JPH0517074B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、クランクシヤフトとインペラシヤ
フト間にジヨイントを介して連結された中間シヤ
フトを船体の隔壁に支持した小型舟艇のポンプ伝
動装置に関する。

（従来技術） 第５図は、小型舟艇の概略構成を示す一部切欠
側面図であり、この図において、FRP製の船体
２８の内部には、エンジン１、燃料タンク２９な
どが装着され、船体２８の後部のダクト部３０に
装着された水ジエツト推進機５を上記エンジン１
で駆動して、推進力を得るようになつている。

小型舟艇におけるポンプ伝動装置は、エンジン
１のクランクシヤフト２と、水ジエツト推進機５
のインペラ軸受６に支持されたインペラシヤフト
８との間を、前後のジヨイント１０，１０を介し
て中間シヤフト１１で連結するとともに、この中
間シヤフト１１を、中間軸受装置１６を介して船
体２８の隔壁（バルクヘツド）３に支持してあ
る。

このように構成されたポンプ伝動装置におい
て、従来は、第６図に示すように、クランクシヤ
フト２に取り付けた前部のジヨイント１０と、中
間シヤフト１１とをシヤフト軸方向に平行な平行
スプライン１２によつて連結し、その連結構造
は、第５図の後部のジヨイント１０においても同
様とされるとともに、中間軸受装置１６について
は、第６図に示すように、フランジ２４と軸受筒
２２とを一体化した軸受ケースと、インナレース
１８との間にベアリング３７を介装して構成され
ている。

上記従来構造においては、中間シヤフト１１
が、隔壁３の定位置に一定した方向性をもつて固
定化されるとともに、この中間シヤフト１１に対
して、平行スプライン１２を有するジヨイント１
０，１０を介して、クランクシヤフト２と第５図
のインペラシヤフト８とを角度変更を許さない状
態で連結するものとされている。

これに対し、エンジン１は一般にゴムでマウン
トされていることから、クランクシヤフト２が中
間シヤフト１１に対し芯ずれしやすいのが通常で
あり、この場合、中間シヤフト１１が従来のよう
に固定化された中間軸受装置１６によつて支持さ
れ、クランクシヤフト２側に突出されていると、
上記芯ずれに対処することができない。

一方、第５図のインペラシヤフト８について
も、水ジエツト推進機５が船体２８に取り付けら
れる関係から中間シヤフト１１に対し芯ずれを生
じることがあり、この場合も、中間シヤフト１１
が固定化された中間軸受装置１６によつて支持さ
れているため、そのままでは上記芯ずれに対処す
ることができない。

このことに対処するには、エンジン１（または
インペラ軸受６）をマウントするときに、シム調
整するといつた面倒な作業が要求されていた。

また、上記クランクシヤフト２は、ゴムでマウ
ントされ駆動により芯ぶれを生じやすいが、従来
の場合、中間シヤフト１１が中間軸受装置１６に
よつて固定化されているため、クランクシヤフト
２と中間シヤフト１１との連結部だけでなく、中
間軸受装置１６、さらには、隔壁３に大きな荷重
がかかり、これが各部の耐久性を損なう原因とも
なつていた。

なお、各シヤフトの突き合わせ端部を角度変更
可能なジヨイントで連結するものとして、特公昭
46−38300号公報に、また、中間シヤフトの軸受
装置を弾性体で支持するものとして、特開昭49−
108795号公報および特開昭52−75793号公報にそ
れぞれ開示されている。

しかし、上記各手段を適用しても、上述したよ
うな芯ずれに適確に対処できないという課題があ
る。

（発明の目的） この発明は、上記課題を解決するためになされ
たもので、シヤフトの連結部の芯出し作業が容易
で、円滑な回転が可能な小型舟艇のポンプ伝動装
置を提供することを目的とする。

（発明の構成） この発明によるポンプ伝動装置は、中間軸受装
置が、隔壁の挿通孔に挿通された中間シヤフトを
回転可能に軸支する軸受筒と、この軸受筒の外周
に固着された弾性支持体と、この弾性支持体の外
周および上記隔壁に固着されたフランジとを具備
し、上記各シヤフトの突き合わせ端部を角度変更
可能なスプラインの結合からなるジヨイントで連
結したことを特徴とする。

（実施例） 以下、この発明の実施例を図面にしたがつて説
明する。

第１図において、１はエンジンで、船体にゴム
マウントされている。２はクランクシヤフトで、
船体後方に向けてその一端が取り出されている。

３は隔壁（バルクヘツド）で、その中央に挿通
孔４を有する。

一方、船体尾部には、水ジエツト推進機５が取
り付けられ、そのインペラ軸受６は、第５図に示
すように、ダクト部３０に設けられている。この
インペラ軸受６には、第１図に示すように、イン
ペラ７を外周に有するインペラシヤフト８がメタ
ル軸受９を介して支持されている。

