JPH05180059A - 内燃機関の空燃比検出方法 - Google Patents

内燃機関の空燃比検出方法

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JPH05180059A
JPH05180059A JP3359339A JP35933991A JPH05180059A JP H05180059 A JPH05180059 A JP H05180059A JP 3359339 A JP3359339 A JP 3359339A JP 35933991 A JP35933991 A JP 35933991A JP H05180059 A JPH05180059 A JP H05180059A
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combustion engine
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】空燃比センサの応答遅れを1次遅れ系で擬似的
にモデル化し、その挙動を記述する状態方程式を周期Δ
Tで離散化して伝達関数を求め、次いでその伝達関数の
逆伝達関数を時刻k+1のときのセンサ出力に乗じて時
刻kのときの真の空燃比を算出する。 【効果】真の空燃比センサ出力が得られることから、そ
れを用いてフィードバック制御などを行うときも精度良
く行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は内燃機関の空燃比検出
方法に関し、より具体的には空燃比センサの応答遅れを
推定して空燃比をリアルタイムに求めることができる様
にした内燃機関の空燃比検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気系に酸素濃度検出素子か
らなる空燃比センサを設けて入力した燃料の空燃比を検
出することは良く行われており、その一例として特開昭
59─101562号公報記載の技術を挙げることがで
きる。この技術においては検出精度を上げるため、基準
タイミング(第1気筒TDC)から各気筒の排気ガスが
空燃比センサに到達するまでの遅れ時間を運転状態に応
じて予め求めておき、それに基づいて気筒ごとに空燃比
を検出して目標値にフィードバック制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した酸
素濃度検出素子からなる空燃比センサは、排気ガスに接
触する素子に生ずる化学変化を起電力に変換して検出す
るため、排気ガスがセンサに到達した後も検出値として
現れるまでに遅れがある。従って、その遅れを解明しな
い限り、正確に燃焼した混合気の空燃比を求めることが
できず、よって目標値にフィードバック制御するときな
ども高精度で収束性に優れた空燃比制御を実現すること
ができない。
【0004】従って、本発明の目的は上記した欠点を解
消し、空燃比センサの検出応答遅れを的確に推定して燃
焼した混合気の最新の値を求めることができ、よってフ
ィードバック制御を行うときなども精度と収束性に優れ
た空燃比制御を実現できる様にした内燃機関の空燃比検
出方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めに本発明に係る内燃機関の空燃比検出方法は例えば請
求項1項に示す様に、内燃機関の排気系に配置される空
燃比センサの検出値を介して入力される混合気の空燃比
を検出するものにおいて、前記センサの応答遅れを1次
遅れ系で擬似的にモデル化し、その挙動を記述する状態
方程式を求め、前記状態方程式を周期ΔTで離散化して
伝達関数を求め、前記伝達関数の逆伝達関数を求め、前
記センサ出力に乗じて内燃機関に入力される空燃比の推
定値を求める、如く構成した。
【0006】
【作用】センサの検出応答遅れを推定して燃焼した混合
気の空燃比を的確に求めることができる様にしたので、
フィードバック制御を行うときなども精度と収束性に優
れた空燃比制御を実現することが可能となる。
【0007】
