JPH05140934A - オーガー重機等重機による既設杭の撤去工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 地中に打込まれたコンクリートパイル製の基
礎既設杭、その他既設杭等の既設杭の撤去を確実かつス
ムーズに行い得る工法を提供する 【構成】 ケーシングドリル１の内側ラセン羽根３で、
当該既設杭周辺の硬質性土砂の掘削、及びこの掘削土砂
を排土するとともに、ケーシングドリルの外側ラセン羽
根４で、ケーシングドリルの周辺土砂の掘削、及びこの
掘削土砂を排土し、土砂の掘削、及び排土を、順次行
い、この掘進したケーシングドリルで、前記既設杭を套
嵌し、その後、このケーシングドリルを脱抜して、当該
既設杭の外周辺に隙間を形成し、もって当該既設杭をフ
リー状態になし、その後、このフリー状態の前記既設杭
を引抜く。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、地中に打込まれたコン
クリートパイル製の基礎既設杭、その他既設杭等の各種
既設杭の撤去工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知の如く、既設杭の撤去工法として
は、破壊工法又ははっり工法等の如く、いわゆる既設杭
を破壊する破壊撤去工法と、既設杭の周辺土砂を掘削又
は軟弱化して、既設杭を引抜く引抜き撤去工法と、に大
別される。

【０００３】本発明は、後者の既設杭の引抜き撤去工法
に関する。

【０００４】この引抜き撤去工法として、特開昭５９―
１５４２２２号のアースドリルによる既設杭の撤去工法
がある。

【０００５】この発明は、下端に環状刃を有するケーシ
ングバケットを、既設杭の周辺に立設した後、前記周辺
に注水して、当該周辺を軟弱化しつつ、前記ケーシング
バケットを地中に堀進させ、前記既設杭の周辺土砂を掘
削、掘削土砂を排土し、その後、ケーシングバケットを
脱抜して、泥との摩擦が少なくなった前記既設杭を、ワ
イヤーロープまたは軸杆を介して引抜く構成である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記技術文献の発明
は、ケーシングバケットの外周面にのみラセン羽根を設
ける構成であることから、既設杭の周辺に形成された硬
質性土砂を（注水により幾分やわらかくなるが）、確実
に掘削し、この掘削土砂を地上面に排土するという作業
機能面において、課題が考えられる。

【０００７】また前述の如く、硬質性土砂の軟弱化を意
図して、注水することから、この注水に対する付帯設備
を要すること、また地中に注水された水の後処置、或い
は注水に基づく、地盤沈下、隣接建物等の傾き等の危険
性があること、等多くの課題が考えられる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記に鑑み、本発明は、
既設杭の硬質性土砂等の周辺土砂を、確実に掘削及び掘
削土砂の排土を介して、既設杭の引抜きを容易とするこ
と、注水等をすることなく、その後処理又は種々の悪影
響をなくすこと、等を目的として、下記の構成を採用す
る。

【０００９】即ち、本発明の既設杭の引抜き撤去工法
は、円筒状内外周面に内外側ラセン羽根を繞設するとと
もに、下端に掘削刃を設けたケーシングドリルを、オー
ガー重機等の重機に垂下状に取付け、前記ケーシングド
リルの内側ラセン羽根で、既設杭の構築等の際形造られ
た、当該既設杭周辺の硬質性土砂の掘削、及びこの掘削
土砂を排土するとともに、ケーシングドリルの外側ラセ
ン羽根で、ケーシングドリルの周辺土砂の掘削、及びこ
の掘削土砂を排土し、前記ケーシングドリルの内外周辺
土砂の掘削、及びこの掘削土砂の排土を、順次行い、こ
の掘進したケーシングドリルで、前記既設杭を套嵌し、
その後、このケーシングドリルを脱抜して、当該既設杭
の外周辺に隙間を形成し、もって当該既設杭をフリー状
態になし、その後、このフリー状態の前記既設杭を引抜
く、ことを特徴とする既設杭の撤去工法。

