JP3025980B2 - アクティブマトリクス液晶表示素子及び投射型アクティブマトリクス液晶表示装置 - Google Patents

アクティブマトリクス液晶表示素子及び投射型アクティブマトリクス液晶表示装置

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JP3025980B2
JP3025980B2 JP3228370A JP22837091A JP3025980B2 JP 3025980 B2 JP3025980 B2 JP 3025980B2 JP 3228370 A JP3228370 A JP 3228370A JP 22837091 A JP22837091 A JP 22837091A JP 3025980 B2 JP3025980 B2 JP 3025980B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画素電極毎に能動素子
を配置したアクティブマトリクス液晶表示素子及び投射
型アクティブマトリクス液晶表示装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、近年その低消費電
力、低電圧駆動等の特長を生かしてパーソナルワードプ
ロセッサー、ハンドヘルドコンピューター、ポケットT
V等に広く利用されている。中でも注目され、盛んに開
発されているのが、画素電極毎に能動素子を配置したア
クティブマトリクス液晶表示素子である。
【0003】このような液晶表示素子は当初は、D
動的散乱)型の液晶を用いた液晶表示素子も提案され
ていたが、DS型では液晶中を流れる電流値が高いた
め、消費電流が大きいという欠点があり、現在ではTN
(ツイストネマチック)型液晶を用いるものが主流とな
っており、ポケットTVとして市場に現われている。T
N型液晶では、漏れ電流は極めて小さく、消費電力が少
ないので、電池を電源とする用途には適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アクティブマトリクス
液晶表示素子をDSモードで使用する場合には、液晶自
身の漏れ電流が大きい。このため、各画素と並列に大き
な蓄積容量を設ける必要があり、かつ、液晶表示素子自
体の消費電力が大きくなるという問題点を有していた。
【0005】TNモードにおいては、液晶自身の漏れ電
流は極めて小さいので、大きな蓄積容量を付加する必要
はないし、液晶表示素子自体の消費電力は小さくでき
る。しかし、TNモードでは、2枚の偏光板を必要とす
るので、光の透過率が小さいという問題点を有してい
る。特に、カラーフィルターを用いてカラー表示を行う
場合には、入射する光の数%しか利用できないこととな
り、強い光源を必要とし、そのため結果として消費電力
を増加させてしまう。
【0006】また、画像の投影を行う際には極めて強い
光源を必要とし、投影スクリーン上で高いコントラスト
が得られにくいことや、光源の発熱による液晶表示素子
への影響という問題点を有している。
【0007】そこで、TNモードの課題を解決すべく、
ネマチック液晶を樹脂マトリクス中に分散保持した液晶
樹脂複合体を使用して、その散乱−透過特性を利用した
10V以下の低電圧で駆動できるモードが提案されてい
る。
【0008】しかし、従来の液晶樹脂複合体において
は、その電圧−透過率特性にヒステリシスが存在する、
ち、昇圧時と降圧時において透過率が異なるという課
題を有しており、そのため、表示画面の変化時に前画面
の情報が残ってしまうという焼き付き現象(秒単位以上
の残像)が生ずることがあるという問題点を有してい
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、高輝度、高コントラス
ト比を有し、中間調表示においても残像がなく、液晶樹
脂複合体のヒステリシスに基づく焼き付き現象を低減し
たアクティブマトリクス液晶表示素子を提供するもので
ある。
【0010】即ち、本発明は画素電極毎に能動素子を設
けたアクティブマトリクス基板と、対向電極を設けた対
向電極基板との間に、誘電異方性が正のネマチック液晶
が樹脂マトリクス中に分散保持され、電圧の印加時また
は非印加時のいずれかの状態においてその樹脂マトリク
スの屈折率が使用する液晶の屈折率とほぼ一致するよう
にされた液晶樹脂複合体を挟持してなるアクティブマト
リクス液晶表示素子において、使用するネマチック液晶
の屈折率異方性Δn が0.18以上で、樹脂マトリクス中に
分散保持される液晶の平均粒子径R(μm)、そのアスペ
クト比A と、用いる液晶の比誘電率異方性Δε、弾性定
数K33(10-12N)、粘度η(cSt) とが、 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1) 1.3 < A < 2.3 (2) の関係を満足し、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の
切断面で、液晶の粒子の長軸の方向が2次元的にほぼラ
ンダムな方向を向いている、特に好ましくは3次元的に
ほぼランダムな方向を向いていることを特徴とするアク
ティブマトリクス液晶表示素子を提供するものである。
【0011】また、それらのアクティブマトリクス液晶
表示素子において、 0.2 < R・Δn < 0.7 (3) の関係を満足することを特徴とするアクティブマトリク
ス液晶表示素子、及び、 (Δn2・Δε)/(K33・η) > 0.0011 (4) の関係を満足することを特徴とするアクティブマトリク
ス液晶表示素子、さらには、両電極基板間隙d(μm)、
能動素子により画素部分の液晶樹脂複合体に印加される
最大実効電圧V(V) が、 4R < A・d < 15R (5) 0.8R・V < A・d < 1.8R・V (6) の関係を満足することを特徴とするアクティブマトリク
ス液晶表示素子を提供するものである。
【0012】また、それらの樹脂マトリクスの屈折率が
使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ一致するようにさ
れたことを特徴とするアクティブマトリクス液晶表示素
子、及び、それらのアクティブマトリクス液晶表示素子
の製造方法であって、液晶樹脂複合体に用いられる樹脂
が光硬化性化合物であり、液晶と光硬化性化合物とを均
一に溶解した溶液に光照射し、光硬化性化合物を硬化さ
せることにより液晶樹脂複合体を形成することを特徴と
するアクティブマトリクス液晶表示素子の製造方法を提
供するものである。
【0013】さらには、それらのアクティブマトリクス
液晶表示素子に、投射用光源と投射光学系とを組み合わ
せたことを特徴とする投射型アクティブマトリクス液晶
表示装置を提供するものである。
【0014】本発明のアクティブマトリクス液晶表示素
子では、アクティブマトリクス基板と対向電極基板との
間に挟持される液晶材料として、電気的に散乱状態と透
過状態とを制御しうる液晶樹脂複合体を用いているた
め、偏光板が不要であり、透過時の光の透過率を大幅に
向上できる。このため、明るい表示が可能であり、特に
投射型表示に用いた場合、明るくコントラストの良い投
射型表示が得られる。
【0015】また、TN型液晶表示素子に必須の配向処
理や発生する静電気による能動素子の破壊といった問題
点も避けられるので、液晶表示素子の製造歩留りを大幅
に向上させることができる。
【0016】さらに、この液晶樹脂複合体は、硬化後は
フィルム状になっているので、基板の加圧による基板間