ここにおいて、上記インペラシヤフト８の一端
（前端）と、クランクシヤフト２の一端（後端）
には、それぞれジヨイント１０，１０が連結され
ている。この連結は、内外の平行スプラインを介
してなされている。

これら両ジヨイント１０，１０間に中間シヤフ
ト１１が連結され、この場合、第２図に示すよう
に、ジヨイント１０側に平行スプライン１２を、
また、中間シヤフト１１側に球面スプライン１３
を形成し、クランクシヤフト２と中間シヤフト１
１とは、それら両スプライン１２，１３を介して
角度変更可能に連結されている。

なお、１４はシールカバーであり、ジヨイント
１０とシールカバー１４との間には、第３図のグ
リース溜め１５が形成されている。

こうして連結された中間シヤフト１１は、第１
図に示す中間軸受装置１６によつて隔壁３に支持
されている。

つまり、中間軸受装置１６は、その内周にゴム
筒１７とインナーレース１８とを有し、インナー
レース１８の外周に、ニードルベアリング１９と
アウタレース２０、それに、シール２１，２１を
設け、これらを囲むように軸受筒２２を設けると
ともに、軸受筒２２の外周に、ゴム製の弾性支持
体２３を焼き付けにより固着し、この弾性支持体
２３の外周に、第４図のように焼き付けによりフ
ランジ２４を固着してある。

このフランジ２４は、その外周４個所の径大孔
２５を通して挿通された取付ボルト２６によつて
第１図の隔壁３に固定されている。

なお、２７はシヤフトカバーで、前端が隔壁３
に、また、後端が船体２８側に接着により固定さ
れている。

上記構成においては、中間シヤフト１１に対し
クランクシヤフト２とインペラシヤフト８とがと
もに球面スプライン１３，１３（第２図）を介し
て角度変更可能に連結され、しかも、中間シヤフ
ト１１が中間軸受装置１６の弾性支持体２３によ
つて弾性支持されているので、エンジン１が規定
された姿勢でマウントされず、クランクシヤフト
２が中間シヤフト１１に芯ずれした場合でも中間
シヤフト１１側が位置および角度を変更して対処
でき、このことは、インペラシヤフト８に対して
も同様である。

また、クランクシヤフト２が芯ぶれしても、球
面スプライン１３（第２図）と弾性支持体２３が
吸収し、さらに、弾性支持体２３の弾性支持機能
により、芯ぶれ時に発生する荷重が中間シヤフト
１１を通して中間軸受装置１６および隔壁３に作
用するおそれがなく、これにより、各部の耐久性
が向上する。

なお、クランクシヤフト２と中間シヤフト１
１、および、インペラシヤフト８と中間シヤフト
１１との各間には、１枚ないし２枚のゴムプレー
ト３６が介装されているが、このゴムプレート３
６は省略し、その個所を隙間としてもよい。

（発明の効果） 以上説明したように、この発明によれば、中間
軸受装置が、中間シヤフトを弾性支持体で中吊り
状態で同心状に回転可能に軸支しているため、こ
の中間シヤフトの両端部がこれに突き合わされた
他のシヤフトの端部に自在に追従して芯出し作業
が容易に達成される。

また、各シヤフトの端部が角度変更可能なスプ
ラインの結合からなるジヨイントで連結されてい
るため、芯ずれなく、円滑な回転が可能である。
しかも、各部の耐久性を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示すポンプ伝動
装置の断面図、第２図は第１図のＡ部拡大図、第
３図は第２図−線断面図、第４図は第１図
−線断面図、第５図は小型舟艇のポンプ伝動装
置を一部断面として示す右側面図、第６図は従来
のポンプ伝動装置を示す断面図である。 １…エンジン、２…クランクシヤフト、３…隔
壁、４…挿通孔、７…インペラ、８…インペラシ
ヤフト、１０…ジヨイント、１１…中間シヤフ
ト、１２…平行スプライン、１３…球面スプライ
ン、１６…中間軸受装置、２２…軸受筒、２３…
弾性支持体、２４…フランジ、２８…船体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 船体に搭載されたエンジンのクランクシヤフ
   トと、上記船体に支持されたインペラシヤフト
   と、上記各シヤフトをそれぞれジヨイントを介し
   て連結する中間シヤフトと、この中間シヤフトを
   上記船体に支持する中間軸受装置とを具備してな
   る小型舟艇のポンプ伝動装置において、上記中間
   軸受装置は、船体隔壁の挿通孔に変位可能に挿通
   された上記中間シヤフトを回転可能に軸支する軸
   受筒と、この軸受筒の外周に同心状に固着された
   弾性支持体と、この弾性支持体の外周に設けられ
   て上記隔壁に固着されたフランジとを備え、上記
   中間シヤフトとクランクシヤフトおよびインペラ
   シヤフトとをそれぞれ連結するジヨイントは、角
   度変更可能なスプラインの結合からなることを特
   徴とする小型舟艇のポンプ伝動装置。