JPH05166184A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法Info
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- JPH05166184A JPH05166184A JP33651091A JP33651091A JPH05166184A JP H05166184 A JPH05166184 A JP H05166184A JP 33651091 A JP33651091 A JP 33651091A JP 33651091 A JP33651091 A JP 33651091A JP H05166184 A JPH05166184 A JP H05166184A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高密度磁気記録再生装置に適した2層の磁性
層を有する磁気記録媒体の製造方法において、S/N比
の良好な記録再生特性に優れたものの製造方法を提供す
る。 【構成】 連続蒸着法により、高分子基板1上にCo−
Cr膜を形成した高分子基板1aを巻取りロール4から
巻出しロール2に巻戻した後、円筒状キャン3の円周面
上を走行する高分子基板1aのCo−Cr膜上にCo−
O膜を形成する際、蒸発原子7の初期入射側近傍の窒素
導入管10から窒素を導入し、終期入射側近傍の酸素導
入管9から酸素を導入する。これにより、Co−O膜の
初期形成時における酸化が抑えられてCo−Cr膜とC
o−O膜との界面の酸化層が薄くなるために両磁性層の
磁気的結合が強くなり、S/N比が向上する。
層を有する磁気記録媒体の製造方法において、S/N比
の良好な記録再生特性に優れたものの製造方法を提供す
る。 【構成】 連続蒸着法により、高分子基板1上にCo−
Cr膜を形成した高分子基板1aを巻取りロール4から
巻出しロール2に巻戻した後、円筒状キャン3の円周面
上を走行する高分子基板1aのCo−Cr膜上にCo−
O膜を形成する際、蒸発原子7の初期入射側近傍の窒素
導入管10から窒素を導入し、終期入射側近傍の酸素導
入管9から酸素を導入する。これにより、Co−O膜の
初期形成時における酸化が抑えられてCo−Cr膜とC
o−O膜との界面の酸化層が薄くなるために両磁性層の
磁気的結合が強くなり、S/N比が向上する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度の磁気記録再生
装置に適した磁気記録媒体の製造方法に関し、詳しくは
2層の磁性層を有する磁気記録媒体を連続蒸着法で作製
する製造方法に関する。
装置に適した磁気記録媒体の製造方法に関し、詳しくは
2層の磁性層を有する磁気記録媒体を連続蒸着法で作製
する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生装置の扱う情報量の
増大や機器の小型化にともない、磁気記録媒体の高密度
化に対する要求は強まる一方である。これにより、従来
の塗布型の磁気記録媒体のみならず高密度記録に適した
合金薄膜型の磁気記録媒体が実用化されるに至ってい
る。この合金薄膜型の磁気記録媒体は、優れた短波長記
録再生特性を有し高密度記録に適している。合金薄膜型
の磁気記録媒体における磁性層としては、Co−O,C
o−Ni−O,Co−Ni−P,Co−Fe−O,Fe
−O等の面内記録用薄膜、およびCo−Cr,Co−C
r−Ni,Co−O,Co−Ni−O,Co−Cr−M
o,Co−Cr−W,Co−Cr−Nb,Co−Cr−
Ta,Co−V,Co−Cr−Al等のCo基合金から
なる垂直記録用薄膜が有望である。
増大や機器の小型化にともない、磁気記録媒体の高密度
化に対する要求は強まる一方である。これにより、従来
の塗布型の磁気記録媒体のみならず高密度記録に適した
合金薄膜型の磁気記録媒体が実用化されるに至ってい