【実施例】以下、添付図面に即して本発明の実施例を説
明する。
【0008】図1は本発明にかかる方法を実現するため
の内燃機関の空燃比検出・制御装置を全体的に示す概略
図である。図において、符号10は4気筒の内燃機関を
示しており、吸気路12の先端に配置されたエアクリー
ナ14から導入された吸気は、スロットル弁16でその
流量を調節されつつインテークマニホルド18を経て第
1〜第4気筒に流入される。各気筒の吸気弁(図示せ
ず)の付近にはインジェクタ20が設けられて燃料を噴
射する。噴射され吸気と一体となった混合気は各気筒内
で図示しない点火プラグで点火されて燃焼してピストン
(図示せず)を駆動する。燃焼後の排気ガスは排気弁
(図示せず)を介してエキゾーストマニホルド22に排
出され、エキゾーストパイプ24を経て三元触媒コンバ
ータ26で浄化されつつ機関外に排出される。また吸気
路12にはスロットル弁16を配置した位置付近にそれ
をバイパスするバイパス路28が設けられる。
【0009】また内燃機関10のディストリビュータ
(図示せず)内にはピストン(図示せず)のクランク角
度位置を検出するクランク角センサ34が設けられると
共に、スロットル弁16の開度を検出するスロットル開
度センサ36、スロットル弁16下流の吸気圧力を絶対
圧力で検出する絶対圧センサ38も設けられる。更に、
排気系においてエキゾーストマニホルド22の下流側で
三元触媒コンバータ26の上流側には酸素濃度検出素子
からなる空燃比センサ40が設けられ、排気ガスの空燃
比を検出する。これらセンサ34などの出力は、制御ユ
ニット42に送られる。
【0010】図2は制御ユニット42の詳細を示すブロ
ック図である。空燃比センサ40の出力は検出回路46
に入力され、そこで適宜な線型化処理が行われてリーン
からリッチにわたる広い範囲において排気ガス中の酸素
濃度に比例したリニアな特性からなる空燃比(A/F)
が検出される。尚、その詳細は先に本出願人が提案した
出願(特願平3─169456号)に述べてあるので、
これ以上の説明は省略する。また以下の説明においてこ
のセンサを「LAFセンサ」(リニア・エーバイエフ・
センサ)と称する。検出回路46の出力はA/D変換回
路48を介してCPU50,ROM52,RAM54か
らなるマイクロ・コンピュータ内に取り込まれ、RAM
54に格納される。同様にスロットル開度センサ36な
どのアナログ出力はレベル変換回路56、マルチプレク
サ58及び第2のA/D変換回路60を介して、またク
ランク角センサ34のデジタル出力は波形整形回路62
で波形整形された後、カウンタ64で出力値がカウント
され、カウント値はマイクロ・コンピュータ内に入力さ
れる。マイクロ・コンピュータにおいてCPU50はR
OM52に格納された命令に従って検出値から空燃比の
フィードバック制御値を演算し、駆動回路66を介して
各気筒のインジェクタ20を駆動すると共に、第2の駆
動回路68を介して電磁弁70を駆動し、図1に示した
バイバス路28を通る2次空気量を制御する。
【0011】続いて、この制御装置の動作を説明する。
その動作は結局のところ空燃比を検出して目標値との偏
差を求め、その偏差を解消する様に燃料供給量(噴射
量)を制御することにつきるが、この発明の要旨は、空
燃比センサの応答遅れを求めて空燃比をリアルタイムに
推定することにあることにあるので、以下その点に焦点
をおいて説明する。また併せて検出した空燃比に基づい
て空燃比を制御する例を説明する。
【0012】図3は単気筒の内燃機関を例にとり、吸気
量を一定として供給燃料量をステップ状に変化させた場
合の空燃比センサの応答の実測データを示す(図中「実
測値」)。図示の如く、空燃比をステップ状に変化させ
た場合、LAFセンサ出力の実測値は入力値に対して遅
れを持つが、この遅れはセンサの化学反応に起因するの
で、正確に解析することは困難である。そこで本発明者
達はとりあえずこの遅れを1次遅れ系と擬似的にモデル
化し、図4に示す如きモデルを作成した。ここでLA
F:LAFセンサ出力、A/F:入力A/F、とする
と、その状態方程式は下記の数1で示すことができる。