短絡やスペーサーの移動による能動素子の破壊といった
問題点も生じにくい。
【0017】また、この液晶樹脂複合体は、比抵抗が従
来のTNモードの場合と同等であり、DSモードのよう
に大きな蓄積容量を画素電極毎に設けなくてもよく、能
動素子の設計が容易で、かつ、液晶表示素子の消費電力
を少なく保つことができる。従って、TNモードの従来
の液晶表示素子の製造工程から、配向膜形成工程を除く
だけで製造が可能になるので、生産が容易である。
【0018】液晶樹脂複合体の比抵抗としては、 5×10
9 Ωcm以上のものが好ましい。さらに、漏れ電流等によ
る電圧降下を最小限にするために、1010Ωcm以上がより
好ましく、この場合には大きな蓄積容量を画素電極毎に
付与する必要がない。
【0019】画素電極に設けられる能動素子としては、
トランジスタ、ダイオード、非線形抵抗素子等があり、
必要に応じて1つの画素に2以上の能動素子が配置され
ていてもよい。このような能動素子とこれに接続された
画素電極とを設けたアクティブマトリクス基板と、対向
電極を設けた対向電極基板との間に上記液晶樹脂複合体
を挟んで液晶表示素子とする。
【0020】本発明の液晶表示素子は、直視型表示素
子、投射型表示素子の両方で用いることができる。直視
型表示素子として用いる場合、得たい表示特性に応じ
て、バックライト、レンズ、プリズム、ミラー、拡散
板、光吸収体、カラーフィルターなどを組み合わせて表
示装置を構成すればよい。
【0021】本発明の液晶表示素子は、特に、投射型表
示装置に適しており、投射用光源、投射光学系などと組
み合わせて、投射型液晶表示装置とすることができる。
投射用光源、投射光学系は従来から公知の投射用光源、
レンズ等の投射光学系が使用でき、通常は上記液晶表示
素子を投射用光源と投射レンズとの間に配置して用いれ
ばよい。
【0022】本発明では、液晶表示素子として、画素電
極毎に能動素子を設けたアクティブマトリクス基板と、
対向電極を設けた対向電極基板との間に、誘電異方性が
正のネマチック液晶が樹脂マトリクス中に分散保持さ
れ、電圧印加時または非印加時のいずれかにおいてその
樹脂マトリクスの屈折率が使用する液晶の屈折率とほぼ
一致するようにされた透過−散乱型の液晶樹脂複合体を
挟持した液晶表示素子を用いているため、明るく、高い
コントラスト比が容易に得られるという特長を有してい
る。
【0023】具体的には、本発明では液晶表示素子とし
て細かな孔の多数形成された樹脂マトリクスとその孔の
部分に充填されたネマチック液晶とからなる液晶樹脂複
合体を、アクティブマトリクス基板と対向電極基板との
間に挟持し、その電極間への電圧の印加状態により、そ
の液晶の屈折率が変化し、樹脂マトリクスの屈折率と液
晶の屈折率との関係が変化し、両者の屈折率が一致した
時には透過状態となり、屈折率が異なった時には散乱状
態となるような液晶表示素子が使用できる。
【0024】この細かな孔の多数形成された樹脂マトリ
クスとその孔の部分に充填された液晶とからなる液晶樹
脂複合体は、マイクロカプセルのような液泡内に液晶が
封じ込められたような構造であるが、個々のマイクロカ
プセルが完全に独立していなくてもよく、多孔質体のよ
うに個々の液晶の液泡が細隙を介して連通していてもよ
い。
【0025】本発明の液晶表示素子に用いる液晶樹脂複
合体は、ネマチック液晶と、樹脂マトリクスを構成する
硬化性化合物とを混ぜ合わせて溶液状またはラテックス
状にしておいて、これを光硬化、熱硬化、溶媒除去によ
る硬化、反応硬化等させて硬化物を分離し、樹脂マトリ
クス中にネマチック液晶が分散した状態をとるようにす
ればよい。
【0026】この硬化性化合物を、光硬化または熱硬化
タイプにすることにより、密閉系内で硬化できるため好
ましい。特に、光硬化タイプの硬化性化合物を用いるこ
とにより、熱による影響を受けなく、短時間で硬化させ
ることができ好ましい。
【0027】具体的な製法としては、従来の通常のネマ
チック液晶と同様にシール材を用いてセルを形成し、注
入口からネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混
合物を注入し、注入口を封止して後、光照射をするか加
熱して硬化させることもできる。
【0028】また、本発明の液晶表示素子の場合には、
シール材を用いなく、例えば、対向電極としての透明電
極を設けた基板上に、ネマチック液晶と硬化性化合物と
の未硬化の混合物を供給し、その後、画素電極毎に能動
素子を設けたアクティブマトリクス基板を重ねて、光照
射等により硬化させることもできる。
【0029】もちろん、その後、周辺にシール材を塗布
して周辺をシールしてもよい。この製法によれば、単に
ネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混合物をロ
ールコート、スピンコート、印刷、ディスペンサーによ
る塗布等の供給をすればよいため、注入工程が簡便であ
り、生産性が極めてよい。
【0030】また、これらのネマチック液晶と硬化性化
合物との未硬化の混合物には、基板間隙制御用のセラミ
ック粒子、プラスチック粒子、ガラス繊維等のスペーサ
ー、顔料、色素、粘度調整剤、その他本発明の性能に悪
影響を与えない添加剤を添加してもよい。
【0031】電圧非印加時に散乱状態である素子に、こ
の硬化工程の際に特定の部分のみに十分高い電圧を印加
した状態で硬化させることにより、その部分を常に光透
過状態にすることができるので、固定表示したいものが
ある場合には、そのような常透過部分を形成してもよ
い。逆に、電圧非印加状態に透過状態である素子の場合
には、同様にして常散乱部分を形成できる。
【0032】なお、この液晶樹脂複合体を使用した液晶
表示素子の透過状態での透過率は高いほどよく、散乱状
態でのヘイズ値は80%以上であることが好ましい。
【0033】本発明では、電圧印加状態または非印加状
態のいずれかで、樹脂マトリクス(硬化後の)の屈折率
が、使用する液晶の屈折率と一致し、逆の状態では樹脂
マトリクスの屈折率が、使用する液晶の屈折率と一致し
ないようにされる。
【0034】これにより、樹脂マトリクスの屈折率と液
晶の屈折率とが一致した時に光が透過し、一致しない時
に光が散乱(白濁)することになる。この素子の散乱性
は、従来のDSモードの液晶表示素子の場合よりも高
く、高いコントラスト比の表示が得られる。
【0035】本発明では、特に、電圧を印加している状
態で、樹脂マトリクス(硬化後の)の屈折率が、使用す
る液晶の常光屈折率(no)と一致するようにされることが
好ましい。これにより、電圧印加時に透過状態になるの
で、光透過時の透過率が高くなりかつ均一に透過するの
で、表示のコントラスト比が向上する。
【0036】上記液晶樹脂複合体を用いたアクティブマ
トリクス液晶表示素子の電気光学特性を決める要因とし
ては、使用する液晶の屈折率(常光屈折率no、異常光屈
折率ne)、比誘電率(ε//、ε⊥、//及び⊥は夫々液晶
分子軸に平行、垂直を示す)、粘性η、弾性定数K33 、
並びに使用する樹脂の屈折率np、比誘電率εp 、弾性
率、並びに樹脂マトリクス中に分散保持される液晶の平
均粒子径R 、体積分率Φ、両電極基板間隙(液晶樹脂複
合体の厚み)d 、能動素子により画素部分の液晶樹脂複
合体に印加される最大実効印加電圧V 等が挙げられる。
【0037】ここで液晶平均粒子径R とは、液晶が独立
した粒子または一部が連通した粒子である場合には、そ
の粒子の最大直径を意味し、液晶の多くが連通した構造
の場合には、液晶のディレクターの向きが互いに相関を
