JPH05193122A - 段ボールシート用印刷機 - Google Patents

段ボールシート用印刷機

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JPH05193122A
JPH05193122A JP36050191A JP36050191A JPH05193122A JP H05193122 A JPH05193122 A JP H05193122A JP 36050191 A JP36050191 A JP 36050191A JP 36050191 A JP36050191 A JP 36050191A JP H05193122 A JPH05193122 A JP H05193122A
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保之 磯輪
Takashi Hibino
隆 日比野
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Isowa Industry Co Ltd
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  • Inking, Control Or Cleaning Of Printing Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インキ替えを迅速に行なうと共に、洗浄廃液
を少なくする。 【構成】 版胴44の上方に、インキ転移ロール50と
絞りロール52とを備えるインキ転移機構48が配設さ
れる。インキ転移ロール50は、揺動機構53により版
胴44に対して接離自在に構成される。両ロール50,
52の上方に、インキ貯留部Aにインキまたは洗浄水を
選択的に供給可能な供給装置54が軸方向に移動自在に
配設される。両ロール50,52の軸方向両端に、エア
シリンダ72により昇降されて常には貯留部Aを閉成す
る堰部材74が夫々配設される。前記絞りロール52に
近接する位置に、該ロール52に接離自在にスクレーパ
80が配設され、その接触時にロール表面に付着するイ
ンキを掻き取るようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、段ボールシート用印
刷機に関し、更に詳細には、出願人の新たな開発に係る
低粘度で高度の速乾性を有するグリコール系インキを使
用することにより、段ボールシートにおける印刷オーダ
の変更等に伴なうインキ替えを迅速に行なえ、しかも廃
液量を極めて少なく抑え得る印刷機に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来の段ボールシート用印刷機は、一般に
これを2つの型式に大別することができる。すなわち図
6に示す縦通し輪転印刷機と、図7に示すフレキソ印刷
機とがこれであって、使用するインキの性状に伴い夫々
異なる構成が採用されると共に、後述の如く長所および
短所が略相反している。
【0003】先ず縦通し輪転印刷機について述べると、
これは段ボールシートが、その段と直角をなす縦長方向
に通されるのでこの名がある。しかし現在では、段ボー
ルシートを横通しして印刷すると共に、スロッティング
等の工程も併せて実施するプリンタ・スロッタに広く採
用されており、業界ではプリスロ印刷機と称しているの
で、以下この通称に従うものとする。このプリスロ印刷
機は、粘度の高いグリコール系インキを使用し、該イン
キを多くのゴムロールにより練って均一にしてから、版
胴に装着した印版に転移させることを内容としている。
例えば図6は、プリスロ印刷機の各種ロール群を示し、
印版10を装着した版胴12と、該版胴12に対向配置
した圧胴14との間に、段ボールシート16が通されて
適宜の印刷がなされる。またインキ溜め20中のインキ
は、呼出しロール22,仲介ロール24および一連のト
ランスファーロール群18を介して、前記印版10に転
移される。
【0004】前述したプリスロ印刷機には、固有の長所
と短所とがあり、これを列挙すれば以下の通りである。
そしてこれら長所および短所は、基本的に高粘度のグリ
コール系インキを使用することに起因していると云って
よい。 〈長所〉 (a) シート表面に盛り上げた形で印刷するため、印刷
の仕上りに光沢がある。( b) 印版の必要箇所にだけインキを供給すればよいの
で、インキ消費量が少なくて済む(インキは循環させて
いない)。 (c) 色替えに際し、ロール上のインキは掻き取るだけ
で除去される。従って短時間でオーダチェンジができ、
多種少量の小ロット印刷に対応し得る。また後述のフレ
キソ印刷とは異なり、洗浄廃液は殆ど出ないので、コス
ト高となる廃液処理設備を設ける必要がない。 〈短所〉 (a) 近年のグリコール系インキは、速乾性のものが主
流となっており、最近は更にその程度につき改良がなさ
れている。しかし後述のフレキソ印刷に比べると、印刷
後の乾燥に未だかなりの時間を要する。従って、後工程
におけるダイカッタやフォルダグルワ等に直結し得な
い。 (b) 高粘度のインキを均一に練る必要があるので、イ
ンキ転移のためのロールが多段化して機構が複雑にな
る。またロールが摩耗した場合は、各ロールの間隔を調
整する煩雑な作業を必要とする。 (c) インキ供給時には、シートへのインキ転移量が多
いため濃く印刷され、インキが消費されるにつれシート
へのインキ転移量が減少して薄く印刷され、従って印刷
の濃淡ムラを生じ易い。このためオペレータは、色の濃
さ・薄さを常に監視し、色が薄くなった時点でインキを
供給する等の煩雑な作業を必要とする。
【0005】次にフレキソ印刷機は、プリスロ印刷機と
は異なり流動性に富む低粘度の水性インキを使用するも
のであって、インキ乾燥が極めて速いという特徴を有し
ている。例えば図7は、フレキソ印刷機の各種ロール群
を概略的に示し、印版10を装着した版胴12と、該版
胴12に対向配置した圧胴14との間に、段ボールシー
ト16が通されて適宜の印刷がなされる。また版胴12
に近接して、アニロックスロール26およびインキロー
ル28が回転自在に配設され、両ロール26,28の間
に供給されたインキは、版胴12の印版10にアニロッ
クスロール26を介して転移される。なおフレキソイン
キは高度に速乾性であるため、前述のプリスロ印刷とは
異なり、常に循環させて乾燥固化を防止する必要があ
る。このため図8に示すように、タンク30中のインキ
は、ポンプ32および供給管34を介して前記両ロール
26,28の間に供給すると共に、ここに滞留したイン
キは、両ロール26,28の両端部から堰止部36,36
および回収管38を介して前記タンク30に回収する循
環機構が採用されている。
【0006】前述したフレキソ印刷機の長所と短所とを
列挙すれば、以下の通りである。これらの長所および短
所も、使用するインキの性状、すなわち低粘度で高度に
速乾性である点に起因している。 〈長所〉 (a) 速乾性のインキを使用するため、印刷後にダイカ
ッタやフォルダグルワ等の次工程へ直ちに送ることがで
きる。 (b) インキはアニロックスロールおよびインキロール
の間全体に行き渡っているので、印刷時に幅方向の色ム
ラを生じない。従ってオペレータは、印刷状態を常に監
視する必要がない。 (c) インキの転移機構が極めて簡単である。 〈短所〉 (a) インキを常に循環させるシステムを採用している
ので、色替えの際は多量の水でロールおよび循環系を洗
浄する必要がある。従って、インキの完全回収は無理で
かなりの損失を生ずると共に、公害防止対策の見地から
洗浄廃液の処理設備が必要となってコスト高となる。 (b) 色替えに時間を要するため、多種少量の小ロット
印刷には不適である。 (c) プリスロ印刷に比べると光沢がない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた如く、プ
リスロ印刷機およびフレキソ印刷機は、その使用するイ
ンキの性状に応じて、殆ど相反し合う長所と短所とを夫
々有している。そして業界では、前述したフレキソ印刷
機の長所が着目され、プリスロ印刷機からフレキソ印刷
機への転換が広く行なわれるに至っている。すなわちフ
レキソ印刷機には固有の欠点はあるものの、それを考慮
に入れても、プリスロ印刷機より導入のメリットがあ
る、と業界で認知された結果と云ってよい。
【0008】ところで最近の業界は、多品種かつ少量の
段ボールシートを加工する小ロット対応に迫られてお
り、その傾向は年を追って顕著なものとなっている。こ
れを印刷機に関して考察すると、多種・少量の段ボール
シートの印刷に対応するために、限られた時間内で色替
えを行なう必要があることを意味する。しかるに前記小
ロットの印刷に伴う頻繁なオーダ変更の要請に対して
は、先にフレキソ印刷機の短所で述べた如く、色替えに
時間を要する対応が不充分である。また、洗浄廃液を処
理する問題も内在している。
【0009】このような小ロットの印刷に対しては、色
替え時間が短いことから、前述したプリスロ印刷機が好
適に使用可能である。しかしプリスロ印刷機は、印刷状
態を最適に維持するためオペレータに経験と勘が必要と
され、また印刷後の乾燥に時間を要し後工程に直結しな
い等、先に述べた欠点を有している。従ってユーザー
は、最近増大している多種・少量の小ロット印刷に対し
て、前記プリスロ印刷機を必ずしも満足して使用してい
るものではなく、フレキソ印刷よりは色替え時間が短い
から、という消極的な理由で該プリスロ印刷機を採用し
ているに過ぎない。
【0010】逆に云えば、色替え時間が短縮されて小ロ
ット印刷への対応が充分可能で、印刷中はオペレータに
よる常時監視を必要とせず、しかも印刷後は後工程に直
結し得る機能を備えた印刷機に対するユーザーの旺盛な
潜在的需要がある訳であるが、未だ実現されていないの
が実情である。このような、謂わばプリスロおよびフレ
キソ印刷の各長所を備えた印刷機を実用化するために
は、前記の仕様を満たすに適したインキの開発がキーポ
イントとなる(これは、先に述べた両タイプの印刷機が
夫々使用されるインキの性状に依存していたのと同様で
ある)。この点に関して出願人は、前述のユーザーサイ
ドでの潜在需要に応えるべくインキメーカーとタイアッ
プし、インキ自体の改良から根本的に取り組んだ結果、
フレキソインキに近い低粘度と速乾性とを有するグリコ
ール系のインキを開発するのに成功した。
【0011】しかし、この新開発に係るインキを種々試
験した結果、在来のプリスロ印刷機では、該インキの特
性を最大限に引出し得ないことが判明した。またフレキ
ソ印刷機で該インキを使用し得なくはないが、このイン
キは本来のフレキソインキ程に低粘度かつ速乾性という
