JPH05195696A - 土木工事用シートおよびコンクリート打設法 - Google Patents

土木工事用シートおよびコンクリート打設法

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JPH05195696A
JPH05195696A JP4007542A JP754292A JPH05195696A JP H05195696 A JPH05195696 A JP H05195696A JP 4007542 A JP4007542 A JP 4007542A JP 754292 A JP754292 A JP 754292A JP H05195696 A JPH05195696 A JP H05195696A
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JP
Japan
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sheet
water
civil engineering
engineering work
concrete
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JP4007542A
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English (en)
Inventor
Takehiko Takasago
武彦 高砂
Katsuhiko Arai
克彦 新井
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、高温地熱(高温湧水)地域でも何ら
問題なく実用的なコンクリートを打設し、かつ、優れた
外観、強度を有するコンクリートを提供し得る土木工事
用シートを提供せんとするものであり、また、該シート
を使用したコンクリート打設法を提供せんとするもので
ある。 【構成】本発明の土木工事用シートは、面に平行な連続
流路4からなる通水層を有することを特徴とするもので
ある。また、本発明のコンクリート打設法は、上記土木
工事用シートを地盤または地山に展張し、かつ該シート
の通水層に冷却水を通しながら、コンクリートを打設
し、養生して覆工コンクリートを形成することを特徴と
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土木工事現場、特に地
熱の高い地域で使用される断熱性、防水性に優れた土木
工事用シートおよび該シートを用いたコンクリート打設
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネルなど常温の地下水が湧出
する地域でコンクリートを打設する場合は、透水性不織
布シートにEVA(エチレン酢酸ビニル樹脂)を積層し
た止水シートを使用するNATM工法により打設されて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この工法を採
用しても、高温地熱(高温湧水)地域ではコンクリート
に亀裂が生じて、外観も強度も極めて悪いものしか提供
できず、従来このような地域にコンクリートを打設する
ことは避けられていたのが実状である。
【0004】本発明は、かかる高温地熱(高温湧水)地
域でも何ら問題なく実用的なコンクリートを打設するこ
とを検討した結果、特定な構造のシートを採用すること
により耐久性に優れたコンクリートを提供することに成
功したものである。
【0005】本発明は、優れた外観、強度を有するコン
クリートを提供し得る土木工事用シートを提供せんとす
るものであり、また、該シートを使用したコンクリート
打設法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために次のような構成を採用する。
【0007】すなわち、本発明の土木工事用シートは、
面に平行な連続流路からなる通水層を有することを特徴
とするものである。
【0008】また、本発明のコンクリート打設法は、上
記土木工事用シートを地盤または地山に展張し、かつ該
シートの通水層に冷却水を通しながら、コンクリートを
打設し、養生して覆工コンクリートを形成することを特
徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明は、高温地熱地域ならびに高温湧水地域
という特殊な環境でも、配設して通水するだけの簡便さ
で、断熱・防水の両特性を同時に達成し、かつ、優れた
