JPH05156058A - ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法Info
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- JPH05156058A JPH05156058A JP34817091A JP34817091A JPH05156058A JP H05156058 A JPH05156058 A JP H05156058A JP 34817091 A JP34817091 A JP 34817091A JP 34817091 A JP34817091 A JP 34817091A JP H05156058 A JPH05156058 A JP H05156058A
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Abstract
ープなポリオレフィン微多孔膜を製造する方法を提供す
る。 【構成】 超高分子量成分を含有し、分子量分布が広い
(重量平均分子量/数平均分子量が大きい)ポリオレフ
ィンを、相分離を起こしうる良溶媒と貧溶媒との混合溶
媒に加熱下に溶解し、その溶液を急冷することにより、
相分離させた後、結晶化させて、ゲル状シートを成形
し、得られたゲル状シートに特定の温度で少なくとも1
軸方向に延伸を施す。
Description
するポリオレフィンからなる微多孔膜を製造する方法に
関し、特に適度な大きさの孔径を有し、孔径分布がシャ
ープなポリオレフィン微多孔膜を製造する方法に関す
る。
膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、
各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾
過膜、精密濾過膜等の各種用途に用いられている。
としては、例えば異種ポリマー等の微粉体からなる孔形
成剤をポリオレフィンに混合してミクロ分散させた後、
孔形成剤を抽出する混合抽出法、ポリオレフィン相を溶
媒でミクロ相分離することにより多孔構造とする相分離
法、異種固体がミクロ分散しているポリオレフィン成形
体に延伸などの歪を与えることにより、異種固体間を界
面破壊して空孔を生じさせて多孔化する延伸法などが用
いられている。しかし、これらの方法では通常分子量が
50万未満程度のポリオレフィンが用いられるため、延伸
による薄膜化及び高強度化には限界があった。
し得る超高分子量ポリオレフィンが開発され、これによ
る高強度の微多孔膜の製造が種々提案された。例えば特
開昭58-5228 号は、超高分子量ポリオレフィンを不揮発
性溶媒に溶解し、この溶液から繊維またはフィルムなど
のゲルを成形し、この溶媒を含むゲルを揮発性溶剤で抽
出処理した後、加熱延伸する方法を開示している。しか
しながら、不揮発性溶媒で高度に膨潤した多孔性組織を
有するゲルは、2方向に延伸しようとしても、高配向の
延伸ができず、網状組織の拡大により破断し易く、得ら
れるフィルムは強度が小さく、また形成される孔径分布
が大きくなるという欠点があった。一方不揮発性溶媒を
揮発性溶剤で抽出した後に乾燥したゲルは、網状組織が
収縮緻密化するが、揮発性溶剤の不均一な蒸発によりフ
ィルム原反にそりが発生し易く、また収縮緻密化によ
り、高倍率の延伸ができないという欠点があった。
以上の超高分子量ポリオレフィンを溶媒中で加熱溶解し
た溶液からゲル状シートを成形し、前記ゲル状シート中
の溶媒量を脱溶媒処理により調製し、次いで加熱延伸し
た後、残留溶媒を除去することにより、超高分子量ポリ
オレフィン( ポリエチレン)の微多孔膜を製造する方法
が種々提案されている(特開昭60-242035 号、特開昭61
-495132 号、特開昭61-195133 号、特開昭63-39602号、
特開昭63-273651 号)。しかしながら、上記超高分子量
ポリオレフィン(ポリエチレン)微多孔膜の製造方法
は、いずれも超高分子量ポリオレフィンを2軸延伸する
ために、ポリオレフィンの希薄溶液を調製する必要があ
り、このため得られた溶液は、シート成形するダイス出
口でスウェルやネックインが大きく、シート成形が困難
であり、さらにシート中には、溶媒が過剰に含まれてい
るため、そのまま延伸しても目的の微多孔膜は得られな
いので脱溶媒処理してシート中の溶媒量を調製する必要
がある等、生産性において問題があった。
高分子量ポリオレフィンを含有し、(重量平均分子量/
数平均分子量)の値が特定の範囲内にある組成物を用い
たポリオレフィン微多孔膜の製造方法を提案した(特願
平1-201785号) 。この方法により、延伸性が良好で、高
濃度溶液とすることが可能なポリオレフィン組成物から
ポリオレフィン微多孔膜を製造することが可能となる。
孔径を調べたところ、上記いずれの方法によるポリオレ
フィン微多孔膜も0.001 〜0.2 μmの範囲の平均貫通孔
