JPH05189737A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05189737A
JPH05189737A JP443592A JP443592A JPH05189737A JP H05189737 A JPH05189737 A JP H05189737A JP 443592 A JP443592 A JP 443592A JP 443592 A JP443592 A JP 443592A JP H05189737 A JPH05189737 A JP H05189737A
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hard
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JP443592A
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Kazuyuki Hikosaka
和志 彦坂
Yoichiro Tanaka
陽一郎 田中
Futoshi Nakamura
太 中村
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 磁気記録媒体のオーバーライト特性とS/N
比の向上を目的とする。 【構成】 基板2上に磁化反転する硬質磁性膜3と、磁
壁移動で磁化反転する硬質磁性膜4とを積層する。ま
た、基板側に近い方の硬質磁性膜3の磁気異方性を面内
方向とし、基板側から離れた方の硬質磁性膜4の磁気異
方性膜の磁気異方性を垂直方向とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関する
ものであり、特に磁化特性の相異なる硬質磁性膜を積層
した多層構造磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体の記録密度を高めるために
は、記録分解能の向上、高出力、媒体ノイズの低減、オ
ーバーライト特性の向上が求められる。記録分解能の向
上及び高出力を得るためには、磁性膜の保持力を増大さ
せることが有効である。
【0003】例えば、下地膜にCr等の非磁性膜を形成
し、その膜上にCo系金属磁性薄膜を一層形成した磁気
記録媒体(IEEE Trans.Magn.MAG-6 No.4(1970)P768)
や、CoにPtを添加した磁性膜を直接基板上に形成し
た磁気記録媒体(特開昭58−7806号広報)、或い
は面内磁気異方性硬質磁性膜を非磁性中間層を介して積
層した磁気記録媒体(J.Appl.Phys.67-9(1990)P4692 )
が知られているが、媒体ノイズ量に対する出力(S/N
比)が大きく、記録密度に限界があった。
【0004】また、近年の磁気抵抗効果型ヘッド(MR
ヘッド)の採用等に伴って、システム自体のノイズが低
下しており、S/N比の影響が大きな要因を占めるよう
になってきている。
【0005】一般に、金属媒体のノイズは、以下の原因
で生じることが知られている。すなわち、磁気記録媒体
の磁性膜は磁区構造をなしており、安定磁区を形成した
ときに粒子間の磁気的相互作用が強いため、磁化反転部
(磁壁)が不規則なジクザク形状を形成し、この不規則
なジクザク形状が金属媒体のノイズの原因となってい
る。
【0006】従って、金属媒体のノイズを低下させるた
めに、粒子間の磁気的相互作用を弱くする磁性膜の構造
を用いる方法が有効である。この1つとして、Cr下地
膜の分離した形状を利用した方法(IEEE Trans.Magn.MA
G-26 No.5(1990)PP1578-1580)が知られている。しかし
ながら、形状と磁気異方性の両者とも最適化することが
できないという欠点があった。
【0007】また、結晶粒径を微細化する方法では、オ
ーバーライト特性が良好とはいえない。ヘッドからの磁
界は水平磁界のみではなく垂直方向の成分も多く含まれ
る。従って、媒体の磁化を反転させるヘッド磁界方向
