JPH05151565A - 磁気記録媒体の製造方法および基板研磨装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法および基板研磨装置

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JPH05151565A
JPH05151565A JP31681991A JP31681991A JPH05151565A JP H05151565 A JPH05151565 A JP H05151565A JP 31681991 A JP31681991 A JP 31681991A JP 31681991 A JP31681991 A JP 31681991A JP H05151565 A JPH05151565 A JP H05151565A
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JP
Japan
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substrate
polishing
magnetic recording
tape
recording disk
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Application number
JP31681991A
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English (en)
Inventor
Shoji Sakaguchi
庄司 坂口
Hiroyuki Nakamura
裕行 中村
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テクスチャリング工程によって発生した異常
突起を効率よく除去して、摩擦特性および浮上特性を向
上可能な磁気記録媒体の製造方法および基板研磨装置を
実現すること。 【構成】 テクスチャー加工後の磁気記録ディスク用基
板1a表面から異常突起を除去するために、基板研磨装
置11においては、磁気記録ディスク用基板1aを基板
回転機構12により回転させた状態で、テープ支持ロー
ラ14a,14bに支持された研磨テープ13の背面側
に空気噴射口15aから空気流を噴射し、それらを接触
させて基板面の最表層を研磨する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体の製造方法
および基板研磨装置に関し、特に、磁気記録媒体表面の
摩擦特性および浮上特性の向上技術に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンピュータの外部記憶装置で
ある固定磁気記録装置などに搭載される磁気記録ディス
ク(磁気記録媒体)は、Ni−Pなどの無電解めっき層
が形成された磁気記録ディスク用基板と、その表面側に
形成された磁性層と、その表面保護層などから構成され
ており、その表面状態は磁気記録ディスクの記録密度お
よび信頼性を大きく支配する。たとえば、磁気記録ディ
スク表面と、この表面上をコンタクトスタートストップ
(CSS)される磁気ヘッドとの摩擦係数が大きい場合
には、磁気記録ディスク表面に磁気ヘッドが吸着しやす
く、磁気ヘッドのドライブ機構の破損または磁気記録デ
ィスクが回転不能というトラブルが発生しやすくなる。
そこで、磁気記録ディスク用基板の表面側には、鏡面加
工が施された後に、微細な溝状の凹凸(テクスチャー)
を形成するテクスチャリング工程が施される。このよう
にして形成されたテクスチャーの凹凸は、その表面側に
磁性層や表面保護層が形成されても、磁気記録ディスク
の表面に反映されるため、その摩擦特性(潤滑特性)を
改善する。
【0003】ここで、テクスチャリング工程において
は、磁気記録ディスク用基板表面に向けて、研磨テープ
(テクスチャリングテープ)をその背面側からゴムロー
ラによって押圧して、研磨テープの研磨面と磁気記録デ
ィスク用基板表面とを接触させ、この状態で、磁気記録
ディスク用基板を円周方向に回転させることによって、
その基板面に溝状のテクスチャーを形成する。この間、
研磨テープと磁気記録ディスク用基板表面との間には研
磨液が供給されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
