JPH05165142A - 感光体 - Google Patents

感光体

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JPH05165142A
JPH05165142A JP33724791A JP33724791A JPH05165142A JP H05165142 A JPH05165142 A JP H05165142A JP 33724791 A JP33724791 A JP 33724791A JP 33724791 A JP33724791 A JP 33724791A JP H05165142 A JPH05165142 A JP H05165142A
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JP
Japan
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photosensitive
compound
photosensitive groups
polymer
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JP33724791A
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English (en)
Inventor
Masamitsu Uehara
正光 上原
Makoto Taniguchi
谷口  誠
Kazuhiko Kitamura
和彦 北村
Isao Mizuma
功 水間
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】複数種類の感光基を高分子の側鎖あるいは主鎖
に導入した感光体を画像形成装置の像形成体に用いるこ
とにより、感光基の光異性化による像形成体表面の濡れ
性の変化を段階的に調節し、使用インクに対する最適な
濡れ性を実現する。 【構成】高分子の一般構造が下記の化合物1であるよう
な感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感光体に関する。更に
詳細には、特定波長の光照射によって、双極子モーメン
ト、濡れ性、吸収スペクトル等の物性変化が制御可能な
感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平1ー255857号公報には、光
照射に伴う可逆的な異性化によって濡れ性を変化させる
物質(以下、「光可逆性異性化物質」という)を含んで
構成された像形成体に、露光と現像を行い、像形成体の
表面にインクを選択的に付着させ、このインク画像を記
録媒体に転写、定着して印刷物を作成する画像形成装置
が記載されている。該画像形成体に用いるには、アゾベ
ンゼン系、スピロピラン系、スピロオキサジン系等の光
可逆性異性化物質をポリアクリレート、ポリメチルメタ
クリレート、ポリスチレンのような高分子中に分散させ
ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の画像形
成装置では像形成体のインクに対する濡れ性の微調節が
難しく、広範囲のインクを画像形成装置に用いることが
できなかった。また、光可逆性異性化物質の光異性化状
態が不安定で、印刷物が不鮮明であるという技術課題が
あった。よって、以上のような技術課題を解決するため
に、本発明の目的とするところは、複数種類の感光基の
光異性化を制御することにより、光異性化により生じる
濡れ性を段階的に調節し、使用インクに対して最適の濡
れ性を実現させるもので、従来よりも広範囲のインクの
使用を可能にする。さらに、感光基を高分子構造中に導
入することにより光異性化状態を安定化させることにも
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の感光体は、下記
(1)、(2)、(3)または(4)であることを特徴
とする。即ち、 (1)高分子の一般構造が化合物1
【0005】
【化5】
【0006】(構造中の符号2,3は、異なる感光基を
示す。構造に示した感光基は2種類であるが、2種類以
上の感光基がある場合も本発明に含有される。)のよう