性質を有するコンクリートを提供し得る土木工事用シー
トと、それを使用したコンクリート打設法を完成したも
のである。
【0010】すなわち、地盤または地山に該土木工事用
シートを展張し、このシートの通水層に冷却水を通すこ
とにより、上述特殊環境での高温問題を一挙に解決し得
ることを究明したものである。
【0011】本発明の通水層は、面に平行な連続流路を
有するものであれば如何なる構造、形状を有するもので
もよいが、地熱または湧水温度が高温であればあるほ
ど、該流路は排水特性の点から直線状のものが好まし
い。すなわち、通水することにより、地熱や湧水の温度
を置換して排出し、現場地域の温度をコンクリートの養
生に適した温度にまで冷却するのである。したがって、
環境温度が高いと、それだけ冷却効率を向上させるため
に排水の速度を高くする必要があるので、流路は曲りく
ねった形状よりも直線的な形状のものが好ましい。
【0012】本発明の通水層を構成する流路は、矩形
型、波型、V字型、などの凹凸状構造、ハーモニカ型、
格子型、蜂の巣型の流路壁を有するものであって、さら
に好ましくはこれらの構造の少なくとも片面をシートで
固定したものによって形成することができる。また、2
枚のシートの間に橋下駄状の支柱を設けたものやパイプ
状物を挟持したもの、さらに、中実のプラスチックシー
トまたは発泡シートに溝や穴を形成したもの、さらに、
溶融プラスチックや溶融金属を型に注入して形成した流
路壁からなるものなどを使用することができる。中でも
凹凸を有する構造のものが、成型し易く、また機能的に
も優れているので好ましい。
【0013】かかる通水層は、通水性がよく、かつ均一
冷却性のよい構造、形状が好ましく、たとえば、2枚の
シートの間に該シート面に直角に流路壁を設けた構造、
さらには流路が直線状のものが好ましく使用される。
【0014】上述の流路壁を構成する素材としては、金
属でもよいが、合成樹脂、繊維補強樹脂(FRP)が好
ましく使用される。かかる合成樹脂としては、たとえば
ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアセタ
ール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系
樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などや、
これら合成樹脂に金属粉や炭素、さらには無機繊維を配
合して熱伝導性を改善したものなどを使用することがで
きる。
【0015】また、上述の流路壁を固定するために使用
するシートは、該流路壁の片面または両面に融着または
接着して固定するが、その機能は、形態保持と流路空隙
を保持するものであり、制約はないが、好ましくは粗目
シートを使用するのが、透水性、通水性の上からよい。
このシートには織物または不織布が好ましく使用され
る。特に、このシートを熱融着タイプの繊維またはその
混用繊維を使用して構成すると、形態安定性に優れた構
造物を提供することができる。かかる固定用シートとし
ては、透水性を有するもの、たとえば、好ましくは透水
係数が10-3cm/sec 以上、さらに好ましくは10-2cm
/sec 以上のシートがよく、シート組織としては、不織
布が好ましく使用される。すなわち、かかる透水性を有
するもので固定することにより、溢水した冷却水は勿
論、地下水や湧水をも引き込んで排出することができ、
さらに複数の流路の通水量を全体に均一に拡散すること
ができるという機能を発揮せしめ得る。さらにかかるシ
ートとして、熱伝導性を改善するため、前述の炭素繊維
や金属繊維を混用した合成繊維シートを使用することも
できる。
【0016】本発明の土木工事用シートは、かかる流路
の少なくとも片面を、不透水層で構成したものである。
不透水層は覆工コンクリートに水が漏れ出て養生を阻害
しないように保護する機能を有するものであるが、法面
工事の場合のように、通水層が地盤よりも上側に配置さ
れるときには、該法面と通水層との間に不透水層を配置
させる必要がある。すなわち、この場合には、通水層
は、不透水層でサンドイッチされたものを使用すること
になる。
【0017】しかし、トンネル工事の場合のように、地
山より通水層が下側に配置される場合は、通水層の下面
のみに不透水層を配置すればよいが、勿論、この場合も
通水層の両面に不透水シートを配置しても別にさしつか
えない。
【0018】不透水層は、文字どおり水を通さないもの
であり、たとえば水不溶性の合成樹脂層または透水性繊