磁気記録ディスクの製造方法においては、テクスチャリ
ング工程を施した後の磁気記録ディスク用基板の表面上
には、テクスチャーを研削形成したときに発生したばり
としての凹凸の突出部分(以下、異常突起と称す。)が
存在するため、磁気記録ディスク表面に反映された異常
突起と磁気ヘッドとが衝突しないように、磁気ヘッドの
浮上距離を大きく確保せざるを得ない。ここで、磁気ヘ
ッドの浮上距離が小さい場合には、磁気記録ディスクの
記録トラックの幅を狭めることができるので、その記録
容量の向上を図ることが可能になるが、従来の磁気記録
ディスクにおいては、この浮上距離を圧縮することがで
きないため、磁気記録ディスクを高密度記録化できない
という問題点がある。
【0005】そこで、前述のテクスチャリング工程に続
いて、砥粒の粒径が小さな研磨テープを用いて第2段の
テクスチャリング工程を行う方法が採用されている。こ
の工程においても、磁気記録ディスク用基板表面に向け
て、研磨テープをその背面側からゴムローラによって押
圧して、研磨テープの研磨面と磁気記録ディスク用基板
表面とを接触させた状態で行われる。しかしながら、第
1段および第2段のテクスチャリング工程も、基本的に
は研磨機構を有するものであって、砥粒が小さくとも、
研削時にばりが発生することを避けることができない。
すなわち、凹凸を研削形成する能力は高いが、研磨する
能力は低い。従って、異常突起を完全に除去するには、
磁気記録ディスク用基板を厚く研削する必要があるた
め、第1段のテクスチャリング工程により形成したテク
スチャーが消失しやすく、磁気記録ディスクの摩擦特性
が犠牲になってしまうという問題がある。
【0006】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
テクスチャー自身を消失させることなく、異常突起のみ
を効率よく除去することによって、摩擦特性および浮上
特性のいずれをも向上可能な磁気記録媒体の製造方法お
よび基板研磨装置を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するたの手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法において講じ
た手段は、非磁性体からなる磁気記録媒体用基板のテク
スチャー加工が施された基板面に向けて、研磨テープを
その背面側に噴射された気体流の流体圧力によって押圧
し、研磨テープの研磨面と基板面とを接触させた状態で
それらを相対的に移動させて基板面の最表層を研磨する
表層研磨工程を行うことである。
【0008】ここで、表層研磨工程を、基板面および研
磨テープの研磨面が乾燥している状態で行うことが好ま
しい。
【0009】このような表層研磨工程を実施可能とする
ために、本発明に係る基板研磨装置には、円板状の基板
を支持した状態でそれを円周方向に回転させる基板回転
手段と、この基板回転手段に支持された基板の基板面に
所定の間隔をもって研磨テープの研磨面が対向するよう
に、研磨テープをその長手方向の少なくとも2ヶ所で支
持するテープ支持手段と、このテープ支持手段に支持さ
れた研磨テープの背面側に向けて気体流を噴射して、そ
の研磨面と基板面とを接触させる噴射口を備える気体流
噴射手段と、テープ支持手段に支持された研磨テープを
その長手方向に送り出すテープ送り出し手段とを設けて
ある。
【0010】ここで、研磨テープの幅が狭くても基板表
面全体を研磨可能なように、前述の基板研磨装置に、テ
ープ支持手段と基板とを相対的に移動させて、研磨テー
プを基板の半径方向に往復移動させる往復移動機構も設
けておくことが好ましい。
【0011】
【作用】本発明においては、テクスチャーが形成された
磁気記録媒体用基板の表面に向けて、研磨テープをその
背面側に噴射された気体流の流体圧力を利用して押圧す
ることにより、研磨テープの研磨面と磁気記録媒体用基
板の基板面とを接触させて研磨を行うため、研磨中にお
いて、研磨テープの研磨面は、磁気記録媒体用基板の基
板面に緩く弾接した状態にあり、磁気記録媒体用基板表
面の凹凸に対応して可動な状態にある。このため、研磨
中にばりが発生せず、その研磨する能力が高い。従っ
て、磁気記録媒体用基板表面を表層側のみを除去するだ
けで、異常突起を完全に除去することができるので、テ
クスチャーが消失することがなく、磁気記録媒体の摩擦
