JPH0518805B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、少量使用に適した薄膜状粉体固型化
粧料に関する。

〔従来の技術〕

従来、例えばアイシヤドウ、フアンデーシヨ
ン、頬紅等の粉体化粧料を試供用、携帯用或いは
使い捨て用等の少量使用に用いるために、台紙上
に粉体化粧料を薄膜状に固着したものが知られて
おり、本件出願人は特開昭63−139109号公報によ
つてその製造方法を提案した。この薄膜状粉体固
型化粧料の製造方法は、粉体、有機性ベントナイ
ト及び／又はエチルセルロース、揮発性溶剤を混
合してスラリー状物となし、該スラリー状物を台
紙上に薄膜状に噴霧した後、乾燥することによ
り、該台紙上に薄膜状粉体化粧料を固着するよう
にしたものであつて、乾燥工程の時間を短縮でき
ると共に、色むら、乾燥むらの発生を防止でき、
しかも極少量の粉体化粧料を薄膜状に形成できる
等の優れた長所を有している。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上述した従来技術にあつては、粉
体、有機性ベントナイト等を噴霧可能なスラリー
状物にするための揮発性溶剤としてトリクロロト
リフルオロエタン等の所謂フロンガス等を用いて
いるため、従来技術の方法によつて例えば試供品
を製造した場合、次のような未解決の問題点があ
る。

即ち、実際の製品としてコンパクトケース内に
収容する粉体固型化粧料は、粉体、バインダ等の
粉体化粧料組成物を金皿内に充填し、打型機を用
いて圧縮打型することにより固型化しており、バ
インダの油性成分は粉体を包んだ状態になつてい
る。

これに対し、粉体化粧料組成物をスラリー状に
して噴霧する従来技術にあつては、フロンガス等
の溶剤を用いるため、バインダの油性成分が粉体
に浸透した状態になつている。

かくして、実際に顧客が使用する粉体固型化粧
料製品と従来技術による試供品とではその油性成
分の分散状態が異る結果、実際の製品に対して試
供品の品質、使用感等が異つてしまうという問題
がある。

また、従来技術では噴霧手段を用いているた
め、薄膜状粉体固型化粧料の表面に模様を付する
ためには、更に模様形成のためのプレスを行わな
ければならず、工程が増加するという欠点があ
る。

更に、従来技術による薄膜状粉体固型化粧料は
台紙上に単に付着しているだけで、台紙に対する
付着力が弱いため、台紙と共に該薄膜状粉体固型
化粧料を切断する場合に該化粧料の一部が欠けて
しまうという欠点や、台紙から化粧料が剥離し易
いという欠点がある。

更にまた、環境保全の観点からフロンガス等の
使用が徐々に規制されており、溶剤としてフロン
ガス等を用いる場合従来技術はその対応が迫られ
ているという側面もある。

本発明は上述した従来技術の未解決の問題点、
欠点等に鑑みなされたもので、使用感を実際の製
品と同じにすることができ、しかも台紙との付着
力に優れているために欠けたり、剥離したりする
ことがなく耐久性に優れた薄膜状粉体固型化粧料
を提供するものである。

〔課題を解決するための手段〕

上述した課題を解決するために構成された本発
明の手段は、台紙と、少なくとも表面側に接着剤
が塗布され、裏面側が該台紙に貼着可能となつた
化粧料保持用シートと、該化粧料保持用シートの
表面側に前記接着剤表面に圧着するように薄膜状
に打型された粉体化粧料組成物とからなる。

〔作用〕

本発明は上述のごとく構成したものであるか
ら、粉体化粧料組成物は化粧料保持用シートの接
着剤表面に圧着するように打型されており、該接
着剤の接着力によつて粉体化粧料組成物は強固に
保持される。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づき詳述す
る。

第１図ないし第８図は本発明の第１の実施例を
示す。図において１は粉体メイクアツプ化粧料の
試供品、２は該試供品１を構成する台紙で、該台
紙２はパルプ紙製或いは合成樹脂製の矩形状シー
トを２つ折りにして台紙部２Ａと蓋部２Ｂとに画
成すると共に、蓋部２Ｂに開口部２Ｃ，２Ｃを形
成したものからなつている。

