JPH05176863A

JPH05176863A - 便座

Info

Publication number: JPH05176863A
Application number: JP6682891A
Authority: JP
Inventors: Kazuhiro Taguchi; 和弘田口; Hitoshi Oshima; 斉大島
Original assignee: Toto Ltd; Toyoda Gosei Co Ltd
Current assignee: Toto Ltd; Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date: 1991-03-29
Filing date: 1991-03-29
Publication date: 1993-07-20

Abstract

(57)【要約】【目的】簡単な構成で、かつ、安価に、所要の強度を
有し、使用者に良好な使用感を与え、硬質部と軟質部の
２部材による外観部分の２色化によって意匠性を向上で
きる便座を提供する。【構成】便座の内周側を基盤部及び外周側を意匠部の
一部として形成した硬質部の基盤部に貫通孔を穿設する
とともに、便座の皮膚接触部を形成する軟質部を、前記
貫通孔を介して前記硬質部の基盤部を挾持するごとく硬
質部に一体に接合した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は腰掛け式便器の便座に関
するもので、特に、硬質部と軟質部の２部材で構成する
ことによって、着座したときの使用感を良くし、２色化
による意匠の向上を行なった便座に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、腰掛け式便器の便座は、一般
に、木、或いは、ＡＢＳ等の合成樹脂材料などを使用し
て、輪状に形成されている。しかし、これらの材料を使
用した便座は硬くて座り心地が悪く、長時間着座してい
ると臀部或いは脚部が痛くなったり、しびれたりする。
また、冬期には断熱性が良くないために、ひやりとした
冷感を覚え、着座していることにより寒気を感じさせる
ことがあった。

【０００３】このため、弾力性及び断熱性を付与するた
めに、例えば、実開昭５６−１１１８９２号公報、実開
昭５６−１１１８９３号公報では便座を発泡ウレタンで
成形する技術が開示されている。また、実開昭６０−２
７７９９号公報、実開昭６３−１６６１００号公報のよ
うに、便座を覆う便座カバーを発泡樹脂で形成した技術
も開示されている。

【０００４】しかし、前記のように便座を発泡体だけで
形成すると、剛性強度が低いために着座したときの人体
の荷重に対して所定形状を維持することができず、皺等
の変形が生じたりして反って座り心地が悪くなってしま
う可能性があった。

【０００５】これらの不具合を解消したものとして、支
持部分となる基盤部を硬質樹脂材料で構成して全体的な
剛性強度を大きくし、臀部及び脚部等の接触部分を発泡
体で被覆し、更にその外側を合成樹脂シートで被覆した
後、この端末を縫製または熱溶着等にて固着したものが
ある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の硬質
樹脂材料及び発泡体で構成し、その外側を合成樹脂シー
トで被覆した便座は、構成が複雑でコスト高となる上
に、合成樹脂シートの端末部の外観があまり良いもので
はなかった。また、外観部分が発泡体及び合成樹脂シー
トで一体に覆われているので、外観色が単色となり、デ
ザイン的には単調なものであった。なお、印刷等によっ
て多色化することも可能ではあるが、立体感がなく、安
っぽい感じとなってしまう。或いは、合成樹脂シートに
木、草などの天然素材を混合し、または、貼着させるこ
とも可能であるが、素材構成が複雑化するばかりでな
く、はでさだけが目だち、量感のある意匠とならない。

【０００７】なお、便座を基盤部と皮膚接触部との２部
材で構成する場合には、便座の開閉時の衝撃、或いは、
乱暴な取扱い等によって皮膚接触部が離脱することがな
く、また、使用者が着座したときにずれることなく安定
して保持されることが要求される。

【０００８】そこで、本発明は、簡単な構成で、かつ、
安価に、所要の強度を有し、使用者に良好な使用感を与
え、硬質部と軟質部の２部材による外観部分の２色化に
よって意匠性を向上できる便座の提供を課題とするもの
である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる便座は、
便座の内周側を基盤部及び外周側を意匠部の一部として
形成した硬質部の基盤部に貫通孔を穿設するとともに、
便座の皮膚接触部を形成する軟質部を、前記貫通孔を介
して前記硬質部の基盤部を挾持するごとく硬質部に一体
に接合したものである。