径とすることが可能であるが、特に外径0.1 〜0.5 μm
程度の大きさの成分を分離する場合に必ずしも十分な濾
過効率を発揮することができない。そこで、外径0.1〜
0.5 μm程度の大きさの成分を効率よく、しかも速やか
に分離するために、孔径が0.05〜0.2 μmの範囲内にあ
り、その孔径分布がある程度シャープである微多孔膜が
望まれるようになった。
の孔径を有し、孔径分布がシャープなポリオレフィン微
多孔膜を製造する方法を提供することである。
の結果、本発明者らは、超高分子量成分を含有し、分子
量分布が広い(重量平均分子量/数平均分子量が大き
い)ポリオレフィンを、相分離を起こしうる良溶媒と貧
溶媒との混合溶媒に加熱下に溶解し、その溶液を急冷す
ることにより、相分離させた後、結晶化させて、ゲル状
シートを成形し、得られたゲル状シートに特定の温度で
少なくとも1軸方向に延伸を施すことにより得られる微
多孔膜は、適度な大きさの孔径を有し、孔径分布がシャ
ープであることを見出し、本発明に想到した。
膜の製造方法は、分子量7×105 以上の成分を1重量%
以上含有し、(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜
300のポリオレフィン10〜50重量%と、溶媒50〜90重量
%とからなる溶液を調製し、前記溶液をダイより押出
し、冷却することにより未延伸のゲル状組成物を形成
し、前記ゲル状組成物を前記ポリオレフィンの融点+10
℃以下の温度で延伸し、しかる後残存溶媒を除去するポ
リオレフィン微多孔膜の製造方法において、前記溶媒が
前記ポリオレフィンに対する良溶媒と、貧溶媒とからな
り、良溶媒と貧溶媒との重量比が50:50〜99:1である
ことを特徴とする。
法においてポリオレフィン微多孔膜は、分子量7×105
以上の成分を1重量%以上含有し、分子量分布(重量平
均分子量/数平均分子量)が10〜300のポリオレフィン
からなる。
平均分子量は10〜300 、好ましくは12〜 250である。重
量平均分子量/数平均分子量が10未満では、平均分子鎖
長が大きく、溶解時の分子鎖同志の絡み合い密度が高く
なるため、高濃度溶液の調製が困難である。また300 を
超えると、延伸時に低分子量成分の破断が起こり膜全体
の強度が低下する。
分子量分布の尺度として用いられるものであり、この分
子量の比が大きくなるほど分子量分布の幅は拡大する。
すなわち重量平均分子量の異なるポリオレフィンからな
る組成物の場合、組成物の分子量の比が大きいほど、配
合するポリオレフィンの重量平均分子量の差が大きく、
また小さいほど重量平均分子量の差が小さいことを示し
ている。また単独のポリオレフィンの場合、分子量の比
はその分布の広がりを示し、その値が大きいほど分布が
広がっていることを示している。
平均分子量/数平均分子量を10〜300 と、通常の超高分
子量ポリオレフィン自身の重量平均分子量/数平均分子
量(通常6程度)よりも大きく設定している。この結
果、分子量分布は低分子量側へと広がりをみせるため、
高濃度のポリオレフィン溶液の調製が可能となる。
5 以上の成分が1重量%未満では、延伸性の向上に寄与
する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖の絡み合いがほ
とんど形成されず、高強度の微多孔膜を得ることができ
ない。一方、超高分子量成分の含有率の上限は特に限定
的ではないが、90重量%を超えると目的とするポリオレ
フィン溶液の高濃度化の達成が困難となるため好ましく
ない。
子量分布を有していれば、単独のポリオレフィン(混合
物でないもの)か、2種以上のポリオレフィンからなる
組成物のどちらでもよい。
量7×105 以上の超高分子量成分を1重量%以上含有
し、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が10
〜300となるように多段重合することにより製造するこ
とができる。多段重合としては、二段重合により高分子
量部分と低分子量部分を製造するのが好ましい。
合、重量平均分子量が7×105 以上の超高分子量ポリオ
レフィンと、重量平均分子量が7×105 未満のポリオレ
フィンとを重量平均分子量/数平均分子量が上記範囲と
なるように適量混合することによって得ることができ
る。
は、重量平均分子量が7×105 以上、好ましくは1×10
6 〜15×106 のものである。重量平均分子量が7×105
未満では、最大延伸倍率が低く、目的の微多孔膜が得ら
れない。一方、上限は特に限定的ではないが15×106 を
超えるものは、ゲル状成形物の形成において、成形性に
劣る。
ては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-
ペンテン、1-ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合
