JPH0518411U - コンパクト容器 - Google Patents
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- JPH0518411U JPH0518411U JP6666491U JP6666491U JPH0518411U JP H0518411 U JPH0518411 U JP H0518411U JP 6666491 U JP6666491 U JP 6666491U JP 6666491 U JP6666491 U JP 6666491U JP H0518411 U JPH0518411 U JP H0518411U
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 パフ収納部を有し、容器内面に防曇性を有す
る鏡が設けられたコンパクト容器において、該防曇性を
有する鏡が、下記のA、BおよびC成分を主成分として
なるコーティング組成物を硬化してなる被膜を表面に有
する鏡であることを特徴とするコンパクト容器。 A.ポリビニルアルコール B.架橋剤 C.沸点が105℃以上、300℃以下であるポリビニ
ルアルコール可溶性有機溶剤 C.沸点が105℃以上、300℃以下であるポリビニ
ルアルコール可溶性有機溶剤 【効果】 容器内の温度、湿度変化も、開閉時の温湿度
変化にも鏡が曇ることがない。表面硬度が硬く、キズが
付きにくく、汚れにくい。かつ、この吸水性被膜は、耐
水性に優れることから、水分付着によって被膜が防曇性
能を消失させることがないため、半永久的に防曇性能を
有する。
る鏡が設けられたコンパクト容器において、該防曇性を
有する鏡が、下記のA、BおよびC成分を主成分として
なるコーティング組成物を硬化してなる被膜を表面に有
する鏡であることを特徴とするコンパクト容器。 A.ポリビニルアルコール B.架橋剤 C.沸点が105℃以上、300℃以下であるポリビニ
ルアルコール可溶性有機溶剤 C.沸点が105℃以上、300℃以下であるポリビニ
ルアルコール可溶性有機溶剤 【効果】 容器内の温度、湿度変化も、開閉時の温湿度
変化にも鏡が曇ることがない。表面硬度が硬く、キズが
付きにくく、汚れにくい。かつ、この吸水性被膜は、耐
水性に優れることから、水分付着によって被膜が防曇性
能を消失させることがないため、半永久的に防曇性能を
有する。
Description
【0001】
本考案は耐久性に優れた防曇性を有する鏡を内面に設けてなるコンパクト容器 に関する。
【0002】
一般に化粧用に用いられるコンパクト容器には、内部に鏡が設けられているが 、かかる鏡において従来種々の問題を有していた。例えば、ハンドバック等にコ ンパクト容器を入れて持ち歩いた場合、冬期では、外気の低温状態から室内や社 内に入った時、コンパクト容器を開け化粧をしようとするとその温度差から鏡が 曇り見にくくなり、また夏期には、ハンドバック内が蒸れた時、水蒸気が鏡の表 面に付着して見にくくなる。特に含水パフが使用された時は、その水蒸気が揮散 され、顕著に鏡を曇らせるのである。
【0003】 そのために、従来から界面活性剤を塗布した鏡を用いる技術が知られているが 、この技術においては、鏡表面と水滴との接触角を小さくすることにより濡れ性 を高め水滴を膜状にして曇り防止されているため、化粧料も付着し易く、さらに 鏡に付着したファンデーションや、化粧料を布、ティッシュペーパー等で拭き取 る際に、曇り防止剤も鏡面から除去されてしまうという問題があった。
【0004】 この欠点を解消するため、実公昭63−40165号では、親水性樹脂を紫外 線硬化した被膜を有する鏡を用いる方法が提案されている。しかしながらこの方 法においては、防曇性は維持されるものの、鏡表面との濡れ性を大きくし、水滴 を膜状にして曇り防止しているため、化粧料が付着し易いといった問題を有して いた。またアクリル系樹脂であるため、化粧料の汚れを拭き取る際にキズがつき 易いという欠点があった。
【0005】
【考案が解決しょうとする課題】 本考案は、上記欠点を解消することを目的とし、種々の温湿度条件下において 曇りにくく、かつ、汚れが付着しにくく、さらには、耐水性、耐擦傷性にも優れ た鏡を有するコンパクト容器を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本考案は下記の構成を有する。
【0007】 「パフ収納部を有し、容器内面に防曇性を有する鏡が設けられたコンパクト容器 において、該防曇性を有する鏡が、表層に、下記のA、BおよびC成分を主成分 としてなるコーティング組成物より生成される被膜を有する鏡であることを特徴 とするコンパクト容器。
【0008】 A.ポリビニルアルコール B.架橋剤 C.沸点が105℃以上、300℃以下であるポリビニルアルコール可溶 性有機溶剤」 以下に本考案によるコンパクト容器としては、特に限定されるものではなく、 実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0009】 図1に、容器本体1中にパフ6及化粧料8が一つに収納されたコンパクトを示 した。また、図3には容器本体が下部容体2と上部容体3に分かれたもの示した 。下部容体2にはパフ収納部5があり、パフ6が収められており、未使用時は上 部容体3の下に入っているが、使用時は下部容体2に取り付けられた上部容体3 をスライド式に引き出すことにより使用可能となる。上部容体3には化粧料収納 部7と化粧料8が収められている。上部容体はスライド式の他に中蓋式に重ねら れたものであってもよく、また、図1において容器本体1中にパフ収納部と化粧 料収納部が縦あるいは横に並列に設けられたものであってもよい。
