JPH06110042A - フェニルピリミジン系液晶化合物を用いる液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents

フェニルピリミジン系液晶化合物を用いる液晶表示素子とその製造方法

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JPH06110042A
JPH06110042A JP28088392A JP28088392A JPH06110042A JP H06110042 A JPH06110042 A JP H06110042A JP 28088392 A JP28088392 A JP 28088392A JP 28088392 A JP28088392 A JP 28088392A JP H06110042 A JPH06110042 A JP H06110042A
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crystal display
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light
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Withdrawn
Application number
JP28088392A
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English (en)
Inventor
Takehiko Nishiyama
健彦 西山
Yutaka Kumai
裕 熊井
Yoshinori Hirai
良典 平井
Satoshi Niiyama
聡 新山
Tsuneo Wakabayashi
常生 若林
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】透過散乱型の液晶表示素子のヒステリシスに基
づく焼付き現象を防止し、また、室温での製造を可能に
する。 【構成】樹脂マトリクス中に分散保持された液晶がフェ
ニルピリミジン系化合物を含有し、液晶の屈折率異方性
Δnを0.18以上、誘電率異方性ΔεLCが5<ΔεLC
<13の関係を満たし、さらに液晶樹脂複合体の閾値電
圧以下の充分に低い電圧に対する比誘電率εM と、誘電
率異方性ΔεLCとの関係がΔεLC<1.45εM とす
る。 【効果】美しい中間調表示を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェニルピリミジン系
液晶化合物を含有したネマチック液晶が樹脂マトリクス
中に分散保持された液晶表示素子、特に、画素電極毎に
能動素子を配置した液晶表示素子及びそれを用いた投射
型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、近年その低消費電
力、低電圧駆動等の特長を生かしてパーソナルワードプ
ロセッサー、ハンドヘルドコンピューター、ポケットT
V等に広く利用されている。なかでも注目され、盛んに
開発されているのが、画素電極毎に能動素子を配置した
液晶表示素子である。
【0003】このような液晶表示素子は当初は、DSM
(動的散乱)型の液晶を用いた液晶表示素子も提案され
ていたが、DSM型では液晶中を流れる電流値が高いた
め、消費電流が大きいという欠点があり、現在ではTN
(ツイストネマチック)型液晶を用いるものが主流とな
っており、ポケットTVとして市場に現われている。T
N型液晶では、漏れ電流は極めて小さく、消費電力が少
ないので、電池を電源とする用途には適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】能動素子を配置した液
晶表示素子をDSモードで使用する場合には、液晶自身
の漏れ電流が大きい。このため、各画素と並列に大きな
蓄積容量を設けなくてはならなく、かつ、液晶表示素子
自体の消費電力が大きくなるという問題点を有してい
た。
【0005】TNモードにおいては、液晶自身の漏れ電
流は極めて小さいので、大きな蓄積容量を付加する必要
はないし、液晶表示素子自体の消費電力は小さくでき
る。しかし、TNモードでは、2枚の偏光板を必要とす
るので、光の透過率が小さいという問題点を有してい
る。特に、カラーフィルターを用いてカラー表示を行う
場合には、入射する光の数%しか利用できないこととな
り、強い光源を必要とし、そのため結果として消費電力
を増加させてしまう。
【0006】また、画像の投影を行う際には極めて強い
光源を必要とし、投影スクリーン上で高いコントラスト
が得られにくいことや、光源の発熱による液晶表示素子
への影響という問題点を有している。そこで、TNモー
ドの課題を解決すべく、ネマチック液晶を樹脂マトリク
ス中に分散保持した液晶樹脂複合体を使用して、その散
乱−透過特性を利用した10v以下の低電圧で駆動でき
るモードが提案されている。
【0007】しかし、従来の液晶樹脂複合体において
は、その電圧−透過率特性にヒステリシスが存在する、
すなわち、昇圧時と降圧時において透過率が異なるとい
う課題を有し、そのため、表示画面の変化時に前画面の
情報が数秒以上にわたって残ってしまうという焼付き現
象が生ずることがあるという問題点を有していた。
【0008】また、液晶樹脂複合体の作成においては、
ネマチック液晶と樹脂マトリクス材料を均一に混合した
のち、熱硬化、溶媒除去による硬化、反応硬化等をさせ
て樹脂マトリクスを分離する方法がとられている。ここ
で用いられるネマチック液晶と樹脂マトリクス材料とを
均一に混合するためには、両者の相分離温度(Ts)よ
り高い温度で混合を行わなくてはならない。また均一に
なった後も、熱硬化、溶媒除去による硬化、反応硬化等
の操作が終了して、液晶樹脂複合体の作成が完了するま
で、Tsよりも高い温度で保存しておかなければならな
い。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、高輝度、高コ
ントラスト比を有し、中間調表示がきれいにでき、液晶
樹脂複合体のヒステリシスに基づく焼付き現象を低減
し、かつ製造時の温度を抑制することのできる液晶表示
素子を提供する。
【0010】即ち、一対の電極付きの基板間に、ネマチ
ック液晶が樹脂マトリックス中に分散保持され、電圧の
印加状態により液晶の屈折率が変化し、一方の状態では
樹脂マトリックスの屈折率により液晶の屈折率とほぼ一
致して光が透過し、他方の状態では樹脂マトリックスの
屈折率と一致しなく光が散乱するようにされた液晶樹脂
複合体を挟持してなる液晶表示素子において、用いられ
た液晶組成物が、フェニルピリミジン系液晶化合物を含
有し、液晶組成物の屈折率異方性(Δn)が0.18以
上であり、誘電率異方性(ΔεLC)が5<ΔεLC<13
の関係を満たすことを特徴とする液晶表示素子を提供す
るものである。
【0011】そして、フェニルピリミジン系液晶化合物
としては下記式(A)で表される化合物が好ましい。
【0012】
【化2】
【0013】(式中、2,5−ピリミジンジイル基およ
び1,4−フェニレン基はそれぞれ独立に非置換である
か、あるいは置換基として1個以上のハロゲン原子を有
していてもよく、R1 ,R2 は相互に独立して炭素数1
〜10のアルキル基、あるいはハロゲン原子を示し、ア
ルキル基の場合には、アルキル基中の炭素−炭素結合間
あるいはこのアルキル基と環との間の炭素−炭素結合間
に酸素原子、カルボニルオキシ基、あるいはオキシカル
ボニル基が挿入されてもよく、また、アルキル基中の炭
素−炭素結合の一部が三重結合あるいは二重結合に置換
されていてもよく、またアルキル基内の1個のCH2
カルボニル基に置換されていてもよく、また、アルキル
基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換
されていてもよい。)
【0014】本発明によれば上記の構成をとることによ
り、ヒステリシスに基づく焼付き現象を低減するととも
に、過渡応答に基づく残像残りをも低減する。かつ高コ
ントラスト比を有し、低電圧で駆動できる液晶表示素子
を得ることができる。
【0015】本発明では、フェニルピリミジン系化合物
を含有したネマチック液晶が樹脂マトリクス中に分散保
持された液晶樹脂複合体を用いる。特に、正の誘電異方
性を有するネマチック液晶が樹脂マトリクス中に分散保
持され、その樹脂マトリクスの屈折率が使用する液晶の
常光屈折率n0 とほぼ一致するようにされた液晶樹脂樹
脂複合体を用いることが好ましい。そして、液晶樹脂複
合体を、一対の電極付きの基板間、特には画素電極毎に
能動素子を設けたアクティブマトリクス基板と、対向電
極を設けた対向電極基板との間に挟持する。
【0016】この電極付きの基板はガラス、プラスチッ
ク、セラミック等の基板上に電極が設けられたものが使
用される。このアクティブマトリクス基板とは、ガラ
ス、プラスチック、セラミック等の基板上に電極と、薄
膜トランジスタ(TFT)、薄膜ダイオード、金属絶縁
体金属非線形抵抗素子(MIM)等の能動素子とが形成
された基板である。この各画素電極には夫々に1個乃至
複数個の能動素子が接続されている。
【0017】この対向電極基板とは、ガラス、プラスチ
ック、セラミック等の基板上に電極が形成され、アクテ
ィブマトリクス基板基板と組み合わせて、表示が可能な
ようにされている。
【0018】この一対の電極付きの基板間に、液晶樹脂
複合体を挟持する。この液晶樹脂複合体は、電圧の印加
状態により、液晶樹脂複合体中の液晶の屈折率が変化す
る。その樹脂マトリクスの屈折率が、液晶の屈折率とほ
ぼ一致した時に、光が透過し、一致しない時に光が散乱
する。これには偏光板を用いていないので、明るい表示
が容易に得られる。
【0019】本発明の液晶表示素子は、直視型表示素
子、投射型表示素子の両方で用いることができる。直視
型表示素子として用いる場合、得たい表示特性に応じ
て、バックライト、レンズ、プリズム、ミラー、拡散
板、光吸収体、カラーフィルターなどを組み合わせて表
示装置を構成すればよい。この他、レーザー光のシャッ
ターや反射型表示素子にも使用できる。
【0020】本発明の液晶表示素子は、特に、投射型表