る。この合金薄膜型の磁気記録媒体は、優れた短波長記
録再生特性を有し高密度記録に適している。合金薄膜型
の磁気記録媒体における磁性層としては、Co−O,C
o−Ni−O,Co−Ni−P,Co−Fe−O,Fe
−O等の面内記録用薄膜、およびCo−Cr,Co−C
r−Ni,Co−O,Co−Ni−O,Co−Cr−M
o,Co−Cr−W,Co−Cr−Nb,Co−Cr−
Ta,Co−V,Co−Cr−Al等のCo基合金から
なる垂直記録用薄膜が有望である。
【0003】最近、合金薄膜型の磁気記録媒体のうちで
も、記録再生特性をさらに改善するために、2層あるい
は3層以上に磁性層を積層したものが研究されるように
なってきた。この例としては、Co−OあるいはCo−
Ni−Oの薄膜積層型のものやCo−Cr膜上にCo−
O膜を積層したものなどがある。
も、記録再生特性をさらに改善するために、2層あるい
は3層以上に磁性層を積層したものが研究されるように
なってきた。この例としては、Co−OあるいはCo−
Ni−Oの薄膜積層型のものやCo−Cr膜上にCo−
O膜を積層したものなどがある。
【0004】以下に従来の技術の一例として、Co−C
r膜上にCo−O膜を積層した従来の磁気記録媒体の製
造方法について説明する。図2は従来の磁気記録媒体を
製造する真空蒸着装置の一例を示す図である。図2にお
いて、非磁性基板としての高分子基板1は、巻出しロー
ル2から巻出されて矢印Aの向きに円筒状キャン3の周
面上に沿って走行し、巻取りロール4に巻取られる。こ
の間、円筒状キャン3の周面上で、坩堝5に入ったCo
−Cr合金の蒸発源6より飛来した蒸発原子7が高分子
基板1の表面に付着してCo−Cr膜が第1の磁性層と
して形成される。そのとき蒸発原子7の高分子基板1へ
の入射角は、仕切り板8により初期入射角φiから終期
入射角φfまで連続的に変化する。ただし、初期入射角
φiおよび終期入射角φfはいずれも高分子基板1の垂直
方向と蒸発原子7の入射方向とのなす角度で、初期入射
時の角度をφi、終期入射時の角度がφfである。
r膜上にCo−O膜を積層した従来の磁気記録媒体の製
造方法について説明する。図2は従来の磁気記録媒体を
製造する真空蒸着装置の一例を示す図である。図2にお
いて、非磁性基板としての高分子基板1は、巻出しロー
ル2から巻出されて矢印Aの向きに円筒状キャン3の周
面上に沿って走行し、巻取りロール4に巻取られる。こ
の間、円筒状キャン3の周面上で、坩堝5に入ったCo
−Cr合金の蒸発源6より飛来した蒸発原子7が高分子
基板1の表面に付着してCo−Cr膜が第1の磁性層と
して形成される。そのとき蒸発原子7の高分子基板1へ
の入射角は、仕切り板8により初期入射角φiから終期
入射角φfまで連続的に変化する。ただし、初期入射角
φiおよび終期入射角φfはいずれも高分子基板1の垂直
方向と蒸発原子7の入射方向とのなす角度で、初期入射
時の角度をφi、終期入射時の角度がφfである。
【0005】次に、巻取りロール4に巻かれたCo−C
r膜形成後の高分子基板1aを一旦巻出しロール2に巻
戻した後、再度Co−Cr膜を形成した方法と同様の方
法で第2の磁性層としてのCo−O膜をCo−Cr膜上
に形成する。このとき、蒸発源6としてはCo金属を用
い、また蒸着時に酸素導入管9より酸素ガスを導入す
る。
r膜形成後の高分子基板1aを一旦巻出しロール2に巻
戻した後、再度Co−Cr膜を形成した方法と同様の方
法で第2の磁性層としてのCo−O膜をCo−Cr膜上
に形成する。このとき、蒸発源6としてはCo金属を用
い、また蒸着時に酸素導入管9より酸素ガスを導入す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図2の真空蒸着装置で
第2の磁性層のCo−O膜を作製する際、酸素を終期入
射側から導入しても、一部は初期入射側に回り込む。こ