３は前記台紙２の台紙部２Ａに貼着された化粧
料保持用シートで、該化粧料保持用シート３は例
えば紙、合成樹脂、金属製で、厚さが約0.5mm程
度のシートによつて円板状の付着部３Ａと、該付
着部３Ａの外周から径方向に突出する耳状の抓部
３Ｂとを一体に形成したものからなつている。そ
して、該化粧料保持用シート３の付着部３Ａ表面
３A₁には、常温で粘着性を有し、しかも性質が
化粧品原料に近くて安全性が高い化粧料用接着剤
４が均一に塗着してある。この化粧料用接着剤４
にはセルロース系、ビニル系、アクリル系、シリ
コン系、ゴム系等の有機合成接着剤、天然ゴム
系、テンプン系等の天然接着剤があるが、これら
の内セルロース系、アクリル系、デンプン系の接
着剤が最も好ましい。

一方、化粧料保持用シート３の付着部３Ａ裏面
３A₂には前記化粧料用接着剤４と同種又は異種
の接着剤からなるシート貼着用接着剤５が塗布し
てあり、該シート貼着用接着剤５を介して化粧料
保持用シート３は台紙２の台紙部２Ａ上面に貼着
されている。

６は前記化粧料保持用シート３の付着部３Ａ表
面３A₁に化粧料用接着剤４に圧着するように圧
縮打型された粉体化粧料組成物で、該粉体化粧料
組成物６は厚さが例えば0.1〜１mmの薄膜状に固
型化されている。

かくして、本実施例の試供品１は台紙２と、該
台紙２の台紙部２Ａにシート保持用接着剤５を介
して貼着された化粧料保持用シート３と、該化粧
料保持用シート３に化粧料用接着剤４を介して固
着された薄膜状粉体化粧料組成物６とから構成さ
れている。

次に、上述した試供品１の製造方法について、
第３図ないし第８図を参照しつつ説明する。

第３図において、７は例えば油紙、合成樹脂製
シート等からなる離型紙で該離型紙７はシート保
持用接着剤５を介して化粧料保持用シート３が貼
着、剥離可能になつている。そして、第４図に示
すように、該離型紙７上に化粧料保持用シート３
が所定の状態に貼着して位置決めされている。

次に、化粧料保持用シート３を囲繞するように
丸枠状の雌型８を離型紙７上に配置し（第５図参
照）、上方からノズル（図示せず）を介して該シ
ート３上に粉体化粧料組成物６を定量充填した後
（第６図参照）、前記雌型８内に上方から雄型９を
挿嵌し、雌型８内の粉体化粧料組成物６を化粧料
用接着剤４表面に圧着するように圧縮打型して
（第７図参照）、粉体固型化粧料６′に形成する。
なお、本実施例で用いる粉体化粧料組成物６は顔
料、バインダ、香料等からなり、溶剤としてのフ
ロンガス等を含有しない公知のものである。

さて、叙上の如くして粉体化粧料組成物６を所
定の厚さ、約0.1〜１mmに圧縮打型して粉体固型
化粧料６′を形成したら、雌型８を離型紙７上か
ら取除き（第８図参照）、化粧料保持用シート３
を抓部３Ｂを持つて離型紙７から引剥す。そし
て、該化粧料保持用シート３を台紙２の台紙部２
Ａ上面の所定の位置に貼着することにより、第１
図に示す試供品１が製造される。

なお、本実施例において、雄型９の底面である
プレス面に網目状或いは布目状模様を付しておく
ことにより、粉体固型化粧料６′の表面に網目状
模様等を形成でき、粉体固型化粧料６′の表面に
美的効果を持たせることができると共に、該表面
の汚れや打型むら等が目立つのを防止する効果を
持たせることができる。

また、本実施例では化粧料保持用シート３の付
着部３Ａ裏面３A₂にシート貼着用接着剤５を塗
布するものとして述べたが、第９図に示すように
台紙２の台紙部２Ａ上面にホツトメルト性即ち熱
可塑性の接着剤５′を塗布し、該接着剤５′を介し
て化粧料保持用シート３を台紙２に貼着するよう
に構成してもよいものである。

次に、第１０図ないし第１２図は本発明の薄膜
状粉体固型化粧料を製造する他の製造方法を示
す。なお、本実施例及び後述する他の実施例にお
いて、第１の実施例の構成要素と同一の構成要素
には同一符号を付して、その説明を省略する。

然るに、本実施例の特徴とするところは、大形
矩形の化粧料保持用シート１１と、該シート１１
を囲繞する大型の雌型１２及び該雌型１２に挿嵌
する雄型１３を用いて粉体化粧料組成物１４を化
粧料用接着剤４表面に圧着するように圧縮打型
し、薄膜状に固型化した大きな粉体化粧料１４′
を所望の大きさの固型化粧料片１４″，１４″，…
…に切断した後、台紙２に貼着するようにしたこ
とにある。

