JPH05188619A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH05188619A
JPH05188619A JP602592A JP602592A JPH05188619A JP H05188619 A JPH05188619 A JP H05188619A JP 602592 A JP602592 A JP 602592A JP 602592 A JP602592 A JP 602592A JP H05188619 A JPH05188619 A JP H05188619A
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JP
Japan
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group
chemical
charge
compound
formula
Prior art date
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Application number
JP602592A
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English (en)
Inventor
Masayuki Mishima
雅之 三島
Harumasa Yamazaki
晴正 山崎
Tadashi Sakuma
正 佐久間
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高感度で高耐久性を有する電子写真感光体の
提供。 【構成】 本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と
その上に設けられた電荷発生層及び電荷輸送層を必須の
構成要素とする電子写真感光体において、上記電荷発生
層中に、次の〔化1〕の一般式(I)で表されるビフェ
ニルテトラカルボン酸ジイミド化合物を含むことを特徴
とする。 【化1】 (式中、Rは炭素数8以下のアルキル基、アラルキル基
又はアリール基を、R’、R”は同一もしくは相異なっ
て炭素数8以下のアルキレン基を、Rcは炭素数8以下
のシクロアルキレン基又はアリーレン基を示す。A1
びA2 は同一もしくは相異なって、水素原子、炭素数4
以下のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、カルボン酸エ
ステル基又はハロゲン原子を示す。k、m、nは同一も
しくは相異なって0または1の整数を示す。但し、k、
m、nすべてが0になる事はない。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体に関
し、更に詳しくは、電荷発生層に、特定のビフェニルテ
トラカルボン酸ジイミド化合物を含む高感度、高耐久性
の電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子写真方式を用いた複写機、プリンターの発展はめざ
ましく、用途に応じて様々な形態、種類、機能の機種が
開発され、それに対応して用いられる電子写真感光体も
多種多様なものが開発されつつある。
【0003】従来、電子写真感光体としては、その感
度、耐久性の面から硫化カドミウム、セレン合金等の無
機化合物が主として用いられてきた。しかし、これら無
機化合物を用いた無機感光体は、有害物質である場合が
多く、公害をもたらす原因となっていた。また、感度が
良好なセレン合金を用いる場合には、蒸着法等により導
電性支持体上に薄膜を形成する必要があり、生産性が劣
り、コストアップの原因となっていた。
【0004】一方、有機化合物を用いた有機感光体は、
焼却が可能であり、無公害の利点を有し、更に多くのも
のは塗工により薄膜形成が可能で大量生産が容易であ
る。それ故にコストが大幅に低減でき、また用途に応じ
て様々な形状に加工することができるという長所を有し
ている。
【0005】上記有機感光体としては、導電性支持体上
に電荷発生層を設け、更にその上にヒドラゾン化合物、
トリアリールアミン化合物、スチルベン化合物等に代表
される正孔輸送材を含む電荷輸送層を設けた機能分離型
の感光層を有するものが主流となっている。
【0006】しかしながら、有機感光体においては、そ
の感度、耐久性に問題が残されており、高感度、高耐久
性の有機感光体の出現が強く望まれている。有機感光体
の感度が低い原因の一つとして、アゾ化合物、フタロシ
アニン化合物、多環キノン化合物、ペリレン化合物等の
電荷発生材の電荷発生効率の低さが考えられる。上記電
荷発生効率は、無機感光体ではほぼ100%であるのに
対して、有機感光体では30〜40%である。このた
め、有機感光体の電荷発生効率を上げる目的で様々な試
みが行われている。
【0007】その試みの一つとしてアクセプター性化合
物の添加が考えられる。例えばジメチルテレフタレー
ト、ベンゾキノン化合物、トリニトロフルオレノン等の
化合物の添加が試みられている。〔電子写真学会誌、2
4巻、1号、2頁(1985年)〕。
【0008】しかしながら、いずれも電荷発生効率の向
上はみられるものの、その安全性、安定性、相溶性等に
問題があり、満足するものは得られていない。
【0009】一方、有機感光体の耐久性が悪い原因とし
ては、用いられている電荷発生材や電荷輸送材等の材料
の劣化のみならず、繰り返し使用時での空間電荷の蓄積
が重要であると考えられている。この空間電荷の蓄積に
より、残留電位の上昇、初期電位の低下等が引き起こさ
れ、その結果、画像濃度の低下、文字のかすれ、コント
ラストの低下等が引き起こされる。中でも、特に負電荷
の電荷発生層内での蓄積が感光体疲労の重要な因子と考
えられるが、それを取り除く方法としては、上述の電荷
発生効率の向上と同様にアクセプター性の化合物の添加
が提案されている。(例えば、電子写真学会誌、30
巻、1号、2頁(1991年))。
【0010】しかしながら、上記アクセプター性の化合