は、水平ではなく垂直方向に傾いている。出力の大きな
媒体は、膜の面内保持力より膜面から傾いた方向の保持
力が大きい。これは、磁性膜の磁化反転機構が磁壁移動
型であることを示しており、このように磁化反転をする
ためにヘッドからの大きな磁界が必要であることがオー
バーライト特性の劣化を招いている。
【0008】また、近年では磁気記録媒体の記録密度を
飛躍的に高める記録方式として垂直磁気異方性膜を用い
た垂直磁気記録媒体が注目されている。しかしながら、
垂直磁気記録方式は、情報を担う磁化転移領域において
磁化方向が反平行となり、媒体表面近傍で磁束が閉じて
しまうため、S/N比を考慮した場合に、出力を十分に
とれなかった
【0009】そこで、例えば、単磁極形ヘッドの磁界に
対して鏡像的役割をする軟磁性の面内磁気異方性膜を垂
直磁気異方性膜の裏面に被着した二層構造垂直磁気記録
媒体(GA-6,Intermag.Conference,(1985)P)が知られて
いる。これは、軟磁性層をもつ二層構造垂直磁気異方性
膜を単磁極形ヘッドと組み合わせることによって、ヘッ
ドと軟磁性層の強い相互作用により垂直成分の分布が鋭
くなり記録再生感度が向上し、比較的低出力においても
用いることができるものである。しかしながら、軟磁性
層においては磁化の反転毎に摺動ノイズが発生し、ま
た、ヘッドから発生される磁界は、通常、馬蹄形をして
いるので、上記従来の軟磁性層を持つ二層構造垂直磁気
異方性膜に対しては、必ずしも有効ではなかった。ま
た、記録時において磁化を反転させるのに最もエネルギ
ー効率がよいのは、ヘッドから発生される磁界と同じ方
向の場合であるが、このような磁界の方向性を考慮した
多層構造硬質磁性膜の磁気記録媒体は従前存しなかっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の磁性膜
は磁区構造をなしており、安定磁区を形成したときに粒
子間の磁気的相互作用が強いため、磁化反転部(磁壁)
が不規則なジクザク形状を形成し、この不規則なジクザ
ク形状に基づく金属媒体のノイズが発生する。この金属
媒体のノイズを低下させるために、磁気記録媒体の粒子
間の磁気的相互作用を弱くする磁性膜の構造を用いる方
法や結晶粒径を微細化する方法があるが、媒体S/Nや
オーバーライト特性が良好ではなかった。
【0011】本発明は以上の点に鑑み、磁化反転部にお
けるジクザク形状の不規則性を少なくすることによって
S/N比を向上させると共に、オーバーライト特性を向
上させることを目的とする磁気記録媒体を提供するもの
である。さらに、磁気記録媒体の磁気異方性を磁気ヘッ
ドから発生される馬蹄形の磁場に近い向きに配向するこ
とによって、記録再生感度を高めた磁気記録媒体を提供
するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題
を解決するために、基板上に相異なる磁化特性を有する
硬質磁性膜を積層する多層構造磁気記録媒体において、
相対向する硬質磁性膜の磁化特性が互いに異なることを
特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。
【0013】
【作用】本発明のように、相対向する硬質磁性膜の磁化
特性を互いに異なるように積層すれば、容易に磁化反転
する磁化回転型の磁性膜が、磁性膜間の相互作用によっ
て、本来的に磁化反転しにくい磁壁移動型の磁性膜の磁
化方向を反転させ、オーバーライト特性を向上させるこ
とができる。これは、磁化回転型の磁化反転機構を有す
る磁性膜は、傾いた小さなヘッド磁界成分によっても磁
化反転を起こし、一方、磁壁移動型の磁化反転機構を有
する磁性膜は、飽和磁化量が大きく出力の向上に寄与す
るからである。また、磁化反転後の磁化反転部の残留磁
化状態は、強い磁気相互作用によって、積層しても急峻
な磁化反転部を形成し、大きい出力を得ることができ
る。さらに、磁性膜の積層構造は結晶粒径の減少を招く
ため、媒体ノイズの原因である磁化反転部における不規
