JP3023861B2 - アクティブマトリクス液晶表示素子及び投射型アクティブマトリクス液晶表示装置 - Google Patents

アクティブマトリクス液晶表示素子及び投射型アクティブマトリクス液晶表示装置

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JP3023861B2
JP3023861B2 JP26879691A JP26879691A JP3023861B2 JP 3023861 B2 JP3023861 B2 JP 3023861B2 JP 26879691 A JP26879691 A JP 26879691A JP 26879691 A JP26879691 A JP 26879691A JP 3023861 B2 JP3023861 B2 JP 3023861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画素電極毎に能動素子
を配置したアクティブマトリクス液晶表示素子及び投射
型アクティブマトリクス液晶表示装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、近年その低消費電
力、低電圧駆動等の特長を生かしてパーソナルワードプ
ロセッサー、ハンドヘルドコンピューター、ポケットT
V等に広く利用されている。中でも注目され、盛んに開
発されているのが、画素電極毎に能動素子を配置したア
クティブマトリクス液晶表示素子である。
【0003】このような液晶表示素子は当初は、D
動的散乱)型の液晶を用いた液晶表示素子も提案され
ていたが、DS型では液晶中を流れる電流値が高いた
め、消費電流が大きいという欠点があり、現在ではTN
(ツイストネマチック)型液晶を用いるものが主流とな
っており、ポケットTVとして市場に現われている。T
N型液晶では、漏れ電流は極めて小さく、消費電力が少
ないので、電池を電源とする用途には適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アクティブマトリクス
液晶表示素子をDSモードで使用する場合には、液晶自
身の漏れ電流が大きい。このため、各画素と並列に大き
な蓄積容量を設けなくてはならなく、かつ、液晶表示素
子自体の消費電力が大きくなるという問題点があった。
【0005】TNモードにおいては、液晶自身の漏れ電
流は極めて小さいので、大きな蓄積容量を付加する必要
はないし、液晶表示素子自体の消費電力は小さくでき
る。しかし、TNモードでは、2枚の偏光板を必要とす
るので、光の透過率が小さいという問題点を有してい
る。特に、カラーフィルターを用いてカラー表示を行う
場合には、入射する光の数%しか利用できないこととな
り、強い光源を必要とし、そのため結果として消費電力
を増加させてしまう。
【0006】また、画像の投影を行う際には極めて強い
光源を必要とし、投影スクリーン上で高いコントラスト
が得られにくいことや、光源の発熱による液晶表示素子
への影響という問題点がある。
【0007】そこで、TNモードの課題を解決すべく、
ネマチック液晶を樹脂マトリクス中に分散保持した液晶
樹脂複合体を使用して、その散乱−透過特性を利用した
10V以下の低電圧で駆動できるモードが提案されてい
る。
【0008】しかし、従来の液晶樹脂複合体において
は、その電圧−透過率特性にヒステリシスが存在する、
ち、昇圧時と降圧時において透過率が異なるという課
題を有しており、そのため、表示画面の変化時に前画面
の情報が残ってしまうという焼き付き現象(秒単位以上
の残像)が生ずることがあるという問題点があった。
【0009】また、同じ構成のアクティブマトリクス液
晶表示素子を複数個用いてカラー化した際には、色によ
って透過特性等が異なるため、カラーバランスが充分で
なく、特定の色が目立って見えたりして、きれいなカラ
ー表示が得られにくいという問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、高輝度、高コントラス
ト比を有し、中間調表示においても残像がなく、液晶樹
脂複合体のヒステリシスに基づく焼き付現象を低減し
たアクティブマトリクス液晶表示素子及び投射型アクテ
ィブマトリクス液晶表示装置を提供するものである。
【0011】即ち、本発明は複数の色光源と、各色光
源からの光が入射する複数のアクティブマトリクス液晶
表示素子と、アクティブマトリクス液晶表示素子から出
射した光を合成投射する投射光学系とを有する投射型ア
クティブマトリクス液晶表示装置において、アクティブ
マトリクス液晶表示素子が画素電極毎に能動素子を設け
たアクティブマトリクス基板と、対向電極を設けた対向
電極基板との間に、誘電異方性が正のネマチック液晶が
樹脂マトリクス中に分散保持され、電圧の印加時または
非印加時のいずれかの状態においてその樹脂マトリクス
の屈折率が使用する液晶の屈折率とほぼ一致するように
された液晶樹脂複合体を挟持し、ある色に対応せしめら
れたアクティブマトリクス液晶表示素子の構成要素を添
字xで表記すると、樹脂マトリクス中に分散保持される
各色の液晶の平均粒子径Rx(μm)、そのアスペクト比
Ax、各色の電極間間隙dx(μm)、用いる液晶の比誘電
率異方性Δεx 、弾性定数K33x(10-12N)、粘度ηx(cS
t)、屈折率異方性Δnx、各色の主波長λx (μm)と
が、 3(K33x/ ηx)0.5 >Rx/Ax >0.7(K33x/ Δεx)0.5 (1) 1.3 < Ax < 2.3 (2) の関係を満足し、少なくとも一組のアクティブマトリク
ス液晶表示素子間で、xの代わりにi,j(i≠j)と
すると、 Δni・Ri/(Ai・λi)≒Δnj・Rj/(Aj・λj) (3) かつ、di/Ri ≒dj/Rj (4) の関係を満足するか、または、 Δni・di 2/ λi ≒Δnj・dj 2/ λj (5) の関係を満足し、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の
切断面で、液晶の粒子の長軸の方向が2次元的にほぼラ
ンダムな方向を向いていることを特徴とする投射型アク
ティブマトリクス液晶表示装置を提供するものである。
【0012】また、色光源がRGB3色の色光源であ
り、(1) 、(2) 式をxがRGB3色とも満足し(xの代
わりに、R、G、Bとする)、 ΔnR・RR/(AR・λR)≒ΔnG・RG/(AG・λG)≒ΔnB・RB/(AB・λB) (3A) かつ、dR/RR ≒dG/RG ≒dB/RB (4A) の関係を満足するか、または、 ΔnR・dR 2/ λR ≒ΔnG・dG 2/ λG ≒ΔnG・dG 2/ λG (5A) の関係を満足することを特徴とする上記の投射型アクテ
ィブマトリクス液晶表示装置を提供するものである。
【0013】また、それらのアクティブマトリクス液晶
表示素子に使用する液晶の屈折率異方性Δnxが、λi
λj とした場合、Δnj≦Δniの関係を満足することを特
徴とする投射型アクティブマトリクス液晶表示装置、及
び、 0.2 < Rx・ Δnx < 0.7 (6) の関係を満足することを特徴とする投射型アクティブマ
トリクス液晶表示装置、及び、 Δnx 2 Δεx/(K33x・ηx)> 0.0011 (7) の関係を満足することを特徴とする投射型アクティブマ
トリクス液晶表示装置を提供するものである。
【0014】さらには、液晶樹脂複合体に印加される最
大実効印加電圧Vx(V)が、 4Rx < Ax・dx < 15Rx (8) 0.8Rx・Vx < Ax・dx< 1.8Rx・Vx (9) の関係を満足することを特徴とする投射型アクティブマ
トリクス液晶表示装置を提供するものである。
【0015】また、RGB3色のカラーフィルターを有
し、画素電極毎に能動素子を設けたアクティブマトリク
ス基板と、対向電極を設けた対向電極基板との間に、誘
電異方性が正のネマチック液晶が樹脂マトリクス中に分
散保持され、電圧の印加時または非印加時のいずれかの
状態においてその樹脂マトリクスの屈折率が使用する液
晶の屈折率とほぼ一致するようにされた液晶樹脂複合体
を挟持し、アクティブマトリクス液晶表示素子のある色
に対応せしめられた構成要素を添字xで表記すると、樹
脂マトリクス中に分散保持される液晶の平均粒子径R
(μm) 、そのアスペクト比A 、各色の電極間間隙d
x(μm)、液晶の比誘電率異方性Δε、弾性定数K33(1
0-12N) 、粘度η(cSt) 、屈折率異方性Δn 、各色の主
波長λx (μm)とが(緑の波長域に対応する電極間間
隙をd G (μm)とする)、 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1B) 1.3 < A < 2.3 (2B) 0.2 < R・Δn < 0.7 (6B) Δn2 Δε/(K33・η) > 0.0011 (7B) 4R < A・dG < 15R (8B) の関係を満足し、RGB3色の少なくとも2色との関係
において、xの代わりにi、j(i≠j)とすると、 di 2i ≒dj 2j (5B) の関係を満足し、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の
切断面で、液晶の粒子の長軸の方向が2次元的にほぼラ
ンダムな方向を向いていることを特徴とする投射型アク
ティブマトリクス液晶表示素子、及び、それを投射用光
源と投射光学系とを組み合わせたことを特徴とする投射
型アクティブマトリクス液晶表示装置を提供するもので
ある。
【0016】本発明の投射型アクティブマトリクス液晶
表示装置では、アクティブマトリクス基板と対向電極基
板との間に挟持される液晶材料として、電気的に散乱状
態と透過状態とを制御しうる液晶樹脂複合体を挟持した
アクティブマトリクス液晶表示素子を用いているため、
偏光板が不要であり、透過時の光の透過率を大幅に向上
できる。さらに、液晶樹脂複合体中の平均粒子径Rx(μ
m)、両電極間隙dx(μm)が色毎に設定されているの
で、投射表示で混色した際に、色バランスが良く、明る
く、コントラスト比の良い表示が得られる。
【0017】また、TN型液晶表示素子に必須の配向処
理や発生する静電気による能動素子の破壊といった問題
点も避けられるので、液晶表示素子の製造歩留りを大幅
に向上させることができる。
【0018】さらに、この液晶樹脂複合体は、硬化後は
フィルム状になっているので、基板の加圧による基板間
