JPH05171364A - 耐食性と被削性の優れたステンレス鋼 - Google Patents

耐食性と被削性の優れたステンレス鋼

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JPH05171364A
JPH05171364A JP35782391A JP35782391A JPH05171364A JP H05171364 A JPH05171364 A JP H05171364A JP 35782391 A JP35782391 A JP 35782391A JP 35782391 A JP35782391 A JP 35782391A JP H05171364 A JPH05171364 A JP H05171364A
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JP
Japan
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corrosion resistance
machinability
stainless steel
steel
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JP35782391A
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Inventor
Hiroshi Yokota
博史 横田
Hiromitsu Nagata
弘光 永田
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Aichi Steel Corp
Original Assignee
Aichi Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重量比にしてC:0.50% 以下、Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、S:0.030%以下、Cr:10 〜20% 、Ni:0.1〜
4.0%、Mo:0.1〜2.0%、Pb:0.10 〜0.30% と、Ti:0.01 〜
0.30% 、Zr:0.01 〜0.30% のうち1種または2種を含有
し、残部がFeならびに不純物元素からなることを特徴と
する耐食性と被削性の優れたステンレス鋼。 【効果】 本発明のステンレス鋼は、エレクトロニクス
関連部品の製造途中の洗浄工程において、フロン使用を
削減するために、水洗浄に変更しても錆が発生すること
がない優れた耐食性を有する。また、良好な被削性を有
するので、加工が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は部品製造時に水洗浄した
り、高温高湿環境において使用しても錆が発生すること
のない、耐食性、被削性の優れたステンレス鋼に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、エレクトロニクス関連部品や精密
機械部品等の中で、酸などの特殊な腐食環境下で使用さ
れるものではないが、ある程度の耐食性を要求される部
品には、SUS410、SUS420J2等が使用されている。また、
前記した耐食性を要求され、かつ切削により最終形状に
製造される部品にはSUS416、 SUS420Fなどの Sを含有し
たCr系ステンレス鋼が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の部品製造途中の
洗浄工程において、従来フロンを含有した洗浄剤が使用
されていた。しかしながら、最近フロンガスによるオゾ
ン層破壊が世界的に問題となり、フロン規制強化の動き
が活発となって、各産業分野におけるフロン削減対策の
実施が強く求められるようになってきた。
【0004】フロンを使用した洗浄剤にかわる有力な洗
浄剤としては、安価で豊富に存在する水を使用した洗浄
が考えられ、洗浄剤を水に置き換えて製造テストした結
果次の問題点が発生した。
【0005】すなわち、水洗浄に置き換えて製造する
と、製造途中に赤錆が発生し、従来のCr系ステンレス鋼
の耐食性レベルでは不十分であることがわかった。ま
た、以前からCr系ステンレス鋼は高温高湿下で使用した
場合に赤錆が発生する事があり、Cr系ステンレス鋼の耐
食性向上に対するニーズがフロンガス規制とともに非常
に強くなってきた。
【0006】さらに、前述したエレクトロニクス関連部
品や精密機械部品は切削によって最終形状に仕上げられ
る場合も多く、耐食性とともに被削性についても優れた
特性が要求される。
【0007】以上述べた耐食性に対する要求に対し、従
来鋼であるSUS410、SUS420J2や Sを含有したSUS416、 S
US420FなどのCr系ステンレス鋼は、前述した製造テスト
の結果から明らかになったように、水洗浄や高温、高湿
環境下での使用に耐えられる耐食性を有していない。ま
た、被削性の要求についてはS 含有のCr系ステンレス鋼
を使用すれば満足できるが、前述したように耐食性が劣
るため、適用の妨げとなっていた。従ってこの問題を解
決することのできる耐食性、被削性がともに優れたCr系
ステンレス鋼の開発が強く望まれていた。
【0008】本発明は従来のCr系ステンレス鋼の前記の
ごとき問題点を考慮してなされたもので、水洗浄した
り、高温高湿の環境で使用しても赤錆が発生せず、かつ
被削性にも優れたステンレス鋼を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述した課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の知見をな
