JPH05171486A - 金属箔連続製造装置用陽極の再活性化方法 - Google Patents

金属箔連続製造装置用陽極の再活性化方法

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JPH05171486A
JPH05171486A JP3344491A JP34449191A JPH05171486A JP H05171486 A JPH05171486 A JP H05171486A JP 3344491 A JP3344491 A JP 3344491A JP 34449191 A JP34449191 A JP 34449191A JP H05171486 A JPH05171486 A JP H05171486A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属箔の電解製造装置の陽極の再活性化を短
時間に簡単に行う。 【構成】 円筒型陰極に金属を電解によって析出させて
連続的に金属箔を製造する電解金属箔連続装置(1)の
円筒型陰極(4)に対向する陽極(5)の滑らかな曲面
上に、エキスパンデッドメタル等からなるあらかじめ電
極活性被覆を形成した不溶性金属電極(6)を取り付け
る。 【効果】 製造装置の設置場所で短期間に陽極の再活性
化をすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解法による金属箔連
続製造装置に用いる半円筒状の不溶性陽極の再活性化方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅箔等の金属箔の製造方法には種々の方
法があるが、主なものは圧延ローラーによって加圧して
延伸する方法と電解によって製造する方法である。圧延
による方法は、箔の厚みを薄くするにしたがってローラ
ー間の距離、箔の引張り力等の調整のために圧延装置等
の制御が複雑となるという問題点を有している。
【0003】これに対して、電解法による金属箔の製造
方法は、薄い銅箔等を製造する目的に適した方法であ
る。この方法は1920年代末から1930年代に、ア
メリカ人イエーツとシェークスピアによって開発され、
実用化されたものである。とくに、電解銅箔は、トラン
ジスタ等の素子とともに開発された新しい配線方法であ
るプリント基板用の材料としてひろく用いられている。
【0004】図2は電解法による銅箔製造装置である
が、銅箔製造装置21は電解槽22内に電解液23中に
曲面の半分が没するように回転可能な円筒型陰極24が
設けられており、円筒型陰極24に対向して曲面状の陽
極25が設けられている。円筒型陰極24と陽極25と
の間の空間には陽極に設けた電解液供給スリット26か
ら電解液が供給され、電解液中から陰極表面に析出した
金属銅27は、陰極面から接線方向にひきはがしながら
連続的に生産する装置である。この装置の基本的な構成
は開発の当初のものと変化していないが、より高度な製
品を能率よく製造するための工夫が広く行われており、
製品精度、製造速度は、格段の進歩をとげている。
【0005】このために、 (1)電解液中から金属銅を析出させる円筒型の陰極材
料を、初期の硬鉛からチタン、ステンレススチール製と
し、陰極表面の精度の向上と、高電流密度の通電を可能
とした。 (2)電解槽内での電解液の流れをより速く、均一にす
ることによって、10〜20A/dm2 の電流密度であ
ったものを、50〜100A/dm2 の高電流密度での
運転が可能とした。 (3)電解液中に添加物を加えるとともに、添加物の改
良を行った。 (4)陽極を不溶性の鉛合金として、その耐久性を向上
させるとともに高電流密度の電流の通電による高速化が
行われた。
【0006】このようにして、基本的なプロセスは変化
してはいないが、以前のものに比べて電流密度のみで3
〜6倍又はそれ以上になっており、箔厚み分布精度も大
幅に向上している。
【0007】しかし、鉛合金陽極は、使用中における陽