短絡やスペーサーの移動による能動素子の破壊といった
問題点も生じにくい。
【0019】また、この液晶樹脂複合体は、比抵抗が従
来のTNモードの場合と同等であり、DSモードのよう
に大きな蓄積容量を画素電極毎に設けなくてもよく、能
動素子の設計が容易で、かつ、液晶表示素子の消費電力
を少なく保つことができる。従って、TNモードの従来
の液晶表示素子の製造工程から、配向膜形成工程を除く
だけで製造が可能になるので、生産が容易である。
【0020】液晶樹脂複合体の比抵抗としては、 5×10
9 Ωcm以上のものが好ましい。さらに、漏れ電流等によ
る電圧降下を最小限にするために、1010Ωcm以上がより
好ましく、この場合には大きな蓄積容量を画素電極毎に
付与する必要がない。
【0021】画素電極に設けられる能動素子としては、
トランジスタ、ダイオード、非線形抵抗素子等があり、
必要に応じて1つの画素に2以上の能動素子が配置され
ていてもよい。このような能動素子とこれに接続された
画素電極とを設けたアクティブマトリクス基板と、対向
電極を設けた対向電極基板との間に上記液晶樹脂複合体
を挟んで液晶表示素子とする。
【0022】本発明の液晶表示素子は、直視型表示素
子、投射型表示素子の両方で用いることができる。直視
型表示素子として用いる場合、得たい表示特性に応じ
て、バックライト、レンズ、プリズム、ミラー、拡散
板、光吸収体、カラーフィルターなどを組み合わせて表
示装置を構成すればよい。
【0023】本発明の液晶表示素子は、特に、投射型表
示装置に適しており、投射用光源、投射光学系などと組
み合わせて、投射型液晶表示装置とすることができる。
本発明の投射型アクティブマトリクス液晶表示装置とし
ては、複数の色光源及び投射光学系を用いる。これら色
光源及び投射光学系は、従来から公知の投射用光源、レ
ンズ等の投射光学系が使用でき、通常は上記複数の液晶
表示素子を各色光源に対応して配置し、これによる像を
合成して投射するようにされていればよい。
【0024】この色光源は、色毎に専用の光源を使用し
てもよいし、1つの光源の光を分光して使用してもよ
い。この色光源から出た光は、アクティブマトリクス液
晶表示素子に入射させられる。本発明ではこれらの複数
枚のアクティブマトリクス液晶表示素子が、光源の色毎
にその特性を合せて使用する。これらのアクティブマト
リクス液晶表示素子から出射した光が、混合されて投射
される。これにより明るく、色バランスがよく、高コン
トラスト比の投射映像が得られる。
【0025】これにより、本発明では、液晶表示素子と
して、画素電極毎に能動素子を設けたアクティブマトリ
クス基板と、対向電極を設けた対向電極基板との間に、
誘電異方性が正のネマチック液晶が樹脂マトリクス中に
分散保持され、電圧の印加時または非印加時のいずれか
の状態においてその樹脂マトリクスの屈折率が使用する
液晶の屈折率とほぼ一致するようにされた透過−散乱型
の液晶樹脂複合体を挟持した液晶表示素子を用いている
ため、明るく、高いコントラストが容易に得られるとい
う特長がある。
【0026】具体的には、液晶樹脂複合体として細かな
孔の多数形成された樹脂マトリクスとその孔の部分に充
填された誘電異方性が正のネマチック液晶とからなるも
のが使用される。この液晶樹脂複合体をアクティブマト
リクス基板と、対向電極基板との間に挟持して液晶表示
素子とする。この液晶表示素子の電極間への電圧の印加
状態により、その液晶の屈折率が変化し、樹脂マトリク
スの屈折率と液晶の屈折率との関係が変化し、両者の屈
折率が一致した時には透過状態となり、屈折率が異なっ
た時には散乱状態となる。
【0027】この場合、その樹脂マトリクスの屈折率が
使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ一致するようにさ
れることが好ましい。また、この液晶の屈折率異方性Δ
n が0.18以上である液晶樹脂複合体を用いることが好ま
しい。
【0028】この細かな孔の多数形成された樹脂マトリ
クスとその孔の部分に充填された液晶とからなる液晶樹
脂複合体は、マイクロカプセルのような液泡内に液晶が
封じ込められたような構造であるが、個々のマイクロカ
プセルが完全に独立していなくてもよく、多孔質体のよ
うに個々の液晶の液泡が細隙を介して連通していてもよ
い。
【0029】本発明の液晶表示素子に用いる液晶樹脂複
合体は、ネマチック液晶と、樹脂マトリクスを構成する
硬化性化合物とを混ぜ合わせて溶液状またはラテックス
状にしておいて、これを光硬化、熱硬化、溶媒除去によ
る硬化、反応硬化等させて硬化物を分離し、樹脂マトリ
クス中にネマチック液晶が分散した状態をとるようにす
ればよい。
【0030】この硬化性化合物を、光硬化または熱硬化
タイプにすることにより、密閉系内で硬化できるため好
ましい。特に、光硬化タイプの硬化性化合物を用いるこ
とにより、熱による影響を受けなく、短時間で硬化させ
ることができ好ましい。
【0031】具体的な製法としては、従来の通常のネマ
チック液晶と同様にシール材を用いてセルを形成し、注
入口からネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混
合物を注入し、注入口を封止して後、光照射をするか加
熱して硬化させることもできる。
【0032】また、本発明の液晶表示素子の場合には、
シール材を用いなく、例えば、対向電極としての透明電
極を設けた基板上に、ネマチック液晶と硬化性化合物と
の未硬化の混合物を供給し、その後、画素電極毎に能動
素子を設けたアクティブマトリクス基板を重ねて、光照
射等により硬化させることもできる。
【0033】もちろん、その後、周辺にシール材を塗布
して周辺をシールしてもよい。この製法によれば、単に
ネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混合物をロ
ールコート、スピンコート、印刷、ディスペンサーによ
る塗布等の供給をすればよいため、注入工程が簡便であ
り、生産性が極めてよい。
【0034】また、これらのネマチック液晶と硬化性化
合物との未硬化の混合物には、基板間隙制御用のセラミ
ック粒子、プラスチック粒子、ガラス繊維等のスペーサ
ー、顔料、色素、粘度調整剤、その他本発明の性能に悪
影響を与えない添加剤を添加してもよい。
【0035】電圧非印加時に散乱状態である素子に、こ
の硬化工程の際に特定の部分のみに十分高い電圧を印加
した状態で硬化させることにより、その部分を常に光透
過状態にすることができるので、固定表示したいものが
ある場合には、そのような常透過部分を形成してもよ
い。逆に、電圧非印加状態に透過状態である素子の場合
には、同様にして常散乱部分を形成できる。
【0036】なお、この液晶樹脂複合体を使用した液晶
表示素子の透過状態での透過率は高いほどよく、散乱状
態でのヘイズ値は80%以上であることが好ましい。
【0037】本発明では、電圧印加状態または非印加状
態のいずれかで、樹脂マトリクス(硬化後の)の屈折率
が、使用する液晶の屈折率と一致し、逆の状態では樹脂
マトリクスの屈折率が、使用する液晶の屈折率と一致し
ないようにされる。
【0038】これにより、樹脂マトリクスの屈折率と液
晶の屈折率とが一致した時に光が透過し、一致しない時
に光が散乱(白濁)することになる。この素子の散乱性
は、従来のDSモードの液晶表示素子の場合よりも高
く、高いコントラスト比の表示が得られる。
【0039】本発明では、特に、電圧を印加している状
態で、樹脂マトリクス(硬化後の)の屈折率が、使用す
る液晶の常光屈折率(no)と一致するようにされることが
好ましい。これにより、電圧印加時に透過状態になるの
で、光透過時の透過率が高くなりかつ均一に透過するの
で、表示のコントラスト比が向上する。
【0040】本発明の目的は、この液晶樹脂複合体を挟
持したアクティブマトリクス液晶表示素子を用いた投射
型アクティブマトリクス液晶表示装置の最適な構成を提
供することにある。即ち、階調表示の際にも応答が早
く、焼き付き現象(秒単位以上の画像の残り)のない表
示が得られ、色バランスが良く、かつ透過時に高い透過
率を有し、散乱時に高い散乱性(遮光性)を有し、明る
く、コントラスト比の大きなアクティブマトリクス液晶
表示素子及び投射型アクティブマトリクス液晶表示装置
を提供するものである。
【0041】上記液晶樹脂複合体を用いたアクティブマ
トリクス液晶表示素子の電気光学特性を決める要因とし
ては、使用する液晶の屈折率(常光屈折率no、異常光屈
折率ne)、比誘電率(ε//、ε⊥、//及び⊥は夫々液晶
分子軸に平行、垂直を示す)、粘η、弾性定数K33 、
並びに使用する樹脂の屈折率np、比誘電率εp 、弾性率
挙げられる。並びに、ある色に対応せしめられた構成
要素として添字xで表記すると、樹脂マトリクス中に分
散保持される液晶の平均粒子径Rx、体積分率Φ、両電極
基板間隙(液晶樹脂複合体の厚み)dx、能動素子により
画素部分の液晶樹脂複合体に印加される最大実効印加電
圧Vx等が挙げられる。
【0042】ここで液晶平均粒子径Rxとは、液晶が独立
した粒子または一部が連通した粒子である場合には、そ
の粒子の最大直径を意味し、液晶の多くが連通した構造
の場合には、液晶のディレクターの向きが互いに相関を
持つ領域の最大直径を意味する。
【0043】樹脂マトリクス中に分散保持される液晶
は、独立した粒子、または一部が連通した粒子であるこ
とが好ましい。これは、低電圧で駆動でき、高い散乱能
と高い透過性を両立するために有効である。散乱は液晶
と樹脂の界面の存在により引き起こされる。このため、
この界面の面積が大きいほど散乱性は向上する。ある最
適な液晶粒子径で、この界面の面積を増大させるために
は、独立して樹脂と分離した液晶量を多くする、即ち、
液晶粒子密度を多くすることが重要である。
【0044】しかし、樹脂と分離した液晶量を増大して
いくと、いずれ夫々の液晶粒子が連通するようになり、
さらには液晶が全て連通した構造を取るようになり、こ
れは樹脂と分離した液晶界面の喪失につながるため、散
乱能の低下につながる。
【0045】また、駆動電圧を低くするためには、樹脂
中に保持される夫々の液晶がほぼ等しい駆動電圧を持つ
ことが重要である。このためには、液晶が明確な界面を
樹脂との間に持つ方が有利であり、界面の喪失は駆動電
圧の分散につながり、コントラスト比の低下と駆動電圧
の上昇を生じる傾向がある。このため、樹脂中に分散保