【0010】 次に容器本体1あるいは上部容体3の後部には切欠部9,9′があり、この切 欠部位置に合致した容器蓋体4の蓋体垂下部10,10′がはめこまれる。切欠 部9,9′と蓋体垂下部10,10′は容器本体1あるいは上部容体3の後端部 の内部に設けられたヒンジピン(図示はなし)により貫通、連結され、蝶番結合 によりヒンジピンを介して容器蓋体4が開閉出来る構造となっている。
【0011】 一方、蓋体前端部の垂下部には突起部12があり、対応する容器本体1あるい は上部容体3の前端部にも突条片13があり、蓋体4を押さえれば係合すること が出来る。また蓋体4を引き上げることにより開放出来る。蓋体垂下部を10′ の様にヒンジピンを介してバネ11を設けておけば自動的に蓋体4は垂直に起き 上がらせることもできる。
【0012】 そして、このような形態のコンパクト容器の蓋体4の内面には、上記パフ6あ るいは容器内部から放散される水蒸気による曇りを防止するため、表面に後述す る吸水性を有する組成物からなる被膜を設けた防曇性を有する鏡14が取り付け られている。この防曇性鏡は次のようにして得られる。
【0013】 図2に防曇性を有する鏡の断面を示した。基材に使用される鏡15としては一 般に使用されている公知のガラス製鏡や実開昭60−137865号公報に見ら れるようなプラスチック製鏡でも適応可能である。鏡基材の厚みは、特に限定さ れるものではないが、0.4mm〜3.0mmの間の鏡が好適に使われ、より好まし くは、1.0〜2.0mmの厚みの鏡が使用される。鏡基材の形状としては何ら限 定されるものでなく、使用形状に切断後、本考案の防曇性を有する被膜16を設 けてもよいし、また大形寸法の基板上に被膜16を設け、後ほど使用形状に切断 しても何ら問題がない。考えられる形状としては種々考えられるが、円形、長方 形、ダイヤ形、ハート形、星形、楕円形等が考えられる。
【0014】 本考案における防曇性を有する鏡14は、前記鏡基材15の表層に後述する吸 水性を有する防曇性被膜16を設けたものである。なお、図示していないが、接 着性を強固にするために、基材15と被膜16の間にプライマ層を設けることも 好ましい。さらに、公知のアクリル系、有機ケイ素化合物等から得られてなるハ ードコート層や、ポリホスファゼン樹脂等の無機高分子層や、コロイダルシリカ やアルミナゾル、アンチモンゾル、チタニアゾル等の無機酸化物層を、被膜16 の上に設けて用いることも好ましい。また、被膜16の表面に酸素プラズマ、不 活性ガスプラズマ等でプラズマ処理を施したり、酸、アルカリ処理等の表面処理 を施すこともできる。
【0015】 本考案におけるコーティング組成物を硬化してなる被膜は、吸水性を有する被 膜であり、以下に説明する。
【0016】 本考案で用いられるポリビニルアルコールとは、ポリ酢酸ビニルの部分加水分 解あるいは完全加水分解によって得られるものである。とくに平均重合度が25 0〜3000、鹸化度が70モル%以上の水酸基を有するポリビニルアルコール が本考案には好ましく用いられる。平均重合度が250より小さい場合は耐久性 、耐水性が低下する傾向にあり、また、3000より大きい場合は塗料とした時 に粘度が増大し、平滑な塗膜が得られにくいという作業上に問題を有する。さら に鹸化度が70モル%よりも低い場合には防曇性の点で充分な性能を発現しにく い場合がある。
【0017】 ポリビニルアルコールの3次元化を達成せしめる架橋剤としては、ポリビニル アルコールを不溶化させ得るものであれば特に限定されず、多くの公知の架橋剤 が使用され得る。具体的な架橋剤としてはエポキシ樹脂、メラミン樹脂、シラン カップリング剤、各種金属化合物、尿素樹脂、シリカ微粒子などが挙げられる。 前記架橋剤の中でも、透明性、架橋の容易さ、硬度向上、耐水性など多くの特 性面からシランカップリング剤が好ましく、とくに下記一般式(I)または(II )で表わされる化合物,およびその加水分解物が好ましい。
【0018】
【化2】
【0019】 (ここでR1 、R3 、R5 は、エポキシ基を有する炭素数4〜14の有機基、 R2 、R4 、R6 は炭素数1〜14の炭化水素基、または、ハロゲン基、メルカ プト基、シアノ基、(メタ)アクリロキシ基およびアミノ基から選ばれる置換基 を有する炭素数1〜14の炭化水素基、XおよびQは加水分解性基を示す。a, c,eはそれぞれ、0または1であり、b,d,fはそれぞれ、0、1または2 である。さらに(a+b),(c+d),(e+f)はそれぞれ、0、1または 2である。Yは炭素数2〜40の有機基である。) 一般式(I)において、R1 に含まれるエポキシ基の例としてはグリシドキシ 基などの脂肪族系エポキシ基、3,4-エポキシシクロヘキシル基などの脂環式エポ キシ基などが挙げられ、R1 としては、これらのエポキシ基を含めて炭素数が4 〜14の有機基であり、一価の有機基としてSi−C結合により、シラン化合物 中に含まれるものである。また、R2 としては、メチル基、エチル基、ビニル基 、プロピル基、オクチル基、フェニル基などの炭素数1〜14の炭化水素基、お よびこれらの炭化水素基の置換基誘導体が含まれる。かかる置換基としてはクロ ロ基、フロロ基などのハロゲン基、メルカプト基、シアノ基、(メタ)アクロキ シ基、アミノ基が挙げられる。R2 もR1 と同様、一価の有機基であり、Si− C結合にてシラン化合物中に含まれるものである。また、Xは加水分解性基であ り、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、アセトキシ基な どのカルボキシ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基、メトキシエトキシ基 、エトキシエトキシ基などのアルコキシアルコキシ基、さらにはケトオキシム基 、プロペニル基などが挙げられる。さらに、aは、0または1であり、bは、0 、1または2である。さらに(a+b)は、0、1または2である。bが2であ る場合、R2 は同種であっても異種であってもよい。