体、2段重合体、又は共重合体及びこれらのブレンド物
等が挙げられる。これらのうち超高分子量ポリエチレ
ン、特に高密度の超高分子量ポリエチレンが好ましい。
オレフィン組成物中の含有量は、ポリオレフィン組成物
全体を100 重量%として、1重量%以上である。超高分
子量ポリオレフィンの含有量が1重量%未満では、延伸
性の向上に寄与する超高分子量ポリオレフィンの分子鎖
の絡み合いがほとんど形成されず、高強度の微多孔膜を
得ることができない。一方、上限は特に限定的ではない
が、90重量%を超えると目的とするポリオレフィン溶液
の高濃度化の達成が困難となるため好ましくない。
ポリオレフィン以外のポリオレフィンは、重量平均分子
量が、7×105 未満のものであるが、分子量の下限とし
ては1×104 以上のものが好ましい。重量平均分子量が
1×104 未満のポリオレフィンを用いると、延伸時に破
断が起こりやすく、目的の微多孔膜が得られないので好
ましくない。特に重量平均分子量が1×105 以上7×10
5 未満のポリオレフィンを超高分子量ポリオレフィンに
配合するのが好ましい。
レン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、
1-ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体、2段重
合体、又は共重合体及びこれらのブレンド物等が挙げら
れる。特にエチレンを主体とする重合体である高密度ポ
リエチレンが好ましい。
は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、
アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填剤などの
各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加する
ことができる。
いた本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法につい
て説明する。
ンの高濃度溶液は、上述のポリオレフィンをポリオレフ
ィンに対する良溶媒と、貧溶媒との混合溶媒に加熱溶解
することにより調製する。
は、ポリオレフィンの分解温度(約140 〜250 ℃) 以下
の温度で、加熱撹拌することにより、ポリオレフィンを
均一な溶液として調製できる溶媒のことである。このよ
うな良溶媒としては、ノナンデカン、ウンデカン、ドデ
カン、パラフィン油などの脂肪族または環式の炭化水
素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分などが挙
げられるが、溶媒含有量が安定なゲル状成形物を得るた
めにはパラフィン油のような不揮発性の溶媒が好まし
い。
レフィンの分解温度(約140 〜250℃) 以下の温度で、
及び溶剤の分解温度以下で、いずれにおいてもポリオレ
フィンの均一な溶液の調製のできない溶媒である。この
ような貧溶媒としては、ひまし油、グリセリンジアセテ
ート、グリセリントリアセテート、ポリエチレングリコ
ール、あまに油等が挙げられるが、これらの貧溶媒は上
述した良溶媒と混合することにより、250 ℃以下の温度
でポリオレフィンを均一に溶解することが可能となる。
したがって、上記貧溶媒としては、使用するポリオレフ
ィンの種類、良溶媒の種類、良溶媒との混合率等に応じ
て、140 〜250 ℃の温度範囲内でポリオレフィンを溶解
できるものを適宜選択する。
は、50:50〜99:1であり、特に70:30〜95:5である
のが好ましい。貧溶媒が50重量%を超えると、250 ℃以
下で良溶媒と均一に混和させるのが困難となり、また1
重量%未満では、その添加による孔径の拡大かつ孔径分
布の均一化が達成されない。
ンが混合溶媒中で完全に溶解する温度で撹拌しながら行
う。その温度は使用するポリオレフィン、良溶媒及び貧
溶媒の種類及び割合に応じて140 〜250 ℃の範囲で適宜
設定すればよい。また、ポリオレフィン溶液の濃度は、
混合溶媒中の貧溶媒の割合が増加するとともに溶解可能
な濃度は減少していく傾向を示すが、一般に10〜50重量
%、好ましくは10〜40重量%である。濃度が10重量%未
満では、使用する溶媒量が多く経済的でないばかりか、
シート状に成形する際に、ダイス出口で、スウェルやネ
ックインが大きくシートの成形が困難となる。一方、濃
度が50重量%を超えると、均一な溶液の調製が困難とな
る。なお、加熱溶解にあたってはポリオレフィンの酸化
を防止するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
スから押し出して成形する。ダイスは、通常長方形の口
金形状をしたシートダイスが用いられるが、2重円筒状
のインフレーションダイス等も用いることができる。シ
ートダイスを用いた場合のダイスギャップは通常0.1 〜