な、複数種類の感光基を高分子側鎖に含むことを特徴と
する。
【0007】(2)高分子の一般構造が化合物2
【0008】
【化6】
【0009】(構造中の符号2,3は、異なる感光基を
示す。構造に示した感光基は2種類であるが、2種類以
上の感光基がある場合も本発明に含有される。)のよう
な、複数種類の感光基を高分子主鎖に含むことを特徴と
する。
【0010】(3)高分子の一般構造が化合物3
【0011】
【化7】
【0012】(構造中の符号2,3は、異なる感光基を
示す。構造に示した感光基は2種類であるが、2種類以
上の感光基がある場合も本発明に含有される。)のよう
な、複数種類の感光基を含む化合物を、高分子側鎖に含
むことを特徴とする。
【0013】(4)高分子の一般構造が化合物4
【0014】
【化8】
【0015】(構造中の符号2,3,7は、異なる感光
基を示す。構造に示した感光基は3種類であるが、3種
類以上の感光基がある場合も本発明に含有される。)の
ような、複数種類の、感光基を含むモノマーのブロック
共重合体で表されることを特徴とする。
【0016】
【作用】本発明の上記構成によれば、特定波長の光照射
にともなう感光基の可逆的な異性化によって、双極子モ
ーメント、濡れ性、吸収スペクトル等の物性変化の微調
節が可能になる。また、本発明の感光体を画像形成装置
に応用すると、複数種類の感光基の光異性化を制御する
ことにより、光異性化により生じる濡れ性を段階的に調
節し、使用インクに対して最適の濡れ性を実現させ、広
範囲のインクの使用を可能にする。さらに、感光基を高
分子構造中に導入することにより光異性化状態を安定化
させることができる。
【0017】
【実施例】
実施例−1 図1は、本発明における感光体を示す第1の基本構成図
である。該感光体1は感光基2及び3を側鎖に含んでい
る。ここでは、2種類の感光基を高分子側鎖に導入して
いるが、2種類以上の更に他の種類の感光基を側鎖に導
入してもよい。また、感光基2と3の配列は交互あるい
はランダムであってもよい。
【0018】感光基2、3としては、濡れ性変化を伴う
光異性化が可能であれば特に制限はないが例えば、シス
ートランス異性化分子であるアゾベンゼン系、スチルベ
ン系化合物誘導体、開ー閉環異性化分子であるスピロピ
ラン系、スピロオキサジン系、フルギド系化合物誘導
体、あるいはニトロベンジル、トリフェニルメタノー
ル、インジゴ、ジヒドロプレン、アニル化合物等が適宜
用いられる。また、高分子主鎖としては、側鎖の感光基
の光異性化が可能であれば特に制限はないが例えば、ポ
リメタクリレートとその誘導体、ポリスチレン、ポリセ
ルロースとその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリエ
ステル、フェノキシ樹脂、ポリウレタン等の高分子を適
宜用いればよい。
【0019】感光体1の合成方法としては第1に、感光
基とビニル基とを含むモノマーの共重合がある。水酸基
あるいはアミノ基をもつ感光基と、アクリル酸クロリド
のような酸クロリド系のビニル基をもつモノマーとの反
応で感光基とビニル基とを構造中にもつモノマーを合成
する。次に、適当な溶媒中で重合開始剤を加えてモノマ
ーの共重合反応により合成する。また、複数種類の感光
基を含む高分子が本発明の感光体の条件であるから、モ
ノマーの重合時には、感光基を含まないモノマーを混合
して共重合してもよく、該高分子を合成した場合も本発
明に含有される。
【0020】第2の方法としては、高分子と感光基との
反応により感光基を高分子側鎖に導入する方法である。
例えば、ポリアクリル酸クロリドあるいはポリメタクリ
ル酸クロリドのように酸クロリド基を側鎖に有するポリ
マーと水酸基あるいはアミノ基を有する感光基との反応
により、エステル結合あるいは酸アミド結合を生成させ
て、感光基を側鎖に導入する方法がある。また、ポリア
クリル酸、ポリメタクリル酸のようにカルボキシル基を
側鎖に有するポリマーと水酸基有する感光基との脱水反
応によりエステル結合生成させる方法、ポリメタクリル
酸メチルと水酸基を有する感光基とのエステル交換反応
により感光基を側鎖に導入する方法がある。 本実施例
の高分子の具体的な一構造が化合物5である。
【0021】
【化9】