次に、第１３図ないし第１６図は本発明による
薄膜状粉体固型化粧料を製造する更に他の製造方
法を示す。なお、前述した第２実施例の構成要素
と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明
を省略する。

然るに、本実施例の特徴とするところは、着脱
可能な仕切り壁２１Ａによつて内部を２つの充填
部２２，２３に画成した雌型２１を用いることに
より、複数種の粒体化粧料組成物２４，２５を化
粧料用接着剤４表面に圧着して同時に圧縮打型す
るようにしたことにある。即ち、離型紙７に貼着
した化粧料保持用シート１１の外周に仕切り壁２
１Ａを取着した雌型２１を配設し、各充填部２
２，２３に例えば色彩の異る粉体化粧料組成物２
４，２５をノズルを介してそれぞれ定量充填す
る。しかる後、仕切り壁２１Ａを取外し、該各色
の粉体化粧料組成物２４，２５を雄型１３によつ
て一体的に圧縮打型して複数色の薄膜状粉体固型
化粧料２４′，２５′を形成する。

そして、最後に第１６図に示すように、該複数
色の薄膜状粉体固型化粧料２４′，２５′を長方形
状に切断し、複数色の薄膜状粉体固型化粧料片２
４″，２５″を一体に形成し、台紙２に貼着する。

なお、本実施例では雌型２１内を仕切り壁２１
Ａによつて２つの充填部２２，２３に画成した
が、複数個の仕切り壁２１Ａ，２１Ａ，……を用
いて３つ以上の充填部を画成するようにしてもよ
い。

叙上した製造方法によれば、色彩等の異る複数
種の薄膜状粉体固型化粧料片を一度に量産できる
利点がある。

〔発明の効果〕

本発明は以上詳述した如くであつて、下記の諸
効果を奏する。

粉体化粧料組成物は化粧料保持用シートの接
着剤表面に圧着するように圧縮打型して固型化
することにより、フロンガス等の揮発性溶剤を
使用しないように構成したから、実際の製品と
同品質の試供用、使い捨て用化粧品を製造でき
る。

固型化した粉体化粧料は接着剤の接着力によ
つて化粧料保持用シートに付着しているから、
化粧料の剥離という事故を確実に防止でき、商
品の信頼性、耐久性を高めることができる。

固型化した粉体化粧料は化粧料保持用シート
と共に、所望の形状、大きさに切断することが
できるから、少量使用の化粧品に使い勝手、趣
味感等の点で多様性を持たせることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図は本発明の第１の実施例に
係り、第１図は少量使用の試供品の外観斜視図、
第２図は第１図中の−矢示方向拡大断面図、
第３図ないし第８図は試供品の製造工程を示し、
第３図は離型紙に貼着する化粧料保持用シートの
外観説明図、第４図は離型紙に貼着した化粧料保
持用シートを断面にして示す説明図、第５図は化
粧料保持用シートの周囲に雌型を配設した状態の
説明図、第６図は雌型内に粉体化粧料組成物を充
填した状態の説明図、第７図は雌型内の粉体化粧
料組成物を雄型で圧縮打型する状態の説明図、第
８図は化粧料保持用シートの接着前に圧着して薄
膜状に固型化した粉体化粧料の状態を示す縦断面
説明図、第９図は第１実施例の変形例に係り、台
紙に化粧料保持用シートを貼着する前の状態を示
す説明図、第１０図ないし第１２図は第２の実施
例に係る製造工程を示し、第１０図は雌型内に粉
体化粧料組成物を充填した状態の説明図、第１１
図は雌型内の粉体化粧料組成物を雄型で圧縮打型
する状態の説明図、第１２図は圧縮打型して固型
化した粉体化粧料を化粧料片に切断する状態の説
明図、第１３図ないし第１６図は第３の実施例に
係る製造工程を示し、第１３図は離型紙上の化粧
料保持用シートに雌型を配設した状態の説明図、
第１４図は雌型内に粉体化粧料組成物を充填した
状態の説明図、第１５図は雌型内の粉体化粧料組
成物を雄型で圧縮打型する状態の説明図、第１６
図は圧縮打型して固型化した複数色の粉体化粧料
を化粧料片に切断する状態の説明図である。 ２……台紙、３，１１……化粧料保持用シー
ト、４……接着剤、６，１４，２４，２５……粉
体化粧料組成物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 台紙と、少なくとも表面側に接着剤が塗布さ
   れ、裏面側が該台紙に貼着可能となつた化粧料保
   持用シートと、該化粧料保持用シートの表面側に
   前記接着剤表面に圧着するように薄膜状に打型さ
   れた粉体化粧料組成物とから構成してなる薄膜状
   粉体固型化粧料。