【００１０】

【作用】以下、本発明の作用を図１〜図７を中心として
説明する。

【００１１】オーガー重機のオーガーモーター、又は杭
抜重機の吊下げワイヤー等に、ケーシングドリルを吊下
げる。

【００１２】この吊下げられたケーシングドリルを、既
設杭の真上に位置させ、その内側ラセン羽根が、前記既
設杭の周辺の硬質性土砂の近傍に、位置するように調整
する（尚既設杭の頭部が、露出していない場合は、同重
機に設けた付帯設備、又は他の手段及び設備を介して露
出させる。） つづいて、ケーシングドリルを駆動すると、既設杭の周
辺の硬質性土砂、及びケーシングドリルの外周辺の土砂
は、先ず掘削刃を介して概ね掘削される。そして、既設
杭の周辺の硬質性土砂は、内側ラセン羽根を介して、更
に掘削され（崩壊され、以下同じ）、またケーシングド
リルの周辺の土砂は、外側ラセン羽根を介して、確実に
掘削され（崩壊され、以下同じ）る。

【００１３】そして、掘削された土砂（掘削土砂）は、
内外側ラセン羽根により、地上面に向かって、確実かつ
スムーズに搬送され、適宜場所に移される。

【００１４】尚粘土質の場合には、注水する場合もあり
得る。

【００１５】以上のような作業を、繰り返すか、又は場
合により、既設杭の長さによりケーシングドリルを連設
して、前記作業を繰り返す。

【００１６】この掘削及び掘削土砂の排土を、繰り返
し、ケーシングドリルが、既設杭を囲繞した段階になっ
たならば、つづいて、当該ケーシングドリルを脱抜す
る。これによって、既設杭の外周面と、掘削残り土砂と
の間（本発明では、外周辺とする。）に、隙間が形成さ
れ、結果的に、既設杭はフリー状態となる（下段の既設
杭がある場合は、当該下段の既設杭も同様に、フリー状
態となる。）。

【００１７】このフリー状態となった既設杭の頭にワイ
ヤーロープを捲装し、この捲装が終了した後、ワイヤー
ロープを引き上げて、既設杭を上げる。

【００１８】尚また下段に既設杭がある場合は、続い
て、下段の既設杭に軸杆を差し込んで、その先端に設け
た杭チャッキング手段をもって、下段の既設杭を引抜
く、これにより、全部の既設杭の引抜きが終了する。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の既設杭の撤去工法に使用する
機械の一例について説明する。

【００２０】１ａは取付け用の上部フランジ２を有する
長尺の円筒状でなるケーシングであって、このケーシン
グ１ａの内外周面に内外側ラセン羽根３、４を、適宜ピ
ッチで繞設することにより、本発明のケーシングドリル
１が構成される。

【００２１】またケーシングドリル１の下端には、ケー
シングドリル１の肉厚より大きい寸法の掘削刃４（掘削
爪）が、複数個設けられている。

【００２２】前記ケーシングドリル１は、図８又は図９
で示すように、オーガー重機６又は杭抜重機７に、回転
自在かつ昇降自在に吊下げられる。

【００２３】例えば、図８に示すオーガー重機６に装着
する場合は、やぐら６に昇降自在に設けたオーガーモー
タ６２に、上部フランジ２を取付ける。

【００２４】これによって、ケーシングドリル１は、オ
ーガーモータ６２に垂下状に取付けられれていることか
ら、当該ケーシングドリル１は、オーガーモータ６２
と、同じ動きをなす。

【００２５】具体的には、前記オーガーモータ６２の回
転を介して、このケーシングドリル１が回転されるとと
もに、このオーガーモータ６２が、図示しないロープの
巻き取り、巻き戻しによる昇降を介して、ケーシングド
リル１が昇降される構造となっている。

【００２６】これにより、前述の如く、その降下を介し
て既設杭Ａの硬質性土砂の掘削、及びケーシングドリル
１の外側周辺土砂の掘削と、これらの掘削土砂の排除を
図る。

【００２７】またケーシングドリル１の上昇、及び脱抜
を介して、既設杭Ａの周辺に、隙間Ｂを形成する。

【００２８】図中６３はケーシングドリル１の振れ止め
を示す。

【００２９】次に、図９に示す杭抜重機７に装着する場
合は、ブーム７１により垂下したロープ７２の先端に設
けた吊下げ具７３を上部フランジ２に係止して、ケーシ
ングドリル１を吊下する。

【００３０】そして、ケーシングドリル１の適宜箇所
を、重機本体７ａより延設したガイド板７４に設けた締
付け具７５を介して、チャツキングするとともに、前記
締付け金具７５をモータ７６を介して回転させる。