持つ領域の最大直径を意味する。
【0038】樹脂マトリクス中に分散保持される液晶
は、独立した粒子、または一部が連通した粒子であるこ
とが好ましい。これは、低電圧で駆動でき、高い散乱能
と高い透過性を両立するために有効である。散乱は液晶
と樹脂の界面の存在により引き起こされる。このため、
この界面の面積が大きいほど散乱性は向上する。ある最
適な液晶粒子径で、この界面の面積を増大させるために
は、独立して樹脂と分離した液晶量を多くする、即ち、
液晶粒子密度を多くすることが重要である。
【0039】しかし、樹脂と分離した液晶量を増大して
いくと、いずれ夫々の液晶粒子が連通するようになり、
さらには液晶が全て連通した構造を取るようになり、こ
れは樹脂と分離した液晶界面の喪失につながるため、散
乱能の低下につながる。
【0040】また、駆動電圧を低くするためには、樹脂
中に保持される夫々の液晶がほぼ等しい駆動電圧を持つ
ことが重要である。このためには、液晶が明確な界面を
樹脂との間に持つ方が有利であり、界面の喪失は駆動電
圧の分散につながり、コントラスト比の低下と駆動電圧
の上昇を生じる傾向がある。このため、樹脂中に分散保
持される液晶は、高密度に存在する独立粒子または一部
が連通した粒子であることが好ましい。
【0041】本発明の液晶樹脂複合体を用いたアクティ
ブマトリクス液晶表示素子の電気光学特性としては、電
圧印加時及び非印加時のいずれか一方で高い散乱性を有
し、かつ、他方で高い透過性を有すること、即ち、高い
表示コントラスト比を持ち、階調表示時にも速い応答性
を有し、残像(通常の秒単位以下の残像)及び焼き付き
(秒単位以上の残像)のない表示が得られることが望ま
れる。このような液晶表示素子を用いて、投射型の表示
を行った場合、高輝度かつ高コントラスト比の表示を得
ることができる。このような表示を得るためには、上記
の要因が最適な関係を持つことが必要である。
【0042】これらの要因の中でアクティブマトリクス
液晶表示素子の電気光学特性を決定する特に重要な要因
は、使用する液晶の屈折率(屈折率異方性Δn =ne
no)、非誘電異方性Δε、粘度η、弾性定数K33 、液晶
の平均粒子径R 、粒子径分布、両電極基板間隙d であ
り、これらを画素に印加される最大の実効印加電圧で最
適化する。
【0043】本発明の最も大きな目的は、この液晶樹脂
複合体を用いたアクティブマトリクス液晶表示素子にお
いて、ヒステリシスに基づく焼き付き現象を低減したア
クティブマトリクス液晶表示素子を得ることである。
【0044】液晶樹脂複合体は、スタティックで駆動す
る際、オフ状態と十分高い(飽和電圧以上の)オン状態
で駆動されるため、数十msec以下の応答性を有しており
一般に高速表示に適したものである。しかし、階調表示
の際には中間調を表示するために飽和電圧よりも低い電
圧も用いられ、スタティック駆動での応答より遅い状態
が存在する。階調表示時の応答性は低電圧側での表示
(暗い表示)ほど応答が遅くなる傾向があり、特に、オ
フ状態から低い透過率状態への変化が最も遅く、スタテ
ィック駆動時の応答の数十倍以上遅くなることもある。
【0045】階調表示の際の応答性を決定する重要な要
因は、樹脂中に保持される液晶の平均粒子径R 、及び、
その形状、用いる液晶の比誘電率異方性Δε、弾性定数
K33、粘度η等である。
【0046】階調表示の際にも残像のない表示の得られ
るのは、樹脂マトリクス中に分散保持される液晶の平均
粒径子R(μm)と、用いる液晶の比誘電率異方性Δε、
粘度η(cSt) 、弾性定数K33(10-12N)が、 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1) の関係を満たす時である。この場合、さらに、 (Δn2・Δε)/(K33・η) > 0.0011 (4) の関係を満たすことが好ましい。
【0047】この(1) 式の範囲においては、階調表示時
の各電圧における液晶に働くトルクバランスがとれ、残
像のない表示が得られると共に、液晶の駆動に要する電
圧が低く抑えられる。さらに、この(4) 式の範囲を満足
することにより、その効果が大きい。特に、この(4) 式
の値を0.0014以上とすると、この効果が大きく好まし
い。なお、ここで用いられる液晶の物性値は室温での値
である。
【0048】また、従来の液晶樹脂複合体においては、
電圧−透過率特性にヒステリシスが存在し、それが階調
表示をする際の問題点となっていた。ヒステリシスと
は、電圧を上昇する過程と電圧を降下させる過程におい
て透過率が異なるといった現象である。もし、ヒステリ
シスが存在すると、階調表示の際に前画面の情報が比較
的長く(秒単位以上に)残ってしまう、即ち、画像が焼
き付くという現象が生じやすく、これが画質を低下させ
ていた。
【0049】この液晶樹脂複合体においてヒステリシス
が存在する原因の一つは、液晶樹脂複合体が、液晶が樹
脂マトリクス中に分散保持されているという構造によ
る。即ち、分離して樹脂マトリクス中に存在する液晶粒
子同士の相互作用によってヒステリシスが存在すると考
えられる。このヒステリシスの大小は、樹脂マトリクス
中に保持される液晶中に蓄えられる弾性エネルギー、外
から印加される電圧による電気的エネルギーと、分離し
て樹脂マトリクス中に存在する液晶同士の相互作用エネ
ルギーによって決定されるものである。
【0050】従って、このエネルギーバランスを最適化
することによってヒステリシスは低減することができ、
階調表示の際にも焼き付きのない優れた表示を得ること
ができる。
【0051】本発明の目的は、高いコントラスト比、高
い輝度、優れた応答性を有し、ヒステリシスを低減した
液晶表示素子を得ることであり、さらには、従来のTN
用の能動素子や駆動回路で駆動できるアクティブマトリ
クス液晶表示素子を得ることである。
【0052】上記のエネルギーバランスを決定する重要
な要因は、樹脂マトリクス中に分散保持される液晶の平
均粒子径R 、液晶粒子の形状、液晶の比誘電率及びその
異方性Δε、粘性η、弾性定数K33 、樹脂マトリクスの
誘電率εp などである。上記の目的のため最適化を行う
場合、このエネルギーバランスが素子の電圧−透過率特
性、液晶の動的特性(応答性)とも密接に関連している
ことを考慮して最適化を行うことが重要である。
【0053】液晶の平均粒子径R は重要な要因であり、
散乱特性、応答性、動作電圧などと密接に関連する。R
が大きくなると駆動に必要な電圧は小さくなるが、応答
性は遅くなる。また、R が小さくなると単位液晶量当り
に蓄積される弾性エネルギーは大きくなり応答速度は速
くなるものの駆動に高い電圧を必要とる。
【0054】液晶の粘度η、比誘電率異方性Δεも応答
性と深く関連する要因であり、粘度が小さいほど、比誘
電率異方性が大きいほど応答速度は速くなる。また、Δ
εは駆動に必要な電圧とも関連し、Δεが大きいほど必
要な電圧は小さくなる。
【0055】液晶の弾性定数は液晶に蓄積される弾性エ
ネルギーを決定するが、液晶樹脂複合体においては、特
にK33 によるベンドエネルギーが大きな役割を果たし、
応答特性、駆動特性すなわち液晶に働く弾性トルクと深
く関与する。
【0056】ヒステリシスの低減のためには、弾性定数
K33 は大きいほうが有利であり、この場合、応答性の向
上も期待される。しかし、K33 があまり大きくなると、
駆動電圧の上昇につながるため、他の液晶物性(例えば
Δn 、Δε、η等)とのバランスにより、選択すること
ができる。
【0057】液晶の形状は、ヒステリシス低減のための
重要な要因である。すなわち、樹脂マトリクス中に保持
