JPH0518966U - 横跳上げ式車両用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車内で荷台等のスペースを増大させるために
横跳上げ式に構成されている車両用シートに対し、シー
ト前後方向へのスライド機能を付加する。 【構成】 シートクッション１１の一側寄りの部分に、
第１のシートスライド機構１７を設け、これをヒンジ部
１６により車室床面１４上の固定部１５に回動可能に支
持する。他側寄りの部分に、脚部２０を折畳み自在に設
ける。そして、この脚部２０に対応する車室床面１４上
に、シート前後方向に沿った固定側レール３１と、これ
に摺動自在に支持されロック爪３３を有する可動側レー
ル３２とからなるスライド機構３０を設ける。この可動
側レール３２の一部に係合ピン３４を突設し、且つ脚部
２０にこの係合ピン３４を係止保持するラッチ４１を有
するロック手段４０と、ロック爪３３のロック解除手段
１９，１９ａ等とを設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はシートクッションをシート側方に跳ね上げ回動させ得るように構成さ れてなる横跳上げ式車両用シートに関し、特にシート前後方向へのスライド機能 を付加してなる横跳上げ式車両用シートの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

たとえばワンボックスカー等において、荷台や車室内の有効利用を図ることを 目的として、横跳上げ式の車両用シートを用いたものが知られている。即ち、こ のような横跳ね上げ式車両用シートとしては、シートクッションの下側で一側寄 りの部分を、シート前後方向に沿って車室床面上にヒンジ部により軸支して設け た回動軸等によって回動可能に支持すると共に、シートクッションの他側寄りの 部分に折畳み自在な脚部を設け、この脚部に車室床面上へのロック手段を付設す ることにより構成されていた。

【０００３】 そして、このような構成によれば、車両用シートとしての機能を得ると共に、 横跳上げにより、シートクッションの通常の配設個所に、荷台（あるいは車室内 スペースやトランクルーム）等を広げ、種々の荷物を収納するにあたっての収納 効率を向上させることが可能となるものであった。 特に、このような構成を採 用すると、ワゴンやバンタイプの車両における荷台の有効利用を図るうえで効果 的であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上述した従来の横跳上げ式車両用シートでは、シートクッショ ン下側において他側寄りの部分に設けた折畳み式の脚部に、ラッチ等のロック手 段を設けると共に、これに対応する車室床面上にストライカを設け、該ラッチを ストライカに係止させることで、着脱自在な状態で固定的に設けているだけであ った。 したがって、このような従来の横跳上げ式車両用シートでは、ストライカに対 してのラッチの着脱操作によって、シートの横跳上げ状態と通常の着座姿勢状態 とを得られるものであるが、この場合に、例えば乗員の快適ポジションを選択で きるようにするシート前後方向への移動調整を行なうためのシートスライド機能 等についての何らの配慮もなく、車両用シートとして用いるうえでは、機能上か ら不十分なものであり、このような点についての何らかの対策を講じることが望 まれている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このような要請に応えるために本考案に係る横跳上げ式車両用シートは、車室 床面上にヒンジ部を介して回動可能に支持されるシートクッションの一側寄りの 部分に、シート前後方向に沿って第１のシートスライド機構を設け、この第１の シートスライド機構を前記ヒンジ部により車室床面上に回動可能に支持すると共 に、該シートクッションの他側寄りの部分に折畳み自在に設けた脚部に対応する 車室床面上に、シート前後方向に向かう第２のシートスライド機構を設けてなり 、この第２のシートスライド機構を、車室床面上に固定される固定側レールと、 この固定側レール上で摺動自在に支持され且つ該固定側レールに選択的に係合す るロック爪を有する可動側レールとから構成し、この可動側レールの一部に係合 ピンを突設すると共に、この係合ピンを選択的に係止保持するラッチを有するロ ック手段と前記ロック爪のロック解除手段とを、前記脚部に設けるようにしたも のである。

【０００６】

【作用】

本考案によれば、シートクッションを通常の着座姿勢としたときには、その他 側寄りに設けられている折畳み式脚部のロック手段のラッチが、第２のシートス ライド機構の可動側レールに、係合ピンを介して連結保持されると共に、この第 ２のシートスライド機構をも連動して操作するシートクッションの一側寄りに設 けられる第１のシートスライド機構側のロック解除手段が非作動状態とされるこ とにより、該ロック爪がこの第２のシートスライド機構を構成する両レールを一 体化し、前記第１のシートスライド機構側でのロック状態と協働して、シートの 移動を所定の位置でロックし、且つ前記ロック解除手段を解除操作し、第１のシ ートスライド機構のロック解除と共に前記ロック爪を外すことにより、シート全 体を前後方向にスライド移動させ得るものである。

