JPH05169798A - 粘着性印刷シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷面を保護するための保護層や接着材層に
適用する離型シートを使用することなく、印刷面の保存
安定性が極めて良好で、そして低コストで少量多品種生
産に適した粘着性印刷シートを提供する。 【構成】 光透過性基材フィルム１及びその上に積層さ
れた粘着材層２からなる印刷シートにおいて、粘着材層
２として常温では非粘着性であるが加熱により粘着性と
なるとともに光透過性となるものを使用し、そして該粘
着材層２の表面に印刷を施し印刷層３とする。好ましい
態様として、粘着材層２が加熱処理前においては吸水性
のものを使用し、また印刷インクとして水性インクを使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、粘着性印刷シートに
関する。さらに詳しくは、この発明は少量多品種の製造
に適した粘着性印刷シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の粘着性印刷シートとしては、紙等
の不透明シートやポリエステルフィルム等の透明フィル
ムの表面に印刷を施し裏面に接着材層を設けたものや、
透明シートの表面に印刷を施した後にその上から接着材
層を設けたものがあり、これらは各種ラベル、ディスプ
レイなどに広く利用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、紙等の
不透明シートやポリエステルフィルム等の透明フィルム
の表面に印刷を施し裏面に接着材層を設けた粘着性印刷
シートの場合には、印刷面を保護するために更に印刷面
上に保護層を設ける必要があり、印刷シートの製造コス
トの上昇を招いていた。また透明フィルムの表面に印刷
を施した後にその上から接着剤層を設けた粘着性印刷シ
ートの場合には、印刷面が透明フィルムと接着材層との
間に挟持されているので保護層を設ける必要はないが、
製造工程上の問題から少量多品種の粘着性印刷シートの
製造が低コストで製造できないという問題があった。即
ち、一般に印刷は枚葉毎に行われるものであり、一方接
着材層はロール状の長尺の透明基材フィルムに連続的に
塗布するものである。従って、予め印刷を基材シートに
施した後に接着材層を設けるというように、枚葉工程が
連続工程に先立って行われる場合には少量多品種の粘着
性印刷シートを低コストで製造することができない。

【０００４】更に、従来の粘着性印刷シートにおいて
は、取扱いの利便性を改善するために、保存の際、粘着
材層表面に更に離型シートを設けておかなければなら
ず、製造コストの上昇を招くという問題もあった。

【０００５】この発明は、以上のような従来技術の問題
点を解決しようとするものであり、印刷面を保護するた
めの保護層や接着材層上の離型シートを設けることな
く、少量多品種の生産にも適した粘着性印刷シートを低
コストで提供できるようにすることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明者は、上記の目
的が粘着性印刷シートに使用する粘着材層として常温で
は非粘着性であるが加熱により粘着性となるとともに光
透過性となる材料を使用し、その様な粘着材層を光透過
性基材フィルムに設けると共に粘着材層の表面に印刷又
は印字を施すことにより達成できることを知見し、この
発明を完成させた。即ち、この発明は、光透過性基材フ
ィルム及びその上に積層された粘着材層からなる印刷シ
ートにおいて、該粘着材層は常温では非粘着性であるが
加熱により粘着性となるとともに光透過性となるもので
あり、そして該粘着材層の表面に印刷及び／又は印字
（以下、印刷・印字と略する）が施されていることを特
徴とする粘着性印刷シートを提供する。

【０００７】以下、この発明の粘着性印刷シートを図面
に基づいて詳細に説明する。

【０００８】図１は、この発明の粘着性印刷シートの断
面図である。同図において、光透過性基材フィルム１上
に粘着材層２が設けられ、更に粘着材層２の表面に印刷
層３が設けられている。

【０００９】光透過性基材フィルム１は、この発明の粘
着性印刷シートの機械的強度を保持するための基材とし
て機能する他に、印刷層３の保護層としても機能するも
のである。このため、粘着性印刷シートを目的物に貼付
けた後にその表面を摩擦しても印刷・印字インクの色落
ちがなく、また風雨によりインクの流失がない等の印刷
層３の保存安定性が極めて良好となる。したがって、従
来必要とされていた印刷・印字面を保護するための保護
層を別途設ける必要がない。

【００１０】また、印刷層３が図１の矢印側から透けて
見えるように、光透過性基材フィルム１は、光、特に可
視光を透過する性質を有するものである。なお、光の透
過特性は目的とする印刷の意匠的観点等に鑑みて適宜選
択することができる。例えば、可視光を５０％しか透過
しないものを選択したり、或いは特定の波長の光だけ透
過させるものを選択することができる。

【００１１】このような光透過性基材フィルム１として
は、例えばポリエステルフィルム、軟質又は硬質塩化ビ
ニルフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用するこ
とができる。中でも耐熱性に優れたポリエステルフィル
ムを好ましく使用することができる。また光透過性基材
フィルム１の厚みは、この発明の粘着性印刷シートの使
用目的に応じて適宜選択することができる。なお、光透
過性基材フィルム１には、必要に応じて顔料等の添加物
を適宜添加することができる。