のため、初期に形成されたCo−O膜では入射角が大き
くて蒸着速度が遅いので、非磁性の酸化層が厚く形成さ
れており、第1の磁性層と第2の磁性層との間の磁気的
な結合が弱くなり、十分優れた記録再生特性を示す磁気
記録媒体が得られなかった。
第2の磁性層のCo−O膜を作製する際、酸素を終期入
射側から導入しても、一部は初期入射側に回り込む。こ
のため、初期に形成されたCo−O膜では入射角が大き
くて蒸着速度が遅いので、非磁性の酸化層が厚く形成さ
れており、第1の磁性層と第2の磁性層との間の磁気的
な結合が弱くなり、十分優れた記録再生特性を示す磁気
記録媒体が得られなかった。
【0007】本発明は上記問題点を解決するもので、S
/N比の良好な記録再生特性に優れた磁気記録媒体の製
造方法を提供することを目的とする。
/N比の良好な記録再生特性に優れた磁気記録媒体の製
造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の磁気記録媒体の製造方法は、円筒状キャンの
円周面上を走行する非磁性基板上に第1の磁性層を形成
し、その第1の磁性層上にCoおよび酸素を成分とする
第2の磁性層を連続蒸着法により形成する磁気記録媒体
の製造方法において、前記第2の磁性層を形成する際、
窒素、Arのうち少なくとも一種類のガスを蒸発原子の
初期入射側近傍より導入し、酸素を終期入射側近傍より
導入することを特徴とする。
に本発明の磁気記録媒体の製造方法は、円筒状キャンの
円周面上を走行する非磁性基板上に第1の磁性層を形成
し、その第1の磁性層上にCoおよび酸素を成分とする
第2の磁性層を連続蒸着法により形成する磁気記録媒体
の製造方法において、前記第2の磁性層を形成する際、
窒素、Arのうち少なくとも一種類のガスを蒸発原子の
初期入射側近傍より導入し、酸素を終期入射側近傍より
導入することを特徴とする。
【0009】
【作用】この構成により、第2の磁性層であるCo−O
膜を作製する際、窒素、Arのうち少なくとも一種類の
ガスを初期入射側近傍より導入し、終期入射側近傍より
酸素を導入するため、できるだけ初期入射側近傍からは
遠いところから酸素を導入することになるので初期に形
成されたCo−O膜に酸素が回りにくく、Co−O膜の
形成初期の酸化層を薄くすることができて第1の磁性層
と第2の磁性層との磁気的結合が強くなる。また、形成
終期、すなわちCo−O膜の表面近傍での酸化層が厚く
なってCo−O膜の耐久性向上に役立つ。
膜を作製する際、窒素、Arのうち少なくとも一種類の
ガスを初期入射側近傍より導入し、終期入射側近傍より
酸素を導入するため、できるだけ初期入射側近傍からは
遠いところから酸素を導入することになるので初期に形
成されたCo−O膜に酸素が回りにくく、Co−O膜の
形成初期の酸化層を薄くすることができて第1の磁性層
と第2の磁性層との磁気的結合が強くなる。また、形成
終期、すなわちCo−O膜の表面近傍での酸化層が厚く
なってCo−O膜の耐久性向上に役立つ。
【0010】また、図2に示すような従来の連続蒸着法
においては、初期入射側では入射角が大きいため蒸着速
度が遅く、たとえ酸素の回り込みがわずかであっても、
蒸発原子は酸素と反応して酸化物となる可能性は大き
い。しかし、本発明のように、初期入射側近傍において
窒素、Ar等の不活性ガスを導入して初期入射側近傍を
不活性ガス雰囲気とすることにより、酸素のこの付近へ
の侵入を最小限とし、酸化層の形成を抑制する。したが
って、第2の磁性層の形成初期における酸化層が薄くな
り、第1の磁性層と第2の磁性層との磁気的結合が強固
なものとなって記録再生特性に優れた磁気記録媒体が得
られる。
においては、初期入射側では入射角が大きいため蒸着速
度が遅く、たとえ酸素の回り込みがわずかであっても、
蒸発原子は酸素と反応して酸化物となる可能性は大き
い。しかし、本発明のように、初期入射側近傍において
窒素、Ar等の不活性ガスを導入して初期入射側近傍を