示装置に適しており、投射用光源、投射光学系などと組
み合わせて、投射型液晶表示装置とすることができる。
投射用光源、投射光学系は従来から公知の投射用光源、
レンズ等の投射光学系が使用でき、通常は上記液晶表示
素子を投射用光源と投射レンズとの間に配置して用いれ
ばよい。
【0021】本発明の液晶表示素子では、一対の電極付
きの基板間、特にはアクティブマトリクス基板と対向電
極基板との間に、透過−散乱型の液晶樹脂複合体を挟持
している。
【0022】具体的には、本発明では、液晶表示素子と
して細かな孔の多数形成された樹脂マトリクスとその孔
の部分に充填されたネマチック液晶とからなる液晶樹脂
複合体を用いる。この液晶樹脂複合体を、アクティブマ
トリクス基板と、対向電極基板との間に挟持する。その
電極間への電圧の印加状態により、その液晶の屈折率が
変化し、樹脂マトリクスの屈折率と液晶の屈折率との関
係が変化する。これら両者の屈折率が一致した時には透
過状態となり、屈折率が異なった時には散乱状態となる
ような液晶表示素子が使用できる。
【0023】この細かな孔の多数形成された樹脂マトリ
クスとその孔の部分に充填された液晶とからなる液晶樹
脂複合体は、マイクロカプセルのような液泡内に液晶が
封じ込められたような構造である。しかし、個々のマイ
クロカプセルが完全に独立していなくてもよく、多孔質
体のように個々の液晶の液泡が細隙を介して連通してい
てもよい。
【0024】本発明の液晶表示素子に用いる液晶樹脂複
合体は、次のようにして製造される。ネマチック液晶
と、樹脂マトリクスを構成する硬化性化合物とを混ぜ合
わせて溶液状またはラテックス状にする。次いで、これ
を光硬化、熱硬化、溶媒除去による硬化、反応硬化等さ
せて樹脂マトリクスを分離し、樹脂マトリクス中にネマ
チック液晶が分散した状態をとるようにすればよい。
【0025】ネマチック液晶と樹脂マトリクス材料の混
合物を熱硬化、溶媒除去による硬化、反応硬化等させて
樹脂マトリクスを分離する前には、両者が相分離してい
なく均一に混合された状態であることが望ましい。した
がって、実際に液晶樹脂複合体を作成する装置、治具等
の温度がネマチック液晶と樹脂マトリクス材料の相分離
温度以上であることが望ましい。しかし、この相分離温
度が高温であると、溶解後の安定性を保持するため、常
に高温保持しておかなければならないので操作性が悪く
なる。
【0026】具体的には、通常の液晶注入法である真空
注入時には、雰囲気温度を高める必要があるなど、煩雑
な機構を用いなければならなくなる。しかし、高温に保
持することにより、液晶樹脂マトリクス材料中の特定成
分が蒸発し、液晶樹脂複合体の製造過程において、ネマ
チック液晶と樹脂マトリクス材料の混合比が変化してし
まうので好ましくない。このような過程から最終的に得
られる液晶樹脂複合体は、その相分離構造(例えば、液
晶層の大きさ)が、所望の構造とは全く異なり、したが
って、素子の電気光学特性も所望のものとは全く異なる
という大きな問題を有している。
【0027】したがって、ネマチック液晶と樹脂マトリ
クス材料の混合物の相分離温度ができるだけ低い方が望
ましい。本発明によれば、フェニルピリミジン系液晶を
用いることにより、低い相分離温度を示すネマチック液
晶と樹脂マトリクス材料の混合物を得られるため、比較
的低温での操作で液晶樹脂複合体を作成できる。
【0028】使用する硬化性化合物を、光硬化または熱
硬化タイプにすることにより、密閉系内で硬化できるた
め好ましい。特に、光硬化タイプの硬化性化合物を用い
ると、熱による影響を受けなく、短時間で硬化させるこ
とができ好ましい。
【0029】具体的な製法としては、従来の通常のネマ
チック液晶と同様にシール材を用いてセルを形成し、注
入口からネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混
合物を注入し、注入口を封止した後、光照射をするか加
熱して硬化させることもできる。
【0030】また、本発明の液晶表示素子の場合には、
シール材を用いなく、例えば、対向電極としての透明電
極を設けた基板上に、ネマチック液晶と硬化性化合物と
の未硬化の混合物を供給し、その後、画素電極毎に能動
素子を設けたアクティブマトリクス基板を重ねて、光照
射等により硬化させることもできる。
【0031】もちろん、その後、周辺にシール材を塗布
して周辺をシールしてもよい。この製法によれば、単に
ネマチック液晶と硬化性化合物との未硬化の混合物をロ
ールコート、スピンコート、印刷、ディスペンサーによ
る塗布等の供給をすればよいため、注入工程が簡便であ
り、生産性が極めてよい。
【0032】また、これらのネマチック液晶と硬化性化
合物との未硬化の混合物には、基板間隙制御用のセラミ
ック粒子、プラスチック粒子、ガラス繊維等のスペーサ
ー、顔料、色素、粘度調整剤、その他本発明の性能に悪
影響を与えない添加剤を添加してもよい。
【0033】電圧印加時に透過状態になる素子に、この
硬化工程の際に特定の部分のみに充分高い電圧を印加し
た状態で硬化させることにより、その部分を常に光透過
状態にすることができるので、固定表示したいものがあ
る場合には、そのような常透過部分を形成してもよい。
逆に、電圧印加時に散乱状態になる素子を用いた場合に
は、同様にして常散乱部分を形成できる。
【0034】なお、この液晶樹脂複合体を使用した液晶
表示素子の透過状態での透過率は高いほどよく、散乱状
態でのヘイズ値は80%以上であることが好ましい。
【0035】本発明では、電圧を印加している状態で、
樹脂マトリクス(硬化後の)の屈折率が、使用する液晶
の常光屈折率no と一致するようにされることが好まし
い。これにより、樹脂マトリクスの屈折率と液晶の屈折
率とが一致した時に光が透過し、一致しない時に光が散
乱(白濁)することになる。この素子の散乱性は、従来
のDSモードの液晶表示素子の場合よりも高く、高いコ
ントラスト比の表示が得られる。
【0036】本発明の最も大きな目的は、液晶樹脂複合
体のヒステリシスに基づく焼付き現象を低減し、かつ低
電圧で駆動できる液晶表示素子を提供するものである。
この液晶表示素子は、能動素子と組み合わせることによ
り、高密度表示というより高い機能を発現することがで
きる。もちろんこのほか、中間調の必要な他の用途(シ
ャッター、ディスプレー、空間変調器など)において
も、その機能は有効に発揮できる。
【0037】従来の液晶樹脂複合体においては、電圧−
透過率特性にヒステリシスが存在しそれが階調表示をす
る際の問題点となっていた。ヒステリシスとは、電圧を
上昇する過程と電圧を降下させる過程において透過率が
異なるといった現象である。ヒステリシスが存在する
と、階調表示の際に前画面の情報が残ってしまう、即
ち、画像が焼き付くという現象が生じ、これが、画質を
低下させていた。
【0038】液晶樹脂複合体においてヒステリシスが存
在する原因の一つは、液晶樹脂複合体が、液晶が樹脂中
に分散保持されているという構造による。即ち、分離し
て樹脂中に存在する液晶同士の相互作用によってヒステ
リシスが存在すると考えられる。このヒステリシスの大
小は、樹脂中に保持される液晶中に蓄えられる弾性エネ
ルギー、外から印加される電界による電気的エネルギー
と、分離して樹脂中に存在する液晶同士の相互作用エネ
ルギーによって決定される。したがって、このエネルギ
ーバランスを最適化することによってヒステリシスは低
減することができ、階調表示の際にも焼付きのない優れ
た表示を得ることができる。
【0039】本発明の目的は、高いコントラスト比、高
い輝度、優れた応答性を有し、ヒステリシスを低減した
液晶表示素子を得ることである。さらには、従来のTN
用の能動素子や駆動回路で駆動できる液晶表示素子を得
ることである。
【0040】液晶粒子が樹脂マトリクス中に分散してい
ることに伴うヒステリシスを低減するには、これらの中
でも、液晶の誘電率、その異方性ΔεLC並びに樹脂マト
リクスの誘電率εP のバランスを取ることが重要であ
る。これは、それらが分散する粒子間の相互作用を決定
する主たる要因であるからである。ヒステリシスの低減
には、使用する液晶の誘電異方性ΔεLCが、 5 < ΔεLC < 13 (1) の関係を満たすことが好ましい範囲である。
【0041】このΔεLCは、ヒステリシス及び駆動電圧
の両方に関係する量であり、上限は、ヒステリシスの大
きさより、下限は駆動電圧より決められる。この条件は
ΔεLCが大きいほど、駆動電圧が低くなるという従来の
TN型液晶表示素子の常識からは一見不利に見える。
【0042】しかし、このような液晶粒子の分散した系
においては、駆動電圧がΔεLCの平方根に反比例すると
いう従来のTN型液晶表示素子の概念は成立しない。こ
れは、液晶部分とマトリクス部分への電圧配分が液晶の
配列により異なるためである。本発明のような液晶樹脂
複合体では、ΔεLCは駆動電圧にあまり大きな影響は示
さず、ΔεLCが5より大きな範囲であれは、ΔεLCを小
さくすることにより駆動電圧が極めて高くなるというこ
とはない。
【0043】また、ΔεLCがあまり大きな液晶を用いた
場合には、弾性定数の温度依存性がそのまま電圧透過率
特性の温度依存性を引き起こしてしまう問題点もあるの
で、ΔεLCは上記のような範囲にされる。これについて
は、弾性定数の説明の部分でもう少し詳しく説明する。
【0044】また、ヒステリシスの低減には、液晶樹脂
複合体のしきい値電圧以下の充分に低い電圧に対する誘
電率εM と、使用する液晶の誘電率異方性ΔεLCが、 ΔεLC < 1.45εM (2) の関係を持つことが好ましい。
【0045】ΔεLCがこの範囲より大きいと、1つの液
晶粒子内の液晶の動きが、その粒子内の大きな誘電率変
化となる。その結果、その粒子の周辺に大きな電界変化
を生じさせるため、ヒステリシスを引き起こす要因であ
る液晶粒子間の電気的相互作用が大きくなってしまう。
このεM は樹脂マトリクスの誘電率εP とも関係する量
であり、樹脂マトリクスの誘電率εP が増大すると液晶
樹脂複合体全体の誘電率εM は増大し、取りうるΔεLC
の範囲も広がる。
【0046】液晶の屈折率異方性Δnは、電界非印加状
態での散乱性を高めて高コントラスト比を得るために
は、0.18≦Δnが必要であり、特に好ましくは0.