【００１２】粘着材層２は、常温では非粘着性であるが
加熱により粘着性となるとともに光透過性となる材料か
らなるものである。これにより従来の粘着性印刷シート
におけるような離型シートが不要となり、製造コストを
低減させることができる。また、取扱いも離型シートが
ないのでかさばらず、ゴミもでない。このような性質を
示す粘着材層２としては、常温では非粘着性であるが加
熱により粘着性となるとともに光透過性となる材料又は
その光透過性が維持される材料からなるものである限り
種々のものを使用することができる。例えば、ＥＶＡの
微小ホットメルト粒を酢酸ビニルエマルジョン中に分散
した白濁不透明な粘着材を使用することができる。

【００１３】また、このような粘着材層２としては、そ
れが加熱される前には吸水性を示すものを使用する。粘
着材層２を吸水性とするためには、例えば粘着材層２の
材料を吸水性材料で構成したり、層を多孔質としたりす
る。このような粘着材層２に対してインクジェット記録
様式に通常使われる水性インクをインクとして使用して
印刷・印字をした場合には、図１の３ａで表されるよう
に、インクが粘着材層２の中に浸透し保持される。そし
て加熱後においてもその印刷模様がそのまま保持され
る。即ち、この粘着材層２はインクの保持層としても機
能するものである。

【００１４】粘着材層２の厚みは、この発明の粘着性印
刷シートの使用目的によりことなるが、一般には２０μ
ｍ程度の厚みである。厚みが薄すぎるとインクの保持力
が弱まる。逆に厚すぎる場合には、粘着材層２自体の形
成に際して、一般に必要とされる乾燥処理が困難とな
る。

【００１５】なお、加熱温度は粘着材層２を構成する材
料により異なるが、例えばＢＰＷ−５２４９（商品名、
水性ディレードタック型接着剤、東洋インキ製造株式会
社製）の場合には、約１２０℃、２５秒の加熱により粘
着性となり、且つ光透過性となる。加熱の方法として
は、特に限定されないが、例えば、熱板や熱ロールの上
に粘着材層の形成されていない粘着性印刷シート面を乗
せたり、或いは粘着性印刷シートに熱風を吹き掛けたり
する方法や、また粘着性印刷シートを貼付したい目的物
の上に重ね、その上からアイロン等の発熱体を押し当て
る方法がある。

【００１６】印刷層３は、インクジェット方式印字、熱
転写方式印字、オフセット印刷、スクリーン印刷等の一
般的な印刷・印字方法で設けることができる。特に少量
多品種の生産を意図する場合には、印刷・印字内容の変
更を極めて簡便且つ低コストで行うことにできるインク
ジェット方式印字により設けることが好ましい。印刷層
３のインクはその全部が粘着材層２内に浸透してもよ
く、或いはその一部だけが浸透してもよい。

【００１７】なお、印刷・印字の際のインクの量を増し
た場合には粘着材層２だけではインクを保持できないこ
とが生じる場合がある。このような場合には、インクの
にじみが発生し、印刷・印字品位が低下する。これを防
ぐための方策として、粘着材層２を厚くしてそのインク
保持量を増加させることが考えられる。しかしこのよう
な場合には、粘着材層２を形成するための組成物を光透
過性基材フィルム１に塗布した後の乾燥に非常に長い時
間を要することとなる。従って、この発明においては図
４に示されるように、光透過性基材フィルム１と粘着材
層２の間に、薄くてもインク保持量の大きなインク受容
層４を設けることがより好ましい。このようなインク受
容層４を設けることにより、粘着材層２のみではインク
を保持できない場合にも、インクを良好に粘着性印刷シ
ート内部に保持できるようになり、印刷模様のにじみ等
による不鮮明化を防ぐことができる。このようなインク
受容層４としては、例えば酸化澱粉、デキストリン等の
澱粉類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘
導体、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質、ポリビニルアル
コール誘導体等、その他共役ジエン系共重合体ラテック
ス、ビニル系重合体ラテックス等を使用できる。また、
インク受容層の厚みは一般に３〜３０μｍ程度が好まし
い。

【００１８】この発明の粘着性印刷シートを使用する場
合には、粘着材層が粘着性を獲得し且つ光透過性となる
のに必要な温度で光透過性基材フィルム側からヒーター
を用いて印刷シートを加熱した後に、粘着材層側から印
刷シートを本の表紙等の被接着面に貼り付ければよい。

【００１９】この発明の粘着性印刷シートは、通常の製
造方法に従って製造することができる。例えば、光透過
性基材フィルム１の片面に、まず必要に応じてインク受
容層形成のための組成物をリバースロールコーター等で
塗布、乾燥した後、その上に粘着材組成物を、ドクター
コーター、リバースロールコーター等で塗布、乾燥して
粘着材層２を形成した後、更に粘着材層２の表面にイン
クジェット方式印字等により所望の印刷・印字を施すこ
とにより製造することができる。

