JPH05187482A - 動吸振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は高速道路の標識柱内部に設置するの
に適した垂直、水平２方向の振動を抑制する動吸振器に
関する。 【構成】 コイルばねとオイルダンパーにより垂直方向
に振動可能に支持された重錘と、前記重錘の垂直方向の
振動を許容し水平方向の移動を弾性的に抑制する板ばね
とを具え、垂直方向および水平方向の振動を減衰するよ
うに構成した動吸振器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、交通荷重あるいは風に
よって励起される高速道路標識柱の振動を抑制する動吸
振器に関する。

【０００２】

【従来の技術】動吸振器は、構造物の対象とする共振振
動数と等しい固有振動数を有する１自由度系の振動系で
あり、これを構造物に設置することにより、構造物の振
動振幅を低減させるものである。図４および図５に従来
の鉛直振動用の動吸振器を示す。

【０００３】図において、２１は重錘、２２はコイルば
ね、２３はオイルダンパー、２４はガイドローラ、２５
はケース、２６はカバー、２７は主桁、２８は床版、２
９は横梁である。図４から理解されるように、従来の動
吸振器は単一方向の振動にのみ対応できるものであるば
かりでなく、ガイドが必要であり、摩擦などにより、微
小振動等には不向きであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】高速道路の標識柱、特
に高架橋の標識柱は、交通荷重による高架橋の振動に伴
い、鉛直方向および橋軸方向に振動しており、永い間に
は疲労などにより、標識柱の根本にクラックが入り破損
することがある。本発明は、標識柱の鉛直方向および水
平方向の振動を一つの重錘で同時に抑制することがで
き、且つ重錘に対するガイドが不要な動吸振器を提供す
ることを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】図１に示すように一つの
重錘に、振幅が大きくかつ振動数が低い鉛直振動に対応
するためのコイルばねおよびオイルダンパーを取付け、
更に、振幅が比較的小さくかつ振動数が高い水平振動に
対応し、かつガイドの役割をする板ばねを垂直面内では
揺動自在に取付け、２方向の振動に対応可能な構造とす
る。なお、上記の板ばねとしては複数の板ばねを重ねた
板ばね集合体を使用する。

【０００６】

【作用】垂直方向の振動が発生した場合、重錘の慣性力
及びコイルばねとオイルダンパーの減衰力により、振巾
が大きく且つ振動数の低い振動に対して有効な減衰が行
われる。この場合、板ばねは重錘と共に上下に回動する
ので振動の減衰には関与しない。

【０００７】図１の紙面に直交する方向の振動が発生し
た場合、板ばねに支持されて重錘が振動し、重錘の慣性
力板ばね間の摩擦により振動の減衰が行われる。この場
合、コイルばねとオイルダンパーは重錘と共に回動する
ので振動の減衰には関与しない。このようにして、１個
の重錘で垂直方向と水平方向の振動を減衰させる。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図１乃至図３について説明
する。図に示すように、重錘１をピン６およびブラケッ
ト５を介してコイルばね２で鉛直方向に支え、かつ重錘
１とケース７の間にピン６およびブラケット５を介して
オイルダンパー９を挿入する。また、重錘１の水平方向
にピン６、ブラケット５および板ばね固定治具４を介し
て板ばね３を結合し、重錘１をケース７から支持する。
８はケーシング７のカバーである。板ばね３は、板ばね
の応力を低減するため、数枚の板ばねから構成されてい
るが、板ばね固定治具４により一体に形成される。

【０００９】図３は本発明による動吸振器１０を標識柱
１１に設置した状況を示している。次に本装置の作用を
説明する。構造物が鉛直方向に振動すると、それに伴い
重錘１とそれを支えているコイルばね２及びオイルダン
パー９が板ばね３をガイドとして鉛直方向に振動し、重
錘１の慣性力およびオイルダンパー９による減衰力によ
り、構造物の鉛直方向振動を低減する。また、構造物が
水平方向に振動すると、それに伴い重錘１とそれを水平
方向に支えている板ばね３がコイルばね２をガイドとし
て水平方向に振動し、重錘１の慣性力および板ばねと板
ばね固定治具４との間の摩擦力により構造物の水平方向
の振動を低減する。

【００１０】更に、構造物が鉛直方向と水平方向に同時
に振動する場合にも、上記のそれぞれの作用により構造
物の振動を低減する。

【００１１】

【発明の効果】本発明による動吸振器は、コイルばねと
オイルダンパーにより垂直方向に振動可能に支持された
重錘と、前記重錘の垂直方向の振動を許容し水平方向の
移動を弾性的に抑制する板ばねとを具え、垂直方向およ
び水平方向の振動を減衰するように構成したことによ
り、次の効果を有する。 （１） １個の重錘により鉛直方向振動と水平方向振動
を同時に低減することができ、動吸振器の形状を小型化
することができるため、構造物への負荷が減少し、また
美観が向上する。 （２） 重錘のガイドが不要となり、ガイドローラとの
間の摩擦やガタが無くなるため、微小振動にも対応でき
る。 （３） １個の重錘でかつ、ガイドが無くなるため、構
造が簡素化され、製作コストが低減し、また故障が少な
くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】図１に示した動吸振器を道路の標識柱に設置し
た正面図である。

【図４】従来の動吸振器の縦断面図である。

【図５】図４に示した動吸振器を橋桁に設置した正面図
である。

【符号の説明】

１ 重錘 ２ コイルばね ３ 板ばね ９ オイルダンパー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コイルばねとオイルダンパーにより垂直
   方向に振動可能に支持された重錘と、前記重錘の垂直方
   向の振動を許容し水平方向の移動を弾性的に抑制する板
   ばねとを具え、垂直方向および水平方向の振動を減衰す
   るように構成したことを特徴とする動吸振器。