JPH05139776A - ポリシリコンtft方式lcd用石英ガラス基板 - Google Patents

ポリシリコンtft方式lcd用石英ガラス基板

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JPH05139776A JP32715091A JP32715091A JPH05139776A JP H05139776 A JPH05139776 A JP H05139776A JP 32715091 A JP32715091 A JP 32715091A JP 32715091 A JP32715091 A JP 32715091A JP H05139776 A JPH05139776 A JP H05139776A
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信也 菊川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、光学的特性に優れたポリシリコンTF
T方式LCD用石英ガラス基板。 【構成】アルミニウム含有量が5〜40ppm、ハロゲ
ン含有量が10ppm以下、OH含有量が100ppm
以下、重金属およびアルカリの含有量の総計が1ppm
以下であって、徐冷点が1180℃以上であることを特
徴とするポリシリコンTFT方式LCD用石英ガラス基
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリシリコンTFT方
式LCD用石英ガラス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】石英ガラスは、透明なガラス材料の中で
は最も耐熱性が高く、また熱膨張率が極めて小さく寸法
安定性に優れていること、更に化学的な耐久性に優れて
いることのために、近年、ポリシリコンTFT用の基板
材料として、特にビデオカメラのビューファインダー等
に用いられる小型のポリシリコンTFT用として用いら
れている。ポリシリコンTFTの製造方法は一般的に
は、製造温度レベルにより、(1)高温プロセス法(最
高プロセス温度約1000℃程度)、(2)中温プロセ
ス法(最高プロセス温度約700℃程度)、(3)低温
プロセス法(最高プロセス温度約500℃程度)の3種
類に大別される。
【0003】一般的に、テレビやディスプレー等の大面
積TFTの場合、製造コスト面からプロセスの低温化の
方向での開発が、現在盛んに進められている。ところが
一方、ビデオカメラのビューファインダー用等の小型の
ポリシリコンTFTについては、高温プロセスを採用し
た場合、従来のLSI製造ラインを大幅に変更すること
無く製造することができるため、LSI製造で培われた
信頼性の高いプロセス技術を有効活用でき、高歩留まり
で高品質のTFTを製造できるメリットがあるため、高
温プロセスでの製造が主流となっている。
【0004】この場合の問題点は、基板材料であるガラ
スの耐熱性にあり、かかる観点から石英ガラスが用いら
れるのが通常である。しかしながら、石英ガラスの耐熱
性も、その種類・製造方法によりかなり差異を有してお
り、一般的にはいわゆる溶融石英ガラスが最も耐熱性と
いう観点からは優れており、徐冷点(ガラスの粘度が1
13ポイズを示す温度)で1170〜1220℃程度で
ある。
【0005】これに対し、合成石英ガラスからなる基板
は、ガラス中に含まれる泡・異物等の品質面からははる
かに優れているが、一方、一般に合成石英ガラスの徐冷
点は1050℃〜1120℃程度であり、溶融石英ガラ
スに比較し100℃〜150℃程度低く、耐熱性がより
劣っているので、ポリシリコンTFT製造上合成石英ガ
ラスからなる基板には問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
の問題点を解消し、ビューファインダー用等に用いられ
るポリシリコンTFT方式LCD製造用に適した、耐熱
性に優れ、蛍光発光等の実質的に無いポリシリコンTF
T用石英ガラス基板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決するべくなされたものであり、アルミニウム含有量が
5〜40ppm、ハロゲン含有量が10ppm以下、O
H含有量が100ppm以下、重金属およびアルカリの
含有量の総計が1ppm以下であって、徐冷点が118
0℃以上であることを特徴とするポリシリコンTFT方