【０００７】 また、上述したロック状態において、第２のシートスライド機構におけるロッ ク手段を操作し、ラッチを外すことにより、シート全体を横方向に跳上げ回動さ せ得ると共に、該第２のシートスライド機構を構成する可動側レールは、固定側 レール上でロック爪のロック機能にて固定状態で維持される。したがって、シー トを元の着座姿勢状態に戻したときには、該ロック手段のラッチが再び可動側レ ールの係合ピンに係合し、これをロック保持することでシートとして使用可能な 状態となるものである。

【０００８】

【実施例】

図１乃至図７は本考案に係る横跳上げ式車両用シートの一実施例を示すもので あり、これらの図において、符号１０は本考案を特徴づける横跳上げ式車両用シ ートで、このシート１０は、例えばワンボックスカー等において運転席以外の後 部座席や助手席に用いられるシートに適用して効果を発揮し得るものである。

【０００９】 ここで、図中１１はシート１０を構成するシートクッション、１２はこのシー トクッション１１の後端部にリクライニング機構等により傾動可能な状態で立設 されているシートバックである。 また、図中１４はこのシート１０が配設され る車両の車室床面、１５はこの車室床面１４上でシートクッション１１下方の一 側寄りの部分にシート前後方向に沿って膨出して設けられた固定部である。

【００１０】 そして、この固定部１５上でシート１０の前後方向に所定間隔をおいて対向す るように一対のヒンジブラケット１６，１６がヒンジ部として設けられ、その間 には、シートクッション１１の一側部寄りの部分をシート前後方向に移動可能に 支持する第１のシートスライド機構１７を構成する固定側レール１８ａが支架さ れて、その両端部が該ヒンジブラケット１６，１６により回動可能に支持されて いる。ここで、このシートクッション１１の一側部は、第１のシートスライド機 構１７の可動側レール１８ｂ上に設けられ、シート前後方向に移動可能に支持さ れ、且つ後述する跳上げ時に第１のシートスライド機構１７全体が、ヒンジブラ ケット１６，１６により回動されるようになっている。

【００１１】 また、図中１９はこの第１のシートスライド機構１７の一部に設けられ両レー ル１８ａ，１８ｂをロックする周知のロック機構部１７ａを外部からの回動操作 によってロック解除するためのロック解除操作レバーで、このレバー１９のロッ ク解除操作は、後述するシートクッション１１の他方側の脚部における車室床面 １４に対してのロック状態をも連動して解除するように構成されている。

【００１２】 ２０はシートクッション１１の下方で他側寄りの部分に折畳み自在に設けられ 且つ車室床面１４側へのロック手段を有する折畳み式脚部で、この脚部２０は、 シートクッション１１の下面で前後方向の両側に設けられたヒンジブラケット２ １，２１によりシート内側方向に折畳み可能に軸支されている。

【００１３】 さて、本考案によれば、上述したようにシートクッション１１の一側が車室床 面１４側にヒンジ部により回動可能に支持されると共に他側に折畳み式の脚部２ ０を有する横跳上げ式の車両用シート１０において、該シートクッション１１の 一側寄りの部分に、図１乃至図５から明らかなように、シート前後方向に沿って 第１のシートスライド機構１７を設け、この第１のシートスライド機構１７を前 記ヒンジブラケット１６，１６により車室床面１４上の固定部１５に回動可能に 支持すると共に、該シートクッション１１の他側寄りの部分に折畳み自在に設け た脚部２０に対応する車室床面１４上に、シート前後方向に向かう第２のシート スライド機構３０を設けてなり、この第２のシートスライド機構３０を、車室床 面１４上に固定される固定側レール３１と、この固定側レール３１上で摺動自在 に支持され且つ該固定側レール３１に選択的に係合するロック爪３３を有する可 動側レール３２（図２等参照）とから構成し、この可動側レール３２の一部に係 合ピン３４，３４を側方に向かって突設すると共に、この係合ピン３４，３４を 選択的に係止保持するラッチ４１，４１を有するロック手段４０と前記ロック爪 ３３のロック解除手段として前記ロック解除操作レバー１９側に連結されるレリ ーズワイヤ１９ａを、前記脚部２０に設けるようにしたところに特徴を有してい る。

【００１４】 ここで、上述した第２のシートスライド機構３０を構成する可動側レール３２ は、図２及び図３等から明らかなように、固定側レール３１内に組み込まれ且つ ローラ３５，３５によりシート前後方向に移動可能に設けられている。そして、 この可動側レール３２の長手方向中央部分には、ブラケット３６により上下動可 能に保持され且つスプリング３７により常時下方への付勢力が与えられているロ ック爪３３が設けられ、このロック爪３３が、前記固定側レール３１の長手方向 に穿設されている多数のロック穴（図示は省略する）の任意の位置に係入される ことにより、この可動側レール３２を、固定側レール３１の任意の位置でロック し、一体化するように構成されている。