訳ではないので、インキを循環させる必要はない。従っ
てフレキソ印刷機に特有のインキ循環機構を設ける意味
がなく、また色替えに際しても、洗浄時間を要して小ロ
ット対応が図られず、インキの無駄を生ずることにな
る。既に述べた如く夫々の型式の印刷機は、高粘度のグ
リコール系インキおよび低粘度の水性インキの各特性を
発揮させる構造を採用している訳であるから、これは当
然のことでもある。
【0012】そこで、ユーザーに段ボールシート用印刷
機を提供している出願人は、この新開発に係るインキの
特性を最大限に引出し得る新たな構想に係る印刷機につ
き、発明「段ボールシートへの印刷方法および装置」とし
て出願した。先の出願に係る印刷装置では、印版にイン
キを転移する機構および色替えに際しインキの洗浄を行
なう新たな機構を採用することにより、印刷運転時のイ
ンキ消費量が少なくて済むと共に、印刷オーダの変更等
に伴なうインキ替えを迅速に行なうことができ、しかも
後工程に直結することができて、鮮明で美しい印刷を段
ボールシートに施すことができるようにしたものであ
る。但し、先の出願では、新開発に係るインキの特性を
最大限に引出し得る複数の実施例を包含する基本構成を
提案したものであり、各実施例において奏する効果のポ
イントは異なるものであった。また前記印刷装置を実用
化する際には、ユーザーが最も望む効果を満すと共に、
装置を導入するに際して生ずる諸条件(例えば設置スペ
ースやコスト等)をクリアすることが必要となり、出願
時点では提案した何れの実施例が最適であるかは判明し
ていなかった。
【0013】
【発明の目的】この発明は、新開発に係るインキの特性
を最大限に引出し得る印刷機を実用化するに際し、殊に
印刷オーダの変更等に伴なう作業に着目して、インキ替
えを迅速に行ない得ると共に、洗浄廃液を極めて少なく
することができ、更に印刷作業性にも優れている印刷機
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本発明は、印版を装着した版胴
と、この版胴に対向配置した圧胴とを備え、前記印版に
インキを転移させると共に、相互に反対方向に回転する
前記版胴と圧胴との間に段ボールシートを通過させて、
該シートに所要の印刷を行なうよう構成した段ボールシ
ート用印刷機において、前記版胴に対し近接・離間自在
に配設され、近接時には該版胴に装着した印版と接触し
て回転するインキ転移ロールと、このインキ転移ロール
に近接位置し、該ロールのインキ量の調整を行なう調節
部材と、前記インキ転移ロールおよび調節部材の上方に
配設され、ロールと調節部材との間に画成されるインキ
貯留部に低粘度で高度に速乾性のインキまたは洗浄液を
選択供給する供給装置と、前記インキ転移ロールおよび
調節部材の長手方向両端部近傍に配設され、前記インキ
貯留部における長手方向両端部からのインキや洗浄液の
排出を規制および規制解除を選択的に行なう規制手段と
から構成したことを特徴とする。
【0015】また前記課題を克服し、所期の目的を達成
するため本願の第2の発明は、印版を装着した版胴と、
この版胴に対向配置した圧胴とを備え、前記印版にイン
キを転移させると共に、相互に反対方向に回転する前記
版胴と圧胴との間に段ボールシートを通過させて、該シ
ートに所要の印刷を行なうよう構成した段ボールシート
用印刷機において、前記版胴に対し近接・離間自在に配
設され、近接時には該版胴に装着した印版と接触して回
転するインキ転移ロールと、このインキ転移ロールに運
転中は常に接触して回転し、インキ量の絞り調整を行な
う絞りロールと、これらインキ転移ロールおよび絞りロ
ールの上方に配設され、両ロールの間に画成されるイン
キ貯留部に低粘度で高度に速乾性のインキまたは洗浄液
を選択供給する供給装置と、前記インキ転移ロールおよ
び絞りロールの軸方向両端部に接離自在に配置され、前
記インキ貯留部における長手方向両端部の閉成および開
放を選択的に行なう堰部材と、前記絞りロールに対して
接離自在に配設され、接触時に該ロールに転移している
インキの掻き取り除去を行なうスクレーパとから構成し
たことを特徴とする。
【0016】
【実施例】次に、本発明に係る段ボールシート用印刷機
につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しなが
ら以下説明する。
【0017】
【第1実施例について】図1は、第1実施例に係る印刷
機の概略側面図であって、段ボールシートへの印刷状態
で示し、また図2は、同印刷機の印刷終了後におけるイ
ンキ洗浄状態を示す概略側面図である。図示の印刷機4
0は、印版42が着脱自在に装着される版胴44と、段
ボールシート43のパスラインを挟む下方に対向配置し
た圧胴46とを備えていて、これら版胴44および圧胴
46は相互に反対方向への回転がなされる。
【0018】前記版胴44の上方には、印版42にイン
キを転移させるインキ転移機構48が配設されている。
このインキ転移機構48は、供給されたインキを印版4
2に直接転移させるインキ転移ロール50と、該ロール
50に圧接されてインキ量の絞り調整を行なう絞りロー
ル52と、絞りロール52の回転軸を中心としてインキ
転移ロール50を所要の角度範囲で変位させ得る揺動機
構53とから基本的に構成されている。そして該揺動機
構53を選択的に作動させることにより、後述する如く
該インキ転移ロール50を、前記印版42に接触させ
てインキを該印版42に転移させるインキ転移位置と、
前記印版42から離間してインキ転移不能状態とする
インキ洗浄位置とに変位させ得るものである。すなわち
インキ転移ロール50は、前記版胴44に対し近接・離
間自在に配設され、近接時には該版胴44に装着した印
版42に接触して回転可能となっている。このインキ転
移ロール50の表面には、微細な窪みを所要のパターン
で凹設したアニロックスが形成され、これら微細窪み
は、一定量のインキを溜めると共にロール回転時のイン
キ飛散を防止するべく機能している。なおインキ転移ロ
ール50には鉄系金属材質が採用されるが、金属ロール
の表面にセラミックス被膜を爆発溶射等の手段により形
成し、このセラミックス被膜にアニロックスを彫刻する
ようにしてもよい。更に、このインキ転移ロール50と
して、アニロックスの彫刻を施してない鉄ロール(メッ
キだけを施したもの)や、単なるゴムロールも好適に使
用可能である。
【0019】前記インキ転移ロール50に隣接して配設
される絞りロール52は、インキ転移ロール50と運転
中は常に接触すると共に、該ロール50と同速若しくは
低速で回転して、インキ転移ロール50の表面における
余剰インキの絞り調整を行なうべく機能する。この絞り
ロール52は、ゴム等の柔軟な材質のものが使用され、
その硬度はロールの長短に応じ、例えばショアー硬度5
0〜75度の範囲内で適宜選択される。
【0020】前記インキ転移ロール50および絞りロー
ル52を備えるインキ転移機構48において、絞りロー
ル52の回転軸を中心として、前記インキ転移ロール5
0を所要角度範囲で変位させ得る揺動機構53が設けら
れている。すなわち、図示しない機枠に回転自在に配設
した絞りロール52の両軸端部に、支持ブラケット6
2,62(一方のみを図示)が回転自在に枢支され、該支
持ブラケット62,62間にインキ転移ロール50が回
転自在に枢支されている。支持ブラケット62における
インキ転移ロール50が枢支される側の上端部に、保持
部材64が配設されると共に、機枠に回転自在に枢支し
た切換え軸66に偏心的に配設した対応の偏心輪68
が、各保持部材64に回転自在に枢支してある。また切
換え軸66は、図示しないモータにより回転駆動され
る。従って、モータを付勢して偏心輪68,68を所定
中心角で回動させることにより、インキ転移ロール50
を、図1に示す如く、印版42に接触させてインキの
転移を行なうインキ転移位置と、図2に示す如く、印
版42から離間してインキの転移を不能とするインキ洗
浄位置とを選択し得るものである。また両方のロール5
0,52に異なる回転を与える機構については、それ自
体は公知であるので説明は省略する。
【0021】前記インキ転移ロール50および絞りロー
ル52の上方には、両ロール50,52を圧接させた際
に、これら両ロールの長手方向の接触領域にインキ貯留
部Aを画成し得るようになっている。そしてこのインキ
貯留部Aにインキまたは洗浄液を選択的に供給する供給
装置54が、前記両ロール50,52の上方に配設され
ている。なお、印刷時のインキの供給量が少な過ぎる
と、印刷面にカスレや抜けを生ずる。そこで図2に示す
如くこの供給装置54は、インキ供給量を印刷物の図柄
に合わせて、必要個所に重点的にインキを供給し得るよ
うになっている。すなわち、前記両ロール50,52と
水平に設けたガイドレール56に、所定量のインキが貯
留されるヘッド58がロール50,52の軸方向に走行
可能に載架され、このヘッド58から延出させたインキ
供給管60は、その開口部を前記インキ貯留部Aに臨ま
せている。従ってこの供給管60からのインキは、イン
キ転移ロール50と絞りロール52との間に供給され、
そのロール軸方向に貯留される。但しこの印刷機40に
使用されるインキは、先に述べた如く、出願人により新
たに開発された低粘度かつ高度に速乾性のグリコール系
インキであって、フレキソ印刷機の如くインキ循環させ
る必要はない。
【0022】また前記供給装置54には、洗浄液供給管
(図示せず)が配設され、該洗浄液供給管の開口部はイン
キ貯留部Aに臨んでいる。この洗浄液供給管には、ヘッ
ド58をガイドレール56に沿って走行させる駆動手段
の近傍に配置した洗浄液タンクにパイプ(何れも図示せ
ず)を介して接続されており、該タンクに貯留された洗
浄液は、圧縮空気により供給管に圧送されるようになっ
ている。すなわち、供給装置54は、その印刷運転時に
は前記ガイドレール56に沿って水平方行に走行し、イ
ンキ供給管60を介して前述のインキ貯留部Aにインキ
を供給する。また段ボールシートにおける印刷オーダの
変更等に伴なう色替えに際しては、前記インキ貯留部A
に図示しない洗浄液供給管を介して、洗浄液を供給する
よう構成されている。
【0023】前記支持ブラケット62には、図1に示す
如く、支持部材70を介してエアシリンダ72が倒立配
置され、該エアシリンダ72のピストンロッド72aに
板状の堰部材74が配設されている。この堰部材74
は、図3に示す如く、印刷運転時にエアシリンダ72の
付勢により下降される。そして該堰部材74を、インキ
転移ロール50と絞りロール52の軸方向端部に密着さ
せることによって、両ロール50,52の間に画成され
るインキ貯留部Aを閉成し、前記供給装置54から供給