持される液晶は、高密度に存在する独立粒子または一部
が連通した粒子であることが好ましい。
【0046】本発明の液晶樹脂複合体を用いたアクティ
ブマトリクス液晶表示素子の電気光学特性としては、電
圧印加時及び非印加時のいずれか一方で高い散乱性を有
し、かつ、他方で高い透過性を有すること、即ち、高い
表示コントラスト比を持ち、階調表示時にも速い応答性
を有し、残像(秒単位以下の画像の残り)及び焼き付き
現象(秒単位以上の画像の残り)のない表示が得られる
ことが望まれる。このような液晶表示素子を用いて、投
射型の表示を行った場合、高輝度かつ高コントラスト比
の表示を得ることができる。このような表示を得るため
には、上記の要因が最適な関係を持つことが必要であ
る。
【0047】これらの要因の中でアクティブマトリクス
液晶表示素子の電気光学特性を決定する特に重要な要因
は、使用する液晶の屈折率(屈折率異方性Δn =ne
no)、比誘電異方性Δε、粘度η、弾性定数K33 、液晶
の平均粒子径R 、アスペクト比A 、粒子径分布、両電極
基板間隙d であり、色光源の主波長λに応じて、各液晶
表示素子毎に液晶の平均粒子径R 、 電極基板間間隙d を
定めて最適化する。
【0048】使用する液晶の屈折率異方性Δn(=ne
no) は、液晶の散乱性に寄与し、高い散乱性を得るに
は、ある程度以上大きいことが好ましく、具体的にはΔ
n >0.18が好ましく、特にΔn >0.22が好ましい。ま
た、使用する液晶の常光屈折率noは樹脂マトリクスの屈
折率npとほぼ一致することが好ましく、この時電圧印加
時に高い透明性が得られる。具体的にはno−0.03<np
no+0.05の関係を満たすことが好ましい。
【0049】本発明の最も大きな目的は、この液晶樹脂
複合体を用いたアクティブマトリクス液晶表示素子にお
いて、ヒステリスに基づく焼き付現象を低減したア
クティブマトリクス液晶表示素子及び投射型アクティブ
マトリクス液晶表示装置を得ることである。
【0050】液晶樹脂複合体は、スタティックで駆動す
る際、オフ状態と十分高い(飽和電圧以上の)オン状態
で駆動されるため、数十msec以下の応答性を有しており
一般に高速表示に適したものである。しかし、階調表示
の際には中間調を表示するために飽和電圧よりも低い電
圧も用いられ、スタティック駆動での応答より遅い状態
が存在する。階調表示時の応答性は低電圧側での表示
(暗い表示)ほど応答が遅くなる傾向があり、特に、オ
フ状態から低い透過率状態への変化が最も遅く、スタテ
ィック駆動時の応答の数十倍以上遅くなることもある。
【0051】樹脂マトリクス中に分散保持される液晶の
平均粒子径R は非常に重要な要因であり、液晶の散乱
性、電圧印加時の液晶の動作特性に寄与する。階調表示
の際の応答性を決定する重要な要因は、樹脂中に保持さ
れる液晶の平均粒子径R 、及び、その形状、用いる液晶
の比誘電率異方性Δε、弾性定数K33 、粘度η等であ
る。
【0052】階調表示の際にも焼き付き現象の少ない表
示の得られるのは、樹脂マトリクス中に分散保持される
液晶の平均粒径子R (μm)とアスペクト比A 、用いる
液晶の比誘電率異方性Δε、粘度η(cSt) 、弾性定数K3
3(10-12N) が、1種の液晶を用いる際、即ち、1個の素
子で多色カラー表示する際には、 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1B) 1.3 < A < 2.3 (2B) の関係を満たす時である。
【0053】また、複数個の素子を用いて、複数の液晶
を用いる際には、各色に、 3(K33x/ ηx)0.5 >Rx/Ax >0.7(K33x/ Δεx)0.5 (1) 1.3 < Ax < 2.3 (2) の関係を満たす時である。
【0054】さらに、階調表示の際にも残像のない表示
の得られるのは、1種の液晶を用いる際には、 Δn2 Δε/(K33・η) > 0.0011 (7B) の関係を満たす時であり、複数の液晶を用いる際には、 Δnx 2 Δεx/(K33x・ηx)> 0.0011 (7) の関係を満たす時である。
【0055】この(1) または(1B)式の範囲においては、
階調表示時の各電圧における液晶に働くトルクバランス
がとれ、残像の少ない表示が得られると共に、液晶の駆
動に要する電圧が低く抑えられる。さらに、この(7) ま
たは(7B)式の範囲を満足することにより、その効果が大
きい。特に、この(7) または(7B)式の値を0.0014以上と
すると、この効果が大きく好ましい。なお、ここで用い
られる液晶の物性値は室温での値である。
【0056】また、従来の液晶樹脂複合体においては、
電圧−透過率特性にヒステリシスが存在し、それが階調
表示をする際の問題点となっていた。ヒステリシスと
は、電圧を上昇する過程と電圧を降下させる過程におい
て透過率が異なるといった現象である。もし、ヒステリ
シスが存在すると、階調表示の際に前画面の情報が比較
的長く(秒単位以上に)残ってしまう、即ち、画像が焼
き付くという現象が生じやすく、これが画質を低下させ
ていた。
【0057】この液晶樹脂複合体においてヒステリシス
が存在する原因の一つは、液晶樹脂複合体が、液晶が樹
脂マトリクス中に分散保持されているという構造によ
る。即ち、分離して樹脂マトリクス中に存在する液晶粒
子同士の相互作用によってヒステリシスが存在すると考
えられる。このヒステリシスの大小は、樹脂マトリクス
中に保持される液晶中に蓄えられる弾性エネルギー、外
から印加される電圧による電気的エネルギーと、分離し
て樹脂マトリクス中に存在する液晶同士の相互作用エネ
ルギーによって決定されるものである。
【0058】従って、このエネルギーバランスを最適化
することによってヒステリシスは低減することができ、
階調表示の際にも焼き付き現象のない優れた表示を得る
ことができる。
【0059】本発明の目的は、高いコントラスト比、高
い輝度、優れた応答性を有し、ヒステリシスを低減した
液晶表示素子を得ることであり、さらには、従来のTN
用の能動素子や駆動回路で駆動できるアクティブマトリ
クス液晶表示素子及び投射型アクティブマトリクス液晶
表示装置を得ることである。
【0060】上記のエネルギーバランスを決定する重要
な要因は、樹脂マトリクス中に分散保持される液晶の平
均粒子径R 、液晶粒子の形状、液晶の比誘電率及びその
異方性Δε、粘η、弾性定数K33 、樹脂マトリクスの
誘電率εp などである。上記の目的のため最適化を行う
場合、このエネルギーバランスが素子の電圧−透過率特
性、液晶の動的特性(応答性)とも密接に関連している
ことを考慮して最適化を行うことが重要である。
【0061】液晶の平均粒子径R は重要な要因であり、
散乱特性、応答性、動作電界などと密接に関連する。R
が大きくなると駆動に必要な電界は小さくなるが、応答
性は遅くなる。また、R が小さくなると単位液晶量当り
に蓄積される弾性エネルギーは大きくなり応答速度は速
くなるものの駆動に高い電界を必要とる。
【0062】液晶の粘度η、比誘電率異方性Δεも応答
性と深く関連する要因であり、粘度が小さいほど、比誘
電率異方性が大きいほど応答速度は速くなる。また、Δ
εは駆動に必要な電界とも関連し、Δεが大きいほど必
要な電界は小さくなる。
【0063】液晶の弾性定数は液晶に蓄積される弾性エ
ネルギーを決定するが、液晶樹脂複合体においては、特
にK33 によるベンドエネルギーが大きな役割を果たし、
応答特性、駆動特性すなわち液晶に働く弾性トルクと深
く関与する。ヒステリシスの低減のためには、弾性定数
K33 は大きいほうが有利であり、この場合、応答性の向
上も期待される。しかし、K33 があまり大きくなると、
駆動電界の上昇につながるため、他の液晶物性(例えば
Δn 、Δε、η等)とのバランスにより、選択すること
ができる。
【0064】液晶の形状は、ヒステリシス低減のための
重要な要因である。すなわち、樹脂マトリクス中に保持
される液晶の粒子の歪によって、単位液晶量当りに蓄積
される弾性エネルギーを変化させることができるため
記エネルギーバランスの制御が可能となる。
【0065】液晶の形状としては、あまり複雑な凹凸が
あるような形状は応答性は良いものの非常に高い駆動電
圧を必要とするため好ましくなく、回転楕円体状の形状
が望ましい。この時、平均粒子径は長軸での直径a (即
ち、最大の直径)を体積で重み付けした平均であり、ア
スペクト比A は長軸での直径a を短軸での直径b で割っ
た a/bとする。
【0066】アスペクト比A が1.3 より小さい場合、
晶粒子の形状による弾性エネルギーの増大分は小さく、
全体のエネルギーバランスへの寄与は大きくない。従っ
て、駆動電圧は小さいもののヒステリシスは低減されに
くい。アスペクト比A が大きくなるにつれ、弾性エネル
ギーの増大分が大きくなり、それによって、ヒステリシ
スは低減していき、さらには、応答速度も速くなる。
【0067】しかし、アスペクト比A が大きくなるにつ
れ、駆動に必要な電圧は高くなり、よりアスペクト比A
が大きくなった場合、散乱能の低下によるコントラスト
比の低下ということも生じる。従って、応答特性、駆動
特性をも考慮してアスペクト比A の最適な範囲が求めら
れる。
【0068】以上の観点により得られる条件は下に示さ
れる。1種の液晶を用いる際、即ち、1個の素子で多色
カラー表示する際には、 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1B) 1.3 < A < 2.3 (2B) とする。また、複数個の素子を用いて複数の液晶を用い
る際には、各色毎に、 3(K33x/ ηx)0.5 >Rx/Ax >0.7(K33x/ Δεx)0.5 (1) 1.3 < Ax < 2.3 (2) とする。(1B)、(2B)または(1) 、(2) 式で示される範囲
において、応答特性、駆動特性のバランスが取れ、ヒス
テリシスが低減された液晶表示素子が得られる。
【0069】また、本発明では液晶粒子がアスペクト比
を持っていて非球形であると同時に、この非球形の液晶
粒子の長軸の方向の分布も重要である。即ち、本発明で
は、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の切断面で、液
晶粒子の長軸の方向が2次元的にほぼランダムな方向を
向いているものである。
【0070】図4は、その状態を説明する斜視図であ
り、図5はその断面図である。図4において、31、32は
