JPH051424Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、筆記により芯が一定量摩耗した時
に、摩耗した一定量分だけ芯が自動的に繰り出さ
れる自動繰り出し式シヤープペンシルの芯ガイド
パイプ間歇移動装置に関する。

〔従来の技術〕

従来のものは、芯ホルダーを内蔵しかつ前スプ
リングにより軸方向前方に付勢された芯ガイドパ
イプと、芯を繰り出す方向には抵抗が少なく、芯
が没入する方向には確実に保持することができる
芯保持装置とからなる自動繰り出し式シヤープペ
ンシルが知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前記した従来のものは、芯がわずかに摩耗した
だけでも、筆記を止めて芯ガイドパイプの先端を
紙面より離せば、摩耗量だけ芯が自動的に繰り出
されてしまうものであり、頻繁に筆記を繰り返す
とその都度芯保持体により保持される芯の位置が
変化し、しかも芯保持体が開閉を繰り返すために
芯の表面を傷付けてしまうものであつた。そこで
本願考案者が鋭意検討し、芯が一定量摩耗するま
で芯ガイドパイプが後退し、芯が一定量摩耗した
時に初めて芯ガイドパイプが前進して芯を繰り出
す芯ガイドパイプ間歇移動装置を考案し、しかも
芯ガイドパイプのわずかな移動に対しても確実に
作動する装置を提供することを目的としたもので
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は前記問題点を解決するものであつ
て、以下にその内容を実施例に対応する第２図を
用いて説明する。

軸方向に傾斜したテーパー面５Ａを有する締具
部材５と、軸方向に平らに伸びたボール受面３Ｂ
を当接段３Ａと受段３Ｃの間に構成したボール受
部材３を、テーパ面５Ａとボール受面３Ｂがお互
いに対向するように構成する。締具部材５には弾
性体９を介して摩擦接続されるリテーナー７を設
け、リテーナー７には第３図に示したようにボー
ル８が回動自在に取り付けられている。該リテー
ナー７はボール受部材３の当接段３Ａと受段３Ｃ
の間に一定距離摺動可能に遊嵌され、リテーナー
７の位置を締具部材５のテーパー面５Ａ側に偏倚
させ、かつボール受部材３の受段３Ｃと圧接パイ
プ１０の間に弾性体９の摩擦嵌合力より弱い弾発
力の圧接スプリング１１を張架して、圧接パイプ
１０をボール８に当接させることにより、ボール
８と締具部材５のテーパ面５Ａによるくさび作用
を働かせる。この間歇移動装置を前記した従来よ
く知られている自動繰り出し式シヤープペンシル
に利用した実施例が第１図であり、ボール受部材
３を芯ガイドパイプ２に固定するとともに、締具
部材５を軸筒１内に固定する。

尚、第５図に示したように締具部材１０５を芯
ガイドパイプ２に固定するとともに、ボール受部
材１０３を軸筒１に固定することももちろん可能
であり、更にボール受部材あるいは締具部材は、
軸筒内に固定する代わりに、軸筒内に軸方向に摺
動可能に内蔵しかつ前スプリングより強い力で後
方に付勢しても何ら問題はない。