不活性ガス雰囲気とすることにより、酸素のこの付近へ
の侵入を最小限とし、酸化層の形成を抑制する。したが
って、第2の磁性層の形成初期における酸化層が薄くな
り、第1の磁性層と第2の磁性層との磁気的結合が強固
なものとなって記録再生特性に優れた磁気記録媒体が得
られる。
【0011】
【実施例】次に、本発明の一実施例における磁気記録媒
体の製造方法を図面に基づいて説明する。
体の製造方法を図面に基づいて説明する。
【0012】図1は本発明の磁気記録媒体の製造方法を
実施する製造装置の一例を示す図である。図1におい
て、図2と異なるのは窒素導入管10を設けた点であ
る。第1の磁性層の形成は従来と同様であるのでここで
は説明を省略し、第2の磁性層のCo−O膜の形成につ
いて述べる。
実施する製造装置の一例を示す図である。図1におい
て、図2と異なるのは窒素導入管10を設けた点であ
る。第1の磁性層の形成は従来と同様であるのでここで
は説明を省略し、第2の磁性層のCo−O膜の形成につ
いて述べる。
【0013】第1の磁性層が形成された高分子基板1a
は、巻出しロール2から巻出されて矢印Aの向きに円筒
状キャン3の周面上に沿って走行し、巻取りロール4に
巻取られる。この間、円筒状キャン3の周面上で、坩堝
5に入ったCo金属の蒸発源6より飛来した蒸発原子7
が高分子基板1aの第1の磁性層の表面に付着してCo
−O膜が形成される。このとき蒸発原子7の高分子基板
1aへの入射角は、仕切り板8により、初期入射角φi
から終期入射角φfまで連続的に変化する。
は、巻出しロール2から巻出されて矢印Aの向きに円筒
状キャン3の周面上に沿って走行し、巻取りロール4に
巻取られる。この間、円筒状キャン3の周面上で、坩堝
5に入ったCo金属の蒸発源6より飛来した蒸発原子7
が高分子基板1aの第1の磁性層の表面に付着してCo
−O膜が形成される。このとき蒸発原子7の高分子基板
1aへの入射角は、仕切り板8により、初期入射角φi
から終期入射角φfまで連続的に変化する。
【0014】酸素導入管9および窒素導入管10からの
酸素および窒素ガスの導入方向としては、ほぼ蒸着原子
の入射方向と一致しているのがよい。この方向にガスを
導入すると、ガスは蒸発してきたCo原子の運動を妨げ
ず、Co原子は高いエネルギーのまま酸素原子と結合し
高分子基板1aに到達することができる。また窒素の導
入量としては、酸素の約3倍以下とするのが望ましい。
窒素を大量に導入すると、Co原子と窒素ガスとの衝突
が増大し、Co−O膜の柱状結晶粒が高分子基板1aの
垂直方向に成長し、強い垂直磁気異方性を有するCo−
O膜と成り易い。その場合、現在一般に用いられている
リング型磁気ヘッドを用いて記録再生すると、高出力は
得られない。なぜなら、リング型磁気ヘッドから漏れる
磁束の垂直方向の成分が小さいからである。
酸素および窒素ガスの導入方向としては、ほぼ蒸着原子
の入射方向と一致しているのがよい。この方向にガスを
導入すると、ガスは蒸発してきたCo原子の運動を妨げ
ず、Co原子は高いエネルギーのまま酸素原子と結合し
高分子基板1aに到達することができる。また窒素の導
入量としては、酸素の約3倍以下とするのが望ましい。
窒素を大量に導入すると、Co原子と窒素ガスとの衝突
が増大し、Co−O膜の柱状結晶粒が高分子基板1aの
垂直方向に成長し、強い垂直磁気異方性を有するCo−
O膜と成り易い。その場合、現在一般に用いられている
リング型磁気ヘッドを用いて記録再生すると、高出力は
得られない。なぜなら、リング型磁気ヘッドから漏れる
磁束の垂直方向の成分が小さいからである。
【0015】次に、図1に示す製造装置を用いた磁気記
録媒体の製造方法をより具体的に説明する。まず、本実
施例1のCo−Cr/Co−O2層膜からなる磁気記録
媒体を次のようにして作製した。円筒状キャン3の直径
が50cmのものを用い、高分子基板1としては、厚さ1