基板を、33、34は電極を、35は液晶樹脂複合体を示し、
36は電極面に垂直方向の切断面を示している。図5は、
その電極面に垂直方向の切断面36を示す断面図であり、
43、44は電極を、45は液晶樹脂複合体を、47は1個の液
晶粒子を示し、48はその粒子の長軸方向を、49は電極に
垂直な方向を示している。θは、この液晶粒子の長軸方
向48と電極に垂直な方向49とのなす角を示している。
【0071】本発明では、この角θがこの断面内におい
てほぼランダムな方向を向いているものである。なお、
ここでいうランダムは1つの画素、通常は50μm〜 300
μm平方程度においてマクロ的にランダムになっていれ
ばよい。より好ましい状態は、画素内の数μm以下の範
囲、即ち、用いる波長の10倍程度以下の範囲で、粒子の
長軸の角θがランダムになっていることである。さら
に、液晶樹脂複合体が複数の層状になっている場合には
1層目は液晶粒子の長軸方向がすべて30°傾斜してお
り、2層目は90°傾斜しておりというように、数層異な
る傾斜角になっているものも使用できる。即ち、垂直方
向にみて液晶粒子の長軸方向がほぼランダムになってい
ればい。
【0072】もっとも、そのように制御された傾斜角を
得ることは製造上極めて困難であること及び30°単位の
傾斜しかないのではなく種々の角度を採ってランダムに
なっている方が本発明の効果が大きいので、本当にラン
ダムにされていることが好ましい。このように電極面に
垂直方向の切断面で2次元的にほぼランダムとすること
により、ヒステリシスによる焼き付き現象を大幅に低減
することができる。
【0073】また、本発明では図5の奥行き方向も含め
て、3次元的にほぼランダムとすることがより好まし
い。これにより、入射光がランダム偏光の場合に正確に
透過光量を制御できるので好ましい。これは、本発明の
液晶表示素子が投射型表示装置として使用される場合の
最大のメリットである偏光板を用いない明るい表示を生
かすためにも重要である。なお、偏光がある場合には、
その偏光方向に一番敏感になるように、電極面に垂直方
向の切断面で2次元的にほぼランダムとすることが好ま
しい。
【0074】最適なR/A の領域は、液晶の静電エネルギ
ー、弾性エネルギー、液晶に働くトルクのバランスによ
り決定され、表示に支障のない応答性の得られるための
R/Aの範囲は3(K33/η)0.5 未満で、かつ0.7(K33/Δε)
0.5 で表される。
【0075】液晶の弾性定数は液晶に蓄積される弾性エ
ネルギーを決定するが、液晶樹脂複合体においては、と
くに弾性定数K33 によるベンドエネルギーが大きな役割
を果たす。即ち、応答特性または駆動特性は液晶に働く
弾性トルクと深く関与する。比誘電率異方性は、液晶に
働く電気的トルクすなわち駆動に必要な電界と関与し、
粘度は液晶に働く粘性トルクと関与する。これらのトル
クのバランスを最適化したのが、上記した関係であり、
この範囲内では階調表示において動画の表示に適した応
答特性が、比較的低い電界で得ることができる。
【0076】高いコントラスト比を達成するには、オフ
時の散乱能が大きいことが必要である。液晶樹脂複合体
の、単位動作液晶量あたりの散乱能は、R・Δn/λ(λ=
各色の光の波長)で決定される。このため、1つの液晶
を用いる場合には、 0.2 < R・Δn < 0.7 (6B) の関係を満足し、複数の液晶を用いる場合には、 0.2 < Rx・ Δnx < 0.7 (6) の関係を満足するようにする。
【0077】液晶表示素子の平均粒子径R が(6) または
(6B)式の範囲よりも小さい場合、応答速度は速くなる
が、単位液晶当りの散乱能が低下すると共に、駆動に必
要な電圧が高くなる。逆に、平均粒子径R が(6) または
(6B)式の範囲よりも大きい場合、低電圧で駆動可能とな
るが、単位液晶量当りの散乱能が低下すると共に、応答
速度は遅くなる。
【0078】この液晶の粒子径は、均一であることが望
ましい。粒子径に分布がある場合、大きな液晶粒子は散
乱能の低下に、小さな液晶粒子は駆動電界の上昇につな
がり、結果として、駆動電圧の上昇とコントラストの低
下を招く。粒子径の分散σは平均粒子径の0.25倍以内が
望ましく、0.15倍以内がより望ましい範囲である。な
お、平均粒子径、分散は体積で重み付けをした平均、分
散である。
【0079】電極基板間隙d も重要な要因である。 dを
大きくすると、散乱性は向上する。しかし、d があまり
大きすぎると、透過時の充分な透明性を達成しにくくな
り、駆動のために高い電圧を必要とし、消費電力の増大
や、従来のTN用の能動素子、駆動用ICが使用できな
いといった問題が生じてくる。また、d を小さくする
と、低電圧で駆動できるが、散乱性は減少していく。
【0080】このため、散乱性と駆動性を両立させるた
めには、d (μm)アスペクト比A の積A・d が、1
つの液晶を用いる場合には、その中間波長域の部分の電
極基板間隙において、 4R < A・d < 15R (8C) の関係を満たすようにする。RGB3色の場合には、中
間領域が緑色なので、 4R < A・dG < 15R (8B) の関係を満し(dGは緑の部分の電極基板間隙)、複数の
液晶を用いる場合には、 4Rx < Ax・dx < 15Rx (8) の関係を満たす範囲が望ましい。
【0081】RGB3色とした場合、この平均粒子径を
緑の光源に対する液晶表示素子の平均粒子径RGが上記の
式の範囲よりも小さい場合、散乱性は短波長側の方が強
いという波長依存性を持つようになり、また、液晶の動
作により高い電界を必要とするため、消費電力が増大す
るという問題も生じる。逆に、平均粒子径RGが上記の式
の範囲よりも大きい場合、散乱性の波長依存性は小さい
ものの、全可視光線域にわたって散乱性が弱くなり、コ
ントラスト比が低下し、透過時から散乱時への応答性が
遅くなるという問題点も生じる。このため、上記の範囲
とされる。
【0082】この場合、緑の光源に対する液晶表示素子
の電極基板間隙dGも重要な要因である。dGを大きくする
と、散乱性は向上する。しかし、dGがあまり大きすぎる
と、駆動に高い電圧を必要とし、消費電力の増大や、従
来のTN用の能動素子、駆動用ICが使用できないとい
った問題が生じてくる。また、dGを小さくすると、低電
圧で駆動できるが、散乱性は減少していく。このため、
散乱性と駆動性を両立させるためには、dG(μm)が、
前記した式を満足するようにされる。
【0083】また、色毎の特性をえるためには、その
対象となる液晶表示素子で、Δn・R/λ並びにΔn・d2/ λ
をほぼ一致させる。具体的には、以下のようにする。 Δni・Ri/(Ai・λi)≒Δnj・Rj/(Aj・λj) (3) かつ、di/Ri ≒dj/Rj (4) の関係を満足するか、または、 Δni・di 2/ λi ≒Δnj・dj 2/ λj (5) の関係を満足するようにされる。
【0084】(3) 、(4) 式の条件下においては、光の位
相条件を揃えることにより、液晶粒子による散乱強度を
色に対しほぼ揃えることができ、オフ状態、または中間
調表示状態における電圧透過率特性をほぼ揃え、色バラ
ンスのよい表示を得ることができる。実際のカラー表示
の際には、駆動回路による微調整などと組み合わせるこ
とにより、より色バランスのとれたカラー表示が得られ
る。色毎の特性は、(5) 式のように各色に対する液晶の
平均粒子径を一定にして、Δnx・dx 2/ λx を一致させる
ことによっても揃えることができる。
【0085】従って、特性を揃えたい液晶表示素子の組
において、(3) 、(4) 式の関係、または、(5) 式の関係
のいずれかにより色補正を行うことができる。3色以上
のために3個以上の液晶表示素子を用いる場合、その内
一部は(3) 、(4) 式の関係を満足し、他の一部は(5) 式
の関係を満足するようにしてもよい。また、それらの内
一部の色間では補正すべき差が少ない場合には、影響の
大きい一部の色間のみ、(3) 、(4) 式または(5) 式で色
補正を行うようにすることもできる。
【0086】具体的に、RGB3色とした場合も、3個
の液晶表示素子間全て(3) 、(4) 式または(5) 式で色補
正を行えば、最も良い補正ができるが、少なくともそれ
ら3個の液晶表示素子の内、一対の液晶表示素子間で、
(3) 、(4) 式または(5) 式で色補正を行うようにしても
よい。
【0087】具体的には、夫々次のようになる。 ΔnR・RR/(AR・λR)≒ΔnG・RG/(AG・λG)、かつ、dR/RR≒dG/RG、 ΔnR・RR/(AR・λR)≒ΔnB・RB/(AB・λB)、かつ、dR/RR≒dB/RB、 ΔnG・RG/(AG・λG)≒ΔnB・RB/(AB・λB)、かつ、dG/RG≒dB/RB、 3組の関係の内、少なくとも1組の関係を満足するか、
または、 ΔnR・dR 2/ λR ≒ΔnG・dG 2/ λG 、 ΔnR・dR 2/ λR ≒ΔnB・dB 2/ λB 、 ΔnG・dG 2/ λG ≒ΔnB・dB 2/ λB 、 の3つの関係の内、少なくとも1つの関係を満足するよ
うにされる。
【0088】RGB3色全てを色補正する場合には、
(3) 、(4) 、(5) 式は、夫々次のようになる。 ΔnR・RR/(AR・λR)≒ΔnG・RG/(AG・λG)≒ΔnB・RB/(AB・λB) (3A) かつ、dR/RR ≒dG/RG ≒dB/RB (4A) の関係を満足するか、または、 ΔnR・dR 2/ λR ≒ΔnG・dG 2/ λG ≒ΔnB・dB 2/ λB (5A) の関係を満足するようにされる。
【0089】また、全てを色補正するとしても、RG間
は(3) 、(4) 式の条件で行い、GB間はこの場合、(5)
式の条件で行うようにしてもよい。
【0090】特に、RGB3色間の色補正については、
一般に赤(R)における光学特性が、緑(G)、青
(B)の光学特性と大きく異なるため、RとG、B間の
補正が最も重要である。従って、例えば駆動回路側の負
担は増えるが、GとB用の液晶表示素子は同一の液晶表
示素子を用い、GとBとの間の補正は駆動回路で行い、
Rと、G及びB間の補正を、前記は(3) 、(4) 式または
(5) 式の関係で行うようにすることもできる。この場合
には、RGB用の液晶表示素子として3種類の液晶表示
素子を製造するのではなく、2種類の液晶表示素子を製
造すればよいので、製造上の利点がある。
【0091】(5) 式の条件下では、コントラスト比など
