JPH05184666A - ガイドワイヤー及びその製造法 - Google Patents

ガイドワイヤー及びその製造法

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JPH05184666A
JPH05184666A JP4022066A JP2206692A JPH05184666A JP H05184666 A JPH05184666 A JP H05184666A JP 4022066 A JP4022066 A JP 4022066A JP 2206692 A JP2206692 A JP 2206692A JP H05184666 A JPH05184666 A JP H05184666A
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JP
Japan
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synthetic resin
polyethylene glycol
isocyanate group
resin film
guide wire
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Application number
JP4022066A
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English (en)
Inventor
Nobuhiko Tanaka
暢彦 田中
Masatoshi Fujiwara
正利 藤原
Tsutomu Kato
勉 加藤
Hiroyuki Asano
寛幸 浅野
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Piolax Inc
Original Assignee
Kato Hatsujo Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 芯線の外周に合成樹脂膜を被覆し、更に合成
樹脂膜の表面に親水性被膜を施したガイドワイヤーにお
いて、親水性被膜の材質を改良することによって摩擦係
数を更に小さくし、人体管状器官への挿入操作を容易に
する。 【構成】 芯線1の外周に、イソシアネート基と反応可
能な合成樹脂膜2を被覆する。この合成樹脂膜2の表面
にイソシアネート基を有する化合物を結合させて、未反
応のイソシアネート基を形成する。更に、分子量10000
〜30000 のポリエチレングリコールの1〜30重量%溶液
を接触させて、合成樹脂膜2の表面にイソシアネート基
を介してポリエチレングリコールを結合させ、親水性被
膜3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血管、尿管、気管など
の人体の管状器官にカテーテルなどを挿入する際に用い
られるガイドワイヤーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、血管、尿管、気管などに薬剤を投
与したり、拡張具(ステント)を挿入したりする際に、
患部を切開することなく、経皮的にカテーテル等を挿入
して行なう技術が採用されている。患部にカテーテルを
挿入する際には、まずガイドワイヤーを挿入し、このガ
イドワイヤーに沿って滑らせてカテーテルを挿入する方
法が多くとられている。
【0003】上記ガイドワイヤーとしては、ステンレ
ス、形状記憶合金等の金属からなる細い線材をコイル状
にして柔軟性を持たせたもの、上記のような金属からな
る線材を芯線にしてその外周を合成樹脂膜などで覆った
ものなど各種のものが提案されている。
【0004】ガイドワイヤーは、血管、尿管、気管等の
組織への挿入時に、組織を損傷することなく、患部まで
確実に挿入することができ、かつ、カテーテルを滑らせ
て挿入できるものであることが必要であるが、芯線の外
周に合成樹脂膜を被覆したガイドワイヤーにおいては、
カテーテル内面とガイドワイヤーとの摩擦抵抗によっ
て、挿入操作が困難となることがあった。
【0005】このような問題を解決するため、特開昭59
-81341号には、各種医療用器具の基質表面上に未反応イ
ソシアネート基を生成させ、この基質表面を未反応イソ
シアネートと共有結合を形成すべく適合させた親水性共
重合体で処理することにより、基質表面に親水性被膜を