【００３１】この締付け金具７５の回転を介して、ケー
シングドリル１を回転させるとともに、前記ロープ７２
の巻き取り、巻き戻しを介して、ケーシングドリル１を
昇降させる構成となっている。

【００３２】このケーシングドリル１の昇降の操作又は
作業、及び機能等は、前述の例とほぼ同様である。

【００３３】

【発明の効果】本発明は、以上で説明したように、内外
側ラセン羽根を有するケーシングドリルを介して、既設
杭の周辺の硬質性土砂、及びケーシングドリルの周辺土
砂を掘削し、この掘削土砂を排土した後、ケーシングド
リルを脱抜することにより、既設杭の外周辺に、隙間が
形成される工法であるので、下記のような効果を有す
る。

【００３４】（１）杭の構築時、又は構築構築後に形成
される既設杭周辺の硬質性土砂を、確実に掘削した後、
この掘削土砂を排土し得る。

【００３５】（２）前記掘削と、掘削土砂の排土、及び
ケーシングドリルの引抜き介して、既設杭の周辺に、隙
間を形成し得ることから、この既設杭の引抜きが、確実
かつスムーズに行い得る。

【００３６】（３）注水等を必要としないことから、こ
れに関する付帯設備又は付帯用材を要さず、作業の簡略
化が図れ、かつ地盤沈下、隣接建物等の傾き等の問題が
発生しない。

【００３７】（４）騒音、振動の発生もなく、安心して
作業が行い得る。

【００３８】（５）近接線上の既設杭も、簡単かつスム
ーズに、脱抜できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】既設杭の真上にケーシングドリルを位置させた
模式図である。

【図２】既設杭の周辺において、ケーシングドリルが掘
進する状態を示す模式図である。

【図３】既設杭の周辺において、ケーシングドリルを連
設した状態を示す模式図である。

【図４】ケーシングドリルを脱抜し、既設杭の周辺に隙
間が形成された状態を示す模式図である。

【図５】ケーシングドリルにロープを捲装し、このケー
シングドリルを脱抜した状態を示す模式図である。

【図６】下段の既設杭に軸杆を差込、その先端の杭チャ
ツキング手段で、既設杭をチャツキングした状態を示す
模式図である。

【図７】下段の既設杭を引抜いた状態の模式図である。

【図８】オーガー重機にケーシングドリルを吊下した状
態の拡大側面図である。

【図９】杭抜重機にケーシングドリルを吊下した状態の
一部欠截の拡大側面図である。

【図１０】ケーシングドリルをさらに拡大した拡大平面
図である。

【符号の説明】

１ ケーシングドリル ２ 上部フランジ ３ 内側ラセン羽根 ４ 外側ラセン羽根 ５ 掘削刃 ６ オーガー重機 ６１ やぐら ６２ オーガーモータ ６３ 振れ止め ７ 杭抜重機 ７ａ 重機本体 ７１ ブーム ７２ ロープ ７３ 吊下げ具 ７４ ガイド板 ７５ 締付け金具 Ａ 既設杭 Ｂ 隙間

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状内外周面に内外側ラセン羽根を繞
   設するとともに、下端に掘削刃を設けたケーシングドリ
   ルを、オーガー重機等の重機に垂下状に取付け、 前記ケーシングドリルの内側ラセン羽根で、既設杭の構
   築等の際形造られた、当該既設杭周辺の硬質性土砂の掘
   削、及びこの掘削土砂を排土するとともに、ケーシング
   ドリルの外側ラセン羽根で、ケーシングドリルの周辺土
   砂の掘削、及びこの掘削土砂を排土し、 前記ケーシングドリルの内外周辺土砂の掘削、及びこの
   掘削土砂の排土を、順次行い、この掘進したケーシング
   ドリルで、前記既設杭を套嵌し、その後、このケーシン
   グドリルを脱抜して、当該既設杭の外周辺に隙間を形成
   し、もって当該既設杭をフリー状態になし、 その後、このフリー状態の前記既設杭を引抜く、 ことを特徴とするオーガー重機等重機による既設杭の撤
   去工法。
2. 【請求項２】 請求項１のケーシングドリルを、近接線
   上に配備する構成とした請求項１のオーガー重機等重機
   による既設杭の撤去工法。