される液晶の粒子の歪によって、単位動作液晶量当りに
蓄積される弾性エネルギーを変化させることができるた
め、これによって、上記エネルギーバランスの制御が可
能となる。
【0058】液晶の形状としては、あまり複雑な凹凸が
あるような形状は応答性は良いものの非常に高い駆動電
圧を必要とするため好ましくなく、回転楕円体状の形状
ましい。この時、平均粒子径は長軸での直径a (即
ち、最大の直径)を体積で重み付けした平均であり、ア
スペクト比A は長軸での直径a を短軸での直径b で割っ
た a/bとする。
【0059】アスペクト比A が1.3 より小さい場合、
晶粒子の形状による弾性エネルギーの増大分は小さく、
全体のエネルギーバランスへの寄与は大きくない。従っ
て、駆動電圧は小さいもののヒステリシスは低減されに
くい。アスペクト比A が大きくなるにつれ、弾性エネル
ギーの増大分が大きくなり、それによって、ヒステリシ
スは低減していき、さらには、応答速度も速くなる。
【0060】しかし、アスペクト比A が大きくなるにつ
れ、駆動に必要な電圧は高くなり、よりアスペクト比A
が大きくなった場合、散乱能の低下によるコントラスト
比の低下ということも生じる。従って、応答特性、駆動
特性をも考慮してアスペクト比A の最適な範囲が求めら
れる。
【0061】以上の観点により得られる条件は下に示さ
れる。 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1) 1.3 < A < 2.3 (2) (1) 、(2) 式で示される範囲において、応答特性、駆動
特性のバランスが取れ、ヒステリシスが低減された液晶
表示素子が得られる。
【0062】また、本発明では液晶粒子がアスペクト比
を持っていて非球形であると同時に、この非球形の液晶
粒子の長軸の方向の分布も重要である。即ち、本発明で
は、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の切断面で、液
晶粒子の長軸の方向が2次元的にほぼランダムな方向を
向いているものである。
【0063】図3は、その状態を説明する斜視図であ
り、図4はその断面図である。図3において、21、22は
基板を、23、24は電極を、25は液晶樹脂複合体を示し、
26は電極面に垂直方向の切断面を示している。図4は、
その電極面に垂直方向の切断面26を示す断面図であり、
33、34は電極を、35は液晶樹脂複合体を、37は1個の液
晶粒子を示し、38はその粒子の長軸方向を、39は電極に
垂直な方向を示している。θは、この液晶粒子の長軸方
向38と電極に垂直な方向39とのなす角を示している。
【0064】本発明では、この角θがこの断面内におい
てほぼランダムな方向を向いているものである。なお、
ここでいうランダムは1つの画素、通常は50μm〜 300
μm平方程度においてマクロ的にランダムになっていれ
ばよい。より好ましい状態は、画素内の数μm以下の範
囲、即ち、用いる波長の10倍程度以下の範囲で、粒子の
長軸の角θがランダムになっていることである。さら
に、液晶樹脂複合体が複数の層状になっている場合には
1層目は液晶粒子の長軸方向がすべて30°傾斜してお
り、2層目は90°傾斜しておりというように、数層異な
る傾斜角になっているものも使用できる。即ち、垂直方
向にみて液晶粒子の長軸方向がほぼランダムになってい
ればい。
【0065】もっとも、そのように制御された傾斜角を
得ることは製造上極めて困難であること及び30°単位の
傾斜しかないのではなく種々の角度を採ってランダムに
なっている方が本発明の効果が大きいので、本当にラン
ダムにされていることが好ましい。このように電極面に
垂直方向の切断面で2次元的にほぼランダムとすること
により、ヒステリシスによる焼き付き現象を大幅に低減
することができる。
【0066】また、本発明では図4の奥行き方向も含め
て、3次元的にほぼランダムとすることがより好まし
い。これにより、入射光がランダム偏光の場合に正確に
透過光量を制御できるので好ましい。これは、本発明の
液晶表示素子が投射型表示装置として使用される場合の
最大のメリットである偏光板を用いない明るい表示を生
かすためにも重要である。なお、偏光がある場合には、
その偏光方向に一番敏感になるように、電極面に垂直方
向の切断面で2次元的にほぼランダムとすることが好ま
しい。
【0067】最適なR/A の領域は、液晶の静電エネルギ
ー、弾性エネルギー、液晶に働くトルクのバランスによ
り決定され、表示に支障のない応答性の得られるための
R/Aの範囲は3(K33/η)0.5 未満、かつ0.7(K33/Δε)0.5
で表される。
【0068】使用する液晶の屈折率異方性Δn (=ne
no)は、無電圧時における散乱性に寄与し、高い散乱性
を得るには、ある程度以上大きいことが好ましく、具体
的にはΔn >0.18が好ましく、特にΔn >0.22が好まし
い。また、使用する液晶の常光屈折率noは樹脂マトリク
スの屈折率npとほぼ一致することが好ましく、この時電
圧印加時に高い透明性が得られる。具体的にはno−0.03
<np<no+0.05の関係を満たすことが好ましい。
【0069】高いコントラスト比を達成するには、オフ
時の散乱能が大きいことが必要である。液晶樹脂複合体
の、単位動作液晶量あたりの散乱能は、R・Δn/λ(λ=
光の波長)で決定され、可視光線域においては、 0.2 < R・Δn < 0.7 (3) の関係を満たす時である。この範囲内においては、散乱
性に波長依存性も少なく、全可視光線域にわたって強い
散乱が得られるため、コントラスト比の高い表示が得ら
れる。
【0070】平均粒子径R が(3) 式の範囲よりも小さい
場合、応答速度は速くなるが、単位液晶量当りの散乱能
が低下すると共に、駆動に必要な電圧が高くなる。逆
に、平均粒子径R が(3) 式の範囲よりも大きい場合、低
電圧で駆動可能となるが、単位液晶量当りの散乱能が低
下すると共に、応答速度は遅くなる。
【0071】この液晶の粒子径は、均一であることが望
ましい。粒子径に分布がある場合、大きな液晶粒子は散
乱能の低下に、小さな液晶粒子は駆動電圧の上昇につな
がり、結果として、駆動電圧の上昇とコントラストの低
下を招く。粒子径の分散σは平均粒子径の0.25倍以内が
望ましく、0.15倍以内がより望ましい範囲である。な
お、平均粒子径、分散は体積で重み付けをした平均、分
散である。
【0072】電極基板間隙d も重要な要因である。d を
大きくすると、無電圧時の散乱性は向上する。しかし、
d があまり大きすぎると、電圧印加時の充分な透明性を
達成するために高い電圧を必要とし、消費電力の増大
や、従来のTN用の能動素子、駆動用ICが使用できな
いといった問題が生じてくる。また、d を小さくする
と、低電圧で高い透明性が得られるが、無電圧時の散乱
性は減少していく。
【0073】このため、無電圧時の散乱性と電圧印加時
の高透明性を両立させるためには、d(μm)アスペク
ト比A の積A・d が、 4R < A・d < 15R (5) を満足し、かつ、液晶樹脂複合体に印加される最大実効
印加電圧V(V) が 0.8R・V < A・d < 1.8R・V (6) の関係を満たすことが好ましい。この範囲内では、従来
のTN用の能動素子、駆動用ICを用いて高いコントラ
スト比を有する表示が可能である。
【0074】(5) 式の範囲内におけるd の設定は、用い
る液晶の比誘電率異方性Δε(=ε//−ε⊥)、弾性定
数との関係により、適当に設定することが可能である。
一般には、大きなΔε(Δε>5 )の液晶を用い、最大