極自体の溶解や崩壊により電解液や製品である金属箔を
鉛汚染させるという問題点があった。この問題の解決の
ため、チタン等の弁金属の表面に酸化イリジウム等を被
覆した金属電極が用いられるようになった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】電解法による金属箔連
続製造装置に用いる半円筒状の不溶性金属陽極は、円筒
状の陰極との間隔を5〜20mm程度の値として、全面
にわたり均一な距離となるように正確に保持することが
求められ、さらに、電極間に供給する電解液の流速を5
0〜80cm/秒と極めて速い速度の層流として均一に
陰極表面に供給し、十分な量の金属イオンを均一に供給
することが求められている。また電流が電極全面に均一
に流れ、電解での電流分布に影響を与えないように、陽
極には円筒状の陰極を取り囲むように厚みが10〜50
mmのチタン厚板を曲げ、または機械加工により凹凸の
ない曲面を形成して極間距離を均一としたものが用いら
れている。厚板を用いているのでチタンのように比重の
小さな金属材料を基体としても金属箔連続製造装置に使
用する陽極の重量は100〜500kgとなっている。
【0009】陽極の表面の電極触媒被覆が消耗したり、
あるいは活性が低下すると陽極の再活性化が必要とな
る。陽極の再活性化のためには電解槽から陽極を取りは
ずさなければならないが、重量の大きな陽極を取りはず
して再活性化を行うことは電極の取扱に時間を要し、再
活性化の処理操作も複雑となり、また、大型の代替用の
電極を取り揃えておく必要もあり大きな問題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属箔連続電
解製造装置に使用する半円筒状の陽極を再活性化するた
めに、薄板状の電極を活性の低下した陽極面上に取り付
けることを特徴とするものであり、薄板状の電極として
は、チタンなどの弁金属、またはそれらの合金からなる
エキスパンデッドメタル、網状あるいはすだれ状の基体
上に電極触媒物質を被覆した電極を用いることができ
る。
【0011】従来の金属箔連続電解製造装置は、高速で
金属箔を得るために、陰極表面に金属イオンが速やかに
供給されるように高速で電解液を円筒型陰極面を流すこ
とが必要とされ、このために陰極に対向する陽極の表面
も平滑にした曲面を有する半円筒状の陽極を用いなけれ
ばならないと考えられていた。しかしながら、本発明者
らが検討をしたところ、陰極円筒と陽極との電極間隔が
5mm以上、好ましくは7mm以上あれば、陽極表面に
1〜2mm程度の凹凸が形成されても、陰極面の電解液
の流れにほとんど影響がなく、またそのような凹凸が陽
極面全体に均一に分散して存在していれば、得られる製
品である金属箔の品質にもほとんど影響をおよぼさない
ことを見いだした。
【0012】このような条件のもとに凹凸のない平滑な
曲面を有する陽極面上に形成する不溶性金属電極は、半
円筒状の陽極の軸方向に金属棒あるいは金属線を並べた
すだれ状のものや、エキスパンデッドメタルまたは薄板
状のものが好ましい。
【0013】ここで使用するすだれ状の不溶性金属陽極
の線径が大きいと必要な本数が少なくなり、取付の作業
が容易となるが、表面の凹凸が大きくなるので、直径が
1〜2mmのものを曲面上に取り付けたものが好まし
い。
【0014】また、これらの不溶性金属電極は、一枚の
部材から構成されていても良いし、複数枚に分割された
部材によって曲面を形成しても良い。
【0015】円筒状陰極と陽極との間隔が5〜8mmの
場合には、陽極の曲面上に不溶性金属電極を取り付けた
場合には電極間の間隔が5mm以下となる場合があるの
で、このような場合には陽極表面の凹凸、あるいは電極
間隔が電解液の流通に悪影響をおよぼすので、電極間隔
を調整する必要がある。一方、電極間の間隔が大きい場
合には不溶性金属電極を取り付けたことによって、電極
間隔が小さくなって電解電圧が低下するという効果が得
られる。しかしながら、電解時には陽極表面から酸素気