の面では(3) 、(4) 式の場合より若干不利になるが、各
色における散乱特性をほぼ揃えることができ、色バラン
スのとれた表示を得ることができる。この場合、各色に
用いる液晶が同一の場合、電極間間隙のみにより色毎の
特性をほぼ揃えることができ、製造が容易であるし、カ
ラーフィルターと組み合わせることにより1個の液晶表
示素子で色バランスのとれた複数色表示が可能である。
【0092】同一の液晶を用いる場合、カラーフィルタ
ーと併用する場合は、(5) 式は、i≠jとして、 di 2i ≒dj 2j (5B) とされる。カラーフィルターを用いる場合は、各色のカ
ラーフィルターの部分で(5B)式に従って、電極間間隙を
えることにより、色バランスのよい表示が得ることが
できる。
【0093】この場合にも、RGB3色とした場合に
は、(5B)式は、次のようになる。 dR 2R ≒dG 2G ≒dB 2B (5C) ただし、この場合も、例えば、G、B間では電極間間隙
で補正を行わず、Rと、G及びB間でのみ補正を行い、
G、B間の色補正を駆動回路により行うこともできる。
この場合にはdR 2R ≒dG 2G またはdR 2R ≒dB 2/
λB となる。
【0094】オフ時の散乱強度を最大とする液晶粒子径
は、λとΔn とに深く関与し、前述のように、ΔnR/λ
により単位動作液晶当りの散乱強度は決定される。従っ
て、(4) 、(5) 式で色毎の特性を揃えようとする場合、
各色で同一の液晶を用いると長波長側で用いる液晶ほど
平均粒子径を大きくする必要がある。平均粒子径が大き
くなると応答時間が長くなるという特性を考慮すると、
特に長波長側で用いる液晶ほど、Δn はより大きなもの
が望ましい。
【0095】用いる液晶の選定は、(1) 及び(7) 式に示
した粘度、弾性定数、比誘電率異方性と平均粒子径との
関係をも考慮して、行うことができ、用いる液晶に対し
て、希望する応答特性、駆動電圧、コントラスト比等に
応じて、色毎の特性が揃った動画表示を得ることができ
る。なお、使用する液晶の屈折率異方性Δn は、前述の
ごとくΔn >0.18とされることが好ましく、色毎に液晶
を変える場合には、各液晶毎に上記式を満足するように
されることが好ましい。
【0096】(3) 、(4) 式または(5) 式の条件で、色バ
ランスを補正する場合、各色における屈折率異方性は、
上記の範囲内で設定することができ、λi >λj とした
場合、Δnj≦Δniの関係を満足するようにされることが
好ましい。具体的には、色光源としてRGBの色を用
いる場合、ΔnB≦ΔnG≦ΔnRとなるようにすることが好
ましい。
【0097】ΔnB≒ΔnG≒ΔnRの条件は、各色の液晶表
示素子におけるΔn をほぼ揃えるものであり、夫々の素
子に同一の液晶を用いることができるという利点を有す
る。この場合、色毎の特性は、(3) 、(4) 式により液晶
の平均粒子径と電極間間隙、または(5) もしくは(5C)式
により電極間間隙によって補正することができる。
【0098】ΔnB<ΔnG<ΔnRの条件下では、長波長領
域で用いる液晶表示素子の液晶ほど大きなΔn を有して
いるため、液晶樹脂複合体の構造、並びに電極間間隙を
色毎に大きく変える必要がないという利点を有してい
る。特に、Δn/λを夫々の色でほぼ一致させた場合に
は、ほぼ同一の構造の液晶樹脂複合体とほぼ同一の電極
間間隙を用いることにより、色バランスを取ることが
る。
【0099】ΔnB≒ΔnG<ΔnRまたはΔnB<ΔnG≒ΔnR
の条件は、2種類の液晶により、3色の特性をほぼ揃え
るものでり、色毎の特性は、(3) 、(4) 式により液晶の
平均粒子径と電極間間隙、または(5) 式により電極間間
隙によって補正することが きる。両電極間間隙dXの絶
対値は、使用する印加電圧に応じて、表示輝度、コント
ラスト比が最適となるように選択すればい。最大印加
電圧と両電極間間隙は、以下のような範囲とすることが
好ましい。 0.8Rx・Vx< Ax・dx <1.8Rx・Vx (9)
【0100】この範囲内では、従来のTN用の能動素
子、駆動用ICを用いて高いコントラスト比を有する表
示ができる。(9) 式の範囲内におけるdxの設定は、用い
る液晶の比誘電率異方性Δε(=ε//−ε⊥)、弾性定
数との関係により、適当に設定することができる。一般
には、大きなΔε(Δε>5 )の液晶を用い、最大実効
印加電圧で充分な透明性が得られるような範囲で、dx
最大にすることが好ましい。
【0101】上記のように、電圧印加時に透明状態、無
電界時に散乱状態となる液晶樹脂複合体を用いたアクテ
ィブマトリクス液晶表示素子において、(1) 〜(4) 式
び(6) 〜(8) の条件、または(1) 、(2) 及び(5) 〜
(8) の条件を全て満足する液晶表示素子は、(9) 式の
電圧範囲、即ち、従来のTN用の能動素子や駆動用IC
を用いて、高いコントラスト比を持ち明るく、色バラン
スのとれた投射型のカラー動画表示が可能である。具体
的には、コントラスト比 100以上、電界印加時の透過率
が70%以上、階調表示時の応答時間が100msec 以下の表
示ができる。
【0102】上記素子を反射型で用いる場合には、光は
2度液晶樹脂複合体を通過するので、散乱時の散乱性が
増大する。従って、(8) 式の範囲内で、dxを薄くするこ
とができ、(9) 式によって決められる最大駆動電圧も低
減できる。
【0103】また、散乱性を向上させるには、液晶樹脂
複合体の動作可能な液晶の体積分率Φを増加させること
が有効であり、Φ>20%が好ましく、より高い散乱性を
有するにはΦ>35%が好ましく、さらにはΦ>45%が好
ましい。一方Φがあまり大きくなると、液晶樹脂複合体
の構造安定性が悪くなるため、Φ<70%が好ましい。
【0104】本発明の液晶表示素子で液晶粒子に特定の
アスペクト比を持たせるには、液晶樹脂複合体の製造中
または製造後に外部から圧力を加えればよい。また、樹
脂マトリクスの表面エネルギー、弾性定数、その硬化時
の収縮等による内部応力等を制御して、液晶粒子形状を
変化させることができる。具体的には、樹脂マトリクス
用の未硬化の硬化性化合物組成、硬化温度、硬化速度等
を制御すればよく、所望の平均粒子径及びその分布、ア
スペクト比等が得られるように実験的に定めればよい。
【0105】なお、本発明では前述したように液晶樹脂
複合体の電極面に垂直方向の切断面で、液晶の粒子の長
軸の方向が2次元的にほぼランダムな方向を向いている
ようにされる必要がある。このため、単に1つの軸方向
に延伸するような製法では、この長軸の方向が一方向に
揃ってしまうので好ましくない。
【0106】本発明の液晶表示素子で、樹脂マトリクス
の屈折率が、使用する液晶の常光屈折率(no)と一致する
ようにされた液晶表示素子は、電圧が印加されていない
場合は、一定方向に平行に揃って配列していない液晶
と、樹脂マトリクスの屈折率の違いにより、散乱状態
(つまり白濁状態)を示す。
【0107】このため、本発明のように投射型表示装置
として用いる場合には、電極のない部分は光が散乱さ
れ、画素部分以外の部分に遮光膜を設けなくても、光が
投射スクリーンに到達しないため、黒く見える。このこ
とにより、画素電極以外の部分からの光の漏れを防止す
るために、画素電極以外の部分を遮光膜等で遮光する必
要がないこととなり、遮光膜の形成工程が不要となると
いう利点も有する。
【0108】これに所望の画素に電圧を印加する。この
電圧を印加された画素部分では、液晶が配列し、液晶の
常光屈折率(no)と樹脂マトリクスの屈折率(np)とが一致
することにより透過状態を示し、当該所望の画素で光が
透過することとなり、投射スクリーンに明るく表示され
る。
【0109】この素子に、この硬化工程の際に特定の部
分のみに充分に高い電圧を印加した状態で硬化させる
とにより、その部分を常に光透過状態とすることができ
るので、固定表示したいものがある場合には、そのよう
な常透過部分を形成してもよい。
【0110】また、本発明のアクティブマトリクス液晶
表示素子は、カラーフィルターを設けることによりカラ
ー表示を行うことができる。このカラーフィルターは、
1個の液晶表示素子に3色設けてもよいし、1個の液晶
表示素子に1色設けてもこれを3個組み合わせてもよ
い。このカラーフィルターは、基板の電極面側に設けて
もよいし、外側に設けてもよい。また、液晶樹脂複合体
中に染料、顔料等を混入しておくことにより、カラー表
示を行うようにしてもよい。
【0111】図1は、本発明の投射型アクティブマトリ
クス液晶表示装置のダイクロイックプリズムを用いた例
の模式図である。図1において、1 は光源、2 は凹面
鏡、3 はコンデンサーレンズ、4 は分光用ダイクロイッ
クプリズム、5A、5B、5C、5Dは鏡であり、1 〜5Dで色光
源を構成する。6A、6B、6Cは各色に対応した液晶樹脂複
合体を挟持したアクティブマトリクス液晶表示素子、7
は合成用ダイクロイックプリズム、8 は投射レンズ、9
は直進光以外を除去するためのアパーチャー、10は投射
する投射スクリーンである。7 〜9 で投射光学系を構成
している。
【0112】図2は、本発明の投射型アクティブマトリ
クス液晶表示装置のダイクロイックプリズムを用いない
例の模式図である。図2において、11は光源、12は凹面
鏡、13はコンデンサーレンズ、15A 、15B、15C はダイ
クロイック鏡であり、11〜15C で色光源を構成する。16
A 、16B 、16C は各色に対応した液晶樹脂複合体を挟持
したアクティブマトリクス液晶表示素子、18A 、18B 、
18C は各色毎に設けられた投射レンズ、 19A、19B 、19
C は各色毎に設けられた直進光以外を除去するためのア
パーチャー、20は投射するスクリーンである。18A 〜19
C で投射光学系を構成している。
【0113】図3は、本発明の投射型アクティブマトリ
クス液晶表示装置に用いるアクティブマトリクス液晶表
示素子の断面図である。図3において、21はアクティブ
マトリクス液晶表示素子、22はアクティブマトリクス基
板用のガラス、プラスチック等の基板、23はITO(In
2O3-SnO2) 、SnO2等の画素電極、24はトランジスタ、ダ
イオード、非線形抵抗素子等の能動素子、25は対向電極
基板用のガラス、プラスチック等の基板、26はITO、
SnO2等の対向電極、27は両基板間に挟持された液晶樹脂
複合体を示している。
【0114】本発明の能動素子としてTFT(薄膜トラ
ンジスタ)等の3端子素子を使用する場合、対向電極基