0μm、幅が500mmのポリイミド基板を用いた。ま
ず、真空装置内部を3.0×10-5Torrまで排気し
た後、蒸発源6としてCo−10wt%Cr合金を用
い、円筒状キャン3の温度は250℃、初期入射角φi
は70°、終期入射角φfは40°としてCo−Cr膜
を形成した。この時のCo−Cr膜形成速度は0.2μ
m/sec、形成されたCo−Cr膜の膜厚は0.1μ
m、飽和磁化は約450emu/ccであった。
録媒体の製造方法をより具体的に説明する。まず、本実
施例1のCo−Cr/Co−O2層膜からなる磁気記録
媒体を次のようにして作製した。円筒状キャン3の直径
が50cmのものを用い、高分子基板1としては、厚さ1
0μm、幅が500mmのポリイミド基板を用いた。ま
ず、真空装置内部を3.0×10-5Torrまで排気し
た後、蒸発源6としてCo−10wt%Cr合金を用
い、円筒状キャン3の温度は250℃、初期入射角φi
は70°、終期入射角φfは40°としてCo−Cr膜
を形成した。この時のCo−Cr膜形成速度は0.2μ
m/sec、形成されたCo−Cr膜の膜厚は0.1μ
m、飽和磁化は約450emu/ccであった。
【0016】この後、真空中で図1の矢印Aとは逆の方
向にCo−Cr膜を形成した高分子基板1aを走行さ
せ、巻取りロール4に巻取られた高分子基板1aを巻出
しロール2に巻直した。そして、蒸発源6にCoを用
い、円筒状キャン3の温度を100℃、初期入射角φi
は60°、終期入射角φfは30°として、Co−O膜
を作製した。円筒状キャン3の温度を100℃とするの
は、室温とするよりも保磁力のより大きい磁気記録媒体
が得られるためである。また、Co−O膜作製の際、酸
素導入管9から酸素を0.6l/min、窒素導入管1
0から窒素を0.3l/minで導入した。このときの
残留ガス圧は2.0×10-4Torr程度であった。残
留ガス圧は少なくとも3.0×10-4Torr以下に保
つのが望ましい。残留ガス圧が大きくなると、Co原子
とガス分子との衝突が増加し、垂直磁気異方性の強すぎ
るCo−O膜となるからである。高分子基板1aの搬送
速度を20m/minとし、蒸着速度は1μm/sec
で膜厚約0.15μmのCo−O膜を作製した。
向にCo−Cr膜を形成した高分子基板1aを走行さ
せ、巻取りロール4に巻取られた高分子基板1aを巻出
しロール2に巻直した。そして、蒸発源6にCoを用
い、円筒状キャン3の温度を100℃、初期入射角φi
は60°、終期入射角φfは30°として、Co−O膜
を作製した。円筒状キャン3の温度を100℃とするの
は、室温とするよりも保磁力のより大きい磁気記録媒体
が得られるためである。また、Co−O膜作製の際、酸
素導入管9から酸素を0.6l/min、窒素導入管1
0から窒素を0.3l/minで導入した。このときの
残留ガス圧は2.0×10-4Torr程度であった。残
留ガス圧は少なくとも3.0×10-4Torr以下に保
つのが望ましい。残留ガス圧が大きくなると、Co原子
とガス分子との衝突が増加し、垂直磁気異方性の強すぎ
るCo−O膜となるからである。高分子基板1aの搬送
速度を20m/minとし、蒸着速度は1μm/sec
で膜厚約0.15μmのCo−O膜を作製した。
【0017】次に、本実施例1と同様の方法で本実施例
1とは酸素および窒素の導入量を変えて本実施例2〜4
および比較例1,2の磁気記録媒体を作製した。ただし
比較例2は窒素を導入しない場合である。これらの磁気
記録媒体について、Co−O/Co−Cr2層膜の界面
の酸化層の厚みをオージェ電子分光により求めた。な
お、この場合の膜厚はSiのスパッタレートを基準にし
て求めている。また、これらの磁気記録媒体を8mm幅に
スリットして、市販のハイバンド8ミリデッキを用い輝
度信号S/N比の評価を行った。その測定結果を酸素お
よび窒素の導入量とともに(表1)に示す。
1とは酸素および窒素の導入量を変えて本実施例2〜4
