JPH0518913B2 - - Google Patents
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- JPH0518913B2 JPH0518913B2 JP33637287A JP33637287A JPH0518913B2 JP H0518913 B2 JPH0518913 B2 JP H0518913B2 JP 33637287 A JP33637287 A JP 33637287A JP 33637287 A JP33637287 A JP 33637287A JP H0518913 B2 JPH0518913 B2 JP H0518913B2
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Description
[産業上の利用分野]
この発明は、自動車などのアルコール系燃料タ
ンク用の燃料による腐食に耐える耐食性と、タン
ク成形に要求される加工性とを有する表面処理鋼
板に関するものである。 [従来技術] 航空機や自動車などの燃料タンクでは、その腐
食は重要な問題である。 孔食によるタンク漏れは勿論、腐食生成物が燃
料の循環を阻害し、走行に支障を来すこともあ
る。従つて、これらのタンクを作る材料はタンク
の成形に耐え得る加工性と、燃料による腐食に耐
える耐食性とを兼ね備えていなければならない。 従来、自動車の燃料には、一般にガソリンが用
いられ、ガソリンタンクの燃料にはZn鍍金鋼板
や、ターンシートと呼ばれるPb−Sn合金鍍金鋼
板が使われてきた。これらの表面処理鋼板はガソ
リンに対する耐食性も良好で、且つ燃料タンクを
成形する工程で要求される加工性にも優れた特性
を有していた。 しかしながら、石油シヨツク以降の代替エネル
ギーの開発や、公害問題などから、近年ガソリン
に替えてアルコールが使われ始めた。即ち、アル
コールをガソリンに混合した燃料や、アルコール
そのものを燃料とする使用方法で、欧米では既に
一部が実用化されている。 ここで問題になつてくるのが、アルコールの腐
食性である。アルコールやアルコールとガソリン
の混合燃料即ちアルコール系燃料は、ガソリンに
較べて、強い腐食性を有しており、従来のガソリ
ンタンク用表面処理鋼板では、耐食性を期待する
ことが困難になつてきた。PbやZnがアルコール
そのものに腐食され易いことが、その第一の理由
であるが、アルコールの吸湿性に基ずく作用や劣
化生成物がまた腐食を促進する。 アルコールは容易に水を吸収し、それによつて
溶液の電気伝導度が上昇する。伝導度が上昇する
と、電位を異にする金属の接触電解腐食が促進さ
れる。又、アルコールとガソリンの混合燃料に水
が混ずるとガソリンとアルコール水溶液とが二相
に分離し、アルコール水溶液による腐食が起こ
る。更に、アルコールが劣化してくると、その酸
化生成物であるアルデヒドや有機酸が増加し、こ
れが燃料の電気伝導度を上昇させ接触電解腐食を
促進すると共に、PbやZnなどの金属自体の溶解
も促進する。 アルコールはこのように作用するので、従来の
燃料タンク用表面処理鋼板であるZn鍍金鋼板や
Pb−Sn合金鍍金鋼板をアルコール系燃料タンク
に使用すると、孔食によりタンクに穴があいた
り、鍍金層の素早い溶解が起きて不溶性の白色沈
殿物を生じたりする。この沈殿物は燃料循環系統
に目づまりを発生させ、走行を妨げる原因ともな
る。 このような状況から、最近ではこれらに替わる
新しい表面処理鋼板の研究が行われており、アル
コールの腐食に耐えるSnやNi,Co等の金属を用
いた表面処理鋼板が提案されている。例えば、特
開昭61−295399ではNi−Zn合金鍍金層の上にAl
もしくはAl合金鍍金層を附した表面処理鋼板が
開示されており、又、特開昭62−3375ではZn或