板は全画素共通のベタ電極を設ければよいが、MIM素
子、PINダイオード等の2端子素子を用いる場合に
は、対向電極基板はストライプ状のパターニングをされ
る。
【0115】また、能動素子として、TFTを用いる場
合には、半導体材料としてはシリコンが好適である。特
に多結晶シリコンは、非結晶シリコンとは異なり、感光
性がないため、光源からの光を遮光膜により遮光しなく
ても誤動作しなく、好ましい。この多結晶シリコンは、
本発明のように投射型液晶表示装置として用いる場合、
強い投射用光源を利用でき、明るい表示が得られる。
【0116】また、従来のTN型液晶表示素子の場合に
は、画素間からの光の漏れを抑止するために、画素間に
遮光膜を形成することが多く、このついでに能動素子部
分にも同時遮光膜を形成することができ、能動素子部分
に遮光膜を形成することは全体の工程にあまり影響を与
えない。即ち、能動素子として多結晶シリコンを用い
て、能動素子部分に遮光膜を形成しないことにしても、
画素間に遮光膜を形成する必要があれば、工程を減らす
ことはできない。
【0117】これに対して、本発明では、樹脂マトリク
スの屈折率を使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ一致
するようにされた液晶樹脂複合体を使用することによ
り、電圧を印加しない部分では光が散乱して投射された
投射スクリーン上では黒くなるため、画素間に遮光膜を
形成しなくてよい。
【0118】このため、能動素子として多結晶シリコン
を用いた場合、能動素子部分に遮光膜を形成しなくても
よいまたはその遮光性が弱くてもよいので、遮光膜を形
成する工程をなくしたり、形成される遮光膜の厳密さを
緩めることができ、生産性が向上する。
【0119】なお、アモルファスシリコンを用いても、
その半導体部分に遮光膜を形成すれば、使用することが
できる。また、電極は通常は透明電極とされるが、反射
型の液晶表示装置として使用する場合には、クロム、ア
ルミニウム等の反射電極としてもよい。
【0120】本発明の液晶表示素子及び液晶表示装置
は、このほか赤外線カットフィルター、紫外線カットフ
ィルター等を積層したり、文字、図形等を印刷したりし
てもよいし、複数枚の液晶表示素子を用いたりするよう
にしてもよい。
【0121】さらに、本発明では、この液晶表示素子の
外側にガラス板、プラスチック板等の保護板を積層して
もよい。これにより、その表面を加圧しても、破損する
危険性が低くなり、安全性が向上する。
【0122】本発明では、前述の液晶樹脂複合体を構成
する未硬化の硬化性化合物として光硬化性化合物を用い
る場合、光硬化性ビニル系化合物の使用が好ましい。具
体的には、光硬化性アクリル系化合物が例示され、特
に、光照射によって重合硬化するアクリルオリゴマーを
含有するものが好ましい。
【0123】本発明で使用される液晶は、正の誘電異方
性を有するネマチック液晶であり、樹脂マトリクスの屈
折率が、電圧印加時または非印加時のいずれかにおいて
その液晶の屈折率と一致するような液晶であり、単独で
用いても組成物を用いてもいが、動作温度範囲、動作
電圧など種々の要求性能を満たすには組成物を用いた方
が有利といえる。特に、樹脂マトリクスの屈折率が、液
晶の常光屈折率(no)と一致するような液晶の使用が好ま
しい。
【0124】また、液晶樹脂複合体に使用される液晶
は、光硬化性化合物を用いた場合には、光硬化性化合物
を均一に溶解することが好ましく、光露光後の硬化物は
溶解しない、もしくは溶解困難なものとされ、組成物を
用いる場合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いも
のがましい。
【0125】液晶樹脂複合体を製造する場合、従来の通
常の液晶表示素子のようにアクティブマトリクス基板と
対向電極基板とを電極面が対向するように配置して、周
辺をシール材でシールして、注入口から未硬化の液晶樹
脂複合体用の混合液を注入して、注入口を封止してもよ
いし、一方の基板上に硬化性化合物と液晶との未硬化混
合物を供給し、他方の基板を電極面が相対向するように
重ね合わせるようにして製造してもよい。
【0126】本発明の液晶表示素子は、液晶中に2色性
色素や単なる色素、顔料を添加したり、硬化性化合物と
して着色したものを使用したりしてもよい。
【0127】本発明では、液晶樹脂複合体として液晶を
溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合物を硬化
させることにより、硬化時に不要となる単なる溶媒や水
を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で硬化でき
るため、従来のセルへの注入という製造法がそのまま採
用でき、信頼性が高く、かつ、光硬化性化合物で 2枚の
基板を接着する効果も有するため、より信頼性が高くな
る。
【0128】このように液晶樹脂複合体とすることによ
り、上下の透明電極が短絡する危険性が低く、かつ、通
常のTN型の表示素子のように配向や基板間隙を厳密に
制御する必要もなく、透過状態と散乱状態とを制御しう
る液晶表示素子を極めて生産性良く製造できる。
【0129】この液晶表示素子は、基板がプラスチック
や薄いガラスの場合には、保護のために、外側にプラス
チックやガラス等の保護板を積層することが好ましい。
【0130】本発明の液晶表示装置は、駆動のために電
圧を印加する時には、前述の(9) 式の最大実効電圧以
下、通常は前述の最大実効電圧が画素の電極間の液晶樹
脂複合体に印加されるように駆動されればよい。
【0131】本発明の色光源、投射光学系、投射する投
射スクリーン等は従来からの光源、投射光学系、投射ス
クリーンが使用でき、色光源と投射光学系との間に本発
明のアクティブマトリクス液晶表示素子を配置して投射
型アクティブマトリクス液晶表示装置とすればよい。こ
の場合、投射光学系は図1のように複数のアクティブマ
トリクス液晶表示素子の像を光学系を用いて合成してか
ら投射するようにしてもよいし、図2のように複数のア
クティブマトリクス液晶表示素子の像を個々に投射スク
リーンに投射して投射スクリーン上で合成するようにし
てもよい。
【0132】また、色光源も、前記の例では、1つの光
源から分光して用いたが、あらかじめ複数色の光源を別
個に設けてアクティブマトリクス液晶表示素子に入射す
るようにしてもよい。これらの色光源に用いられる光源
としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キ
セノンランプ等があり、凹面鏡、コンデンサーレンズ等
を組み合わせて光の利用効率を上げることができる。ま
た、これに冷却系を付加したり、赤外線カットフィルタ
ーや紫外線カットフィルターを組み合わせて使用した
り、LED等のチャンネル表示等を付加したりしてもよ
い。
【0133】特に、この投射型の表示をする場合、光路
上に拡散光を減ずる装置、例えば、図1、図2の 9、19
A、19B、19C示されるようなアパーチャーやスポットを設
置することにより、表示コントラストを大きくすること
ができる。
【0134】即ち、拡散光を減ずる装置として、液晶表
示素子を通過した光の内、入射光に対して直進する光
(画素部分が透過状態の部分を透過する光)を取り出
し、直進しない光(液晶樹脂複合体が散乱状態の部分で
散乱される光)を減ずるものを用いることがコントラス
ト比を向上させるため、好ましい。特に、直進する光は
減ずることなく、直進しない光である拡散光を減ずるこ
とが好ましい。
【0135】この拡散光を減ずる装置は、図1、図2の
ように、投射光学系と投射スクリーンとの間に設けても
いし、投射光学系の中に、例えば、投射光学系が複数
のレンズからなる場合にはレンズとレンズとの間に配置
するようにしてもよい。この拡散光を減ずる装置は、前
記したようなアパーチャーやスポットに限られなく、例
えば、光路上に配置された小面積の鏡であってもよい。
また、特別なアパーチャー等を用いなくとも、投射用レ
ンズの焦点距離、口径を、拡散光が除去されるように選
択してもよい。
【0136】また、マイクロレンズ系なども用いること
もできる。具体的には、液晶表示素子の投射光学系側に
マイクロレンズアレイと細やかな穴がアレー化されたス
ポットアレーを配置して、不要な拡散光を除去すること
ができる。この場合、拡散光除去に必要な光路長を非常
に短くすることができるため全体の投射型表示装置をコ
ンパクトにできるという利点を持つ。光路長の短縮に関
しては、投射光学系の中に拡散光を減ずる装置を組み込
むことも有効である。この場合、独立に投射光学系と拡
散光を減ずる装置を設置するより光学系が簡素になると
共に、サイズを小さく抑えることができる。
【0137】これらの光学系は、鏡、ダイクロイック
鏡、プリズム、ダイクロイックプリズム、レンズ等と組
み合わせ、画像の合成、カラー化ができるとともに、カ
ラーフィルターと組み合わせることによっても画像のカ
ラー化が可能である。
【0138】投射スクリーン上に到達する直進成分と拡
散成分との比は、スポット、鏡等の径及びレンズの焦点
距離により制御可能で、所望の表示コントラスト、表示
輝度を得られるように設定すればい。
【0139】アパーチャーのような拡散光を減ずる装置
を用いる場合、表示の輝度を上げるためには、投射用光
源から液晶表示素子に入射される光はより平行度の高い
であることが好ましく、そのためには高輝度でかつで
きるだけ点光源に近い光源と、凹面鏡、コンデンサーレ
ンズ等を組み合わせて投射用光源を構成することが好ま
しい。
【0140】また、上記の説明では、主として透過型で
説明したが、片面の電極を反射電極にした反射型の投射
型表示装置であっても、例えばスポットの代わりに小型
の鏡を配置して必要な光のみを取り出すようにすること
ができる。
【0141】
【作用】本発明によれば、高いコントラスト比の表示が
得られ、投射型表示で用いられた場合には、透過−散乱
型の液晶表示素子が透過状態の部分では光が透過し、投
射スクリーンは明るく表示され、散乱状態の部分では光
が散乱され、投射スクリーンは暗く表示され、所望の高
輝度、高コントラスト比の表示が得られる。
【0142】特に、本発明では、前記のような構成を有
しているので、液晶樹脂複合体に印加される最大実効印
加電圧V を10V以下にすることができるとともに、中間
調表示においても高速の応答性が得られる。さらに、ヒ