維層の片面に水不溶性合成樹脂皮膜を設けたシートなど
で構成されたものを使用することができる。
【0019】かかる合成樹脂としては、水不溶性の樹脂
なら何でもよいが、ポリエチレン、ポリエチレンプロピ
レン共重合体、塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合
体、ポリウレタン樹脂、天然ゴム、クロロプレン、ネオ
プレン、ブチレンゴム、スチレンブタジェンゴムなどエ
ラスマー系の樹脂が、コンクリートピンを打っても不透
水効果が高いなどの点から好ましく使用される。
【0020】上述の透水性繊維としては、天然繊維、合
成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維などの単独ま
たは併用して構成された布帛、好ましくは不織布で構成
される。
【0021】該通水層には、その片面または両面に、さ
らに緩衝材としての繊維シート(緩衝シート)を積層さ
せてもよい。土木工事用シートを地盤または地山に取り
付ける際にコンクリートピンを打ちつけるが、この際
に、この緩衝シートが、該ピンによって流路が破壊しな
いように保護する機能を発揮するものであり、さらに、
また法面での工事ではコンクリートの重量により該流路
が押し潰されないように保護する機能を有するものであ
る。
【0022】さらに、この緩衝シートとして、透水係数
の高いものが好ましく使用されるが、好ましくは透水係
数が10-3cm/sec 以上、さらに好ましくは10-2cm/
sec以上のものがよい。かかる緩衝シートの組織として
は編織物、不織布を使用することができるが、特に不織
布がよい。この不織布は、ウォータージェットパンチや
ニードルパンチしたものが、透水性の低下がなく好まし
く使用される。かかるシートは水を含有し易いので、冷
却効果にも優れた機能を発揮するものである。かかる緩
衝シートを構成する繊維としては、ポリアクリロニトリ
ル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、全
芳香族ポリアミド系繊維などの比較的高融点の合成繊維
が好ましく使用される。かかる繊維に熱伝導性を改善す
るために前述の金属繊維や炭素繊維を混用してもよい。
【0023】かかる緩衝シートは、さらに、2枚を適当
な間隔で区切って筒状に形成することにより、その筒を
支持体として使用することができる。すなわち、通水層
を有するシートの適当幅、たとえば5〜20cm幅のもの
を、該筒内に挿入することにより、簡単に緩衝シートと
一体化することができる。適当な間隔に区切る方法とし
ては、接着、融着または縫製などの方法を採用して、該
シート自体を接合して形成するか、さらに2枚の該シー
トの両端を接合し、その中に別の布帛または合成樹脂な
どで構成された枠体を挿入するなどの方法を採用するこ
とができる。これらの中でも前者の方法が簡便で、現場
での作業性に適していて好ましい。この緩衝シートを使
用する場合は、勿論、不透水層はその少なくとも片面に
設けることになる。
【0024】本発明の土木工事用シートの構造、形状
は、上述の通りであるが、要は、通水層の通水能力が大
きいほど冷却効果が高いので、流路面積率、流路面積、
流路サイズが地熱や湧水温度に適したものを使用するの
が好ましい。一方、柔軟性を重視すれば、土木工事用シ
ート全体の厚さとしては、好ましくは約30mm以下、さ
らに好ましくは約20mm以下にとどめのがよい。それ以
上の厚さにすると該シートの剛性が勝って施工しにくい
傾向が出てくる。
【0025】これらの要件を勘案すると、該通水層の流
路面積率、流路面積、流路サイズは、上述厚さ(約30
mm以下)一杯、必要ならそれ以上の流路サイズに拡大し
たものを使用するのが、冷却効果の上から好ましい。
【0026】たとえば、コンクリートの養生期間(たと
えば約4週間)のみ冷却すればよい場合には、通水層と
合成樹脂皮膜製不透水層を有する土木工事用シート単独
で充分に優れたコンクリートを提供することができる。
しかし、地熱や湧水温度が60〜80℃あるいはそれ以
上という高温の地域では、上述の土木工事用シートのみ
では、通水を中止したら、コンクリートが40℃以上、
さらには50℃以上に熱せられるために、コンクリート
に亀裂が発生する。したがって、このシートでは、永久
に通水操作が必要となる。ただし、このシートでも、地
熱や湧水温度が40〜50℃程度の比較的低い地域に限
っては、養生後通水しなくても30℃以下に冷却する能
力を有するので、コンクリートに亀裂が発生しない。