【0013】
【数1】
【0014】これを周期ΔTで離散化すると、数2で示
す様になる。図5は数2をブロック線図で表したもので
ある。
【0015】
【数2】
【0016】従って、数2を用いることによってセンサ
出力より真の空燃比を求めることができる。即ち、数2
を変形すれば数3に示す様になるので、時刻kのときの
値から時刻k−1のときの値を数4の様に逆算すること
ができる。
【0017】
【数3】
【0018】
【数4】
【0019】具体的には数2をZ変換を用いて伝達関数
で示せば数5の如くになるので、その逆伝達関数を今回
のセンサ出力LAFに乗じることによって前回の空燃比
をリアルタイムに推定することができる。図6にそのリ
アルタイムのA/F推定器のブロック線図を示す。尚、
前述したとおりLAFセンサの応答遅れは化学反応に起
因するもので正確に解析することは困難であるが、機関
回転数との間に相関関係のあることが確認できた。した
がって伝達関数の係数は、適宜設定する所定の機関回転
数ごとに相違させることとした。よって、所定機関回転
数ごとにA/F推定器、すなわち逆伝達関数の係数を持
ち換えることにより、推定するA/F値の精度をより向
上させることができる。
【0020】
【数5】
【0021】上記についてのシミュレーション結果を図
3(図中「シミュレーション」)、図7に示す。前述し
たとおり、図3に「実測値」とあるのはステップ状の空
燃比入力を与えた場合のセンサ出力の実測値であるが、
ここで実測値とシミュレーション結果(図5モデルにス
テップ状空燃比を入力して得た出力)とがほぼ対応して
いるのが見てとれよう。以上からセンサ応答遅れを1次
遅れと擬似的にモデル化したことの正しさが検証された
と言うことができよう。図7はセンサ出力の実測値に逆
伝達関数を乗じ、真の空燃比を推定する場合を示す。同
図において、例えば時刻Taの時の真の空燃比は、1
2.5ではなく13.2であると推定することができる
のである。尚、真の空燃比の推定値に若干の上下動があ
らわれているのは、センサ出力の実測値に細かなばらつ
きがあるためである。
【0022】続いて、上記の如く求めた真の空燃比に基
づいて空燃比を制御する場合について説明する。
【0023】先に述べた如く、多気筒内燃機関に1個の
空燃比センサを配置した場合、その出力は、排気系の集
合部において各気筒の検出値が混ざり合った値を示し、
気筒ごとの真の検出値を求めることが困難である。その
ため、各気筒のA/Fを個別に目標値に制御することが
できず、ある気筒はリーンであったり、他の気筒はリッ
チであったりする場合があって、エミッション悪化の原
因となる。それを解決するためには気筒ごとにセンサを
配置すれば良いが、それではコストの上昇を招く。そこ
で本発明者達はセンサ応答遅れを1次遅れでモデル化で
きたことによって、以下の手法から排気系の集合部に配
置した1個の空燃比センサで多気筒、実施例の場合は4
気筒の内燃機関の空燃比を気筒ごとに正確に検出できる
様にした。以下、それについて説明する。
【0024】先ず、図8に示す様に内燃機関の排気系を
モデル化した(以下、このモデルを「エキマニモデル」
と称する)。尚、このエキマニモデルでは、離散系のサ
ンプル時間をTDC周期(機関回転数が1500rpm
のとき0.02sec)とした。またこのエキマニモデ
ルの中ではF(燃料)を制御量としたため、空燃比をF
/Aとした。
【0025】ここで発明者達は、排気系の集合部の空燃
比(A/F)は、各気筒の空燃比の時間的な寄与度を考
慮した加重平均値であると考えた。そうであれば、時刻
kのときの集合部の空燃比は、数6の様に表すことがで
きる。
【0026】
【数6】
【0027】即ち、集合部の空燃比は、気筒ごとの過去
の燃焼履歴に重みC(例えば直近に燃焼した気筒は40
%、その前が30%...など)を乗じたものの合算で
表すことができる。ここで、集合部における各気筒の排
気の混合状態は機関の運転状態により異なってくる。即
ち、例えば機関の低回転域ではTDC周期が長いので、
各気筒からの排気が混合する度合いは高回転域と比較し
て低い。また、高負荷のときは基本的に背圧も大きく、