【0020】 一般式(I)で表される有機ケイ素化合物の具体的な代表例としては、メチル トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシ シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルト リブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビ ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシ ラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ ニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピル トリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロ ピルトリアセトキシシラン、3,3,3-トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ −メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキ シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ− メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミ ノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチル トリフェノキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエ トキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルト リエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシド キシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、 β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメ トキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキ シプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリ シドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシ ドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン 、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエ トキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ ブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ− グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4- エポキシシクロヘキシル)メチ ルトリメトキシシラン、(3,4- エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシ ラン、β−(3,4- エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3 ,4- エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4-エポキシ シクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキ シル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル トリメトキエトキシシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリ フェノキシシラン、γ−(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシ シラン、γ−(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ −(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4-エポ キシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン、 トリアシルオキシシランまたはトリフェノキシシラン類またはその加水分解物お よびジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジ エトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチル ジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジア セトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メ タクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチル ジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミ ノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラ ン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシド キシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシエチルメチルジエトキシシラ ン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシメチル メチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β −グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチ ルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β− グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチ ルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ− グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ ルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ −グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプ ロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアセトキ シシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキ シプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキ シシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキ シプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエ トキシシランなどジアルコキシシラン、ジフェノキシシランまたはジアシルオキ シシラン類またはその加水分解物がその例である。
【0021】 一方、もう一つの好ましいシランカップリング剤であるところの一般式(II) で表される化合物において、R3 、R5 としては、前記一般式(I)のR1 と同 様の例を挙げることができる。R4 、R6 としては、前記一般式(I)のR2 と 同様の例を挙げることができる。また、Qの加水分解性基としても、前記一般式 (I)のXと同様の例を挙げることができる。また、c,eはそれぞれ、0また は1であり、d,fはそれぞれ、0、1または2である。さらに(c+d),( e+f)はそれぞれ、0、1または2である。dあるいはfが2である場合、 R4 、R6 はそれぞれ、同種であっても異種であっても良い。
【0022】 またYは炭素数が2〜40である有機基である。すなわち、Yは2つのSi原 子とSi−C結合にて分子内に含まれる官能基であり、該官能基中には、酸素原 子、窒素原子など炭素、水素以外の異原子が含まれていても何ら問題はない。さ らには、炭素数2〜40の範囲内において、有機基としては、鎖状であっても、 環状であってもよく、また酸素原子などがエポキシ環等として存在していても何 ら問題はなく、特に酸素原子などがエポキシ環等として存在している場合には、 硬化時に官能基として寄与する点から好ましい。
【0023】 そのYの具体例としては、
【0024】
【化3】
【0025】 などが挙げられる。
【0026】 以上の一般式(I)または(II)で表される有機ケイ素化合物の中でも、とく に低温硬化性、硬度向上の目的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機ケイ 素化合物の使用が好適である。また硬化速度、加水分解の容易さなどの点からX ,Qとしては炭素数1〜4のアルコキシ基またはアルコキシアルコキシ基が好ま しく使用される。
【0027】 これらの有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物の中でキュア温度を 下げ、架橋をより進行させるためには加水分解物が好ましい。