物としては、上述の電荷発生効率の向上のために用いら
れる化合物が使用され得るのみであり、上述のようにそ
の安全性、安定性、相溶性等に問題がある。
【0011】このように、有機感光体の高感度化、高耐
久性化には多くの問題が残されており、これらを改良し
た高性能感光体が当該技術分野で強く要望されているの
が実情である。
【0012】従って、本発明の目的は、高感度で高耐久
性を有する電子写真感光体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、アクセプター性化合物
として、特定のビフェニルテトラカルボン酸ジイミド化
合物を電荷発生層中に含む電子写真感光体が、感度及び
耐久性に優れることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】即ち、本発明は、導電性支持体とその上に
設けられた電荷発生層及び電荷輸送層を必須の構成要素
とする電子写真感光体において、上記電荷発生層中に、
次の〔化2〕(〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表さ
れるビフェニルテトラカルボン酸ジイミド化合物を含む
ことを特徴とする電子写真感光体を提供するものであ
る。
【化2】 (式中、Rは炭素数8以下のアルキル基、アラルキル基
又はアリール基を、R’、R”は同一もしくは相異なっ
て炭素数8以下のアルキレン基を、Rcは炭素数8以下
のシクロアルキレン基又はアリーレン基を示す。A1
びA2 は同一もしくは相異なって、水素原子、炭素数4
以下のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、カルボン酸エ
ステル基又はハロゲン原子を示す。k、m、nは同一も
しくは相異なって0または1の整数を示す。但し、k、
m、nすべてが0になる事はない。)
【0015】以下、本発明の電子写真感光体について詳
述する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上
に、電荷発生層と電荷輸送層とを薄膜状に形成したもの
である。
【0016】本発明の電子写真感光体の上記電荷発生層
中に用いられる上記一般式(I)で表されるビフェニル
テトラカルボン酸ジイミド化合物において、上記一般式
(I)中、Rで表されるアルキル基としては、例えば、
メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブ
チル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i
−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチ
ル、n−オクチル等を挙げることができる。Rで表され
るアラルキル基としては、アリール基部分が無置換もし
くはアルキル基等で置換されたフェニル基等が挙げら
れ、該アルキレン基としては、炭素数1〜3のものが挙
げられる。従って、上記アラルキル基としては、例えば
ベンジル基、フェニルエチル基等を挙げることができ
る。。更にRで表されるアリール基としては、無置換も
しくはアルキル基等で置換されたフェニル基、ナフチル
基等を挙げることができる。
【0017】上記一般式(I)中、R’又はR”で表さ
れる直鎖もしくは分岐のアルキレン基としては、例え
ば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、i−プロピ
レン、n−ブチレン、sec−ブチレン、t−ブチレ
ン、n−ペンチレン、i−ペンチレン、ネオペンチレ
ン、n−ヘキシレン、n−オクチレン等を挙げることが
でき、メチレン、エチレン基が好ましい。上記一般式
(I)中、Rcで表されるシクロアルキレン基として
は、例えば、シクロブチレン、シクロペンチレン、シク
ロヘキシレン、シクロヘプチレン,シクロオクチレン基
等を挙げることができ、シクロヘキシレン基が好まし
い。Rcで表されるアリーレン基としては、フェニレン
基、ナフチレン基等を挙げることができる。
【0018】上記一般式(I)中、A1 又はA2 で表さ
れるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピ
ル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−
ブチル等を挙げることができる。A1 又はA2 で表され
るカルボン酸エステル基としては、エチルカルボキシレ
ート、n−ブチルカルボキシレート等を挙げることがで
きる。又、A1 又はA2 で表されるハロゲン原子として
は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子を挙げることがで
きる。
【0019】従って、上記一般式(I)で表されるビフ
ェニルテトラカルボン酸ジイミド化合物の代表的な例と
しては、次の〔化3〕〜〔化38〕の化合物(1)〜化
合物(36)が挙げられるが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0020】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【0021】上記ビフェニルテトラカルボン酸ジイミド
化合物の合成法は、特に限定されるものではなく、通常
のカルボン酸イミドを合成する際に用いられている公知
の方法に準じて合成することができる。例えば、次の
〔化39〕の一般式(II) で表されるω−アミノ酸エス
テルとビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを縮合す
ることにより得ることができる。
【化39】 H2 N−(R”)n −(Rc)m −(R’)K −COOR (II) 〔式中、R、R’、R”、Rc、k、m、nは一般式(I)と同じ〕 また、別の合成方法として、次の〔化40〕の一般式
(III)で表されるω−アミノ酸とビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物とを縮合せしめ、その後にエステル化す
