JPH11319071A - 表面潤滑性付与材料及び表面潤滑性医療基材 - Google Patents

表面潤滑性付与材料及び表面潤滑性医療基材

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JPH11319071A
JPH11319071A JP10142344A JP14234498A JPH11319071A JP H11319071 A JPH11319071 A JP H11319071A JP 10142344 A JP10142344 A JP 10142344A JP 14234498 A JP14234498 A JP 14234498A JP H11319071 A JPH11319071 A JP H11319071A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被コーティング基材の表面に均一にコーティン
グできて潤滑性を付与することができる表面潤滑性付与
材料と、十分な潤滑性を奏することができる表面潤滑性
医療基材を提供すること。 【解決手段】コーティング基材としてイソシアネート基
を含有する高分子にイソシアネート基と反応する架橋剤
を添加した表面潤滑性付与材料。前記表面潤滑性付与材
料を被コーティング基材にコーティングした表面潤滑性
医療基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、胃管カテーテル、
胃腸カテーテル、食道チューブ等の消化器用カテーテル
・チューブ、尿管カテーテル、尿道カテーテル等の泌尿
器科用カテーテル、ガイドワイヤー、PTCA用カテー
テル、血管造影用カテーテル等の循環器用カテーテル等
の表面潤滑性を付与する材料及び方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】現在、
種々の領域で実用されているカテーテル材料はポリウレ
タン、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ス
チレン系等のポリオレフィンの熱可塑性プラスチックに
て製造されている。またカテーテルを導入する際用いら
れるガイドワイヤーは金属製である。これらの医療用具
のほとんどは疎水性であるため、医療器として用いる
際、生体の粘膜、血管壁に対する抵抗、刺激が大きく、
カテーテル、ガイドワイヤーの挿入が困難であったり生
体に損傷を与えることが多々あった。そこで生体に損傷
を与えずかつ、操作性を向上させるためにビニルピロリ
ドン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体
のエチルエステル等で材料表面をコーティングして表面
に潤滑性を付与した医療器具が開発されてきた。しかし
ながら、潤滑性の優れた医療器具はコート層が剥離し易
い傾向にあり安全性の点で問題が指摘されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】[1]本発明は、コーテ
ィング基材としてイソシアネート基を含有する高分子に
イソシアネート基と反応する架橋剤を添加した表面潤滑
性付与材料を提供する。 [2]本発明は、親水性高分子としてポリビニルピロリ
ドン系、N,N−ジメチルアクリルアミド系、ビニルエ
ーテル/無水マレイン酸共重合体系高分子の少なくとも
一つを添加した[1]記載の表面潤滑性付与材料を提供
する。 [3]本発明は、架橋剤としてイソシアネート基と反応
する少なくとも二個以上の活性水素官能基を有する有機
化合物の少なくとも一つを添加した[1]ないし[2]
記載の表面潤滑性付与材料を提供する。 [4]本発明は、イソシアネート基を含有する高分子が
ウレタン系の高分子である[1]ないし[3]に記載の
表面潤滑性付与材料を提供する。 [5]本発明は、イソシアネート基を含有する高分子成
分の少なくとも一成分が2−イソシアネート−エチル−
メタクリレートである[1]ないし[3]に記載の表面
潤滑性付与材料を提供する。 [6]本発明は、セルロースエステル系高分子を添加し
た[1]ないし[5]に記載の表面潤滑性付与材料を提
供する。 [7]本発明は、[1]ないし[6]に記載の表面潤滑
性付与材料を被コーティング基材にコーティングした表
面潤滑性医療基材を提供する。 [8]本発明は、被コーティング基材にプラズマ処理、
