JPH05156595A - ネット付き炭素繊維シートおよびその製造方法 - Google Patents
ネット付き炭素繊維シートおよびその製造方法Info
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- JPH05156595A JPH05156595A JP3325486A JP32548691A JPH05156595A JP H05156595 A JPH05156595 A JP H05156595A JP 3325486 A JP3325486 A JP 3325486A JP 32548691 A JP32548691 A JP 32548691A JP H05156595 A JPH05156595 A JP H05156595A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 取扱が極めて容易であり、通常の作業では破
れや気相成長炭素繊維の脱落がなく、またバインダーの
使用を省くことにより後加工の際における汚染等の問題
も生じない、電気や化学分野等で有用な炭素繊維シート
の製造方法を提供する。 【構成】 炭素繊維シートは、直径が0.01〜5μm
で有り、平均アスペクト比が2〜3,000である気相
成長炭素繊維で形成されるシートの片面または両面に2
0メッシュ以上のネットが、その目の中に前記気相成長
炭素繊維の少なくとも一部が食い込むように積層されて
なるこのシートの製造方法は、(イ)80メッシュ以上
のネット上に、直径が0.01〜5μmであり、平均ア
スペクト比が2〜3,000である気相成長炭素繊維の
分散した溶液を供給し、重力または吸引力により、前記
溶液のみをネット越しに除去する、(ロ)製造方法
(イ)で得られた炭素繊維シートのもう一つの片面に2
0メッシュ以上のネットを重ね合わせ、押圧する。
れや気相成長炭素繊維の脱落がなく、またバインダーの
使用を省くことにより後加工の際における汚染等の問題
も生じない、電気や化学分野等で有用な炭素繊維シート
の製造方法を提供する。 【構成】 炭素繊維シートは、直径が0.01〜5μm
で有り、平均アスペクト比が2〜3,000である気相
成長炭素繊維で形成されるシートの片面または両面に2
0メッシュ以上のネットが、その目の中に前記気相成長
炭素繊維の少なくとも一部が食い込むように積層されて
なるこのシートの製造方法は、(イ)80メッシュ以上
のネット上に、直径が0.01〜5μmであり、平均ア
スペクト比が2〜3,000である気相成長炭素繊維の
分散した溶液を供給し、重力または吸引力により、前記
溶液のみをネット越しに除去する、(ロ)製造方法
(イ)で得られた炭素繊維シートのもう一つの片面に2
0メッシュ以上のネットを重ね合わせ、押圧する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素繊維シートおよびそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは、ネットが積層され
ることによって取扱が極めて容易な炭素繊維シートおよ
びその製造方法に関する。
の製造方法に関し、さらに詳しくは、ネットが積層され
ることによって取扱が極めて容易な炭素繊維シートおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする技術的課
題】気相成長炭素繊維は、炭化水素ガスの熱分解によっ
て得られるという、これまでの炭素繊維とは全く異なっ
た製法で作られること、その結晶構造が理想的な黒鉛に
近い上に年輪状の構造を有するので、他の炭素繊維より
もはるかに優れた機械的、電気的性質および触媒担持能
力を備えていること、などの特徴があるので、近年、炭
素繊維に関する技術分野で脚光を浴びている。
題】気相成長炭素繊維は、炭化水素ガスの熱分解によっ
て得られるという、これまでの炭素繊維とは全く異なっ
た製法で作られること、その結晶構造が理想的な黒鉛に
近い上に年輪状の構造を有するので、他の炭素繊維より
もはるかに優れた機械的、電気的性質および触媒担持能
力を備えていること、などの特徴があるので、近年、炭
素繊維に関する技術分野で脚光を浴びている。
【0003】そして、最近ではこの気相成長炭素繊維の
量産方法が、たとえば特開昭60−54998号公報な
どで流動気相法として提案されている。しかしながら、
この気相成長炭素繊維は、一般に直径が0.05〜2μ
m、アスペクト比が2〜30,000であるように非常
に微細であり、取り扱い難いという問題がある。
量産方法が、たとえば特開昭60−54998号公報な
どで流動気相法として提案されている。しかしながら、
この気相成長炭素繊維は、一般に直径が0.05〜2μ
m、アスペクト比が2〜30,000であるように非常
に微細であり、取り扱い難いという問題がある。
【0004】そこで、このように微細な気相成長炭素繊
維を取り扱いの容易な状態にする方法として、気相成長
炭素繊維をシート状(紙様、フィルム状も含めた意味)
に加工する方法が提案されている。たとえば、特開昭6
1−225360号公報には、捲縮を有する気相成長炭
素繊維をバインダーや他の繊維の自己融着により結着し
てシートを得る方法が開示されている。また、特開昭6
1−231251号公報には、気相成長炭素繊維を抄紙
した後に、バインダーで固定し、さらに樹脂を含浸する
等の工程を経て、シートを製造する方法が開示されてい
る。
維を取り扱いの容易な状態にする方法として、気相成長
炭素繊維をシート状(紙様、フィルム状も含めた意味)
に加工する方法が提案されている。たとえば、特開昭6
1−225360号公報には、捲縮を有する気相成長炭
素繊維をバインダーや他の繊維の自己融着により結着し
てシートを得る方法が開示されている。また、特開昭6
1−231251号公報には、気相成長炭素繊維を抄紙
した後に、バインダーで固定し、さらに樹脂を含浸する
等の工程を経て、シートを製造する方法が開示されてい
る。
【0005】そして、これらの公報に記載の方法ではバ
インダーとして、通常、スターチ、フェノール系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびゴムな
どが用いられる。しかし、これらのシートは柔軟性に欠
け、曲げ加工や折り加工をすると、破損することがあ
る。また、前記バインダーは、前記シートを電気部材等
に後加工する際、他の化学薬品や溶剤や樹脂等と反応し
たり、それらを汚染したりするので、好ましくない。