る方法等も挙げられ、これらの方法により、高収率で目
的化合物を得ることができる。
【化40】 H2 N−(R”)n −(Rc)m −(R’)K −COOH (III) 〔式中、R’、R”、Rc、k、m、nは一般式(I)と同じ〕
【0022】上記ビフェニルテトラカルボン酸ジイミド
化合物は、多くの溶剤に可溶であり、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン
等の芳香族系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、ト
リクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素
等のハロゲン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテ
ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶
剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等に可溶であ
る。
【0023】本発明の電子写真感光体における電荷発生
層は、電荷発生材及び上記一般式(I)で表されるビフ
ェニルテトラカルボン酸ジイミド化合物、必要に応じて
用いられる結合剤及び添加剤から成り、導電性支持体上
に薄膜状に形成される。
【0024】上記導電性支持体としては、アルミニウ
ム、ニッケル等の金属、金属蒸着高分子フィルム、金属
ラミネート高分子フィルム等の基材を用いることがで
き、通常、ドラム状、シート状、またはベルト状の形態
に形成される。
【0025】上記電荷発生材としては、特に限定される
ことはなく、照射される特定の波長の光を吸収し、効率
よく電荷を発生するものであれば有機電荷発生材、無機
電荷発生材のいずれも好適に使用することができる。上
記有機電荷発生材としては、例えばペリレン顔料、多環
キノン顔料、無金属フタロシアニン顔料、金属フタロシ
アニン顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、チアピリ
リウム塩、スクエアリウム塩、アズレニウム顔料等が挙
げられる。上記無機電荷発生材としては、例えば、酸化
亜鉛、硫化カドミウム、セレン、セレン合金、アモルフ
ァスシリコン、アモルファスシリコンカーバイド等が挙
げられる。
【0026】上記一般式(I)で表されるビフェニルテ
トラカルボン酸ジイミド化合物の使用量は、電荷発生材
1重量部に対して、好ましくは0.001〜80重量部
であり、更に好ましくは0.01〜60重量部である。
0.001重量部未満であると、その高感度化、高耐久
性化への効果は期待し難く、又80重量部超であると、
電荷発生材濃度が低下し、感度が低下するおそれがあ
る。
【0027】上記電荷発生層に必要に応じて用いられる
結合剤としては、絶縁性樹脂であれば特に限定されず、
例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエス
テル、ポリアミド等の縮合系重合体;ポリエチレン、ポ
リスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリアクリ
レート、ポリメタクリレート、ポリビニルブチラール、
ポリビニルホルマール、ポリアクリロニトリル、ポリア
クリルアミド、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
等の付加重合体;ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、シリコン樹脂等が適宜用いられ、一種もしくは二種
以上のものを混合して用いることができる。上記結合剤
の使用量は、電荷発生材1重量部に対して、好ましくは
0.1乃至3重量部であり、更に好ましくは0.1乃至
2重量部である。
【0028】上記電荷発生層に必要に応じて用いられる
添加剤としては、酸化防止剤、消光剤、分散剤、接着補
助剤、増感剤等を挙げることができ、これらの添加剤
は、必要に応じ有効量が使用される。
【0029】上記電荷発生層は、蒸着法、プラズマCV
D法、塗工法等の方法で作製することができるが、塗工
法が好ましく、例えば、上記電荷発生材を、主として溶
剤及び上記結合剤中に分散せしめ、また上記一般式
(I)で表されるビフェニルテトラカルボン酸ジイミド
化合物は溶剤中に溶解せしめ、これらの配合物を導電性
支持体上に塗工することにより作製される。この際に用
いられる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、
キシレン、テトラリン、クロロベンゼン等の芳香族系溶
剤;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレ
ン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン系
溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メ
チル、ギ酸エチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチ
ルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、
テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系
溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。上記電
荷発生層の塗工手段としては、特に限定されることはな
く、例えば、ディップコーター、バーコーター、カレン
ダーコーター、グラビアコーター、スピンコーター等を
適宜使用しておこなうことができ、また、電着塗工、ス
プレー塗工等も可能である。
【0030】上記電荷発生層の膜厚は、0.1乃至2.