形成させる方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、特開昭59-81341号に開示された方法において、
未反応イソシアネート基に、これと共有結合を形成すべ
く適合させた親水性共重合体を反応させた場合、すべて
の親水性共重合体が同程度に摩擦係数を小さくするので
はないことを見出した。
【0007】したがって、本発明の目的は、芯線の外周
を合成樹脂膜で被覆し、更に合成樹脂膜の表面に親水性
被膜を形成したガイドワイヤーにおいて、親水性被膜の
材質を更に改良することによって、摩擦係数をより小さ
くするようにしたガイドワイヤー及びその製造法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究した結果、イソシアネート基と
反応させる親水性共重合体の種類を特定し、更に、その
親水性共重合体の分子量を特定することにより、ガイド
ワイヤーの摩擦係数をより小さくすることができること
を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明のガイドワイヤーは、芯
線の外周に合成樹脂膜を被覆し、この合成樹脂膜の表面
に親水性被膜を形成してなるガイドワイヤーにおいて、
前記親水性被膜が、前記合成樹脂膜の表面にイソシアネ
ート基を介して結合された分子量10000 〜30000 のポリ
エチレングリコールからなることを特徴とする。
【0010】また、本発明のガイドワイヤーの製造法
は、芯線の外周に合成樹脂膜を被覆し、この合成樹脂膜
の表面に親水性被膜を形成するガイドワイヤーの製造法
において、芯線の外周に、イソシアネート基が残存する
合成樹脂を被覆した後、又はイソシアネート基と反応性
を有する合成樹脂を被覆し、次いで、イソシアネート基
を有する化合物を反応させた後、分子量10000 〜30000
のポリエチレングリコールの1〜30重量%溶液に接触さ
せることを特徴とする。
【0011】以下、本発明について好ましい態様を挙げ
て詳細に説明する。
【0012】本発明において、芯線としては、例えば形
状記憶合金、ステンレス、ピアノ線などの金属の他、熱
可塑性樹脂、FRPなどの樹脂、あるいは金属と樹脂と
の複合体を用いることもでき、その材質、形状共に特に
限定されない。芯線は、基部側においては適度な剛性を
有し、先端部においては十分な柔軟性を有するものが好
ましく用いられる。
【0013】また、芯線の外周を被覆する合成樹脂膜
は、その表面にポリエチレングリコールをイソシアネー
ト基を介して結合させることができるように、未反応の
イソシアネート基が残存する樹脂であるか、又はイソシ
アネート基を有する化合物と反応性を有する樹脂である
ことが好ましい。
【0014】イソシアネート基が残存する樹脂として
は、例えば、多価アルコールに過剰のジイソシアネート
を反応させて末端に遊離のイソシアネート基を残したポ
リウレタン樹脂等が好ましく用いられる。
【0015】また、イソシアネート基を有する化合物と
反応性を有する樹脂としては、例えば、ポリウレタン
系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル
系、ラテックス系の樹脂等を用いることができる。
【0016】合成樹脂膜として、イソシアネート基が残
存する樹脂を用いた場合は、そのままポリエチレングリ
コールを反応させることもできるが、その他の樹脂を用
いた場合は、樹脂の表面にイソシアネート基を含有する
化合物を結合させて、未反応のイソシアネート基を形成
する必要がある。イソシアネート基を残存する樹脂を用
いた場合にも、必要に応じて更にイソシアネート基を有
する化合物を結合させてもよい。
【0017】合成樹脂膜の表面にイソシアネート基を有
する化合物を結合させるには、イソシアネート基を有す
る化合物を含む溶液と接触させて反応させればよい。合
成樹脂膜の表面にイソシアネート基を有する化合物を含
む溶液を接触させる方法は、浸漬、刷毛ぬり、スピンナ
ーコート等の方法が採用される。
【0018】イソシアネート基を有する化合物として
は、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネー
ト、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタン
ジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート等が好
ましく採用される。
【0019】上記イソシアネート基を有する化合物を溶