5mmであり、押出し成形温度は、良溶媒及び貧溶媒の種
類及び割合に応じて140 〜250 ℃の範囲内で適宜設定す
る。特に混合溶媒中の貧溶媒の割合が増加するとともに
押出し成形温度は上昇させるのが好ましい。この際押し
出し速度は、通常20〜30cm/分乃至2〜3m/分であ
る。
液は、冷却することによりゲル状物に成形される。冷却
は少なくともゲル化温度以下までは50℃/分以上の速度
で行うのが好ましい。一般に冷却速度が速いと、得られ
るゲルの高次構造が粗くなり、それを形成する擬似細胞
単位も大きなものとなるが、冷却速度が遅いと、密な細
胞単位となる。これは、結晶化する前に良溶媒と貧溶媒
とが相分離し、ポリオレフィンの濃度の濃厚層と、希薄
層とを生じるためであると考えられる。従って、冷却速
度を調整することにより、得られる微多孔膜の孔径を変
化させることができるが、冷却速度が50℃/分未満で
は、結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状物となりに
くい。冷却方法としては、冷風、冷却水、その他の冷却
媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接
触させる方法等を用いることができる。なおダイスから
押し出された溶液は、冷却前あるいは冷却中に、1〜10
好ましくは1〜5の引取比で引き取っても良い。引取比
が10以上になるとネックインが大きくなり、また延伸時
に破断を起こしやすくなり好ましくない。
伸は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロー
ル法、インフレーション法、圧延法もしくはこれらの方
法の組合せによって所定の倍率で行う。延伸は1軸延伸
でも2軸延伸でもよいが、2軸延伸が好ましい。また2
軸延伸の場合、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれで
もよいが、特に同時2軸延伸が好ましい。
以下、好ましくは結晶分散温度から結晶融点未満の範囲
である。例えば、超高分子量ポリエチレン含有ポリエチ
レン組成物の場合は90〜140 ℃で、より好ましくは、10
0 〜130 ℃の範囲である。延伸温度が融点+10℃を超え
る場合は、樹脂の溶融により延伸による分子鎖の配向が
できない。また、延伸温度が結晶分散温度未満では、樹
脂の軟化が不十分で、延伸において破膜し易く、高倍率
の延伸ができない。
るが、1軸方向で少なくとも2倍以上、好ましくは3〜
30倍、面倍率で10倍以上、好ましくは15〜400 倍であ
る。面倍率が10倍未満では延伸が不十分で高弾性、高強
度の微多孔膜が得られない。一方、面倍率が400 倍を超
えると、延伸装置、延伸操作などの点で制約が生じる。
する溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩
化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフ
ッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエ
ーテル類などの易揮発性のものを用いることができる。
これらの溶剤はポリオレフィンの溶解に用いた溶媒に応
じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。洗浄方
法は、溶剤に浸漬し抽出する方法、溶剤をシャワーする
方法、またはこれらの組合せによる方法などにより行う
ことができる。
溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を
乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は、加熱乾燥、熱風に
よる風燥、加熱ロールに接触させる、加熱媒体に浸漬す
る等の方法で行うことができる。乾燥した延伸成形物
は、結晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが
望ましい。
分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが望まし
い。さらに必要に応じて、プラズマ照射、界面活性剤含
浸、表面グラフト等で親水化処理することができる。
微多孔膜は、空孔率が35〜95%で、平均貫通孔径が0.05
〜0.2 μmで、かつ破断強度が200 kg/cm2 以上、好ま
しくは500 〜5,000g/cm2 である。さらに孔径分布 (最
大孔径/平均貫通孔径)の値が1.5 未満とシャープであ
り、精密な濾過を効率よく行うことができる。なお、孔
径分布において最大孔径とは、プルラン溶液の阻止率が
90%の時の値をもとにしてフローリの理論を利用して、
算出した値である。また本発明のポリオレフィン微多孔
膜の厚さは、用途に応じて適宜選択しうるが、一般に0.