【0022】化合物5は、アミノアゾベンゼン(化合物
6)と1、3、3ートリメチルインドリノー6’ーニト
ロースピロベンゾピラン(化合物7)を高分子側鎖に導
入した。化合物6,化合物7の構造を次に示す。
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】化合物5は、p−フェニルアゾアクリルア
ニリド(化合物8)と1、3、3ートリメチルインドリ
ノー6’ーニトロー8’ーアクリロイルオキシメチルス
ピロベンゾピラン(化合物9)の共重合で合成した。化
合物8,化合物9の構造を次に示す。
【0026】
【化12】
【0027】
【化13】
【0028】化合物8、9及び5の合成法を示す。化合
物8は、47.34g(0.24mol)のp−アミノ
アゾベンゼンと29.14g(0.288mol)のト
リエチルアミンを240mlの酢酸エチルに溶解し、こ
こに26.07g(0.288mol)のアクリル酸ク
ロリドを滴下することにより合成した。反応液を濃縮、
濾過、水洗することにより、約40gの粗製物を得た。
粗製物をエタノールー水の1:1混合溶媒で2回再結晶
し、約21gの化合物8の精製物を得た。前記精製物の
赤外吸収スペクトルにおいて、第2級酸アミドの吸収ピ
ークが1650cm-1及び1550cm-1付近に確認で
きることで、精製物が化合物8であることは明らかであ
る。また、化合物8は通常トランス体構造で安定化し3
50nm付近の光照射により光異性化しシス体構造をと
る。シス体構造に対して、450nm以上の光を照射す
ることにより、トランス体に異性化した。
【0029】化合物9の合成は、まず1、3、3ートリ
メチルインドリノー6’ーニトロー8’ークロロメチル
スピロベンゾピランの合成を行なった。79.77g
(0.37mol)の3ークロロメチルー5ーニトロサ
リチルアルデヒドと64.12g(0.37mol)の
1、3、3ートリメチルー2ーメチレンインドリンをベ
ンゼン中で還流温度で約5時間反応させた。その間に生
成する水は共沸により除いた。反応液を水酸化ナトリウ
ム水溶液で洗い、さらに水で洗った後、減圧下でベンゼ
ンを留去した。得られた生成物をシクロヘキサンから再
結晶することにより78.7gの1,3,3−トリメチ
ルインドリノー6’ーニトロー8’ークロロメチルスピ
ロベンゾピランの灰色粉末を得た。次に、74.17g
(0.20mol)の1,3,3−トリメチルインドリ
ノー6’ーニトロー8’ークロロメチルスピロベンゾピ
ランと31.97g(0.34mol)のアクリル酸ナ
トリウムとアセトンと水との混合溶媒溶媒中で還流下に
4時間反応させた。反応液から減圧で低沸点物を留去
し、残留物を500mlのベンゼンで2回抽出した。ベ
ンゼン溶液を5%の炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さ
らに水で2回洗浄してから無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。乾燥したベンゼン溶液から減圧でベンゼンを留去
し、残留物をジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶
液を減圧で乾固することにより約68gの化合物9を得
た。赤外吸収スペクトルにより第2級酸アミドの吸収ピ
ークを1650cm-1及び1550cm-1を確認し、前
記抽出物が化合物9であることを確認した。化合物9は
通常閉環体で安定化し、300nm付近の光で異性化し
開環体構造をとり、開環体に600nm付近の光を照射
することにより閉環体に異性化した。
【0030】前記のように合成された化合物8と化合物
9の共重合により化合物5を合成した。12.56g
(0.05mol)の化合物8と20.32g(0.0
5mol)の化合物9、これに対し1mol%のAIB
NをDMF溶媒に溶かし、冷却脱気と窒素置換を5回繰
り返してから、60℃で20時間重合した。反応液をメ
タノールに注ぎポリマー沈澱を濾取し、DMFに溶解し
メタノールで再沈澱という操作を3回繰り返して約5g
のポリマー(化合物5)を得た。化合物5の分子量は、
約3万。
【0031】実施例−2 図2は、本発明の感光体の第2の基本構造である。感光
