JPH05194621A - ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーおよびその製造方法 - Google Patents

ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーおよびその製造方法

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JPH05194621A
JPH05194621A JP3018092A JP3018092A JPH05194621A JP H05194621 A JPH05194621 A JP H05194621A JP 3018092 A JP3018092 A JP 3018092A JP 3018092 A JP3018092 A JP 3018092A JP H05194621 A JPH05194621 A JP H05194621A
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JP
Japan
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polymerization
peroxyester
vinyl polymer
organic peroxide
formula
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JP3018092A
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English (en)
Inventor
Shuji Suyama
修治 須山
Yasushi Sugihara
靖 杉原
Hideyo Ishigaki
秀世 石垣
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NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分子末端にペルオキシエステル結合を有する
ビニルポリマーを製造する。 【構成】 一般式 【化1】 (式中、nは3〜10の整数、R3およびR4はそれぞれ
炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で示される有機
過酸化物を重合開始剤として用い、その70〜99重量
%が熱分解する条件で重合することからなるペルオキシ
エステル基含有ビニルポリマーおよびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分子末端にペルオキシ
エステル基を含有するビニルポリマーおよびその製造方
法に関する。分子末端にペルオキシエステル基を含有す
るビニルポリマーは、たとえばブロック共重合体の中間
原料に用いられ、またポリオレフィン等と混合加熱する
ことにより、該ポリオレフィン等とのグラフト共重合体
を製造することもできる。一般に、ペルオキシエステル
結合は、その熱分解の過程において、いわゆる脱炭酸を
起こすことにより、アルキルラジカルを生成することが
知られている。そのため、そのラジカルから重合を開始
されたビニルポリマーは、開始部分に官能基を有しない
ため、熱的にもまた化学的にも安定なビニルポリマーを
得ることができる。また、このアルキルラジカルは、水
素引抜き能が小さく他のアルキルラジカルと再結合しや
すいため、グラフトポリマーの生成割合が高いことも知
られている。
【0002】
【従来の技術】従来、分子末端にペルオキシエステル結
合を有するビニルポリマーの製造方法としては、米国特
許第4304882号明細書に、末端にOH基を有する
ビニルポリマーにペルオキシエステル基を有するクロロ
ホルメートを反応させる方法が開示されている。また、
特開昭55−75414号公報には、ジアシル型ポリメ
リックペルオキシドを用いてビニル単量体を重合する方
法が開示され、さらに特公昭47−14083号公報に
は、分解温度の異なる多官能ペルオキシドを用いてビニ
ル単量体を重合する方法が開示され、さらにまた特開昭
54−1386号公報には、イソプロピルクミル−t−
ブチルペルオキシドを用いてビニル単量体を重合する方
法が開示されている。
【0003】一方、本発明者らは、先に出願した特願平
3−322513号明細書において、環状構造を有する
ペルオキシケタールを重合開始剤として用い、さらに特
定の重合条件を採用してビニル単量体を重合することに
より、分子末端にペルオキシエステル結合を有するビニ
ルポリマーを得る方法を開示した。
【0004】その他、2位に置換基を有するシクロヘキ
サンのペルオキシケタールを重合開始剤として用いた例
としては、特公昭56−29681号公報に、1,1−
ジ−t−オクチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサ
ンが、エチレン系ビニル単量体の重合開始剤として有用
であることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
種のペルオキシエステル結合含有ビニルポリマーの製造
方法は、それぞれ以下に記述するような問題点を有して
いる。すなわち、米国特許第4304882号明細書の
方法は、エステル化反応等の化学反応を用いるため、原
料となるビニルポリマーは低分子量のものに限定され
る。また、このビニルポリマーはアシル結合を有するた
め、このビニルポリマーとビニル単量体とから得られる
ブロックポリマーは、その接合点にアシル結合を有し、
熱的、化学的に不安定なものとなる。また、特開昭55
−75414号公報の方法は、ジアシル型ポリメリック
ペルオキシドを用い、その熱分解温度が10時間半減期