【0028】 加水分解は純水または塩酸、酢酸、あるいは硫酸などの酸性水溶液を添加、撹 拌することによって製造される。さらに純水、あるいは酸性水溶液の添加量を調 節することによって加水分解の度合をコントロールすることも容易に可能である 。加水分解に際しては、一般式(I)または(II)のX基あるいはQ基と等モル 以上、3倍モル以下の純水または酸性水溶液の添加が硬化促進の点で特に好まし い。
【0029】 加水分解に際しては、アルコール等が生成してくるので、無溶媒で加水分解す ることが可能であるが、加水分解をさらに均一に行う目的で有機ケイ素化合物と 溶媒を混合した後、加水分解を行うことも可能である。また目的に応じて加水分 解後のアルコール等を加熱および/または減圧下に適当量除去して使用すること も可能であるし、その後に適当な溶媒を添加することも可能である。
【0030】 これらの溶媒としてはアルコール、エステル、エーテル、ケトン、ハロゲン化 炭化水素あるいはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、N,N−ジメチル ホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノンなどの溶媒が挙げられる。またこれら の溶媒は必要に応じて2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。ま た、目的に応じて加水分解反応を促進し、さらに予備縮合等の反応を進めるため に室温以上に加熱することも可能であるし、予備縮合を抑えるために加水分解温 度を室温以下に下げて行うことも可能であることは言うまでもない。
【0031】 また、本考案においては好ましい架橋剤として、平均粒子径が5〜200mμ の微粒子状シリカを用いた、シリカゾルが効果的な例としてあげられる。シリカ ゾルとしては、高分子量無水ケイ酸の水および/またはアルコールなどの溶媒中 のコロイド状分散体であることが好ましい。本考案の目的のためには平均粒子径 約5〜200mμのものが好ましく使用されるが、約7〜50mμの径のものが とくに好ましい。平均粒子径が5mμに満たないものは分散状態の安定性が不十 分であり、品質の一定したものを得ることが困難な傾向にあり、また200mμ を越えるものは生成塗膜の透明性が悪い場合がある。
【0032】 本考案におけるポリビニルアルコールおよび架橋剤の添加比はその目的とする 防曇性および適用される基材によって適宜、最適化されるべきものであるが、と くに本考案の被膜を設けようとする基材の耐熱性が100℃以上、あるいはそれ 以上の耐熱性を有する場合には、架橋剤成分10重量部に対してポリビニルアル コールが5〜300重量部であることが好ましい。とくに高い表面硬度と防曇性 の両機能を同時に満足させる場合には架橋剤成分10重量部に対して、ポリビニ ルアルコールが7.5〜150重量部の範囲が好ましい。
【0033】 本考案の被膜中には前記成分以外の他の成分を添加することによって性能の改 良、改質が可能である。
【0034】 例えば、透明性を損わない範囲で染顔料を添加することも好ましく、また、硬 化被膜を染色せしめることも可能である。
【0035】 また、耐候性、密着性向上には各種エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹 脂の使用が好ましい。中でも脂肪族型エポキシ樹脂はその改良効果を大きく向上 させることが可能な点からとくに好ましい。
【0036】 本考案の防曇性コーティング組成物には、溶剤として沸点が105℃以上、3 00℃以下であるポリビニルアルコール可溶性有機溶剤の使用が好ましいが、こ こでかかる溶剤とは、ポリビニルアルコールを1wt%以上の濃度で溶解可能であ り、かつ前記範囲の沸点を有する有機系溶剤である。沸点が105℃に満たない ものは生成塗膜の平滑性が悪くなり、300℃を越えるものは生成塗膜の硬化が 困難である。ここで、溶解とはポリビニルアルコールを透明にするものであれば 良く、チクソトロピー性を有しているものも含まれる。かかる有機溶剤の具体例 としては、ジアルキルイミダゾリジノンなどが挙げられる。ジアルキルイミダゾ リジノンとしては、例えば炭素数が1〜4のアルキル基を有するものが好ましく 、とくにジメチルイミダゾリジノンが入手の容易さから好適に使用される。
【0037】 本考案のコーティング組成物はそれぞれ前述のポリビニルアルコール、架橋剤 、および沸点が105℃以上、300℃以下であるポリビニルアルコール可溶性 有機溶剤を必須成分とする。
【0038】 本考案のコーティング組成物には前述した必須成分以外の溶媒、添加剤、各種 改良剤などを含有させることも可能であるが、必須成分は、本考案組成物全重量 中、2重量%以上含まれていることが好ましい。
【0039】 溶媒としては、例えば水、各種アルコール、ケトン、エステル、エーテル、環 状エーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを適宜用いるこ とができる。
【0040】 また添加剤としては、表面平滑性を改良する目的で各種の界面活性剤が使用可 能であり、実例としてはシリコーン系化合物、フッ素系界面活性剤、有機界面活 性剤などが使用できる。
【0041】 さらに改良剤としては本考案の組成物と相溶性のよい有機ポリマたとえばヒド ロキシエチルセルローズ、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、またはその共 重合体、アルコール可溶性ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリド ンまたはその共重合体などが挙げられる。さらにはエチルシリケート、n−プロ ピルシリケート、i−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、i−ブチル シリケート、t−ブチルシリケートなどの4官能シラン化合物、またアミド樹脂 なども添加することが可能である。