コロナ放電処理、紫外線処理、酸・アルカリ処理のいず
れかの処理を施した後、表面潤滑性付与材料をコーティ
ングした[7]記載の表面潤滑性医療基材を提供する。 [9]本発明は、被コーティング基材にイソシアネート
基と反応するモノマーをグラフト重合させた後、[1]
ないし[6]に記載の表面潤滑性付与材料をコーティン
グした表面潤滑性医療基材を提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明は[A]潤滑性に優れ、か
つ剥離に対して安定なコーティング材料を開発する目的
でコーティング基材としてイソシアネート基を有しそれ
自体が潤滑性を有する高分子溶液に、架橋剤を添加しこ
れらを被コーティング基材にコーティングして乾燥する
ことにより架橋反応を起こさせ、水に不溶化させて被コ
ーティング基材表面を潤滑化する表面潤滑性付与材料で
ある。さらに本発明は[B]ポリビニルピロリドン等の
親水性高分子を前記イソシアネート基を含有する高分子
及び架橋剤に添加して、被コーティング基材にコーティ
ング、乾燥して親水性高分子をイソシアネート基を含有
する高分子マトリックス中に閉じ込めてさらに長期間に
わたって表面に潤滑性を付与することのできる材料であ
る。
【0005】さらに、本発明は[C]疎水性表面に均一
にコートし易くするために、潤滑性を有するセルロース
エステル系高分子を添加した表面潤滑性付与材料であ
る。また本発明は[D]疎水性表面に均一にコートし易
くするためにあらかじめプラズマ処理、コロナ放電処
理、紫外線処理、酸・アルカリ処理等により被コーティ
ング基材表面を処理した後、本発明で得られた前記
[A]から[C]の表面潤滑性付与材料をコーティング
した表面潤滑性医療基材である。さらに本発明は[E]
被コーティング基材の表面に本発明で得られた前記
[A]から[C]の表面潤滑性付与材料を、さらに強固
にコーティングするために被コーティング基材にイソシ
アネート基と反応するモノマーをグラフト重合させた
後、前記表面潤滑性付与材料をコーティングした表面潤
滑性医療基材である。
【0006】イソシアネート基を含有する高分子として
は、未反応のイソシアネート基を含有するポリウレタ
ン、末端にイソシアネート基を有するポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、あるいは2−イソ
シアネート−エチルメタクリレート(CH2 =C(CH
3 )−COOCH2 CH2 −NCO)とN,N−ジメチ
ルメタクリレート及び/またはアクリルアミド及び/ま
たはビニルピロリドン等のイソシアネート基と反応する
基を持たない親水性モノマーとの共重合体が挙げられ、
2−イソシアネート−エチルメタクリレートのり共重合
体中の含有量が50重量%、好ましくは20重量%、さ
らに好ましくは10重量%以下のものが挙げられる。
【0007】イソシアネート基を含有する高分子と共に
用いられる親水性高分子としては、ポリビニルピロリド
ン、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ビニルエ
ーテル/無水マレイン酸共重合体及びそのエステル化合
物、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ま
たこれらの誘導体等が挙げられるが、これらの中でも分
子量の高いものを用いるのが好ましい。相対的に被コー
ティング基材が疎水性である材料の場合には、ニトロセ
ルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオ
ネート、セルロースブチレート、可塑性ナイロン等、特
にセルロースアセテートを添加するのが望ましい。
【0008】イソシアネート基と反応する架橋剤として
少なくとも二個以上の活性水素官能基を有する有機化合
物(活性水素官能基とは、ヒドロキシル基、一級及び二
級のアミノ基、カルボキシル基である)、具体的に例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、
アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、セバシ
ン酸等のジカルボン酸等の多価カルボン酸、ヘキメチレ
ンジアミン等の多価アミノ化合物が好ましく用いられ、