で約62℃であるところから、重合温度が比較的低温に
限定されるという問題があった。さらに、特公昭47−
14083号公報の、分解温度の異なる多官能ペルオキ
シドを用いる方法は、その多官能ペルオキシド自体の合
成が困難で高価であり、経済的に不利であるとともに、
高温分解側のペルオキシドが重合初期から存在するため
にこれが分解し、結果的にビニルポリマー中のペルオキ
シエステル結合の量が低下するという欠点があった。さ
らにまた、特開昭54−1386号公報の、イソプロピ
ル基を有するジアルキルペルオキシドを用いる方法は、
アルキルラジカルのイソプロピル基への連鎖移動反応に
依存しており、分子末端へのペルオキシエステル結合の
付加反応の選択率が低いという問題があった。
【0006】一方、本発明者らが先に出願した特願平3
−322513号明細書の方法は、分子末端にペルオキ
シエステル結合を有するポリマーを得る方法としては有
用な方法であるが、それらに用いられるペルオキシケタ
ールは、生成するペルオキシエステルの熱分解温度に対
して比較的高い分解温度を有するため、ペルオキシケタ
ールが適当な分解率に達する間に、いくらかの生成した
ペルオキシエステルが熱分解してしまうという欠点があ
った。
【0007】その他、特公昭56−29681号公報の
方法は、通常のビニルポリマーの合成を目的としてお
り、ビニルポリマー末端にペルオキシエステル結合を有
するビニルポリマーの製造を目的とするものではなく、
またそのようなビニルポリマーの生成について何ら示唆
するところもない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
法の問題点を長期にわたって研究した結果、特定の有機
過酸化物を重合開始剤として用い、かつ特定の重合条件
で重合を行なうことによって、それらの問題点をすべて
解決したペルオキシエステル基含有ビニルポリマーおよ
びその製造方法が得られることを見いだし、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明の請求項1は、ビニ
ルポリマーの末端が一般式
【化3】 (式中、mは3〜10の整数、R1およびR2はそれぞれ
炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で示されるペル
オキシエステル基であるビニルポリマーに関し、また本
発明の請求項2は、一般式
【化4】 (式中、nは3〜10の整数、R3およびR4はそれぞれ
炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で示される有機
過酸化物を重合開始剤として用いビニル単量体を重合さ
せるに際し、該有機過酸化物の0.05mol/l濃度
におけるクメン中の熱分解速度を基準にして、その70
〜99%が熱分解する条件で重合を行なうことを特徴と
するビニルポリマーの末端に一般式化3で示されるペル
オキシエステル基を含有するビニルポリマーの製造方法
に関する。
【0009】本発明において、重合開始剤として用いら
れる特定の有機過酸化物は、たとえば下記化5のような
反応機構により重合を開始し、ペルオキシエステル基を
末端に含有するビニルポリマーを与えるものと考えられ
る。
【化5】 この化5においては、重合の結果生成する化3に相当す
るペルオキシエステル基としては、化3においてR2
CH3,m=4,R1=Rの場合について例示されてい
る。
【0010】本発明において化4によって示される有機
過酸化物としては、具体的にはたとえば、1,1−ジ−
t−ブチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサン、
1,1−ジ−t−アミルペルオキシ−2−メチルシクロ
ヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルペルオキシ−2−
メチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−オクチルペル
オキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−
ブチルペルオキシ−2−メチルシクロペンタン、1,1
−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−プロピルシクロヘキ
サン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−イソプ
ロピルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−アミルペルオ
キシ−2−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ジ−
t−ヘキシルペルオキシ−2−イソプロピルシクロヘキ
サン、1,1−ジ−t−オクチルペルオキシ−2−イソ
プロピルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペル
オキシ−2−プロピルシクロペンタン等が挙げられる。
【0011】これらの有機過酸化物の0.05mol/
l濃度のものについて、クメン中で熱分解を行ない、有
機過酸化物と中間体として生成するペルオキシエステル
との時間に対する変化量をガスクロマトグラフィーで測
定し、それぞれの熱分解パラメータを計算した。その結
果、有機過酸化物の熱分解パラメータと生成するペルオ
キシエステルの10時間半減期温度とは、それぞれ下記
表1に示すとおりであった。本発明に用いられる有機過
酸化物は、2位がアルキル基で置換されていることによ
り、有機過酸化物とその熱分解により生成するペルオキ
シエステルとの熱分解温度(10時間半減期温度)の差
が、2位にアルキル基を有しないもの(表1、No.8