【0042】 また必要に応じ硬化を促進する目的でシラノールの縮合およびまたはシラノー ルと水酸基の反応触媒として知られる各種の触媒が用いられるが、一般式Al・ Xa ・Y3-a で表されるアルミニウムキレート化合物を特に好ましく用いること ができる(ここでXは低級アルコキシ基、YはM1 COCH2 COM2 および M3 COCH2 COOM4 からなる群から選ばれた化合物から生ずる配位子( M1 、M2 、M3 およびM4 は低級アルキル基)、aは0,1または2である。 )。このアルミニウムキレート化合物は、各種の化合物が使用できるが、触媒活 性、組成物中の溶解性、および安定性の観点から特に好ましい例としては、アル ミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセテートビスアセ チルアセトナート、アルミニウムビスアセトアセテートモノアセチルアセトナー ト、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウ ムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテートなどであり、これらの化合 物の混合物を用いることもできる。
【0043】 このような必須成分以外の添加成分は本考案の防曇性コーティング組成物から 形成される塗膜に対して耐熱性、耐候性、耐水性、接着性あるいは耐薬品性など 本考案が適用される用途に応じて種々の実用特性を改良し得るものである。
【0044】 本考案の組成物を得るには、例えば各成分を単に混合する方法あるいは成分に よってはあらかじめ加水分解などの処理を施したものを用いてさらに他の成分を 混合する方法などがあげられ、これらはいずれも本考案の組成物製造には有用な 方法である。
【0045】 本考案におけるA〜C成分は各々次のような割合で用いられ本考案の組成物を 形成することが好ましい。A成分固形分量100重量部に対して、B成分の固形 分量が、1.0〜200重量部の範囲で用いられることが好ましい。B成分の固 形分量が、1.0未満であると耐水性あるいは硬度などが低下し、また200重 量部を越えると防曇性が低下する傾向がある。より好ましくは3.0〜150重 量部である。またC成分は、A成分固形分量100重量部に対して、20〜50 0重量部の範囲であって、20重量部未満では外観が悪く、またコーティング組 成物使用中における溶媒揮発による固形分変化が大きくなり、膜厚が変動する傾 向がある。また500重量部を越えるとコーティング被膜の硬化が遅くなり、ま た、耐水性、表面硬度を低下させる傾向にある。
【0046】 本考案の組成物を鏡に塗布する方法としては例えばハケ塗り、浸漬塗り、スピ ンコーティング、流し塗り、スプレ塗装、ロール塗装、カーテンフロー塗装など 通常当業界で知られている各種の方法を用いることが可能である。
【0047】 本考案の被膜は前記組成物によって得られるものであるが、その膜厚みは1μ m以上であることが好ましい。すなわち、1μm未満の場合には防曇効果が乏し く、実用性が低い傾向がある。一方、膜厚の上限についてもとくに限定されず、 フィルムやシート状としても使用可能であるが機械的特性などの点から500μ m以下であることが好ましい。とくにコーティングによる被覆を行う際には、作 業性の点から200μm以下が好ましい。
【0048】 本考案における被膜の吸水性をより発現させるためには、前記の組成物を被覆 硬化せしめる際に高湿度下で行ったり、硬化後に湿熱処理を施す方法が好ましく 用いられる。ここで、湿熱処理とは多湿環境下での放置、水中あるいは熱水中へ の浸漬などが挙げられる。浸漬処理に際しては、より配向を高める目的から界面 活性剤の添加、酸、塩基などの添加も好ましく適用される。とくに処理時間の短 縮等の目的からカセイソーダ、アンモニアなどの水溶液が好ましく、pH8以上 で処理されることが好ましい。また、処理時間の短縮、処理効果の点から、浸漬 する水あるいは熱水としては、20℃以上、さらに好ましくは30℃以上である ことが好ましい。また、被覆硬化せしめる際,あるいは硬化後に高湿度下処理を 施す場合は、処理時間の短縮、処理効果の点から70%RH以上であることが好 ましい。これらの最適処理条件は、要求される防曇性能、被膜組成などによって 実験的に定められるべきものである。
【0049】
実施例により本考案をさらに詳しく説明する。
【0050】 実施例1 (1) γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物の調整 回転子を備えた反応器中にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン23 6gを仕込み、液温を10℃に保ち、マグネティックスターラーで攪拌しながら 0.01規定塩酸水溶液54gを徐々に滴下した。滴下終了後冷却をやめて、γ −グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物を得た。