1 〜50μmであり、好ましくは2〜40μmである。
分子量分布が広い(重量平均分子量/数平均分子量が大
きい)ポリオレフィンを相分離を起こしうる良溶媒と貧
溶媒との混合溶媒に加熱下に溶解し、その溶液を急冷す
ることにより、相分離させた後、結晶化させて、ゲル状
シートを成形し、得られたゲル状シートに特定の温度で
少なくとも1軸方向に延伸を施すことにより微多孔膜を
製造しているので、得られる微多孔膜は、適度な大きさ
の孔径を有し、孔径分布がシャープである。
は、必ずしも明らかではないが、ゲル状シートはラメラ
が積層し、細胞壁のような構造となっており、そのラメ
ラ間が延伸によって開裂することにより、多数のフィブ
リルを生じ、その結果微多孔が形成されるが、本発明の
方法においては、ポリオレフィンとして超高分子量成分
を所定以上含有し、分子量分布が所定の範囲内にあるも
のを使用するとともに、それを溶解する溶媒を良溶媒と
貧溶媒との混合溶媒とすることにより、ゲル状シート成
形直前における急冷工程で、両溶媒が相分離し、これに
よりポリオレフィン濃度の濃厚相と、希薄層とが生じ
る。この結果、ゲル状シート中のポリオレフィンの濃厚
な部分では分子鎖の絡み合いが多数保持されることにな
り、従来より大きな単位で分子鎖が絡み合った状態 (擬
似的に太い繊維と考えられる) が延伸によりフィブリル
化して微多孔が形成されるので、適度な大きさを有し、
孔径分布がシャープとなるものと考えられる。
における試験方法は次の通りである。 (1) 分子量及び分子量分布:ウォーターズ(株)製のGP
C 装置を用い、カラムに東ソー(株)製GMH-6 、溶媒に
O-ジクロルベンゼンを使用し、温度135 ℃、流量1.0 ml
/ 分にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)法により測定。 (2) フィルムの厚さ:断面を走査型電子顕微鏡により測
定。 (3) 透気度:JIS P8117 に準拠。 (4) 平均孔径:平膜モジュールを用いて、380 mmHgの差
圧下で0.05重量%のプルラン(昭和電工(株)製) の水
溶液を循環させ、濾液中に含まれるプルランの濃度を示
差屈折率測定から求め、下記の式(1) により阻止率が50
%になるプルランの分子量を計算し、その値から、下記
Flory の式(2) 、(3) により、孔径を算出した。 プルランの阻止率={1−(濾液中のプルラン濃度 /原
液中のプルラン濃度)}×100 ・・・(1) 溶液状態にある鎖状高分子は球状の糸まり状で、その直
径d は、分子鎖の両末端の2乗平均距離〈γ2 〉に対し
て、近似的に 〔d/2 〕2 =〈γ2 〉・・・(2) の関係にあると考えられる。高分子溶液における粘性と
分子鎖の広がりに関するFlory の理論によると、高分子
の種類に無関係に 〔η〕M=2.1 ×1021〈γ2 〉3/2 ・・・(3) が成立するので、式(2) 及び(3) により、固有粘度
〔η〕の測定値と、阻止率が50%になる分子量Mとか
ら、鎖状高分子の直径d を算出することができる。この
dをポリエチレン微多孔膜の平均孔径とした。 (5) 孔径分布:上記(4) と同じ方法により、阻止率が90
%となるプルランの分子量の値から同様に孔径を算出し
て最大孔径とし、この最大孔径の値を用いて、最大孔径
÷平均孔径の値により算出した。 (6) 空孔率:水銀ポロシメータで測定。 (7) 破断強度:幅10mmの短冊状試験片に対して、ASTM D
882 に準拠して測定。
エチレン2重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5のポリエチレン13重量部とを混合してMw/Mn=13
の原料樹脂を作成し、これを流動パラフィン (64cst/40
℃)76.5 重量部と、ひまし油8.5 重量部とからなる混合
溶媒に溶解して、ポリエチレン組成物の溶液を調製し
た。次にこのポリエチレン組成物の溶液100重量部に、
2,6-ジ-t-ブチル-p- クレゾール (「BHT 」、住友化学
工業(株)製)0.125重量部と、テトラキス〔メチレン-3
-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピ
オネート〕メタン (「イルガノックス1010」、チバガイ
ギー製)0.25 重量部とを酸化防止剤として混合した。こ
の混合液を撹拌機付のオートクレーブに充填して、210
℃で90分間撹拌し、均一な溶液を得た。
℃のTダイから押出し、5℃に冷却した冷却ロールで引
取りながらゲル状シートを成形した。
度115 ℃、製膜速度2.5 m/分で5×5倍に同時二軸延
伸を行った。得られた延伸膜を塩化メチレンで洗浄して
残留する流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥して厚
さ25μmのポリエチレン微多孔膜を得た。このポリエチ
レン微多孔膜の製造条件を第1表に示す。このポリエチ