体4は、感光基2、3を主鎖中に含む高分子である。こ
こでは、2種類の感光基を高分子主鎖に導入している
が、2種類以上の更に他の種類の感光基を主鎖に導入し
て効果を上げてもよい。感光基2と3の配列は、交互あ
るいはランダムであってもよい。
【0032】感光体4の合成法は、例えば2つのビニル
基を構造中にもつ感光基の共重合で合成される。本実施
例の感光体の具体的な一構造が化合物10である。化合
物10は、化合物11と化合物12の共重合体として得
られた。化合物11は、4、4’ージビニルアゾベンゼ
ンでアゾベンゼンの両パラ位にビニル基を有している。
化合物12は1、2ージ(2、5ジメチルフリル)ーエ
テンで、ビニル基を有するフリルエテン系の化合物であ
る。
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】化合物11の合成法を示す。パラーニトロ
スチレン7g(0.047mol)、12M水酸化ナト
リウム水溶液15mlおよびエタノール90mlの混合
物を加え、還流しながら亜鉛粉末25g(0.39mo
l)をゆっくり加えた。加え終わったら30分間還流を
続けた。還流の後、熱い反応混合物を濾別し、このとき
濾液を大量の冷水中に落とした。冷水中には、ゴム状の
沈澱が生成した。この沈澱を濾別、乾燥、さらに120
℃/2mmHgで昇華させ、生成物をエタノールで再結
晶して、約1gの化合物11を得た。前記再結晶物のエ
タノール溶液の紫外可視吸収スペクトルにおいて、アゾ
結合の存在を示す吸収ピークが350nm付近に確認出
来た。さらに、前記再結晶物のガスクロマトグラフィー
のマススペクトル分析において分子量234を確認した
ことにより、前記抽出物は明らかに化合物11である。
化合物11は通常トランス体で安定化し、350nm付
近の光照射によりシス体に異性化した。シス体は450
nm以上の光照射でトランス体に異性化した。
【0037】化合物12(2、3ージ(2,5ジメチル
フリル)ーブタジエン)の合成法を示す。窒素雰囲気
下、2,5ージメチルフラン85g(0.88mol)
及び無水酢酸105g(1.0mol)のベンゼン10
00mlの溶液に、0℃で5時間かけて塩化スズ(無
水)226g(0.87mol)を滴下した。その後、
2〜3時間0℃で撹拌した後、反応溶液を1N希塩酸5
00mlと大量の氷中に入れ撹拌した。ベンゼン層を分
けとり、水300mlで洗い、無水硫酸マグネシウムで
脱水した。ベンゼンを留去して得られた黄色の液体をさ
らに、60℃/2mmHgで減圧蒸留して無色の液体
(3ーアセチルー2、5ージメチルフラン)95g、収
率80%を得た。
【0038】次に、窒素雰囲気下、亜鉛粉末43.1g
(0.66mol)をTHF300mlに加え−10℃
以下で撹拌し、前記3ーアセチルー2、5ージメチルフ
ラン31g(o.22mol)のTHF溶液150ml
を滴下し、さらに四塩化チタン36.3g(0.33m
ol)をゆっくり加えた。滴下終了後0℃で2時間撹拌
した。反応溶液を10%炭酸カリウム水溶液1000m
lに注ぎ、エーテル200mlで4回抽出を行なった。
有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、エーテルを留去
した。得られた淡黄色オイル状生成物をベンゼンでカラ
ム処理し、第2留分を分取し、濃縮した。この成分をベ
ンゼン溶媒でTLCに展開しRf値0.5以下の成分を
分取し、2、3ージ(2、5ージメチルフリル)ー2、
3ーブタジオールが得られた。
【0039】前記2、3ージ(2、5ージメチルフリ
ル)ー2、3ーブタジオール500mgに硫酸水素カリ
ウム10mgを入れ、減圧下で撹拌しながら100℃に
加熱した。100℃で1時間保った後、残留の生成物を
エーテル30mlに溶かし、濾過して硫酸水素カリウム
を除去する。有機層を水40mlで洗浄後、無水硫酸ナ
トリウムで脱水する。エーテルを留去し得られた油状生
成物を、ヘキサンによりシリカゲルカラム処理して無色
油状の化合物12(2、3ージ(2,5ジメチルフリ
ル)ーブタジエン)を得た。収率5%。ガスクロマトグ
ラフィーのマススペクトル分析において分子量242を
確認し、化合物12を同定した。化合物12は、通常は
開環状態で安定化し、313nm付近の光照射により閉