特性および浮上特性のいずれもが向上する。
【0012】
【実施例】次に、添付図面に基づいて、本発明の実施例
に係る磁気記録ディスクおよびその製造方法を説明す
る。
【0013】図3は本発明の実施例に係る磁気記録ディ
スクを切り欠いて示す概略斜視図である。
【0014】図において、1は3.5インチの磁気記録
ディスク(磁気記録媒体)であり、この磁気記録ディス
ク1を形成するための磁気記録ディスク用基板1aは、
その基体たるアルミニウム合金基板2の両面側に、第1
の下地金属層たるNi−Pめっき層3が無電解めっきに
より形成されたものである。この磁気記録ディスク1に
おいては、磁気記録ディスク用基板1aの表面側に、第
2の下地金属層たるCr層4と、その表面側にスパッタ
形成された磁性層たるCo合金層5と、その表面側にス
パッタ形成された表面保護層としてのアモルファスカー
ボン層6とを有している。さらに、アモルファスカーボ
ン層6の表面には潤滑剤層が塗布されている。ここで、
Ni−Pめっき層3の表面には、鏡面加工された後に形
成された微細な凹凸(テクスチャー)を有し、これらの
凹凸は磁気記録ディスク1の表面にまで反映されてい
る。しかも、Ni−Pめっき層3の表面には、テクスチ
ャーを形成するときに生じた異常突起は表層研磨工程に
より完全に除去されている。
【0015】従って、本例の磁気記録ディスク1におい
ては、磁気ヘッドの浮上距離を圧縮でき、磁気記録ディ
スク1の記録トラックを高密度化して、その高記録容量
化が可能になっている。また、テクスチャーによって、
その表面の摩擦特性が改善されており、磁気記録ディス
ク1の表面上で磁気ヘッドがCSSされても、磁気ヘッ
ドが磁気記録ディスク1の表面に吸着しにくいので、磁
気ヘッドのドライブ機構の損傷や磁気記録ディスク1の
回転不能というトラブルが発生しにくくなっている。
【0016】このような構成の磁気記録ディスク1の製
造方法を説明する。
【0017】なお、本例の磁気記録ディスクの製造フロ
ーは、図4に示すように、順次行われる磁気記録ディス
ク用基板形成工程31,第1の洗浄工程32,テクスチ
ャリング工程33,乾燥工程34,表層研磨工程35お
よび第2の洗浄工程36などから構成されている。
【0018】まず、磁気記録ディスク用基板形成工程3
1においては、アルミニウム合金基板2の表面に第1の
下地金属層としてのNi−Pめっき層3を約13〜14
μmの厚さにめっき形成した後に、鏡面加工(ポリッシ
ング加工)を施して、その表面を平滑化する。このよう
にして、非磁性体からなる磁気記録ディスク用基板1a
を形成する。
【0019】つぎに、第1の洗浄工程32において、磁
気記録ディスク用基板1aの表面を清浄化する。
【0020】その後に、磁気記録ディスク1表面の摩擦
特性を改善するためのテクスチャリング工程33を行
う。この工程においては、所定の粒径、たとえば平均粒
径が3μmの砥粒が固定された幅が約40mmの研磨テ
ープ(研磨部材)を用いて、磁気記録ディスク用基板1
aの表面(Ni−Pめっき層3の表面)に微細な凹凸を
形成する。この工程では、磁気記録ディスク用基板1a
を円周方向に回転させた状態で、研磨テープの研磨面を
磁気記録ディスク用基板1aに対して付勢した状態で行
う。本例においては、研磨テープの背面側を、表面の硬
度が約60°のゴムローラなどによって約2kgf/c
2 の押し付け圧力をもって押圧する。そして、研磨テ
ープを磁気記録ディスク用基板1aの表面上を半径方向
に往復移動させて、その表面全体に所定のパターンのテ
クスチャーを形成する。このとき、研磨テープを約1.
0cm/secの送り速度で移動させて、研磨テープの
新たな面で磁気記録ディスク用基板1aの表面を研磨す
る。この間、研磨テープと磁気記録ディスク用基板1a
との間には、研磨液が供給される。なお、テクスチャリ
ング工程は、一回に限らず、研磨テープの種類を変え
て、また磁気記録ディスク用基板1aと研磨テープとの
相対的な移動条件などを変えて、複数回行う場合もある
(テクスチャリング工程)。
【0021】つぎに、乾燥工程34において、磁気記録
ディスク用基板1aを洗浄した後に、それを高速回転さ
せて、乾燥させる。
【0022】本例においては、このテクスチャリング工
程に続いて、磁気記録ディスク用基板1aの表面に形成
された異常突起を除去するために、磁気記録ディスク用
基板1aの表面(Ni−Pめっき層3の表層)に対して