〔作用〕

次にこの考案の作用を第２図に示した実施例に
おいて説明する。

まず筆記を行うと芯の摩耗とともに芯ガイドパ
イプ２が軸方向後方に後退するが、芯ガイドパイ
プ２とともにボール受部材３も後退する。この状
態で筆記を一時中断し、芯ガイドパイプ２の先端
を紙面より離した時、ボール受部材３は前スプリ
ング６により軸方向前方に付勢されているにもか
かわらず前進しない。この理由は、芯ガイドパイ
プ間歇移動装置のボール８と締具部材５のテーパ
面５Ａのくさび作用により、ボール受部材３は軸
方向後方にはわずかな力で移動できるが軸方向前
方には強い力で保持されるからである。しかもこ
の時ボール受部材３の横揺れ等によりボール８が
微動しても、圧接スプリング１１によりボール８
はテーパ面５Ａに当接されるので、くさび作用は
確実に作動する。そしてボール受部材３が一定量
後退されるとボール受部材３の当接段３Ａがリテ
ーナー７の前端に当接され、弾性体９の摩擦嵌合
力に抗してリテーナー７を後退させる。従つてリ
テーナー７に取り付けられたボール８もリテーナ
ー７と連動して後退し、ボール８が締具部材５の
テーパー面５Ａより離間してくさび作用が解除さ
れ第４図に示した状態となる。この時ボール８に
は圧接スプリング１１により付勢された圧接パイ
プ１０が当接されているが、圧接スプリング１１
の弾発力より弾性体９の摩擦嵌合力の方が強いた
めにボール８は軸方向前方に移動させられること
はない。従つて前スプリング６により前方に付勢
されたボール受部材３は軸方向前方に前進する。
そしてボール受部材３の受段３Ｃがリテーナー７
の後端に当接し、弾性体９の摩擦嵌合力に抗して
リテーナー７を前進させる。するとボール８が締
具部材５のテーパー面５Ａに当接して第２図の状
態に復帰する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を説明する。

まず第１図の実施例を説明すると、軸筒１内に
軸方向に摺動可能に芯ガイドパイプ２を遊嵌す
る。該芯ガイドパイプ２にはボール受部材３が固
着され、該ボール受部材３には芯１８を適宜の力
で保持する芯ホルダー４が内蔵されている。次に
芯ガイドパイプ２の間歇移動装置を説明すると、
第２図に示したようにボール受部材３の前部には
当接段３Ａが設けられ、該当接段３Ａと軸筒１に
固定された締具部材５の前端には前スプリング６
が張架され、ボール受部材３は常に軸方向前方に
付勢されている。ボール受部材３の当接段３Ａよ
り軸方向後方の外周には軸方向に平らに伸びたボ
ール受面３Ｂが構成され、該ボール受面３Ｂの軸
方向後方には受段３Ｃが構成されている。一方軸
筒１に固定された締具部材５には軸方向後方に行
くに従つて広げられたテーパー面５Ａが構成さ
れ、該テーパー面５Ａはボール受部材３のボール
受面３Ｂと対向している。ボール受部材３の当接
段３Ａと受段３Ｃの間に長手方向に一定距離摺動
可能にリテーナー７が遊嵌され、該リテーナー７
にはボール８が回動自在に取り付けられている。
このリテーナー７の外周面は、締具部材５に固着
された弾性体９の内鍔９Ａと摩擦嵌合され、リテ
ーナー７を締具部材５のテーパー面５Ａ側に偏倚
させることにより、ボール８が締具部材５のテー
パー面５Ａと平坦部材３のボール受面３Ｂに当接
される。更にボール受部材３のボール受面３Ｂに
外嵌した圧接パイプ１０と受段３Ｃとの間に圧接
スプリング１１を張架し、圧接パイプ１０をボー
ル８に当接させて構成することにより、ボール８
と締具部材５のテーパー面５Ａとのくさび作用は
より確実のものとなる。従つてボール受部材３は
軸方向後方にはわずかな力で移動できるが軸方向
前方には強い力で保持される。以上が自動繰り出
し式シヤープペンシルの芯ガイドパイプ間歇移動
装置の説明であるが、更に軸筒１内には従来の自
動繰り出し式シヤープペンシルに頻繁に用いられ
ている、締具１２・頭部にボール１３を設けたチ
ヤツク１４・チヤツクスプリング１５・芯タンク
１６・リターンスプリング１７等からなり、芯１
８を軸方向前方にはわずかな抵抗で移動できるが
軸方向後方には強い力で保持する芯保持装置が組
み込まれて、自動繰り出し式シヤープペンシルが
完成する。