環体に光異性化する。閉環体は450nm付近の光照射
により開環体に可逆的に光異性化する。
【0040】以上合成された化合物11と、化合物12
の共重合で化合物10を得た。4、4’ージビニルアゾ
ベンゼン2.34g(0.01mol)(化合物11)
と、2、3ージ(2,5ジメチルフリル)ーブタジエン
2.42g(0.01mol)(化合物12)、さらに
重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)0.098g(0.0005mol)を脱気管に仕
込み、真空ラインで脱気した後、60℃で24時間共重
合させた。生成した高分子を少量のベンゼンに溶解さ
せ、メタノールに滴下して再沈澱させ、化合物10を得
た。収量1.2g。収率25%。分子量、約2万。
【0041】実施例−3 図3は、本発明の感光体の第3の基本構造である。感光
体5は、感光基2と感光基3を含む化合物を側鎖に含む
高分子8である。ここでは、2種類の感光基を高分子側
鎖に導入しているが、2種類以上の更に他の種類の感光
基を側鎖に導入して効果を上げてもよい。
【0042】感光体8の合成法としては、感光基2と3
を構造中に含みさらにビニル基を有する構造のモノマー
の重合によって得られる。重合の際には、感光基2と3
を含むモノマーの他に、感光基を含まないモノマーを混
合させ共重合させてもよく、共重合によって合成された
感光性高分子も本発明に含有される。
【0043】本実施例の感光体の具体的な一構造が、化
合物13である。化合物13は、化合物14の重合によ
って合成した。分子量、約2万。
【0044】
【化17】
【0045】
【化18】
【0046】化合物14の合成方法を簡単に説明する。
まず、エタノール等の溶媒中、0〜5℃でp−アミノ安
息香酸のアミノ基をジアゾ化し、ジアゾニウム塩を合成
した。該ジアゾニウム塩とアニリンとのジアゾカップリ
ング反応を行い、化合物15を合成した。ガスクロマト
グラフィーのマススペクトル分析において分子量241
を確認し化合物15を同定した。ここで、前記化合物9
の合成段階で得られた1、3、3ートリメチルインドリ
ノー6’ーニトロー8’ークロロメチルスピロベンゾピ
ラン(化合物16)と化合物15とを1,4−ジオキサ
ン等の適当な溶媒中で加熱還流し脱塩酸反応をさせる。
約1時間以上還流させると、化合物17を生成した。化
合物17は、赤外吸収スペクトルにおけるエステル結合
のピーク(1720cm-1)の確認及び元素分析によっ
て同定した。元素分析結果を以下に示す。
【0047】
【0048】
【化19】
【0049】
【化20】
【0050】
【化21】
【0051】ここで、前記化合物8の合成方法と同様
に、アクリル酸クロリドと化合物17のアミノ基との酸
アミド縮合反応により、化合物14を合成した。化合物
14の同定は赤外吸収スペクトルの酸アミド結合のピー
クである1650cm-1及び1550cm-1の確認によ
り行った。
【0052】実施例−4 図4は、本発明の感光体の第4の基本構造である。感光
体6は、感光基2を含むモノマー、感光基3を含むモノ
マーと感光基7を含むモノマーのブロック共重合体で構
成されている。ここでは、3種類の感光基を高分子側鎖
に導入しているが、3種類以上であれば何種類の感光基
を含むモノマーを共重合させて感光体を合成してもよ
い。また、共重合の際に感光基を含まないモノマーをブ
ロック配列に組み込んでもよく、感光基を含まないモノ
マーを取り入れた高分子も本発明に含有される。本実施
例の感光体の合成方法として、2種類のモノマーを用い
た場合を簡単に説明する。前記、化合物8と化合物9を
用いることにより、本実施例の化合物18を合成するこ
とが出来た。化合物18の構造を示す。
【0053】
【化22】
【0054】始めに、n−ブチルリチウム等を重合開始
剤として、化合物8をTHFあるいは1,4−ジオキサ
ン等の溶媒中で数時間重合させた。前記重合反応溶液
に、化合物9の1,4−ジオキサン溶液を加え、再び数
時間重合させた。重合の終了は、メタノール等の沈澱剤
に流し込むことで行ない、化合物8と化合物9のブロッ
ク共重合体を合成した。前記ブロック共重合体を乾燥
後、THFに溶かしメタノールに流し込み沈澱させる操