0μmとするのが好ましく、0.1乃至1.0μmとす
るのが更に好ましい。
【0031】また、本発明の電子写真感光体における電
荷輸送層は、正孔輸送性化合物(電荷輸送材)を含み、
上記電荷発生層上に、薄膜状に形成される。
【0032】上記電荷輸送材としては、特に限定される
ことはなく、例えば、ヒドラゾン化合物、スチルベン化
合物、トリアリールアミン化合物、ピラゾリン化合物、
オキサジアゾール化合物、オキサゾール化合物ポリビニ
ルカルバゾール化合物、トリフェニルメタン化合物等い
ずれも好適に使用することができる。
【0033】上記電荷輸送層に必要に応じて用いられる
結合剤としては、上記電荷発生層に用いられるものと同
様のものを用いることができる。上記結合剤の使用量
は、電荷輸送剤1重量部に対して、好ましくは0.1〜
3重量部であり、更に好ましくは0.1〜2重量部であ
る。結合剤の使用量が0.1重量部未満であると、結合
剤としての効果を発揮し難い。また、3重量部超である
と、電荷輸送層における電荷輸送剤濃度が小さくなり感
度が悪くなるおそれがある。
【0034】また、上記電荷輸送層に用いられる添加剤
としては、酸化防止剤、消光剤、分散剤、接着補助剤、
増感剤等を挙げることができ、これらの添加剤は、必要
に応じ有効量が使用される。
【0035】上記電荷輸送層の薄膜形成法としては、主
に塗工法が用いられ、上記電荷輸送材を、必要に応じて
用いられる結合剤および添加剤と共に溶剤に溶解し、そ
れを電荷発生層上に塗工せしめ、その後乾燥せしめれば
よい。塗工の際に用いられる溶剤としては、上記の電荷
輸送材及び必要に応じて用いられる上記結合剤等が溶解
し、かつ電荷発生層が溶解しない溶剤であれば特に限定
されることはない。上記電荷輸送層の塗工手段として
は、特に限定されることはなく、上述の電荷発生層と同
様の方法をとることができる。
【0036】上記電荷輸送層の膜厚は、10乃至50μ
mとするのが好ましく、10乃至30μmとするの更に
好ましい。膜厚が10μm未満であると、機械的強度が
低下し、感光体の寿命が短いものとなる傾向にある。ま
た、50μm超であると、電荷の輸送に時間を要するよ
うになり感度が低下するおそれがある。本発明の電子写
真感光体においては、上記導電性支持体と上記電荷発生
層との間に、必要に応じて、更に下引き層、接着層、バ
リヤー層等を設けることもでき、また、必要に応じて、
上記電荷輸送層上に、更にオーバーコート層を設けるこ
ともできる。
【0037】本発明の電子写真感光体は、以下のように
して使用される。まず感光体表面をコロナ帯電器等によ
り負に帯電せしめる。帯電後、露光することにより電荷
発生層内で電荷が発生し、正電荷が電荷輸送層内に注入
され、これが電荷輸送層中を通って表面にまで輸送さ
れ、表面の負電荷が中和される。又、電荷発生層中で発
生した負電荷は、導電性基板にまで輸送され正電荷を中
和する。一方、露光されなかった部分には負電荷が残
る。正規現像の場合には、正トナーが用いられ、この負
電荷が残った部分にトナーが付着し現像される。また、
反転現像の場合には、負トナーが用いられ、電荷が中和
された部分にトナーが付着し現像されることとなる。本
発明の正帯電型電子写真感光体は、何れの現像方法にお
いても使用可能であり、高画質を与えることができる。
【0038】
【実施例】以下、〔合成例〕、実施例及び比較例により
本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0039】〔合成例〕 ビフェニルテトラカルボン酸
ジイミド化合物の合成〔前記例示化合物(17),〔化
19〕〕 攪はん装置及び冷却管を備え付けた500ml3ツ口フ