し本発明を得た。
【0010】すなわち、赤錆発生の起点が MnSなどの硫
化物系介在物であり、起点となる原因は MnSなどの硫化
物系介在物が水溶性であるという性質によるものである
ことをつきとめた。つまり従来鋼であるSUS410、SUS420
J2は0.01% 程度、SUS416、 SUS420Fは0.2%程度の Sを含
有しているため、鋼中に水溶性の硫化物系介在物である
MnS が存在し、それが起点となって水に対する耐食性を
悪化させていることを見出したものである。
【0011】そしてさらに検討を進めた結果、前記理由
に基づき S含有量を低減し、Ni、Moを適量添加して耐食
性を向上させるとともに、Pb、Ti、Zrを少量添加する
と、これらの元素がS と結合するため、水溶性の硫化物
である MnSの生成を防止し、かつ非水溶性の硫化物を形
成するため、水洗浄及び高温高湿環境下での使用に耐え
られる耐食性を確保できることを見出したものである。
【0012】一方、前記従来鋼のうちSUS416、SUS420F
に含有された Sは被削性を向上させるために含有したも
のであり、 Sを低減するかわりに耐食性を劣化させない
他の被削性向上元素を添加する必要がある。しかしなが
ら、前記したMnS 生成防止のために添加する元素のう
ち、Pbは被削性向上にも効果があり、S の低減による被
削性の低下を十分に補うことができることを実験により
確認し、本発明の完成に到ったものである。すなわち本
発明は、重量比にしてC:0.50% 以下、Si:1.00%以下、M
n:1.00%以下、S:0.030%以下、Cr:10 〜20% 、Ni:0.1〜
4.0%、Mo:0.1〜2.0%、Pb:0.10 〜0.30% とTi:0.01 〜0.
30% 、Zr:0.01 〜0.30% のうち1種または2種を含有
し、残部がFeならびに不純物元素からなることを特徴と
する耐食性と被削性の優れたステンレス鋼である。
【0013】次に本発明の耐食性と被削性の優れたステ
ンレス鋼の成分組成限定理由について以下に説明する。 C:0.50% 以下 C含有量が多いと本発明の重要特性である耐食性と被削
性を阻害するので上限を0.50% とした。
【0014】Si:1.00%以下 Siは脱酸に効果のある元素であるが、多量に添加すると
脆化するので上限を1.00% とした。
【0015】Mn:1.00%以下 Mnは脱酸に効果のある元素であるが、多量に添加すると
耐食性が低下するとともに、脆化するので上限を1.00%
とした。
【0016】S:0.030%以下 Sは積極添加しなくても不純物として存在し、その一部
が鋼中で MnSとなって含有している。この介在物は水溶
性であるため、部品製造途中の水洗浄や高温高湿環境下
での使用によって赤錆発生の起点となるので、できるだ
け低減することが望ましく、上限を0.030%とした。
【0017】Cr:10 〜20% Crはステンレス鋼としての耐食性を維持するための必須
元素であり、10% 以上の含有が必要である。しかし多量
に含有させると前記効果が飽和するとともに、コスト高
となるので、上限を 20%とした。
【0018】Ni:0.1〜4.0%、Mo:0.1〜2.0% Ni、Moは、本発明鋼にとって水洗浄や高温高湿環境下で
の赤錆発生を防止できる耐食性を確保するための必須元
素である。前記効果を得るためにはそれぞれ最低0.1%以
上の含有が必要である。しかし、多量に含有させると前
記効果が飽和するとともに、被削性が低下し、かつコス
ト高となるので、上限をNiは4.0%、Moは2.0%とした。
【0019】Pb:0.10 〜0.30% Pbは水溶性の介在物であるMnS の生成を抑えることによ
り赤錆発生を防止するとともに、被削性の向上にも効果
のある元素である。前記効果を十分に得るためには0.10
% 以上の含有が必要である。しかし、多量に含有させる
と被削性は向上するが、熱間加工性が低下し、熱間圧延
による製造に支障をきたすので、上限を0.30% とした。
【0020】Ti:0.01 〜0.30% 、Zr:0.01 〜0.30% Ti、Zrは、S と結合して非水溶性の硫化物を生成し、か
つMnS の生成を抑えるため、耐食性の向上に効果のあ
る、本発明にとって最も重要な元素である。従って、こ
の効果を得るために、Ti、Zrの少なくとも一方を0.01%
以上含有させる必要がある。しかし、多量に含有させて
も前記効果が飽和するとともにコスト高となるため、上
限をそれぞれ0.30% とした。
【0021】
【実施例】以下に本発明の特徴を比較鋼および従来鋼と
比較し、実施例でもって明らかにする。表1は実施例に
用いた供試材の化学成分を示すものである。
【0022】
【表1】
【0023】表1において、1〜6鋼は本発明鋼、7〜
11鋼は比較鋼であり、12〜14鋼は従来のステンレス鋼で
あるSUS410、SUS416、SUS420F である。
【0024】表1に示した成分組成の素材を使用して、
熱間圧延により直径20mmの丸棒を製造し、焼鈍処理を施
して試験材とした。表1には後述する試験方法により評
価した耐食性、被削性の試験結果も合わせて示した。
【0025】試験材の耐食性は、機械加工により直径15
mmの試験片を作製し、水洗浄後、温度60℃、湿度90% 以
上の高温高湿環境下で7日間放置し、赤錆発生の有無を
調べることにより評価した。なお、表1には赤錆発生が
全く認められないものを◎、点状に10個以内の赤錆が認
められたものを○、点状に10個以上で面積率で10%未満
の赤錆が認められたものを△、面積率で10%以上の赤錆
が認められたものを×として示した。
【0026】被削性はドリル穿孔試験により評価した。
なお試験は、ドリルは 5mmφのストレートシャンクドリ
ル、ドリルの材質はSKH51 、ドリル回転数は 759r.p.