表層研磨工程35を行う。この表層研磨工程において
は、テクスチャリング工程のようにゴムローラによって
研磨テープを磁気記録ディスク用基板1aの表面に向け
て押圧するのではなく、研磨テープの背面側に向けて噴
出される気体流の流体圧力を用いて、研磨テープを磁気
記録ディスク用基板1aの表面に向けて押圧する。
【0023】この表層研磨工程35を説明するまえに、
この工程に用いた基板研磨装置を、図1および図2に基
づいて説明しておく。
【0024】図1は本発明に実施例に係る基板研磨装置
の要部の平面図、図2はその正面図である。
【0025】これらの図において、基板研磨装置11
は、磁気記録ディスク用基板1aを固定シャフト12a
で支持した状態で、固定シャフト12aの回転によっ
て、磁気記録ディスク用基板1aを円周方向に回転させ
る基板回転機構12(基板回転手段)と、固定シャフト
12aに支持された磁気記録ディスク用基板1aの基板
面に所定の間隔をもって研磨テープ13の研磨面13a
が対向するように、研磨テープ13をその長手方向の2
ヶ所で支持するテープ支持ローラ14a,14b(テー
プ支持手段)と、これらのテープ支持ローラ14a,1
4bに支持された研磨テープ13の背面側に向けて空気
流を噴射して、その研磨面13aと磁気記録ディスク用
基板1aの基板面とを接触させるスリット状の空気噴射
口15aを備える空気流噴射機構15(気体流噴射手
段)と、テープ支持ローラ14a,14bに支持された
研磨テープ13をその長手方向に送り出しするテープ送
り出しローラ16aおよびテープ巻取りローラ16bを
備えるテープ送り出し機構16(テープ送り出し手段)
とを有している。
【0026】この基板研磨装置11においては、テープ
支持ローラ14a,14b,空気噴射口15aおよびテ
ープ送り出し機構16はいずれも、磁気記録ディスク用
基板1aの両面側にそれぞれ配置されている。さらに、
この基板研磨装置11に用いられる研磨テープ13は、
その幅が12.7mm幅であり、磁気記録ディスク用基
板1aの半径より狭いので、テープ支持ローラ14a,
14bと空気噴射口15aとを連動して、磁気記録ディ
スク用基板1aの半径方向に往復移動させる往復移動機
構17を有している。このため、研磨テープ13は、磁
気記録ディスク用基板1aの半径方向に往復移動して、
その表面全体または所定領域を研磨可能になっている。
ここで、往復移動機構17,固定シャフト12aの回転
機構や基板保持機構,空気噴射口14aに向けて空気を
圧送する圧送機構,テープ送り出しローラ15aおよび
テープ巻取りローラ15bをステムを介して回転させる
回転駆動機構などについては一般的なものを利用してい
るので、図示を省略すると共に、それらの説明は省略す
る。
【0027】本例においては、このような構成の基板研
磨装置11を用いて、磁気記録ディスク用基板1aの生
じた異常突起を、以下のとおり除去する。
【0028】ここで、研磨テープとしては、テクスチャ
リング工程に用いた研磨テープの砥粒の粒径より小さな
粒径のものとして、平均粒径が約1μmのものを用い
た。この工程においては、図1に示すように、基板研磨
装置11のテープ支持ローラ14a,14bの間に張架
された研磨テープ13に対して、空気噴射口15aから
40×10-6cc/minの空気流18を噴射すること
によって、研磨テープ13を押圧して、研磨面13aを
磁気記録ディスク用基板1aの表面に接触させる一方、
磁気記録ディスク用基板1aを固定シャフト12aの回
転駆動によって回転させる。また、往復移動機構17に
よって、テープ支持ローラ14a,14bと空気噴射口
15aとを磁気記録ディスク用基板1aの半径方向(矢
印Pの方向)に3往復させて、研磨テープ13を磁気記
録ディスク用基板1aの半径方向に往復移動させる。こ
の間、研磨テープ13は、テープ送り出し機構16によ
って、0.03cm/secのテープ送り速度で矢印Q
の方向に送り出しされており、新たな研磨面で磁気記録
ディスク用基板1aの表面を研磨する。ここで、研磨テ
ープ13の研磨面13aは、磁気記録ディスク用基板1
aの基板面に緩く弾接した状態にあり、研磨面13aは
磁気記録ディスク用基板1aのテクスチャー形状(凹
凸)に対応して可動状態にある。このため、研磨テープ
をゴムローラによって磁気記録ディスク用基板1aの基
板面に強く押圧する場合とは異なり、その基板面に対す
る研磨効率が高く、ばりなどを発生させることない。そ