されるインキや洗浄液を該貯留部Aに貯留し得るように
なっている(図1参照)。またインキ洗浄に際しては、該
堰部材74はエアシリンダ72の逆付勢により上昇して
前記インキ貯留部Aを開放し、該貯留部Aに残留してい
るインキを洗い流した洗浄廃液を長手方向の両端部から
排出し得るよう構成される(図2参照)。なおインキ転移
ロール50および絞りロール52の軸方向両端部より下
方に樋部材76が配設され、前記堰部材74,74の開
放動作によりインキ貯留部Aから流出するインキ洗浄液
をこの樋部材76で受けて、後述するインキパン78に
回収するようになっている。
【0024】前記絞りロール52に近接した略接線位置
には、オーダ変更等による色替えに際し、インキの洗浄
を行なうための長尺のブレード状板体からなるスクレー
パ80が配設されている。このスクレーパ80は、絞り
ロール52の回転方向に対し逆らう方向に、その先端を
接線方向に沿って指向させており、適宜のモータ82に
より正逆回転されてロール表面に接離自在となってい
る。そしてインキの洗浄に際しては、インキ転移機構4
8に関連して設けた前記揺動機構53を作動させ、絞り
ロール52の回転軸を中心として前記インキ転移ロール
50を、図2に示す如く反時計方向に変位させることに
より、印版42から離間するインキ洗浄位置に臨ませ
る。次いで、モータ82を付勢してスクレーパ80を、
絞りロール52に接触させることにより、該ロール52
に転移しているインキが掻き上げ除去される。この除去
されたインキは、スクレーパ80の下方に設けたインキ
パン78に回収される。またインキパン78には、廃液
タンク(図示せず)に連通する廃液管84が接続され、該
インキパン78に回収された廃液は所要部位に設けた廃
液タンクに集められる。
【0025】前記スクレーパ80は、ゴム等の柔軟な材
料を材質とする前記絞りロール52の硬度より低い硬度
の材料(例えば硬度の低いゴム板等)が好適に使用され、
該スクレーパ80を絞りロール52に当接してインキを
掻き取る際に、絞りロール52が損傷するのを防止する
よう設定される。なお、スクレーパ80全体を軟質の材
料で構成する必要は必ずしもなく、該スクレーパ80の
先端に別途軟質材料を設けるようにしてもよい。また使
用するインキの質によっては、スクレーパ80の絞りロ
ール52と当接する部位を、絞りロール52の硬度と同
等または硬度の高い材料を使用するようにしてもよい。
更に図示例のスクレーパ80は、その先端を絞りロール
52の回転方向に対し逆らう方向に指向させてあるが、
これに限られるものではない。逆に該スクレーパ80
を、絞りロール52の回転方向に対し順方向に指向させ
た状態で、該ロール52の表面に対し接離自在に構成し
てもよい。更に、該スクレーパ80を絞りロール52に
対して当接および離間させる手段として、エアシリンダ
等のリニアアクチュエータも使用可能である。
【0026】
【第1実施例の作用】次に、前述した第1実施例に係る
段ボールシート用印刷機の作用につき説明する。印刷の
準備作業として、前述した揺動機構53を作動させ、絞
りロール52の回転軸を中心としてインキ転移ロール5
0を時計方向に変位させる。これにより図1に示すよう
に、インキ転移機構48のインキ転移ロール50は版
胴44(印版42)に接触させられる。またスクレーパ
80も、絞りロール52から離間している。更に、両
ロール50,52の軸方向の両端部に設けた堰部材74,
74は下降位置にあって、前記インキ貯留部における長
手方向の両端部を閉成している。そして回転中のインキ
転移ロール50と絞りロール52との間に、前記ヘッド
58から延出する供給管60を介してインキが供給され
る。該インキは、両ロール50,52の軸端に臨む堰部
材74,74に規制された状態で貯留される。
【0027】これにより版胴44に装着した印版42の
表面には、インキ転移ロール50を介して、適正量のイ
ンキが転移される。この状態の下で、図示しない上流側
のストッカより、段ボールシート43を1枚づつ版胴4
4と圧胴46との間に供給することにより、該シート4
3には所要の印刷が施される。インキは速乾性であるか
ら、印刷後は直ちに後工程のダイカッタやフォルダグル
ワ等に送り込むことができる。またインキはインキ転移
ロール50と絞りロール52の間全体に行き渡っている
ので、印刷時に幅方向の色ムラを生ずることがなく、従
ってオペレータは印刷状態を常に監視する必要がない。
【0028】印刷オーダの変更等に伴なう色替えのため
に、使用するインキを替える場合は、以下の手順でイン
キ洗浄がなされる。先ず、ヘッド58における供給管6
0からのインキ供給が停止させられる。また前記揺動機
構53を逆作動させて、絞りロール52の回転軸を中心
としてインキ転移ロール50を反時計方向に変位させる
ことにより、図2に示す如く、インキ転移ロール50は
版胴44(印版42)から離間させられる。そこで前記モ
ータ82を付勢して、スクレーパ80を絞りロール52
に適正圧で接触させる。そしてインキ転移ロール50お
よび絞りロール52を同一周速で空回転させると、絞り
ロール52の表面に付着しているインキは、前記スクレ
ーパ80により掻き上げ除去され、該インキはインキパ
ン78に回収される。
【0029】前記スクレーパ80によりインキ貯留部に
残留するインキの殆どは除去されるが、前記インキ転移
ロール50のアニロックス内には微量のインキが残留し
ている。そこで、スクレーパ80を絞りロール52から
離間させ、前記供給装置54に配設した洗浄液供給管を
介して、両ロール50,52間に画成される前記インキ
貯留部Aに洗浄液を供給する。この貯留部Aは、前記堰
部材74,74によって長手方向の両端部を閉成されて
いるので、洗浄液は軸方向の全体に行き亘った状態で貯
留されることとなる。この状態で所定時間だけ洗浄運転
を行なった後、堰部材74,74を上昇させてインキ貯
留部Aを開放すれば、インキ転移ロール50に残留する
インキを洗い流した洗浄廃液は、該貯留部Aの両端から
前記樋部材76に排出される。更にこの洗浄廃液は、前
記樋部材76よりインキパン78に供給され、ここから
図示しない廃液タンクに回収される。
【0030】なお、洗浄時間を更に短縮するために、イ
ンキ貯留部Aに貯っている洗浄廃液を、ロール端部に向
けて積極的に移動させて排出するようにしてもよい。例
えば、前記ヘッド58に、圧縮空気の吐出口をインキ貯
留部Aを指向する状態で配設し、前記堰部材74,74
を上昇させて貯留部Aを開放した際に、吐出口から圧縮
空気を吹出しつつヘッド58をロール50,52の軸方
向に移動させる。これにより、インキ貯留部Aに貯って
いる洗浄廃液は、圧縮空気により積極的にロール端部に
向けて移動し、短時間での排出を行ない得る。
【0031】このようにオーダ変更に伴う色替えに際
し、スクレーパ80により大部分のインキを掻き取った
後に極めて少量の洗浄液を使用するだけで、インキ転移
ロール50に付着するインキを確実に除去し得る。すな
わち、短時間でオーダチェンジができて多種少量の小ロ
ット印刷に好適に対応することができると共に、インキ
の節約が図られる。またインキ洗浄に使用される洗浄液
の量は、従来のフレキソ印刷機においては約60リット
ル程度必要であったのに対し、新開発のインキを使用し
た場合は200cc程度で済み、洗浄廃液を極めて少な
く抑えることができ、公害防止に大きく貢献することが
できる。
【0032】なお、インキ洗浄に際しては、前述した方
法の他に、前記洗浄廃液を回収した後、前記スクレー
パ80を再び絞りロール52に当接し、該ロール52に
付着する水分を除去するようにしてもよい。また、前
記スクレーパ80により絞りロール52のインキを掻き
取った後、該スクレーパ80をロール52に当接した状
態のまま、インキ転移ロール50と絞りロール52の間
に洗浄液を供給することにより洗浄を行なうようにして
もよい。の場合は、インキ転移ロール50に残留する
インキの殆どをスクレーパ80を介して除去することが
できるので、両ロール50,52の間に供給する洗浄液
は極めて小量で済み、前記樋部材76を設けなくてもよ
い。
【0033】
【第2実施例について】図4は、第2実施例に係る印刷
機を概略側面で示すものであって、版胴44と圧胴46
およびインキ供給装置54の基本構成は、図1〜図3に
関連して説明したところと同一である。但し、印版42
にインキを転移する機構48におけるインキ転移ロール
50のインキ量を調節する機構が相違している。すなわ
ち、インキ転移ロール50が回転自在に枢支される一対
の支持ブラケット62,62に、長尺板体からなる調節
板110が転移ロール50の回転方向に対して順方向
に、その先端を接線方向に沿って指向させている。この
調節板110はモータ112に接続され、該モータ11
2の正逆付勢により、その先端とロール表面との間隔を
調節自在に構成されて、インキ転移ロール50の表面に
おけるインキ量を調節するべく機能する。なお、モータ
112に代えてエアシリンダ等のリニアアクチュエータ
により、調節板110とインキ転移ロール50との間隔
調節を行なうようにしてもよい。
【0034】また、インキ転移ロール50および調節板
110との上方には、両部材の長手方向にインキ貯留部
Aが画成されると共に、該貯留部Aの長手方向両端は、
前述した堰部材74,74により閉成および開放を選択
的に行なうよう構成されている。なお、インキ貯留部A
における長手方向両端の閉成および開放を、エアカーテ
ンにより行なうようにしてもよい。例えば、送風源に接
続する一対の空気吹付管を、インキ貯留部Aの両端部近
傍の上方に臨ませ、印刷機の印刷運転時には、空気吹付
管から貯留部Aに向けて空気を吹出すことによりインキ
を堰止める。そして、オーダ変更等に伴なう色替えに際
しては、空気吹付管からの空気吹出しを停止することに
より、インキ貯留部Aの残留インキや洗浄廃液を端部か
ら樋部材76に排出することができる。
【0035】前記インキ転移ロール50に近接した位置
に、長尺板体からなるスクレーパ80が配設され、この
スクレーパ80は、流体圧シリンダ114に接続してロ
ール表面に接離自在となっている。そして図5に示すよ
うに、該スクレーパ80がインキ転移ロール50に接触
することにより、該ロール50に転移したインキの除去
がなされる。除去されたインキは、スクレーパ80の下
方に設けたインキパン78に回収されるようになってい
る。またスクレーパ80の駆動源としては、第1実施例
と同様にモータであってもよい。
【0036】なお、前記インキ転移ロール50を、印
版42に接触させてインキの転移を行なうインキ転移位
置と、印版42から離間してインキの転移を不能とす
るインキ洗浄位置とに変位させる揺動機構53は、基本