解させる溶媒としては、メチルエチルケトン、トリクレ
ン等が好ましい。また、溶液中におけるイソシアネート
基を有する化合物の濃度は5 〜20重量%が好ましく、合
成樹脂膜の表面に上記溶液を接触させる時間は20〜40秒
間が好ましい。
【0020】なお、合成樹脂膜の表面にイソシアネート
基を有する化合物を含む溶液を接触させる前に、樹脂を
膨潤させる溶媒で処理して、樹脂表面を洗浄するととも
に活性化しておくと、イソシアネート基が結合しやすく
なり好ましい。これらの溶液で処理する時間は20〜40秒
間程度が好ましい。
【0021】上記溶媒としては、メチルエチルケトン、
又はトリクレン、クロロホルム等の塩素系有機溶媒が好
ましく、これらのうちメチルエチルケトンが特に好まし
い。
【0022】上記のようにして、合成樹脂膜の表面に未
反応のイソシアネート基を形成させた後、ポリエチレン
グリコールの有機溶媒溶液を接触させて、ポリエチレン
グリコールを結合させる。この場合、本発明において
は、分子量10000 〜30000 のポリエチレングリコールが
用いられる。また、ポリエチレングリコールとしては、
両末端にOH基を有するものが、好ましく用いられる。
【0023】ポリエチレングリコール溶液の濃度は、1
〜30重量%が好ましく、5 〜20重量%がより好ましい。
更に、ポリエチレングリコールは、両末端に水酸基を有
するものが好ましい。また、ポリエチレングリコール溶
液に用いる有機溶媒は、塩素系有機溶媒が好ましく、例
えばジクロロメタン、クロロホルム等が好ましく用いら
れる。
【0024】表面にイソシアネート基を形成した合成樹
脂膜とポリエチレングリコールの溶液とを接触させる方
法は、浸漬、刷毛ぬり、スピンナーコート等いずれの方
法を用いてもよい。こうしてポリエチレングリコールの
溶液を塗布した後、40時間以上放置し、反応させること
によって、合成樹脂膜の表面にイソシアネート基を介し
てポリエチレングリコールを結合させることができる。
【0025】こうしてポリエチレングリコールを結合さ
せた後、水処理を行なって過剰のイソシアネート基を有
する化合物や、ポリエチレングリコールを除去すること
が好ましい。また、水処理を行なうことにより、毒性を
低価させ、親水性を向上させることができる。水処理
は、6 時間以上行なうのが好ましい。
【0026】なお、上記操作は、必要に応じて2度以上
繰り返して行なうこともできる。特に、ガイドワイヤー
の先端部においては、2度塗りを行うことによって滑り
性を更に向上させることもできる。
【0027】
【作用】本発明のガイドワイヤーは、芯線の外周に被覆
した合成樹脂膜の表面に、イソシアネート基を介してポ
リエチレングリコールを結合させ、このポリエチレング
リコールにより親水性被膜を施したものである。ポリエ
チレングリコールは、親水性高分子であって分子鎖の間
に水分子を捕捉して膨潤するので、体内に挿入したとき
優れた滑り性を発揮する。また、ポリエチレングリコー
ルは、非血栓性にも優れている。
【0028】また、本発明では、ポリエチレングリコー
ルの分子量を10000 〜30000 としたことにより、摩擦係
数をより小さくすることができる。すなわち、ポリエチ
レングリコールの分子量が10000 未満では、水分子の捕
捉作用が弱くなり、膨潤が十分になされないので、摩擦
係数を十分に小さくすることができない。ポリエチレン
グリコールの分子量が30000 を超えると、分子鎖が互い
に絡みあって表面に凹凸ができて不均一となるため、摩
擦係数がかえって高くなってしまうということが分かっ
た。
【0029】なお、推測によれば、ポリエチレングリコ
ールの分子量を10000 〜30000 とすることにより、ポリ
エチレングリコール分子の少なくとも一部が、合成樹脂
膜の表面に形成されたイソシアネート基にループ状に結
合し、それによって分子鎖の絡みあいが防止されるとと
もに摩擦係数が低くなると考えられる。
【0030】また、本発明の製造法において、ポリエチ
レングリコール溶液の濃度を1 〜30重量%と限定したの
は、1 重量%未満では、合成樹脂膜の表面に結合するポ
リエチレングリコール分子の密度が小さくなるため、保
水性が低下して摩擦係数を十分に小さくすることができ
ず、30重量%を超えると、合成樹脂膜の表面に結合する
ポリエチレングリコール分子の密度が逆に高くなりすぎ
て、分子鎖の絡みあいにより摩擦係数がかえって高くな
り、また、均一なコーティングが困難になるからであ
る。
【0031】
【実施例】
実験例1(合成樹脂膜表面にイソシアネート基を有する