レン微多孔膜の膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均
孔径及び孔径分布の測定を行った。結果を第2表に示
す。
レン(重量平均分子量8.2 ×105 、重量平均分子量/数
平均分子量=28.8、分子量7×105 以上の成分の割合40
重量%) 15重量部を用いた以外は同様にして、ポリエチ
レン微多孔膜を製造した。このポリエチレン微多孔膜の
製造条件を第1表に示す。またポリエチレン微多孔膜の
膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及び孔径分
布の測定を行った。結果を第2表に示す。
エチレン2重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5のポリエチレン13重量部とを混合してMw/Mn=13
の原料樹脂を作成し、これを流動パラフィン80.75 重量
部と、ひまし油4.25重量部とからなる混合溶媒に溶解し
て、ポリエチレン組成物の溶液を調製した。次にこのポ
リエチレン組成物の溶液100 重量部に、2,6-ジ-t- ブチ
ル-p- クレゾール (「BHT 」、住友化学工業(株)製)
0.125重量部と、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-
ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピオネート〕メ
タン(「イルガノックス1010」、チバガイギー製)0.25
重量部とを酸化防止剤として混合した。この混合液を撹
拌機付のオートクレーブに充填して、200 ℃で90分間撹
拌し、均一な溶液を得た。
℃のTダイから押出し、5℃に冷却した冷却ロールで引
取りながらゲル状シートを成形した。
ポリエチレン微多孔膜を製造した。このポリエチレン微
多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポリエチレン微
多孔膜の膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及
び孔径分布の測定を行った。結果を第2表に示す。
エチレン2重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5のポリエチレン13重量部とを混合してMw/Mn=13
の原料樹脂を作成し、これを混合溶媒を流動パラフィン
76.5重量部、ポリエチレングリコール8.5 重量部とから
なる混合溶媒に溶解して、ポリエチレン組成物の溶液を
調製した。次にこのポリエチレン組成物の溶液100 重量
部に、2,6-ジ-t- ブチル-p- クレゾール (「BHT 」、住
友化学工業(株)製)0.125重量部と、テトラキス〔メチ
レン-3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-
プロピオネート〕メタン (「イルガノックス1010」、チ
バガイギー製)0.25 重量部とを酸化防止剤として混合し
た。この混合液を撹拌機付のオートクレーブに充填し
て、220 ℃で90分間撹拌し、均一な溶液を得た。
℃のTダイから押出し、5℃に冷却した冷却ロールで引
取りながらゲル状シートを成形した。
ポリエチレン微多孔膜を製造した。このポリエチレン微
多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポリエチレン微
多孔膜の膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及
び孔径分布の測定を行った。結果を第2表に示す。
エチレン1重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5のポリエチレン19重量部とを混合してMw/Mn=23
の原料樹脂を作成し、これを流動パラフィン (64cst/40
℃) 72重量部と、ひまし油8重量部とからなる混合溶媒
に溶解して、ポリエチレン組成物の溶液を調製した。こ
のポリエチレン組成物の溶液を用いて、実施例1と同様
にしてポリエチレン微多孔を製造した。このポリエチレ
ン微多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポリエチレ
ン微多孔膜の膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔
径及び孔径分布の測定を行った。結果を第2表に示す。
エチレン2重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5のポリエチレン13重量部とを混合してMw/Mn=13
の原料樹脂を作成し、これを流動パラフィン68重量部
と、ひまし油17重量部とからなる混合溶媒とを混合し、
ポリエチレン組成物の溶液を調製した。次にこのポリエ
チレン組成物の溶液100 重量部に、2,6-ジ-t- ブチル-p
- クレゾール (「BHT 」、住友化学工業(株)製)0.125