実効印加電圧で充分な透明性が得られるような範囲で、
d を最大にすることが好ましい。
【0075】上記のように、電圧印加時に透明状態、電
圧非印加時に散乱状態となる液晶樹脂複合体を用いたア
クティブマトリクス液晶表示素子において、式(1) 〜
(5) の条件を全て満足する液晶表示素子は、 (6)式の電
圧範囲、即ち、従来のTN用の能動素子や駆動用ICを
用いて、高いコントラスト比を持つ明るい表示が可能で
ある。具体的には、コントラスト比 100以上、電圧印加
時の透過率が70%以上、階調表示時の応答時間が100mse
c 以下の表示が可能である。
【0076】上記素子を反射型で用いる場合には、光は
2度液晶樹脂複合体を通過するので、散乱時の散乱性が
増大する。従って、 (5)式の範囲内で、d を薄くするこ
とが可能で、 (6)式によって決められる最大駆動電圧も
低減できる。
【0077】また、無電圧時の散乱性を向上させるに
は、液晶樹脂複合体の動作可能な液晶の体積分率Φを増
加させることが有効であり、Φ>20%が好ましく、より
高い散乱性を有するにはΦ>35%が好ましく、さらには
Φ>45%が好ましい。一方Φがあまり大きくなると、液
晶樹脂複合体の構造安定性が悪くなるため、Φ<70%が
好ましい。
【0078】本発明の液晶表示素子で液晶粒子に特定の
アスペクト比を持たせるには、液晶樹脂複合体の製造中
または製造後に外部から圧力を加えればよい。また、樹
脂マトリクスの表面エネルギー、弾性定数、その硬化時
の収縮等による内部応力等を制御して、液晶粒子形状を
変化させることができる。具体的には、樹脂マトリクス
用の未硬化の硬化性化合物組成、硬化温度、硬化速度等
を制御すればよく、所望の平均粒子径及びその分布、ア
スペクト比等が得られるように実験的に定めればよい。
【0079】なお、本発明では前述したように液晶樹脂
複合体の電極面に垂直方向の切断面で、液晶の粒子の長
軸の方向が2次元的にほぼランダムな方向を向いている
ようにされる必要がある。このため、単に1つの軸方向
に延伸するような製法では、この長軸の方向が一方向に
揃ってしまうので好ましくない。
【0080】本発明の液晶表示素子で、樹脂マトリクス
の屈折率が、使用する液晶の常光屈折率(no)と一致する
ようにされた液晶表示素子は、電圧が印加されていない
場合は、一定方向に平行に揃って配列していない液晶
と、樹脂マトリクスの屈折率の違いにより、散乱状態
(つまり白濁状態)を示す。
【0081】このため、本発明のように投射型表示装置
として用いる場合には、電極のない部分は光が散乱さ
れ、画素部分以外の部分に遮光膜を設けなくても、光が
投射スクリーンに到達しないため、黒く見える。このこ
とにより、画素電極以外の部分からの光の漏れを防止す
るために、画素電極以外の部分を遮光膜等で遮光する必
要がないこととなり、遮光膜の形成工程が不要となると
いう利点も有する。
【0082】これに所望の画素に電圧を印加する。この
電圧を印加された画素部分では、液晶が配列し、液晶の
常光屈折率(no) と樹脂マトリクスの屈折率(np) とが
一致することにより透過状態を示し、当該所望の画素で
光が透過することとなり、投射スクリーンに明るく表示
される。
【0083】この素子に、この硬化工程の際に特定の部
分のみに充分に高い電圧を印加した状態で硬化させる
とにより、その部分を常に光透過状態とすることができ
るので、固定表示したいものがある場合には、そのよう
な常透過部分を形成してもよい。
【0084】また、本発明のアクティブマトリクス液晶
表示素子は、カラーフィルターを設けることによりカラ
ー表示を行うことができる。このカラーフィルターは、
1個の液晶表示素子に3色設けてもよいし、1個の液晶
表示素子に1色設けてもこれを3個組み合わせてもよ
い。このカラーフィルターは、基板の電極面側に設けて
もよいし、外側に設けてもよい。また、液晶樹脂複合体
中に染料、顔料等を混入しておくことにより、カラー表
示を行うようにしてもよい。
【0085】図1は、本発明のアクティブマトリクス液
晶表示素子の断面図である。図1において、1 は液晶表
示素子、2 はアクティブマトリクス基板用のガラス、プ
ラスチック等の基板、3 はITO(In2O3-SnO2)、SnO2
の画素電極、4 はトランジスタ、ダイオード、非線形抵
抗素子等の能動素子、5 は対向電極基板用のガラス、プ
ラスチック等の基板、6 はITO、SnO2 等の対向電極、
7 は両基板間に挟持された液晶樹脂複合体を示してい
る。
【0086】図2は、図1のアクティブマトリクス液晶
表示素子を用いた投射型アクティブマトリクス液晶表示
装置の模式図である。図2において、11は投射用光源、
21は液晶表示素子、13はレンズ、アパーチャー等を含む
投射光学系、14は投射する投射スクリーンを示してい
る。なお、投射光学系はこの例では、孔のあいた板であ
るアパーチャーやスポット15、集光レンズ16、投射レン
ズ17を含んでいる。
【0087】本発明の能動素子としてTFT(薄膜トラ
ンジスタ)等の3端子素子を使用する場合、対向電極基
板は全画素共通のベタ電極を設ければよいが、MIM素
子、PINダイオード等の2端子素子を用いる場合に
は、対向電極基板はストライプ状のパターニングをされ
る。
【0088】また、能動素子として、TFTを用いる場
合には、半導体材料としてはシリコンが好適である。特
に多結晶シリコンは、非結晶シリコンとは異なり、感光
性がないため、光源からの光を遮光膜により遮光しなく
ても誤動作しなく、好ましい。この多結晶シリコンは、
本発明のように投射型液晶表示装置として用いる場合、
強い投射用光源を利用でき、明るい表示が得られる。
【0089】また、従来のTN型液晶表示素子の場合に
は、画素間からの光の漏れを抑止するために、画素間に
遮光膜を形成することが多く、このついでに能動素子部
分にも同時遮光膜を形成することができ、能動素子部分
に遮光膜を形成することは全体の工程にあまり影響を与
えない。即ち、能動素子として多結晶シリコンを用い
て、能動素子部分に遮光膜を形成しないことにしても、
画素間に遮光膜を形成する必要があれば、工程を減らす
ことはできない。
【0090】これに対して、本発明では、樹脂マトリク
スの屈折率を使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ一致
するようにされた液晶樹脂複合体を使用することによ
り、電圧を印加しない部分では光が散乱して投射された
投射スクリーン上では黒くなるため、画素間に遮光膜を
形成しなくてよい。
【0091】このため、能動素子として多結晶シリコン
を用いた場合、能動素子部分に遮光膜を形成しなくても
よいまたはその遮光性が弱くてもよいので、遮光膜を形
成する工程をなくしたり、形成される遮光膜の厳密さを
緩めることができ、生産性が向上する。
【0092】なお、アモルファスシリコンを用いても、
その半導体部分に遮光膜を形成すれば、使用することが
できる。また、電極は通常は透明電極とされるが、反射
型の液晶表示装置として使用する場合には、クロム、ア
ルミニウム等の反射電極としてもよい。
【0093】本発明の液晶表示素子及び液晶表示装置
は、このほか赤外線カットフィルター、紫外線カットフ
ィルター等を積層したり、文字、図形等を印刷したりし
てもよいし、複数枚の液晶表示素子を用いたりするよう
にしてもよい。
【0094】さらに、本発明では、この液晶表示素子の
外側にガラス板、プラスチック板等の保護板を積層して
もよい。これにより、その表面を加圧しても、破損する