20≦Δnとされる。液晶の常光屈折率no は樹脂マト
リクスの屈折率np とほぼ一致することが好ましく、こ
の時電界印加時に高い透明性が得られる。具体的にはn
o −0.03<np <no +0.05の関係を満たすこ
とが好ましい。
【0047】液晶樹脂複合体におけるヒステリシスは、
上記の要因が主要因として引き起こされるものである
が、光学素子または表示素子としての電気光学的なヒス
テリシスは上記の弾性エネルギー、電気的エネルギー、
相互作用エネルギーのみにより決定されるわけではな
い。即ち、光学的なヒステリシスは、液晶の配列にかか
わるヒステリシスが光学的にどのように反映されるかに
も依存する。例えば、液晶配列においてヒステリシスが
存在する領域が存在しても、それが光学的に全く反映さ
れなければ、電気光学的ヒステリシスは発生しない。
【0048】液晶配列と光学的特性を結び付ける最大の
要因は液晶の屈折率異方性Δnである。これは、Δnの
大きさにより、液晶配列の変化がどのくらい光学的変化
を引き起こすかが決定されるためである。Δnが大きけ
れば、電場等の外場により液晶の配列が変化した際の場
の屈折率変化は大きくなり、液晶配列の変化は光学的に
大きく反映される。Δnが小さければ、液晶配列が大き
く変化しない限り大きな光学的な変化は生じない。
【0049】従って、Δnが大きいほど液晶配列のヒス
テリシスが大きな電気光学的ヒステリシスとして現れて
しまうことになる。いいかえれば、液晶配列の対電圧特
性から光学特性への増幅率が、Δnが大きいほど大きく
なるということができる。
【0050】この観点より、電気光学的ヒステリシスの
低減にはΔnがあるレベルより小さいことが望ましく、
具体的には、Δn≦0.25の関係を満たすことが望ま
しい。より望ましくは、Δn≦0.24とされる。
【0051】また、駆動電圧を主として支配するのは、
液晶粒子の直径とその分布である。前者に関しては、液
晶樹脂複合体の平均的な液晶粒子直径(平均粒子径)R
( μm)が、 0.2 < Δn・R < 0.7 (3) となることが望ましい。これは、液晶の屈折率電界印加
時に樹脂マトリクスの屈折率とが一致する素子の場合、
無電界時に散乱強度が大きくなり、かつ低電界で液晶が
駆動できる必要条件である。
【0052】Δnは、液晶樹脂複合体の電気光学特性の
温度依存性とも、密接に関連する。Δnが0.18より
大きい範囲においては、 (3)式で規定される最適な液晶
粒子径が存在し、オフ時に高い散乱性または透過性を持
った素子を得ることができるが、Δnの値によって温度
依存性は大きく異なる。オフ時の1つの液晶粒子当りの
散乱能はX=Δn・R/λ(λは波長)の関数である
が、Xの増大に伴って最初散乱能は増大するが、徐々に
一定値となり、その後散乱能は減少する。
【0053】そのため、この散乱能または透過性が一定
値となる条件で素子を構成すれば、Δnの変化によって
オフ時の散乱能または透過性がほとんど変化しない素子
を得ることができる。また、この場合、波長の変化に対
しても散乱能が変化しにくいということになり、オフ時
の散乱能または透過性が波長依存性の少ない素子が得ら
れるという利点をも有する。したがって、カラー表示の
際に各色のバランスを容易に取ることができる。
【0054】このような条件を満たす具体的なΔnの範
囲としては、0.18≦Δn≦0.24であり、これと
(3)式によって決まるRを持つ素子は、温度によるオフ
時の散乱能または透過性の変化を著しく低減できる。例
えば、Δn=0.21でR=2.4μmの素子は、室温
付近の温度域(例えば、0〜60℃)で、ほとんどオフ
時の散乱能または透過性は変化しない。
【0055】また、液晶樹脂複合体は、2値表示で駆動
する際、オフ状態と充分高い(飽和電圧以上の)オン状
態で駆動されるため、数十msec以下の応答性を有し
ており一般に高速表示に適したものである。しかし、階
調表示の際には中間調を表示するために飽和電圧よりも
低い電圧も用いられる。このため、2値表示駆動での応
答より遅い状態が存在する。階調表示時の応答性は低電
圧側での表示(暗い表示)ほど応答が遅くなる傾向があ
る。特に、オフ状態から低い透過率状態への変化が最も
遅く、2値表示駆動時の応答の数十倍以上遅くなること
もある。
【0056】この階調表示の際にも残像を減らすために
は、樹脂マトリクス中に分散保持される液晶の屈折率異
方性Δn、粘度η(cSt)が、 Δn2 /η > 0.001 (4) とされることが好ましい。特には、 Δn2 /η > 0.0014 (4A) の関係を満たすことが、電圧オフ時の応答を良くするた
め好ましい。
【0057】さらに、以下の関係を満たすことが好まし
い。 5 (K33/η)0.5>R>(K33/ ΔεLC)0.5 (5) 特に、以下の関係を満たすことが好ましい。 4 (K33/η)0.5>R>(K33/ ΔεLC)0.5 (5A) この範囲では、階調表示時の各電圧における液晶に働く
トルクバランスがとれ、残像の少ない美しい中間調表示
が得られると共に、液晶の駆動に要する電界が低く抑え
られる。なお、ここで用いられる液晶の物性値は室温で
の値である。
【0058】なお、上記の関係は、液晶の粒の形状がほ
ぼ球形の場合の関係である。本発明では、この形状を球
形でない形状としてさらにそのヒステリシス低減の効果
を改善することもできる。この場合、あまり複雑な凹凸
があるような形状は応答性は良いものの非常に高い駆動
電界を必要とするため好ましくなく、回転楕円体状の形
状が望ましい。また、この場合、長軸が一定方向に並ん
でいると、上記効果は生じない。このため、少なくとも
電極面への垂線に対して液晶の長軸がランダム、即ち、
2次元的にはランダムにされる。できれば3次元的にラ
ンダムになっていることが好ましい。
【0059】ここで、液晶の平均粒子径Rは、散乱特
性、応答性、動作電界などと密接に関連する。Rが大き
くなると駆動に必要な電界は小さくなるが、応答性は遅
くなる。また、Rが小さくなると単位液晶量当りに蓄積
される弾性エネルギーは大きくなり応答速度は速くなる
ものの駆動に高い電界を必要となる。
【0060】液晶の粘度η、誘電率異方性ΔεLCも応答
性と深く関連する要因であり、粘度が小さいほど、誘電
率異方性が大きいほど応答速度は速くなる。また、Δε
LCは駆動に必要な電界とも関連し、ΔεLCが大きいほど
必要な電界は小さくなる。
【0061】液晶の弾性定数は液晶に蓄積される弾性エ
ネルギーを決定するが、液晶樹脂複合体においては、特
にK33 によるベンドエネルギーが大きな役割を果たし、
応答特性、駆動特性すなわち液晶に働く弾性トルクと深
く関与する。ヒステリシスの低減のためには、弾性定数
K33 は大きいほうが有利であるが、K33 があまり大きく
なると、駆動電界の上昇につながる。このため、他の液
晶物性(例えばΔn、ΔεLC、η等)とのバランスによ
り、選択することができる。
【0062】また、電圧−透過率特性の温度依存性の点
から、前記したΔnとRの関係に加えて、温度により変
化する物理量である用いる液晶の誘電率異方性ΔεLC
弾性定数K11 、K33 を最適化する必要がある。
【0063】液晶樹脂複合体においては、液晶が樹脂マ
トリクス中に分散保持されているために、印加された電
圧は全てが液晶にかかるわけではなく液晶部分とマトリ
クス部分に分配される。一般に用いる液晶のΔεLCが大
きいほど液晶の大きい方の誘電率ε//は大きく、電圧印
加時にマトリクスに分配される電圧が増え、液晶部分に
分配される電圧は減少する。
【0064】このため、ΔεLCの大きな領域では、Δε
LCを大きくしても駆動電圧を下げる効果はほとんどなく
なってしまう。ΔεLCが大きな場合には、この理由か
ら、弾性定数が電圧透過率特性を主として支配する。し
たがって、ΔεLCが大きな液晶を用いた場合には、弾性
定数の温度依存性がそのまま電圧透過率特性の温度依存
性を引き起こすことになる。一方、ΔεLCを小さくする
につれ、液晶に配分される電圧は増加し、電圧透過率特
性は、ΔεLCと弾性定数の比により決定されるようにな
る。
【0065】温度の上昇により、ΔεLC、弾性定数の両
方とも減少する物理量であるため、それぞれの物理量を
適切に選ぶことにより、それぞれの温度変化をキャンセ
ルし、温度にほとんど依存しないかまたは依存性の少な
い電圧透過率特性を持った液晶樹脂複合体を得ることが
できるようになる。
【0066】以上の観点から、液晶の誘電異方性ΔεLC
は前記のようにΔεLC<13とし、弾性定数K (K=(K11
+K33)/2) (10-12 N)は、1<K /ΔεLCの条件
を満たすことが好ましい。また、K /ΔεLCがあまり大
きくなりすぎると、駆動電圧の上昇につながるため、K
/ΔεLC<3とすることが好ましい。
【0067】なお、これらの温度依存性には液晶のクリ
アリングポイント(液晶から等方液体への転移温度)T
cも重要であり、常用温度域よりもある程度以上高くな
いと上記の効果は期待できない。これは、転移点付近の
温度では物理量の変化があまりにも急激であるからであ
る。したがって、用いる液晶のTcは、使用温度域の中
心温度+30℃か使用上限温度+10℃のいずれか高い
方の温度を下回らないことが好ましい。先述の例である