【００１０】

【作用】本発明においては、便座の基盤部を硬質部で形
成しているので、全体的な所要強度が確保される。ま
た、皮膚接触部が軟質部で形成されているので、使用者
に違和感、しびれ、痛みを与えることがなく、冬期には
軟質部の断熱作用により冷感を与えることがない。更
に、便座は硬質部の貫通孔を介して軟質部を一体に接合
した簡単な構成であり、安価に製造できる。そして、意
匠部の一部を形成する硬質部と、皮膚接触部で、かつ、
意匠部ともなる軟質部とを別色で形成できるので、意匠
設計の自由度が大きくなって意匠性が向上する。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１及び図２に基
づいて説明する。

【００１２】図１は本発明の一実施例による便座を取付
けた便器の斜視図、図２は図１のＡ−Ａ切断線による断
面図である。

【００１３】図において、腰掛け式便器の便座１は硬質
部２及び軟質部３とから構成され、硬質部２の一端部を
軸として回動し、便器本体４の開口部に開閉自在に取付
けられている。

【００１４】前記便座１の硬質部２は便座１の底面部及
び外周部に相当する部分に環状に形成されており、ほぼ
全周に至って、後述するクッション材を介して、図２に
示すように、便器本体４の上面部と当接する水平面２
ａ、この水平面２ａの外周側端部から垂直方向に立設し
た垂直面２ｂ、更に垂直面２ｂの上端部から外側斜め下
方に円弧状に下垂して外周側意匠部を形成する意匠面２
ｃとから形成されている。前記硬質部２の水平面２ａ及
び垂直面２ｂは便座１の基盤部を構成するものである。

【００１５】また、前記硬質部２の水平面２ａには、周
方向に適宜間隔をおいて複数個の貫通孔２ｄが穿設され
ている。

【００１６】なお、硬質部２はＰＰ、ＡＢＳ、ナイロン
等の合成樹脂材料を使用して射出成形等により一体に形
成されている。

【００１７】一方、前記便座１の硬質部２の上部には、
軟質部３が載置されており、この軟質部３の底面３ａ及
び外周面３ｂはそれぞれ前記硬質部２の水平面２ａ及び
垂直面２ｂと当接している。更に、この軟質部３の上面
部には、外周側から内周側に向かって下方に傾斜するテ
ーパ面をなし、人体の臀部及び脚部が接触する皮膚接触
面３ｃがほぼ全周に至って形成されている。このテーパ
面をなす皮膚接触面３ｃの平面形状は、使用者が着座し
たときに適する形状に形成されている。

【００１８】即ち、軟質部３は人体の臀部及び脚部が接
触する皮膚接触部を構成しており、ウレタン、軟質塩化
ビニル、ＴＰＲ（熱可塑性ラバー）等の材料を使用して
発泡させた発泡体を使用して成形され、ゴム硬度が３０
〜４５度程度となるように調整されている。

【００１９】また、前記軟質部３の底面３ａには、前記
硬質部２の貫通孔２ｄを連通して下方に突出する台状の
挾持部３ｄが一体に設けられている。即ち、軟質部３は
本体部と挾持部３ｄとによって硬質部２を挾持し、一体
的に接合された構造となっている。

【００２０】なお、硬質部２及び軟質部３は、材料に添
加する着色剤を任意に選択することにより互いに異なっ
た色調に形成することが可能である。

【００２１】次に、上記のように構成された本実施例の
便座の製造について説明する。

【００２２】予め、硬質部２を前述の合成樹脂材料を使
用して射出成形等により形成しておく。そして、この硬
質部２の成形品を軟質部３の成形金型にセットし、軟質
部３に使用される前述の発泡体材料を射出する。する
と、この発泡体材料の一部は硬質部２の貫通孔２ｄを通
って挾持部３ｄ内に流れる。次に、これを冷却固化する
ことにより、硬質部２と軟質部３とが一体化した便座１
が完成する。

【００２３】次に、本実施例の便座の作用を説明する。

【００２４】使用者が着座したとき、軟質部３は、硬質
部２の垂直面２ｂが環状に形成されているために水平方
向の移動が規制される。また、軟質部３の皮膚接触面３
ｃは外周側から内周側に向かって下方に傾斜したテーパ
面となっているので、下方に押圧されたとき、外周方向
に弾性的に圧縮され、硬質部２の垂直面２ｂを強く押圧
することになるが、硬質部２が硬質材で成形されてお
り、しかも、垂直面２ｂと意匠面２ｃとによって形成さ
れた凸状断面形状による剛性向上作用によって、所要の
剛性を有するので、外側に倒れ込むことがない。更に、
軟質部３は、硬質部２の貫通孔２ｄによっても水平方向
の移動が抑制されるので、ずれることがない。