れ故、磁気記録ディスク用基板1aの表面に存在する異
常突起を効率よく除去できるので、その最表面のみを薄
く研磨するだけでよく、先に形成されたテクスチャーを
損傷することがない。(表層研磨工程)。
【0029】つぎに、第2の洗浄工程36において、磁
気記録ディスク用基板1aの表面をアルコールなどを用
いて清浄化する。
【0030】つぎに、磁気記録ディスク用基板1aの表
面上に、第2の下地金属層としての厚さ約1000Åの
Cr層4と、磁性層としての厚さ約500ÅのCo合金
層5と、表面保護層としての厚さ約200Åのアモルフ
ァスカーボン層とを、順次、スパッタ形成していく。こ
こで、スパッタ条件は、アルゴンガス圧力が10mto
rr、基板加熱温度が270℃である。しかる後に、フ
ロロカーボン系の液体潤滑剤をディップ法によって、約
20Åの膜厚さで塗布した後に、ヘッドバニッシュを行
い、磁気記録ディスク1を形成する。
【0031】このように、本例に係る磁気記録ディスク
1の製造方法においては、テクスチャーが形成された磁
気記録ディスク用基板1aの表面に向けて、研磨テープ
13をその背面側に噴射された空気流の流体圧力によっ
て押圧した状態で表層研磨工程を行うため、磁気記録デ
ィスク1の表面には異常突起がなく、また、テクスチャ
ーもテクスチャリング工程で形成された状態を維持して
いる。
【0032】つぎに、このような製造方法において、そ
の製造条件を変えて得られた磁気記録ディスク1の摩擦
特性および浮上特性を評価した結果について、説明す
る。
【0033】なお、この評価に用いた本発明の実施例に
係る磁気記録ディスクと、比較に用いた従来の磁気記録
ディスクの製造条件については、以下のとおりである。
【0034】本発明の実施例に係る第1の条件で製造し
た磁気記録ディスク(試料A)については、テクスチャ
リング工程を2回行い、第1段のテクスチャリング工程
の条件は、研磨テープの砥粒の平均粒径が約3μm、ゴ
ムローラの硬度が約60°、ゴムローラによるテープ押
し付け圧力が約2kgf/cm2 、研磨テープの送り出
し速度が約1cm/secである。また、第2段のテク
スチャリング工程の条件は、研磨テープの砥粒の平均粒
径が約1μm、ゴムローラの硬度が約40°、ゴムロー
ラによるテープ押し付け圧力が約1kgf/cm2 、研
磨テープの送り出し速度が約0.5cm/secであ
る。そして、表層研磨工程の条件は、研磨テープの砥粒
の平均粒径が約1μm、空気流の噴射量が40×10-6
cc/min、研磨テープの送り出し速度が約0.03
cm/secである。
【0035】本発明の実施例に係る第2の条件で製造し
た磁気記録ディスク(試料B)については、テクスチャ
リング工程を1回行い、そのテクスチャリング工程の条
件は、研磨テープの砥粒の平均粒径が約3μm、ゴムロ
ーラの硬度が約60°、ゴムローラによるテープ押し付
け圧力が約2kgf/cm2 、研磨テープの送り出し速
度が約1cm/secである。そして、表層研磨工程の
条件は、試料Aと同じく、研磨テープの砥粒の平均粒径
が約1μm、空気流の噴射量が40×10-6cc/mi
n、研磨テープの送り出し速度が約0.03cm/se
cである。
【0036】本発明の実施例に係る第3の条件で製造し
た磁気記録ディスク(試料C)については、テクスチャ
リング工程を2回行い、第1段のテクスチャリング工程
の条件は、研磨テープの砥粒の平均粒径が約3μm、ゴ
ムローラの硬度が約60°、ゴムローラによるテープ押
し付け圧力が約2kgf/cm2 、研磨テープの送り出
し速度が約1cm/secである。また、第2段のテク
スチャリング工程の条件は、研磨テープの砥粒の平均粒
径が約1μm、ゴムローラの硬度が約40°、ゴムロー
ラによるテープ押し付け圧力が約1kgf/cm2 、研
磨テープの送り出し速度が約0.5cm/secであ
る。そして、表層研磨工程の条件は、研磨テープの砥粒
の平均粒径が約1μm、空気流の噴射量が40×10-6
cc/min、研磨テープの送り出し速度が約0.03
cm/secである。この工程においては、磁気記録デ
ィスク用基板1aの外周側(記録領域)のみ、研磨テー
プを往復させ、磁気記録ディスク用基板1aの内周側
(CSS領域)については、表層研磨処理を施していな
い。
【0037】これに対して、従来例の第1の条件で製造
した磁気記録ディスク(試料D)については、テクスチ