インダーとして、通常、スターチ、フェノール系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびゴムな
どが用いられる。しかし、これらのシートは柔軟性に欠
け、曲げ加工や折り加工をすると、破損することがあ
る。また、前記バインダーは、前記シートを電気部材等
に後加工する際、他の化学薬品や溶剤や樹脂等と反応し
たり、それらを汚染したりするので、好ましくない。
【0006】本発明は上記事情を改善するためになされ
たものである。すなわち、本発明の目的は、気相成長炭
素繊維の特性が生かされていながら、取り扱いが極めて
容易であり、通常の作業では破れも気相成長炭素繊維の
脱落もなく、またバインダーの使用を省くことにより後
加工に際して汚染等の問題も生じない、電気や化学分野
等で有用な炭素繊維シートおよびその工業的な製造方法
を提供することにある。
たものである。すなわち、本発明の目的は、気相成長炭
素繊維の特性が生かされていながら、取り扱いが極めて
容易であり、通常の作業では破れも気相成長炭素繊維の
脱落もなく、またバインダーの使用を省くことにより後
加工に際して汚染等の問題も生じない、電気や化学分野
等で有用な炭素繊維シートおよびその工業的な製造方法
を提供することにある。
【0007】
【前記課題を解決するための手段】前記目的を達成する
ための請求項1に記載の発明は、直径が0.01〜5μ
mであり、平均アスペクト比が2〜3,000である気
相成長炭素繊維で形成されるシートに、20メッシュ以
上のネットを裏打ちしてなることを特徴とする炭素繊維
シートであり、請求項2に記載の発明は、80メッシュ
以上のネット上に、直径が0.01〜5μmであり、平
均アスペクト比が2〜3,000である気相成長炭素繊
維の分散した分散液を供給し、重力または吸引力により
濾過することを特徴とする炭素繊維シートの製造方法で
あり、請求項3に記載の発明は、請求項2の製造方法で
得られた炭素繊維シートの他の片面に20メッシュ以上
のネットを重ね合わせ、押圧することを特徴とする炭素
繊維シートの製造方法であり、請求項4に記載の発明
は、直径が0.01〜5μmであり、平均アスペクト比
が2〜3000である気相成長炭素繊維で形成されたシ
ートに、20メッシュ以上のネットを重ね合わせ、押圧
することを特徴とするネット付き炭素繊維の製造方法で
ある。
ための請求項1に記載の発明は、直径が0.01〜5μ
mであり、平均アスペクト比が2〜3,000である気
相成長炭素繊維で形成されるシートに、20メッシュ以
上のネットを裏打ちしてなることを特徴とする炭素繊維
シートであり、請求項2に記載の発明は、80メッシュ
以上のネット上に、直径が0.01〜5μmであり、平
均アスペクト比が2〜3,000である気相成長炭素繊
維の分散した分散液を供給し、重力または吸引力により
濾過することを特徴とする炭素繊維シートの製造方法で
あり、請求項3に記載の発明は、請求項2の製造方法で
得られた炭素繊維シートの他の片面に20メッシュ以上
のネットを重ね合わせ、押圧することを特徴とする炭素
繊維シートの製造方法であり、請求項4に記載の発明
は、直径が0.01〜5μmであり、平均アスペクト比
が2〜3000である気相成長炭素繊維で形成されたシ
ートに、20メッシュ以上のネットを重ね合わせ、押圧
することを特徴とするネット付き炭素繊維の製造方法で
ある。
【0008】以下、この発明を更に詳しく説明する。 (1)炭素繊維シート この発明の炭素繊維シートは、特定の直径および平均ア
スペクト比を有する気相成長炭素繊維を用いて形成され
るシートと特定のネットとで構成される。この炭素繊維
シートの構造としては、例えば、後述する本発明の方法
において濾布として使用されたネットをシートの片面に
裏打ちしてなる構造、後述する本発明の方法において濾
布として使用されたネットをシートの片面に裏打ちと共
にシートの他方の面には別に用意したネットを裏打ちし
てなる構造、シートの片面あるいは両面に、別に用意し
たネットを裏打ちしてなる構造を挙げることができる。
スペクト比を有する気相成長炭素繊維を用いて形成され
るシートと特定のネットとで構成される。この炭素繊維
シートの構造としては、例えば、後述する本発明の方法
において濾布として使用されたネットをシートの片面に
裏打ちしてなる構造、後述する本発明の方法において濾
布として使用されたネットをシートの片面に裏打ちと共
にシートの他方の面には別に用意したネットを裏打ちし
てなる構造、シートの片面あるいは両面に、別に用意し
たネットを裏打ちしてなる構造を挙げることができる。
【0009】−シート− 本発明におけるシートは基本的には特定の気相成長炭素
繊維から本質的になるものであるが、場合によっては特
定の直径および平均アスペクト比を有する有機繊維を特
定の割合で含有していても良い。前記シートはバインダ
ーで気相成長炭素繊維同士が結合していることもなく、
また気相成長炭素繊維同士が一部において融着により結
合しているものでもなく、気相成長炭素繊維同士が絡み
合った状態になっている。かかる状態は顕微鏡により容
易に観察することができる。なお、シート中に有機繊維
が含まれているときには、有機繊維と気相成長炭素繊維
とが絡み立っている。
繊維から本質的になるものであるが、場合によっては特
定の直径および平均アスペクト比を有する有機繊維を特
定の割合で含有していても良い。前記シートはバインダ
ーで気相成長炭素繊維同士が結合していることもなく、
また気相成長炭素繊維同士が一部において融着により結
合しているものでもなく、気相成長炭素繊維同士が絡み
合った状態になっている。かかる状態は顕微鏡により容
易に観察することができる。なお、シート中に有機繊維
が含まれているときには、有機繊維と気相成長炭素繊維
とが絡み立っている。
【0010】本発明におけるシートは、本質的には気相
成長炭素繊維からなり、場合に応じて有機繊維を含有し
て形成されており、第三成分を含有していないし、ま
た、繊維同士の絡み合いでシート形状が維持されてい
る。したがって、本発明の炭素繊維シートは、バインダ
ー等の第三成分を含有していないので、熱硬化性樹脂を
本発明の炭素繊維シートに含浸させたプリプレグは、熱
硬化性樹脂に対する不純物としてのバインダー等の成分
が存在しないので、気相成長炭素繊維の機械的特性や電
気的特性を生かしながら、優れた柔軟性を有し、曲げ加
工や折り加工をしても破損することがない。しかも、本
発明の炭素繊維シートは、バインダーを用いないので、
従来に見られたような後加工の際の汚染等の問題も生じ
ない。