ステリスが低減され、像の焼き付き現象が低減されて
おり、従来のTN用のアクティブマトリクス液晶表示素
子に使用したような能動素子や駆動用ICを用いて、階
調の細やかな動画表示が容易にできる。
【0143】また、各色のバランスが良く、駆動回路に
特別の補正回路を組み込まなくても色の美しい階調表示
が可能である。
【0144】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。 実施例 1 ガラス基板(コーニング社製7059基板)上にクロムを60
nm蒸着して、パターニングしてゲート電極とした。引き
続きシリコンオキシナイトライド膜と非晶質シリコン膜
をプラズマCVD装置で堆積した。これをレーザーを用
いてアニールした後、パターニングして多結晶シリコン
とした。
【0145】これにリンドープ非晶質シリコン、クロム
を夫々プラズマCVD、蒸着装置を用いて堆積し、多結
晶シリコンを覆うようにパターニングして、第1層目の
ソース電極、ドレイン電極とした。さらに、ITOを蒸
着した後、パターニングして画素電極を形成した。続い
て、クロム、アルミニウムを連続蒸着して、画素電極と
第1層目のソース電極、ドレイン電極を接続するように
パターニングして、第2層目のソース電極、ドレイン電
極とした。この後、再び、シリコンオキシナイトライド
膜をプラズマCVD装置で堆積し保護膜とし、アクティ
ブマトリクス基板を作成した。
【0146】全面にベタのITO電極を形成した同じガ
ラス基板による対向電極基板と、前に製造したアクティ
ブマトリクス基板とを電極面が対向するように配置し
て、内部に直径約11.0μmのスペーサーを散布して、そ
の周辺を注入口部分を除き、エポキシ系のシール材でシ
ールして、基板間隙dGが11.0μmの空セルを製造した。
【0147】Δn が約0.24、Δεが約16、K33 が約15
(×10-12N)、粘度が約37cSt のネマチック液晶をアク
リレートモノマー、2官能ウレタンアクリレートオリゴ
マー、光硬化開始剤と均一に溶解した溶液をセルに注入
し、紫外線露光により液晶樹脂複合体を硬化させ、アク
ティブマトリクス液晶表示素子を作成した。液晶量は68
wt%、電極間間隙dGは約11μm、液晶の平均粒子径RG
約 1.6μm、平均のアスペクト比AGは1.5 であり、液晶
の粒子の長軸の方向は3次元的にランダムであった。
【0148】同様にして、赤色用としてdR=13.5μm、
RR= 1.9μm、AR=1.5 、青色用としてdB= 9.5μm、
RB= 1.5μm、AB=1.5 のセルを製造した。
【0149】これらの素子を用い、図1に示すように投
射用光源と投射光学系とを組み合わせて投射型液晶表示
装置とした。駆動電圧が実効値で最大 7Vのビデオ信号
で駆動し、スクリーン上に画像を投影したところ、中間
調表示においても、残像のない色バランスのよい動画表
示が得られ、スクリーン上でのコントラスト比は約 120
であり、画像の変化時に焼き付き現象はほとんど見られ
なかった。
【0150】応答時間(RGBを同時動作し白黒で測定
下90%の透過率変化)は、 7V→ 0Vで10msec、 0V→
7Vで15msecであり、 0V→飽和透過率×0.2 (約16
%)では、80msecであった。
【0151】比較例1 実施例1の緑用液晶表示素子を3枚準備し、それらをR
GBの3色光源と組み合わせて、実施例1と同様の投射
型表示装置を構成した。
【0152】この投射型表示装置により得られた表示
は、全体に赤っぽい画像であり、特に、中間調の表示で
その傾向が顕著であった。また、3枚の液晶表示素子と
も電圧を印加しない状態にしたところ、投射スクリーン
は黒くならずに、暗い赤色になった。これは、RGBに
よって液晶の閾値電圧特性が異なることにより生じたも
のと思われ、RGB毎に印加電圧−透過率特性を調査し
てみると、中間調の領域では同じ印加電圧においてRが
最も透過率が高く、Bが最も低くなっていた。
【0153】比較例2 実施例1の液晶樹脂複合体の代りに、通常のネマチック
液晶を注入し、TN型液晶表示素子とした投射型アクテ
ィブマトリクス液晶表示素子を製造した。
【0154】この液晶表示素子に実施例1の投射用光源
と投射光学系とを組み合わせて用いて投射型液晶表示装
置とし、実施例1と同様に駆動したところ、投射スクリ
ーン上の表示輝度は、実施例1の場合の約1/3 と暗く、
コントラスト比は 100程度のものが得られた。応答時間
は、 5V→ 0Vで25msec、 0V→ 5Vで30msecであり、
0V→飽和透過率×0.2 (約 6%)では、 160msecであ
った。
【0155】実施例2、比較例3〜4 実施例1とほぼ同様にして、同一液晶を用いて、液晶の
平均粒子径R 及び基板間隙d を変化させてアクティブマ
トリクス液晶表示素子を製造した。
【0156】その液晶表示素子の 8Vの電圧印加時にお
ける透過率T8V、投射光学系を用いて投射した時のスク
リーン上でのコントラスト比CR、 0V→飽和透過率×
0.2(約16%)での応答時間τを測定した。なお、各色
毎の液晶表示素子の液晶の平均粒子径RX及び基板間隙dX
は次のとおりとした。
【0157】実施例2の赤用はRR= 1.8μm、dR=10.5
μm、AR=1.8 、緑用はRG= 1.8μm、dG= 9.5μm、
AG=1.6 、青用はRB= 1.8μm、dB= 9.0μm、AB=1.
5 とした。
【0158】比較例3の赤用はRR= 3.0μm、dR=12.5
μm、AR=1.4 、緑用はRG= 2.6μm、dG=11.0μm、
AG=1.4 、青用はRB= 2.3μm、dB=10.0μm、AB=1.
4 とした。
【0159】比較例4の赤用はRR= 2.1μm、dR=11.5
μm、AR=1.2 、緑用はRG= 1.8μm、dG=10.0μm、
AG=1.2 、青用はRB= 1.6μm、dB= 9.0μm、AB=1.
2 とした。
【0160】その結果を表1に示す。なお、色バランス
は実施例2及び比較例3、4のいずれも良いものであっ
た。
【0161】
【表1】
【0162】実施例3 実施例1とほぼ同様にして投射型アクティブマトリクス
液晶表示装置を作成した。ただし、各色の液晶表示素子
に用いる液晶、平均粒子径及び電極基板間隙を次のよう
にした。
【0163】赤用は液晶のΔnR=約0.29、ΔεR =約1
6、K33R=約16(×10-12N)、粘度η=約52cSt 、RR
約 1.6μm、dR=10.0μm、AR=約1.5 。 緑用は液晶のΔnG=約0.24、ΔεG =約16、K33G=約15
(×10-12N)、粘度η=約37cSt 、RG=約 1.6μm、dG
=10.0μm、AG=約1.4 。 青用は液晶のΔnB=約0.22、ΔεB =約15、K33B=約15
(×10-12N)、粘度η=約34cSt 、RB=約 1.6μm、dB
=10.0μm、AB=約1.4 。
【0164】これらの素子を用い、図1に示すように投
射用光源と投射光学系とを組み合わせて投射型液晶表示
装置とした。最大駆動電圧を実効値で 8Vとし、ビデオ
信号で駆動し、スクリーン上に画像を投影したところ、
中間調表示においても、焼き付き現象がなくかつ色バラ
ンスのよい動画表示が得られ、スクリーン上でのコント
ラスト比は約 140であった。応答時間は、 7V→ 0Vで
20msec、 0V→ 7Vで20msecであり、 0V→飽和透過率
×0.2 (約16%)では、100msec であった。
【0165】実施例4 実施例2とほぼ同様にして投射型アクティブマトリクス
液晶表示装置を作成した。ただし、各色の液晶表示素子
に用いる液晶、平均粒子径及び電極基板間隙を次のよう
にした。
【0166】赤用は液晶のΔnR=約0.29、ΔεR =約1
6、K33R=約15(×10-12N)、粘度η=約52cSt 、RR
約 1.6μm、dR=10.5μm、AR=約1.8 。 緑用は液晶のΔnG=約0.24、ΔεG =約16、K33G=約15
(×10-12N)、粘度η=約37cSt 、RG=約 1.6μm、dG
=10.5μm、AG=約1.8 。 青用は液晶のΔnB=約0.24、ΔεB =約16、K33B=約15
(×10-12N)、粘度η=約37cSt 、RB=約 1.6μm、dB
= 9.5μm、AB=約1.8 。
【0167】これらの素子を用い、図1に示すように投
射用光源と投射光学系とを組み合わせて投射型液晶表示
装置とした。最大駆動電圧を実効値で 8Vとし、ビデオ
信号で駆動し、スクリーン上に画像を投影したところ、
中間調表示においても、焼き付き現象がなくかつ色バラ
ンスのよい動画表示が得られ、スクリーン上でのコント
ラスト比は約 120であった。応答時間は、 7V→ 0Vで
20msec、 0V→ 7Vで20msecであり、 0V→飽和透過率
×0.2 (約16%)では、100msec であった。
【0168】実施例5 対向電極をアルミニウム製として、反射型の素子とする
こと、及び、電極基板間隙を赤用dR= 6.0μm、緑用dG
= 5.0μm、青用dB= 4.5μmとした外は、実施例1と
ほぼ同様にして、アクティブマトリクス液晶表示素子を
作成した。ただし、液晶表示素子の表面の反射率は約
0.3%になるようにした。これらを用いて投射型アクテ
ィブマトリクス液晶表示装置を作成した。
【0169】これを最大駆動電圧を実効値で 5Vとし、
ビデオ信号で駆動し、スクリーン上に画像を投影したと
ころ、中間調表示においても、残像、焼き付き現象がな
くかつ色バランスのよい動画表示が得られ、スクリーン
上でのコントラスト比は約 100であった。応答時間は、
5V→ 0Vで 8msec、 0V→ 5Vで12msecであり、 0V
→飽和透過率×0.2 (約16%)では、80msecであった。
【0170】実施例7 RGB3色のカラーフィルターを内面に形成した空セル
を形成した。この際に、赤色のカラーフィルター部分の
間隙をdR=11.5μmとし、緑色のカラーフィルター部分
の間隙をdG=10.5μmとし、青色のカラーフィルター部
分の間隙をdB=10.0μmとした。
【0171】この空セルに、ネマチック液晶を、アクリ
レートモノマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、光
硬化開始剤と均一に溶解した溶液を注入し、紫外線露光
により液晶樹脂複合体を硬化させ、アクティブマトリク
ス液晶表示素子を作成した。なお、用いた液晶のΔn は