作を3回繰り返して精製を行なった。分子量、約2万〜
3万。また、化合物8と化合物9の重合反応の後に、更
に他の種類の感光基を含むモノマーの溶液を加えて重合
反応を行うことにより、3種類以上の感光基を含むブロ
ック共重合体を合成することが可能である。
【0055】ここで、本発明の感光体の光異性化の可逆
的な制御の方法を、実施例−1の感光体を例に説明す
る。この説明は、実施例1,2,3及び4の感光体に適
用され、感光基の配列には関係しない。本発明の感光体
1は、特定波長の光照射により可逆的に異性化し、高分
子の物性を可逆的に制御するものである。制御の方法と
しては照射波長、強度、照射時間、さらには感光基の種
類、感光基のモル比の選択によって行う。
【0056】光異性化の波長の制御による塗れ性の制御
の方法を簡単に説明する。ここでは、感光基2と感光基
3は1:1の比率で感光体1中に含まれている場合で、
感光基2による塗れ性の変化は感光基3による変化より
も大きい場合を説明する。ただし、ここで取り上げる感
光基2、3と感光体1の性質が本発明で使用可能な感光
基および感光体を限定するものではない。感光基2は、
λ1波長の光照射により通常安定なA構造からB構造に
異性化し、塗れ性が大きくなり、さらにλ2波長の光照
射によりB構造からA構造に可逆的に異性化する性質
で、具体的には例えばアゾベンゼン系化合物などが対応
する。感光基3は、λ3波長の光照射により通常安定な
C構造からD構造に異性化し塗れ性が大きくなり、さら
にλ4波長の光照射によりB構造からC構造に可逆的に
異性化する。
【0057】
【数1】
【0058】以上ような性質の感光基2、3を側鎖に含
む感光体1を用いた場合は、λ1、λ3の波長の光照射
により感光基2、3をそれぞれB,D構造に光異性化さ
せ、塗れ性の変化が感光基2による変化よりも小さく、
感光基3による変化よりも大きいような、感光基2と感
光基3の中間的な塗れ性の変化を実現できる。光異性化
した感光基2、3はλ2、λ4波長の光照射により可逆
的にA,B構造に戻り、塗れ性を小さくする。ここでλ
1、λ2、λ3及びλ4の波長は同じあるいは異なって
いてもよい。
【0059】例えば、本実施例1における化合物5にお
いては、λ1が350nm付近の紫外光であれば高分子
側鎖のアゾベンゼンがトランス体からシス体に光異性化
し、λ3が300nmであればスピロベンゾピランが閉
環体から開環体に光異性化した。次に450nmのλ2
によりアゾベンゼンはシス体からトランス体に光異性化
し、600nmのλ4によりスピロベンゾピランは開環
体から閉環体に光異性化した。
【0060】また、感光基2、3の含有比率の変化、λ
1、λ2波長の光照射時間、強度の変化で更に段階的な
塗れ性変化が実現できる。以上のような性質から、本発
明の感光体は特開平1ー255857号記載の画像形成
装置の像形成体として利用することが出来た。
【0061】ここで、特開平1ー255587号記載の
画像形成装置を図5を用いて簡単に説明する。基体8上
に本発明の感光体を塗布してなる像形成体9は、円筒形
をなすドラムであり、矢印10の方向へ回転駆動され
る。像形成体9は、露光器11による選択的露光によっ
て感光基が光異性化し、像形成体9上に潜像が形成され
る。形成された潜像は、現像装置12を通過するときに
インク13によって顕像化された。この場合は、選択的
露光により光異性化された潜像14部分の塗れ性が、非
露光部分よりも大きくなるような感光体を用いたため、
選択的な露光部分14のみに選択的に極性のインクが付
着した。しかし、これは本発明を限定するものではなく
選択的露光により光の照射部分の塗れ性が小さくなるよ
うな感光体を光可逆異性化層に用いてもよい。
【0062】したがって、露光器11の選択的露光によ
って、ネガ像を得る場合はインクを極性溶媒とし、ポジ
像を得る場合にはインクを非極性溶媒にすればよい。こ
こで、現像装置12は、インク供給器15とインクカー
トリッジ16とから構成されており、インク13は複数
のローラおよびローラ面の粗さによってインク厚を調整
て像形成体9の表面に供給される。そしてこの像形成体
9は、像形成体9と同期して移動している記録媒体17
と接触し、圧力定着機18によって、インク画像が像形