危険性が低くなり、安全性が向上する。
【0095】本発明では、前述の液晶樹脂複合体を構成
する未硬化の硬化性化合物として光硬化性化合物を用い
る場合、光硬化性ビニル系化合物の使用が好ましい。具
体的には、光硬化性アクリル系化合物が例示され、特
に、光照射によって重合硬化するアクリルオリゴマーを
含有するものが好ましい。
【0096】本発明で使用される液晶は、正の誘電異方
性を有するネマチック液晶であり、樹脂マトリクスの屈
折率が、電圧印加時または非印加時のいずれかにおいて
その液晶の屈折率と一致するような液晶であり、単独で
用いても組成物を用いてもいが、動作温度範囲、動作
電圧など種々の要求性能を満たすには組成物を用いた方
が有利といえる。特に、樹脂マトリクスの屈折率が、液
晶の常光屈折率(no)と一致するような液晶の使用が好ま
しい。
【0097】また、液晶樹脂複合体に使用される液晶
は、光硬化性化合物を用いた場合には、光硬化性化合物
を均一に溶解することが好ましく、光露光後の硬化物は
溶解しない、もしくは溶解困難なものとされ、組成物を
用いる場合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いも
のがましい。
【0098】液晶樹脂複合体を製造する場合、従来の通
常の液晶表示素子のようにアクティブマトリクス基板と
対向電極基板とを電極面が対向するように配置して、周
辺をシール材でシールして、注入口から未硬化の液晶樹
脂複合体用の混合液を注入して、注入口を封止してもよ
いし、一方の基板上に硬化性化合物と液晶との未硬化混
合物を供給し、他方の基板を電極面が相対向するように
重ね合わせるようにして製造してもよい。
【0099】本発明の液晶表示素子は、液晶中に2色性
色素や単なる色素、顔料を添加したり、硬化性化合物と
して着色したものを使用したりしてもよい。
【0100】本発明では、液晶樹脂複合体として液晶を
溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合物を硬化
させることにより、硬化時に不要となる単なる溶媒や水
を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で硬化でき
るため、従来のセルへの注入という製造法がそのまま採
用でき、信頼性が高く、かつ、光硬化性化合物で 2枚の
基板を接着する効果も有するため、より信頼性が高くな
る。
【0101】このように液晶樹脂複合体とすることによ
り、上下の透明電極が短絡する危険性が低く、かつ、通
常のTN型の表示素子のように配向や基板間隙を厳密に
制御する必要もなく、透過状態と散乱状態とを制御しう
る液晶表示素子を極めて生産性良く製造できる。
【0102】この液晶表示素子は、基板がプラスチック
や薄いガラスの場合には、保護のために、外側にプラス
チックやガラス等の保護板を積層することが好ましい。
【0103】本発明の液晶表示装置は、駆動のために電
圧を印加する時には、前述の式(6)の最大実効電圧以
下、通常は前述の最大実効電圧が画素の電極間の液晶樹
脂複合体に印加されるように駆動されればよい。
【0104】投射用光源、投射光学系、投射スクリーン
等は従来からの投射用光源、投射光学系、投射スクリー
ンが使用でき、投射用光源と投射光学系との間に本発明
のアクティブマトリクス液晶表示素子を配置すればよ
い。もちろん、複数のアクティブマトリクス液晶表示素
子の像を光学系を用いて合成して表示するようにしても
よい。また、これに冷却系を付加したり、LED等のT
Vチャンネル表示等を付加したりしてもよい。
【0105】特に、この投射型の表示をする場合、光路
上に拡散光を減ずる装置、例えば、図2の15で示される
ようなアパーチャーやスポットを設置することがによ
り、表示コントラストを大きくすることができる。
【0106】即ち、拡散光を減ずる装置とは、液晶表示
素子を通過した光の内、入射光に対して直進する光(画
素部分が透過状態の部分を透過する光)を取り出し、直
進しない光(液晶樹脂複合体が散乱状態の部分で散乱さ
れる光)を減ずるものであればよい。特に、直進する光
は減ずることなく、直進しない光である拡散光を減ずる
ことが好ましい。
【0107】具体的な装置としては、図2のように、液
晶表示素子と投射光学系とで構成され、液晶表示素子1
2、集光レンズ16、孔のあいた板であるアパーチャーや
スポット15、投射レンズ17を設けたものがある。この例
によれば、投射用光源からでて液晶表示素子12を通過し
た光の内、入射光に対して直進する光は集光レンズ16に
より集光され、アパーチャーやスポット15に開けられた
孔を通過して、投射レンズ17を通し、投射スクリーン14
投射される。一方、液晶表示素子12で散乱させられた
直進しない光は、集光レンズ16により集光されても、ア
パーチャーやスポット15に開けられた孔を通過しない。
このため、拡散光が投射されないことになり、コントラ
スト比が向上する。
【0108】また、他の例としては、アパーチャーやス
ポット15の代りに、小さな面積を有する鏡を同じ位置に
斜めに配置し、反射させてその光軸上に配置された投射
レンズを通して投射させることもできる。また、このよ
うな集光レンズを用いることなく、投射レンズにより光
線が絞られる位置にスポット、鏡等を設置してもよい。
また、特別なアパーチャー等を用いなくとも、投射用レ
ンズの焦点距離、口径を、拡散光が除去されるように選
択してもよい。
【0109】また、マイクロレンズ系なども用いること
もできる。具体的には、液晶表示素子の投射光学系側に
マイクロレンズアレイと細やかな穴がアレイ化されたス
ポットアレイを配置して、不要な拡散光を除去すること
ができる。この場合、拡散光除去に必要な光路長を非常
に短くすることができるため全体の投射型表示装置をコ
ンパクトにできるという利点を持つ。光路長の短縮に関
しては、投射光学系の中に拡散光を減ずる装置を組み込
むことも有効である。この場合、独立に投射光学系と拡
散光を減ずる装置を設置するより光学系がシンプルにな
ると共に、サイズを小さく抑えることができる。
【0110】これらの光学系は、ミラー、ダイクロイッ
クミラー、プリズム、ダイクロイックプリズム、レンズ
などと組合せ、画像の合成、カラー化ができるととも
に、カラーフィルターと組み合わせることによっても画
像のカラー化が可能である。
【0111】投射スクリーン上に到達する直進成分と拡
散成分との比は、スポット、鏡等の径及びレンズの焦点
距離により制御可能で、所望の表示コントラスト、表示
輝度が得られるように設定すればよい。
【0112】図2のような拡散光を減ずる装置を用いる
場合、表示の輝度を上げるためには、投射用光源から液
晶表示素子に入射される光はより平行度の高い光である
ことが好ましく、そのためには高輝度でかつできるだけ
点光源に近い光源と、凹面鏡、コンデンサーレンズ等を
組み合わせて投射用光源を構成することが好ましい。
【0113】また、上記の説明では、主として透過型で
説明したが、反射型の投射型表示装置であっても例え
ば、スポットの代わりに小型の鏡を配置して必要な光の
みを取り出すようにすることができる。
【0114】
【作用】本発明によれば、高いコントラスト比の表示が
得られ、投射型表示で用いられた場合には、透過−散乱
型の液晶表示素子が透過状態の部分では光が透過し、投
射スクリーンは明るく表示され、散乱状態の部分では光
が散乱され、投射スクリーンは暗く表示され、所望の高
輝度、高コントラスト比の表示が得られる。
【0115】特に、本発明では、前記のような構成を有