および比較例1,2の磁気記録媒体を作製した。ただし
比較例2は窒素を導入しない場合である。これらの磁気
記録媒体について、Co−O/Co−Cr2層膜の界面
の酸化層の厚みをオージェ電子分光により求めた。な
お、この場合の膜厚はSiのスパッタレートを基準にし
て求めている。また、これらの磁気記録媒体を8mm幅に
スリットして、市販のハイバンド8ミリデッキを用い輝
度信号S/N比の評価を行った。その測定結果を酸素お
よび窒素の導入量とともに(表1)に示す。
【0018】
【表1】
【0019】(表1)から明らかなように、窒素の導入
量が増加するとともに界面の酸化層の厚みが減少する。
また、本実施例1〜4は比較例1,2に比べて3〜5d
B高いS/N比を有することがわかった。これは本実施
例の磁気記録媒体がCo−Cr層とCo−O層との界面
の非磁性の酸化層が薄く、両層の相互作用が大きいため
と考えられる。また比較例1の場合は、両層間の酸化層
が薄いにもかかわらず、S/N比が低い。これは、窒素
を大量に導入したため、蒸着部近傍の真空度が5.0×
10-4Torrまで悪くなっている。そのため、蒸発原
子とガス原子の衝突が増加し、柱状結晶粒が高分子基板
1aに対して垂直に成長し、垂直磁気異方性が強くなり
すぎたため、リング型磁気ヘッドによる記録再生に適さ
なくなったと考えられる。S/N比の高い磁気記録媒体
を作製するためには、蒸着部近傍の真空度は、3.0×
10-4Torr以下にするのが望ましい。
量が増加するとともに界面の酸化層の厚みが減少する。
また、本実施例1〜4は比較例1,2に比べて3〜5d
B高いS/N比を有することがわかった。これは本実施
例の磁気記録媒体がCo−Cr層とCo−O層との界面
の非磁性の酸化層が薄く、両層の相互作用が大きいため
と考えられる。また比較例1の場合は、両層間の酸化層
が薄いにもかかわらず、S/N比が低い。これは、窒素
を大量に導入したため、蒸着部近傍の真空度が5.0×
10-4Torrまで悪くなっている。そのため、蒸発原
子とガス原子の衝突が増加し、柱状結晶粒が高分子基板
1aに対して垂直に成長し、垂直磁気異方性が強くなり
すぎたため、リング型磁気ヘッドによる記録再生に適さ
なくなったと考えられる。S/N比の高い磁気記録媒体
を作製するためには、蒸着部近傍の真空度は、3.0×
10-4Torr以下にするのが望ましい。
【0020】以上は窒素を用いる場合について述べた
が、窒素の代りに窒素導入管10からArなどの不活性
ガスを用いても同様の効果がある。また本実施例では、
第2の磁性層としてはCo−O膜を作製する場合につい
て説明したが、Co−Ni−O膜についてもほぼ同様に
本発明は有効である。第1の磁性層としてはCo−Cr
膜を作製する場合について説明したが、Co−Cr−N
i,Co−O,Co−Ni−Oを用いる場合もほぼ同様
である。高分子基板1としてはポリイミド基板を用いる
場合について説明したが、ポリエチレンテレフタレート
基板、ポリアミド基板またはポリエチレンナフタレート
基板を用いる場合についても本発明は有効である。
が、窒素の代りに窒素導入管10からArなどの不活性
ガスを用いても同様の効果がある。また本実施例では、
第2の磁性層としてはCo−O膜を作製する場合につい
て説明したが、Co−Ni−O膜についてもほぼ同様に
本発明は有効である。第1の磁性層としてはCo−Cr
膜を作製する場合について説明したが、Co−Cr−N
i,Co−O,Co−Ni−Oを用いる場合もほぼ同様
である。高分子基板1としてはポリイミド基板を用いる
場合について説明したが、ポリエチレンテレフタレート
基板、ポリアミド基板またはポリエチレンナフタレート
基板を用いる場合についても本発明は有効である。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
磁気記録媒体の製造方法は、第2の磁性層の形成時に蒸