はZn−Ni合金鍍金層の上に、第二層としてNi−
Fe合金鍍金を施すことが開示されている。しか
し、これらの鍍金層の組合わせ方は、腐食し易い
方の鍍金層の上に腐食し難い鍍金層を附して、下
の鍍金層を保護しようとするものである。この場
合、下の鍍金層が腐食してなくなつた部分では、
上の鍍金層が固体のまま脱落し、燃料の循環を阻
害する恐れが多分にある。 この問題を避けて、上記特開昭62−33795では、
純アルコールに対して耐食性の良いNi−Fe合金
鍍金の単層処理鋼板が開示されている。 [発明が解決しようとする問題点] 純粋のアルコール中では、Ni−Fe合金は良好
な耐食性を示し、且つその電極電位も鋼に較べて
わずかに卑であり、犠牲防食作用により鋼を保護
する。 しかしながら、この防食作用は鋼保護するため
に自らは溶け出して行くのであるから、その寿命
が問題になる。又、アルコールが劣化してきて蟻
酸が増えてくると、この電位関係は逆転し、Ni
−Fe合金鍍金層は鋼とアルコールとを隔てる役
割(バリヤー効果)しか果たさなくなる。しか
も、このような環境では、Ni−Fe合金中のFeだ
けが選択的に溶解し、鍍金層はそのバリヤー効果
を短期間で失つてしまう。 この発明は、このような問題を解決するために
なされたもので、鍍金被膜がアルコール中に容易
に溶出せず、尚且つ、アルコールが劣化しても、
鍍金被膜の健全性の保てる表面処理鋼板の提供を
目的とするものである。 [問題点を解決するための手段] この発明は、鋼板の少なくとも片面に、第一層
として厚さ0.1μm〜10μmのNi−Fe合金鍍金層を
有し、その上に第二層として厚さ0.1μm〜10μm
のAl鍍金層を有することを特徴とするアルコー
ル系燃料タンク用表面処理鋼板である。 純粋なアルコールの中で、金属や合金の電位
は、貴の方から鋼、Ni−Fe合金、Alの順であ
る。Ni−Fe合金鍍金層の上に、第二層として、
Al鍍金層があると、第二層は犠牲陽極として作
用し、Ni−Fe合金鍍金層を防食する。即ち、こ
の発明では、電位系列に従つて、より卑なる層が
外側を覆つている。このため、第二層と第一層と
の間の電位差は、第二層と鋼との間のそれより小
さく、第二層が犠牲的に溶解する量は、鋼の上に
直接第二層が存在する場合に較べて、ずつと小さ
くなる。従つて、このような鍍金被膜構造になつ
ていると、第二層の寿命が長く、これに保護され
るNi−Fe合金鍍金の第一層の寿命は大幅に延び
て長くなる。 次に、アルコールが劣化してきて蟻酸が増えて
くると、これらの電位は逆転する。即ち貴なる方
から、Al,Ni−Fe合金、鋼の順となる。このた
め、劣化したアルコール系燃料中では、Ni−Fe
合金鍍金層はもはや下地の鋼を犠牲的に防食する
ことはなく、鋼と燃料とを隔てるバリヤーの役目
を果たすのみである。しかも、この状況では、
Ni−Fe合金鍍金層中のFeは選択的に溶解する。
このとき、第二層としてAl鍍金層があると、こ
の層がFeの溶出を防止する。このため劣化した
アルコール中に於いても、鍍金層の防食作用は長
く続くことになる。 以上の防食性能に加えて、Ni−Fe合金鍍金層
及びAl鍍金層はともに下地との密着性が良く、
しかもAl鍍金層は展延性に富み、加工に際して
破壊されることがない。このため、厳しい加工を
受けて容器に成形された後でも十分にその防食性
能を維持することが出来る。 Ni−Fe合金鍍金層は、電気鍍金したものでも
よく、又、イオプレーテイングのようなドライプ
セスによつて形成されたものでもよい。Al鍍金
層は、有機溶媒や溶融塩を用いて電気鍍金したも
のでもよく、又ドライプロセスよつて形成された
ものでもよい。 鍍金層の厚さは各々0.1μm〜10μmが適当であ
る。0.1μm以下ではピンホールのような被膜欠陥