【0051】 (2) 塗料の調整 ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製品、AL-06 、ケン化度91 .0〜94.0モル%)の27.1重量%の水溶液532gをビーカーに秤量し たのち、攪拌下で、前記γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解 物62.4g、および1,4-ジオキサン107.6g、メタノール52.4g、ジ メチルイミダゾリジノン66.63g、触媒としてアルミニウムアセチルアセト ン3.6g、フッ素系界面活性剤0.6gを混合溶解し、塗料とした。
【0052】 (3) 防曇性被膜の形成 上記(2) で調整した塗料を1.0mm厚みのコンパクト用鏡(50×100)に コーティングし、5分後、140℃の熱風乾燥器で2.0時間乾燥した。次いで 、60℃の0.1%苛性ソーダ液に2分間浸漬し、その後水洗、乾燥して防曇性 を有する鏡を得た。被膜の静止接触角は65度であった。
【0053】 (4) 評価 前記(3) で得られた防曇性被膜は15μmの膜厚を有しており、コーティング ムラもないものであった。さらに透明性も良好で、全光線透過率が93%であっ た。
【0054】 また、塗膜面に1mm角の基板に達するゴバン目を鋼ナイフで100個入れて、 セロハン粘着テープ(商品名“セロテープ”ニチバン(株)製品)を強く貼り付 け、90度の方向に急速に剥がしたが、塗膜剥離は認められず、良好な接着性を 有していた。
【0055】 また、防曇性テストとして塗膜に呼気を吐きつけたが曇らなかった。
【0056】 さらに、JIS K5400にて鉛筆硬度を測定したところ、2Hであり、表 面硬度に優れるものであった。
【0057】 得られた防曇性鏡をコンパクト容器の蓋体の所定箇所にはめ込み、実用テスト をしたところ、コンパクト用鏡に要求される防曇性、擦傷性、耐水性において十 分満足し得る性能を有していた。
【0058】
本考案による防曇性鏡を容器内面に設けたコンパクト容器は、容器内の温度、 湿度変化により、あるいは含水パフから放出された水分などにより、鏡表面に水 滴が付着しても、吸水性被膜を有するため、結露することなく、被膜中に吸収さ れるため、優れた防曇性を有する。さらに、この吸水性被膜は、耐水性に優れる ことから、水分付着によって被膜が防曇性能を消失させることがないため、半永 久的に防曇性能を有する。また、従来の親水性樹脂の被膜の塗布によって鏡表面 と、水滴との接触角を小さくし、濡れ易くしたコンパクトに比較して、ファンデ ーション等の汚れが付着し難く、また微粒子状シリカ、あるいは有機ケイ素化合 物およびその加水分解物からなる架橋剤を用いているため、表面硬度が高く、汚 れ除去等の作業によるキズが付き難いといった効果を有する。
【図1】本考案のコンパクト容器の一実施態様を示す図
面である。
面である。
【図2】本考案の鏡および被膜の断面図である。
【図3】本考案のコンパクト容器の一実施態様を示す図
面である。
面である。
1:容器本体 2:下部容体 3:上部容体 4:蓋体 5:パフ収容部 6:パフ 7:化粧料収納部 8:化粧料 9:切欠部 9':切欠部 10:蓋体垂下部 10' :蓋体垂下部 11:バネ 12:突起部 13:突状片 14:防曇性を有する鏡 15:鏡 16:防曇性を有する被膜
Claims (2)
- 【請求項1】パフ収納部を有し、容器内面に防曇性を有
する鏡が設けられたコンパクト容器において、該防曇性
を有する鏡が、下記のA、BおよびC成分を主成分とし
てなるコーティング組成物を硬化してなる被膜を表面に
有する鏡であることを特徴とするコンパクト容器。 A.ポリビニルアルコール B.架橋剤 C.沸点が105℃以上、300℃以下であるポリビニ
ルアルコール可溶性有機溶剤 - 【請求項2】該架橋剤が、平均粒子径5mμ以上,20
0mμ以下の微粒子状シリカ、下記一般式(I)または
(II)で表わされる有機ケイ素化合物、およびその加水
分解物から選ばれる化合物の一種以上であることを特徴
とする請求項1記載のコンパクト容器。 【化1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6666491U JPH0518411U (ja) | 1991-08-22 | 1991-08-22 | コンパクト容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6666491U JPH0518411U (ja) | 1991-08-22 | 1991-08-22 | コンパクト容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0518411U true JPH0518411U (ja) | 1993-03-09 |
Family
ID=13322399
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6666491U Pending JPH0518411U (ja) | 1991-08-22 | 1991-08-22 | コンパクト容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0518411U (ja) |
-
1991
- 1991-08-22 JP JP6666491U patent/JPH0518411U/ja active Pending
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