【００１５】 このロック爪３３は、その一側から切り込まれた係止溝３８を有し、この係止 溝３８には、前記ロック解除操作レバー１９とレリーズワイヤ１９ａを介して連 結されるロック解除手段としての係止部３９が、選択的に係止されるように構成 されている。そして、この係止部３９の係止状態において、前記操作レバー１９ が操作されたときには、前記第１のシートスライド機構１７側のロックが解除さ れると共に、図３等から明らかなように、該ロック爪３３を、スプリング３７の 付勢力に抗して上方に移動させ、両レール３１，３２のロック状態を解除し得る ようになっている。尚、この係止部３９は、後述するロック手段４０を構成する 前後ラッチ機構４２，４２を連結する連結リンクレバー４３の一部に軸支されて いるレバー３９ａの自由端に設けられ、シート１０の横跳上げ操作時には、該リ ンクレバー４３の動きに連動して図４に示すように、係止溝３８から外れ、ロッ ク解除操作レバー１９の操作にかかわらず、ロック爪３３のレール３１，３２の ロック状態を維持し得るようになっている。

【００１６】 また、上述したシートクッション１１側の折畳み式脚部２０には、図１、図３ さらに図６や図７から明らかなようなラッチ機構４２，４２が、ロック手段４０ として設けられている。これを簡単に説明すると、このラッチ機構４２，４２は 、前記可動側レール３２の係合ピン３４，３４に対応して、前後方向の二位置に 設けられ、かつこれらを連動して動作させるための連結リンクレバー４３が、図 ３から明らかなように、それぞれの可動レバー部４４，４４に連結されるととも に、その一端には該レバー４３をロックＯＮまたはロックＯＦＦ位置に切換え操 作するためのラッチ操作レバー４５が付設されている。

【００１７】 尚、図３等において、４２ａはラッチ機構４２を構成し脚部２０側に固定され る本体部、４６はこの本体部４２ａ内に回動可能に設けられたラッチ４１の一端 と前記可動レバー部４４との間に掛け渡された引張りスプリングで、該レバー部 ４４が、ロックＯＮの位置にあるときには、ラッチ４１は本体部４２ａの下側に 設けられたロック溝４７内に先端部を臨ませ、前記係合ピン３４を係止し得る状 態とされ、且つレバー部４４がロックＯＦＦの位置に操作されると、ラッチ４１ も回動して係合ピン３４を非係合状態とし得るようになっている。

【００１８】 以上の構成によれば、シートクッション１１を図１に示すように通常の着座姿 勢としたときには、その脚部２０のロック手段４０のラッチ４１，４１が、第２ のシートスライド機構３０の可動側レール３２に、係合ピン３４，３４を介して 連結保持されると共に、この第２のシートスライド機構３０をも連動して操作す るシートクッション１１の一側寄りに設けられる第１のシートスライド機構１７ 側のロック解除手段である操作レバー１９は非作動状態とされることにより、該 ロック爪３３が第２のシートスライド機構３０を構成する両レール３１，３２を 一体化し、前記第１のシートスライド機構１７側でのロック状態と協働して、シ ート１０の移動を、所定の位置でロックし、且つロック解除操作レバー１９を操 作しレリーズワイヤ１９ａを介してロック爪３３を外すことにより、シート１０ 全体を、前後方向にスライド移動させ得るものである。すなわち、このときには 、操作レバー１９は、ワイヤ１９ａを介してロック爪３３の係止溝３８に係入し ている係止部３９と連結され、その動きをロック爪３３に伝えることができるよ うになっている。 したがって、この操作レバー１９を解除操作すれば、両側のスライド機構１７ ，３０のロックが解除され、その結果シート１０を前後動させて所要のスライド 位置で再びロックすることが可能となるものである。

【００１９】 また、上述したロック状態において、第２のシートスライド機構３０における ロック手段４０を操作し、ラッチ４１，４１を外すと、シート１０側の脚部２０ を、第２のスライド機構３０側から切り離すことが可能となり、これによりシー ト１０全体を横方向に跳上げ回動させ得ると共に、該第２のシートスライド機構 ３０を構成する可動側レール３２は、固定側レール３１上でロック爪３３のロッ ク機能にて固定状態で維持される。これは、図４から明らかなように、操作レバ ー１９とワイヤ１９ａにて連結される係止部３９が、連結リンクレバー４３の動 きに伴ってロック爪３３側から外れ、ロック爪３３のロック状態はそのままであ ることから、容易に理解されよう。

【００２０】 他方、上述した横跳上げ状態から、シート１０を元の着座姿勢状態に戻したと きには、該ロック手段４０のラッチ４１，４１が、再び可動側レール３２の係合 ピン３４，３４に係合し、これをロック保持することで、シート１０として使用 可能な状態となることは、容易に理解されよう。