成長炭素繊維からなり、場合に応じて有機繊維を含有し
て形成されており、第三成分を含有していないし、ま
た、繊維同士の絡み合いでシート形状が維持されてい
る。したがって、本発明の炭素繊維シートは、バインダ
ー等の第三成分を含有していないので、熱硬化性樹脂を
本発明の炭素繊維シートに含浸させたプリプレグは、熱
硬化性樹脂に対する不純物としてのバインダー等の成分
が存在しないので、気相成長炭素繊維の機械的特性や電
気的特性を生かしながら、優れた柔軟性を有し、曲げ加
工や折り加工をしても破損することがない。しかも、本
発明の炭素繊維シートは、バインダーを用いないので、
従来に見られたような後加工の際の汚染等の問題も生じ
ない。
【0011】−気相成長炭素繊維− この発明に用いる気相成長炭素繊維は、直径が0.01
〜5μmであり、好ましくは0.05〜3μmであり、
平均アスペクト比が2〜3,000、好ましくは5〜5
00である。気相成長炭素繊維の直径および平均アスペ
クト比が前記範囲にあると、得られる炭素繊維シート
は、その厚みが均一になって引き裂きにくくなり、しか
も炭素繊維シート製造時の歩留まりが良い。なお、気相
成長炭素繊維の直径は細い程よいが、その直径が0.0
1μm未満である気相成長炭素繊維は実質的に製造が困
難である。また気相成長炭素繊維の直径が5μmを超え
ると、薄い炭素繊維シートを均一な厚みで製造するのが
困難になる。また、気相成長炭素繊維の平均アスペクト
比が2未満であると、炭素繊維シートの強度が低くな
り、また製造時の歩留まりが悪くなる。また平均アスペ
クト比が3,000を超えると、炭素繊維シートに、厚
みによる斑が生じる。
〜5μmであり、好ましくは0.05〜3μmであり、
平均アスペクト比が2〜3,000、好ましくは5〜5
00である。気相成長炭素繊維の直径および平均アスペ
クト比が前記範囲にあると、得られる炭素繊維シート
は、その厚みが均一になって引き裂きにくくなり、しか
も炭素繊維シート製造時の歩留まりが良い。なお、気相
成長炭素繊維の直径は細い程よいが、その直径が0.0
1μm未満である気相成長炭素繊維は実質的に製造が困
難である。また気相成長炭素繊維の直径が5μmを超え
ると、薄い炭素繊維シートを均一な厚みで製造するのが
困難になる。また、気相成長炭素繊維の平均アスペクト
比が2未満であると、炭素繊維シートの強度が低くな
り、また製造時の歩留まりが悪くなる。また平均アスペ
クト比が3,000を超えると、炭素繊維シートに、厚
みによる斑が生じる。
【0012】さらに、気相成長炭素繊維としては、縮合
環状の黒鉛網面の発達度合いの点から、黒鉛網面間距離
(doo2 )が通常3.45〜3.55Åであり、また縮
合環状の黒鉛網面が重なった厚さすなわち黒鉛結晶子の
厚さ(Lc )が通常10〜100Åである黒鉛化処理前
の気相成長炭素繊維や、この気相成長炭素繊維を黒鉛化
処理したところの、黒鉛網面間距離(doo2 )が3.3
5〜3.45Åであり、黒鉛結晶子の厚さ(Lc )が1
00以上である黒鉛繊維を好適例として挙げることがで
きる。この発明に用いる気相成長炭素繊維は、気相成長
法により製造することができる。
環状の黒鉛網面の発達度合いの点から、黒鉛網面間距離
(doo2 )が通常3.45〜3.55Åであり、また縮
合環状の黒鉛網面が重なった厚さすなわち黒鉛結晶子の
厚さ(Lc )が通常10〜100Åである黒鉛化処理前
の気相成長炭素繊維や、この気相成長炭素繊維を黒鉛化
処理したところの、黒鉛網面間距離(doo2 )が3.3
5〜3.45Åであり、黒鉛結晶子の厚さ(Lc )が1
00以上である黒鉛繊維を好適例として挙げることがで
きる。この発明に用いる気相成長炭素繊維は、気相成長
法により製造することができる。
【0013】この気相成長法には、いわゆる基板法と流
動気相法とがある。基板法は、基板に触媒金属例えば遷
移金属もしくは遷移金属化合物を担持させ、高温度に加
熱しながら、その基板上に炭素源ガスである炭化水素ガ
スを流通させることにより、基板表面に炭素繊維を生成
させる方法であり、流動気相法は、基板を使用せず、触
媒金属になり得る金属化合物と炭素源である炭素化合物
とを気化して高温の反応管中に流通させることにより、
空間中に炭素繊維を生成させる方法である。具体的な製
造方法としては、たとえば特開昭60−54998号公
報、特開昭60−215816号公報、特開昭60−2
24815号公報、特開昭61−70014号公報およ
び特開昭63−42920号公報などに開示されている
方法を挙げることができる。なお、本発明においては、
これら気相成長炭素繊維をさらに黒鉛化処理してなる黒
鉛繊維をも気相成長炭素繊維として挙げることができる
(この明細書においては、特に断らない限り、黒鉛繊維
を含めて気相成長炭素繊維と称する。)。黒鉛化処理前
の気相成長炭素繊維と黒鉛繊維とは混合して用いること
もできるし、黒鉛化処理前の気相成長炭素繊維のみを使
用することも、また黒鉛繊維のみを使用することもでき
る。いずれにしても、この気相成長炭素繊維は、縮合環
状の黒鉛網面が繊維軸を中心にして年輪状に高度に発達
した構造を有する。
動気相法とがある。基板法は、基板に触媒金属例えば遷
移金属もしくは遷移金属化合物を担持させ、高温度に加
熱しながら、その基板上に炭素源ガスである炭化水素ガ
スを流通させることにより、基板表面に炭素繊維を生成
させる方法であり、流動気相法は、基板を使用せず、触
媒金属になり得る金属化合物と炭素源である炭素化合物
とを気化して高温の反応管中に流通させることにより、
空間中に炭素繊維を生成させる方法である。具体的な製
造方法としては、たとえば特開昭60−54998号公
報、特開昭60−215816号公報、特開昭60−2
24815号公報、特開昭61−70014号公報およ
び特開昭63−42920号公報などに開示されている
方法を挙げることができる。なお、本発明においては、
これら気相成長炭素繊維をさらに黒鉛化処理してなる黒
鉛繊維をも気相成長炭素繊維として挙げることができる
(この明細書においては、特に断らない限り、黒鉛繊維
を含めて気相成長炭素繊維と称する。)。黒鉛化処理前
の気相成長炭素繊維と黒鉛繊維とは混合して用いること
もできるし、黒鉛化処理前の気相成長炭素繊維のみを使
用することも、また黒鉛繊維のみを使用することもでき
る。いずれにしても、この気相成長炭素繊維は、縮合環
状の黒鉛網面が繊維軸を中心にして年輪状に高度に発達
した構造を有する。
【0014】−有機繊維− この発明の炭素繊維シートにおけるシートには、本発明
の目的を阻害しない限りにおいて、特定の有機繊維を含