的には第1実施例と同一である。但し、各支持ブラケッ
ト62は、外側(対向する他方の支持ブラケット62か
ら離間する側)に突設した突出軸116を介して機枠に
回転自在に枢支されている。そして、前記切換え軸66
を回転させることにより、支持ブラケット62,62は
突出軸116,116を中心として回動し、インキ転移
ロール50をインキ転移位置(図4)とインキ洗浄位置
(図5)とに変位させるよう構成される。
【0037】
【第2実施例の作用】次に、前述した第2実施例に係る
段ボールシート用印刷機の作用につき説明する。印刷の
準備作業として、図4に示すように、インキ転移ロー
ル50を版胴44(印版42)に接触させると共に、ス
クレーパ80をインキ転移ロール50から離間させる。
また、調節板110の先端とインキ転移ロール50の
表面との隙間を、前記モータ112を付勢して適正な値
に調節する。更に、堰部材74,74は下降位置にあ
って、前記インキ貯留部Aにおける長手方向の両端部を
閉成している。そして調節板110と回転中のインキ転
移ロール50の間に、前記ヘッド58から延出する供給
管60を介してインキを供給すると、該インキは堰部材
74,74に規制された状態でインキ貯留部Aに貯留さ
れる。
【0038】これにより版胴44に装着した印版42の
表面には、インキ転移ロール50を介して、適正量のイ
ンキが転移される。この状態の下で、図示しない上流側
のストッカより、段ボールシート43を1枚づつ版胴4
4と圧胴46との間に供給することにより、該シート4
3には所要の印刷が施される。インキは速乾性であるか
ら、印刷後は直ちに後工程のダイカッタやフォルダグル
ワ等に送り込むことができる。またインキはインキ転移
ロール50と絞りロール52の間全体に行き渡っている
ので、印刷時に幅方向の色ムラを生ずることがなく、従
ってオペレータは印刷状態を常に監視する必要がない。
【0039】印刷オーダの変更等に伴なう色替えのため
に、使用するインキを替える場合は、以下の手順でイン
キ洗浄がなされる。先ず、ヘッド58における供給管6
0からのインキ供給が停止させられる。また前記揺動機
構53を逆作動させて、前記突出軸116,116を中
心としてインキ転移ロール50を反時計方向に変位させ
ることにより、図5に示す如く、インキ転移ロール50
は版胴44(印版42)から離間させられる。そこで前記
流体圧シリンダ114を付勢して、スクレーパ80をイ
ンキ転移ロール50に適正圧で接触させる。そしてイン
キ転移ロール50と調節板110との間隔を拡げると、
インキ貯留部Aに残留するインキの殆どは転移ロール5
0の表面に付着し、該インキはスクレーパ80により掻
き上げ除去されてインキパン78に回収される。
【0040】次に、スクレーパ80をインキ転移ロール
50から離間させ、前記供給装置54に配設した洗浄液
供給管を介して、前記インキ貯留部Aに洗浄液を供給す
る。この貯留部Aは、前記堰部材74,74によって長
手方向の両端部を閉成されているので、洗浄液は軸方向
の全体に行き亘った状態で貯留されることとなる。この
状態で所定時間だけ洗浄運転を行なった後、堰部材7
4,74を上昇させてインキ貯留部Aを開放すれば、イ
ンキ転移ロール50に残留するインキを洗い流した洗浄
廃液は、該貯留部Aの両端から前記樋部材76に排出さ
れる。更にこの洗浄廃液は、前記樋部材76よりインキ
パン78に供給され、ここから図示しない廃液タンクに
回収される。
【0041】なお、インキ洗浄方法としては、洗浄廃
液を回収した後、スクレーパ80によりインキ転移ロー
ル50に付着する水分を除去するようにしたり、スク
レーパ80によりインキ転移ロール50のインキを掻き
取った後、該スクレーパ80をロール50に当接した状
態のまま、インキ貯留部Aに洗浄液を供給することによ
り洗浄を行なうようにしてもよい。
【0042】第1および第2実施例では、樋部材に排出
された洗浄廃液をインキパンを介して廃液タンクに回収
するようにしたが、本願はこれに限定されるものでな
く、樋部材に排出された洗浄廃液を、直接廃液タンクに
導くよう構成するようにしてもよい。また、インキまた
は洗浄液を選択供給する供給装置は、実施例の如く1基
に限定されるものでなく、複数の供給装置を直列に配設
してもよい。この場合は、各供給装置は短い領域を移動
すればよいので、インキ貯留部の必要個所に迅速にイン
キを供給することができる。更に、1基の供給装置を定
位置に固定的に配置したり、複数の供給装置をインキ貯
留部の長手方向に所定間隔で固定配置するようにしても
よい。
【0043】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る段ボ
ールシート用印刷機は、新たに開発された低粘度かつ速
乾性のグリコール系インキを使用することにより、印刷
後に後工程に直ちに送り込むことができ、また色ムラを
生ずることがないので、オペレータは印刷状態を常に監
視する必要がない。更に、インキを常時循環させる必要
がないために機構が簡素化され、しかも印版の必要箇所
にだけインキを供給し得るので、インキ消費量が少なく
て済む利点がある。また印刷オーダの変更等に伴なう色
替え時には、ロールに付着しているインキを掻き取った
後、極めて少量の洗浄液を使用するだけで前オーダのイ
ンキを確実に除去し得るので、短時間でオーダチェンジ
ができ、多種少量の小ロット印刷に好適に対応すること
ができる。しかも前記の如くインキの常時循環は必要と
しないために洗浄廃液は極めて少量となり、インキの大
幅な節約が図られると共に公害防止の見地からも極めて
有利である。また、インキの練り機構や循環機構を必要
としないので、省スペースと低コストとを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る印刷機の概略側面図
であって、段ボールシートへの印刷状態で示すものであ
る。
【図2】図1に示す印刷機において、印刷終了後におけ
るインキ洗浄状態を示す概略側面図である。
【図3】図1に示す印刷機において、インキ転移機構の
概略構成を示す要部斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る印刷機の概略側面図
であって、段ボールシートへの印刷状態で示すものであ
る。
【図5】図4に示す印刷機において、印刷終了後におけ
るインキ洗浄状態を示す概略側面図である。
【図6】従来技術に係るプリスロ印刷機において、その
各種ロール配列を概略的に示す側面図である。
【図7】従来技術に係るフレキソ印刷機の各種ロール配
列を、概略的に示す側面図である。
【図8】図7に示すフレキソ印刷機におけるインキ循環
供給系の概略機構を示す斜視図である。
【符号の説明】
42 印版 43 段ボールシート 44 版胴 46 圧胴 50 インキ転移ロール 52 絞りロール 54 供給装置 72 エアシリンダ 74 堰部材 80 スクレーパ 110 調節板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】また前記課題を克服し、所期の目的を達成
するため本願の第2の発明は、印版を装着した版胴と、
この版胴に対向配置した圧胴とを備え、前記印版にイン
キを転移させると共に、相互に反対方向に回転する前記
版胴と圧胴との間に段ボールシートを通過させて、該シ
ートに所要の印刷を行なうよう構成した段ボールシート
用印刷機において、前記版胴に対し近接・離間自在に配
設され、近接時には該版胴に装着した印版と接触して回
転するインキ転移ロールと、このインキ転移ロールに運
転中は常に接触して回転し、インキ量の絞り調整を行な
う絞りロールと、これらインキ転移ロールおよび絞りロ
ールの上方に配設され、両ロールの間に画成されるイン
キ貯留部に低粘度で高度に速乾性のインキまたは洗浄液
を選択供給する供給装置と、前記インキ転移ロールおよ
び絞りロールの軸方向両端部に接離自在に配置され、前
記インキ貯留部における長手方向両端部の閉成および開
放を選択的に行なう堰部材と、前記絞りロールに対して
接離自在に配設され、接触時に該ロールに転移している
インキまたはインキ洗浄液の掻き取り除去を行なうスク
レーパとから構成したことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】前記スクレーパ80によりインキ貯留部に
残留するインキの殆どは除去されるが、前記インキ転移
ロール50のアニロックス内には微量のインキが残留し
ている。そこで、スクレーパ80を絞りロール52から
離間させ、前記供給装置54に配設した洗浄液供給管を
介して、両ロール50,52間に画成される前記インキ
貯留部Aに洗浄液を供給する。この貯留部Aは、前記堰
部材74,74によって長手方向の両端部を閉成されて
いるので、洗浄液は軸方向の全体に行き亘った状態で貯
留されることとなる。なお、この際にインキ供給時と同
様にヘッド58を両ロール50,52の軸方向へ移動さ
せながら洗浄液を供給すれば、洗浄に要する時間を短縮
し得るので有効である。この状態で所定時間だけ洗浄運
転を行なった後、堰部材74,74を上昇させてインキ
貯留部Aを開放すれば、インキ転移ロール50に残留す
るインキを洗い流した洗浄廃液は、該貯留部Aの両端か
ら前記樋部材76に排出される。更にこの洗浄廃液は、
前記樋部材76よりインキパン78に供給され、ここか
ら図示しない廃液タンクに回収される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】なお、インキ洗浄に際しては、前述した方
法の他に、前記洗浄廃液を回収した後、前記スクレー
パ80を再び絞りロール52に当接し、該ロール52に
付着する水分を除去するようにしてもよい。また、前
記スクレーパ80により絞りロール52のインキを掻き
取った後、該スクレーパ80をロール52に当接した状
態のまま、インキ転移ロール50と絞りロール52の間
に洗浄液を供給することにより洗浄を行なうようにする
か、または絞りロール52のインキを掻き取った後、
一旦スクレーパ80を該ロール52から離間させ、次い
で洗浄液がロール軸方向全体に行き渡ったのを見計らっ
て、該スクレーパ80を再びロール52に当接して、洗
浄廃液をインキパン78に回収するようにしてもよい。
の場合は、インキ転移ロール50に残留するインキ
の殆どをスクレーパ80を介して除去することができる
ので、両ロール50,52の間に供給する洗浄液は極め
て小量で済
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】これにより版胴44に装着した印版42の
表面には、インキ転移ロール50を介して、適正量のイ