排気の排出圧力が大きくなるので、各気筒からの排気が
混合する度合いは低負荷のときと比較して低い。この様
に各気筒の排気の混合する度合いが低い場合には、直近
に燃焼した気筒の重みを大きくとる必要がある。従っ
て、重みCは機関の運転状態によって持ち換えることと
する。具体的には重みCを機関回転数と負荷とをパラメ
ータとして適宜設定してマップに用意しておき、それを
検索することにより行う。尚、上記で#nは気筒番号を
示し、また気筒の燃焼(点火)順序は、1,3,4,2
とする。またここで空燃比[F/A]は先に数5で求め
た応答遅れを補正した真の値を意味する。
【0028】上記を前提とすると、エキマニモデルの状
態方程式は数7の様になる。
【0029】
【数7】
【0030】また集合部の空燃比をy(k)とおくと、
出力方程式は数8の様に表すことができる。
【0031】
【数8】
【0032】上記において、u(k)は観測不可能のた
め、この状態方程式からオブザーバを設計してもx
(k)は観測することができない。そこで4TDC前
(即ち、同一気筒)の空燃比F/Aは急激に変化しない
定常運転状態にあると仮定してx(k+1)=x(k−
3)とすると、数9の様になる。
【0033】
【数9】
【0034】ここで、上記の如く求めたエキマニモデル
についてシミュレーション結果を示す。図9は4気筒内
燃機関について3気筒の空燃比を14.7にし、1気筒
だけ12.0にして燃料を供給した場合を示す。図10
はそのときの集合部(即ち、図1のエキゾーストマニホ
ルドパイプ24に空燃比センサ40を配置した位置)の
空燃比(A/F)を上記エキマニモデルで求めたものを
示す。図10においてはステップ状の出力が得られてい
るが、ここで更にLAFセンサの応答遅れを考慮する
と、センサ出力は図11に「シミュレーション」と示す
様になまされた波形となる。図中「実測値」は同じ場合
のLAFセンサ出力の実測値であるが、これと比較し、
上記エキマニモデルが多気筒内燃機関の排気系を良くモ
デル化していることが検証できたといえよう。
【0035】よって、数10で示される状態方程式と出
力方程式にてx(k)を観察する定常のカルマンフィル
タの問題に帰着する。その荷重行列Q,Rを数11の様
においてリカッチの方程式を解くと、ゲイン行列Kは数
12の様になる。
【0036】
【数10】
【0037】
【数11】
【0038】
【数12】
【0039】これよりA−KCを求めると、数13の様
になる。
【0040】
【数13】
【0041】一般的なオブザーバの構成は図12に示さ
れる様になるが、今回のモデルでは入力u(k)がない
ので、図13で示す様にy(k)のみを入力とする構成
となり、これを数式で表すと数14の様になる。
【0042】
【数14】
【0043】ここでy(k)を入力とするオブザーバ、
即ちカルマンフィルタのシステム行列は数15の様に表
される。
【0044】
【数15】
【0045】今回のモデルで、リカッチ方程式の荷重配
分Rの要素:Qの要素=1:1のとき、カルマンフィル
タのシステム行列Sは、数16で与えられる。
【0046】
【数16】
【0047】続いて、シミュレーション上で気筒別空燃
比の波形を正確に作成し、それを前記エキマニモデルに
入力し、集合部空燃比を得る。それをオブザーバに入力
し、気筒別空燃比が推定されていることを検証する。ま
た荷重行列と推定値の傾向を考察する。
【0048】今回のモデルにおいては、数17に示す様
であるので、荷重行列Qは、要素が全て同じ対角行列と
なる。
【0049】
【数17】
【0050】従って、考察すべきはQとRの要素の比で
ある。QとRの要素の比を変えて求めたゲインを表1に
示す。また、それを用いて構成したオバザーバとエキマ
ニモデルを組み合わせたシミュレーションモデルを図1
4に示す。更に、このモデルを用いて気筒別空燃比を1
2.0,14.7,14.7,14.7の理想入力とし
て計算したものを図15に、またそのときのオブザーバ
の推定誤差を表2に示す。更に、空燃比を12.0±
0.2,14.7±0.2,14.7±0.2,14.