有させることができる。特定の気相成長炭素繊維と前記
有機繊維とを配合することによりシートを形成すると
き、それらの含有割合は、通常、特定の気相成長炭素繊
維につき80〜99重量%、好ましくは85〜98重量
%、さらに好ましくは90〜97重量%、および特定の
有機繊維につき20〜1重量%、好ましくは15〜2重
量%、さらに好ましくは10〜3重量%の割合である。
の目的を阻害しない限りにおいて、特定の有機繊維を含
有させることができる。特定の気相成長炭素繊維と前記
有機繊維とを配合することによりシートを形成すると
き、それらの含有割合は、通常、特定の気相成長炭素繊
維につき80〜99重量%、好ましくは85〜98重量
%、さらに好ましくは90〜97重量%、および特定の
有機繊維につき20〜1重量%、好ましくは15〜2重
量%、さらに好ましくは10〜3重量%の割合である。
【0015】気相成長炭素繊維と有機繊維とを前記割合
で含有すると、シートとして機械的強度に優れ、このシ
ートとネットとを組み合わせた本発明の炭素繊維シート
を熱硬化性樹脂を用いてプリプレグとした場合にあって
は、屈曲性に富んだプリプレグに形成することができ、
曲率の大きな曲面形状にも破損することなく成形するこ
とのできるプリプレグになる。なお、有機繊維の含有量
の多い方がシートとしての強度が大きくなるが、熱硬化
性樹脂と炭素繊維シートとの複合材料とするときには、
有機繊維の含有量が多いとその分気相成長炭素繊維の含
有量が少なくなって、複合材料の特性例えば、機械的性
質、導電性、摩擦摩耗特性、熱伝導性などが悪化する。
で含有すると、シートとして機械的強度に優れ、このシ
ートとネットとを組み合わせた本発明の炭素繊維シート
を熱硬化性樹脂を用いてプリプレグとした場合にあって
は、屈曲性に富んだプリプレグに形成することができ、
曲率の大きな曲面形状にも破損することなく成形するこ
とのできるプリプレグになる。なお、有機繊維の含有量
の多い方がシートとしての強度が大きくなるが、熱硬化
性樹脂と炭素繊維シートとの複合材料とするときには、
有機繊維の含有量が多いとその分気相成長炭素繊維の含
有量が少なくなって、複合材料の特性例えば、機械的性
質、導電性、摩擦摩耗特性、熱伝導性などが悪化する。
【0016】この発明に用いる有機繊維としては、合成
繊維、人造繊維、天然繊維などがあるが、合成繊維が好
ましく、さらにその中でもポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン系、ポリテトラフルオロエチレン
等のテフフロン系、ポリエステル系、ポリアミド系など
の繊維が好ましい。なお、有機繊維以外に、例えばスチ
ール繊維等の金属繊維やガラス繊維等のセラミック繊維
を使用することも考えられるが、これらの繊維は、通
常、繊維径が大き過ぎたり、また繊維径が小さくても、
剛直で良好なシートを形成することができない。
繊維、人造繊維、天然繊維などがあるが、合成繊維が好
ましく、さらにその中でもポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン系、ポリテトラフルオロエチレン
等のテフフロン系、ポリエステル系、ポリアミド系など
の繊維が好ましい。なお、有機繊維以外に、例えばスチ
ール繊維等の金属繊維やガラス繊維等のセラミック繊維
を使用することも考えられるが、これらの繊維は、通
常、繊維径が大き過ぎたり、また繊維径が小さくても、
剛直で良好なシートを形成することができない。
【0017】いずれの有機繊維を使用するにしても、上
記有機繊維の直径は通常、0.01〜8μm、好ましく
は0.1〜5μm、特に好ましくは0.3〜3μmであ
る。有機繊維の直径は細い程好ましいが、0.01μm
未満の有機繊維を製造するのは困難であり、直径が8μ
mを超えると、有機繊維がシート中に均一に分散され
ず、厚さの均一なシートを得ることができない。
記有機繊維の直径は通常、0.01〜8μm、好ましく
は0.1〜5μm、特に好ましくは0.3〜3μmであ
る。有機繊維の直径は細い程好ましいが、0.01μm
未満の有機繊維を製造するのは困難であり、直径が8μ
mを超えると、有機繊維がシート中に均一に分散され
ず、厚さの均一なシートを得ることができない。
【0018】また、本発明で使用される有機繊維の平均
アスペクト比は、30〜10,000であり、好ましく
は100〜5,000であり、特に好ましくは300〜
3,000である。この平均アスペクト比が上記範囲内
にあるときには、有機繊維が、気相成長炭素繊維中に均
一に分散し、シート強度が高くなる。平均アスペクト比
が30未満であるときは、繊維同士の絡み合いが不足し
てシートの強度が十分でなく、平均アスペクト比が1
0,000を超えるときは、有機繊維同士が絡み合い過
ぎてシート状に形成されない。なお、本発明に用いる有
機繊維には、繊維同士の絡み合いを強めるための捲縮加
工処理が施されていても良い。
アスペクト比は、30〜10,000であり、好ましく
は100〜5,000であり、特に好ましくは300〜
3,000である。この平均アスペクト比が上記範囲内
にあるときには、有機繊維が、気相成長炭素繊維中に均
一に分散し、シート強度が高くなる。平均アスペクト比
が30未満であるときは、繊維同士の絡み合いが不足し
てシートの強度が十分でなく、平均アスペクト比が1
0,000を超えるときは、有機繊維同士が絡み合い過
ぎてシート状に形成されない。なお、本発明に用いる有
機繊維には、繊維同士の絡み合いを強めるための捲縮加
工処理が施されていても良い。
【0019】−添加剤− 本発明においては、炭素繊維シートを構成するためのシ
ートは、本質的には気相成長炭素繊維のみで構成され、
場合により気相成長炭素繊維と有機繊維とから構成さ
れ、添加剤等を含有しなくても本発明の目的を十分に達
成することができるので、添加剤特にバインダーを使用
することにより起因する不具合を解消することができ
る。もっとも、本発明の目的を阻害しない限りにおい
て、シート中に添加剤を含有させることはできる。
ートは、本質的には気相成長炭素繊維のみで構成され、
場合により気相成長炭素繊維と有機繊維とから構成さ
れ、添加剤等を含有しなくても本発明の目的を十分に達
成することができるので、添加剤特にバインダーを使用
することにより起因する不具合を解消することができ
る。もっとも、本発明の目的を阻害しない限りにおい
て、シート中に添加剤を含有させることはできる。
【0020】−ネット− この発明に用いるネットとしては、合成繊維、天然繊