ラスコに、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物5.5
g(18.6mmol)、p−(アミノメチル)シクロ
ヘキサンカルボン酸7g(44.8mmol)ジメチル
ホルムアミド(DMF)300mlを入れ、加熱して1
5時間還流させた。この熱DMF溶液を濾過し、濾液を
室温にまで冷却した。1日放置後沈殿した結晶を濾過
し、水で2回、メタノールで2回洗浄した後、乾燥し
た。以上のようにして末端がカルボン酸であるジイミド
化合物9.5g(収率89%)を得た。
【0040】次に、得られたジイミド化合物を攪はん装
置及び冷却管を備え付けた500ml3ツ口フラスコに
入れ、そこへn−ブタノール300ml、濃硫酸1ml
を入れ、加熱して8時間還流させた。その後、室温で1
日放置し、生じた淡赤色結晶を濾過した。この結晶をn
−ブタノールで1回、メタノールで2回洗浄し、乾燥す
ることにより目的化合物であるビフェニルテトラカルボ
ン酸ジイミド化合物〔前記例示化合物(17)〕9.9
gを得た。(収率87%)
【0041】上述の操作で得られたビフェニルテトラカ
ルボン酸ジイミド化合物の元素分析値は次の通りであ
り、該化合物が目的化合物であることが確認された。 融点;148.0〜149.0 ℃
【0042】次に、上述の操作で得られたビフェニルテ
トラカルボン酸ジイミド化合物を用いて還元電位の測定
を行った。この測定は、柳本ボルタンメトリックアナラ
イザーP−1000を用い、アセトニトリル/0.1M
テトラブチルアンモニウムパークロレートに、上述の操
作で得られたビフェニルテトラカルボン酸ジイミド化合
物を1mMの濃度で溶解して行った。尚、還元電位の測
定は、以下の〔還元電位測定条件〕により行なった。
【0043】〔還元電位測定条件〕 作用電極、対抗電極;白金電極 参照電極;飽和カロメル電極 掃引速度;100mV/sec その結果、還元電位は−0.44V(vs SCE)で
あり、得られたビフェニルテトラカルボン酸ジイミド化
合物が、優れたアクセプター性を示すことがわかった。
【0044】実施例−1 X型無金属フタロシアニン5g及びビフェニルテトラカ
ルボン酸ジイミド化合物〔前記例示化合物(17),
〔化19〕〕1g、ブチラール樹脂〔エスレックBM−
2、積水化学(株)製〕5gを、シクロヘキサノン90
mlに溶解し、ボールミル中で24時間混練して分散液
を得た。得られた分散液を、アルミ板上にバーコーター
にて乾燥後の膜厚が0.15μmになるように塗布して
乾燥させ、電荷発生層を形成した。
【0045】次に、下記〔化41〕のジエチルアミノベ
ンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン〔化合物(3
7)〕5g、ポリカーボネート樹脂(レキサン131−
111、エンジニアリングプラスチックス(株)製〕5
gを、ジクロロエタン90mlに溶解し、これを、先に
形成した電荷発生層上に、ブレードコーターにて乾燥後
の膜厚が25μmになるように塗布して乾燥させ、電荷
輸送層を形成した。
【0046】このようにして作製した電子写真感光体
を、(株)川口電機製作所製、静電複写紙試験装置EP
A−8100を用いて、−5.5kVのコロナ電圧で帯
電させたところ、初期表面電位V0 は、−810Vであ
った。暗所にて2秒放置後の表面電位V2 は、−800
Vとなった。次いで発振波長780nmの半導体レーザ
ーを照射し、半減露光量E1/2 を求めたところ、0.2
8μJ/cm2 であり、残留電位VR は、−4.1Vで
あった。次に、5000回上記操作を繰り返した後、V
0 、V2 、E1/2 、VR を測定したところ、それぞれ−
800V,−780V,0.28μJ/cm2 ,−9.