発原子の初期入射側から窒素等の不活性ガスを、また終
期入射側から酸素をそれぞれ導入することにより、第2
の磁性層と第1の磁性層の界面の酸化層を薄くできるの
で磁性層間の磁気的な相互作用を大きくすることがで
き、S/N比が良好で優れた記録再生特性を有する磁気
記録媒体が製造できる有用性の高いものである。
磁気記録媒体の製造方法は、第2の磁性層の形成時に蒸
発原子の初期入射側から窒素等の不活性ガスを、また終
期入射側から酸素をそれぞれ導入することにより、第2
の磁性層と第1の磁性層の界面の酸化層を薄くできるの
で磁性層間の磁気的な相互作用を大きくすることがで
き、S/N比が良好で優れた記録再生特性を有する磁気
記録媒体が製造できる有用性の高いものである。
【図1】本発明の一実施例における磁気記録媒体の製造
方法を実施する製造装置の概略図
方法を実施する製造装置の概略図
【図2】従来の磁気記録媒体の製造装置の概略図
1,1a 高分子基板 3 円筒状キャン 7 蒸発原子 9 酸素導入管 10 窒素導入管 φi 初期入射角 φf 終期入射角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 達朗 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】円筒状キャンの円周面上を走行する非磁性
基板上に第1の磁性層を形成し、その第1の磁性層上に
Coおよび酸素を成分とする第2の磁性層を連続蒸着法
により形成する磁気記録媒体の製造方法において、前記
第2の磁性層を形成する際、窒素、Arのうち少なくと
も一種類のガスを蒸発原子の初期入射側近傍より導入
し、酸素を終期入射側近傍より導入することを特徴とす
る磁気記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33651091A JPH05166184A (ja) | 1991-12-19 | 1991-12-19 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33651091A JPH05166184A (ja) | 1991-12-19 | 1991-12-19 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05166184A true JPH05166184A (ja) | 1993-07-02 |
Family
ID=18299878
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33651091A Pending JPH05166184A (ja) | 1991-12-19 | 1991-12-19 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05166184A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009235545A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Toray Ind Inc | 金属酸化物薄膜形成装置ならびに金属酸化物薄膜付きシートの製造方法 |
-
1991
- 1991-12-19 JP JP33651091A patent/JPH05166184A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009235545A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Toray Ind Inc | 金属酸化物薄膜形成装置ならびに金属酸化物薄膜付きシートの製造方法 |
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