泡が発生するので、発生した気泡によって電流分布に問
題を生じることがあるので、電極間隔を減少させた場合
には電解液の流速を上昇させることが必要である。
【0016】つまり、電極間隔が小さくなると、同じ流
速で電解液を流し続けると、陰極と陽極の間を流れる流
量は相対的に小さくなり、電流密度が変わらなければ液
中の気泡量は相対的に増加する。気泡は電解液の入り口
では存在しないが、陰極と陽極の間隔を流れる間に気泡
が加わり出口では高い気泡率となり、その結果電解液の
電気抵抗が増加するので、電解液の入り口部分と出口部
分での電流密度の差が大きくなる。
【0017】凹凸のない陽極表面に取り付ける不溶性金
属電極が、棒または線を密に配置したすだれ状のもので
あれば、平板の電極に比較して電極面積が1.5倍程度
に増加し、エキスパンデッドメタルの場合には1.5な
いし2倍、拡開後ロールにより切り立った網目をなくし
たエキスパンデッドメタルの場合には1〜1.5倍程度
となり、電極面積の増大の結果、実質的に電流密度が低
下するので、その結果陽極の寿命が長くなる。
【0018】また、不溶性金属電極を金属箔の製造装置
の現場において取り付ける場合には、平板状の不溶性金
属電極を直接凹凸のない陽極面に取り付けてもよいが、
不溶性金属電極をあらかじめ曲げ加工することによっ
て、凹凸のない陽極面からの不溶性金属電極の浮き上が
りを防止することができる。不溶性金属電極の厚みは、
電極間隔と電解液の流速が保持され、電流分布に不均一
が生じなければ、特に限定されないが、通常は0.5〜
1.5mm程度の板厚が好ましい。
【0019】凹凸のない陽極の曲面への不溶性金属電極
の取り付けは、溶接あるいはねじ等の手段によって固着
することができるが、固着箇所は新たな電極面に均一に
電流が流れるように、固着箇所の分布が円筒状の陽極の
軸方向に平均化することが好ましい。溶接には、スポッ
ト溶接、TIG溶接等を使用することができるが、スポ
ット溶接ではスポット部分が変形することがあるので、
TIG溶接の方が好ましい。また、板状の電極の場合
は、予め溶接部に穴をあけたものを使用すれば、位置決
めが容易となる。
【0020】また、凹凸のない陽極面上に取り付けた電
極が劣化した場合に繰り返し再活性化を行うためには、
非破壊的な取り外しが可能な着脱自在の取り付け手段に
よって取り付けることが適当であり、例えば凹凸のない
陽極面に設けたねじ穴にビスをねじ込んで不溶性金属電
極を取り付けることができる。この場合には、使用する
ビスの材質は不溶性金属電極と同様の弁金属であり、陽
分極時にも耐食性があり、ねじ部分に電解液が浸入して
も腐食が生じないように全面を電極触媒物質で被覆する
ことが好ましく、ビスの頭部は電解液の流れを妨害する
ような突起部を形成しないものを使用することが好まし
い。
【0021】
【作用】電解による金属箔の連続製造装置の円筒状陰極
に対向する半円筒状の陽極の電極触媒活性が低下した被
覆を再活性化する方法において、半円筒状の陽極の凹凸
のない曲面上にあらかじめ電極触媒物質を被覆した不溶
性金属電極を取り付けるものであり、電極の再活性化に
要する時間を短縮することができる。
【0022】
【実施例】本発明の金属箔電解製造装置用の陽極の再活
性化方法を図面によって説明する。図1は金属箔電解製
造装置の断面図を示した図である。金属箔電解製造装置
1は、電解槽2中の金属イオン等を含む電解液3中には
曲面が半分没した回転する円筒型陰極4が設けられてい
る。円筒型陰極4に対向して陽極5が設けられている
が、陽極の表面の滑らかな曲面上には、エキスパンデッ
ドメタルからなる不溶性金属電極6を取り付けており、
不溶性金属電極の取付は陽極に設けたねじ穴7に弁金属
に電極触媒物質の被覆を形成したビス8を使用してい
る。また陽極には少なくとも1個の電解液供給スリット
9が形成されている。本発明の陽極の再活性化方法は、
金属箔電解製造装置から取りはずした陽極の凹凸のない
曲面上に、あらかじめ用意した不溶性金属電極を取り付
けるものであり、電解製造装置の設置場所においても不