式LCD用石英ガラス基板を提供するものである。
【0008】また本発明は、上記ポリシリコンTFT用
石英ガラス基板において、基板面内の屈折率の変動幅が
5×10-6以下であることを特徴とするポリシリコンT
FT方式LCD用石英ガラス基板を提供するものであ
る。
【0009】本発明者らは、高純度な合成石英ガラスの
耐熱性を、溶融石英ガラスと同等の特性とするべく、そ
の差異の原因について鋭意検討を進めてきた。その結果
特願平2−151601に示すごとく、ある特定の元
素、特に好ましくはアルミニウムの添加が極めて有効で
あることを見いだした。そして更に、詳細な検討を加え
た結果、新たにポリシリコンTFT方式LCD用の基板
材料としての使用が有効であることを見いだした。
【0010】本発明において、石英ガラス基板に含有さ
れるアルミニウム含有量は5〜40ppmの範囲である
ことが好ましい。かかる範囲よりも含有量が少ない場合
には、耐熱性の向上が果たせず、また、かかる範囲より
も含有量が多い場合は、かかる範囲内の含有量のものと
比べ耐熱性に実質的に変化がないことから、実用上の観
点から好ましくない。
【0011】ハロゲン量は、10ppm以下であること
が好ましく、10ppmを超えるハロゲンが含有される
場合には、耐熱性が低下してしまうため好ましくない。
また、OH含有量は、100ppm以下であることが好
ましく、特には50ppm以下であることが好ましい。
100ppmを超えるOH量を含有する場合には、ハロ
ゲンと同じく耐熱性が低下してしまうために好ましくな
い。
【0012】重金属およびアルカリ含有量については、
その総和が1ppm以下であることが好ましく、これ以
上含有する場合には、デバイスの不純物の拡散等悪影響
を及ぼすために好ましくない。また、徐冷点とはガラス
の粘度が1013を示す温度であるが、これは1180℃
以上であることが好ましく、かかる温度以上の徐冷点を
有すれば、ポリシリコンTFT作成上のプロセス温度と
しておよそ1000℃程度を採用することが可能となり
好ましい。
【0013】また、光学的な均質性を得るためには、面
内の屈折率の変動幅が5×10-6以下であることが好ま
しい。かかる変動幅を超える場合には、光学的な均質性
を確保することが困難となるため好ましくない。
【0014】かかる石英ガラス基板の製造方法として
は、上記の項目を満足していれば特に制約はないが、例
えば、予めガラス形成原料を加熱加水分解して得られる
石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させた多孔質石英
ガラス体に、アルミニウム化合物を添加した後、これを
透明ガラス化する温度以下の温度域で水蒸気分圧の低い
雰囲気中に一定時間加熱保持した後、透明ガラス化温度
に昇温加熱して透明ガラス化して石英ガラス体とする方
法により作成することが可能である。
【0015】用いられるガラス形成原料としてはガス化
可能な原料であれば特に制限されるものではないが、S
iCl4 ,SiHCl4 、SiH2 Cl2 、Si(CH
3 )Cl3 等の塩化物、SiF4 、SiHF3 ,SiH
22 等のフッ化物、SiBr4 ,SiHBr3 等の臭
化物、SiI4 の沃化物などのハロゲン化珪素化合物が
作業性やコストの面から好ましい。多孔質石英ガラス体
は、これらのガラス形成原料を通常の酸水素火炎中で加
水分解し、基材上に堆積させて形成される。
【0016】次いで、このようにして得られた多孔質石
英ガラス体に、アルミニウム原料を含む溶液を含浸させ
た後、アルミニウム含有物を多孔質体内部に析出、乾燥
させる。含浸液としては、例えば、塩化アルミニウム、
アルミニウムアルコキシド化合物のアルコール溶液等を
採用することができる。また、必要に応じ酸や揮散性の
アルカリを析出のための触媒として添加しても良い。
【0017】このような方法によるアルミニウムの添加
の場合、アルミニウムの溶液濃度により、添加量のコン
トロールが可能である。勿論、このような方法を採用す
る代わりに、多孔質体を堆積させる際の原料ガス中にア
ルミニウム化合物を添加しても良い。このようにして得
られたアルミニウム化合物を含む多孔質石英ガラス体
は、ついで低水蒸気分圧雰囲気下で一定時間加熱保持さ
れた後、透明ガラス化温度まで昇温されて透明ガラス化
して石英ガラスとなる。
【0018】すなわち、例えば、多孔質体は雰囲気制御
可能な電気炉内に予め装着された後、一定の昇温速度で