【００２５】一方、人体の臀部及び脚部と接触する軟質
部３は、発泡ウレタン等の発泡体で形成されているの
で、その弾性力により皮膚接触部は全体的に接触するこ
とになり、局部的に押圧されることがなくなるため、使
用者は違和感を覚えることがなく、長時間着座してもし
びれ、痛みが生ずることが少ない。そして、軟質部３を
発泡ウレタン等の発泡体で成形すると、その表面にスキ
ン層が形成され、特に、肌触りに違和感が生じず、か
つ、水分が浸透することがない。

【００２６】また、発泡体の断熱作用により、冬期にお
いてひやりとした冷感がなくなり、快適に使用すること
ができる。

【００２７】ところで、軟質部３の挾持部３ｄは軟質部
３の本体部とともに硬質部２の水平面２ａを挾持する
他、その軟質材の弾性によって、便座１の開閉時及び人
が腰掛けた際における便器本体４との衝撃を緩和するク
ッション材としても作用する。なお、これらに使用する
発泡体としては各種のものを使用できるが、このうち、
ウレタンフォームは、軽量であるにもかかわらず、強度
が大きく、また、高い弾力性を有するので、軟質部３を
構成する材料としては好適である。そして、気泡構造と
しては、連続気泡構造、独立気泡構造のいずれも成形可
能であるが、それぞれ弾力性、断熱性等の物性が異なる
ので、希望する物性を優先して選択すればよい。

【００２８】更に、硬質部２と軟質部３とは別部材で構
成されているので、それぞれ異なった色調に成形するこ
とができ、便座１の外観部分が２色化されてトイレ内に
カラフルなイメージを与えることが可能である。譬え
ば、季節感を表現することができるし、大人用または子
供用として使用者にあった色、模様等の加飾を行なうこ
とができる。

【００２９】このように、上記実施例の便座は、便座１
の内周側を基盤部及び外周側を意匠部の一部として形成
した硬質部２の水平面２ａに貫通孔２ｄを穿設するとと
もに、便座１の皮膚接触部を形成する軟質部３を、前記
硬質部２の貫通孔２ｄを介して前記硬質部２の水平面２
ａを挾持するごとく硬質部２に一体に接合したものであ
る。

【００３０】したがって、上記実施例によれば、硬質部
２により便座１としての所要強度を有し、使用者が着座
したときもその押圧力に十分耐えることができる。

【００３１】また、特に、軟質部３は硬質部２の貫通孔
２ｄにより水平方向の移動が規制されるので、ずれるこ
とがなく、安定した状態で保持できる。このため、使用
者に安定感を与えることができる。しかも、一体成形に
より硬質部２と軟質部３とを接合できる簡易な構造によ
って達成することができるので、製造コストを低減する
ことができる。

【００３２】更に、挾持部３ｄは軟質部３本体部と同質
の軟質材で形成されているので、便座１の開閉時の衝撃
を緩和する弾力性の高いクッション材としても機能を発
揮し、別途クッション材を設ける場合と比較してコスト
が低減する。加えて、各種形状とすることによって便座
１の裏面側の意匠を向上することが可能である。

【００３３】そして、皮膚接触部が軟質材からなる軟質
部３で形成されているので、使用者に違和感、しびれ、
痛みを与えることがなく、冬期においては軟質部３の断
熱作用により使用者に冷感を与えることがない。

【００３４】加えて、便座１は基盤部及び意匠部の一部
を構成する硬質部２と、皮膚接触部で、かつ、意匠部と
もなる軟質部３との２部材で構成されているので、それ
ぞれ異なった色調に成形することによって、高品位のカ
ラーリングを楽しむことができ、意匠性が向上する。し
かも、この２色化は、成形材料に着色剤を添加するだけ
で達成できるので、特別に印刷等の手段を用いなくても
簡単かつ安価に高級感のある意匠を提供することができ
る。更に、硬質部２と軟質部３のデザインの組合せによ
って意匠設計の自由度を大きくすることができ、多様化
するニーズに応えることができる。