ンキが転移される。この状態の下で、図示しない上流側
のストッカより、段ボールシート43を1枚づつ版胴4
4と圧胴46との間に供給することにより、該シート4
3には所要の印刷が施される。インキは速乾性であるか
ら、印刷後は直ちに後工程のダイカッタやフォルダグル
ワ等に送り込むことができる。またインキはインキ転移
ロール50と調節板110の間全体に行き渡っているの
で、印刷時に幅方向の色ムラを生ずることがなく、従っ
てオペレータは印刷状態を常に監視する必要がない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】次に、スクレーパ80をインキ転移ロール
50から離間させると共に、前記調節板110を該ロー
ル50に接触させ、前記供給装置54に配設した洗浄液
供給管を介して、前記インキ貯留部Aに洗浄液を供給す
る。この貯留部Aは、前記堰部材74,74によって長
手方向の両端部を閉成されているので、洗浄液は軸方向
の全体に行き亘った状態で貯留されることとなる。この
状態で所定時間だけ洗浄運転を行なった後、堰部材7
4,74を上昇させてインキ貯留部Aを開放すれば、イ
ンキ転移ロール50に残留するインキを洗い流した洗浄
廃液は、該貯留部Aの両端から前記樋部材76に排出さ
れる。更にこの洗浄廃液は、前記樋部材76よりインキ
パン78に供給され、ここから図示しない廃液タンクに
回収される。
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 段ボールシート用印刷機
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、段ボールシート用印
刷機に関し、更に詳細には、出願人の新たな開発に係る
低粘度で高度の速乾性を有するグリコール系インキを使
用することにより、段ボールシートにおける印刷オーダ
の変更等に伴なうインキ替えを迅速に行なえ、しかも廃
液量を極めて少なく抑え得る印刷機に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来の段ボールシート用印刷機は、一般に
これを2つの型式に大別することができる。すなわち図
6に示す縦通し輪転印刷機と、図7に示すフレキソ印刷
機とがこれであって、使用するインキの性状に伴い夫々
異なる構成が採用されると共に、後述の如く長所および
短所が略相反している。
【0003】先ず縦通し輪転印刷機について述べると、
これは段ボールシートが、その段と直角をなす縦長方向
に通されるのでこの名がある。しかし現在では、段ボー
ルシートを横通しして印刷すると共に、スロッティング
等の工程も併せて実施するプリンタ・スロッタに広く採
用されており、業界ではプリスロ印刷機と称しているの
で、以下この通称に従うものとする。このプリスロ印刷
機は、粘度の高いグリコール系インキを使用し、該イン
キを多くのゴムロールにより練って均一にしてから、版
胴に装着した印版に転移させることを内容としている。
例えば図6は、プリスロ印刷機の各種ロール群を示し、
印版10を装着した版胴12と、該版胴12に対向配置
した圧胴14との間に、段ボールシート16が通されて
適宜の印刷がなされる。またインキ溜め20中のインキ
は、呼出しロール22,仲介ロール24および一連のト
ランスファーロール群18を介して、前記印版10に転
移される。
【0004】前述したプリスロ印刷機には、固有の長所
と短所とがあり、これを列挙すれば以下の通りである。
そしてこれら長所および短所は、基本的に高粘度のグリ
コール系インキを使用することに起因していると云って
よい。 〈長所〉 (a) シート表面に盛り上げた形で印刷するため、印刷
の仕上りに光沢がある。( b) 印版の必要箇所にだけインキを供給すればよいの
で、インキ消費量が少なくて済む(インキは循環させて
いない)。 (c) 色替えに際し、ロール上のインキは掻き取るだけ
で除去される。従って短時間でオーダチェンジができ、
多種少量の小ロット印刷に対応し得る。また後述のフレ
キソ印刷とは異なり、洗浄廃液は殆ど出ないので、コス
ト高となる廃液処理設備を設ける必要がない。 〈短所〉 (a) 近年のグリコール系インキは、速乾性のものが主
流となっており、最近は更にその程度につき改良がなさ
れている。しかし後述のフレキソ印刷に比べると、印刷
後の乾燥に未だかなりの時間を要する。従って、後工程
におけるダイカッタやフォルダグルワ等に直結し得な
い。 (b) 高粘度のインキを均一に練る必要があるので、イ
ンキ転移のためのロールが多段化して機構が複雑にな
る。またロールが摩耗した場合は、各ロールの間隔を調
整する煩雑な作業を必要とする。 (c) インキ供給時には、シートへのインキ転移量が多
いため濃く印刷され、インキが消費されるにつれシート
へのインキ転移量が減少して薄く印刷され、従って印刷
の濃淡ムラを生じ易い。このためオペレータは、色の濃
さ・薄さを常に監視し、色が薄くなった時点でインキを
供給する等の煩雑な作業を必要とする。
【0005】次にフレキソ印刷機は、プリスロ印刷機と
は異なり流動性に富む低粘度の水性インキを使用するも
のであって、インキ乾燥が極めて速いという特徴を有し
ている。例えば図7は、フレキソ印刷機の各種ロール群
を概略的に示し、印版10を装着した版胴12と、該版
胴12に対向配置した圧胴14との間に、段ボールシー
ト16が通されて適宜の印刷がなされる。また版胴12
に近接して、アニロックスロール26およびインキロー
ル28が回転自在に配設され、両ロール26,28の間
に供給されたインキは、版胴12の印版10にアニロッ
クスロール26を介して転移される。なおフレキソイン
キは高度に速乾性であるため、前述のプリスロ印刷とは
異なり、常に循環させて乾燥固化を防止する必要があ
る。このため図8に示すように、タンク30中のインキ
は、ポンプ32および供給管34を介して前記両ロール
26,28の間に供給すると共に、ここに滞留したイン
キは、両ロール26,28の両端部から堰止部36,36
および回収管38を介して前記タンク30に回収する循
環機構が採用されている。
【0006】前述したフレキソ印刷機の長所と短所とを
列挙すれば、以下の通りである。これらの長所および短
所も、使用するインキの性状、すなわち低粘度で高度に
速乾性である点に起因している。 〈長所〉 (a) 速乾性のインキを使用するため、印刷後にダイカ
ッタやフォルダグルワ等の次工程へ直ちに送ることがで
きる。 (b) インキはアニロックスロールおよびインキロール
の間全体に行き渡っているので、印刷時に幅方向の色ム
ラを生じない。従ってオペレータは、印刷状態を常に監
視する必要がない。 (c) インキの転移機構が極めて簡単である。 〈短所〉 (a) インキを常に循環させるシステムを採用している
ので、色替えの際は多量の水でロールおよび循環系を洗
浄する必要がある。従って、インキの完全回収は無理で
かなりの損失を生ずると共に、公害防止対策の見地から
洗浄廃液の処理設備が必要となってコスト高となる。 (b) 色替えに時間を要するため、多種少量の小ロット
印刷には不適である。 (c) プリスロ印刷に比べると光沢がない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた如く、プ
リスロ印刷機およびフレキソ印刷機は、その使用するイ
ンキの性状に応じて、殆ど相反し合う長所と短所とを夫
々有している。そして業界では、前述したフレキソ印刷
機の長所が着目され、プリスロ印刷機からフレキソ印刷
機への転換が広く行なわれるに至っている。すなわちフ
レキソ印刷機には固有の欠点はあるものの、それを考慮
に入れても、プリスロ印刷機より導入のメリットがあ
る、と業界で認知された結果と云ってよい。
【0008】ところで最近の業界は、多品種かつ少量の
段ボールシートを加工する小ロット対応に迫られてお
り、その傾向は年を追って顕著なものとなっている。こ
れを印刷機に関して考察すると、多種・少量の段ボール
シートの印刷に対応するために、限られた時間内で色替
えを行なう必要があることを意味する。しかるに前記小
ロットの印刷に伴う頻繁なオーダ変更の要請に対して
は、先にフレキソ印刷機の短所で述べた如く、色替えに
時間を要する対応が不充分である。また、洗浄廃液を処
理する問題も内在している。
【0009】このような小ロットの印刷に対しては、色
替え時間が短いことから、前述したプリスロ印刷機が好
適に使用可能である。しかしプリスロ印刷機は、印刷状
態を最適に維持するためオペレータに経験と勘が必要と
され、また印刷後の乾燥に時間を要し後工程に直結しな
い等、先に述べた欠点を有している。従ってユーザー
は、最近増大している多種・少量の小ロット印刷に対し
て、前記プリスロ印刷機を必ずしも満足して使用してい
るものではなく、フレキソ印刷よりは色替え時間が短い
から、という消極的な理由で該プリスロ印刷機を採用し
ているに過ぎない。
【0010】逆に云えば、色替え時間が短縮されて小ロ
ット印刷への対応が充分可能で、印刷中はオペレータに
よる常時監視を必要とせず、しかも印刷後は後工程に直
結し得る機能を備えた印刷機に対するユーザーの旺盛な
潜在的需要がある訳であるが、未だ実現されていないの
が実情である。このような、謂わばプリスロおよびフレ
キソ印刷の各長所を備えた印刷機を実用化するために
は、前記の仕様を満たすに適したインキの開発がキーポ
イントとなる(これは、先に述べた両タイプの印刷機が
夫々使用されるインキの性状に依存していたのと同様で
ある)。この点に関して出願人は、前述のユーザーサイ
ドでの潜在需要に応えるべくインキメーカーとタイアッ
プし、インキ自体の改良から根本的に取り組んだ結果、
フレキソインキに近い低粘度と速乾性とを有するグリコ
ール系のインキを開発するのに成功した。
【0011】しかし、この新開発に係るインキを種々試
験した結果、在来のプリスロ印刷機では、該インキの特
性を最大限に引出し得ないことが判明した。またフレキ
ソ印刷機で該インキを使用し得なくはないが、このイン
キは本来のフレキソインキ程に低粘度かつ速乾性という
訳ではないので、インキを循環させる必要はない。従っ
てフレキソ印刷機に特有のインキ循環機構を設ける意味
がなく、また色替えに際しても、洗浄時間を要して小ロ
ット対応が図られず、インキの無駄を生ずることにな
る。既に述べた如く夫々の型式の印刷機は、高粘度のグ
リコール系インキおよび低粘度の水性インキの各特性を
発揮させる構造を採用している訳であるから、これは当
然のことでもある。
【0012】そこで、ユーザーに段ボールシート用印刷
機を提供している出願人は、この新開発に係るインキの
特性を最大限に引出し得る新たな構想に係る印刷機につ
