JPH05155518A - 印刷機の折り込み装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷紙の損傷防止と、円滑な折り込みを行う
ことにより品質の向上と機械稼動率の向上を図る。 【構成】 移送される印刷紙の折り込み位置を決める前
当て板を印刷紙の移送方向に沿って前後動する自動前当
て板移動機構部と、これを自動制御する制御装置を設
け、印刷紙が前記前当て板に当接する直前でクランクチ
ョッパにより折り込まれるように前記前当て板の自動位
置調整を行うもの。 【効果】 品質の向上、機械稼動率及び生産性の向上。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンベアで移送された
印刷紙を前当て板に当接して折り込みする折り込み装置
に係り、特に印刷紙の前当て板との当接による損傷を防
止するに好適な印刷機の折り込み装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】オフセット輪転印刷機等の印刷機におい
て、印刷紙の折り込み装置には各種型式のものがある。
そのうち、コンベア上を高速で移送されてきた印刷紙を
前当て板に当て、その状態でクランクチョッパで折り込
む型式の折り込み装置がある。その装置では、印刷紙は
コンベア上を高速で移送され、所定位置に設けられた前
当て板にその端面を当接して移送方向の位置決めがなさ
れ、往復動するクランクチョッパによりその位置で折り
込まれて折丁となり、折り込みローラ及び羽根車等を介
して次のコンベア側に送られて次工程側に移送される。
そして、その装置では、印刷紙の形状，紙質，紙厚，絵
柄等の内容に対応して前記前当て板の位置を変える必要
性があるため、前記前当て板は前後動可能に固定側に固
持されているが、その移動はもっぱら手動によって行わ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記折り込み装置の場
合、印刷紙はコンベア上を極めて高速で移送され、例え
ば、１分間に約５００部の折り込みがクランクチョッパ
により行われる。そのため、印刷紙は前記前当て板にか
なりの勢いで衝突する。その結果、印刷紙の端面が損傷
するという問題点がある。更に、前記前当て板に衝突す
ることにより印刷紙が跳ね返され、折り込み位置にずれ
が生じ、折丁が次工程側に位置ずれした状態で移送され
るという問題点がある。かかる問題点の解決方法とし
て、前記前当て板の当接部を弧状にしたり、その材質を
工夫したりすることが提案されたが、何れも大きな効果
を得られなかった。一方、クランクチョッパの往復動と
関連づけして前記前当て板を手動で前後動させ、印刷紙
の端面の損傷を極力低減するように位置調整することは
技術的に可能であるが、その位置調整はオペレータの勘
に頼るほかなく、高度の熟練を必要とするとともに、多
大な調整時間を必要とし、機械稼動率を低下させるとい
う問題点がある。

【０００４】本発明は、以上の問題点を解決するもの
で、印刷紙の損傷がなく、位置ずれを生ずることもな
く、高速、かつ円滑な折り込みを容易に行うことが出来
て機械稼動率を向上し得るとともに、調整位置の再現性
が可能な印刷機の折り込み装置を提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するために、コンベアで移送される印刷紙を前当て
板で受けながらクランクチョッパで折り込み、折丁とし
て次工程側に移送する折り込み装置において、前記前当
て板を前記コンベアの移動方向に沿って前後動させる自
動前当て板移動機構部と、該自動前当て板移動機構部を
自動制御する制御装置とを設け、前記印刷紙が前記前当
て板に当接する直前に前記クランクチョッパが折り込み
動作すべく前記前当て板を位置決めし、該位置を前記制
御装置に記憶するようにした印刷機の折り込み装置を構
成するものである。

【０００６】

【作用】コンベア上を高速で移送される印刷紙の端面を
損傷せず、かつクランクチョッパによる折り込みを円滑
に行うには、印刷紙が前当て板に当る直前に折り込みを
行えばよいことが高速カメラ等を用いた動作観察により
判明した。本発明はこの動作観察の成果に基づく。前当
て板は自動前当て板移動機構部に設けられ、該機構部は
制御装置により自動制御される。そのため、印刷紙の形
状，紙質等の内容に対応して、印刷紙が前当て板に当る
直前に折り込みを行える位置に、前当て板を自動位置決
め調整することが出来る。自動調整された前当て板の位
置は、印刷紙の形状，紙質等の内容に対応して、制御装
置内に記憶される。そのため、同一内容の印刷紙に対し
調整位置の再現が容易に行える。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。図１は本実施例の全体構造を示す正面図、図２は
図１の上面図、図３は図１の側面図である。図１に示す
ように、折り込み装置１は、前当て板７を有する自動前
当て板移動機構部２と、それを制御する制御装置３と、
クランクチョッパ４と、それ等に付設される折り込みロ
ーラ５と、羽根車６等からなり、印刷紙１０はコンベア
８により移送され、折り込まれた後にコンベア９により
次工程側に移送される。