さらにエタノールアミン等のアミノアルコール類、アミ
ノ酸類、糖類が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。本発明で使用される溶剤はイソシアネート基
と反応せず、活性水素官能基を持たない溶剤、例えばア
セトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、クロロホ
ルム、ジメチルホルムアミドの単独または混合溶剤であ
る。
【0009】
【実施例】実施例1 2−ブタノン中に溶解した3重量%ポリビニルピロリド
ン(親水性高分子)及びイソシアネート基含有ポリウレ
タン(コーティング基材)に対しエチレングリコール
(架橋剤)を3重量%添加し調製した表面潤滑性付与材
料中に、被コーティング基材として幅1cm、長さ10
cmポリウレタンシートの下部3cmを5分間浸漬後、
60℃にて3時間乾燥し、試料を調整し試験片とした。
この試験片を、生理食塩液中に漬けた後、引張試験機に
より評価した。引張試験機のエアー圧式掴み具を使用
し、潤滑処理部分は1mm厚のシリコンシートを介し2
kg/cm2 の圧にて2cm固定した。比較例1として
同様条件にて生理食塩液中に漬けた未処理のポリウレタ
ンシートを対象として引張り速度200mm/分で試験
した時の引き抜き強度により評価した。比較例1に対
し、実施例1の表面潤滑性医療基材は潤滑性に優れ容易
に引き抜くことができ、潤滑処理の効果を確認できた。
【0010】実施例2 実施例1のポリビニルピロリドンをN,N−ジメチルア
クリルアミドに換え調製した表面潤滑性付与材料中に、
幅1cm、長さ10cmポリウレタンシートの下部3c
mを5分間浸漬後、60℃にて3時間乾燥し、試料を調
製し試験片とした。この試験片と未処理のポリウレタン
シート(比較例2)を、実施例1と同様に引張試験機に
より評価した。
【0011】実施例3 テトラヒドロフラン(以下THF)中に溶解した3重量
%ポリビニルピロリドン及びイソシアネート基含有ポリ
ウレタンに対しエチレングリコールを3重量%添加し調
整した表面活性付与材料中に、被コーティング基材とし
て径0.9mm、長さ10cmのポリアミド被覆ガイド
ワイヤーの下部3cmを3分間浸漬後、60℃にて3時
間乾燥し試験片とした。この試験片を、生理食塩液中に
漬けた後、引張試験機により評価した。引張試験機のエ
アー圧式掴み具を使用し、潤滑処理部分は1mm厚のシ
リコンシートを介し2kg/cm2 の圧にて2cm固定
した。比較例3として同様条件にて生理食塩液中に漬け
た未処理のポリアミド被覆ガイドワイヤーを対象として
引張り速度200mm/分で試験した時の引き抜き強度
により評価した。比較例3に対し、実施例3の表面潤滑
性医療基材は潤滑性に優れ容易に引き抜くことができ、
潤滑処理の効果を確認できた。
【0012】実施例4 2−ブタノン中に溶解した3重量%ポリビニルピロリド
ン及びイソシアネート基含有ポリウレタン、1重量%の
エチルセルロースに対しエチレングリコールを3重量%
添加し調整した表面潤滑性付与材料中に、被コーティン
グ基材として幅1cm、長さ10cmポリウレタンシー
トの下部3cmを5分間浸漬後、60℃にて3時間乾燥
し試験片とした。この試験片と未処理のポリウレタンシ
ート(比較例4)を、実施例1と同様に引張試験機によ
り評価した。比較例4に対し、実施例4の表面潤滑性医
療基材は潤滑性に優れ容易に引き抜くことができ、潤滑
処理の効果を確認できた。
【0013】実施例5 N,N−ジメチルアクリルアミド90重量%と2−イソ
シアネート−エチルメタクリレート10重量%からなる
共重合体をTHF中濃度3重量%に溶解後、プロレング
リコールを共重合体に対し2重量%添加し調整した表面
潤滑性付与材料中に、被コーティング基材として幅1c
m、長さ10cmのポリウレタンシートの下部3cmを
5分間浸漬後、60℃にて3時間乾燥し、試験片とし
た。この試験片と未処理のポリウレタンシート(比較例
5)を、実施例1と同様に引張試験機により評価した。
比較例5に対し、実施例5の表面潤滑性医療基材は潤滑
性に優れ容易に引き抜くことができ、潤滑処理の効果を
確認できた。
【0014】実施例6 N,N−ジメチルアクリルアミド90重量%と2−イソ
シアネート−エチルメタクリレート10重量%からなる