しているので、液晶樹脂複合体に印加される最大実効印
加電圧V を10V以下にすることができるとともに、中間
調表示においても高速の応答性が得られ、かつヒステリ
シスが低減され、像の焼き付きが低減されており、従来
のTN用のアクティブマトリクス液晶表示素子に使用し
たような能動素子や駆動用ICを用いて、階調の細やか
な動画表示が容易にできる。
【0116】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。
【0117】実施例1 ガラス基板(コーニング社製7059基板)上にクロムを60
nm蒸着して、パターニングしてゲート電極とした。引き
続きシリコンオキシナイトライド膜と非晶質シリコン膜
をプラズマCVD装置で堆積した。これをレーザーを用
いてアニールした後、パターニングして多結晶シリコン
とした。これにリンドープ非晶質シリコン、クロムを夫
々プラズマCVD、蒸着装置を用いて堆積し、多結晶シ
リコンを覆うようにパターニングして、第1層目のソー
ス電極、ドレイン電極とした。
【0118】さらに、ITOを蒸着した後、パターニン
グして画素電極を形成した。続いて、クロム、アルミニ
ウムを連続蒸着して、パターニングして、第2層目のソ
ース電極、ドレイン電極とした。その際、画素電極と、
第1層目のドレイン電極及び第2層目のドレイン電極と
を接続するようにした。この後、再び、シリコンオキシ
ナイトライド膜をプラズマCVD装置で堆積し保護膜と
し、アクティブマトリクス基板を作成した。
【0119】全面にベタのITO電極を形成した同じガ
ラス基板による対向電極基板と、前に製造したアクティ
ブマトリクス基板とを電極面が対向するように配置し
て、内部に直径約11.0μmのスペーサーを散布して、そ
の周辺を注入口部分を除き、エポキシ系のシール材でシ
ールして、基板間隙11.0μmの空セルを製造した。
【0120】Δn が約0.24、Δεが約16、K33が約15
(×10-12N)、粘度が約37cSt のネマチック液晶をアク
リレートモノマー、2官能ウレタンアクリレートオリゴ
マー、光硬化開始剤と均一に溶解した溶液をセルに注入
し、紫外線露光により液晶樹脂複合体を硬化させ、アク
ティブマトリクス液晶表示素子を作成した。液晶量は68
wt%、電極間間隙d は約11μm、液晶の平均粒子径R は
約 1.9μm、平均のアスペクト比A は約 1.5であった。
また、液晶の粒子の長軸は3次元的にランダムであっ
た。
【0121】この素子を液晶樹脂複合体に印加される電
圧が実効値で 8Vとなるようにビデオ信号で駆動したと
ころ、残像のない中間調の動画表示が得られ、画面の切
替時にも画像の焼き付きはほとんど見られなかった。応
答時間(90%の透過率変化)は、 8V→ 0Vで10msec、
0V→ 8Vで12msecであり、 0V→飽和透過率×0.2
(約16%)では、120msec であった。
【0122】この液晶表示素子用に、投射用光源と投射
光学系とを組み合わせて投射型液晶表示装置とした。ス
ポットの直径φと、レンズの焦点距離f とにより定まる
集光角をδ(δ=2tan-1(φ/2f))として、この集光
角を 6°とした。これにより、中間調細やか残像の
ない動画表示が得られ、スクリーン上でのコントラスト
比は約 110であった。
【0123】実施例2・比較例1〜2 実施例1とほぼ同様にして、使用するアクリレートモノ
マーの構成比、液晶分率、重合温度、紫外線照射強度を
変化させ、異なる液晶の平均粒子径R とアスペクト比A
を持つ液晶樹脂複合体を有するアクティブマトリクス液
晶表示素子を製造した。
【0124】なお、実施例2と比較例1、2とは、実施
例1と駆動電圧及び電極間間隙を揃えるため、R/A がほ
ぼ等しくなるようにした。これらは式(1) 〜(5) の条件
の内、アスペクト比の条件(2) のみが比較例で異なるよ
うにされた。なお、これらの液晶の粒子の長軸は3次元
的にランダムであった。
【0125】それらの液晶表示素子の平均粒子径R(μ
m)、アスペクト比A 、最大駆動電圧 8Vにおける投射ス
クリーン上でのコントラスト比CR、 0V→飽和透過率×
0.2 (約16%)での応答時間τ(msec)を測定した。その
結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】実施例2は、ビデオ信号で駆動したとこ
ろ、中間調表示においても残像のない動画表示が得ら
れ、画面の切替時にも画像の焼き付きはほとんど見られ
なかった。比較例1は、ビデオ信号で駆動したところ、
中間調表示においても残像のない動画表示が得られた
が、画面の切替時に若干前画面の焼き付きが見られた。
比較例2は、駆動電圧を15Vとして、やっとコントラス
ト比40が得られたにすぎなかった。
【0128】実施例3 Δn が約0.29、Δεが約16、K33が約15(×10-12N)、
粘度が約52cSt のネマチック液晶をアクリレートモノマ
ー、ウレタンアクリレートオリゴマー、光硬化開始剤と
均一に溶解した溶液をセルに注入し、紫外線露光により
液晶樹脂複合体を硬化させ、アクティブマトリクス液晶
表示素子を作成した。液晶量は68wt%、電極間間隙は約
9.5μm、液晶の平均粒子径は約 1.8μm、アスペクト
比は約1.7 であった。
【0129】この液晶表示素子を最大駆動電圧を実行値
で 8Vのビデオ信号で駆動したところ、中間調表示にお
いても残像のない動画表示が得られ、画面の切替時にも
画像の焼き付きはほとんど見られなかった。応答時間
(90%の透過率変化)は、 8V→ 0Vで10msec、 0V→
8Vで12msecであり、 0V→飽和透過率×0.2 (約16
%)では、 100msecであった。
【0130】この液晶表示素子用に、投射用光源と投射
光学系とを組み合わせて投射型液晶表示装置とした。ス
クリーン上に投射したところ、中間調細やか残像の
ない動画表示が得られた。スクリーン上でのコントラス
ト比は約 100であった。
【0131】実施例 実施例1の空セルに、Δn が約0.24、Δεが約16、K33
が約18(×10-12N)、粘度が約54cSt のネマチック液晶
をアクリレートモノマー、2官能ウレタンアクリレート
オリゴマー、光硬化開始剤と均一に溶解した溶液をセル
に注入し、紫外線露光により液晶樹脂複合体を硬化さ
せ、アクティブマトリクス液晶表示素子を作成した。
【0132】液晶量は64wt%、電極間間隙d は約11μ
m、液晶の平均粒子径R は約 2.0μm、平均のアスペク
ト比A は1.7 であった。これは、式(1) 〜(5) の条件の
内、式(4) の条件のみが異なっている。
【0133】この素子を液晶樹脂複合体に印加される電
圧が実効値で 8Vとなるようにビデオ信号で駆動したと
ころ、中間調状態で秒単位以下の残像が少しある動画
表示が得られ、画面の切替時にも画像の焼き付きはほと
んど見られなかった。応答時間(90%の透過率変化)
は、 8V→ 0Vで20msec、 0V→ 8Vで30msecであり、
0V→飽和透過率×0.2 (約16%)では、400msec であ
った。
【0134】
【発明の効果】本発明のアクティブマトリクス液晶表示
素子では、アクティブマトリクス基板と対向電極基板と
の間に挟持される液晶材料として、電気的に散乱状態と
透過状態とを制御しうる液晶樹脂複合体を挟持した液晶
表示素子を用いているため、偏光板が不要であり、透過
時の光の透過率を大幅に向上でき、明るい表示が得られ
る。
【0135】本発明の液晶表示素子は、透過性と散乱性
に優れているため、従来のTN型液晶表示素子用の駆動