化合物を結合させる前の前処理に用いる薬品の種類及び
処理時間の検討) 芯線を合成樹脂膜で被覆した後、樹脂膜表面にイソシア
ネート基を有する化合物を結合させる前に、イソシアネ
ート基が結合しやすくするために、樹脂表面を洗浄する
とともに膨潤及び活性化させる薬品について検討した。
【0032】合成樹脂膜としてはポリウレタンを用い、
ポリウレタンの溶解度、薬品の揮発性、毒性について検
討した。なお、溶解度は、ポリウレタンの押し出し成形
品を薬品中に浸漬し、成形品の形状変化により判断し
た。また、揮発性及び毒性は、文献により調査し、揮発
性については、コーティング時における溶液の減少量に
よっても判断した。
【0033】これらの結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1の結果から、ポリウレタン樹脂の表面
を洗浄するとともに活性化させる薬品としては、メチル
エチルケトン、トリクレンが好ましく、メチルエチルケ
トンが特に好ましいことがわかる。
【0036】次に、ポリウレタン樹脂の表面を、メチル
エチルケトンに浸漬して前処理する場合の浸漬時間と、
樹脂表面の膨潤量との関係を検討した。なお、膨潤量
は、有機溶媒浸漬前後の外径寸法を光学顕微鏡により測
定して求めた。その結果を図2に示す。
【0037】図2の結果から、ポリウレタン樹脂の表面
を、メチルエチルケトンで前処理する場合、その浸漬時
間は20秒間以上であればよいことがわかる。
【0038】実験例2(合成樹脂膜の表面にイソシアネ
ート基を有する化合物を結合させる場合の化合物の種
類、浸漬時間及び濃度の検討) ポリウレタン樹脂の表面にイソシアネート基を有する化
合物を結合させるために、イソシアネート基を有する化
合物として、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、2,4−トルイレンジイソシアネート、トルイレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートを
用い、これらをそれぞれ10重量%メチルエチルケトン溶
液として、浸漬時間を変えて浸漬処理した。
【0039】その後、分子量20000 のポリエチレングリ
コールの5 重量%ジクロロメタン溶液に40秒間浸漬し、
ポリエチレングリコールを結合させた後、水処理してサ
ンプルとした。それぞれのサンプルについてイソシアネ
ート基を有する化合物の溶液への浸漬時間と、得られた
サンプルの摩擦係数との関係を検討した。なお、摩擦係
数は、図3の装置を用いて測定した。すなわち、水槽1
1内に水12を入れ、その底にサンプル13を配置した
後、接触子14を矢印aの方向に、サンプル13に対し
て荷重300 gで押圧した状態にし、その状態で、接触子
14を矢印bの方向に移動させる場合の摩擦係数を測定
した。
【0040】その結果を図4に示す。図4において、縦
軸は摩擦係数、横軸は浸漬時間を表わし、Aは4,4−
ジフェニルメタンジイソシアネート、Bは2,4−トル
イレンジイソシアネート、Cはトルイレンジイソシアネ
ート、Dはヘキサメチレンジイソシアネートを示す。
【0041】図4の結果から、イソシアネート基を有す
る化合物としては、4,4−ジフェニルメタンジイソシ
アネートが最も好ましく、また、いずれの化合物におい
ても浸漬時間を20秒以上にすれば摩擦係数を十分小さく
できることがわかる。
【0042】次に、4,4−ジフェニルメタンジイソシ
アネートをメチルエチルケトンに溶解し、その濃度を変
えてそれぞれ浸漬処理した。その後、前記と同様にポリ
エチレングリコールを結合させてサンプルを作り、前記
と同様にして摩擦係数を測定して、4,4−ジフェニル
メタンジイソシアネートの濃度と摩擦係数との関係を検
討した。その結果を図5に示す。
【0043】図5の結果から、4,4−ジフェニルメタ
ンジイソシアネートの濃度は、5 重量%以上が好まし
く、10〜20重量%がより好ましいことがわかる。
【0044】実験例3(イソシアネート基と結合させる
水溶性高分子の検討) 合成樹脂膜表面に形成したイソシアネート基と結合させ
るのに好ましい水溶性高分子として、表2に示す高分子
について有機溶媒に対する溶解性、分子量の異なるもの
が多種類あるかどうか、取扱い性について検討した。有
機溶媒に対する溶解性は、常温において可溶かどうかに
よって判定し、取扱い性は、溶媒の揮発性及び毒性を文
献で調べることによって判定した。また、分子量の異な