【0027】次に、地熱や湧水温度が60〜80℃ある
いはそれ以上の地域では、通水と断熱シートとの併用が
必要となる。すなわち、該不透水層として、断熱シート
を積層した構造のものを使用する。この構造のものを使
用することにより、冷却水の冷却効果と断熱シートの断
熱効果との相乗効果により、コンクリートの養生条件を
満足し、さらに養生後、通水しなくても、断熱シートに
よりコンクリートを好ましくは40℃以下、さらに好ま
しくは30℃以下に保持することができ、したがって、
コンクリートは十分な耐久性を発揮し、その機能を半永
久的(約50年間)に発揮することができるものであ
る。
【0028】かかる断熱シートとしては、熱を遮断する
機能を有するものであれば何でも使用でき、別に素材や
構造に制約を受けない。たとえば、熱伝導度が、厚さ5
mm以下で、好ましくは0.05Kcal/ m・ h2 以下、さ
らに好ましくは0.03Kcal/ m・ h2 以下のものであ
ればよい。特に柔軟性などの点から合成樹脂発泡体を使
用するのが好ましい。かかる合成樹脂発泡体の厚さは、
厚ければ厚いほど断熱効果は高いものであるが、柔軟
性、つまり施工時の追従性などの点から、好ましくは約
20mm以下、さらに好ましくは15mm以下のものを使用
するのがよい。
【0029】かかる発泡体を構成する素材は、別に制約
はないが、たとえば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ゴムなどの可撓性、柔軟性に富むエラス
トマー系樹脂を使用したものが好ましい。発泡倍率とし
ては、好ましくは10倍以上、さらに好ましくは20倍
以上のものがよい。
【0030】かかる断熱シートを積層してなる土木工事
用シートにおいては、通水層の流路は、さらにコンパク
トに設計することができ、たとえば流路面積率は、通水
層の断面積の好ましくは50%以上、さらに好ましくは
75%以上のものを使用するのが冷却効果の点からよ
い。また、流路面積は、好ましくは5mm2 /cmシート以
上、好ましくは15mm2 /cmシート以上、複数の独立し
た流路を含め、流路サイズは、好ましくは1〜100mm
2 、さらに好ましくは2〜25mm2 の範囲のもので大き
な冷却効果を達成することができる。
【0031】本発明において、積層体を形成したり、各
層間の接合に使用する接着剤としては、ウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系
樹脂ならびにゴム系接着剤など種々のものを適宜使用す
ることができるが、いずれにしても、耐水性のよいもの
が好ましい。かかる接着剤に接着性を向上するために架
橋性化合物、たとえば多官能のイソシアネート系化合物
やメラミン系化合物などを混用したり、さらに該接着剤
の保水性を防止するために撥水剤、特に反応型撥水剤な
どを使用することができる。接合の仕方としては、全面
接着でもよいが、柔軟性の上から、好ましくは部分接
着、点接着するのがよい。
【0032】次に、本発明のコンクリート打設法につい
て説明する。
【0033】本発明のコンクリート打設法は、上述の土
木工事用シートを使用するものであり、すなわち、面に
平行な連続流路からなる通水層を有する土木工事用シー
トを地盤または地山に展張し、かつ該通水層に冷却水を
通しながら、コンクリートを打設し、養生して覆工コン
クリートを形成するものである。
【0034】本発明のコンクリート打設法は、冷却水で
冷却しながらコンクリートを養生させるという画期的方
法を採用する点に特徴を有する。
【0035】すなわち、コンクリートは、養生時の温度
条件は高くとも30℃以下でないと亀裂を発生し、脆く
なるし、また、養生後は、コンクリート表裏面の温度差
を35℃以下、好ましくは30℃以下に維持しなけれ
ば、亀裂を発生する性質を有するものである。
【0036】かかるコンクリートの性質を勘案して、高
地熱、高温湧水地域での土木工事を安全に遂行するため
に、上述特殊な土木工事用シートを採用し、しかも冷却
水を通水しながらコンクリートを養生させる方法に到達
したものである。
【0037】すなわち、まず工事地盤(地山)にコンク
リートを吹き付けて、該土木工事用シートを展張する準
備をする。その後、該土木工事用シートを該地盤に展張
し、コンクリートピンを打って該土木工事用シートを固
定し、次いで該シートの通水層に冷却水を供給する。そ
の後、該シート表面の温度が30℃以下に低下した後
に、コンクリートを打設する。
【0038】該土木工事用シートの展張は、該シートの
通水層側を地盤側に配置させて展張し、コンクリートピ
