液晶表示装置のダ
イクロイックプリズムを用いない例の模式図。
【符号の説明】
1,12:液晶表示素子 2,5 :基板 3 :画素電極 4 :能動素子 6 :対向電極 7 :液晶固化物複合体 11 :投射用光源 13 :投射光学系 14 :投射スクリーン 15 :スポット 16 :集光レンズ 17 :投射レンズ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の電極付きの基板間に、屈折率異方性
    Δn が0.18以上であり、誘電率異方性ΔεLCが 5<Δε
    LC<13の関係を満たすネマチック液晶が固化物マトリク
    ス中に分散保持され、電圧の印加状態によりネマチック
    液晶の屈折率が変化し、一方の状態では固化物マトリク
    スの屈折率とほぼ一致して光が透過し、他方の状態では
    固化物マトリクスの屈折率と一致しなく光が散乱するよ
    うにされた液晶固化物複合体を挟持してなる液晶表示素
    子と、投射用光源と、投射光学系とを組み合わせたこと
    を特徴とする投射型液晶表示装置。
  2. 【請求項2】請求項1の投射型液晶表示装置において、
    液晶表示素子の電極付き基板の一方が画素電極毎に能動
    素子を設けたアクティブマトリクス基板であり、他方が
    対向電極を設けた対向電極基板である液晶表示素子と、
    そこに用いられた液晶固化物複合体が、正の誘電異方性
    を有するネマチック液晶が樹脂マトリクス中に分散保持
    され、その樹脂マトリクスの屈折率が使用する液晶の常
    光屈折率(nO)とほぼ一致するようにされたものであるこ
    とを特徴とする投射型液晶表示装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2の投射型液晶表示装置に
    おいて、液晶表示素子の液晶固化物複合体のしきい値電
    圧以下の充分に低い電圧に対する比誘電率εM と、使用
    する液晶の誘電率異方性ΔεLCが、ΔεLC<1.45εM
    関係を満たすことを特徴とする投射型液晶表示装置。
  4. 【請求項4】請求項1または2または3の投射型液晶表
    示装置において、液晶表示素子の液晶固化物複合体の液
    晶の平均粒子径R(μm) が、 0.2<Δn ・R <0.7 の関
    係を満たすことを特徴とする投射型液晶表示装置。
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WO2013021867A1 (ja) * 2011-08-09 2013-02-14 シャープ株式会社 立体表示装置

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