用ICを用いた駆動においても、高コントラスト比を有
し、かつ高輝度の表示が可能になる。特に、樹脂マトリ
クスの屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ一
致するようにすることにより、電圧が印加されない状態
で高い散乱性を有し、能動素子により電圧を印加した状
態で高い透過性を有するものにでき、従来のTN型液晶
表示素子用の駆動用ICを用いた駆動において、より高
いコントラスト比、高い輝度の表示が可能になる。
【0136】さらに、階調駆動を行った際にも、残像を
生じにくく、中間調がきれいにでた階調表示ができ、ヒ
ステリシスに基づく焼き付き現象を低減することができ
る。このため、本発明の液晶表示素子は、投射型表示に
有効であり、画像の焼き付きがなく、明るくコントラス
トの良い投射型表示が得られる。また、光源も小型化で
きる。
【0137】また、偏光板を用いなくてもよいため、光
学特性の波長依存性が少なく、光源の色補正等がほとん
ど不要になるという利点も有している。また、TN型液
晶表示素子に必須のラビング等の配向処理やそれに伴う
静電気の発生による能動素子の破壊といった問題点も避
けられるので、液晶表示素子の製造歩留りを大幅に向上
させることができる。
【0138】さらに、この液晶樹脂複合体は、硬化後は
フィルム状になっているので、基板の加圧による基板間
短絡やスペーサーの移動による能動素子の破壊といった
問題点も生じにくい。
【0139】また、この液晶樹脂複合体は、比抵抗が従
来のTNモードの場合と同等であり、従来のDSモード
のように大きな蓄積容量を画素電極毎に設けなくてもよ
く、能動素子の設計が容易で、有効画素電極面積の割合
を大きくしやすく、かつ、液晶表示素子の消費電力を少
なく保つことができる。
【0140】さらに、TNモードの従来の液晶表示素子
の製造工程から、配向膜形成工程を除くだけで製造が可
能になるので、生産が容易である。
【0141】また、この液晶樹脂複合体を用いた液晶表
示素子は、応答時間が短いという特長も有しており、動
画の表示も容易なものである。さらに、この液晶表示素
子の電気光学特性(電圧−透過率)は、TNモードの液
晶表示素子に比して比較的なだらかな特性であるので、
階調表示への適用も容易である。
【0142】また、本発明の液晶表示素子は、樹脂マト
リクスの屈折率が使用する液晶の常光屈折率(no)とほぼ
一致するようにすることにより、電圧を印加しない部分
では光が散乱されるため、画素以外の部分を遮光膜によ
り遮光しなくても投射時に光の漏れがなく、隣接画素間
の間隙を遮光する必要がない。
【0143】このため、特に、能動素子として多結晶シ
リコンによる能動素子を用いることにより、能動素子部
分に遮光膜無しでまたは厳密度の低い遮光膜で高輝度の
投射用光源を用いることができ、高輝度の投射型液晶表
示装置を容易に得ることができる。さらに、この場合に
は遮光膜を全く設けなくてもよいか、厳密度の低い遮光
膜でよいことになり、生産工程を簡便化することができ
る。
【0144】本発明は、この外、本発明の効果を損しな
い範囲内で種々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクティブマトリクス液晶表示素子の
基本的な構成を示す断面図である。
【図2】本発明の投射型アクティブマトリクス液晶表示
装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図3】本発明の液晶の粒子の長軸の方向のランダム性
を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の液晶の粒子の長軸の方向のランダム性
を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1、 12:液晶表示素子 2、 5:基板 3 :画素電極 4 :能動素子 6 :対向電極 7 :液晶樹脂複合体 11 :投射用光源 13 :投射光学系 14 :投射スクリーン 15 :スポット 16 :集光レンズ 17 :投射レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−198725(JP,A) 特開 平3−126915(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1334

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画素電極毎に能動素子を設けたアクティブ
    マトリクス基板と、対向電極を設けた対向電極基板との
    間に、誘電異方性が正のネマチック液晶が樹脂マトリク
    ス中に分散保持され、電圧の印加時または非印加時のい
    ずれかの状態においてその樹脂マトリクスの屈折率が使
    用する液晶の屈折率とほぼ一致するようにされた液晶樹
    脂複合体を挟持してなるアクティブマトリクス液晶表示
    素子において、使用するネマチック液晶の屈折率異方性
    Δn が0.18以上で、樹脂マトリクス中に分散保持される
    液晶の平均粒子径R(μm)、そのアスペクト比A と、用
    いる液晶の比誘電率異方性Δε、弾性定数K33(10
    -12N)、粘度η(cSt) とが、 3(K33/η)0.5>R/A >0.7(K33/Δε)0.5 (1) 1.3 < A < 2.3 (2) の関係を満足し、液晶樹脂複合体の電極面に垂直方向の
    切断面で、液晶の粒子の長軸の方向が2次元的にほぼラ
    ンダムな方向を向いていることを特徴とするアクティブ
    マトリクス液晶表示素子。
  2. 【請求項2】晶樹脂複合体内の液晶の粒子の長軸の方
    向が3次元的にほぼランダムな方向を向いている請求項
    1記載のアクティブマトリクス液晶表示素子。
  3. 【請求項3】0. 2 < R・Δn < 0.7 (3) の関係を満足する請求項1または2記載のアクティブマ
    トリクス液晶表示素子。
  4. 【請求項4】( Δn2・Δε)/(K33・η) > 0.0011 (4) の関係を満足する請求項1、2または3記載のアクティ
    ブマトリクス液晶表示素子。
  5. 【請求項5】両電極基板間隙d(μm)、能動素子により
    画素部分の液晶樹脂複合体に印加される最大実効電圧V
    (V) が、 4R < A・d < 15R (5) 0.8R・V < A・d < 1.8R・V (6) の関係を満足する請求項1、2、3または4記載のアク
    ティブマトリクス液晶表示素子。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4または5記載のアク
    ティブマトリクス液晶表示素子の製造方法であって、
    晶樹脂複合体に用いられる樹脂が光硬化性化合物であ
    り、液晶と光硬化性化合物とを均一に溶解した溶液に光
    照射し、光硬化性化合物を硬化させることにより液晶樹
    脂複合体を形成することを特徴とするアクティブマトリ
    クス液晶表示素子の製造方法
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4または5記載のアク
    ティブマトリクス液晶表示素子に、投射用光源と投射光
    学系とを組み合わせたことを特徴とする投射型アクティ
    ブマトリクス液晶表示装置。
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