を避け得ないおそれがあり、又、犠牲防食作用の
ような鍍金層の特性を発揮するのに十分ではな
い。厚ければそれだけ防食性能は高まるが、
10μmの厚さがあれば十分である。 [作用] 本発明においては純粋アルコール中では第2層
のAl鍍金層が第1層のNi−Fe合金鍍金層を犠牲
防食的に、又劣化したアルコール中では第2層の
Al鍍金層が第1層をバリヤーとして保護するの
で耐食性が優れる。又下地鋼板と第1層、第1層
と第2層との密着性が良く、第2層のAl鍍金層
が展延性に冨んでいるので、加工により鍍金層が
破壊されることがないので加工後の耐食性も優れ
ている。 [発明の実施例] 電気鍍金によつてNi−Fe合金鍍金を施し、そ
の上に、Al鍍金層を真空蒸着によつて形成し鍍
金鋼板を腐食評価液に浸せきし、耐食性を評価し
た。 第一層のNi−Fe合金鍍金はFe含有率50%,75
%で、次の条件で施されたものである。 浴組成;NiSO4・6H2O 170g/l,NiCl2・
6H2O 50g/l,FeSO4・7H2O 70g/
l,FeCl2・4H2O 10g/l,H3BO350g/
l,PH2.8,温度;55℃、電流密度;5A/d
m2。 第二層のAl真空蒸着は、真空度10-5Torr、板
温250℃、蒸着速度0.01μm/secで、蒸着源の加
熱にはエレクトロンビームを用いて行われたもの
である。 耐食性評価は次のように行つた。 供試材の内、加工するものとしないものとに分
け、加工はエリクセン試験機を用いて7粍まで押
し出し、腐食試験の対象とした。腐食評価液は、
メタノール90%・水10%の溶液に蟻酸を各々
100ppm,300ppm,400ppm加えたもので、この
評価液に一週間浸せきした後、鉄錆の発生状況を
観察して評価した。 なお、試験には、従来技術例のNi−Fe合金鍍
金、Ni鍍金、Pb−Sn合金鍍金、Zn鍍金を各々施
した処理鋼鈑を同時に供し、比較した。 これらの、鍍金処理の種類と試験の結果を第1
表に示す。
ンク用の燃料による腐食に耐える耐食性と、タン
ク成形に要求される加工性とを有する表面処理鋼
板に関するものである。 [従来技術] 航空機や自動車などの燃料タンクでは、その腐
食は重要な問題である。 孔食によるタンク漏れは勿論、腐食生成物が燃
料の循環を阻害し、走行に支障を来すこともあ
る。従つて、これらのタンクを作る材料はタンク
の成形に耐え得る加工性と、燃料による腐食に耐
える耐食性とを兼ね備えていなければならない。 従来、自動車の燃料には、一般にガソリンが用
いられ、ガソリンタンクの燃料にはZn鍍金鋼板
や、ターンシートと呼ばれるPb−Sn合金鍍金鋼
板が使われてきた。これらの表面処理鋼板はガソ
リンに対する耐食性も良好で、且つ燃料タンクを
成形する工程で要求される加工性にも優れた特性
を有していた。 しかしながら、石油シヨツク以降の代替エネル
ギーの開発や、公害問題などから、近年ガソリン
に替えてアルコールが使われ始めた。即ち、アル
コールをガソリンに混合した燃料や、アルコール
そのものを燃料とする使用方法で、欧米では既に
一部が実用化されている。 ここで問題になつてくるのが、アルコールの腐
食性である。アルコールやアルコールとガソリン
の混合燃料即ちアルコール系燃料は、ガソリンに
較べて、強い腐食性を有しており、従来のガソリ
ンタンク用表面処理鋼板では、耐食性を期待する
ことが困難になつてきた。PbやZnがアルコール
そのものに腐食され易いことが、その第一の理由
であるが、アルコールの吸湿性に基ずく作用や劣
化生成物がまた腐食を促進する。 アルコールは容易に水を吸収し、それによつて
溶液の電気伝導度が上昇する。伝導度が上昇する
と、電位を異にする金属の接触電解腐食が促進さ
れる。又、アルコールとガソリンの混合燃料に水
が混ずるとガソリンとアルコール水溶液とが二相