参照)と比較して大きいことが特徴である。これらの有
機過酸化物の所定温度(T)(℃)における熱分解速度
定数(kd)は、頻度因子(A)および活性化エネルギ
ー(E)から次式で表わされる。 kd=Aexp(−E/1.986/(T+273))
【表1】
【0012】本発明において重合に供されるビニル単量
体としては、具体的にはたとえばスチレン;α−メチル
スチレン;アクリロニトリル;酢酸ビニル;メタクリル
酸およびメチルメタクリレート、ブチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリ
レート類;アクリル酸およびメチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等
のアクリレート類;フマル酸およびフマル酸エステル
類;マレイン酸およびマレイン酸エステル類;イタコン
酸およびイタコン酸エステル類;N−アルキルマレイミ
ド類などを挙げることができる。また、これらのビニル
単量体の混合物を用いることも可能である。
【0013】本発明に用いられる有機過酸化物の使用量
は、重合に供されるビニル単量体の種類により異なる
が、通常ビニル単量体に対し、0.002〜2重量%好
ましくは0.01〜1重量%が用いられる。0.002
重量%未満では、生成するビニルポリマー中のペルオキ
シエステル結合が少なくなり、また2重量%を越える
と、重合速度が速くなりすぎて重合温度の制御が困難に
なる。
【0014】本発明に用いられる重合方法としては、た
とえば懸濁重合、溶液重合、塊状重合等であり、さらに
はそれらを組み合わせて用いることもできる。
【0015】本発明における重合温度は、用いる有機過
酸化物の10時間半減期温度(T10)(℃)により異
なり、通常(T10−5)〜(T10+20)℃の範囲
が用いられる。重合温度が(T10−5)℃未満では、
重合速度が遅くなり経済的に不利である。また、(T1
0+20)℃を越えると、重合速度が速くなり重合熱の
制御が困難になるので好ましくない。
【0016】本発明においては、重合開始剤として使用
する有機過酸化物の0.05mol/l濃度におけるク
メン中の熱分解速度を基準にして、その70〜99%が
熱分解する条件で重合を行なう。熱分解率が70%未満
であると、ビニル単量体の重合転化率が低くなり好まし
くない。そのとき、ビニル単量体の重合転化率を高める
ため、重合開始剤の使用量を増加させることは、経済的
に不利であると共に、生成するビニルポリマー中に未分
解の環状ペルオキシケタールが多く残存し不都合であ
る。また、熱分解率が99%を越えると、生成するビニ
ルポリマーに結合したペルオキシエステルが分解する割
合が多くなり好ましくない。
【0017】本発明において、必要とされる重合時間
(A)は、上記重合温度における有機過酸化物の熱分解
速度(B)と設定される有機過酸化物の分解率(C)と
により、下式によって決定される。 A=(−ln(l−C))/B
【0018】
【発明の効果】本発明において得られるペルオキシエス
テル基含有ビニルポリマーおよびその製造方法は、特定
の重合開始剤を用い、かつ特定の重合条件で重合させる
ことによって、末端にペルオキシエステル結合を有する
ビニルポリマーを効率的に製造することができる優れた
ものである。
【0019】
【実施例、比較例】以下、実施例および比較例により本
発明を具体的に説明する。なお、これらの例において、
重合開始剤としての有機過酸化物および重合に供される
ビニル単量体の略号は以下のとおりである。 BuMC:1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メ
チルシクロヘキサン(純度95%) AmMC:1,1−ジ−t−アミルペルオキシ−2−メ
チルシクロヘキサン(純度94%) HxMC:1,1−ジ−t−ヘキシルペルオキシ−2−
メチルシクロヘキサン(純度94%) OcMC:1,1−ジ−t−オクチルペルオキシ−2−
メチルシクロヘキサン(純度92%) BuPC:1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−イ
ソプロピルシクロヘキサン(純度95%) Bu3M:1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)
製、商品名パーヘキサ3M、純度90%) Bu22:2,2−ジ−t−ブチルペルオキシブタン
(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ22、純度50
%) MMA:メチルメタクリレート
【0020】実施例1 内容量30mlのガラスアンプルに、トルエン5g、ス
チレン5gおよびBuMC0.082gの混合物を入れ
窒素ガスで置換したのち溶封し、100℃の恒温油槽に
入れて3.8時間重合を行なった(BuMCのクメン中
での熱分解率80%に相当)。重合混合物の活性酸素量
から計算したBuMCの熱分解率は78%であった。得
られた重合物溶液10gをトルエン100gで希釈し、
2000gのメタノールに注ぎ、沈殿生成したビニルポ
リマーを濾過、乾燥して、ポリスチレン4.5gを得た
(重合転化率90%)。得られたポリスチレンをトルエ
ンとメタノールとを用いてさらに2回再沈殿を行なっ
た。このポリスチレンのゲルクロマトグラフィーによる
数平均分子量は14700、活性酸素量は0.130%
であった。さらに、ポリスチレン1分子当たりのペルオ
キシエステル結合数は1.19個であった。得られたポ
リスチレンのIRチャートを図1に示す。これにより1
772cm-1 にペルオキシエステルのC=O結合吸収
を確認した。IR吸収強度から定量したC=O結合数は
ポリスチレン1分子当たり1.22個であった。また1
H−NMRチャートを図2に示す。これによりδ=1.