【００２０】

【作用】この発明の粘着性印刷シートの粘着材層は、常
温では非粘着性であるが加熱により粘着性となるととも
に光透過性となるものなので、取扱いに利便性があり、
また光透過性基材フィルム側から印刷模様を見ることが
可能となる。従って、離型シートが不要となり製造コス
トを低下させることが可能となる。更に、印刷層が基材
フィルム表面ではなく粘着材層側から設けられているの
で、印刷保護のための層を別途設けることを不要にでき
るとともに、長尺の基材フィルムへの連続的な粘着材層
の形成工程の後に枚葉式の印刷・印字工程があるので、
印刷・印字内容がそれぞれ異なる少量多品種の粘着性印
刷シートの製造に有用となる。

【００２１】

【実施例】以下、この発明を実施例により具体的に説明
する。但し、この発明はこれらの実施例に限られるもの
ではない。

【００２２】実施例１ 光透過性基材フィルムとして厚さ８０μｍのポリエステ
ル透明フィルムを用い、このフィルムの片面に粘着材組
成物（商品名、ＢＰＷ−５２４９、東洋インキ製造
（株）製）をリバースロールコーターを用いて４０ｇ／
ｍ^２の塗工量で塗布した後、４０℃の乾燥機中で５分間
乾燥した。これにより約２０μｍ厚の粘着材層を形成し
た。この接着材層にインクジェットプリンター（商品
名、ＨＧ−４０００ＰＣ、セイコーエプソン（株）製）
で印字を施し、この発明の粘着性印刷シートを製造し
た。

【００２３】この粘着性印刷シートをオ−ブン中で１２
０℃、２５秒という条件で加熱したところ、印字模様が
にじむことなく粘着材層を粘着化することができた。こ
の粘着性印刷シートはガラス、金属、プラスチック、紙
等に良好に接着した。また、接着後にポリエステル基材
フィルム側から見た印字品位も良好であった。

【００２４】実施例２ 光透過性基材フィルムとして厚さ８０μｍのポリエステ
ル透明フィルムを用い、このフィルムの片面に、ポリビ
ニルアルコ−ル（ＰＶＡ１１７（商品名）、（株）クラ
レ製））１０重量％水溶液をリバースロールコーターを
用いて１００ｇ／ｍ^２の塗工量で塗布した後、乾燥させ
約１０μｍ厚のインク受容層を形成し、更に粘着材組成
物（ＢＰＷ−５２４９（商品名）、東洋インキ製造
（株）製）をリバースロールコーターを用いて３０ｇ／
ｍ^２の塗工量で塗布した後、４０℃の乾燥機中で５分間
乾燥した。これにより約１５μｍ厚の粘着材層を形成し
た。この接着材層にインクジェットプリンター（商品
名、ＨＧ−４０００ＰＣ、セイコーエプソン（株）製）
を用いて印字を施し、この発明の粘着性印刷シートを製
造した。

【００２５】この粘着性印刷シートをオ−ブン中で１２
０℃、２５秒という条件で加熱したところ実施例１と同
様に、印字・印刷模様がにじむことなく粘着材層を粘着
化することができた。この粘着性印刷シートはガラス、
金属、プラスチック、紙等に良好に接着した。また、接
着後にポリエステル基材フィルム側から見た印字品位も
良好であった。

【００２６】

【発明の効果】この発明によれば、印刷・印字面を保護
するための保護層や接着材層に適用すする従来のような
離型シートを使用することなく、印刷・印字面の保存安
定性が極めて良好で、そして低コストで少量多品種の生
産に適した粘着性印刷シートが提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１図は、この発明の粘着性印刷シートの一態
様の断面図である。

【符号の説明】

１ 光透過性基材フィルム ２ 粘着材層 ３ 印刷層 ４ インキ受容層

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【手続補正書】

【提出日】平成４年９月１７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図２

【補正方法】追加

【補正内容】

【図２】第２図は、この発明の粘着性印刷シートの別態
様の断面図である。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光透過性基材フィルム及びその上に積層
   された粘着材層からなる印刷シートにおいて、該粘着材
   層は常温では非粘着性であるが加熱により粘着性となる
   とともに光透過性となるものであり、そして該粘着材層
   の表面に印刷及び／又は印字が施されていることを特徴
   とする粘着性印刷シート。
2. 【請求項２】 該粘着材層が加熱前においては吸水性で
   ある請求項１記載の粘着性印刷シート。
3. 【請求項３】 印刷及び／又は印字が水性インクにより
   行われたことを特徴とする請求項２記載の粘着性印刷シ
   ート。
4. 【請求項４】 該光透過性基材フィルムと該粘着材層と
   の間に、更にインク受容層が配設されている請求項１、
   ２又は３に記載の粘着性印刷シート。