則なジグザク形状の発生を少なくすることができ、S/
N比の向上を図ることができる。
【0014】また、磁気ヘッド側に設けられた磁性膜の
磁気異方性を垂直方向とし、磁性膜深部の基板側に設け
られた磁性膜の磁気異方性を面内方向とすることによっ
て、磁気記録媒体の磁気異方性を磁気ヘッドから発生さ
れる馬蹄形の磁場に近い向きに配向することができ、磁
化反転に伴うエネルギー効率を高めることができるよう
になる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。 (実施例1)図1は、本実施例に係る磁気記録媒体の断
面図である。
【0016】磁気記録媒体1は、基板2上に硬質磁性膜
3及び4が順に積層され、さらにその上にSiO2 等の
保護膜5、パーフロロポリエーテル系等の潤滑膜6が形
成されている。基板2は、ガラス等からなる板体で、非
磁性体であれば特に限定されず、金属や有機フィルム等
いずれのものでもよい。
【0017】硬質磁性膜3は、磁化回転で磁化反転する
磁化特性を有するCo−Pt合金からなる硬質磁性膜
で、また硬質磁性膜4は、磁壁移動で磁化反転する磁化
特性を有するCo−Pt−Cr合金からなる硬質磁性膜
である。この磁化回転及び磁壁移動の磁化反転機構は、
振動資料型磁束計(VSM)による印加磁界方向に対す
る保持力の変化、トルクメータによるトルクロスにより
判断される。
【0018】なお、本実施例において基板側から順に磁
化回転で磁化反転する硬質磁性膜3、磁壁移動で磁化反
転する磁化特性する硬質磁性膜4を積層したが、特にこ
の積層順にこだわることはなく、磁壁移動で磁化反転す
る硬質磁性膜4を基板側に設けてもよい。次に、本実施
例に係る磁気記録媒体の製造方法について説明する。
【0019】まず、スパッタ装置チャンバー内に2.5
インチ径の強化ガラス製の基板2をセットし、チャンバ
ー内を真空にした。このときの真空度は、残留ガスが磁
性膜に多量に含有し、特性を劣化させないために、5×
10-4[Pa]以下にすることが望ましい。
【0020】チャンバー内の真空引きを行った後、Ar
ガス圧を2.6[Pa]まで封入し、DC逆スパッタに
よって基板2の表面を洗浄し、DCマグネトロンスパッ
タによってCo−17at%Ptの硬質磁性膜3を形成
した。次に、Arガス圧を0.6[Pa]にして、DC
マグネトロンスパッタによりCo−20at%Pt−3
at%Crの硬質磁性膜4を形成した。このとき、硬質
磁性膜3及び4の両膜厚の合計が40[nm]となるよ
う形成した。
【0021】次に、付着力の向上のために、DCマグネ
トロン逆スパッタにより磁性膜表面をプラズマ中にさら
した後、RFスパッタによって、SiO2 をターゲット
にして、Arガス圧を0.6[Pa]で膜厚15[n
m]となるように保護膜5を形成し、また、潤滑膜6は
ディッピングによって膜厚1.7[nm]に形成した。
なお、これらの条件で製造された磁気記録媒体の硬質磁
性膜の保持力は、2000[Oe]であった。上述の磁
気記録媒体について薄膜ヘッドを用いて評価し、従来の
単層膜媒体との比較を行った。薄膜ヘッドのギャップ長
は0.25[nm]、トラック幅は4[nm]であり、
ヘッドと媒体の間隙は0.08[nm]であった。
【0022】従来例1は磁壁移動で磁化反転する硬質磁
性膜の磁気記録媒体であり、静磁気媒体は保持力HC が
2000[Oe]、残留磁化量と膜厚の積Mr・δが
2.5[G・um]、角型比S* は0.85であった。
また、従来例2は磁化回転型の媒体であり、静磁気特性
は保持力HC が2000[Oe]、残留磁化量と膜厚の
積Mr・δが2.0[G・um]、角型比S* は0.7
0であった。
【0023】図2は、磁気記録媒体の記録密度特性を示
す図である。本発明と従来例1との比較では、低出力領
域において150[nVpp]とほぼ同じであり、本発
明と従来例2の比較では、本発明の方が高出力を得た。
また、記録分解能D50は本発明の方が従来例1及び従
来例2よりも大きかった。