重量部と、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t- ブチル
-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピオネート〕メタン
(「イルガノックス1010」、チバガイギー製)0.25 重量
部とを酸化防止剤として混合した。この混合液を撹拌機
付のオートクレーブに充填して、215 ℃で90分間撹拌
し、均一な溶液を得た。
℃のTダイから押出し、5℃に冷却した冷却ロールで引
取りながらゲル状シートを成形した。
ポリエチレン微多孔膜を製造した。このポリエチレン微
多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポリエチレン微
多孔膜の膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及
び孔径分布の測定を行った。結果を第2表に示す。
レン(重量平均分子量7.5 ×105 、重量平均分子量/数
平均分子量=71、分子量7×105 以上の成分の割合25重
量%) 15重量部を用いた以外は同様にして、ポリエチレ
ン微多孔膜を製造した。このポリエチレン微多孔膜の製
造条件を第1表に示す。またポリエチレン微多孔膜の膜
厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及び孔径分布
の測定を行った。結果を第2表に示す。
エチレン1重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5のポリエチレン19重量部とを混合してMw/Mn=190
の原料樹脂を作成し、これを流動パラフィン (64cst/4
0℃) 72重量部と、ひまし油8重量部とからなる混合溶
媒に溶解して、ポリエチレン組成物の溶液を調製した。
次にこのポリエチレン組成物の溶液100 重量部に、2,6-
ジ-t- ブチル-p- クレゾール (「BHT 」、住友化学工業
(株)製)0.125重量部と、テトラキス〔メチレン-3-(3,
5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピオネ
ート〕メタン (「イルガノックス1010」、チバガイギー
製)0.25 重量部とを酸化防止剤として混合した。この混
合液を撹拌機付のオートクレーブに充填して、200℃で9
0分間撹拌し、均一な溶液を得た。
℃のTダイから押出し、5℃に冷却した冷却ロールで引
取りながらゲル状シートを成形した。
ポリエチレン微多孔膜を製造した。このポリエチレン微
多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポリエチレン微
多孔膜の膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及
び孔径分布の測定を行った。結果を第2表に示す。
重量平均分子量/数平均分子量=95、分子量7×105 以
上の成分の割合20重量%)15 重量部を、流動パラフィン
(64cst/40℃) 76.5重量部と、ひまし油8.5 重量部とか
らなる混合溶媒に溶解して、ポリエチレン組成物の溶液
を調製した。次にこのポリエチレン組成物の溶液100 重
量部に、2,6-ジ-t- ブチル-p- クレゾール (「BHT 」、
住友化学工業(株)製)0.125重量部と、テトラキス〔メ
チレン-3-(3,5-ジ-t- ブチル-4-ヒドロキシルフェニル)
-プロピオネート〕メタン (「イルガノックス1010」、
チバガイギー製)0.25重量部とを酸化防止剤として混合
した。この混合液を撹拌機付のオートクレーブに充填し
て、200 ℃で90分間撹拌し、均一な溶液を得た。
℃のTダイから押出し、5℃に冷却した冷却ロールで引
取りながらゲル状シートを成形した。
ポリエチレン微多孔膜を製造した。このポリエチレン微
多孔膜の製造条件を第1表に示す。またポリエチレン微
多孔膜の膜厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及
び孔径分布の測定を行った。結果を第2表に示す。
独で85重量部使用した以外は、同様にしてポリエチレン
微多孔膜を製造した。このポリエチレン微多孔膜の製造
条件を第1表に示す。またポリエチレン微多孔膜の膜
厚、透気度、空孔率、破断強度、平均孔径及び孔径分布
の測定を行った。結果を第2表に示す。
エチレン2重量部と、重量平均分子量(Mw)3.7 ×10
5のポリエチレン13重量部とを混合したMw/Mn=13
の原料樹脂を作成し、これを流動パラフィン38.25 重量
部と、ひまし油46.75 重量部とからなる混合溶媒に溶解
して、ポリエチレン組成物の溶液を調製した。次にこの
ポリエチレン組成物の溶液100 重量部に、2,6-ジ-t- ブ
チル-p-クレゾール (「BHT 」、住友化学工業(株)製)