維、無機繊維、金属繊維などの繊維で作られたネットを
挙げることができる。これらの中でも、合成繊維のネッ
トとしては、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリエステル等の繊維で作られたネット、天然繊維のネ
ットとしては、たとえば絹の繊維で作られたネット、無
機繊維のネットとしては、たとえばガラス、アルミナな
どの繊維で作られたネット、金属繊維のネットとしては
ステンレス、ニッケル、銅などの繊維で作られたネット
が好ましい。
維、無機繊維、金属繊維などの繊維で作られたネットを
挙げることができる。これらの中でも、合成繊維のネッ
トとしては、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリエステル等の繊維で作られたネット、天然繊維のネ
ットとしては、たとえば絹の繊維で作られたネット、無
機繊維のネットとしては、たとえばガラス、アルミナな
どの繊維で作られたネット、金属繊維のネットとしては
ステンレス、ニッケル、銅などの繊維で作られたネット
が好ましい。
【0021】この発明に用いるネットの目の細かさは、
通常、20メッシュ以上である。このネットの目が20
メッシュ未満であるとネットの目が粗くなり、目の間か
ら気相成長炭素繊維が脱落してしまう。なお、この発明
に言う「メッシュ」とは1インチ当たりの網目の数を言
うが、ネットの目の細かさを言うのにオープニング(ネ
ットの糸と糸との間の空隙の長さ)を以ってすることが
あり、たとえば前記20メッシュは900〜1,000
μm、80メッシュは200〜300μm、100メッ
シュは150〜200μm、500メッシュは20μm
前後、1,000メッシュは10μm前後に相当する。
通常、20メッシュ以上である。このネットの目が20
メッシュ未満であるとネットの目が粗くなり、目の間か
ら気相成長炭素繊維が脱落してしまう。なお、この発明
に言う「メッシュ」とは1インチ当たりの網目の数を言
うが、ネットの目の細かさを言うのにオープニング(ネ
ットの糸と糸との間の空隙の長さ)を以ってすることが
あり、たとえば前記20メッシュは900〜1,000
μm、80メッシュは200〜300μm、100メッ
シュは150〜200μm、500メッシュは20μm
前後、1,000メッシュは10μm前後に相当する。
【0022】好ましいネットの目は、口述するようにこ
の炭素繊維シートの製造方法により相違する。すなわ
ち、気相成長炭素繊維を分散した溶液をネット上に載
せ、このネットを濾布のようにして溶媒を通過させるの
であれば、ネットの目は、80メッシュ以上が好まし
い。ネットの目が80メッシュよりも粗いと、メッシュ
間から通り抜ける気相成長炭素繊維が多くなる。また、
ネットと本発明におけるシートとを別々に用意し、前記
シートにネットを裏打ちするのであれば、そのネットの
目は、80メッシュ以下であるのが好ましい。ネットの
目が細かいと、前記シートとネットとの接着性が悪化す
ることがあるからである。
の炭素繊維シートの製造方法により相違する。すなわ
ち、気相成長炭素繊維を分散した溶液をネット上に載
せ、このネットを濾布のようにして溶媒を通過させるの
であれば、ネットの目は、80メッシュ以上が好まし
い。ネットの目が80メッシュよりも粗いと、メッシュ
間から通り抜ける気相成長炭素繊維が多くなる。また、
ネットと本発明におけるシートとを別々に用意し、前記
シートにネットを裏打ちするのであれば、そのネットの
目は、80メッシュ以下であるのが好ましい。ネットの
目が細かいと、前記シートとネットとの接着性が悪化す
ることがあるからである。
【0023】(2)炭素繊維シートの製造方法 前記炭素繊維シートは、以下に説明する本発明の製造方
法により製造することができる。すなわち、まず請求項
2に記載の発明では、80メッシュ以上のネット上に、
直径が0.01〜5μmであり、平均アスペクト比が2
〜3,000である気相成長炭素繊維の分散した分散液
あるいは気相成長炭素繊維と有機繊維とを分散した分散
液を供給し、重力または吸引力により分散液を濾過する
ことにより、ネット上に気相成長炭素繊維、あるいは気
相成長炭素繊維と有機繊維との混合物を堆積する。
法により製造することができる。すなわち、まず請求項
2に記載の発明では、80メッシュ以上のネット上に、
直径が0.01〜5μmであり、平均アスペクト比が2
〜3,000である気相成長炭素繊維の分散した分散液
あるいは気相成長炭素繊維と有機繊維とを分散した分散
液を供給し、重力または吸引力により分散液を濾過する
ことにより、ネット上に気相成長炭素繊維、あるいは気
相成長炭素繊維と有機繊維との混合物を堆積する。
【0024】上記分散液における繊維成分の濃度は、通
常、0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量
%である。この分散液における繊維成分の濃度が0.0
1重量%未満であると、使用する液量が多く不経済であ
り、また使用繊維成分の歩留りが低下することがあり、
また濃度が3重量%を超えると、ネット上に均一に且つ
速やかに分散液を供給することが困難になる。
常、0.01〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量
%である。この分散液における繊維成分の濃度が0.0
1重量%未満であると、使用する液量が多く不経済であ
り、また使用繊維成分の歩留りが低下することがあり、
また濃度が3重量%を超えると、ネット上に均一に且つ
速やかに分散液を供給することが困難になる。
【0025】分散液における液成分としては、特に制限
はないが、通常、水または水溶液が用いられる。ネット
上に均一な厚みに供給された気相成長炭素繊維の分散し
た分散液あるいは気相成長炭素繊維と有機繊維とを分散
した分散液は、そのまま重力によって、あるいはネット
の裏面側から吸引することによって、液成分が除去さ
れ、その結果、ネット上には気相成長炭素繊維、あるい
は気相成長炭素繊維と有機繊維との混合物が平に積層さ
れる。こうして得られたネットと気相成長炭素繊維また
は気相成長炭素繊維および有機繊維とからなるシート状
積層体は、通常、更に乾燥処理される。
はないが、通常、水または水溶液が用いられる。ネット
上に均一な厚みに供給された気相成長炭素繊維の分散し
た分散液あるいは気相成長炭素繊維と有機繊維とを分散
した分散液は、そのまま重力によって、あるいはネット
の裏面側から吸引することによって、液成分が除去さ
れ、その結果、ネット上には気相成長炭素繊維、あるい