291ppmにt−ブチルペルオキシエステル基のメチ
ル水素を確認した。さらに、13C−NMRにより17
1.0ppmにペルオキシエステル基のカルボニル炭
素、83.2ppm、27.0ppmにt−ブチルペル
オキシ基の4級炭素と1級炭素とをそれぞれ確認した。
以上の結果から、得られたポリスチレンは、末端にペル
オキシエステル結合を有するものであることが明らかで
ある。
【0021】実施例2,3、比較例1,2 実施例1において、BuMCの添加量と重合時間とをそ
れぞれ表2に示すように変えた以外は、実施例1に準じ
て実施した。その結果、BuMCの熱分解率、重合転化
率、得られたポリスチレンの数平均分子量、活性酸素
量、1分子当たりのペルオキシエステル結合数は、表2
のとおりであった。
【表2】 表2の実施例2および3の結果から、実施例1と同様
に、ペルオキシエステル結合を末端に有するポリスチレ
ンが得られたことが分かる。また、比較例1のBuMC
が99.5%熱分解する重合条件では、ポリスチレン末
端のペルオキシエステル結合が熱分解してしまい、その
結合数が0.31個と著しく減少することが分かる。さ
らに、比較例2のBuMCの熱分解率を50%に設定し
た重合条件では、重合転化率が51%と低くなってしま
う。
【0022】実施例4 実施例1において、BuMC0.082gの代わりにB
uPC0.152gを用い、重合温度を90℃、重合時
間を2.3時間(BuPCのクメン中での熱分解率80
%に相当)に変えた以外は、実施例1に準じて実施し
た。その結果、重合転化率は98%で、得られたポリス
チレンの数平均分子量は11600、活性酸素量は0.
146%、1分子当たりのペルオキシエステル結合数は
1.06個であった。
【0023】比較例3 実施例1において、BuMC0.082gの代わりにB
u22 0.047gを用い、重合温度を110℃、重
合時間を7.0時間(Bu22のクメン中での熱分解率
80%に相当)に変えた以外は、実施例1に準じて実施
した。その結果、重合転化率は99%で、得られたポリ
スチレンの数平均分子量は28600、活性酸素量は
0.002%、1分子当たりのペルオキシエステル結合
数は0.03個であった。この結果から、環状構造を有
しないペルオキシケタールを重合開始剤として用いたと
きは、ペルオキシエステル結合を有するポリスチレンが
得られないことが分かる。
【0024】比較例4 実施例1において、BuMC0.082gの代わりにB
u3M0.030gを用い、重合時間を20.5時間
(Bu3Mのクメン中での熱分解率98%に相当)に変
えた以外は、実施例1に準じて実施した。その結果、重
合転化率は99%で、得られたポリスチレンの数平均分
子量は98500、活性酸素量は0.004%、1分子
当たりのペルオキシエステル結合数は0.25個であっ
た。この結果から、2位にアルキル基を有しない環状構
造のペルオキシケタールを重合開始剤として用いたとき
は、ペルオキシエステル結合の熱分解が比較的多く起こ
ることが分かる。
【0025】実施例5 実施例1において、スチレン5gの代わりにMMA5g
を用い、再沈殿に使用したメタノールの代わりにn−ヘ
キサンを用いた以外は、実施例1に準じて実施した。そ
の結果、重合転化率は98%で、得られたMMA重合物
の数平均分子量は13000、活性酸素量は0.120
%、1分子当たりのペルオキシエステル結合数は0.9
7個であった。
【0026】実施例6 容量500mlのステンレス製オートクレーブに、部分
けん化ポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度
2400)/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2
0℃における2%水溶液の粘度100cp)=1/1の
混合物0.2%を溶かした水溶液200mlを仕込み、
つぎにスチレン100gとBuMC0.137gとを添
加した。オートクレーブの空間部分を窒素ガスで十分に
置換したのち密栓し、1000rpmの攪拌下、100
℃で5.4時間重合させた(BuMCのクメン中での熱
分解率90%に相当)。重合後、冷却、脱水、乾燥を行
ない粒状樹脂を得た。この樹脂の5gをトルエン100
gに溶かし、2000gのメタノールに注いで再沈殿さ
せ、ポリスチレン4.90gを得た。これをさらにトル
エンとメタノールとで2回再沈殿を繰り返した。得られ
たポリスチレンの数平均分子量は133000、活性酸
素量は0.016%であった。さらに、ポリスチレン1
分子当たりのペルオキシエステル結合数は1.33個で