るものが多種類あるかどうかは、市販のものに多種類の
ものがあるかどうかによって判定した。
【0045】この結果を表2に示す。なお、表2におい
てポリビニルアルコール+ポリエチレン、メチルビニル
エーテル+無水マレイン酸は、それぞれポリビニルアル
コールとポリエチレン、メチルビニルエーテルと無水マ
レイン酸を併用した結果を表している。
【0046】
【表2】
【0047】表2の結果から、ポリビニルアルコール+
ポリエチレンを用いることもできるが、ポリエチレング
リコールが最も好ましいことがわかる。
【0048】実験例4(ポリエチレングリコールを溶解
させる溶媒、ポリエチレングリコールの分子量、濃度、
末端水酸基の数の検討) ポリエチレングリコール(以下、PEGと記すこともあ
る。)を溶解させる溶媒について、溶解性、揮発性、毒
性、摩擦係数(μ)を検討した。なお、溶解性は、常温
でPEGが可溶かどうかで判定し、揮発性は、コーティ
ング時における溶媒の減少量で判定し、毒性は文献で調
査した。摩擦係数は、前記と同様な方法でポリウレタン
樹脂の表面にイソシアネート基を有する化合物を結合さ
せた後、それぞれの溶媒に溶解させた分子量20000 のポ
リエチレングリコールの5 重量%溶液に40秒間浸漬して
ポリエチレングリコールを結合させ、水処理してサンプ
ルとし、このサンプルの摩擦係数を前記と同様にして測
定した。
【0049】この結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】表3の結果から、ポリエチレングリコール
の溶媒としては、塩素系有機溶媒が好ましく、ジクロロ
メタンが特に好ましいことがわかる。
【0052】次に、ポリウレタン樹脂の表面をメチルエ
チルケトンで20秒間前処理し、4,4−ジフェニルメタ
ンジイソシアネートの10重量%メチルエチルケトン溶液
に20秒間浸漬して、表面にイソシアネート基を形成した
ものを用意し、これを分子量の異なる濃度5 重量%のポ
リエチレングリコール溶液にそれぞれ浸漬して、ポリエ
チレングリコールを結合させた後、水処理した。ただ
し、分子量50000 のものは、濃度2 重量%の溶液を用い
た。こうして得られたサンプルについて、前述した方法
によって摩擦係数を測定した結果を図6に示す。
【0053】図6の結果から、ポリエチレングリコール
の分子量が大きいほど、摩擦係数は小さくなることがわ
かる。
【0054】更に、分子量4000、6000、 11000、 20000の
ポリエチレングリコールを用いて、それぞれ濃度を変え
てジクロロメタン溶液を調製し、上記と同様に処理して
サンプルを作成し、ポリエチレングリコール溶液の濃度
と摩擦係数との関係を測定した。その結果を図7に示
す。図7において、E、F、G、Hは、それぞれ分子量
4000、6000、 11000、 20000のポリエチレングリコールの
値を表わす。
【0055】図7の結果から、分子量20000 のポリエチ
レングリコールを濃度5〜20重量%とした場合、摩擦係
数が最も小さくなることがわかる。一方、分子量11000
のポリエチレングリコールの場合は、濃度20重量%以上
が好ましいが、30重量%を超えると均一なコーティング
が困難になる。
【0056】したがって、分子量10000 〜20000 のポリ
エチレングリコールを濃度1 〜30重量%、好ましくは5
〜30重量%の溶液として反応させると、摩擦係数を小さ
くできることがわかる。
【0057】次に、片末端がOH基であるポリエチレング
リコール、両末端がOH基であるポリエチレングリコール
を用いて、上記と同様にしてサンプルを作成し、末端OH
基の数と、摩擦係数との関係を測定した。その結果を図
8に示す。図において、○−○は両末端にOH基を有する
分子量6000のポリエチレングリコールを用いた場合、△
−△は片末端にOH基を有する分子量5000のポリエチレン
グリコールを用いた場合の値を表わす。
【0058】図8の結果から、両末端にOH基を有するも
ののほうが、片末端にOH基を有するものよりも、摩擦係
数が小さくなることがわかる。
【0059】実施例 図1には、本発明によるガイドワイヤの一実施例が示さ
れている。図において芯線1は、直径0.4mm 、長さ1600
mmのステンレスの線材からなり、先端から100mm の部分
がテーパ状に加工されている。この芯線1の外周には、
芯線1と一体に押し出し成形したポリウレタンからなる
合成樹脂膜2が被覆されている。更に、合成樹脂膜2の
表面には、本発明の方法によって形成した親水性被膜3