0℃〜60℃の温度域の場合、Tcは70℃を下回らな
いことが好ましい。
【0068】樹脂マトリクス中に分散保持される液晶
は、独立した粒子、または一部が連通した粒子であるこ
とが好ましい。これは、高い散乱能と低電圧で駆動した
際の高い透過性を両立させるために有効である。散乱は
液晶と樹脂マトリクスの界面の存在により引き起こされ
る。このため、この界面の面積が大きいほど散乱性は向
上する。
【0069】ある最適な平均粒子径で、この界面の面積
を増大させるためには、独立して樹脂マトリクスと分離
した液晶量を多くする、即ち、液晶粒子密度を多くする
ことが重要である。しかしながら、樹脂マトリクスと分
離した液晶量を増大していくと、いずれ夫々の液晶粒子
が連通するようになり、さらには液晶が全て連通した構
造を取るようになる。これは樹脂マトリクスと分離した
液晶界面の喪失につながるため、散乱能の低下につなが
る。
【0070】また、駆動電圧を低くするためには、樹脂
マトリクス中に保持される夫々の液晶がほぼ等しい駆動
電界を持つことが重要である。このためには、液晶が明
確な界面を樹脂マトリクスとの間に持つ方が有利であ
り、界面の喪失は駆動電界の分散につながり、コントラ
スト比の低下と駆動電圧の上昇を生じる傾向がある。こ
のため、樹脂マトリクス中に分散保持される液晶は、高
密度に存在する独立粒子または一部が連通した粒子であ
ることが好ましい。
【0071】この液晶の粒子径は、均一であることが好
ましい。粒子径に分布がある場合、大きな液晶粒子は散
乱能の低下に、小さな液晶粒子は駆動電界の上昇につな
がり、結果として、駆動電圧の上昇とコントラストの低
下を招く。粒子径の分散σは平均粒子径の0.25倍以
内が望ましく、0.15倍以内がより好ましい範囲であ
る。なお、平均粒子径、分散は体積で重み付けをした平
均、分散である。
【0072】用いる液晶の選定は、 (1)式及び(2) 式に
示した誘電異方性ΔεLC、(3) 式に示した屈折率異方性
と平均粒子径との関係をも考慮して行えばよい。具体的
には、Δnは、0.18以上とされる。
【0073】電極基板間隙dに関しては、電界印加時に
透過状態になる素子の場合、dを大きくすると、無電界
時の散乱性は向上する。しかし、dがあまり大きすぎる
と、電界印加時の充分な透明性を達成するために高い電
圧を必要とし、消費電力の増大や、従来のTN用の能動
素子、駆動用ICが使用できないといった問題が生じて
くる。また、dを小さくすると、低電圧で高い透明性が
得られるが、無電界時の散乱性は減少していく。
【0074】このため、無電界時の散乱性と電界印加時
の高透明性を両立させるためには、d(μm)が、 3R < d < 9R (6) を満足し、さらには、液晶樹脂複合体に印加される最大
実効印加電圧V (v) が、 0.6R・V< d < 1.6R・V (7) の関係を満たすことが好ましい。この範囲内では、従来
のTN用の能動素子、駆動用ICを用いて高いコントラ
スト比を有する表示が可能である。
【0075】なお、上記素子を反射型で用いる場合に
は、光は2度液晶樹脂複合体を通過するので、散乱時の
散乱性が増大する。したがって、 (6)式の範囲内で、d
を薄くすることが可能で、 (7)式によって決められる最
大駆動電圧も低減できる。
【0076】上記の説明では、単独の液晶表示素子の場
合を説明している。投射型液晶表示装置等に用いるよう
に、例えば3個の液晶表示素子を用い、RGB3色の光
を各液晶表示素子に分けて透過させる場合には、各色毎
に前記の各式を満足するようにする。さらに、各色毎に
その特性を揃えておくことが好ましい。
【0077】具体的には、使用する光の中心波長λに対
する液晶表示素子のΔn、R、dの関係を下記の(8) 式
及び(9) 式を同時に満足するか、または(10)式を各色毎
にほぼ一定になるように調整することが好ましい。これ
により、各色光毎にほぼ揃った光の透過−散乱性能が得
られる。
【0078】 Δni ・Ri /λi ≒Δnj ・Rj /λj (8) di /Ri ≒dj /Rj (9) Δni ・di 2/λi ≒Δnj ・dj 2/λj (10) なお、i,jは各色を表す。
【0079】また、無電界時の散乱性を向上させるに
は、液晶樹脂複合体の動作可能な液晶の体積分率Φを増
加させることが有効である。具体的にはΦ>20%が好ま
しく、より高い散乱性を有するにはΦ>35%が好まし
く、さらにはΦ>45%が好ましい。一方Φがあまり大き
くなると、液晶樹脂複合体の構造安定性が悪くなるた
め、Φ<70%が好ましい。
【0080】本発明の液晶表示素子は、液晶の常光屈折
率no が樹脂マトリクスの屈折率と一致するようにする
ことにより、電界が印加されていない場合は、基板に垂
直方向には配列していない液晶と、樹脂マトリクスの屈
折率の違いにより、散乱状態(つまり白濁状態)を示
す。このため、本発明では電極のない部分は光が散乱さ
れる。
【0081】この液晶表示素子を投射型表示装置として
用いる場合には、画素部分以外の部分は光が散乱される
ので、遮光膜を設けなくても、光が投射スクリーンに到
達しないため、黒く見える。このことにより、画素電極
以外の部分からの光の漏れを防止するために、画素電極
以外の部分を遮光膜等で遮光する必要がない。このた
め、遮光膜の形成工程が不要となるという利点も有す
る。
【0082】これに所望の画素に電界を印加する。この
電界を印加された画素部分では、液晶が電界方向に配列
し、液晶の常光屈折率no と樹脂マトリクスの屈折率n
p とが一致する。これにより透過状態を示し、当該所望
の画素で光が透過することとなり、投射スクリーンに明
るく表示される。
【0083】この素子に、この硬化工程の際に特定の部
分のみに充分に高い電圧を印加した状態で硬化させるこ
とにより、その部分を常に光透過状態とすることができ
る。固定表示したいものがある場合にはそのような常透
過部分を形成してもよい。
【0084】また、本発明の液晶表示素子は、カラーフ
ィルターを設けることによりカラー表示を行うことがで
きる。このカラーフィルターは、1個の液晶表示素子に
3色設けてもよいし、1個の液晶表示素子に1色設けて
もこれを3個組み合わせてもよい。このカラーフィルタ
ーは、基板の電極面側に設けてもよいし、外側に設けて
もよい。
【0085】また、液晶樹脂複合体中に染料、顔料等を
混入しておくことにより、カラー表示を行うようにして
もよい。
【0086】図1は、本発明の液晶表示素子の断面図で
ある。図1において、 1は液晶表示素子、 2はアクティ
ブマトリクス基板用のガラス、プラスチック等の基板、
3はITO(In23 −SnO2 )、SnO2 等の画
素電極、 4はトランジスタ、ダイオード、非線形抵抗素
子等の能動素子、 5は対向電極基板用のガラス、プラス
チック等の基板、 6はITO、SnO2 等の対向電極、
7は両基板間に挟持された液晶樹脂複合体を示してい
る。
【0087】図2は、図1の液晶表示素子を用いた投射
型液晶表示装置の模式図である。図2において、11は投
射用光源、21は液晶表示素子、13はレンズ、アパーチャ
ー等を含む投射光学系、14は投射する投射スクリーンを
示している。なお、投射光学系はこの例では、孔のあい
た板であるアパーチャーやスポット15、集光レンズ16、
投射レンズ17を含んでいる。
【0088】図3は、本発明のフルカラーの投射型液晶
表示装置のダイクロイックプリズムを用いた例の模式図
である。図3において、21は光源、22は凹面鏡、23はコ
ンデンサーレンズ、24は分光用ダイクロイックプリズ
ム、25A、25B、25C、25D は鏡であり、21〜25D で色光源を
構成する。26A、26B、26C は各色に対応した液晶樹脂複合
体を挟持した液晶表示素子、27は合成用ダイクロイック
プリズム、28は投射レンズ、29は直進光以外を除去する
ためのアパーチャー、30は投射する投射スクリーンであ
る。27〜29で投射光学系を構成している。
【0089】この例では、直進光以外の拡散光を除去す
るためのアパーチャーが1個ですみ、光軸が1本なので
調整が容易であり、投射スクリーンまでの距離が可変に
できる利点がある。
【0090】図4は、本発明のフルカラーの投射型液晶
表示装置のダイクロイックプリズムを用いない例の模式
図である。図4において、31は光源、32は凹面鏡、33は
コンデンサーレンズ、35A、35B、35C はダイクロイック鏡
であり、31〜35C で色光源を構成する。36A、36B、36C は
各色に対応した液晶樹脂複合体を挟持した液晶表示素
子、38A、38B、38C は各色毎に設けられた投射レンズ、39
A、39B、39C は各色毎に設けられた直進光以外を除去する
ためのアパーチャー、40は投射するスクリーンである。
38A 〜39C で投射光学系を構成している。
【0091】本発明の能動素子としてTFT等の3端子
素子を使用する場合、対向電極基板は全画素共通のベタ
電極を設ければよい。MIM素子、PINダイオード等
の2端子素子を用いる場合には、対向電極基板はストラ
イプ状のパターニングをされる。
【0092】また、能動素子として、TFTを用いる場
合には、半導体材料としてはシリコンが好適である。特