【００２１】 なお、本考案は上述した実施例構造に限定されず、横跳上げ式車両用シート１ ０各部の形状、構造等を、必要に応じて適宜変形、変更することは自由であり、 種々の変形例が考えられよう。例えば上述した実施例における固定部１５の高さ を低くし、シートクッション１１の一側寄りに脚部を設けてもよく、また第１の シートスライド機構１７やこれを回動可能に支持するヒンジ部の構造や高さ位置 、またシートクッション１１の他側寄りに設けられる折畳み式の脚部２０の構造 や高さ、この脚部２０に設けられるロック手段４０、さらにこれに対応して第２ のシートスライド機構３０の可動側レール３２に設けられる係合ピン３４，３４ 等を始めとする各部の構造について、種々の変形例が考えられることは言うまで もない。 また、本考案を適用する車両用シートとしては、車室床面１４上でのスペース を荷台等として兼用して使用することが必要とされる各種車両に用いられるもの であれば、適用して効果を発揮し得ることは、容易に理解されよう。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案に係る横跳上げ式車両用シートによれば、車室床面 上に回動可能に支持されるシートクッションの一側寄りの部分に、シート前後方 向に沿って第１のシートスライド機構を設け、この第１のシートスライド機構を ヒンジ部により車室床面上に回動可能に支持すると共に、該シートクッションの 他側寄りの部分に折畳み自在に設けた脚部に対応する車室床面上に、シート前後 方向に向かう第２のシートスライド機構を設けてなり、この第２のシートスライ ド機構を、車室床面上に固定される固定側レールとこれに摺動自在に支持され且 つ該固定側レールに選択的に係合するロック爪を有する可動側レールとから構成 し、この可動側レールの一部に係合ピンを突設すると共に、この係合ピンを選択 的に係止保持するラッチを有するロック手段とロック爪のロック解除手段とを、 前記脚部に設けるようにしたので、簡単且つ安価な構成にもかかわらず横跳上げ 式の車両用シートにおいてもスライド機能を発揮させ得るもので、これにより車 両用シートとしての機能を適切に得ると共に、横跳上げシートとしての機能つま り荷台等のスペースの有効利用化といった機能を発揮させ得るという実用上種々 優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る横跳上げ式車両用シートの一実施
例を示す要部構成を示す概略斜視図。

【図２】本考案を特徴づける第２のシートスライド機構
における可動側レールの概略構成を説明するための概略
斜視図。

【図３】本考案を特徴づける第２のシートスライド機構
および折畳み式脚部側のロック手段の関係を説明するた
めの要部拡大断面図。

【図４】図３においてロック爪とロック解除手段との関
係を説明するための概略図。

【図５】車両用シートを横跳上げした状態を説明するた
めの概略斜視図。

【図６】折畳み式脚部側に設けられるロック手段を構成
するラッチ機構の詳細図。

【図７】図６に示したラッチ機構の概略側面図。

【符号の説明】

１０ 横跳上げ式車両用シート １１ シートクッション １４ 車室床面 １６ ヒンジブラケット １７ 第１のシートスライド機構 １７ａ ロック機構部 １８ａ 固定側レール １８ｂ 可動側レール １９ ロック解除操作レバー ２０ 折畳み式脚部 ３０ 第２のシートスライド機構 ３１ 固定側レール ３２ 可動側レール ３３ ロック爪 ３４ 係合ピン ３８ 係止溝 ３９ 係止部 ３９ａ レバー ４０ ロック手段 ４１ ラッチ ４２ ラッチ機構 ４３ 連結リンクレバー ４４ 可動レバー部 ４５ ラッチ操作レバー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッションの下側で一側寄りの部
   分を、車室床面上にヒンジ部を介して回動可能に支持す
   ると共に、このシートクッション下側の他側寄りの部分
   に、車室床面側へのロック手段を有する脚部を折畳み自
   在に設けてなる横跳上げ式車両用シートにおいて、前記
   シートクッションの一側寄りの部分に、シート前後方向
   に沿って第１のシートスライド機構を設け、この第１の
   シートスライド機構を前記ヒンジ部により車室床面上に
   回動可能に支持すると共に、該シートクッションの他側
   寄りの部分に設けた前記脚部に対応する車室床面上に、
   シート前後方向に向かう第２のシートスライド機構を設
   けてなり、この第２のシートスライド機構を、車室床面
   上に固定される固定側レールと、この固定側レール上で
   摺動自在に支持され且つ該固定側レールに選択的に係合
   するロック爪を有する可動側レールとから構成し、この
   可動側レールの一部に係合ピンを突設すると共に、前記
   脚部に、該係合ピンを選択的に係止保持するラッチを有
   するロック手段と、前記ロック爪のロック解除手段とを
   設けたことを特徴とする横跳上げ式車両用シート。