【0024】図3は、磁気記録媒体の媒体ノイズ特性を
示す図である。本発明と従来例1では、ノイズ特性にほ
とんど差異はみられなかった。また、従来例2との比較
では、本発明の方が良好であった。
【0025】図4は、磁気記録媒体のオーバーライト特
性である。オーバーライト特性は、はじめに記録電流I
w =65[mA]でDCイレーズを行い、出力が低域の
70%となる記録波長(「D70=4F」と定義する)
の1/4波長(1F)で書き込んだ後、4Fで書き込ん
だ際の1Fの変化をdBで示している。本発明と従来例
1ではほとんど差異はみられなかったが、従来例2との
比較では、本発明の方が良好であった。
【0026】また、図5は、磁気記録媒体の硬質磁性膜
3及び4の膜厚比に対する媒体S/N及びオーバーライ
ト特性を示す図である。図5において、膜厚比はδ2 /
δ1+δ2 で表されるので、図の最も左の位置が従来例
1であることを示しており、最も右側の位置が従来例2
であることを示している。本実施例に係る磁気記録媒体
は、オーバーライト特性については従来例1と2の間の
特性を示し、また、S/Nは膜厚比0.2〜0.8の範
囲において従来例1及び2よりも優れている。 (実施例2)図6は、本実施例に係る磁気記録媒体の断
面図である。磁気記録媒体1は、基板2上に硬質磁性膜
7及び8が順に積層され、さらに保護膜5、潤滑膜6が
積層されている。
【0027】硬質磁性膜7は、面内方向に磁気異方性を
有するCo−Pt合金からなる硬質磁性膜で、また硬質
磁性膜8は、垂直方向に磁気異方性を有するCo−Pt
−Cr合金からなる硬質磁性膜である。この硬質磁性膜
の磁気異方性は、トルクメータ等の磁気異方性測定装置
を用いて、硬質磁性膜の印加磁界方向に対する保持力
(磁化反転磁界強度)の変化を測定することにより判断
される。次に、本実施例に係る磁気記録媒体の製造方法
について説明する。まず、DCマグネトロンスパッタ装
置のチャンバー内に2.5インチ径の強化ガラス基板2
をセットし、チャンバー内を真空にした。
【0028】次に、DCマグネトロン逆スパッタによっ
て基板2の表面を洗浄した後、基板2の温度を300℃
に設定し、Arガス圧を2.6[Pa]にした。DCマ
グネトロンスパッタによってCo−17at%Ptの硬
質磁性膜7を膜厚50[nm]に形成した。次に、Ar
ガス圧は変化させずに、基板2の温度を200℃に設定
し、同様に、DCマグネトロンスパッタによってCo−
17at%Ptの硬質磁性膜8を膜厚50[nm]に形
成した。このとき、硬質磁性膜7及び8の膜厚は、必ず
しも同じである必要はないが、積層したときの膜厚が1
00[nm]程度である方が望ましい。
【0029】そして、付着力の向上のために、DCマグ
ネトロン逆スパッタにより磁性膜表面をプラズマ中にさ
らした後、カーボンをターゲットにして、スパッタAr
ガス圧を0.6[Pa]で膜厚15[nm]となるよう
に保護膜5を形成した。また、潤滑膜6はディッピング
によって膜厚1.7[nm]に形成した。なお、これら
の条件で製造された磁気記録媒体の硬質磁性膜の保持力
は、20000[Oe]であった。
【0030】上述の磁気記録媒体について薄膜ヘッドを
用いて評価し、従来の媒体との比較を行った。なお、薄
膜ヘッドのギャップ長、トラック幅及びヘッドと媒体の
間隙は、比較例1と同様である。
【0031】従来例3は垂直方式の磁気記録媒体であ
り、静磁気媒体は保持力HC が2000[Oe]、残留
磁化量と膜厚の積Mr・δが2.5[G・um]、角型
比S*は0.85であった。
【0032】図7乃至図9は、磁気記録媒体の記録密度
特性、媒体ノイズ特性及びオーバーライト特性を示す図
である。これらの図に示すように、本発明と従来例3と
の比較では、記録密度特性、媒体ノイズ特性及びオーバ
ーライト特性のいずれも優れていた。
【0033】また、本実施例における積層された硬質磁
性膜の膜厚比は、垂直磁気異方性膜の方が面内磁気異方
性膜よりも大きい方が、よりS/Nの良好なものが得ら
れる。 (実施例3)図10は、本実施例に係る磁気記録媒体の