この実施例における芯ガイドパイプ間歇移動装
置の作動は前述した第２図および第４図で説明し
たとおりであり、予備芯の繰り出しについては従
来周知の自動繰り出し式シヤープペンシルと同様
に芯タンクを前進させれば行える。

第６図および第７図はそれぞれこの考案の弾性
体の取り付け構造における他の実施例を示したも
ので、第６図はリテーナー７に弾性体１０９を固
定し、該弾性体１０９の外鍔１０９Ｂを締具部材
５の内面５Ｂに摩擦嵌合したものであり、第７図
は弾性体２０９を締具部材５を固定した軸筒１に
設けたものであり、このように締具部材とリテー
ナーは、締具部材に固定された部材を介して摩擦
嵌合することももちろん可能である。更に締具部
材およびボール受部材は、軸筒あるいは芯ガイド
パイプと一体に構成しても何ら問題はない。

第８図は第２図・第３図および第４図で説明し
た芯ガイドパイプの間歇移動装置を、予備芯が自
動追従する自動繰り出し式シヤープペンシルに利
用した実施例であり、前部に口金１９を螺合した
軸筒１０１内に、芯ホルダー４を内蔵した芯ガイ
ドパイプ１０２を軸方向に摺動自在に内蔵し、か
つ軸筒１０１内に固定された締具１１２の外段１
１２Ａと芯ガイドパイプ１０２の外鍔１０２Ａと
の間に前スプリング６を張架して、芯ガイドパイ
プ１０２を軸方向前方に付勢するとともに芯ガイ
ドパイプ１０２の外鍔１０２Ａを口金１９の係止
段１９Ａに当接する。芯ガイドパイプ１０２の軸
方向後方に伸びた棒状の連結部１０２Ｄは、締具
１１２の貫通孔１１２Ｂを貫通してボール受部材
３に固着される。一方締具１１２内には、頭部に
ボール１３を回動自在に設けかつ少なくとも芯保
持部が各片に数分割されたチヤツク１４が内蔵さ
れ、締具１１２の内段１１２Ｃとチヤツク１４の
外段１４Ａとの間にはチヤツクスプリング１５が
張架されている。しかし、芯ガイドパイプ１０２
が軸方向の最前方に位置した第８図の状態では、
ボール受部材３に設けられたパイプ２０がチヤツ
ク１４の内段１４Ｂに当接されて、チヤツク１４
が適宜拡開されている。更に軸筒１０１に締具部
材５を固定するとともに、ボール受部材３・締具
部材５・ボール１３・リテーナー７・弾性体９・
圧接パイプ１０・圧接スプリング１１からなる芯
ガイドパイプ間歇移動装置を第２図で説明したと
おりに構成して組み込めば自動繰り出し式シヤー
プペンシルが完成される。

次にこの実施例の作動を説明すると、第８図の
状態において筆記をおこなうために、芯１８およ
び芯ガイドパイプ１０２の先端を紙面に押し付け
ると、芯ガイドパイプ１０２およびボール受部材
３がわずかに後退してパイプ２０がチヤツク１４
より離間する。するとチヤツク１４はチヤツクス
プリング１５により軸方向後方に付勢されている
ので、チヤツク１４の頭部に設けられたボール１
３が締具１１２のテーパー面に当接されて芯１８
を軸方向後方に対しては強く保持する。この状態
で筆記を行い芯１８が一定量摩耗すると、ボール
受部材３の当接段３Ａがリテーナー７の前端に当
接され、前述した第２図の芯ガイドパイプ間歇移
動装置と全く同様に作動してボール８が締具部材
５のテーパー面５Ａより離間する。従つて前スプ
リング６により弾発されて芯ガイドパイプ１０２
が軸方向の最前方位置まで前進するが、この時芯
ホルダー４に保持された芯１８もボール受部材３
とともに前進し、パイプ２０によりチヤツク１４
は拡開されて第８図に示した状態に復帰する。こ
の状態で使用中の芯１８が短くなり芯１８の後端
がチヤツク１４より前方に位置した時には、チヤ
ツク１４が拡開しているので芯タンク２１内の芯
が自重でチヤツク内に落下される。