7±0.2としてそれぞれ独立に変動させて(仮想ノイ
ズ)計算したものを図16に、そのときのオブザーバの
推定誤差を表3に示す。尚、図15,16において
(a)から(e)は、共に、(a)各気筒A/F(エキ
マニモデル入力)、(b)集合部A/F(エキマニモデ
ル出力)、(c)Qの要素:Rの要素=1:10のとき
のオブザーバ出力(入力は(b)に示す)、(d)Qの
要素:Rの要素=1:1のときのオブザーバ出力(入力
は(b)に示す)、(e)Qの要素:Rの要素=10:
1のときのオブザーバ出力(入力は(b)に示す)であ
る。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】図15の様に各気筒空燃比を一定としたと
きはQの重みが大きいほど収束が速いことが分かる。但
し、Q/Rを10以上にしても殆ど収束性は変わらなか
った。図16において時系列に推定偏差(各気筒空燃比
−推定空燃比)を図示すると、図17の様になり、オブ
ザーバ収束後はQの要素:Rの要素=10:1と1:1
とでそれほど差がないことから、耐外乱性を考えると、
Qの要素:Rの要素=1:1の方が良いと言える。この
様に、集合部空燃比の入力に対し、カルマンフィルタの
理論を用いたオブザーバは、集合部における気筒ごとの
空燃比を精度良く推定することを可能にする。尚、荷重
行列はQ/R=1〜10が最良であったが、実データを
用いた応答状況から決める必要があると思われる。
【0055】続いて、実測データを先に示したLAFセ
ンサの逆伝達関数に入力して得られる実集合部空燃比デ
ータを前記オブザーバに入力し、気筒別空燃比を推定し
た結果を図18に示す。同図において(a)LAFセン
サ出力、(b)LAFセンサ逆伝達関数出力(入力は
(a)に示す)、(c)Qの要素:Rの要素=1:10
のときのオブザーバ出力(入力は(b)に示す)、
(d)Qの要素:Rの要素=1:1のときのオブザーバ
出力(入力は(b)に示す)、(e)Qの要素:Rの要
素=10:1のときのオブザーバ出力(入力は(b)に
示す)である。ここでLAFセンサ出力の測定条件は、
機関回転数=1500rpm、吸気圧力=−281.9
mmHg、A/F=12.0(#2),14.7(#
1,#3,#4)とした。また、実際の入力A/Fの真
値はわからないので、シミュレーションではおよその値
として、〔12.0/14.7/14.7/14.7〕
を用いた。同図から明らかな様に、オブザーバ出力は4
TDC周期で変化しており、入力A/Fをほぼ推定して
いる。またカルマンフィルタを用いたことにより、荷重
行列のセッティングによって2〜8周期で収束可能であ
ることが確認された。
【0056】続いて、上記の如く推定して得られた気筒
別空燃比を用いて、空燃比を目標値に制御する。図19
はPID手法を用いた公知の制御例を示すブロック線図
である。フィードバックが乗算項を通じてなされる点が
通常のPID制御と異なるが、この手法自体は公知なも
のであって、図示の如く、入力Ti(噴射時間)によっ
て生じる実際の空燃比の目標値に対する偏差(1−1/
λ) を気筒ごとに求め、それに応じたゲインKLAFを
乗じて目標値にフィードバック制御すれば足る。但し、
制御手法自体は公知であっても、前記の如く各気筒の空
燃比を正確に分離抽出することができたので、それぞれ
の気筒の空燃比を目標値に精度良く制御することができ
る。
【0057】上記した実施例において、空燃比センサの
検出応答遅れを1次遅れで擬似的にモデル化することが
できたので、空燃比センサの入力空燃比を正確に求める
ことができた。また、それによって排気系に1個のみ設
けた空燃比センサの集合部出力から気筒毎の空燃比を抽
出することを可能としたので、それによって気筒ごとに
空燃比を目標値に精度良く制御することができた。
【0058】尚、上記実施例において、空燃比センサの
検出応答遅れを解析して真の空燃比を求め、それに基づ
いて1個のセンサの集合部出力から空燃比を制御する例
を示したが、それに限られるものではなく、排気系に気
筒の個数だけセンサを配置し、各センサ出力からその検
出応答遅れを勘案して各センサの真の出力を求め、それ
に基づいて各気筒の空燃比を目標値に制御しても良い。
【0059】
【発明の効果】請求項1項記載の内燃機関の空燃比検出
方法にあっては、内燃機関に入力される混合気の空燃比
を検出するものにおいて、前記センサの応答遅れを1次
遅れ系で擬似的にモデル化し、その挙動を記述する状態
方程式を求め、前記状態方程式を周期ΔTで離散化して
伝達関数を求め、前記伝達関数の逆伝達関数を求め、前
記センサ出力に乗じて内燃機関に入力される空燃比の推
定値を求める如く構成したので、燃焼した混合気の真の
空燃比を正確に求めることができ、よってフィードバッ
ク制御を行うときなども精度良く空燃比制御を実現する