3Vであり、感光体の性能はほとんど衰えておらず、高
感度、高耐久性を示すものであった。
【化41】
【0047】比較例−1 実施例−1において、ビフェニルテトラカルボン酸ジイ
ミド化合物を使用しない以外は全く同様にして感光体を
作製し、性能評価を行った。その結果、初期のV0 、V
2 、E1/2 、VR は、それぞれ−810V、−780
V、0.62μJ/cm2 、−35Vであった。次に、
実施例−1と同様に5000回操作を繰り返した後、V
0 、V2 、E1/2 、VR を測定したところ、それぞれ−
780V、−760V、0.78μJ/cm2 、−7
8.5Vであり感度、耐久性ともに劣るものであった。
【0048】実施例−2〜8 ビフェニルテトラカルボン酸ジイミド化合物として、そ
れぞれ〔表1〕に示した化合物(前記例示化合物)を用
いた以外は実施例−1と同様にして感光体を作製し、性
能評価を行った。その結果を〔表1〕に示したが、実施
例−1の結果と同様に、高感度、高耐久性を示すもので
あった。
【表1】
【0049】実施例−9〜12 電荷輸送材として、それぞれ下記〔化42〕〜〔化4
5〕の化合物〔化合物(38)〜(41)〕を用いた以
外は、実施例−1と同様にして感光体を作製し、性能評
価を行った。その結果を〔表2〕に示したが、実施例−
1と同様に、高感度、高耐久性を示すものであった。
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【0050】比較例−2〜5 実施例−9〜12において、それぞれビフェニルテトラ
カルボン酸ジイミド化合物を使用しない以外は全く同様
にして感光体を作成し、性能評価を行った。その結果を
〔表2〕に示したが、いずれも感度、耐久性ともに劣る
ものであった。
【表2】
【0051】実施例−13 実施例−1において、X型無金属フタロシアニンのかわ
りに次の〔化46〕のジブロモアンスアンスロン〔化合
物(42)〕を用いる以外は実施例−1と全く同様にし
て感光体を作製し、性能評価を行った。この性能評価
は、照射光源として半導体レーザーのかわりに照度5l
uxのハロゲンランプを用いる以外は実施例−1と全く
同様にして行った。その結果、初期のV0 、V2 、E
1/2 、VR は、それぞれ−830V、−810V、1.
3lux・sec、−5.8Vであった。次に、実施例
−1と同様に5000回操作を繰り返した後にV0 、V
2 、E1/2 、VR を測定したところ、それぞれ−820
V、−800V、1.3lux・sec、−13.7V
であり、感度、耐久性ともに優れたものであった。
【化46】
【0052】比較例−6 実施例−19において、ビフェニルテトラカルボン酸ジ
イミド化合物を使用しない以外は全く同様にして感光体
を作製し、性能評価を行った。この感光体を用いて実施
例−1と同様の方法で性能評価を行った。その結果、初
期のV0 、V2 、E1/2 、VR は、それぞれ−810
V、−800V、2.4lux・sec、−47.0V
であった。次に、実施例−1と同様にして5000回操
作を繰り返した後、V0 、V2 、E1/2 、VR を測定し
たところ、それぞれ−780V、−760V、4.1l
ux・sec、−127.7Vであり、感度、耐久性と
もに劣るものであった。
【0053】比較例−7 実施例−1において、ビフェニルテトラカルボン酸ジイ
ミド化合物のかわりに下記〔化47〕のトリニトロフル
オレノン〔化合物(43)〕を用いる以外は全く同様に
して感光体を作製し、性能評価を行った。その結果、初
期のV0 、V2 、E1/2 、VR は、それぞれ−800
V、−780V、0.32μJ/cm2 、−6.2Vで
あった。次に、実施例−1と同様に5000回操作を繰
り返した後、V0 、V2 、E1/ 2 、VR を測定したとこ
ろ、それぞれ−620V、−530V、0.71μJ/
cm2 、−37.7Vであり、耐久性に劣るものであっ
た。
【化47】
【0054】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、高感度で高
耐久性を有するものである。
【0055】即ち、本発明の電子写真感光体に用いられ
る上記一般式(I)で表されるビフェニルテトラカルボ
ン酸ジイミド化合物は、N置換アルキル基の末端に、カ
ルボン酸エステル基が置換された構造を有するもので、
アクセプター性を増すことが可能である。
【0056】また、従来から知られているビフェニルテ
トラカルボン酸ジイミド化合物(例えば特開昭56−1
18061号公報参照)に比べて格段にその安定性を増
すことができ、溶剤、結合剤との相溶性を大幅に改善す
ることが可能である。
【0057】また、結晶性もほとんどなく、常温でアモ
ルファス状態を維持し使用中に劣化することは認められ
なかった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体とその上に設けられた電荷
    発生層及び電荷輸送層を必須の構成要素とする電子写真
    感光体において、上記電荷発生層中に、次の〔化1〕の
    一般式(I)で表されるビフェニルテトラカルボン酸ジ
    イミド化合物を含むことを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 (式中、Rは炭素数8以下のアルキル基、アラルキル基
    又はアリール基を、R’、R”は同一もしくは相異なっ
    て炭素数8以下のアルキレン基を、Rcは炭素数8以下
    のシクロアルキレン基又はアリーレン基を示す。A1
    びA2 は同一もしくは相異なって、水素原子、炭素数4
    以下のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、カルボン酸エ
    ステル基又はハロゲン原子を示す。k、m、nは同一も
    しくは相異なって0または1の整数を示す。但し、k、
    m、nすべてが0になる事はない。)
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