溶性金属電極を取り付けて陽極を再活性化することがで
きる。
【0023】実施例1 30cm×150cm、板厚み1mm、みかけの厚みが
1.5mmのエキスパンデッドメタルの長辺を直径が約
300cmの円弧状にプレス加工し、その表面を酸洗に
よって活性化後、イリジウムとタンタルの重量比が70
対30の塩化物をブチルアルコールと塩酸水溶液の混合
液に溶解したものを塗布液として常法に従って電極物質
の被覆して電極触媒被覆がイリジウムとタンタルの酸化
物からなる不溶性金属電極を作成した。
【0024】これを、電極触媒被覆の活性が低下して使
用できなくなった幅150cm直径300cmの半円筒
状の銅箔製造用の陽極表面に、TIG溶接法により取り
つけた。溶接間隔は50mmとし、回転軸方向に溶接点
が均一に分布するようにした。
【0025】不溶性金属電極は合計で14枚使用した
が、あらかじめ半円筒状の電極に曲面を形成していたの
で、凹凸のない陽極の曲面から不溶性金属電極の浮き上
がりなく、溶接後の修正作業は不要であった。
【0026】元の陽極面上への取り付けは手作業で行っ
たが、1個の円筒型陰極用についての陽極の補修時間は
10時間を必要とした。電極間隔を12mmとし75A
/dm2 で電解を行ったところ、厚み分布が±1%の銅
箔が安定して得られた。
【0027】一方、従来の再活性化方法では、電解装置
から電極を取りはずし、電極工場へ搬入して電極触媒被
覆の再形成を行ったので、再活性処理には約1ヶ月間の
期間を必要としたが、本発明の方法では、不溶性金属電
極の製造の期間を除き、陽極の取りはずしから取り付け
までを4日間で行うことができ、高価な陽極の予備品を
取り揃える必要もなくなった。
【0028】
【発明の効果】本発明は、金属箔電解製造装置の円筒型
陰極に対向する陽極の電極触媒被覆を再活性化する方法
において、凹凸のない陽極の曲面上に不溶性金属電極を
取り付けた陽極の場合には不溶性金属電極を取りはず
し、また不溶性金属電極を取り付けていない場合には陽
極の曲面上にそのまま電極触媒被覆の被覆を形成した不
溶性金属電極を取り付けるので、陽極の再活性化の時間
および工程を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属箔電解製造装置用の陽極の再活性
化方法を説明する図である。
【図2】従来の電解法による銅箔製造装置を示したもの
である。
【符号の説明】
1…金属箔電解製造装置、2…電解槽、3…電解液、4
…円筒型陰極、5…陽極、6…不溶性金属電極、7…ね
じ穴、8…ビス、9…電解液供給スリット、21…銅箔
製造装置、22…電解槽、23…電解液、24…円筒型
陰極、25…陽極、26…電解液供給スリット、27…
金属銅
【手続補正書】
【提出日】平成3年12月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の陰極表面に金属箔を電解によっ
    て析出させる金属箔連続製造装置用陽極の再活性化方法
    において、円筒型陰極に対向した曲面状の陽極の板状体
    の表面にあらかじめ陽極活性被覆を被覆した不溶性金属
    陽極を取り付けることを特徴とする金属箔連続製造装置
    用陽極の再活性化方法。
  2. 【請求項2】 不溶性金属電極の取付を溶接または着脱
    自在の取り付け手段によって行うことを特徴とする請求
    項1記載の金属箔連続製造装置用陽極の再活性化方法。
  3. 【請求項3】 不溶性金属電極を曲面上の陽極への取り
    付け箇所を等間隔に形成し、電流分布を均一化すること
    を特徴とする金属箔連続製造装置用陽極の再活性化方
    法。
JP3344491A 1991-12-26 1991-12-26 金属箔連続製造装置用陽極の再活性化方法 Expired - Lifetime JP2675219B2 (ja)

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