ンは、該シートの通水層の反対側の不透水層側から打ち
込んで、該土木工事用シートを固定する。
【0039】また、上述の冷却水の通水量は、冷却水の
温度や、地熱または湧水温度によって異なるが、たとえ
ば冷却水が24℃で、地熱が73℃の場合は、約20〜
30リットル/分・m 以上通水すれば、約30℃前後、
さらにそれ以下の温度まで冷却することができる。この
冷却水で約30℃以下に冷却できない場合は、さらに断
熱シートを通水層に積層したものを使用することによ
り、確実に養生条件を満足する温度にすることができ
る。上述のように断熱シートを使用すれば、高地熱地域
でも、養生後、遮水しても断熱シートの作用によりコン
クリートを安全に保護することができる。
【0040】次に、本発明を図面により、さらに説明す
る。
【0041】図1は、本発明の土木工事用シートの一例
を示す断面図であり、図2〜3は、それぞれ本発明の土
木工事用シートの他の一例を示す断面図である。図4、
図5は、本発明の土木シートを使用してなるコンクリー
ト打設状態を示す断面図である。
【0042】すなわち、図1は、土木工事用シート1と
して、通水層2と不透水層3とを有する1枚のシートが
示されている。通水層2には、面に平行に走っている複
数の流路(溝状)4が設けられており、その流路壁5は
合成樹脂フィルムで構成されている。この流路壁5は、
図のように開放された構造でもよいが、筒状の構造のも
のでもよい。図では開放構造のものであるから、該流路
壁5の上下面に流路空隙を確保するために固定用シート
(不織布または織物)6が接合されている。このシート
は、空隙を確保し得るものであればよく、さらに透水性
に富む粗目のシート、特に不織布が好ましい。また、上
述の接合は、該通水層の機能を阻害しなければ、融着で
も接着でもよい。かかる通水層2の少なくとも片面は、
合成樹脂皮膜で構成された不透水層3が設けられてい
る。この合成樹脂皮膜は、コンクリートピン11を打っ
た際に水漏れの心配がないようにエラストマー系の樹脂
を使用するのが好ましい。
【0043】この図の不透水層3のように、通水層2に
直接合成樹脂皮膜を積層したものでもよいが、さらに繊
維シート(不織布または織編物)を積層したものを、不
透水層として使用することができる。
【0044】図2は、図1の不透水層3として、さらに
断熱シート7を含む例である。この断熱シート7は、可
撓性、柔軟性に富むエラストマー系樹脂で構成されたも
のが好ましい。この断熱シート7には、必要により、さ
らに図1の不透水層を積層することができる。
【0045】図3は、図2の土木工事用シートにおい
て、さらに通水層2に、厚目の繊維シートからなる緩衝
シート(不織布または編織物)8を積層したタイプの断
面図を示す。
【0046】なお、法面工事(図5)などのように地盤
の上に、本発明の土木工事用シートを載置させる形で使
用する場合は、通水層2が地盤よりも上側に配置される
ので、冷却水が地盤に漏れ出てしまう。したがって、通
水層2側に不透水層3を設けるのが好ましい。
【0047】図4は、図3の土木工事用シートを用いた
トンネル工事でのコンクリート打設状態を、また、図5
は、法面工事のコンクリート打設状態を、それぞれ示す
断面図を模式的に示したものである。図中、9は給水有
孔管、10は排水口、11はコンクリートピンをそれぞ
れ示し、給水有孔管9は、冷却水を該管壁の孔から該土
木工事用シートの各流路4へ供給するものである。
【0048】
【実施例】本発明を実施例をあげて、さらに、説明す
る。実施例の数値は、次の測定方法(評価方法)によっ
た。 外観:コンクリートの亀裂状態を肉眼により判定した。 表面硬度:JSCE-1990 「テストハンマー強度試験法」に
準ずる。 圧縮強度:JIS A-1109-1964 により試験片を採取し、JI
S A-1108-1967 「圧縮強度試験法」に準じて測定した。 流路サイズおよび流路面積:ノギスで流路壁の一辺を測
定して算出した。 シートの柔軟性:JIS L-1096のA法(ガーレ法)に準ず
る。 透水係数:JIS A-1218に準ずる。 熱伝導率:JIS A-1413の「平板直接法」に準ずる。
【0049】実施例1、比較例1〜3 図3で示される土木工事用シート1を用い、熱板(電熱
器)を用いて疑似トンネル工事実験をした。まず、流路
壁5は、厚さ3mmの低密度ポリエチレン製シートを使用
して形成した。すなわち、流路4は、一辺が2mmの正方
形からなる矩形型溝を有するシートで形成した。この流
路4の流路面積率は80%であり、流路面積率は16mm