あった。
【0027】実施例7 実施例6において、スチレン100gの代わりに、スチ
レン80gとα−メチルスチレン20gとを用い、Bu
MC0.137gの代わりにHxMC0.600gを用
い、100℃で2.35時間重合させた(HxMCのク
メン中での熱分解率80%に相当)以外は、実施例6に
準じて実施した。その結果、重合転化率は77%で、ト
ルエンとメタノールとによる再沈殿後の共重合体の数平
均分子量は42500、活性酸素量は0.034%、1
分子当たりのペルオキシエステル結合数は0.90個で
あった。
【0028】実施例8 実施例6において、スチレン100gの代わりに、スチ
レン20gとα−メチルスチレン50gとアクリロニト
リル30gとを用い、BuMC0.137gの代わりに
OcMC0.560gを用い、90℃で3.2時間重合
させた(OcMCのクメン中での熱分解率80%に相
当)以外は、実施例6に準じて実施した。その結果、重
合転化率は97%で、トルエンとメタノールとによる再
沈殿後の共重合体の数平均分子量は33600、活性酸
素量は0.047%、1分子当たりのペルオキシエステ
ル結合数は0.99個であった。
【0029】実施例9 実施例6において、スチレン100gの代わりに、MM
A50gとスチレン50gとを用い、またBuMC0.
137gの代わりにAmMC0.420gを用いて10
0℃で2.5時間重合させ、さらに再沈殿に使用したメ
タノールの代わりにn−ヘキサンを用いた以外は、実施
例6に準じて実施した。その結果、重合転化率は90%
で、トルエンとn−ヘキサンとによる再沈殿後の共重合
体の数平均分子量は146000、活性酸素量は0.0
10%、1分子当たりのペルオキシエステル結合数は
0.91個であった。
【0030】実施例10 実施例9において、MMA50gとスチレン50gとの
代わりに、アクリロニトリル50gとα−メチルスチレ
ン50gとを用いた以外は、実施例9に準じて実施し
た。その結果、重合転化率は84%で、トルエンとn−
ヘキサンとによる再沈殿後の共重合体の数平均分子量は
47200、活性酸素量は0.041%、1分子当たり
のペルオキシエステル結合数は1.21個であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた末端にペルオキシエステル
結合を有するポリスチレンのIRチャートである。
【図2】実施例1で得られた末端にペルオキシエステル
結合を有するポリスチレンの1H−NMRチャートであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルポリマーの末端が一般式 【化1】 (式中、mは3〜10の整数、R1およびR2はそれぞれ
    炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で示されるペル
    オキシエステル基であるペルオキシエステル基含有ビニ
    ルポリマー。
  2. 【請求項2】 一般式 【化2】 (式中、nは3〜10の整数、R3およびR4はそれぞれ
    炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)で示される有機
    過酸化物を重合開始剤として用いビニル単量体を重合さ
    せるに際し、該有機過酸化物の0.05mol/l濃度
    におけるクメン中の熱分解速度を基準にして、その70
    〜99%が熱分解する条件で重合を行なうことを特徴と
    するペルオキシエステル基含有ビニルポリマーの製造方
    法。
JP3018092A 1992-01-21 1992-01-21 ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーおよびその製造方法 Pending JPH05194621A (ja)

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JP (1) JPH05194621A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012186161A (ja) * 2011-02-17 2012-09-27 Sekisui Chem Co Ltd 異方性導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法

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