ャリング工程のみを2回行い、表層研磨工程を行ってい
ない。その第1段のテクスチャリング工程および第2の
テクスチャリング工程の条件は、いずれも、本発明の実
施例に係る第1の条件で製造した磁気記録ディスク(試
料A)におけるテクスチャリング工程と同じである。
【0038】また、従来例の第2の条件で製造した磁気
記録ディスク(試料E)については、テクスチャリング
工程のみを3回行い、表層研磨工程を行っていない。そ
の第1段のテクスチャリング工程および第2のテクスチ
ャリング工程の条件は、いずれも、本発明の実施例に係
る第1の条件で製造した磁気記録ディスク(試料A)に
おけるテクスチャリング工程と同じであり、その第3段
のテクスチャリング工程の条件は、研磨テープの砥粒の
平均粒径が約1μm、ゴムローラの硬度が約40°、ゴ
ムローラによるテープ押し付け圧力が約0.5kgf/
cm2 、研磨テープの送り出し速度が約0.5cm/s
ecである。ここで、第3段のテクスチャリング工程に
おいては、その処理を磁気記録ディスク用基板1aの外
周側(記録領域)のみに対して行った。
【0039】以上の5試料について、磁気ヘッドの浮上
距離として設定可能な値と、その表面プロファイルとを
計測し、磁気ヘッドの浮上距離の計測結果を表1に、表
面プロファイルを図5(a)ないし図5(e)に示す。
ここで、図5(a)は試料Aの表面プロファイル、図5
(b)は試料Bの表面プロファイル、図5(c)は試料
Cの表面プロファイル、図5(d)は試料Dの表面プロ
ファイル、図5(e)は試料Eの表面プロファイルを示
す。
【0040】なお、表面プロファイルについては磁気記
録ディスクの内周側から外周側にかけて連続的に計測し
た。また、磁気ヘッドの浮上距離は、内周側および外周
側の2点について、磁気ヘッドを磁気記録ディスクの表
面に近接させても、磁気ヘッドが異常突起などと衝突す
ることがない距離をもって規定した。
【0041】
【表1】
【0042】表1および図5に示すように、実施例に係
る磁気記録ディスクの製造方法によれば、テクスチャリ
ング工程において発生した異常突起を効率よく除去する
ことができるため、試料A,B,Cのいずれにおいて
も、表層研磨工程を施した領域における磁気ヘッドの浮
上距離は、0.055μmから0.060μmにまで圧
縮でき、しかも、、試料Cのように、外周側のみ表層研
磨処理を施した場合であっても、図5(c)に示す表面
プロファイルが得られ、境界部分に段差が発生しない。
【0043】これに対し、従来の磁気記録ディスク(試
料D,E)のいずれにおいても、磁気ヘッドの浮上距離
が0.075μmから0.100μmであり、しかも、
試料Eにおいては、図5(e)に示すように段差部分が
発生している。
【0044】以上のとおり、本例に係る磁気記録ディス
クの製造方法においては、テクスチャリング工程で生じ
た異常突起を、ローラ部材で強制的に押圧した研磨テー
プで除去するのではなく、流体圧力によって押圧した研
磨テープで除去するため、テクスチャー自身を消失させ
ることなく、異常突起のみを効率よく除去するので、磁
気記録ディスクの摩擦特性を犠牲とすることなく、浮上
特性を向上することができる。
【0045】なお、本例の磁気記録ディスクの製造方法
において、表層研磨工程に用いる研磨テープの砥粒径
は、テクスチャリング工程において発生した異常突起の
状態によって設定可能であり、テクスチャリング工程に
用いた研磨テープの砥粒の粒径と同等のものも使用でき
るが、粒径が小さなものを用いれば、異常突起の発生状
況にかかわらず、対応することができる。
【0046】さらに、表層研磨工程における研磨テープ
に対する流体圧力、流体供給量などの条件については、
磁気記録媒体に求められる特性や、磁気記録媒体用基板
に対する他の工程条件などによって、それぞれ最適な条
件に設定されるべき性質のものであり、それらには限定
がない。
【0047】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係る磁気記録媒
体の製造方法および基板研磨装置においては、研磨テー
プの背面側に噴射された気体の流体圧力によって、研磨
テープと磁気記録媒体用基板の基板面とを接触させた状
態で、その最表層を研磨することに特徴を有する。従っ
て、本発明によれば、研磨テープは磁気記録媒体用基板
の表面に対して可動状態にあるので、ばりが発生せず、