に分離し、アルコール水溶液による腐食が起こ
る。更に、アルコールが劣化してくると、その酸
化生成物であるアルデヒドや有機酸が増加し、こ
れが燃料の電気伝導度を上昇させ接触電解腐食を
促進すると共に、PbやZnなどの金属自体の溶解
も促進する。 アルコールはこのように作用するので、従来の
燃料タンク用表面処理鋼板であるZn鍍金鋼板や
Pb−Sn合金鍍金鋼板をアルコール系燃料タンク
に使用すると、孔食によりタンクに穴があいた
り、鍍金層の素早い溶解が起きて不溶性の白色沈
殿物を生じたりする。この沈殿物は燃料循環系統
に目づまりを発生させ、走行を妨げる原因ともな
る。 このような状況から、最近ではこれらに替わる
新しい表面処理鋼板の研究が行われており、アル
コールの腐食に耐えるSnやNi,Co等の金属を用
いた表面処理鋼板が提案されている。例えば、特
開昭61−295399ではNi−Zn合金鍍金層の上にAl
もしくはAl合金鍍金層を附した表面処理鋼板が
開示されており、又、特開昭62−3375ではZn或
はZn−Ni合金鍍金層の上に、第二層としてNi−
Fe合金鍍金を施すことが開示されている。しか
し、これらの鍍金層の組合わせ方は、腐食し易い
方の鍍金層の上に腐食し難い鍍金層を附して、下
の鍍金層を保護しようとするものである。この場
合、下の鍍金層が腐食してなくなつた部分では、
上の鍍金層が固体のまま脱落し、燃料の循環を阻
害する恐れが多分にある。 この問題を避けて、上記特開昭62−33795では、
純アルコールに対して耐食性の良いNi−Fe合金
鍍金の単層処理鋼板が開示されている。 [発明が解決しようとする問題点] 純粋のアルコール中では、Ni−Fe合金は良好
な耐食性を示し、且つその電極電位も鋼に較べて
わずかに卑であり、犠牲防食作用により鋼を保護
する。 しかしながら、この防食作用は鋼保護するため
に自らは溶け出して行くのであるから、その寿命
が問題になる。又、アルコールが劣化してきて蟻
酸が増えてくると、この電位関係は逆転し、Ni
−Fe合金鍍金層は鋼とアルコールとを隔てる役
割(バリヤー効果)しか果たさなくなる。しか
も、このような環境では、Ni−Fe合金中のFeだ
けが選択的に溶解し、鍍金層はそのバリヤー効果
を短期間で失つてしまう。 この発明は、このような問題を解決するために
なされたもので、鍍金被膜がアルコール中に容易
に溶出せず、尚且つ、アルコールが劣化しても、
鍍金被膜の健全性の保てる表面処理鋼板の提供を
目的とするものである。 [問題点を解決するための手段] この発明は、鋼板の少なくとも片面に、第一層
として厚さ0.1μm〜10μmのNi−Fe合金鍍金層を
有し、その上に第二層として厚さ0.1μm〜10μm
のAl鍍金層を有することを特徴とするアルコー
ル系燃料タンク用表面処理鋼板である。 純粋なアルコールの中で、金属や合金の電位
は、貴の方から鋼、Ni−Fe合金、Alの順であ
る。Ni−Fe合金鍍金層の上に、第二層として、
Al鍍金層があると、第二層は犠牲陽極として作
用し、Ni−Fe合金鍍金層を防食する。即ち、こ
の発明では、電位系列に従つて、より卑なる層が
外側を覆つている。このため、第二層と第一層と
の間の電位差は、第二層と鋼との間のそれより小
さく、第二層が犠牲的に溶解する量は、鋼の上に
直接第二層が存在する場合に較べて、ずつと小さ
くなる。従つて、このような鍍金被膜構造になつ
ていると、第二層の寿命が長く、これに保護され
るNi−Fe合金鍍金の第一層の寿命は大幅に延び
て長くなる。 次に、アルコールが劣化してきて蟻酸が増えて
くると、これらの電位は逆転する。即ち貴なる方
から、Al,Ni−Fe合金、鋼の順となる。このた
め、劣化したアルコール系燃料中では、Ni−Fe
合金鍍金層はもはや下地の鋼を犠牲的に防食する