2 、流路サイズは4mm2 であった。この流路壁5の両面
に、目付50 g/ m2 の薄い不織布(熱融着繊維30%
含有ポリエステル繊維)を融着して通水層2を形成し
た。この通水層2を、幅約10cmの短冊状に切断した。
この層2の柔軟性は75g/inであった。
【0050】単糸繊度5dのポリエステルフィラメント
からなる、透水係数が3.5×10-1cm/秒である目付
300 g/ m2 のスパンボンド不織布(ニードルパンチ
品)2枚を、幅10.8cm間隔でステッチをかけて複数
の筒状を形成して緩衝シート8を縫製した。このシート
の厚さは6mmであった。
【0051】この緩衝シート8の筒の中に上述の通水層
短冊を挿入した幅1mのシートを2組用意し、これら
を、発泡倍率30倍の熱伝導率0.02Kcal/ m・h ・
℃である、厚さ10mmのポリエチレン発泡体シート(幅
1m )からなる断熱シート7上に、中心部に給水有孔管
9が配設できる間隔を空けて、それぞれウレタン系接着
剤で20メッシュの間隔で全面点接着して積層して、土
木工事用シート1を得た(実施例1)。
【0052】この土木工事用シート1を、天井の中心部
付近に給水有孔管9が配置されるように、図4のように
トンネル模型に接着展張した。給水有孔管9の端部の空
隙部(漏水部分)を接着剤で密封した。実験は、電熱器
を用いた模型トンネルの熱板に電源を入れ、熱板温度を
75℃に昇温し、維持して行なった。すなわち、該土木
工事用シート1の発泡体シート7の表面温度が45℃に
昇温したところで、24℃の水を通水速度23リットル
/分・m で給水を開始した。給水開始から30分後の発
泡体シートの表面温度は28℃であった。この温度に到
達してから、次のコンクリートを打設した。
【0053】すなわち、打設コンクリートは、セメン
ト:砂:砂利の重量比=1:2:3で配合し、これに水
をセメント重量に対して67%配合して、スランプ値が
8.5cmであった。
【0054】コンクリートを400mmの厚さに打設して
4週間後、養生は完結した。このコンクリートは、亀裂
はなく、圧縮強度が300Kg/cm2 、表面硬度が280
Kg/cm2 と、外観、強度ともに優れたものであった。
【0055】比較例として、実施例1の土木工事用シー
トを使用する代りに、市販の止水シート(不織布/エチ
レン酢酸ビニル複合シート;厚さ0.8mm;柔軟性3.
6 g/in:比較例1)を用意した。また、実施例1の断
熱シートとして使用したポリエチレン発泡体の20mm厚
のシート(柔軟性500 g/in以上;比較例2)と10
0mm厚のシート(柔軟性測定不能;比較例3)とを用意
し、これらをそれぞれ模型トンネルに展張して、実施例
1と同様に実験した。
【0056】比較例1のシート表面温度は70℃、比較
例2は50℃、比較例3は30℃であった。この状態で
コンクリートを打設し、養生したところ、比較例1は、
シートの柔軟性3.6 g/inでよいのであるが、コンク
リートは亀裂が多く、圧縮強度が210Kg/cm2 、表面
硬度が180Kg/cm2 と、外観、強度ともに極めて劣る
ものであった。
【0057】また、比較例2は、シートの柔軟性500
g/in以上で測定できず、コンクリートは亀裂を発生
し、圧縮強度が230Kg/cm2 、表面硬度が210Kg/
cm2 と、外観、強度ともに劣るものであった。
【0058】この結果、比較例1の市販の止水シートは
実用できず、また、比較例2、3のような発泡体シート
の場合は、100mm以上もの厚さが必要であるが、この
ような厚さのものは、柔軟性に極めて乏しく、施工しに
くく実用できないことがわかった。
【0059】実施例2 図3で示される土木工事用シート1で、かつ通水層側に
も不透水層を積層したものを用い、熱板を用いて疑似法
面工事実験(図5)をした。トンネル模型を法面模型と
する以外は、実験方法、条件は実施例1と同一とした。
【0060】その結果、得られたコンクリートは、実施
例1と同様に外観、強度ともに優れたものであった。
【0061】実施例3 図3の断熱シート7の代わりに合成樹脂皮膜からなる不
透水シート3を積層した土木工事用シートを使用する以
外は、実施例1と同様にコンクリートを打設した。
【0062】ただし、使用する通水層2として、次のも
のを作成し使用した。すなわち、実施例1において、流
路4を一辺が4mmの正方形からなる矩形型溝で、流路サ
イズ16mm2 に形成したものを使用した。この通水シー
ト2を、実施例1と同様に幅約10cmの短冊状に切断し
た。通水層2の柔軟性は80 g/inであった。