約0.24、Δεは約16、K33 は約15(×10-12N)、粘度が
約37cSt であった。また、液晶の平均粒子径は約 1.6μ
mであり、平均のアスペクト比は約1.6 であった。
【0172】背景に黒色吸収体を設置して、この液晶表
示素子をビデオ信号で駆動したところ、残像、焼き付き
現象がなくかつ階調の細やかなカラー表示が得られた。
液晶表示素子のコントラスト比は約 120であった。この
液晶表示素子と投射用光源、投射光学系を組み合わせ
て、投射型表示装置とし、スクリーン上に画像を投影し
たところ、残像、焼き付き現象がなくかつ階調の細やか
なカラー表示が得られ、スクリーン上でのコントラスト
比は約 100であった。
【0173】
【発明の効果】本発明の投射型アクティブマトリクス液
晶表示装置では、アクティブマトリクス基板と対向電極
基板との間に挟持される液晶材料として、電気的に散乱
状態と透過状態とを制御しうる液晶樹脂複合体を挟持し
た液晶表示素子を用いているため、偏光板が不要であ
り、透過時の光の透過率を大幅に向上でき、明るい投射
画像が得られる。
【0174】本発明の液晶表示装置に使用される液晶表
示素子は、透過性と散乱性に優れているため、従来のT
N型液晶表示素子用の駆動用ICを用いた駆動において
も、高コントラスト比を有し、かつ高輝度の表示が可能
になる。特に、樹脂マトリクスの屈折率が使用する液晶
の常光屈折率(no)とほぼ一致するようにすることによ
り、電圧が印加されない状態で高い散乱性を有し、能動
素子により電圧を印加した状態で高い透過性を有するも
のにでき、従来のTN型液晶表示素子用の駆動用ICを
用いた駆動において、より高いコントラスト比、高い輝
度の表示が可能になる。
【0175】さらに、本発明では、色光源毎に液晶表示
素子の特性を最適化しているため、中間調においても色
バランスの良い表示が得られる。さらには、階調駆動を
行った際にも、ヒステリシスに基づく焼き付き現象を低
減することができる。
【0176】また、偏光板を用いなくてもよいため、光
学特性の波長依存性が少なく、光源の色補正等がほとん
ど不要になるという利点も有している。また、本発明の
液晶表示装置に用いる液晶表示素子は、TN型液晶表示
素子に必須のラビング等の配向処理やそれに伴う静電気
の発生による能動素子の破壊といった問題点も避けられ
るので、液晶表示素子の製造歩留りを大幅に向上させる
ことができる。
【0177】さらに、この液晶樹脂複合体は、硬化後は
フィルム状になっているので、基板の加圧による基板間
短絡やスペーサーの移動による能動素子の破壊といった
問題点も生じにくい。
【0178】また、この液晶樹脂複合体は、比抵抗が従
来のTNモードの場合と同等であり、従来のDSモード
のように大きな蓄積容量を画素電極毎に設けなくてもよ
く、能動素子の設計が容易で、有効画素電極面積の割合
を大きくしやすく、かつ、液晶表示素子の消費電力を少
なく保つことができる。
【0179】さらに、TNモードの従来の液晶表示素子
の製造工程から、配向膜形成工程を除くだけで製造が可
能になるので、生産が容易である。
【0180】また、この液晶樹脂複合体を用いた液晶表
示素子は、応答時間が短いという特長も有しており、動
画の表示も容易なものである。さらに、この液晶表示素
子の電気光学特性(電圧−透過率)は、TNモードの液
晶表示素子に比して比較的なだらかな特性であるので、
階調表示への適用も容易である。
【0181】また、本発明の液晶表示素子は、樹脂マト
リクスの屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ
一致するようにすることにより、電圧を印加しない部分
では光が散乱されるため、画素以外の部分を遮光膜によ
り遮光しなくても投射時に光の漏れがなく、隣接画素間
の間隙を遮光する必要がない。
【0182】このため、特に、能動素子として多結晶シ
リコンによる能動素子を用いることにより、能動素子部
分に遮光膜無しでまたは厳密度の低い遮光膜で高輝度の
投射用光源を用いることができ、高輝度の投射型液晶表
示装置を容易に得ることができる。さらに、この場合に
は遮光膜を全く設けなくてもよいか、厳密度の低い遮光
膜でよいことになり、生産工程を簡便化することができ
る。
【0183】本発明は、この外、本発明の効果を損しな
い範囲内で種々の応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の投射型アクティブマトリクス液晶表示
装置の基本的な構成を示す模式図。
【図2】本発明の他の投射型アクティブマトリクス液晶
表示装置の基本的な構成を示す模式図。
【図3】本発明のアクティブマトリクス液晶表示素子の
基本的な構成を示す断面図。
【図4】本発明の液晶の粒子の長軸の方向のランダム性
を説明する斜視図。
【図5】本発明の液晶の粒子の長軸の方向のランダム性
を説明する断面図。
【符号の説明】
1、 11 :光源 2、 12 :凹面鏡 6A、 6B、 6C、 16A、 16B、 16C:アクティブマトリクス液
晶表示素子 8、 18A、 18B、 18C :投射レンズ 10、 20 :投射スクリーン 21 :液晶表示素子 22、 25 :基板 23 :画素電極 24 :能動素子 26 :対向電極 27 :液晶樹脂複合体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−198725(JP,A) 特開 平3−126915(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1334

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の色光源と、各色光源からの光が入射
    する複数のアクティブマトリクス液晶表示素子と、アク
    ティブマトリクス液晶表示素子から出射した光を合成投
    射する投射光学系とを有する投射型アクティブマトリク
    ス液晶表示装置において、アクティブマトリクス液晶表
    示素子が画素電極毎に能動素子を設けたアクティブマト
    リクス基板と、対向電極を設けた対向電極基板との間
    に、誘電異方性が正のネマチック液晶が樹脂マトリクス
    中に分散保持され、電圧の印加時または非印加時のいず
    れかの状態においてその樹脂マトリクスの屈折率が使用
    する液晶の屈折率とほぼ一致するようにされた液晶樹脂
    複合体を挟持し、ある色に対応せしめられたアクティブ
    マトリクス液晶表示素子の構成要素を添字xで表記する
    と、樹脂マトリクス中に分散保持される各色の液晶の平
    均粒子径Rx(μm)、そのアスペクト比Ax、各色の電極
    間間隙dx(μm)、用いる液晶の比誘電率異方性Δε
    x 、弾性定数K33x(10-12N)、粘度ηx(cSt)、屈折率異方
    性Δnx、各色の主波長λx (μm)とが、 3(K33x/ ηx)0.5 >Rx/Ax >0.7(K33x/ Δεx)0.5 (1) 1.3 < Ax < 2.3 (2) の関係を満足し、少なくとも一組のアクティブマトリク
    ス液晶表示素子間で、xの代わりにi,j(i≠j)と
    すると、 Δni・Ri/(Ai・λi)≒Δnj・Rj/(Aj・λj) (3) かつ、di/Ri ≒dj/Rj (4) の関係を満足するか、または、 Δni・di 2/ λi ≒Δnj・dj 2/ λj (5) の関係を満足し、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の
    切断面で、液晶の粒子の長軸の方向が2次元的にほぼラ
    ンダムな方向を向いていることを特徴とする投射型アク
    ティブマトリクス液晶表示装置。
  2. 【請求項2】光源がRGB3色の色光源であり、(1)
    、(2) 式をxがRGB3色とも満足し(xの代わりに
    R、G、Bとする)、 ΔnR・RR/(AR・λR)≒ΔnG・RG/(AG・λG)≒ΔnB・RB/(AB・λB) (3A) かつ、dR/RR ≒dG/RG ≒dB/RB (4A) の関係を満足するか、または、 ΔnR・dR 2/ λR ≒ΔnG・dG 2/ λG ≒ΔnG・dG 2/ λG (5A) の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の
    射型アクティブマトリクス液晶表示装置。
  3. 【請求項3】RGB3色のカラーフィルターを有し、画
    素電極毎に能動素子を設けたアクティブマトリクス基板
    と、対向電極を設けた対向電極基板との間に、誘電異方
    性が正のネマチック液晶が樹脂マトリクス中に分散保持
    され、電圧の印加時または非印加時のいずれかの状態に
    おいてその樹脂マトリクスの屈折率が使用する液晶の屈
    折率とほぼ一致するようにされた液晶樹脂複合体を挟持
    、アクティブマトリクス液晶表示素子のある色に対応
    せしめられた構成要素を添字xで表記すると、樹脂マト
    リクス中に分散保持される液晶の平均粒子径R (μm)
    、そのアスペクト比A 、各色の電極間間隙dx(μ
    m)、液晶の比誘電率異方性Δε、弾性定数K33(10
    -12N) 、粘度η(cSt) 、屈折率異方性Δn 、各色の主波
    長λx (μm)とが(緑の波長域に対応する電極間間隙
    をd G (μm)とする)、 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1B) 1.3 < A < 2.3 (2B) 0.2 < R・Δn < 0.7 (6B) Δn2 Δε/(K33・η) > 0.0011 (7B) 4R < A・dG < 15R (8B) の関係を満足し、RGB3色の少なくとも2色との関係
    において、xの代わりにi、j(i≠j)とすると、 di 2i ≒dj 2j (5B) の関係を満足し、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の
    切断面で、液晶の粒子の長軸の方向が2次元的にほぼラ
    ンダムな方向を向いていることを特徴とする投射型アク
    ティブマトリクス液晶表示素子。
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