ことはなく、鋼と燃料とを隔てるバリヤーの役目
を果たすのみである。しかも、この状況では、
Ni−Fe合金鍍金層中のFeは選択的に溶解する。
このとき、第二層としてAl鍍金層があると、こ
の層がFeの溶出を防止する。このため劣化した
アルコール中に於いても、鍍金層の防食作用は長
く続くことになる。 以上の防食性能に加えて、Ni−Fe合金鍍金層
及びAl鍍金層はともに下地との密着性が良く、
しかもAl鍍金層は展延性に富み、加工に際して
破壊されることがない。このため、厳しい加工を
受けて容器に成形された後でも十分にその防食性
能を維持することが出来る。 Ni−Fe合金鍍金層は、電気鍍金したものでも
よく、又、イオプレーテイングのようなドライプ
セスによつて形成されたものでもよい。Al鍍金
層は、有機溶媒や溶融塩を用いて電気鍍金したも
のでもよく、又ドライプロセスよつて形成された
ものでもよい。 鍍金層の厚さは各々0.1μm〜10μmが適当であ
る。0.1μm以下ではピンホールのような被膜欠陥
を避け得ないおそれがあり、又、犠牲防食作用の
ような鍍金層の特性を発揮するのに十分ではな
い。厚ければそれだけ防食性能は高まるが、
10μmの厚さがあれば十分である。 [作用] 本発明においては純粋アルコール中では第2層
のAl鍍金層が第1層のNi−Fe合金鍍金層を犠牲
防食的に、又劣化したアルコール中では第2層の
Al鍍金層が第1層をバリヤーとして保護するの
で耐食性が優れる。又下地鋼板と第1層、第1層
と第2層との密着性が良く、第2層のAl鍍金層
が展延性に冨んでいるので、加工により鍍金層が
破壊されることがないので加工後の耐食性も優れ
ている。 [発明の実施例] 電気鍍金によつてNi−Fe合金鍍金を施し、そ
の上に、Al鍍金層を真空蒸着によつて形成し鍍
金鋼板を腐食評価液に浸せきし、耐食性を評価し
た。 第一層のNi−Fe合金鍍金はFe含有率50%,75
%で、次の条件で施されたものである。 浴組成;NiSO4・6H2O 170g/l,NiCl2・
6H2O 50g/l,FeSO4・7H2O 70g/
l,FeCl2・4H2O 10g/l,H3BO350g/
l,PH2.8,温度;55℃、電流密度;5A/d
m2。 第二層のAl真空蒸着は、真空度10-5Torr、板
温250℃、蒸着速度0.01μm/secで、蒸着源の加
熱にはエレクトロンビームを用いて行われたもの
である。 耐食性評価は次のように行つた。 供試材の内、加工するものとしないものとに分
け、加工はエリクセン試験機を用いて7粍まで押
し出し、腐食試験の対象とした。腐食評価液は、
メタノール90%・水10%の溶液に蟻酸を各々
100ppm,300ppm,400ppm加えたもので、この
評価液に一週間浸せきした後、鉄錆の発生状況を
観察して評価した。 なお、試験には、従来技術例のNi−Fe合金鍍
金、Ni鍍金、Pb−Sn合金鍍金、Zn鍍金を各々施
した処理鋼鈑を同時に供し、比較した。 これらの、鍍金処理の種類と試験の結果を第1
表に示す。
【表】
【表】
○;錆の発生なし、△;一部錆発生、×;
全面錆び発生
実施例では、加工しないものも加工したもの
も、腐食評価液浸せき後錆の発生は全く見られな
かつた。一方、従来技術例では、Ni−Fe合金鍍
金鋼板が蟻酸濃度の低い時は良いが、濃度が高く
なると錆が発生してくる。Pb−Sn合金鍍金鋼板
とZn鍍金鋼板では蟻酸濃度が低くても、錆が発
生した。 念のため、実施例について、加工後の鍍金被膜
を顕微鏡で拡大観察したが、被膜にはクラツクや
剥離などの欠陥は認められず、Ni−Fe合金鍍金
層Al鍍金層共に、密着性も良好で優れた加工性
を有していることが確認された。 [発明の効果] この発明による鍍金処理鋼板では、第一層の上
に、Al鍍金の第二層を有しており、これが犠牲