き、発明「段ボールシートへの印刷方法および装置」とし
て出願した。先の出願に係る印刷装置では、印版にイン
キを転移する機構および色替えに際しインキの洗浄を行
なう新たな機構を採用することにより、印刷運転時のイ
ンキ消費量が少なくて済むと共に、印刷オーダの変更等
に伴なうインキ替えを迅速に行なうことができ、しかも
後工程に直結することができて、鮮明で美しい印刷を段
ボールシートに施すことができるようにしたものであ
る。但し、先の出願では、新開発に係るインキの特性を
最大限に引出し得る複数の実施例を包含する基本構成を
提案したものであり、各実施例において奏する効果のポ
イントは異なるものであった。また前記印刷装置を実用
化する際には、ユーザーが最も望む効果を満すと共に、
装置を導入するに際して生ずる諸条件(例えば設置スペ
ースやコスト等)をクリアすることが必要となり、出願
時点では提案した何れの実施例が最適であるかは判明し
ていなかった。
【0013】
【発明の目的】この発明は、新開発に係るインキの特性
を最大限に引出し得る印刷機を実用化するに際し、殊に
印刷オーダの変更等に伴なう作業に着目して、インキ替
えを迅速に行ない得ると共に、洗浄廃液を極めて少なく
することができ、更に印刷作業性にも優れている印刷機
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本発明は、印版を装着した版胴
と、この版胴に対向配置した圧胴とを備え、前記印版に
インキを転移させると共に、相互に反対方向に回転する
前記版胴と圧胴との間に段ボールシートを通過させて、
該シートに所要の印刷を行なうよう構成した段ボールシ
ート用印刷機において、前記版胴に対し近接・離間自在
に配設され、近接時には該版胴に装着した印版と接触し
て回転するインキ転移ロールと、このインキ転移ロール
に近接位置し、該ロールのインキ量の調整を行なう調節
部材と、前記インキ転移ロールおよび調節部材の上方に
配設され、ロールと調節部材との間に画成されるインキ
貯留部に低粘度で高度に速乾性のインキおよび/または
洗浄液を供給する供給手段と、前記インキ転移ロールお
よび調節部材の長手方向両端部近傍に配設され、前記イ
ンキ貯留部における長手方向両端部からのインキや洗浄
液の排出を規制する規制手段とから構成したことを特徴
とする。
【0015】また前記課題を克服し、所期の目的を達成
するため本願の第2の発明は、印版を装着した版胴と、
この版胴に対向配置した圧胴とを備え、前記印版にイン
キを転移させると共に、相互に反対方向に回転する前記
版胴と圧胴との間に段ボールシートを通過させて、該シ
ートに所要の印刷を行なうよう構成した段ボールシート
用印刷機において、前記版胴に対し近接・離間自在に配
設され、近接時には該版胴に装着した印版と接触して回
転するインキ転移ロールと、このインキ転移ロールに運
転中は常に接触して回転し、インキ量の絞り調整を行な
う絞りロールと、これらインキ転移ロールおよび絞りロ
ールの上方に配設され、両ロールの間に画成されるイン
キ貯留部に低粘度で高度に速乾性のインキおよび/また
は洗浄液を選択供給する供給装置と、前記インキ転移ロ
ールおよび絞りロールの軸方向両端部に接離自在に配置
され、前記インキ貯留部における長手方向両端部を閉成
する堰部材と、前記絞りロールに対して接離自在に配設
され、接触時に該ロールに転移しているインキまたはイ
ンキ洗浄液の掻き取り除去を行なうスクレーパとから構
成したことを特徴とする。
【0016】
【実施例】次に、本発明に係る段ボールシート用印刷機
につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しなが
ら以下説明する。
【0017】
【第1実施例について】図1は、第1実施例に係る印刷
機の概略側面図であって、段ボールシートへの印刷状態
で示し、また図2は、同印刷機の印刷終了後におけるイ
ンキ洗浄状態を示す概略側面図である。図示の印刷機4
0は、印版42が着脱自在に装着される版胴44と、段
ボールシート43のパスラインを挟む下方に対向配置し
た圧胴46とを備えていて、これら版胴44および圧胴
46は相互に反対方向への回転がなされる。
【0018】前記版胴44の上方には、印版42にイン
キを転移させるインキ転移機構48が配設されている。
このインキ転移機構48は、供給されたインキを印版4
2に直接転移させるインキ転移ロール50と、該ロール
50に圧接されてインキ量の絞り調整を行なう絞りロー
ル52と、絞りロール52の回転軸を中心としてインキ
転移ロール50を所要の角度範囲で変位させ得る揺動機
構53とから基本的に構成されている。そして該揺動機
構53を選択的に作動させることにより、後述する如く
該インキ転移ロール50を、前記印版42に接触させ
てインキを該印版42に転移させるインキ転移位置と、
前記印版42から離間してインキ転移不能状態とする
インキ洗浄位置とに変位させ得るものである。すなわち
インキ転移ロール50は、前記版胴44に対し近接・離
間自在に配設され、近接時には該版胴44に装着した印
版42に接触して回転可能となっている。このインキ転
移ロール50の表面には、微細な窪みを所要のパターン
で凹設したアニロックスが形成され、これら微細窪み
は、一定量のインキを溜めると共にロール回転時のイン
キ飛散を防止するべく機能している。なおインキ転移ロ
ール50には鉄系金属材質が採用されるが、金属ロール
の表面にセラミックス被膜を爆発溶射等の手段により形
成し、このセラミックス被膜にアニロックスを彫刻する
ようにしてもよい。更に、このインキ転移ロール50と
して、アニロックスの彫刻を施してない鉄ロール(メッ
キだけを施したもの)や、単なるゴムロールも好適に使
用可能である。
【0019】前記インキ転移ロール50に隣接して配設
される調節部材としての絞りロール52は、インキ転移
ロール50と運転中は常に接触すると共に、該ロール5
0と同速若しくは低速で回転して、インキ転移ロール5
0の表面における余剰インキの絞り調整を行なうべく機
能する。この絞りロール52は、ゴム等の柔軟な材質の
ものが使用され、その硬度はロールの長短に応じ、例え
ばショアー硬度50〜75度の範囲内で適宜選択され
る。
【0020】前記インキ転移ロール50および絞りロー
ル52を備えるインキ転移機構48において、絞りロー
ル52の回転軸を中心として、前記インキ転移ロール5
0を所要角度範囲で変位させ得る揺動機構53が設けら
れている。すなわち、図示しない機枠に回転自在に配設
した絞りロール52の両軸端部に、支持ブラケット6
2,62(一方のみを図示)が回転自在に枢支され、該支
持ブラケット62,62間にインキ転移ロール50が回
転自在に枢支されている。支持ブラケット62における
インキ転移ロール50が枢支される側の上端部に、保持
部材64が配設されると共に、機枠に回転自在に枢支し
た切換え軸66に偏心的に配設した対応の偏心輪68
が、各保持部材64に回転自在に枢支してある。また切
換え軸66は、図示しないモータにより回転駆動され
る。従って、モータを付勢して偏心輪68,68を所定
中心角で回動させることにより、インキ転移ロール50
を、図1に示す如く、印版42に接触させてインキの
転移を行なうインキ転移位置と、図2に示す如く、印
版42から離間してインキの転移を不能とするインキ洗
浄位置とを選択し得るものである。なお揺動機構53
は、適宜の検知手段(図示せず)により前記版胴44と圧
胴46との間に段ボールシート43が通紙されているか
否かを検出して、該シート43が通紙されていないとき
は、インキ転移ロール50を印版42から自動的に離間
させるよう設定されている。また両方のロール50,5
2に異なる回転を与える機構については、それ自体は公
知であるので説明は省略する。
【0021】前記インキ転移ロール50および絞りロー
ル52の上方には、両ロール50,52を圧接させた際
に、これら両ロールの長手方向の接触領域にインキ貯留
部Aを画成し得るようになっている。そしてこのインキ
貯留部Aにインキまたは洗浄液を選択的に供給する供給
装置54が、前記両ロール50,52の上方に配設され
ている。この供給装置54は、両ロール50,52の全
幅に亘ってインキを迅速に供給し得るよう構成されてい
る。すなわち、前記両ロール50,52と水平に設けた
ガイドレール56に、所定量のインキが貯留されるヘッ
ド58がロール50,52の軸方向に走行可能に載架さ
れ、このヘッド58から延出させたインキ供給管60
は、その開口部を前記インキ貯留部Aに臨ませている。
従ってこの供給管60からのインキは、インキ転移ロー
ル50と絞りロール52との間に供給され、そのロール
軸方向に貯留される。但しこの印刷機40に使用される
インキは、先に述べた如く、出願人により新たに開発さ
れた低粘度かつ高度に速乾性のグリコール系インキであ
って、フレキソ印刷機の如くインキ循環させる必要はな
い。
【0022】また前記供給装置54には、洗浄液供給管
(図示せず)が配設され、該洗浄液供給管の開口部はイン
キ貯留部Aに臨んでいる。この洗浄液供給管には、ヘッ
ド58をガイドレール56に沿って走行させる駆動手段
の近傍に配置した洗浄液タンクにパイプ(何れも図示せ
ず)を介して接続されており、該タンクに貯留された洗
浄液は、圧縮空気により供給管に圧送されるようになっ
ている。すなわち、供給装置54は、その印刷運転時に
は前記ガイドレール56に沿って水平方行に走行し、イ
ンキ供給管60を介して前述のインキ貯留部Aにインキ
を供給する。また段ボールシートにおける印刷オーダの
変更等に伴なう色替えに際しては、前記インキ貯留部A
に図示しない洗浄液供給管を介して、洗浄液を供給する
よう構成されている。なお、洗浄液の供給手段として
は、両ロール50,52の上方に、長手方向に所定間隔
で複数の通孔を穿設したパイプを平行に配設して、適宜
のエア圧により洗浄液をパイプに供給することにより、
各通孔を介してロール50,52の全幅に亘って同時に
洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0023】前記支持ブラケット62には、図1に示す
如く、支持部材70を介してエアシリンダ72が倒立配
置され、該エアシリンダ72のピストンロッド72aに
板状の堰部材74が配設されている。この堰部材74
は、図3に示す如く、常にはエアシリンダ72の付勢に
より下降されている。そして該堰部材74を、インキ転
移ロール50と絞りロール52の軸方向端部に密着させ
ることによって、両ロール50,52の間に画成される
インキ貯留部Aを閉成し、前記供給装置54から供給さ
れるインキや洗浄液を該貯留部Aに貯留し得るようにな
っている(図1参照)。またインキ転移ロール50および