に多結晶シリコンは、非結晶シリコンのように感光性が
ないため、光源からの光を遮光膜により遮光しなくても
または厳密な遮光膜でなくても誤動作しにくく、好まし
い。この多結晶シリコンは、本発明のように投射型液晶
表示装置として用いる場合、強い投射用光源を利用で
き、明るい表示が得られる。
【0093】また、従来のTN型液晶表示素子の場合に
は、画素間からの光の漏れを抑止するために、画素間に
遮光膜を形成することが多い。この際に、ついでに能動
素子部分にも同時遮光膜を形成することができる。この
ため、能動素子部分に遮光膜を形成することは全体の工
程にあまり影響を与えない。即ち、能動素子として多結
晶シリコンを用いて、能動素子部分に遮光膜を形成しな
いことにしても、画素間に遮光膜を形成する必要があれ
ば、工程を減らすことはできない。
【0094】これに対して、本発明では、前述の如く、
樹脂マトリクスの屈折率が使用する液晶の常光屈折率n
o とほぼ一致するようにされた液晶樹脂複合体を使用す
ることができる。このため、電界を印加しない部分では
光が散乱して投射された投射スクリーン上では黒くなる
ため、画素間に遮光膜を形成しなくてよい。一方、能動
素子として多結晶シリコンを用いる場合、能動素子部分
に遮光膜を形成しなくてもよい。このため、遮光膜を形
成する工程をなくすことができ、生産性が向上する。
【0095】なお、非結晶シリコンを用いても、その半
導体部分に遮光膜を形成すれば、使用することができ
る。また、電極は通常は透明電極とされるが、反射型の
液晶表示装置として使用する場合には、クロム、アルミ
ニウム等の反射電極としてもよい。
【0096】本発明の液晶表示素子及び液晶表示装置
は、このほか赤外線カットフィルター、紫外線カットフ
ィルター等を積層したり、文字、図形等を印刷したりし
てもよいし、複数枚の液晶表示素子を用いたりするよう
にしてもよい。さらに、本発明では、この液晶表示素子
の外側にガラス板、プラスチック板等の保護板を積層し
てもよい。これにより、その表面を加圧しても、破損す
る危険性が低くなり、安全性が向上する。
【0097】本発明では、前述の液晶樹脂複合体を構成
する硬化性化合物として光硬化性化合物樹脂を用いる場
合、光硬化ビニル系化合物の使用が好ましい。具体的に
は、光硬化性アクリル系化合物が例示され、特に、光照
射によって重合硬化するアクリルオリゴマーを含有する
ものが好ましい。
【0098】本発明で使用される液晶は、ネマチック液
晶である。特に、正の誘電異方性を有するネマチック液
晶であり、樹脂マトリクスの屈折率がその液晶の常光屈
折率no と一致するような液晶を用いることが好まし
い。これは、単独で用いても組成物を用いてもよいが、
動作温度範囲、動作電圧など種々の要求性能を満たすに
は組成物を用いた方が有利といえる。
【0099】また、この液晶は、光硬化性化合物を用い
た場合には、光硬化性化合物を均一に溶解することが好
ましい。そして、光露光後の硬化物は溶解しない、もし
くは溶解困難なものとされる。液晶の組成物を用いる場
合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いものが望ま
しい。
【0100】この液晶組成物は、液晶分子の末端または
そのオルト位のいずれかまたは両方に極性基を持つよう
なΔεLCが大きいNp化合物(正の誘電異方性を有する
ネマチック液晶)を複数種類混合して作成してもよい
し、それらに|ΔεLC|≦2.0で表されるような誘電
異方性の小さい化合物を併用して作成してもよい。
【0101】一般に、未硬化時には硬化性化合物と均一
に溶解し、硬化後はマトリクスとよく相分離することが
好ましい。このためには、凝集エネルギーが適度に異な
る複数の液晶性化合物またはさらにそれに類似した構造
を有する化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
このことから、ΔεLCが大きい化合物とΔεLCが小さい
(|ΔεLC|≦2.0)化合物とを併用して用いること
が好ましい。特に、この比(ΔεLCが大きい化合物/Δ
εLCが小さい(|ΔεLC|≦2.0)化合物)を重量比
で、20/80〜75/25とすることが好ましい。
【0102】液晶性化合物としては、例えば以下のよう
な一般式を有する化合物がある。 R3-(A1)- Y1 -(A2)- R43-(A1)- Y1 -(A2)- Y2 -(A3)- R43-(A1)- Y1 -(A2)- Y2 -(A3)- Y3 -(A4)- R
4
【0103】上記式において、R3 は炭素数1〜10の
アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基等であり、R
4 は炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アル
ケニル基、それらの水素原子をハロゲン原子に置換した
基、ハロゲン原子、シアノ基、チオシアナト基等であ
る。
【0104】A1 、A2 、A3 、A4 は1,4−フェニ
レン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、2,
5−ピリジンジイル基、2,5−ピリミジンジイル基等
の環基であり、その一部がアルキル基、−Fや,−Cl
などハロゲン原子等で置換されていてもよい。本発明に
おける、フェニルピリミジン系液晶化合物とは、1,4
−フェニレン基と2,5−ピリミジンジイル基を1分子
中にそれぞれ少なくとも1個有する化合物をいう。Y
1 、Y2 、Y3 は単結合または−COO−,−OCO
−,−C≡C−,−CH=CH−,−CH2 CH2 −,
−CH2 O−,−OCH2 −等の基である。
【0105】ΔεLCが大きい化合物の場合には、上記式
のR4 がその水素原子がハロゲン原子で置換されたアル
キル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子、シアノ
基、チオシアナト基等である化合物が例示される。ま
た、ΔεLCが小さい化合物の場合には、上記式のR4
単なるアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基等であ
る化合物が例示される。
【0106】なお、これは単なる例示にすぎなく、これ
ら以外にもΔεLCの大きさを満足する化合物はあるし、
逆に上記例示の化合物であってもΔεLCの大きさを満足
しない化合物はありうる。このため、各化合物のΔ
εLC、Δn、相安定性、クリアリングポイント(T
c)、粘度、弾性率等を考慮しつつ適宜選択すればよ
い。
【0107】具体的には、
【化3】
【0108】等に代表される末端−CN基からなる、誘
電率異方性(Δε)が18以上と比較的大きい液晶化合
物に、屈折率異方性(Δn)を下げることなく、誘電異
方性を低下させる化合物を加えることが望ましい。な
お、R3 は前記R1 と同じ範疇の基を示し、好ましくは
アルキル基である。
【0109】また、TNタイプに代表されるガラス基板
間に液晶組成物が単独で挟持される素子に比べて、樹脂
複合体を構成する樹脂マトリックス材料との境界面が非
常に多いことから、固化前の樹脂マトリックス材料との
相溶性がよく、固化後の樹脂マトリックス材料との構造
安定性が優れていることが要求される。
【0110】特に樹脂マトリックスが光硬化性化合物か
らなる場合には、樹脂複合体を得る際に液晶組成物も光
に曝露されることになり、組成物として複合化する際の
光に対して悪影響しないような化合物であることが必要
となる。したがって、本発明においては前記液晶化合物
の少なくとも一部としてフェニルピリミジン系液晶化合
物を使用することを必須とする。特に、1,4−フェニ
レン基を1〜2個、ピリミジンジイル基を1個有し、か
つそれらが直接結合あるいはエチレン基で結合した化合
物が好ましい。
【0111】さらに、好ましくは、下記式(A)で表さ
れる化合物である。
【0112】
【化4】
【0113】(式中、2,5−ピリミジンジイル基およ
び1,4−フェニレン基はそれぞれ独立に非置換である
か、あるいは置換基として1個以上のハロゲン原子を有
していてもよく、R1 ,R2 は相互に独立して炭素数1
〜10のアルキル基、あるいはハロゲン原子を示し、ア
ルキル基の場合には、アルキル基中の炭素−炭素結合間
あるいはこのアルキル基と環との間の炭素−炭素結合間
に酸素原子、カルボニルオキシ基、あるいはオキシカル
ボニル基が挿入されてもよく、また、アルキル基中の炭
素−炭素結合の一部が三重結合あるいは二重結合に置換
されていてもよく、またアルキル基内の1個のCH2
カルボニル基に置換されていてもよく、また、アルキル
基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換
されていてもよい。)
【0114】本発明における液晶組成物は、フェニルピ
リミジン系液晶化合物を含み、かつ所望の物性の液晶組
成物となるように、例えば上述した末端CN系の液晶化
合物などを併用すればよい。もちろん、併用する液晶化
合物は末端CN系の液晶化合物に限定されるものではな
く誘電率異方性と屈折率異方性のバランスをとるため、
【0115】