防食的に或はバリヤーとして働くので、新しいア
ルコール系燃料中では勿論、劣化して蟻酸が増え
た場合でも、二重の各鍍金層は互いに補い合つて
長期に亘り防食効果を発揮する。これに加えて、
両鍍金層共に密着性が良く、しかも上層のAlは
展延性に富み、苛酷な加工に耐える鍍金被膜を有
している。従来、アルコール系燃料タンク用に適
した耐食性と加工性とを備えた表面処理鋼板は作
られておらず、これを実現したこの発明の効果は
大である。
全面錆び発生
実施例では、加工しないものも加工したもの
も、腐食評価液浸せき後錆の発生は全く見られな
かつた。一方、従来技術例では、Ni−Fe合金鍍
金鋼板が蟻酸濃度の低い時は良いが、濃度が高く
なると錆が発生してくる。Pb−Sn合金鍍金鋼板
とZn鍍金鋼板では蟻酸濃度が低くても、錆が発
生した。 念のため、実施例について、加工後の鍍金被膜
を顕微鏡で拡大観察したが、被膜にはクラツクや
剥離などの欠陥は認められず、Ni−Fe合金鍍金
層Al鍍金層共に、密着性も良好で優れた加工性
を有していることが確認された。 [発明の効果] この発明による鍍金処理鋼板では、第一層の上
に、Al鍍金の第二層を有しており、これが犠牲
防食的に或はバリヤーとして働くので、新しいア
ルコール系燃料中では勿論、劣化して蟻酸が増え
た場合でも、二重の各鍍金層は互いに補い合つて
長期に亘り防食効果を発揮する。これに加えて、
両鍍金層共に密着性が良く、しかも上層のAlは
展延性に富み、苛酷な加工に耐える鍍金被膜を有
している。従来、アルコール系燃料タンク用に適
した耐食性と加工性とを備えた表面処理鋼板は作
られておらず、これを実現したこの発明の効果は
大である。
Claims (1)
- 1 鋼板の少なくとも片面に、第一層として厚さ
0.1μm〜10μmのNi−Fe合金鍍金層を有し、その
上に第二層として厚さ0.1μm〜10μmのAl鍍金層
を有することを特徴とするアルコール系燃料タン
ク用表面処理鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33637287A JPH01176092A (ja) | 1987-12-28 | 1987-12-28 | アルコール系燃料タンク用表面処理鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33637287A JPH01176092A (ja) | 1987-12-28 | 1987-12-28 | アルコール系燃料タンク用表面処理鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01176092A JPH01176092A (ja) | 1989-07-12 |
JPH0518913B2 true JPH0518913B2 (ja) | 1993-03-15 |
Family
ID=18298454
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33637287A Granted JPH01176092A (ja) | 1987-12-28 | 1987-12-28 | アルコール系燃料タンク用表面処理鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH01176092A (ja) |
-
1987
- 1987-12-28 JP JP33637287A patent/JPH01176092A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01176092A (ja) | 1989-07-12 |
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