共重合体1重量%とポリ(N,N−ジメチルアクリルア
ミド)2重量%をTHF中濃度3重量%に溶解後、エチ
レングリコールを前記高分子成分に対し2.5重量%添
加し調整した表面潤滑性付与材料中に、被コーティング
基材として外径1.5mm、長さ10cmのポリウレタ
ンチューブの下部3cmを5分間浸漬後、60℃にて3
時間乾燥し、試験片とした。この試験片と未処理のポリ
ウレタンチューブ(比較例6)を、実施例1と同様に引
張試験機により評価した。比較例6に対し、実施例6の
表面潤滑性医療基材は潤滑性に優れ容易に引き抜くこと
ができ、潤滑処理の効果を確認できた。
【0015】実施例7 N,N−ジメチルアクリルアミド95量%と2−イソシ
アネート−エチルメタクリレート5重量%からなる共重
合体を3重量%及びエチルセルロース1重量%を2−ブ
タノン中に溶解後、エチレングリコールを前記高分子成
分に対し3重量%添加し調整した表面潤滑性付与材料中
に、被コーティング基材として幅1cm、長さ10cm
の塩化ビニル製シートの下部3cmを5分間浸漬後、6
0℃にて3時間乾燥し、試験片とした。この試験片と未
処理のポリ塩化ビニル製シート(比較例7)を、実施例
1と同様に引張試験機により評価した。比較例7に対
し、実施例7の表面潤滑性医療基材は潤滑性に優れ容易
に引き抜くことができ、潤滑処理の効果を確認できた。
【0016】実施例8 実施例7の被コーティング基材を塩化ビニル製シートか
らポリプロピレン製シートに変更した以外は同様の条件
にて試験片を作成した。この試験片と未処理のポリプロ
ピレン製シート(比較例8)を、実施例1と同様に引張
試験機により評価した。比較例8に対し、実施例8の表
面潤滑性医療基材は潤滑性に優れ容易に引き抜くことが
でき、潤滑処理の効果を確認できた。
【0017】
【発明の作用効果】以上説明したように本発明の表面潤
滑性付与材料は被コーティング基材の表面に均一にコー
ティングできて潤滑性を付与することができる。また前
記表面潤滑性付与材料を表面にコーティングした表面潤
滑性医療基材は、十分な潤滑性を奏することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コーティング基材としてイソシアネート基
    を含有する高分子にイソシアネート基と反応する架橋剤
    を添加した表面潤滑性付与材料。
  2. 【請求項2】親水性高分子としてポリビニルピロリドン
    系、N,N−ジメチルアクリルアミド系、ビニルエーテ
    ル/無水マレイン酸共重合体系高分子の少なくとも一つ
    を添加した請求項1記載の表面潤滑性付与材料。
  3. 【請求項3】架橋剤としてイソシアネート基と反応する
    少なくとも二個以上の活性水素官能基を有する有機化合
    物の少なくとも一つを添加した請求項1ないし請求項2
    記載の表面潤滑性付与材料。
  4. 【請求項4】イソシアネート基を含有する高分子がウレ
    タン系の高分子である請求項1ないし請求項3に記載の
    表面潤滑性付与材料。
  5. 【請求項5】イソシアネート基を含有する高分子成分の
    少なくとも一成分が2−イソシアネート−エチル−メタ
    クリレートである請求項1ないし請求項3に記載の表面
    潤滑性付与材料。
  6. 【請求項6】セルロースエステル系高分子を添加したこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載の表面潤
    滑性付与材料。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6に記載の表面潤滑
    性付与材料を被コーティング基材にコーティングした表
    面潤滑性医療基材。
  8. 【請求項8】被コーティング基材にプラズマ処理、コロ
    ナ放電処理、紫外線処理、酸・アルカリ処理のいずれか
    の処理を施した後、表面潤滑性付与材料をコーティング
    した請求項7記載の表面潤滑性医療基材。
  9. 【請求項9】被コーティング基材にイソシアネート基と
    反応するモノマーをグラフト重合させた後、請求項1な
    いし請求項6に記載の表面潤滑性付与材料をコーティン
    グした表面潤滑性医療基材。
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