断面図である。
【0034】磁気記録媒体1は、基板2上に下地膜9、
硬質磁性膜7が積層され、さらにSiO2 等の非磁性中
間膜10を介して硬質磁性膜8が順に積層されている。
また、その上に保護膜5及び潤滑膜6が積層されてい
る。
【0035】下地膜9は、例えばCr等の非磁性膜であ
り、この膜上のHCP相結晶構造を持つ磁性膜のc軸を
垂直方向に傾け、面内方向の磁気異方性の配向性をより
良好なものとして、出力を向上させる効果がある。な
お、本実施例における磁気記録媒体は、硬質磁性膜7、
8間に非磁性中間膜10を設けたことを除き、第2実施
例のものと何ら異なるところはない。次に、本実施例に
係る磁気記録媒体の製造方法について説明する。まず、
DCマグネトロンスパッタ装置のチャンバー内に2.5
インチ径のアルミ製基板2をセットし、チャンバー内を
真空にした。
【0036】次に、DCマグネトロン逆スパッタによっ
て基板2の表面を洗浄し、CrをターゲットとしてRF
スパッタによって下地膜9を膜厚20[nm]に形成
し、連続的にDCマグネトロンスパッタによってCo−
17at%Ptの硬質磁性膜7を膜厚40[nm]に形
成した。この2層の成膜時においては、印加電力は50
0[W]、基板2の温度は300℃、Arガス圧を0.
5[Pa]であった。
【0037】そして、RFスパッタによって、SiO2
の非磁性中間膜10を膜厚10[nm]に形成した。そ
して、Arガス圧は変化させずに、基板2の温度を20
0℃に設定し、DCマグネトロンスパッタによってCo
−17at%Niの硬質磁性膜8を膜厚40[nm]に
形成した。上述の磁気記録媒体について薄膜ヘッドを用
いて評価した結果、第2実施例とほぼ同様の結果が得ら
れ、従来例3よりも優れていた。 (実施例4)図11は、本実施例に係る磁気記録媒体の
断面図である。
【0038】磁気記録媒体1は、基板2上に下地膜9、
硬質磁性膜7、硬質磁性膜11及び硬質磁性膜8が順に
積層されている。また、その上に保護膜5及び潤滑膜6
が積層されている。
【0039】本実施例における磁気記録媒体は、硬質磁
性膜7、8間に設けた硬質磁性膜11が斜方磁気異方性
がある一定の斜め方向に揃ったCo−Pt合金からなる
硬質磁性膜である点を除き第3実施例と何ら異なるとこ
ろはない。次に、本実施例に係る磁気記録媒体の製造方
法について説明する。まず、DCマグネトロンスパッタ
装置のチャンバー内に2.5インチ径のアルミ製基板2
をセットし、チャンバー内を真空にする。
【0040】次に、DCマグネトロン逆スパッタによっ
て基板2の表面を洗浄し、CrをターゲットとしてRF
スパッタによって下地膜9を膜厚20[nm]に形成
し、連続的にDCマグネトロンスパッタによってCo−
17at%Ptの硬質磁性膜7を膜厚40[nm]に形
成した。この2層の成膜において、印加電力は500
[W]、基板2の温度は300℃、Arガス圧を0.5
[Pa]であった。
【0041】そして、DCマグネトロンスパッタを用い
て、Co−17at%Ptの硬質磁性膜11を膜厚30
[nm]に形成した。なお、斜方磁気異方性の硬質磁性
膜11は、以下の装置及び方法により作成した。
【0042】すなわち、図12に示すように、スパッタ
装置のチャンバー12内において、面内方向に高速回転
可能なローター(図示せず)上に基板2を載置し、この
基板2の斜め上方にCo−Pt合金のターゲット13を
セットすると共に、基板2と僅かに間隔を保持するよう
にフード14を設ける。また、図13に示すように、フ
ード14には、スパッタリングされて飛散してきたCo
−Pt合金の粒子が基板2の所望の位置に被着するよう
にスリット15が設けられている。
【0043】上記のような構成において、基板2を20
0℃に加熱し、Ar圧を0.6[Pa]、印加電力を3
00[W]として、基板2を高速に回転させながら、ス
リット15を通過したCo−Pt合金の粒子を積層させ
て硬質磁性膜11を成膜した。
【0044】上述の磁気記録媒体について薄膜ヘッドを