0.125重量部と、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-
ブチル-4- ヒドロキシルフェニル)-プロピオネート〕メ
タン (「イルガノックス1010」、チバガイギー製)0.25
重量部とを酸化防止剤として混合した。この混合液を撹
拌機付のオートクレーブに充填して、240 ℃で90分間撹
拌したが、均一な溶液を得ることができず、ゲル状シー
ト化できなかった。
よるポリエチレン微多孔膜は、平均孔径が0.05〜0.20μ
mの範囲内で、かつ孔径分布が小さかった。これに対し
比較例1のポリエチレン微多孔膜は、平均孔径が0.05〜
0.20μmの範囲外であった。
は、超高分子量成分を含有し、分子量分布が広い(重量
平均分子量/数平均分子量が大きい)ポリオレフィンを
相分離を起こしうる良溶媒と貧溶媒との混合溶媒に加熱
下に溶解し、その溶液を急冷することにより、相分離さ
せた後、結晶化させて、ゲル状シートを成形し、得られ
たゲル状シートに特定の温度で少なくとも1軸方向に延
伸を施すことにより微多孔膜を製造しているので、得ら
れる微多孔膜は、適度な大きさの孔径を有し、孔径分布
がシャープである。
ィン微多孔膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサ
ー用隔膜、超精密濾過膜、限外濾過膜、各種フィルタ
ー、透湿防水衣料用多孔質膜等の各種用途に好適であ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 分子量7×105 以上の成分を1重量%以
上含有し、(重量平均分子量/数平均分子量)が10〜30
0 のポリオレフィン10〜50重量%と、溶媒50〜90重量%
とからなる溶液を調製し、前記溶液をダイより押出し、
冷却することにより未延伸のゲル状組成物を形成し、前
記ゲル状組成物を前記ポリオレフィンの融点+10℃以下
の温度で延伸し、しかる後残存溶媒を除去するポリオレ
フィン微多孔膜の製造方法において、前記溶媒が前記ポ
リオレフィンに対する良溶媒と、貧溶媒とからなり、良
溶媒と貧溶媒との重量比が50:50〜99:1であることを
特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34817091A JP2657441B2 (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34817091A JP2657441B2 (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05156058A true JPH05156058A (ja) | 1993-06-22 |
JP2657441B2 JP2657441B2 (ja) | 1997-09-24 |
Family
ID=18395218
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34817091A Expired - Lifetime JP2657441B2 (ja) | 1991-12-04 | 1991-12-04 | ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2657441B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4494637B2 (ja) * | 1998-10-01 | 2010-06-30 | 東燃化学株式会社 | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 |
JP4494638B2 (ja) * | 1998-10-01 | 2010-06-30 | 東燃化学株式会社 | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 |
-
1991
- 1991-12-04 JP JP34817091A patent/JP2657441B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4494637B2 (ja) * | 1998-10-01 | 2010-06-30 | 東燃化学株式会社 | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 |
JP4494638B2 (ja) * | 1998-10-01 | 2010-06-30 | 東燃化学株式会社 | ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法 |
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---|---|
JP2657441B2 (ja) | 1997-09-24 |
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