【０００８】まず、図１乃至図３により自動前当て板移
動機構部２の構造を説明する。前当て板７は複数個（図
示では７個）の前当て板部１１とそれを固着する支持板
１２とからなり、支持板１２は印刷紙１０の横巾にほぼ
相当する巾寸法を有し、断面がＬ形状の部材から形成さ
れる。支持板１２は連結ピン１３を介して摺動ねじ部材
１４に固定される。摺動ねじ部材１４は本体ケース１５
にコンベア８の移動方向に沿って前後動可能に支持され
る。なお、本体ケース１５はロッド１６を介して機械の
固定側１７に固持される。摺動ねじ部材１４の内部に螺
刻される雌ねじ部１８には先端部に傘歯車１９を設けた
ねじロッド２０が螺合する。ねじロッド２０は本体ケー
ス１５に固持されたブッシュ２１等によりその軸線方向
の移動を拘束されて配置される。本体ケース１５には両
端に傘歯車２２，２３を設けた駆動軸２４が枢支され、
駆動軸２４の傘歯車２２はねじロッド２０の傘歯車１９
に噛合する。一方、モータ２５は本体ケース１５に固定
され、その回転軸に固定された傘歯車２６は駆動軸２４
の傘歯車２３に噛合する。以上の構造によりモータ２５
を駆動することにより傘歯車２６，２３，２２，１９を
介してねじロッド２０が回転し、それに螺合する摺動ね
じ部材１４をその軸線方向に沿って前後動し、前当て板
７を前後動させる。

【０００９】制御装置３は自動前当て板移動機構部２の
モータ２５と連結し、モータ２５の回転を自動制御す
る。また、制御装置３は、印刷紙１０の内容に対応して
前当て板７を調整移動した調整位置が印刷紙１０の内容
とともに記憶されるように構成されている。なお、図に
示していないが制御装置３側には、前当て板７の現位置
を表示する表示手段が付設されてもよい。

【００１０】クランクチョッパ４は印刷紙１０の折り込
み位置に配置されるチョッパ板２７と、支持ブラケット
２８と、チョッパ板２７と支持ブラケット２８間に補強
されて架設されるアーム部２９と、支持ブラケット２８
に固着し、コンベア８の移動方向と平行に配設される揺
動ロッド３０等から構成される。図１に示すように、揺
動ロッド３０は揺動手段３１により所定角度範囲で揺動
する。揺動ロッド３０が揺動するとチョッパ板２７が上
下動し、印刷紙１０の折り込みが行われる。

【００１１】折り込みローラ５は相対向して配置される
一対のローラ３２，３２からなり、ローラ３２，３２は
回転駆動部３３に連結するローラ駆動軸３４，３４に支
持され、図３に示すように間隙３５を介して内廻り方向
に回転自在に支持される。なお、ローラ３２，３２はコ
ンベア８の真下に配置されるとともに、その間隙３５は
チョッパ板２７とほぼ一致する位置に形成される。

【００１２】羽根車６は折り込みローラ５の真下に配置
され、折り込まれた折丁１０ａを保持する多数枚の羽根
３６を設けたものからなり、回転駆動源３７に連結する
回転軸３８により回転駆動される。また、羽根車６の下
方側には羽根車６によって運ばれた折丁１０ａを受け取
って次工程側に移送するコンベア９が配置される。

【００１３】次に、図４により本実施例の前当て板７の
位置調整方法について説明する。コンベア８上を移送さ
れてきた印刷紙１０の前端部Ａがチョッパ板２７の後端
部Ｂとほぼ一致する位置にきた場合に前端部Ａと前当て
板７の前当て板部１１の前面Ｃとの間隔をｂとする。ま
た、最上部にあるチョッパ板２７の下端部Ｄと印刷紙１
０の下面Ｅとの間の間隔をａとする。一方、印刷紙１０
の移送速度（コンベア８の速度）をＶ₂ とし、チョッパ
板２７の上下の移動速度をＶ₁ とする。この場合、前当
て板部１１の前面Ｃの位置はａ／Ｖ₁ ≦ｂ／Ｖ₂ を満足
する場所に自動調整される。すなわち、図４の状態にお
いて、印刷紙１０が前当て板部１１の前面Ｃに当接する
までの時間ｔ₂ ＝ｂ／Ｖ₂ をチョッパ板２７が印刷紙１
０を折り込み始める時間ｔ₁ ＝ａ／Ｖ₁ に等しいか又は
やや長くし、印刷紙１０が前当て板部１１に当接する直
前にチョッパ板２７による折り込みが開始するように位
置調整する。ｔ₂ をｔ₁ よりどの位長くすればよいかは
現場において印刷紙１０の端面の当り具合や跳ね返り方
等を見ながら実験的に決められる。以上のようにして調
整位置決めされた前当て板部１１の位置は前記したよう
に、印刷紙１０の内容とともに制御装置３内に記憶され
る。