【化5】
【0116】(R5 ,R6 はそれぞれ独立して炭素数1
〜10のハロゲン化されていてもよいアルキル基)等の
その他の液晶を、所望の物性を得るために適時添加して
もよい。式(A)で代表されるフェニルピリミジン系液
晶化合物は、組成物のΔnを低下させずに低粘度化が図
れるため、ヒステリシスの低減と速い過渡応答を必要と
する本素子の使用目的である表示用途には好適な材料で
ある。更に、複合体の樹脂マトリックスが光硬化性アク
リル系化合物で構成される場合、光露光前のマトリック
ス材料との相溶性に優れているため素子化がきわめて安
定して行える。
【0117】本発明におけるフェニルピリミジン系液晶
化合物は、単独で用いるよりは他の液晶化合物と混合し
て用いることが望ましく、このときその使用割合(全液
晶組成物に対する割合)は誘電異方性と屈折率異方性の
バランスを取り得るために5重量%以上が好ましく、組
成物としての安定性、複合体としての安定性、信頼性か
ら40重量%以下が好ましく、望ましくは30重量%以
下とする。もちろん、使用されるフェニルピリミジン系
液晶化合物は単独であってもよいし、複数の化合物を混
合して用いてもよい。
【0118】式(A)で表されるフェニルピリミジン系
液晶化合物において、R1 としては炭素数1〜6のハロ
ゲン化されていてもよいアルキル基が好ましい。R2
しては、ハロゲン原子と、炭素数1〜6のハロゲン化さ
れていてもよいアルキル基が好ましい。なお、ハロゲン
原子としては、フッ素原子と塩素原子が好ましい。具体
的には、
【0119】
【化6】
【化7】
【0120】で代表される化合物を用いる。なおXはハ
ロゲン原子を意味し、R2 がハロゲン原子の場合は、具
体的にハロゲン原子を記載した。したがって、化6〜化
7におけるR2 はハロゲン原子以外のもの、特にアルキ
ル基を表す。
【0121】液晶樹脂複合体を製造する場合、次のよう
な製法がある。1つは従来の通常の液晶表示素子のよう
に一対の基板を電極面が対向するように配置して、周辺
をシール材でシールして、注入口から未硬化の液晶樹脂
複合体用の混合液を注入して、注入口を封止する製法で
ある。もう1つは、基板上に硬化性化合物と液晶との混
合物を供給し、対向する基板を重ね合わせる製法であ
る。
【0122】本発明の液晶表示素子は、液晶中に2色性
色素や単なる色素、顔料を添加したり、硬化性化合物と
して着色したものを使用したりしてもよい。
【0123】本発明では、液晶樹脂複合体として液晶を
溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合物を硬化
させることにより、硬化時に不要となる単なる溶媒や水
を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で硬化でき
るため、従来のセルへの注入という製造法がそのまま採
用でき、信頼性が高くなる。さらに、光硬化性化合物で
2枚の基板を接着する効果も有するため、より信頼性が
高くなる。
【0124】本発明では、このように液晶樹脂複合体と
することにより、上下の透明電極が短絡する危険性が低
くなる。さらに、通常のTN型の表示素子のように配向
や基板間隙を厳密に制御する必要もなく、透過状態と散
乱状態とを制御しうる液晶表示素子を極めて生産性よく
製造できる。
【0125】投射用光源、投射光学系、投射スクリーン
等は従来からの投射用光源、投射光学系、投射スクリー
ンが使用でき、投射用光源と投射光学系との間に本発明
の液晶表示素子を配置すればよい。もちろん、複数の液
晶表示素子の像を光学系を用いて合成して表示するよう
にしてもよい。これらの投射用光源に用いられる光源と
しては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセ
ノンランプ等があり、凹面鏡、コンデンサーレンズ等を
組み合わせて光の利用効率を上げることができる。ま
た、これに冷却系を付加したり、LED等のチャンネル
表示等を付加したりしてもよい。
【0126】特に、この投射型の表示をする場合、光路
上に拡散光を減ずる装置、例えば、図2の15で示される
ようなアパーチャーやスポットを設置することがによ
り、表示コントラストを大きくすることができる。
【0127】即ち、拡散光を減ずる装置とは、液晶表示
素子を通過した光の内、入射光に対して直進する光(画
素部分が透過状態の部分を透過する光)を取り出し、直
進しない光(液晶樹脂複合体が散乱状態の部分で散乱さ
れる光)を減ずるものであればよい。特に、直進する光
は減ずることなく、直進しない光(拡散光)を減ずるこ
とが好ましい。
【0128】具体的な装置としては、図2のように、液
晶表示素子と投射光学系とで構成され、液晶表示素子1
2、集光レンズ16、孔のあいた板であるアパーチャーや
スポット15、投射レンズ17を設けたものがある。
【0129】この例によれば、投射用光源からでて液晶
表示素子12を通過した光のうち、入射光に対して直進す
る光は集光レンズ16により集光され、アパーチャーやス
ポット15に開けられた孔を通過して、投射レンズ17を通
し投射される。一方、液晶表示素子12で散乱させられた
直進しない光は、集光レンズ16により集光されても、ア
パーチャーやスポット15に開けられた孔を通過しない。
このため、散乱光が投射されないことになり、コントラ
スト比が向上する。
【0130】また、他の例としては、アパーチャーやス
ポット15の代りに、小さな面積を有する鏡を同じ位置に
斜めに配置し、反射させてその光軸上に配置された投射
レンズを通して投射させることもできる。また、このよ
うな集光レンズを用いることなく、投射レンズにより光
線が絞られる位置にスポット、鏡等を設置してもよい。
また、特別なアパーチャー等を用いなくとも、投射用レ
ンズの焦点距離、口径を、散乱光が除去されるように選
択してもよい。
【0131】また、マイクロレンズ系なども用いること
もできる。具体的には、液晶表示素子の投射光学系側に
マイクロレンズアレーと細やかな穴がアレー化されたス
ポットアレーを配置して、不要な散乱光を除去すること
ができる。この場合、散乱光除去に必要な光路長を非常
に短くすることができるため全体の投射型表示装置をコ
ンパクトにできるという利点を持つ。光路長の短縮に関
しては、投射光学系の中に散乱除去系を組み込むことも
有効である。この場合、独立に投射光学系と散乱除去系
を設置するより光学系がシンプルになると共に、サイズ
を小さく抑えることができる。
【0132】これらの光学系は、ミラー、ダイクロイッ
クミラー、プリズム、ダイクロイックプリズム、レンズ
などと組み合わせ、画像の合成、カラー化ができる。ま
た、カラーフィルターと組み合わせても画像のカラー化
が可能である。
【0133】投射スクリーン上に到達する直進成分と散
乱成分との比は、スポット、鏡等の径及びレンズの焦点
距離により制御可能で、所望の表示コントラスト、表示
輝度を得られるように設定すればよい。
【0134】図2のような拡散光を減ずる装置を用いる
場合、表示の輝度を上げるためには、投射用光源から液
晶表示素子に入射される光はより平行であることが好ま
しい。そのためには、高輝度でかつできるだけ点光源に
近い光源と、凹面鏡、コンデンサーレンズ等を組み合わ
せて投射用光源を構成することが好ましい。
【0135】また、上記の説明では、主として透過型液
晶表示装置で説明したが、反射型の投射型液晶表示装置
であってもよい。例えば、スポットの代わりに小型の鏡
を配置して必要な光のみを取り出すようにすることがで
きる。
【0136】本発明の素子は、中間調表示を行うアクテ
ィブマトリクス液晶表示素子として優れた特性を持つ
が、他の非アクティブ駆動方式(スタティック駆動、マ
ルチプレクス駆動)にも有効である。特に、マルチプレ
クス駆動に関しては、従来の素子と比べて格段に有利で
ある。マルチプレクス駆動では、オフ電圧とオン電圧の
電圧の差により、駆動を行うわけであるが、液晶樹脂複
合体では、電圧透過率特性のシャープネスとヒステリシ
スの有無が、マルチプレクス時の光学特性に大きな役割
を果たす。
【0137】電圧透過率特性が鋭いしきい値特性を持て
ば、マルチプレクス駆動に適しており、特性が鋭いほど
同時に駆動するライン数を大きくできるため、より高密
度の表示が達成可能となる。しかしながら、大きなヒス
テリシスが存在すると、透過率は電圧昇圧時と降圧時に
より異なり、マルチプレクス駆動時のコントラストの低
下、表示ムラなどにつながってしまう。
【0138】本発明においては、鋭いしきい値特性と、
低ヒステリシスを同時に達成できるため、マルチプレク
ス駆動において、従来にない優れたコントラストと均一
性を持った表示を達成することが可能である。
【0139】また、ヒステリシス低減には、分散する液
晶粒子形状に歪を加えたり、駆動波形に変調を加えるな
ど、他の手法も存在するが、本発明の素子においては、
エネルギーロスなく、即ち、駆動電圧を上昇させること
なくヒステリシスを低減することができるといった点
で、他の手法と比べて有利である。もちろん、本発明の
手法に加えて、上記のような他の手法を組み合わせて用
いることは、相乗効果として有効に働くため、用いる液
晶、マトリクス材料、駆動電圧、応答特性などを考慮し