絞りロール52の軸方向両端部より下方に樋部材76が
配設され、インキ貯留部Aから前記堰部材74を通して
僅かに流出するインキおよび洗浄液をこの樋部材76で
受けて、後述するインキパン78に回収するようになっ
ている。なお、印刷運転時においてインキ貯留部Aの軸
方向中央部でのインキ消費が多く発生し、軸方向両端部
近傍に多量のインキが残留した場合は、洗浄運転に移行
する前に、前記堰部材74をエアシリンダ72の逆付勢
により上昇させて前記インキ貯留部Aを開放し、該貯留
部Aに残留しているインキを長手方向の両端部から排出
することもできる。
【0024】前記絞りロール52に近接した略接線位置
には、オーダ変更等による色替えに際し、インキの洗浄
を行なうための長尺のブレード状板体からなるスクレー
パ80が配設されている。このスクレーパ80は、絞り
ロール52の回転方向に対し逆らう方向に、その先端を
接線方向に沿って指向させており、適宜のモータ82に
より正逆回転されてロール表面に接離自在となってい
る。そしてインキの洗浄に際しては、前記モータ82を
付勢してスクレーパ80を、絞りロール52に接触させ
ることにより、該ロール52に転移しているインキまた
は洗浄液が掻き上げ除去される。この除去されたインキ
または洗浄液は、スクレーパ80の下方に設けたインキ
パン78に排出される。またインキパン78には、廃液
タンク(図示せず)に連通する廃液管84が接続され、該
インキパン78に排出された廃液は所要部位に設けた廃
液タンクに集められる。なお、インキの洗浄時には、イ
ンキ転移機構48に関連して設けた前記揺動機構53に
より、絞りロール52の回転軸を中心として前記インキ
転移ロール50が、図2に示す如く反時計方向に変位さ
れて、印版42から離間するインキ洗浄位置に臨ませら
れている。
【0025】前記スクレーパ80は、ゴム等の柔軟な材
料を材質とする前記絞りロール52の硬度と同等かもし
くは低い硬度の材料(例えば硬度の低いゴム板等)が好適
に使用され、該スクレーパ80を絞りロール52に当接
してインキまたは洗浄液を掻き取る際に、絞りロール5
2が損傷するのを防止するよう設定される。なお、スク
レーパ80全体を軟質の材料で構成する必要は必ずしも
なく、該スクレーパ80の先端に別途軟質材料を設ける
ようにしてもよい。また図示例のスクレーパ80は、そ
の先端を絞りロール52の回転方向に対し逆らう方向に
指向させてあるが、これに限られるものではない。逆に
該スクレーパ80を、絞りロール52の回転方向に対し
順方向に指向させた状態で、該ロール52の表面に対し
接離自在に構成してもよい。更に、該スクレーパ80を
絞りロール52に対して当接および離間させる手段とし
て、エアシリンダ等のリニアアクチュエータも使用可能
である。
【0026】
【第1実施例の作用】次に、前述した第1実施例に係る
段ボールシート用印刷機の作用につき説明する。印刷の
準備作業として、前述した揺動機構53を作動させ、絞
りロール52の回転軸を中心としてインキ転移ロール5
0を時計方向に変位させる。これにより図1に示すよう
に、インキ転移機構48のインキ転移ロール50は版
胴44(印版42)に接触させられる。またスクレーパ
80も、絞りロール52から離間している。更に、両
ロール50,52の軸方向の両端部に設けた堰部材74,
74は常に下降位置にあって、前記インキ貯留部におけ
る長手方向の両端部を閉成している。そして回転中のイ
ンキ転移ロール50と絞りロール52との間に、前記ヘ
ッド58から延出する供給管60を介してインキが供給
される。該インキは、両ロール50,52の軸端に臨む
堰部材74,74に規制された状態で貯留される。
【0027】これにより版胴44に装着した印版42の
表面には、インキ転移ロール50を介して、適正量のイ
ンキが転移される。この状態の下で、図示しない上流側
のストッカより、段ボールシート43を1枚づつ版胴4
4と圧胴46との間に供給することにより、該シート4
3には所要の印刷が施される。インキは速乾性であるか
ら、印刷後は直ちに後工程のダイカッタやフォルダグル
ワ等に送り込むことができる。またインキはインキ転移
ロール50と絞りロール52の間全体に行き渡っている
ので、印刷時に幅方向の色ムラを生ずることがなく、従
ってオペレータは印刷状態を常に監視する必要がない。
【0028】印刷オーダの変更等に伴なう色替えのため
に、使用するインキを替える場合は、以下の手順でイン
キ洗浄がなされる。先ず、ヘッド58における供給管6
0からのインキ供給が停止させられる。なお、前記印刷
運転が終了して前記版胴44と圧胴46との間に段ボー
ルシート43が通紙されなくなった時点で、インキ転移
機構48のインキ転移ロール50は、前記揺動機構53
により版胴44(印版42)から離間するインキ洗浄位置
に自動的に移動されている(図2参照)。そこで前記モー
タ82を付勢して、スクレーパ80を絞りロール52に
適正圧で接触させる。そしてインキ転移ロール50およ
び絞りロール52を同一周速で空回転させると、絞りロ
ール52の表面に付着しているインキは、前記スクレー
パ80により掻き上げ除去され、該インキはインキパン
78に回収される。また前述した如く、印刷運転時にお
いてインキ貯留部Aの軸方向中央部でのインキ消費が多
く発生し、軸方向両端部近傍に多量のインキが残留した
場合は、前記堰部材74をエアシリンダ72の逆付勢に
より上昇させてインキ貯留部Aを開放し、該貯留部Aの
軸端部側に残留しているインキを前記樋部材76に排出
するようにしてもよい。この場合は、インキ掻き取り時
間を短縮することができる。
【0029】前記スクレーパ80によりインキ貯留部に
残留するインキの殆どは除去されるが、前記インキ転移
ロール50のアニロックス内には微量のインキが残留し
ている。そこで、スクレーパ80を絞りロール52から
離間させ、前記供給装置54に配設した洗浄液供給管を
介して、両ロール50,52間に画成される前記インキ
貯留部Aに洗浄液を供給する。この貯留部Aは、前記堰
部材74,74によって長手方向の両端部を閉成されて
いるので、洗浄液は軸方向の全体に行き亘った状態で貯
留されることとなる。この状態で再びスクレーパ80を
絞りロール52に適正圧で接触させると共に、インキ転
移ロール50および絞りロール52を同一周速で空回転
させると、インキ貯留部Aに貯留している洗浄液はスク
レーパ80により掻き上げ除去され、該洗浄液はインキ
パン78に排出される。なお、前記洗浄液をインキ貯留
部Aに供給するに際し、インキ供給時と同様にヘッド5
8を両ロール50,52の軸方向へ移動させながら洗浄
液を供給すれば、洗浄に要する時間を短縮し得るので有
効である。
【0030】また、前記堰部材74,74を上昇させて
インキ貯留部Aを開放し、該貯留部Aに貯留している洗
浄液を軸端から排出するようにしてもよい。なお、洗浄
時間を更に短縮するために、インキ貯留部Aに貯ってい
る洗浄廃液を、ロール端部に向けて積極的に移動させて
排出するようにしてもよい。例えば、前記ヘッド58
に、圧縮空気の吐出口をインキ貯留部Aを指向する状態
で配設し、前記堰部材74,74を上昇させて貯留部A
を開放した際に、吐出口から圧縮空気を吹出しつつヘッ
ド58をロール50,52の軸方向に移動させる。これ
により、インキ貯留部Aに貯っている洗浄廃液は、圧縮
空気により積極的にロール端部に向けて移動し、短時間
での排出を行ない得る。
【0031】このようにオーダ変更に伴う色替えに際
し、スクレーパ80により大部分のインキを掻き取った
後に極めて少量の洗浄液を使用するだけで、インキ転移
ロール50に付着するインキを確実に除去し得る。すな
わち、短時間でオーダチェンジができて多種少量の小ロ
ット印刷に好適に対応することができると共に、インキ
の節約が図られる。またインキ洗浄に使用される洗浄液
の量は、従来のフレキソ印刷機においては約60リット
ル程度必要であったのに対し、新開発のインキを使用し
た場合は100cc程度で済み、洗浄廃液を極めて少な
く抑えることができ、公害防止に大きく貢献することが
できる。
【0032】
【第2実施例について】図4は、第2実施例に係る印刷
機を概略側面で示すものであって、版胴44と圧胴46
およびインキ供給装置54の基本構成は、図1〜図3に
関連して説明したところと同一である。但し、印版42
にインキを転移する機構48におけるインキ転移ロール
50のインキ量を調節する機構が相違している。すなわ
ち、インキ転移ロール50が回転自在に枢支される一対
の支持ブラケット62,62に、長尺板体からなる調節
部材としての調節板110が転移ロール50の回転方向
に対して順方向に、その先端を接線方向に沿って指向さ
せている。この調節板110はモータ112に接続さ
れ、該モータ112の正逆付勢により、その先端とロー
ル表面との間隔を調節自在に構成されて、インキ転移ロ
ール50の表面におけるインキ量を調節するべく機能す
る。なお、モータ112に代えてエアシリンダ等のリニ
アアクチュエータにより、調節板110とインキ転移ロ
ール50との間隔調節を行なうようにしてもよい。
【0033】また、インキ転移ロール50および調節板
110との上方には、両部材の長手方向にインキ貯留部
Aが画成されると共に、該貯留部Aの長手方向両端は、
前述した堰部材74,74により常には閉成されるよう
構成されている。なお、インキ貯留部Aにおける長手方
向両端の閉成を、エアカーテンにより行なうようにして
もよい。例えば、送風源に接続する一対の空気吹付管
を、インキ貯留部Aの両端部近傍の上方に臨ませ、空気
吹付管から貯留部Aに向けて空気を吹出すことによりイ
ンキやインキ洗浄液を堰止める。
【0034】前記インキ転移ロール50に近接した位置
に、長尺板体からなるスクレーパ80が配設され、この
スクレーパ80は、流体圧シリンダ114に接続してロ
ール表面に接離自在となっている。そして図5に示すよ
うに、該スクレーパ80がインキ転移ロール50に接触
することにより、該ロール50に転移したインキの除去
がなされる。除去されたインキは、スクレーパ80の下
方に設けたインキパン78に排出されるようになってい
る。またスクレーパ80の駆動源としては、第1実施例
と同様にモータであってもよい。
【0035】なお、前記インキ転移ロール50を、印
版42に接触させてインキの転移を行なうインキ転移位
置と、印版42から離間してインキの転移を不能とす
るインキ洗浄位置とに変位させる揺動機構53は、基本
的には第1実施例と同一である。但し、各支持ブラケッ
ト62は、外側(対向する他方の支持ブラケット62か
ら離間する側)に突設した突出軸116を介して機枠に
回転自在に枢支されている。そして、前記切換え軸66