は気相成長炭素繊維と有機繊維との混合物が平に積層さ
れる。こうして得られたネットと気相成長炭素繊維また
は気相成長炭素繊維および有機繊維とからなるシート状
積層体は、通常、更に乾燥処理される。
【0026】この乾燥処理されたネットと気相成長炭素
繊維あるいは気相成長炭素繊維及び有機繊維の混合物と
からなるシート状積層体、すなわちこの発明の炭素繊維
シートは、前述した如く気相成長炭素繊維の少なくとも
一部がネットの目の間に食い込むので、バインダーを用
いていないにもかかわらず、気相成長炭素繊維とネット
との密着性が良好である。なお、この密着性をより高め
たい場合には、前記乾燥処理の前、あるいはその後に、
熱を加えないで押圧するかまたは加熱しつつ押圧すると
良い。
繊維あるいは気相成長炭素繊維及び有機繊維の混合物と
からなるシート状積層体、すなわちこの発明の炭素繊維
シートは、前述した如く気相成長炭素繊維の少なくとも
一部がネットの目の間に食い込むので、バインダーを用
いていないにもかかわらず、気相成長炭素繊維とネット
との密着性が良好である。なお、この密着性をより高め
たい場合には、前記乾燥処理の前、あるいはその後に、
熱を加えないで押圧するかまたは加熱しつつ押圧すると
良い。
【0027】前記シート状物の押圧力は、通常、0.0
1〜10Kg/cm2 であり、またその乾燥温度は通
常、有機繊維同士が融着しない程度の加熱温度である。
このように、請求項2に記載の製造方法によれば、気相
成長炭素繊維シートの片面にネットを裏打ちした炭素繊
維シートを効率よく製造することができる。
1〜10Kg/cm2 であり、またその乾燥温度は通
常、有機繊維同士が融着しない程度の加熱温度である。
このように、請求項2に記載の製造方法によれば、気相
成長炭素繊維シートの片面にネットを裏打ちした炭素繊
維シートを効率よく製造することができる。
【0028】さらに、この炭素繊維シートにおいて、も
う一つの片面にネットを積層するには(気相成長炭素繊
維シートの両面にネットを積層する場合)、請求項3に
示すように、この片面にも20メッシュ以上のネットを
重ね合わせ、適宜に加熱しながら押圧すればよい。
う一つの片面にネットを積層するには(気相成長炭素繊
維シートの両面にネットを積層する場合)、請求項3に
示すように、この片面にも20メッシュ以上のネットを
重ね合わせ、適宜に加熱しながら押圧すればよい。
【0029】この場合、ネットの目が20メッシュ未満
であると、気相成長炭素繊維がネットの目の間よりこぼ
れ落ちる様になることがあり、好ましくない。なお、こ
の場合の押圧力については、請求項2におけるそれと同
様でよい。さらに、この場合の加熱温度としては、ネッ
トが熱可塑性樹脂製であるときは該ネットが気相成長炭
素繊維と部分的に融着する温度以下を選択するのが良
い。
であると、気相成長炭素繊維がネットの目の間よりこぼ
れ落ちる様になることがあり、好ましくない。なお、こ
の場合の押圧力については、請求項2におけるそれと同
様でよい。さらに、この場合の加熱温度としては、ネッ
トが熱可塑性樹脂製であるときは該ネットが気相成長炭
素繊維と部分的に融着する温度以下を選択するのが良
い。
【0030】ネットが熱可塑性樹脂以外の材料からなる
場合は、この材料を痛めない範囲の加熱温度が適宜に選
択される。次に、ネットを濾布として使用せずに別途に
用意されたネットと別途に調製されたシートとを用いて
炭素繊維シートを製造するには、請求項4に示すように
気相成長炭素繊維シートの片面もしくは両面にこのネッ
トを重ね合わせ、適宜に加熱しながら押圧すればよい。
この場合、ネットの目は、前述したように80メッシュ
以下が好ましく、ネットの目が80メッシュを超えると
きは、ネットとシートとの間に空気層が介在したりする
などしてネットとシートとの接着性が悪くなることがあ
る。
場合は、この材料を痛めない範囲の加熱温度が適宜に選
択される。次に、ネットを濾布として使用せずに別途に
用意されたネットと別途に調製されたシートとを用いて
炭素繊維シートを製造するには、請求項4に示すように
気相成長炭素繊維シートの片面もしくは両面にこのネッ
トを重ね合わせ、適宜に加熱しながら押圧すればよい。
この場合、ネットの目は、前述したように80メッシュ
以下が好ましく、ネットの目が80メッシュを超えると
きは、ネットとシートとの間に空気層が介在したりする
などしてネットとシートとの接着性が悪くなることがあ
る。
【0031】また、この場合の押圧力および加熱温度に
ついては、請求項3におけるのと同様でよい。なお、こ
の発明のいずれの製造方法においても、炭素繊維シート
を50μm〜5mmの範囲内において任意の厚みに設定
することができる。特に100〜500μmの炭素繊維
シートは薄くて、しなやかで取り扱い易いシートにな
る。
ついては、請求項3におけるのと同様でよい。なお、こ
の発明のいずれの製造方法においても、炭素繊維シート
を50μm〜5mmの範囲内において任意の厚みに設定
することができる。特に100〜500μmの炭素繊維
シートは薄くて、しなやかで取り扱い易いシートにな
る。
【0032】
【実施例】次に、実施例に基いてこの発明をさらに具体
的に説明する。 (実施例1)気相成長炭素繊維としてグラスカーGWV
−OA[日機装(株)製、d002 :3.52Å、Lc :
35Å、平均直径:0.8Å、平均アスペクト比:18
0、「グラスカー」は登録商標]5.0gを300cc
の水とともに高速回転ミキサーで10分間撹拌した。
的に説明する。 (実施例1)気相成長炭素繊維としてグラスカーGWV
−OA[日機装(株)製、d002 :3.52Å、Lc :
35Å、平均直径:0.8Å、平均アスペクト比:18
0、「グラスカー」は登録商標]5.0gを300cc
の水とともに高速回転ミキサーで10分間撹拌した。
【0033】一方、角型シートマシーン[(株)東洋精
機製作所製、250mm×200mm、100メッシ
ュ]の金網上にポリエステルネット[NBC工業(株)
製、T・No.280T、280メッシュ、オープニン
グ56μm]を緊張してセットし、5,000ccの水
を入れた。このシートマシーンに先に準備した気相成長
炭素繊維の分散液を添加して良く撹拌したのち、下部よ
り水抜きすることにより、250mm×200mmのポ
リエステルネット付きシート状物を得た。このシート状
物を濾紙に挟んで加圧し、水を除いてから軽く圧力を加
えた状態で80℃で2時間間かけて乾燥した。
機製作所製、250mm×200mm、100メッシ
ュ]の金網上にポリエステルネット[NBC工業(株)