た上で、組み合わせて用いることができる。
【0140】
【作用】本発明によれば、高いコントラスト比の表示が
得られ、投射型表示で用いられた場合には、透過−散乱
型の液晶表示素子が透過状態の部分では光が透過し、投
射スクリーンは明るく表示され、散乱状態の部分では光
が散乱され、投射スクリーンは暗く表示され、所望の高
輝度、高コントラスト比の表示が得られる。
【0141】特に本発明では、前記のような構成を有し
ているので、ネマチック液晶と樹脂マトリクス材料の相
分離温度が、従来のものに比して低温であるために製造
プロセスが改善された。またヒステリシスが低減され焼
き付きが低減されている。このため、美しい中間調の表
示が可能になり、従来のTN用のアクティブマトリクス
液晶表示素子に使用したような能動素子や駆動用ICを
用いて、階調の細やかな表示が容易にできる。
【0142】
【実施例】
(比較例1)
【0143】
【化8】
【0144】からなる液晶組成物(%は重量%を表す、
以下同様)はクリアリングポイント(Tc)=70℃の
ネマチック液晶組成物であって、Δn=0.204、Δ
ε=11.9を示す。この液晶組成物は主に、ビフェニ
ル系、ターフェニル系とフェニルエステル系の液晶を主
成分としており極めて安定した液晶組成物である。この
液晶組成物とアクリレートモノマー、ウレタンアクリレ
ートオリゴマー、光反応開始剤を均一に溶解した。この
ときの相分離温度(Ts)は、33.5℃であった。こ
の均一溶解物を電極基板ギャップが12μmであるセル
に雰囲気温度37.0℃で注入し紫外線露光により硬化
させ液晶樹脂複合体とした。
【0145】この液晶表示素子の駆動電圧は6.5vで
あった。この液晶表示素子と光源系、投射光学系を組み
合わせて、投射型表示装置とした。スクリーン上に画像
を投影したところ、非常に明るい動画像が得られた。ス
クリーン上でコントラスト比を測定したところ、約12
0:1であった。なお、投射光学系の集光角(2tan-1
(φ/2f)で表され、φはアパーチャー(スポット)
の直径、fはレンズの焦点距離を表す。)は全角で約5
°あった。
【0146】(実施例1)比較例1で用いた液晶組成物
(90%)に、フェニルピリミジン系液晶物である、
【0147】
【化9】
【0148】を10%添加した液晶組成物はTc=67
℃のネマチック液晶化合物であって、Δn=0.20、
Δε=11.8を示す。
【0149】この液晶組成物とアクリレートモノマ−、
ウレタンアクリレートオリゴマー、光反応開始剤を均一
に溶解して、得られた液晶および樹脂マトリクス材料混
合物のTsは比較例1に示した液晶・樹脂組成物のTs
よりも7.1℃低下し、26.4℃となった。これは。
本実施例で用いたフェニルピリミジン系化合物が液晶組
成物と樹脂マトリクス材料との相溶性を向上させたこと
を示している。
【0150】この液晶組成物を比較例1と同様の方法で
液晶表示素子とした。この液晶表示素子のコントラスト
と駆動電圧は比較例1とほぼ同等であり、ヒステリシス
(H* )と過渡応答(τ:ON時とOFF時の透過率差
として10%上昇する速度)の積は比較例を1.00と
すると0.72と改善され、スクリーン上での中間調の
動画も美しいものとなった。
【0151】(実施例2)比較例1で用いた液晶組成物
(80%)に、フェニルピリミジン系液晶化合物であ
る、
【0152】
【化10】
【0153】を20%添加した液晶組成物はTc=72
℃のネマチック液晶化合物であって、Δn=0.21、
Δε=10.8を示す。
【0154】この液晶組成物とアクリレートモノマー、
ウレタンアクリレートオリゴマー、光反応開始剤を均一
に溶解して得られた液晶樹脂組成物のTsは比較例1に
示した液晶樹脂組成物のTsより7.7℃低下し、2
5.8℃となった。この液晶組成物を比較例1と同様の
方法で表示素子とした。この液晶表示素子のヒステリシ
スと過渡応答の積は比較例1を1.00とすると0.7
2と改善された。
【0155】(実施例3)比較例1で用いた液晶組成物
(90%)に、フェニルピリミジン系液晶化合物であ
る、
【0156】
【化11】
【0157】を10%添加した液晶組成物はTc=78
℃のネマチック液晶化合物であって、Δn=0.20、
Δε=11.0を示す。
【0158】図5に本発明の製造方法の主要部を示す。
まず、フェニルピリミジン系液晶を含む液晶組成物を調
整する。次に、液晶組成物を樹脂マトリクス材料や光反
応開始剤等と溶解し、組成物aとする。これ以降の工程
では、全てネマチック液晶と樹脂マトリクス材料のTs
以上であり、かつ30℃以下の雰囲気で作業を行う。さ
らに、組成物aをセル内に真空注入法等の方法を用いて
注入を行う。最後に、露光を行い、樹脂を硬化すること
により、液晶樹脂複合体を作成する。
【0159】この液晶組成物とアクリレートモノマー、
ウレタンアクリレートオリゴマー、光反応開始剤を均一
に溶解して得られた液晶樹脂組成物のTsは比較例1に
示した液晶樹脂組成物のTsよりも5.2℃低下し、2
8.3℃となった。この液晶組成物を比較例1と同様の
方法で表示素子とした。この表示素子のヒステリシスと
過渡応答の積は比較例を1.00とすると0.80であ
り、この点においての改善効果は見られなかった。
【0160】実験の結果を表1にまとめて表す。
【表1】
【0161】実験に用いた液晶樹脂複合体中の液晶の平
均直径は約2.0μmであった。Δnとの関係がある
が、およそ1.0〜3.5μmの範囲の中で好ましい光
の透過散乱特性が得られる。
【0162】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子では、アクティブ
マトリクス基板と対向電極基板との間等の一対の基板間
に挟持される液晶材料として、電気的に散乱状態と透過
状態とを制御しうる液晶樹脂複合体を挟持した液晶表示
素子を用いているため、偏光板が不要であり、透過時の
光の透過率を大幅に向上できる。
【0163】本発明の液晶表示素子は、正の誘電異方性
を有するネマチック液晶を用い、その樹脂マトリクスの
屈折率が使用する液晶の常光屈折率nO とほぼ一致する
ようにすることにより、電界が印加されない状態で高い
散乱性を有し、電界を印加した状態で高い透過性を有す
る。そして、従来のTN型液晶表示素子用の駆動用IC
を用いた駆動においても、高コントラスト比を有し、か
つ高輝度の表示が可能になる。
【0164】さらに、本発明によれば、階調駆動を行っ
た際にも、中間調がきれいにでた階調表示ができ、ヒス
テリシスに基づく焼付き現象を低減し、かつ過渡応答に
よる残像を低減することができる。このため、本発明の
液晶表示素子は、投射型表示に有効であり、画像の焼付
きがなく、明るくコントラストの良い投射型表示装置が
得られる。また、光源も小型化できる。
【0165】また、本発明の液晶表示素子は、温度によ
る散乱能の変化が少なく、温度による電圧−透過率特性
の変化が少ないので、広い温度範囲で安定した階調駆動
が容易にできる。
【0166】また、偏光板を用いなくてもよいため、光
学特性の波長依存性が少なく、光源の色補正等がほとん
ど不要になるという利点も有している。また、TN型液
晶表示素子に必須のラビング等の配向処理やそれに伴う
静電気の発生による能動素子の破壊といった問題点も避
けられるので、液晶表示素子の製造歩留りを大幅に向上
させることができる。
【0167】さらに、この液晶樹脂複合体は、硬化後は
フィルム状になっているので、基板の加圧による基板間
短絡やスペーサーの移動による能動素子の破壊といった
問題点も生じにくい。
【0168】また、この液晶樹脂複合体は、比抵抗が従
来のTNモードの場合と同等であり、従来のDSモード
のように大きな蓄積容量を画素電極毎に設けなくてもよ
い。このため、能動素子の設計が容易で、有効画素電極
面積の割合を大きくしやすく、かつ、液晶表示素子の消
費電力を少なく保つことができる。さらに、TNモード
の従来の液晶表示素子の製造工程から、配向膜形成工程
を除くだけで製造が可能になるので、生産が容易であ
る。
【0169】また、本発明によるフェニルピリミジン系
液晶を用いた液晶樹脂複合体は、光硬化前のネマチック
液晶と樹脂マトリクス材料の相分離温度が低いため、例
えば室温付近で真空注入法などによるプロセスを用いて
液晶樹脂複合体を安定して、高歩留りで製造することが
できる。また液晶組成物に対しても温度維持のための加
熱を行わずに、ほぼ室温近傍の一定の温度で製造するの
で安定した液晶樹脂複合体が得られる。
【0170】また、この液晶樹脂複合体を用いた液晶表
示素子は、応答時間が短いという特長も有しており、動
画の表示も容易なものである。さらに、この液晶表示素
子の電気光学特性(電圧−透過率)は、TNモードの液
晶表示素子に比して比較的なだらかな特性であるので、
階調表示への適用も容易である。
【0171】また、本発明の液晶表示素子は、電界を印
加しない部分では光が散乱されるようにすることによ
り、画素以外の部分を遮光膜により遮光しなくても投射
時に光の漏れがなく、隣接画素間の間隙を遮光する必要
がない。このため、特に、能動素子として多結晶シリコ
ンによる能動素子を用いることにより、能動素子部分に