【００３５】ところで、上記実施例の軟質部３に設けら
れた挾持部３ｄは、便座１の裏面側に全体的に形成して
もよく、或いは、部分的であってもよく、任意に設定す
ることができる。

【００３６】なお、上記実施例の硬質部２は、外周側に
垂直面２ｂを立設した形状としているが、本発明を実施
する場合には、これに限定されるものではなく、内周側
に垂直面２ｂを立設してもよく、或いは、両側に設けて
もよい。但し、使用者が着座したときにかかる押圧力の
方向性、着座したときの当り具合等を考慮すると、図２
に示した形状が好適である。

【００３７】また、上記実施例の軟質部３は、皮膚接触
面３ｃが外周側から内周側に向かって下垂したテーパ面
となっているが、本発明を実施する場合には、これに限
定されるものではなく、着座したときに快適な使用感を
得ることができる形状であればよい。そして、前記軟質
部３は、内部に中空部を形成することもできる。これに
よって、軟質部３の弾力性を更に高めることが可能であ
る。

【００３８】そして、前記硬質部２を挾持するため貫通
孔２ｄを介して形成した挾持部３ｄは、複数の貫通孔２
ｄから注入された合成樹脂が回り込むようになっている
が、本発明を実施する場合の貫通孔２ｄの数及び形状
は、何等限定されるものではなく、強度及び合成樹脂の
回り込み、意匠性等によって決定すればよい。また、挾
持部３ｄの形状は便器本体４の上面部との緩衝を求める
形態であってもよいし、硬質部２を単に挾持するのみの
形態であってもよい。

【００３９】更に、上記実施例の硬質部２は、ＰＰ、Ａ
ＢＳ、ナイロン等の合成樹脂材料で形成しているが、こ
れらの材料に限定されるものではなく、木など他の材料
を使用することもできる。或いは、必要に応じて、フィ
ラー、ガラス繊維等各種の補強材を混合して剛性を更に
向上させることもできる。

【００４０】そして、上記実施例の軟質部３は、ウレタ
ン、塩化ビニル、ＴＰＲ等の材料を使用して発泡させた
発泡体で形成しているが、発泡させないノーマルタイプ
としてもよい。しかし、弾力性、断熱性を考慮すると、
発泡体とりわけ発泡ウレタンが好適である。

【００４１】

【発明の効果】以上のように、本発明の便座は、便座の
内周側を基盤部及び外周側を意匠部の一部として形成し
た硬質部の基盤部に貫通孔を穿設するとともに、便座の
皮膚接触部を形成する軟質部を、前記硬質部の貫通孔を
介して硬質部の基盤部を挾持するごとく硬質部に一体に
接合したものである。

【００４２】したがって、硬質部により便座としての所
要強度を有し、使用者が着座したときにその押圧力に十
分耐えることができる。また、硬質部の貫通孔を介して
軟質部を一体成形し、硬質部に接合しているため、軟質
部は硬質部の貫通孔に規制されてずれることがなく、簡
易な構造で、かつ、安価に、軟質部を安定した状態に維
持できる。

【００４３】更に、皮膚接触部が軟質材からなる軟質部
で形成されているので、使用者に違和感、しびれ、痛み
を与えることがなく、冬期においては軟質部の断熱作用
により使用者に冷感を与えることがない。そして、便座
は硬質部と軟質部の２部材で構成されているので、それ
ぞれ異なった色調に成形し、高品位の２色化が可能とな
って、意匠性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例による便座を取付けた
便器の斜視図である。

【図２】図２は図１のＡ−Ａ切断線による断面図であ
る。

【符号の説明】

１便座２硬質部２ｄ貫通孔３軟質部３ｄ挾持部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者大島斉愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】便座の内周側を基盤部及び外周側を意匠
部の一部として形成し、前記基盤部に貫通孔が穿設され
た硬質部と、便座の皮膚接触部を形成し、前記貫通孔を介して前記硬
質部の基盤部の皮膚接触部の反対側の面に形成した挾持
部との間で、前記硬質部を挾持するごとく硬質部に一体
に接合された軟質部とを具備することを特徴とする便
座。