研磨する能力が高い。従って、磁気記録媒体用基板表面
の表層側のみを除去するだけで、異常突起を完全に除去
することができるので、テクスチャーが消失することが
なく、磁気記録媒体の摩擦特性および浮上特性のいずれ
もが向上するという効果を奏する。また、磁気記録媒体
用基板表面に凹凸度の異なる領域を設ける場合であって
も、その境界領域に段差が生じにくいという効果も奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る基板研磨装置の要部の構
成を示す概略平面図である。
【図2】図1に示す基板研磨装置の要部の構成を示す概
略正面図である。
【図3】本発明の実施例に係る磁気記録ディスクの一部
を切り欠いて示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る磁気記録ディスクの製造
方法に係る工程フローを示すブロック図である。
【図5】(a),(b),(c)は本発明の実施例に係
る磁気記録ディスクの表面プロファイルを示すグラフ
図、(d),(e)は従来の磁気記録ディスクの表面プ
ロファイルを示すグラフ図である。
【符号の説明】
1・・・磁気記録ディスク(磁気記録媒体) 1a・・・磁気記録ディスク用基板(磁気記録媒体用基
板) 2・・・アルミニウム合金基板 3・・・Ni−Pめっき層 5・・・Co合金層(磁性層) 11・・・基板研磨装置 12・・・基板回転機構(基板回転手段) 13・・・研磨テープ 13a・・・研磨面 14a,14b・・・テープ支持ローラ(テープ支持手
段) 15・・・空気流噴射機構(気体流噴射手段) 15a・・・空気噴射口 16・・・テープ送り出し機構(テープ送り出し手段) 16a・・・テープ送り出しローラ 16b・・・テープ巻取りローラ 17・・・往復移動機構

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性体からなる磁気記録媒体用基板の
    テクスチャー加工が施された基板面に向けて、研磨テー
    プをその背面側に噴射された気体流の流体圧力によって
    押圧し、研磨テープの研磨面と前記基板面とを接触させ
    た状態でそれらを相対的に移動させて前記基板面の最表
    層を研磨する表層研磨工程を有することを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記表層研磨工程
    を、前記基板面および前記研磨テープの研磨面が乾燥し
    ている状態で行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 円板状の基板を支持した状態でそれを円
    周方向に回転させる基板回転手段と、この基板回転手段
    に支持された前記基板の基板面に所定の間隔をもって研
    磨テープの研磨面が対向するように、研磨テープをその
    長手方向の少なくとも2ヶ所で支持するテープ支持手段
    と、このテープ支持手段に支持された研磨テープの背面
    側に向けて気体流を噴射して、その研磨面と前記基板面
    とを接触させる噴射口を備える気体流噴射手段と、前記
    テープ支持手段に支持された研磨テープをその長手方向
    に送り出すテープ送り出し手段と、を有していることを
    特徴とする基板研磨装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に規定する基板研磨装置は、さ
    らに、前記テープ支持手段と前記基板とを相対的に移動
    させて、前記研磨テープを前記基板の半径方向に往復移
    動させる往復移動機構を有していることを特徴とする基
    板研磨装置。
JP31681991A 1991-11-29 1991-11-29 磁気記録媒体の製造方法および基板研磨装置 Pending JPH05151565A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07108449A (ja) * 1993-10-06 1995-04-25 Sanshin:Kk フィルタ基板異物除去装置
WO2022172683A1 (ja) * 2021-02-12 2022-08-18 株式会社荏原製作所 研磨装置および研磨方法

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