製、T・No.280T、280メッシュ、オープニン
グ56μm]を緊張してセットし、5,000ccの水
を入れた。このシートマシーンに先に準備した気相成長
炭素繊維の分散液を添加して良く撹拌したのち、下部よ
り水抜きすることにより、250mm×200mmのポ
リエステルネット付きシート状物を得た。このシート状
物を濾紙に挟んで加圧し、水を除いてから軽く圧力を加
えた状態で80℃で2時間間かけて乾燥した。
【0034】得られた炭素繊維シートは、炭素繊維の坪
量が100g/m2 であり、ネットの坪量が30g/m
2 であった。この炭素繊維シートは気相炭素繊維とネッ
トとが良く密着しており、通常の作業では破れないの
で、非常に取扱が容易であった。この炭素繊維シートか
ら下記のようにしてプリプレグを製造した。
量が100g/m2 であり、ネットの坪量が30g/m
2 であった。この炭素繊維シートは気相炭素繊維とネッ
トとが良く密着しており、通常の作業では破れないの
で、非常に取扱が容易であった。この炭素繊維シートか
ら下記のようにしてプリプレグを製造した。
【0035】まず、前記炭素繊維シートを、ビスフェノ
ールAタイプエポキシ樹脂とフェノールノボラックタイ
プエポキシ樹脂とジシアンジアミドとで形成された厚み
150g/m2 の2枚のフィルム(フィルムの外側に離
型紙を貼着)間に挟み、80℃の加熱ニップロール間に
通して、プリプレグを得た。このプリプレグは、ネット
側を外側にして金型に沿わせると、ドレープ性が良好
で、成型し易いものであった。
ールAタイプエポキシ樹脂とフェノールノボラックタイ
プエポキシ樹脂とジシアンジアミドとで形成された厚み
150g/m2 の2枚のフィルム(フィルムの外側に離
型紙を貼着)間に挟み、80℃の加熱ニップロール間に
通して、プリプレグを得た。このプリプレグは、ネット
側を外側にして金型に沿わせると、ドレープ性が良好
で、成型し易いものであった。
【0036】(実施例2)実施例1において、前記ポリ
エステルネットに替えて真ちゅうネット(150メッシ
ュ)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてネット
(真ちゅう製)付き炭素繊維シートを得た。この炭素繊
維シートは、非常に取り扱いが容易であった。
エステルネットに替えて真ちゅうネット(150メッシ
ュ)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてネット
(真ちゅう製)付き炭素繊維シートを得た。この炭素繊
維シートは、非常に取り扱いが容易であった。
【0037】次に、この炭素繊維シートを幅50mmに
切断したのち、ネットを外側にして長さ60mm、外径
15mmのアルミナパイプに5層巻き付け、さらに外周
を銅線で巻いて固定した。これを内径30mm、深さ1
00mmのステンレス容器内の中央に固定し、該容器を
真空にしたのち、真ちゅう溶湯を加圧注入した。冷却
後、ステンレス容器の外周部の真ちゅうを切削するとと
もにアルミナパイプを除去して、内径16mm、外径1
8mm、長さ40mmの炭素繊維/真ちゅう複合材料を
得た。
切断したのち、ネットを外側にして長さ60mm、外径
15mmのアルミナパイプに5層巻き付け、さらに外周
を銅線で巻いて固定した。これを内径30mm、深さ1
00mmのステンレス容器内の中央に固定し、該容器を
真空にしたのち、真ちゅう溶湯を加圧注入した。冷却
後、ステンレス容器の外周部の真ちゅうを切削するとと
もにアルミナパイプを除去して、内径16mm、外径1
8mm、長さ40mmの炭素繊維/真ちゅう複合材料を
得た。
【0038】(実施例3)気相成長炭素繊維としてグラ
スカーGWV−OA[日機装(株)製、d002 :3.5
2Å、Lc :35Å、平均直径:0.8Å、平均アスペ
クト比:180、「グラスカー」は登録商標]5.0g
をポリエステル繊維(直径0.8μm、アスペクト比
2,500)0.3gおよび300ccの水とともに高
速回転ミキサーで10分間撹拌した。
スカーGWV−OA[日機装(株)製、d002 :3.5
2Å、Lc :35Å、平均直径:0.8Å、平均アスペ
クト比:180、「グラスカー」は登録商標]5.0g
をポリエステル繊維(直径0.8μm、アスペクト比
2,500)0.3gおよび300ccの水とともに高
速回転ミキサーで10分間撹拌した。
【0039】次に、角型シートマシーン[(株)東洋精
機製作所製、250mm×200mm、100メッシ
ュ]の金網上に先に準備した気相成長炭素繊維の分散液
を添加してよく撹拌したのち、下部より水抜きすること
により、250mm×200mmのシート状物を得た。
次に、このシート状物に35メッシュのガラス繊維ネッ
トを貼り付けたのち、実施例1と同様にしてネット付き
炭素繊維/エポキシ樹脂プリプレグを得た。上記ガラス
繊維ネットを貼り付けて得られた炭素繊維シートも上記
プリプレグも、取扱が非常に容易であった。
機製作所製、250mm×200mm、100メッシ
ュ]の金網上に先に準備した気相成長炭素繊維の分散液
を添加してよく撹拌したのち、下部より水抜きすること
により、250mm×200mmのシート状物を得た。
次に、このシート状物に35メッシュのガラス繊維ネッ
トを貼り付けたのち、実施例1と同様にしてネット付き
炭素繊維/エポキシ樹脂プリプレグを得た。上記ガラス
繊維ネットを貼り付けて得られた炭素繊維シートも上記
プリプレグも、取扱が非常に容易であった。
【0040】(実施例4)実施例1において、ポリエス
テルネットに替えて156/100メッシュ(ネットの
縦、横の隙間が異なる)のポリプロピレンネットを用い
たこと、および気相成長炭素繊維の使用量を1gとした
こと以外は、実施例1と同様にして薄肉の炭素繊維シー
トを得た。
テルネットに替えて156/100メッシュ(ネットの
縦、横の隙間が異なる)のポリプロピレンネットを用い
たこと、および気相成長炭素繊維の使用量を1gとした
こと以外は、実施例1と同様にして薄肉の炭素繊維シー
トを得た。
【0041】次に、この炭素繊維シートのネットの無い
面に上記と同じポリプロピレンネットを貼りつけ(気相
炭素繊維がポリプロピレンネットで両側から挟まれるよ
うにする)、直径1mmの加熱ピンにより5mmピッチ
で縦横に押圧し、気相炭素繊維に対し両側からポリプロ
ピレンネットを部分的に融着させた。得られた両面炭素
繊維シートは、非常に取扱が容易であるとともに、各種
水溶液や有機溶剤に浸漬しても気相成長炭素繊維の脱落
が無く、触媒担持用部材として使用可能であることが確