m.、切削油なし、荷重72kgの条件で行った。測定した結
果は従来鋼であるSUS410の一定長さ当たりの穿孔時間を
100とし、それぞれの穿孔時間を整数比で整理し、表1
に示した。
【0027】表1から明らかなように比較鋼、従来鋼で
ある7〜14鋼を本発明鋼と比較すると、7鋼は C含有率
が高いため、耐食性、被削性がともに劣るものであり、
8鋼はMn含有率が高いため、耐食性がやや劣るものであ
り、9鋼はNi、Mo含有率が低いため、8鋼と同様に耐食
性がやや劣るものであり、10鋼は S含有率が高いため、
耐食性がかなり劣るものであり、11鋼はPb含有率が低い
ため、Ti含有の効果によって耐食性は優れているが、被
削性が本発明鋼に比べやや劣るものである。また、従来
鋼である12〜14鋼は Sを含有し、かつMnS の生成を抑え
るPb、Ti、Zrが含有されていないため耐食性が劣るもの
であり、特に S含有率の高い13、14鋼は被削性には優れ
ているが、耐食性が著しく劣るものである。
【0028】これに対して本発明鋼である1〜6鋼は S
含有率の上限を0.030%に規制し、さらにPb、Ti、Zrを少
量添加したことにより、赤錆発生の原因となる水溶性の
硫化物(MnS) の生成を防止するとともに、前記Pbを適量
添加したことにより、SUS410より優れた耐食性とSUS41
6、SUS420F に近い優れた被削性が得られることが確認
できた。
【0029】
【発明の効果】本発明である耐食性と被削性の優れたス
テンレス鋼は、製造時に水洗浄したり、高温高湿環境で
使用しても錆の発生することのない優れた耐食性を有す
るものである。また、Pbを適量添加したことにより、耐
食性を劣化させずに、被削性を向上させることができ
た。従って、本発明鋼は世界的問題であるフロンの削減
の実現に貢献するとともに、Cr系ステンレス鋼の適用範
囲の拡大を可能とし、産業上寄与するところは極めて大
きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にしてC:0.50% 以下、Si:1.00%以
    下、Mn:1.00%以下、、S:0.030%以下、Cr:10 〜20% 、N
    i:0.1〜4.0%、Mo:0.1〜2.0%、Pb:0.10 〜0.30% と、Ti:
    0.01 〜0.30% 、Zr:0.01 〜0.30% のうち1種または2
    種を含有し、残部がFeならびに不純物元素からなること
    を特徴とする耐食性と被削性の優れたステンレス鋼。
JP35782391A 1991-12-25 1991-12-25 耐食性と被削性の優れたステンレス鋼 Pending JPH05171364A (ja)

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JP (1) JPH05171364A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7297214B2 (en) 1999-09-03 2007-11-20 Kiyohito Ishida Free cutting alloy
US7381369B2 (en) 1999-09-03 2008-06-03 Kiyohito Ishida Free cutting alloy
CN105200346A (zh) * 2015-09-22 2015-12-30 江苏新核合金科技有限公司 一种蒸发器拉杆和拉杆螺母用12Cr13棒材

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