成体9から記録媒体17に転写、定着され、非常に鮮明
な印刷物得た。転写を終えた像形成体9は、表面の未転
写インクをクリーニング装置19によって除去された。
その後、像形成体9は、イレーズランプ20の光照射に
よって可逆的に光異性化し、露光器11による光照射前
の状態に戻された。
【0063】本発明の感光体を前記のような画像形成体
装置に利用する際には、感光体を適当な溶媒に分散させ
たものを基体8上に塗布、吹き付けるなどの処理を行な
うことにより用いることができた。さらに、像形成体9
中に有機ニッケル錯体、ヒンダートアミン系、ビスセバ
ケート系等の分光増感剤や、可逆的または不可逆的の連
鎖反応のトリガ−材料を混入させてもよい。あるいは、
感光体の構造中に、分光増感剤のような光異性化を起こ
さないさらに他の種類の感光基を導入して、照射光のエ
ネルギー吸収率を大きくして、その効果で、感光基の光
異性化を効果的に行なってもよい。
【0064】また、感光基の光異性化波長を個々に制御
することにより、メモリー等に応用することもできる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、複数の感光基を側
鎖あるいは主鎖に含む感光体は、特定波長の光照射にと
もなう感光基の可逆的な異性化によって、1種類の感光
基では出し得なかった物性値、例えば濡れ性、表面張力
等を段階的に制御することが可能になる。また、感光基
を高分子の構造中に導入したことにより光異性化状態
が、格段に向上した。よって、このような利点を生かし
て画像形成装置の像形成体に応用したところ、像形成体
表面の濡れ性がインクに対して最適値を取ることが可能
になり、非常に美しい印刷物が得られた。さらに、像形
成体表面の濡れ性の制御によって、これまでは使用でき
なかったインクに対しても最適な濡れ性を実現し、画像
形成装置での使用を可能にするものである。
【0066】以上の画像形成装置への応用の他に、感光
基の光異性化を感光基の種類毎に制御することにより、
光メモリーでの多重記録を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1記載の感光体の基本構造を示
した図。
【図2】本発明の請求項2記載の感光体の基本構造を示
した図。
【図3】本発明の請求項3記載の感光体の基本構造を示
した図。
【図4】本発明の請求項4記載の感光体の基本構造を示
した図。
【図5】本発明による実施例で、画像形成装置を示した
図。
【符号の説明】
9 像形成体 11 露光器 12 現像装置器 17 記録媒体 19 クリーニング装置 20 イレーズランプ
フロントページの続き (72)発明者 水間 功 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子の一般構造が化合物1 【化1】 (構造中の符号2,3は、異なる感光基を示す。構造に
    示した感光基は2種類であるが、2種類以上の感光基が
    ある場合も本発明に含有される。)のような、複数種類
    の感光基を高分子側鎖に含むことを特徴とする感光体。
  2. 【請求項2】高分子の一般構造が化合物2 【化2】 (構造中の符号2,3は、異なる感光基を示す。構造に
    示した感光基は2種類であるが、2種類以上の感光基が
    ある場合も本発明に含有される。)のような、複数種類
    の感光基を高分子主鎖に含むことを特徴とする感光体。
  3. 【請求項3】高分子の一般構造が化合物3 【化3】 (構造中の符号2,3は、異なる感光基を示す。構造に
    示した感光基は2種類であるが、2種類以上の感光基が
    ある場合も本発明に含有される。)のような、複数種類
    の感光基を含む化合物を、高分子側鎖に含むことを特徴
    とする感光体。
  4. 【請求項4】高分子の一般構造が化合物4 【化4】 (構造中の符号2,3,7は、異なる感光基を示す。構
    造に示した感光基は3種類であるが、3種類以上の感光
    基がある場合も本発明に含有される。)のような、感光
    基を含むモノマーのブロック共重合体で表されることを
    特徴とする感光体。
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