尚、予備芯が自動追従する自動繰り出し式シヤ
ープペンシルにおいても、ボール受部材および締
具部材は、いずれか一方を芯ガイドパイプと連動
させ、かつ他方を軸筒あるいは軸筒内に設けられ
た締具に固着あるいは一体に構成すれば、第８図
の実施例と同様の作動が行えるものである。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案はテーパー面を
有する締具部材と、該テーパー面と対向するボー
ル受面を有したボール受部材とからなり、弾性体
を介して締具部材と摩擦接続されたリテーナーに
ボールを回動可能に設け、該ボールをテーパー面
とボール受面の間に位置させた点に特長がある。

このことにより、わずかなリテーナーの移動に
よりテーパー面とボールのくさび作用を働かせた
り解除できるとともに、リテーナーの移動もわず
かな力で行えるので、芯ガイドパイプの間歇移動
が瞬時にかつ確実に行えるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す主要部縦断面
図、第２図は本考案の芯ガイドパイプ間歇移動装
置を示す主要部拡大縦断面図、第３図は第２図の
Ａ−Ａ線を示す横断面矢視図、第４図は第２図に
おける芯ガイドパイプ間歇移動装置を解除した状
態を示す主要部拡大縦断面図、第５図・第６図お
よび第７図はそれぞれこの考案の芯ガイドパイプ
間歇移動装置の実施例を示す主要部拡大縦断面
図、第８図はこの考案の他の実施例を示す主要部
縦断面図である。 １・１０１……軸筒、２・１０２……芯ガイド
パイプ、３・１０３……ボール受部材、３Ａ……
ボール受部材３の当接段、３Ｂ……ボール受部材
３のボール受面、３Ｃ……ボール受部材３の受
段、５・１０５……締具部材、５Ａ……締具部材
５のテーパー面、７……リテーナー、８……ボー
ル、９・１０９・２０９……弾性体、１８……
芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸筒内に軸方向に摺動自在に内蔵されかつ軸方
   向前方に付勢された芯ガイドパイプと、芯を軸方
   向前方にはわずかな力で移動させるが軸方向後方
   には強い力で保持する芯保持装置とからなり、芯
   の摩耗とともに芯ガイドパイプが後退して筆記が
   行えるとともに、芯ガイドパイプが軸方向前方に
   前進する時芯ガイドパイプに従動して芯が繰り出
   される自動繰り出し式シヤープペンシルにおい
   て、軸方向に傾斜したテーパー面を有する締具部
   材と、軸方向に平らに伸びたボール受面を当接段
   と受段の間に構成するボール受部材を、テーパー
   面とボール受面がお互いに対向するように構成
   し、ボール受部材の当接段と受段との間に長手方
   向に一定距離摺動可能にリテーナーを遊嵌し、該
   リテーナーが弾性体を介して締具部材に摩擦接続
   されるとともに、リテーナーに回動自在に設けら
   れたボールを締具部材のテーパー面とボール受部
   材のボール受面の間に当接可能に位置させ、締具
   部材のテーパー面に当接されたボールに対し、該
   ボールにボール受面が当接されたボール受部材が
   ボールとテーパー面のくさび作用により一方向の
   み移動可能に構成し、該締具部材とボール受部材
   のどちらか一方を芯ガイドパイプに固定するとと
   もに、他方を軸筒に設けて構成し、芯の摩耗とと
   もに芯ガイドパイプが後退し、芯ガイドパイプが
   一定距離後退した時、ボール受部材の当接面がリ
   テーナーに当接してボールを締具部材のテーパー
   面より離間し、テーパー面とボールのくさび作用
   を解除して芯ガイドパイプが前進することにより
   一定量芯が繰り出されることを特徴とする自動繰
   り出し式シヤープペンシルの芯ガイドパイプ間歇
   移動装置。