用いて評価した結果、磁気ヘッドから発生する磁界によ
り近い向きに硬質磁性膜の磁気異方性が配向されるの
で、図第2実施例、第3実施例よりもやや優れた結果を
示した。 (実施例5)図14は、本実施例に係る磁気記録媒体の
断面図である。磁気記録媒体1は、基板2上に硬質磁性
膜16及び17が順に積層され、さらにその上にSiO
2 等の保護膜5、潤滑膜6が形成されている。
【0045】本実施例における磁気記録媒体は、硬質磁
性膜16が、磁化回転で磁化反転すると共に面内方向に
磁気異方性を有するCo−Pt−Cr合金からなる硬質
磁性膜であり、また、硬質磁性膜17が、磁壁移動で磁
化反転すると共に垂直方向に磁気異方性を有するCo−
Pt合金からなる硬質磁性膜である点を除き、構成及び
製造方法は第1実施例と何ら異なるところはない。次
に、本実施例に係る磁気記録媒体の硬質磁性膜の成膜方
法について説明する。
【0046】硬質磁性膜16は、Arガス圧を2.6
[Pa]まで封入し、DCマグネトロン逆スパッタによ
って基板2の表面を洗浄し、基板2の温度を300℃に
設定し、DCマグネトロンスパッタによってCo−17
at%Pt−3at%Crの硬質磁性膜16を膜厚20
[nm]に形成した。
【0047】また、硬質磁性膜17は、Arガス圧を
0.6[Pa]、基板2の温度を200℃にして、DC
マグネトロンスパッタによりCo−20at%Ptの硬
質磁性膜4を膜厚20[nm]に形成した。以上本発明
における実施例1乃至5のオーバーライト特性、D50、
媒体S/Nを表1にまとめる。
【0048】
【表1】
【0049】なお、本実施例においては、Arガス圧及
び基板温度を変化させることによって硬質磁性膜の磁気
特性を制御する方法を用いたが、これ以外の方法を用い
てもかまわない。すなわち、磁化回転型の磁化反転機構
にするには、スパッタレートを下げる、ターゲット−基
板間距離を大きくする、印加電力を小さくする等の方法
により制御することが可能である。また、垂直磁気異方
性にするには、スパッタレートを上げる、ターゲット−
基板間距離を小さくする、印加電力を大きくする等の方
法により制御することができる。さらには、Crの添加
量が多い方が磁化回転型を示し易く、また、その添加量
が3at%程度のときが垂直になりやすい。従って、こ
れらの方法を単独若しくは適宜組み合わせることによっ
て、硬質磁性膜の磁化特性について所望の特性を得るこ
とが可能となる。
【0050】また、本発明においては、硬質磁性膜の成
膜にスパッタを用いたが、特にこれにこだわる必要はな
く、真空蒸着法や分子線エピタキシャル成長法(MBE
法)等の方法により成膜してもかまわない。
【0051】
【発明の効果】以上の通り本発明によれば、磁化反転機
構の相異なる2つの硬質磁性膜を積層してなるので、容
易に磁化反転する磁化回転型の硬質磁性膜が、硬質磁性
膜間の相互作用によって、本来磁化反転しにくい磁壁移
動型の硬質磁性膜の磁化方向を反転させ、オーバーライ
ト特性を向上させると共に、大きい出力を得ることがで
きる。さらに、媒体ノイズの原因である磁化反転部にお
ける不規則なジグザク形状の発生を少なくすることがで
きるので、S/N比の向上を図ることができる。
【0052】また、磁気ヘッド側に設けられた硬質磁性
膜の磁気異方性を垂直方向とし、磁性膜深部の基板側に
設けられた硬質磁性膜の磁気異方性を面内方向とするこ
とによって、磁気記録媒体の磁気異方性を磁気ヘッドか
ら発生される馬蹄形の磁場に近い向きに配向することが
できるので、記録時におけるエネルギー効率を高めるこ
とができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す磁気記録媒体の縦断
面図
【図2】 本発明の第1実施例に係る磁気記録媒体の記
録密度特性を示す図
【図3】 本発明の第1実施例に係る磁気記録媒体の媒
体ノイズ特性を示す図
【図4】 本発明の第1実施例に係る磁気記録媒体のオ
ーバーライト特性を示す図
【図5】 本発明の第1実施例に係る磁気記録媒体の積