ことができる。
【0060】請求項2項記載の内燃機関の空燃比検出方
法にあっては、前記周期ΔTを所定機関回転数ごとに相
違させる如く構成したので、フィードバック制御を行う
ときなどにその制御周期を機関回転数に同期させる場合
にも精度良く空燃比を目標値に収束させることができ
る。
【0061】請求項3項記載の内燃機関の空燃比検出方
法にあっては、前記伝達関数の係数を所定機関回転数ご
とに相違させる如く構成したので、燃焼した混合気の真
の空燃比を一層正確に求めることができ、よってフィー
ドバック制御を行うときなども一層精度良く空燃比制御
を実現させることができ、またフィードバック制御を行
うときなどにその制御周期を機関回転数に同期させる場
合にも一層精度良く空燃比を目標値に収束させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る方法を実現する内燃機関の空燃
比検出・制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1中の制御ユニットの構成を示すブロック図
である。
【図3】単気筒の内燃機関において吸気量を一定として
供給燃料量をステップ状に変化させた場合の空燃比セン
サの応答遅れを示すシミュレーション結果、同じ場合の
LAFセンサ出力の実測値を表すデータである。
【図4】空燃比センサの検出動作をモデル化した例を示
すブロック線図である。
【図5】図4に示すモデルを周期ΔTで離散化したモデ
ルである。
【図6】この発明に係る空燃比センサの検出挙動をモデ
ル化した真の空燃比推定器を示すブロック線図である。
【図7】LAFセンサ出力の実測値と、それに逆伝達関
数を乗じて求めた真の空燃比の推定値を表すグラフであ
る。
【図8】この発明で用いる内燃機関の排気系の挙動を示
すモデルを表すブロック線図である。
【図9】図8に示すモデルを用いて4気筒内燃機関につ
いて3気筒の空燃比を14.7に、1気筒の空燃比を1
2.0にして燃料を供給する場合を示すデータである。
【図10】図9に示す入力を与えたときの図8モデルの
集合部の空燃比を表すデータである。
【図11】図9に示す入力を与えたときの図8モデルの
集合部の空燃比をLAFセンサの応答遅れを補正せずに
表したデータと、同じときのLAFセンサ出力の実測値
を比較するグラフである。
【図12】一般的なオブザーバの構成を示すブロック線
図である。
【図13】この発明で用いるオブザーバの構成を示すブ
ロック線図である。
【図14】図8に示すモデルと図13に示すオブザーバ
を組み合わせたシミュレーションモデルを表すブロック
線図である。
【図15】図14のモデルを用いて4気筒内燃機関につ
いて3気筒の空燃比を14.7に、1気筒の空燃比を1
2.0にして燃料を供給した場合のシミュレーション結
果を示すデータである。
【図16】図15の例に仮想ノイズを含めて燃料を供給
した場合のシミュレーション結果を示すデータである。
【図17】図16に示す場合について時系列に推定偏差
を示す説明図である。
【図18】空燃比センサ出力の実測値を図6に示す空燃
比推定器に入力して得られた実集合部空燃比を入力した
ときのオブザーバ出力を示す説明図である。
【図19】図13に示すオブザーバ出力から得られる値
に基づいて空燃比を目標値に気筒ごとにPID制御する
例を示すブロック線図である。
【符号の説明】
10 内燃機関 18 インテークマニホルド 20 インジェクタ 22 エキゾーストパイプ 40 空燃比センサ 42 制御ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小森谷 勲 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気系に配置される空燃比セ
    ンサの検出値を介して入力される混合気の空燃比を検出
    するするものにおいて、 a.前記センサの応答遅れを1次遅れ系で擬似的にモデ
    ル化し、その挙動を記述する状態方程式を求め、 b.前記状態方程式を周期ΔTで離散化して伝達関数を
    求め、 c.前記伝達関数の逆伝達関数を求め、前記センサ出力
    に乗じて内燃機関に入力される空燃比の推定値を求め
    る、 ことからなる内燃機関の空燃比検出方法。
  2. 【請求項2】 前記周期ΔTを所定機関回転数ごとに相
    違させることを特徴とする請求項1項記載の内燃機関の
    空燃比検出方法。
  3. 【請求項3】 前記伝達関数の係数を所定機関回転数ご
    とに相違させることを特徴とする請求項1項または2項
    記載の内燃機関の空燃比検出方法。
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