遮光膜無しで高輝度の投射用光源を用いることができ、
高輝度の投射型液晶表示装置を容易に得ることができ
る。さらにこの場合には遮光膜を全く設けなくてもよい
ことになり、さらに生産工程を簡便化することができ
る。
【0172】本発明は、この外、本発明の効果を損しな
い範囲内で種々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の基本的な構成を示す断
面図。
【図2】本発明の投射型アクティブマトリクス液晶表示
装置の基本的な構成を示す模式図。
【図3】本発明のフルカラーの投射型液晶表示装置のダ
イクロイックプリズムを用いた例の模式図。
【図4】本発明のフルカラーの投射型液晶表示装置のダ
イクロイックプリズムを用いない例の模式図。
【図5】本発明の製造方法の主要部を示す流れ図。
【符号の説明】
1,12:液晶表示素子 2,5 :基板 3 :画素電極 4 :能動素子 6 :対向電極 7 :液晶樹脂複合体 11 :投射用光源 13 :投射光学系 14 :投射スクリーン 15 :スポット 16 :集光レンズ 17 :投射レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新山 聡 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町松原1160番 地 エイ・ジー・テクノロジー株式会社内 (72)発明者 若林 常生 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町松原1160番 地 エイ・ジー・テクノロジー株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の電極付きの基板間に、ネマチック液
    晶が樹脂マトリックス中に分散保持され、電圧の印加状
    態により液晶の屈折率が変化し、一方の状態では樹脂マ
    トリックスの屈折率により液晶の屈折率とほぼ一致して
    光が透過し、他方の状態では樹脂マトリックスの屈折率
    と一致しなく光が散乱するようにされた液晶樹脂複合体
    を挟持してなる液晶表示素子において、用いられた液晶
    組成物が、フェニルピリミジン系液晶化合物を含有し、
    液晶組成物の屈折率異方性(Δn)が0.18以上であ
    り、誘電率異方性(ΔεLC)が5<ΔεLC<13の関係
    を満たすことを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】フェニルピリミジン系液晶化合物が下記式
    (A)で表される化合物である請求項1の液晶表示素
    子。 【化1】 (式中、2,5−ピリミジンジイル基および1,4−フ
    ェニレン基はそれぞれ独立に非置換であるか、あるいは
    置換基として1個以上のハロゲン原子を有していてもよ
    く、R1 ,R2 は相互に独立して炭素数1〜10のアル
    キル基、あるいはハロゲン原子を示し、アルキル基の場
    合には、アルキル基中の炭素−炭素結合間あるいはこの
    アルキル基と環との間の炭素−炭素結合間に酸素原子、
    カルボニルオキシ基、あるいはオキシカルボニル基が挿
    入されてもよく、また、アルキル基中の炭素−炭素結合
    の一部が三重結合あるいは二重結合に置換されていても
    よく、またアルキル基内の1個のCH2 がカルボニル基
    に置換されていてもよく、また、アルキル基中の水素原
    子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換されていても
    よい。)
  3. 【請求項3】請求項1または2の液晶表示素子におい
    て、液晶組成物がフェニルピリミジン系液晶化合物を5
    〜30重量%含有し、液晶組成物が正の誘電異方性を有
    するネマチック液晶であり、液晶組成物の常光屈折率
    (n0 )が液晶樹脂複合体を構成する樹脂の屈折率とほ
    ぼ一致するようにしたことを特徴とする液晶表示素子。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかの液晶表示素子に
    おいて、液晶樹脂複合体の液晶の平均粒子径R(μm)
    が0.2<Δn・R<0.7の関係を満たすことを特徴
    とする液晶表示素子。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかの液晶表示素子に
    おいて、液晶樹脂複合体の樹脂が光硬化性化合物を硬化
    させた樹脂マトリクスであることを特徴とする液晶表示
    素子。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかの液晶表示素子で
    あって、電極付きの基板の一方が画素電極ごとに能動素
    子を設けたアクティブマトリックス基板であり、他方が
    対向電極を設けた対向電極基板である液晶表示素子と、
    投射用光源と投射光学系とを組み合わせたことを特徴と
    する投射型液晶表示装置。
  7. 【請求項7】一対の電極付きの基板間に、ネマチック液
    晶が樹脂マトリックス中に分散保持され、電圧の印加状
    態により液晶の屈折率が変化し、一方の状態では樹脂マ
    トリックスの屈折率により液晶の屈折率とほぼ一致して
    光が透過し、他方の状態では樹脂マトリックスの屈折率
    と一致しなく光が散乱するようにされた液晶樹脂複合体
    を挟持してなる液晶表示素子の製造方法であって、用い
    られた液晶組成物がフェニルピリミジン系液晶化合物を
    含有し、液晶組成物の相分離温度(Ts)以上かつ30
    ℃以下の温度で製造することを特徴とする液晶表示素子
    の製造方法。
JP28088392A 1992-09-25 1992-09-25 フェニルピリミジン系液晶化合物を用いる液晶表示素子とその製造方法 Withdrawn JPH06110042A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998011467A1 (fr) * 1996-09-13 1998-03-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Element graphique a cristaux liquides du type a dispersion macromoleculaire et procede de fabrication correspondant
US6221443B1 (en) 1996-09-13 2001-04-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Macromolecular dispersion type liquid crystal display element and method of manufacturing the same

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WO1998011467A1 (fr) * 1996-09-13 1998-03-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Element graphique a cristaux liquides du type a dispersion macromoleculaire et procede de fabrication correspondant
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US6365239B1 (en) 1996-09-13 2002-04-02 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Macromolecular dispersion type liquid crystal display element and method of manufacturing the same
US6368680B1 (en) 1996-09-13 2002-04-09 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Macromolecular dispersion type liquid crystal display element and method of manufacturing the same
US6551667B2 (en) 1996-09-13 2003-04-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd Macromolecular dispersion type liquid crystal display element and method of manufacturing the same

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