層膜厚比に対するS/N及びオーバーライト特性を示す
【図6】 本発明の一実施例を示す磁気記録媒体の縦断
面図
【図7】 本発明の第2実施例に係る磁気記録媒体の記
録密度特性を示す図
【図8】 本発明の第2実施例に係る磁気記録媒体の媒
体ノイズ特性を示す図
【図9】 本発明の第2実施例に係る磁気記録媒体のオ
ーバーライト特性を示す図
【図10】 本発明の一実施例を示す磁気記録媒体の縦
断面図
【図11】 本発明の一実施例を示す磁気記録媒体の縦
断面図
【図12】 本発明の第5実施例に係るスパッタ装置の
原理図
【図13】 斜方磁気異方性膜の成膜に用いるフードの
部分断面斜視図
【図14】 本発明の一実施例を示す磁気記録媒体の縦
断面図
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 基板 3 磁化回転型硬質磁性膜 4 磁壁移動型硬質磁性膜 5 保護膜 6 潤滑膜 7 面内磁気異方性硬質磁性膜 8 垂直磁気異方性硬質磁性膜 9 下地膜 10 非磁性中間膜 11 斜方磁気異方性硬質磁性膜 12 チャンバー 13 ターゲット 14 フード 15 スリット

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に相異なる磁化特性を有する硬質
    磁性膜を積層する多層構造磁気記録媒体において、一方
    の硬質磁性膜は磁化回転で磁化反転する磁化特性であっ
    て、この硬質磁性膜に相対向する他方の硬質磁性膜は磁
    壁移動で磁化反転する磁化特性であることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記基板側に近い方に設けた硬質磁性膜
    は面内磁気異方性を有する磁気特性であって、前記基板
    側から離れた方に設けた硬質磁性膜は垂直磁気異方性を
    有する磁化特性であることを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 基板上に相異なる磁化特性を有する硬質
    磁性膜を積層する多層構造磁気記録媒体において、前記
    基板側に近い方に設けた硬質磁性膜は面内磁気異方性を
    有する磁気特性であって、前記基板側から離れた方に設
    けた硬質磁性膜は垂直磁気異方性を有する磁化特性であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記相対向する硬質磁性膜間に非磁性膜
    を設けることを特徴とする請求項1乃至3記載の磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 前記相対向する硬質磁性膜間に斜方磁気
    異方性の磁性膜を設けることを特徴とする請求項1乃至
    3記載の磁気記録媒体。
JP443592A 1992-01-14 1992-01-14 磁気記録媒体 Pending JPH05189737A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6835444B2 (en) 2001-04-13 2004-12-28 Fujitsu Limited Magnetic recording medium using a perpendicular magnetic film having a tBr not exceeding one-fifth of a tBr of an in-plane magnetic film
US7927724B2 (en) 2004-05-28 2011-04-19 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Magnetic recording media with orthogonal anisotropy enhancement or bias layer

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