【００１４】次に、本実施例の全体の作用を説明する。
前記したように、まず、制御装置３により自動前当て板
移動機構部２を動作し、移送される印刷紙１０に見合う
位置に前当て板７の前当て板部１１を位置決め固定す
る。コンベア８上に搭載された印刷紙１０は前当て板７
側に向かって高速で移送される。前記したように、前当
て板部１１の前面Ｃに当接する直前において、クランク
チョッパ４のチョッパ板２７の真下に移送された印刷紙
１０はチョッパ板２７により折り込まれて折丁１０ａと
なり、折り込みローラ５のローラ３２，３２間の間隙３
５内に押し込まれ、互いに内廻りするローラ３２，３２
により吸い込まれて下降する。折り込みローラ５の下方
には羽根車６が配置され、その羽根３６，３６間に折丁
１０ａが落下しながら挿入し得るように形成されている
ため、折丁１０ａは羽根車６により保持されて回転移送
される。回転移送された折丁１０ａは邪魔板３９により
後退を拘束された状態でコンベア９側に引き渡しされ、
コンベア９により次工程側に移送される。以上により、
コンベア８により移送された印刷紙１０は前当て板７に
衝突して損傷することなく折り込まれて折丁１０ａとし
て次工程側に円滑に移送される。

【００１５】印刷紙１０の形状，紙質，紙厚，絵柄等が
変った場合には、制御装置３により前記と同様に自動前
当て板移動機構部２を動作し、前当て板７の位置調整を
行えばよい。また、以前に流した印刷紙１０を再び折り
込む場合には、制御装置３内に記憶してある前当て板７
の位置を呼び出し、その位置に前当て板７を自動調整位
置決めすればよい。

【００１６】本実施例において自動前当て板移動機構部
２は図１に示した構造のものを採用したが、この構造に
限定するものではない。また、装置の各構成要素の細部
構造も図示のものに限らず、公知の技術が適用される。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、次のような顕著な効果
を奏する。 （１）印刷紙が前当て板に当接する直前にクランクチョ
ッパにより折り込まれるため、印刷紙の端面の損傷が生
じない。それにより、品質の向上が図れる。 （２）印刷紙が前当て板に衝突して跳ね返ることがない
ため、印刷紙の折り込み位置が安定し、位置ずれのない
状態で次工程側に送られる。 （３）前当て板の位置調整が自動的に、かつ迅速に行わ
れるため、調整時間が短縮され、機械稼動率が向上する
とともに生産性の向上が図れる。 （４）前当て板の位置が制御装置に記憶されるため、再
現性があり、同一種類の印刷紙を後に折り込む場合に前
当て板の位置決めが極めて簡単に行える。 （５）オペレータの勘による位置調整がなくなり、高度
の熟練を有するオペレータが不要となり、オペレータの
巾が広がる。 （６）装置構造が比較的簡単で、安価に実施出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の全体構造を示す正面図であ
る。

【図２】図１の上面図である。

【図３】図１の側面図である。

【図４】同実施例の前当て板の位置調整方法を説明する
ための説明用正面図である。

【符号の説明】

１ 折り込み装置 ２ 自動前当て板移動機構部 ３ 制御装置 ４ クランクチョッパ ５ 折り込みローラ ６ 羽根車 ７ 前当て板 ８ コンベア ９ コンベア １０ 印刷紙 １０ａ 折丁 １１ 前当て板部 １２ 支持板 １３ 連結ピン １４ 摺動ねじ部材 １５ 本体ケース １６ ロッド １７ 固定側 １８ 雌ねじ部 １９ 傘歯車 ２０ ねじロッド ２１ ブッシュ ２２ 傘歯車 ２３ 傘歯車 ２４ 駆動軸 ２５ モータ ２６ 傘歯車 ２７ チョッパ板 ２８ 支持ブラケット ２９ アーム部 ３０ 揺動ロッド ３１ 揺動手段 ３２ ローラ ３３ 回転駆動部 ３４ ローラ駆動軸 ３５ 間隙 ３６ 羽根 ３７ 回転駆動源 ３８ 回転軸 ３９ 邪魔板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンベアで移送される印刷紙を前当て板
   で受けながらクランクチョッパで折り込み、折丁として
   次工程側に移送する折り込み装置において、前記前当て
   板を前記コンベアの移動方向に沿って前後動させる自動
   前当て板移動機構部と、該自動前当て板移動機構部を自
   動制御する制御装置とを設け、前記印刷紙が前記前当て
   板に当接する直前に前記クランクチョッパが折り込み動
   作すべく前記前当て板を位置決めし、該位置を前記制御
   装置に記憶することを特徴とする印刷機の折り込み装
   置。