が設けられている。このガイドワイヤーは、全体として
直径0.89mm、長さ1600mmとなるように作られている。
【0060】なお、芯線1としては、ステンレスの他、
ピアノ線、アモルファス合金、硬質の合成樹脂、FRP
などの各種材質を用いることができる。芯線1の直径
は、通常、0.05〜0.6mm が好ましい。合成樹脂膜2とし
ては、前述したように、イソシアネート基が残存する
か、又はイソシアネート基と反応性を有する合成樹脂を
用いることができる。ガイドワイヤーの大きさは、通
常、全長100 〜3000mm、好ましくは450 〜1800mm、外径
0.25〜1.5mm とされる。
【0061】親水性被膜3は、次のようにして形成した
ものである。まず、芯線1の外周に合成樹脂膜2を被覆
した後、メチルエチルケトンに20秒浸漬して樹脂表面を
洗浄する。次に、4,4−ジフェニルメタンジイソシア
ネートの10重量%メチルエチルケトン溶液に20秒間浸漬
して、合成樹脂膜2の表面に未反応のイソシアネート基
を形成する。更に、分子量20,000のポリエチレングリコ
ールの5%ジクロロメタン溶液に40秒浸漬して、未反応
のイソシアネート基にポリエチレングリコールを結合さ
せる。最後に、水中に6時間浸漬して水処理を行う。
【0062】こうして得られたガイドワイヤーは、合成
樹脂膜2の表面に形成された親水性被膜3によって優れ
た滑り性を有しており、ガイドワイヤーとカテーテルと
の摩擦が小さくなるので、ガイドワイヤー及びカテーテ
ルの人体管状器官への挿入操作を容易に行うことが可能
であった。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガイドワ
イヤーは、芯線の外周に合成樹脂膜を被覆し、この合成
樹脂膜表面にイソシアネート基を介して特定分子量のポ
リエチレングリコールを結合させたので、摩擦係数を従
来のものより更に小さくすることができる。したがっ
て、血管、尿管、気管等の管状器官へカテーテルを挿入
する際に、ガイドワイヤーとカテーテルとの摩擦係数が
非常に小さくなり、これらの挿入操作を容易かつ迅速に
行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガイドワイヤーの一実施例を示す断面
図である。
【図2】ポリウレタン樹脂の表面を、メチルエチルケト
ンに浸漬して前処理する場合の浸漬時間と、樹脂表面の
膨潤量との関係を示す図表である。
【図3】摩擦係数を測定する装置の概略断面図である。
【図4】樹脂表面にイソシアネート基を結合させる場合
のイソシアネート基を有する化合物の種類と、これらの
化合物の溶液への浸漬時間と、摩擦係数との関係を示す
図表である。
【図5】4,4−ジフェニルジイソシアネートを用いて
処理する際の、濃度と摩擦係数との関係を示す図表であ
る。
【図6】ポリエチレングリコールの分子量と、摩擦係数
との関係を示す図表である。
【図7】ポリエチレングリコールの濃度と、摩擦係数と
の関係を示す図表である。
【図8】ポリエチレングリコールの末端OH基の数と摩擦
係数との関係を示す図表である。
【符合の説明】
1 芯線 2 合成樹脂膜 3 親水性被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 寛幸 神奈川県横浜市保土ケ谷区岩井町51番地 加藤発条株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯線の外周に合成樹脂膜を被覆し、この
    合成樹脂膜の表面に親水性被膜を形成してなるガイドワ
    イヤーにおいて、前記親水性被膜が、前記合成樹脂膜の
    表面にイソシアネート基を介して結合された分子量1000
    0 〜30000 のポリエチレングリコールからなることを特
    徴とするガイドワイヤー。
  2. 【請求項2】 芯線の外周に合成樹脂膜を被覆し、この
    合成樹脂膜の表面に親水性被膜を形成するガイドワイヤ
    ーの製造法において、芯線の外周に、イソシアネート基
    が残存する合成樹脂を被覆した後、又はイソシアネート
    基と反応性を有する合成樹脂を被覆し、次いで、イソシ
    アネート基を有する化合物を反応させた後、分子量1000
    0 〜30000 のポリエチレングリコールの1〜30重量%溶
    液に接触させることを特徴とするガイドワイヤーの製造
    法。
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