【0063】この通水層2を、実施例1と同様にスパン
ボンド不織布製緩衝シート8内に収納し、その緩衝シー
ト8の片面を、上述の不透水層(エチレン酢酸ビニルシ
ート;厚さ0.7mm)3で全面接着して、土木工事用シ
ート1を作成した。
【0064】この土木工事用シート1を用いて、実施例
1と同様に給水有孔管を配設し、図4のように接着展張
し、24℃の水を通水速度50リットル/分・m で給水
を開始した。給水開始から30分で、不透水層3の表面
温度は、50℃から29℃に冷却された。この温度に到
達してから、実施例1と同じ方法でコンクリートを打設
し、養生した。
【0065】給水は、打設後4週間連続して続けた。養
生直後のコンクリートは、亀裂はなく、圧縮強度が29
0Kg/cm2 、表面硬度が270Kg/cm2 と、外観、強度
ともに優れたものであった。
【0066】
【発明の効果】本発明は、高温地熱(高温湧水)地域で
も何ら問題なく実用的なコンクリートを打設することが
でき、かつ、優れた外観、強度を有するコンクリートを
提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の土木工事用シートの一例を示す断面
図である。
【図2】 本発明の土木工事用シートの他の一例を示す
断面図である。
【図3】 本発明の土木工事用シートのさらに他の一例
を示す断面図である。
【図4】 本発明の土木工事用シートを使用してなる、
トンネル工事でのコンクリート打設状態を示す断面図で
ある。
【図5】 本発明の土木工事用シートを使用してなる、
法面工事でのコンクリート打設状態を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1:土木工事用シート 2:通水層 3:不透水層 4:流路 5:流路壁 6:固定用シート 7:断熱シート 8:緩衝シート 9:給水有孔管 10:排水口 11:コンクリートピン 12:覆工コンクリート

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 面に平行な連続流路からなる通水層を有
    することを特徴とする土木工事用シート。
  2. 【請求項2】該土木工事用シートが、少なくとも一枚は
    凹凸を有する複数枚の構成シートを積層して構成された
    ものであることを特徴とする土木工事用シート。
  3. 【請求項3】 少なくとも一枚の構成シートが、合成樹
    脂発泡体シートであることを特徴とする請求項1記載の
    土木工事用シート。
  4. 【請求項4】 通水層の流路面積率が、該通水層の断面
    積の50%以上である請求項1記載の土木工事用シー
    ト。
  5. 【請求項5】 通水層の流路面積が、該シートの単位長
    さ当り5mm2 /cm以上である請求項1記載の土木工事用
    シート。
  6. 【請求項6】 通水層の流路が、複数独立して存在して
    おり、かつ該流路サイズが1mm2 〜100mm2 の範囲に
    ある請求項1記載の土木工事用シート。
  7. 【請求項7】 通水層の流路が、該層または該シートの
    面に対して略直角な流路壁を形成している請求項1記載
    の土木工事用シート。
  8. 【請求項8】 少なくとも一枚の構成シートが、不織布
    である請求項1記載の土木工事用シート。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の土木工事用シートを地盤
    または地山に展張し、かつ該シートの通水層に冷却水を
    通しながら、コンクリートを打設し、養生して覆工コン
    クリートを形成することを特徴とするコンクリート打設
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016199919A (ja) * 2015-04-10 2016-12-01 国立大学法人 東京大学 コンクリート養生装置
JP2017101450A (ja) * 2015-12-01 2017-06-08 シーアイ化成株式会社 防水シート及びトンネルの防水構造

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JP2016199919A (ja) * 2015-04-10 2016-12-01 国立大学法人 東京大学 コンクリート養生装置
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