を回転させることにより、支持ブラケット62,62は
突出軸116,116を中心として回動し、インキ転移
ロール50をインキ転移位置(図4)とインキ洗浄位置
(図5)とに変位させるよう構成される。
【0036】
【第2実施例の作用】次に、前述した第2実施例に係る
段ボールシート用印刷機の作用につき説明する。印刷の
準備作業として、図4に示すように、インキ転移ロー
ル50を版胴44(印版42)に接触させると共に、ス
クレーパ80をインキ転移ロール50から離間させる。
また、調節板110の先端とインキ転移ロール50の
表面との隙間を、前記モータ112を付勢して適正な値
に調節する。更に、堰部材74,74は常には下降位
置にあって、前記インキ貯留部Aにおける長手方向の両
端部を閉成している。そして調節板110と回転中のイ
ンキ転移ロール50の間に、前記ヘッド58から延出す
る供給管60を介してインキを供給すると、該インキは
堰部材74,74に規制された状態でインキ貯留部Aに
貯留される。
【0037】これにより版胴44に装着した印版42の
表面には、インキ転移ロール50を介して、適正量のイ
ンキが転移される。この状態の下で、図示しない上流側
のストッカより、段ボールシート43を1枚づつ版胴4
4と圧胴46との間に供給することにより、該シート4
3には所要の印刷が施される。インキは速乾性であるか
ら、印刷後は直ちに後工程のダイカッタやフォルダグル
ワ等に送り込むことができる。またインキはインキ転移
ロール50と調節板110の間全体に行き渡っているの
で、印刷時に幅方向の色ムラを生ずることがなく、従っ
てオペレータは印刷状態を常に監視する必要がない。
【0038】印刷オーダの変更等に伴なう色替えのため
に、使用するインキを替える場合は、以下の手順でイン
キ洗浄がなされる。先ず、ヘッド58における供給管6
0からのインキ供給が停止させられる。また前記印刷運
転が終了して前記版胴44と圧胴46との間に段ボール
シート43が通紙されなくなった時点で、インキ転移機
構48のインキ転移ロール50は、前記揺動機構53に
より版胴44(印版42)から離間するインキ洗浄位置に
自動的に移動されている(図5参照)。そこで前記流体圧
シリンダ114を付勢して、スクレーパ80をインキ転
移ロール50に適正圧で接触させる。そしてインキ転移
ロール50と調節板110との間隔を拡げると、インキ
貯留部Aに残留するインキの殆どは転移ロール50の表
面に付着し、該インキはスクレーパ80により掻き上げ
除去されてインキパン78に排出される。
【0039】次に、スクレーパ80をインキ転移ロール
50から離間させると共に、前記調節板110と該ロー
ル50との間隔を狭くし、前記供給装置54に配設した
洗浄液供給管を介して、前記インキ貯留部Aに洗浄液を
供給する。この貯留部Aは、前記堰部材74,74によ
って長手方向の両端部を閉成されているので、洗浄液は
軸方向の全体に行き亘った状態で貯留されることとな
る。この状態で再びスクレーパ80をインキ転移ロール
50に適正圧で接触させると共に、インキ転移ロール5
0と調節板110との間隔を拡げると、転移ロール50
の表面に付着している洗浄液は、スクレーパ80により
掻き上げ除去されてインキパン78に排出される。な
お、スクレーパ80によりインキ転移ロール50のイン
キを掻き取った後、該スクレーパ80をインキ転移ロー
ル50に当接した状態のままインキ貯留部Aに洗浄液を
供給することにより、洗浄を行なうようにしてもよい。
【0040】なお、インキまたは洗浄液を選択供給する
供給装置は、実施例の如く1基に限定されるものでな
く、複数の供給装置を直列に配設してもよい。この場合
は、各供給装置は短い領域を移動すればよいので、イン
キ貯留部の必要個所に迅速にインキを供給することがで
きる。更に、1基の供給装置を定位置に固定的に配置し
たり、複数の供給装置をインキ貯留部の長手方向に所定
間隔で固定配置するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る段ボ
ールシート用印刷機は、新たに開発された低粘度かつ速
乾性のグリコール系インキを使用することにより、印刷
後に後工程に直ちに送り込むことができ、また色ムラを
生ずることがないので、オペレータは印刷状態を常に監
視する必要がない。更に、インキを常時循環させる必要
がないために機構が簡素化され、しかも両ロールの全幅
に臨って迅速にインキを供給し得る利点がある。また印
刷オーダの変更等に伴なう色替え時には、ロールに付着
しているインキを掻き取った後、極めて少量の洗浄液を
使用するだけで前オーダのインキを確実に除去し得るの
で、短時間でオーダチェンジができ、多種少量の小ロッ
ト印刷に好適に対応することができる。しかも前記の如
くインキの常時循環は必要としないために洗浄廃液は極
めて少量となり、インキの大幅な節約が図られると共に
公害防止の見地からも極めて有利である。また、インキ
の練り機構や循環機構を必要としないので、省スペース
と低コストとを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る印刷機の概略側面図
であって、段ボールシートへの印刷状態で示すものであ
る。
【図2】図1に示す印刷機において、印刷終了後におけ
るインキ洗浄状態を示す概略側面図である。
【図3】図1に示す印刷機において、インキ転移機構の
概略構成を示す要部斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る印刷機の概略側面図
であって、段ボールシートへの印刷状態で示すものであ
る。
【図5】図4に示す印刷機において、印刷終了後におけ
るインキ洗浄状態を示す概略側面図である。
【図6】従来技術に係るプリスロ印刷機において、その
各種ロール配列を概略的に示す側面図である。
【図7】従来技術に係るフレキソ印刷機の各種ロール配
列を、概略的に示す側面図である。
【図8】図7に示すフレキソ印刷機におけるインキ循環
供給系の概略機構を示す斜視図である。
【符号の説明】 42 印版 43 段ボールシート 44 版胴 46 圧胴 50 インキ転移ロール 52 絞りロール 54 供給装置 72 エアシリンダ 74 堰部材 80 スクレーパ 110 調節板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印版(42)を装着した版胴(44)と、この版
    胴(44)に対向配置した圧胴(46)とを備え、前記印版(42)
    にインキを転移させると共に、相互に反対方向に回転す
    る前記版胴(44)と圧胴(46)との間に段ボールシート(43)
    を通過させて、該シート(43)に所要の印刷を行なうよう
    構成した段ボールシート用印刷機において、 前記版胴(44)に対し近接・離間自在に配設され、近接時
    には該版胴(44)に装着した印版(42)と接触して回転する
    インキ転移ロール(50)と、 このインキ転移ロール(50)に近接位置し、該ロール(50)
    のインキ量の調整を行なう調節部材(110)と、 前記インキ転移ロール(50)および調節部材(110)の上方
    に配設され、ロール(50)と調節部材(110)との間に画成
    されるインキ貯留部(A)に低粘度で高度に速乾性のイン
    キまたは洗浄液を選択供給する供給装置(54)と、 前記インキ転移ロール(50)および調節部材(110)の長手
    方向両端部近傍に配設され、前記インキ貯留部(A)にお
    ける長手方向両端部からのインキや洗浄液の排出を規制
    および規制解除を選択的に行なう規制手段(74,74)とか
    ら構成したことを特徴とする段ボールシート用印刷機。
  2. 【請求項2】 印版(42)を装着した版胴(44)と、この版
    胴(44)に対向配置した圧胴(46)とを備え、前記印版(42)
    にインキを転移させると共に、相互に反対方向に回転す
    る前記版胴(44)と圧胴(46)との間に段ボールシート(43)
    を通過させて、該シート(43)に所要の印刷を行なうよう
    構成した段ボールシート用印刷機において、 前記版胴(44)に対し近接・離間自在に配設され、近接時
    には該版胴(44)に装着した印版(42)と接触して回転する
    インキ転移ロール(50)と、 このインキ転移ロール(50)に運転中は常に接触して回転
    し、インキ量の絞り調整を行なう絞りロール(52)と、 これらインキ転移ロール(50)および絞りロール(52)の上
    方に配設され、両ロール(50,52)の間に画成されるイン
    キ貯留部(A)に低粘度で高度に速乾性のインキまたは洗
    浄液を選択供給する供給装置(54)と、 前記インキ転移ロール(50)および絞りロール(52)の軸方
    向両端部に接離自在に配置され、前記インキ貯留部(A)
    における長手方向両端部の閉成および開放を選択的に行
    なう堰部材(74,74)と、 前記絞りロール(52)に対して接離自在に配設され、接触
    時に該ロール(52)に転移しているインキの掻き取り除去
    を行なうスクレーパ(80)とから構成したことを特徴とす
    る段ボールシート用印刷機。
  3. 【請求項3】 前記絞りロール(52)は、軟質のゴム系材
    質で構成され、 前記スクレーパ(80)の少なくとも絞りロール(52)に当接
    する部位は、該絞りロール(52)の硬度より低い硬度の材
    質で構成される請求項2記載の段ボールシート用印刷
    機。
  4. 【請求項4】 前記スクレーパ(80)は、前記絞りロール
    (52)の回転方向に対し逆らう方向に指向している請求項
    2または3記載の段ボールシート用印刷機。
  5. 【請求項5】 前記スクレーパ(80)は、前記絞りロール
    (52)の回転方向に対し順方向に指向している請求項2ま
    たは3記載の段ボールシート用印刷機。
  6. 【請求項6】 前記スクレーパ(80)の下方に、該スクレ
    ーパ(80)により除去されたインキを回収するインキパン
    (78)が配設されると共に、 前記インキ転移ロール(50)および絞りロール(52)の軸方
    向両端部より下方に位置して、前記堰部材(74,74)の開
    放動作によりインキ貯留部(A)から流出するインキ洗浄
    液を受ける樋部材(76)が配設され、 この樋部材(76)は前記インキパン(78)に向けて開放して
    いる請求項2または3記載の段ボールシート用印刷機。
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