認できた。
面に上記と同じポリプロピレンネットを貼りつけ(気相
炭素繊維がポリプロピレンネットで両側から挟まれるよ
うにする)、直径1mmの加熱ピンにより5mmピッチ
で縦横に押圧し、気相炭素繊維に対し両側からポリプロ
ピレンネットを部分的に融着させた。得られた両面炭素
繊維シートは、非常に取扱が容易であるとともに、各種
水溶液や有機溶剤に浸漬しても気相成長炭素繊維の脱落
が無く、触媒担持用部材として使用可能であることが確
認できた。
【0042】
【発明の効果】この発明の炭素繊維シートは、特定の気
相成長炭素繊維で構成されるシートの片面または両面に
特定のネットが特殊に積層されてなるので、気相成長炭
素繊維の特性が生かされていると同時に、取り扱いが極
めて容易であり、しかも気相成長炭素繊維の脱落が無
く、通常の作業では破れ難い。またバインダーの使用が
省かれているので、後加工の際汚染等の問題も生じな
い。
相成長炭素繊維で構成されるシートの片面または両面に
特定のネットが特殊に積層されてなるので、気相成長炭
素繊維の特性が生かされていると同時に、取り扱いが極
めて容易であり、しかも気相成長炭素繊維の脱落が無
く、通常の作業では破れ難い。またバインダーの使用が
省かれているので、後加工の際汚染等の問題も生じな
い。
【0043】この発明の炭素繊維シートは、その特性か
ら電気部材用や化学部材等用として重要な用途がある。
すなわち、適宜、切断工程を経たのち、そのまま触媒担
持用部材に用いたり、電池やコンデンサー等の電極とし
て用いることができる。また、この炭素繊維シートをさ
らに後加工することにより、用途の広い複合材料を製造
することも可能である。
ら電気部材用や化学部材等用として重要な用途がある。
すなわち、適宜、切断工程を経たのち、そのまま触媒担
持用部材に用いたり、電池やコンデンサー等の電極とし
て用いることができる。また、この炭素繊維シートをさ
らに後加工することにより、用途の広い複合材料を製造
することも可能である。
【0044】たとえば、この炭素繊維シートを成形金型
内に収納し、該シートに熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を
含浸もしくは付着せしめることにより、電気分野等に有
用な複合部材を得ることができるし、また成形金型を用
いなくとも、ホットメルト法や浸漬法を適用して熱硬化
性樹脂や熱可塑性樹脂とのプリプレグを製造することも
できる。また、この発明の炭素繊維シートの製造方法
は、請求項2〜4に示すように、前記特長を備えた炭素
繊維シートを工業的に効率よく製造することができる。
内に収納し、該シートに熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を
含浸もしくは付着せしめることにより、電気分野等に有
用な複合部材を得ることができるし、また成形金型を用
いなくとも、ホットメルト法や浸漬法を適用して熱硬化
性樹脂や熱可塑性樹脂とのプリプレグを製造することも
できる。また、この発明の炭素繊維シートの製造方法
は、請求項2〜4に示すように、前記特長を備えた炭素
繊維シートを工業的に効率よく製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 27/30
Claims (4)
- 【請求項1】 直径が0.01〜5μmであり、平均ア
スペクト比が2〜3,000である気相成長炭素繊維で
形成されるシートに、20メッシュ以上のネットを裏打
ちしてなることを特徴とする炭素繊維シート。 - 【請求項2】 80メッシュ以上のネット上に、直径が
0.01〜5μmであり、平均アスペクト比が2〜3,
000である気相成長炭素繊維の分散した分散液を供給
し、重力または吸引力により濾過することを特徴とする
炭素繊維シートの製造方法。 - 【請求項3】 請求項2の製造方法で得られた炭素繊維
シートの他の片面に20メッシュ以上のネットを重ね合
わせ、押圧することを特徴とする炭素繊維シートの製造
方法。 - 【請求項4】 直径が0.01〜5μmであり、平均ア
スペクト比が2〜3000である気相成長炭素繊維で形
成されたシートに、20メッシュ以上のネットを重ね合
わせ、押圧することを特徴とするネット付き炭素繊維の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3325486A JPH05156595A (ja) | 1991-12-10 | 1991-12-10 | ネット付き炭素繊維シートおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3325486A JPH05156595A (ja) | 1991-12-10 | 1991-12-10 | ネット付き炭素繊維シートおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05156595A true JPH05156595A (ja) | 1993-06-22 |
Family
ID=18177417
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3325486A Pending JPH05156595A (ja) | 1991-12-10 | 1991-12-10 | ネット付き炭素繊維シートおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05156595A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012059538A1 (de) * | 2010-11-03 | 2012-05-10 | Sgl Carbon Se | Verstärkter vliesstoff |
-
1991
- 1991-12-10 JP JP3325486A patent/JPH05156595A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012059538A1 (de) * | 2010-11-03 | 2012-05-10 | Sgl Carbon Se | Verstärkter vliesstoff |
CN103025940A (zh) * | 2010-11-03 | 2013-04-03 | 西格里碳素欧洲公司 | 增强的无纺织物 |
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