加熱される。ついで所定の温度に到達の後、乾燥ガスを
雰囲気中に導入し、多孔質体が接する雰囲気を置換する
ことにより雰囲気中の水蒸気分圧を所定値以下に低減す
る。その水蒸気分圧としては、0.002mmHg以下
であることが好ましく、これを超える場合には最終的に
得られる石英ガラス中のOH量を低減させることが困難
なため好ましくない。
【0019】また加熱保持する温度域としては、800
〜1250℃の範囲内が好ましく、この温度域より低い
温度では実質的な効果が得られず、またこの温度域を超
える温度では多孔質体の表面のガラス化が進行するた
め、多孔質体内部を所望の低水蒸気分圧雰囲気に置換す
ることができず好ましくない。
【0020】また、この温度域であれば、加熱処理の方
法としては、一定温度に保持しても良く、またこの温度
域内を所定の時間の範囲内で昇温させながら処理しても
良い。またこの温度域での保持時間は、保持温度に依存
するため一概に規定することはできないが1〜30時間
程度が好ましく、これより短時間の場合には、実質的な
効果がなく、またこれより長時間かけた場合にもその効
果は変わらないために生産効率等を考慮に入れると好ま
しくない。
【0021】また、乾燥ガスとしては、窒素、ヘリウ
ム、アルゴン等を通常用いることができるが、乾燥ガス
として使用できれば必ずしもこれらのガスに限定される
ものではない。ついでこのような加熱処理の後、多孔質
ガラス体はガラス化温度まで昇温されてガラス化され
る。ガラス化温度としては、1350〜1500℃の範
囲から採用することが好ましい。更に、加熱処理とガラ
ス化処理は、それぞれ別の加熱装置で行われてもかまわ
ないが、その場合には、移送時に水分が吸着したりする
ことを防止する等の処置を講じることが好ましい。した
がって、さらに好ましい実施態様としては、加熱処理と
ガラス化を同一の設備で行うことが好ましい。
【0022】こうして得られた石英ガラス体を軟化点以
上の温度に加熱し、所望の形状に成形加工を行い石英ガ
ラスインゴットを製造する。成形加工の温度域は、16
50〜1800℃の範囲から選択することが好ましい。
1650℃未満の温度では石英ガラスの粘度が高いた
め、実質的に自重変形が行われず、またSi02 の結晶
相であるクリストバライトの成長がおこりいわゆる失透
が生じるため好ましくなく、1800℃を超える温度で
は、SiO2 の昇華が無視できなくなり好ましくない。
また、石英ガラス体の自重変形を行わせる方向は、特に
規定されないが多孔質ガラス体の成長方向と同一である
ことが好ましい。
【0023】こうして得られる石英ガラスインゴット
は、さらに研削加工、スライス加工、研磨加工を経て、
基板とされる。以上のような工程を経て得られる石英ガ
ラスは、石英ガラス中に含有されるアルミニウム量が5
〜40ppm、ハロゲン量が10ppm以下、OH量が
100ppm以下であり、該ガラス中のOH量の変動幅
はほとんどの領域に於いて±5ppm以内であって均質
性に優れる石英ガラスである。
【0024】また、本発明の石英ガラスは、鉄、ニッケ
ル等の重金属元素やナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属元素の不純物総量が1ppm以下と極めて高純度で
あり、これをポリシリコンTFT製造用に供した場合、
高温処理を経ても不純物がシリコン膜その他の部位に拡
散・劣化させることがない。
【0025】以下、本発明の詳細についてさらに実施例
により説明するが、当然のことながら本発明の内容はこ
れら実施例に限定されるものではない。
【0026】
【実施例】公知の方法により、SiCl4 を酸水素火炎
中で加熱加水分解させて形成された直径35cm,長さ
100cmの多孔質石英ガラス体を1200℃で仮焼成
し、密度を整えた後、これに無水塩化アルミニウムの
0.005重量%エチルアルコール溶液を減圧含浸し
た。次いで、これを室温の飽和蒸気圧の水分を含む空気
を導入しながら100℃で5時間保持した後、乾燥し
た。次いで雰囲気制御可能な電気炉内に設置した。次い
で露点温度−70℃の窒素ガスで電気炉内雰囲気を置換
した後、露点温度−70℃の窒素ガスを流しながら50
0℃/hrの昇温速度で1000℃まで昇温した。
【0027】引き続き昇温速度を50℃/hrとし、1
250℃まで昇温して、その温度で10hr保持した。
こうして得られた熱処理済みの多孔質石英ガラス体を透
明ガラス化のための炉内最高温度が1450℃に制御さ
れた電気炉内上部に設置し、炉内を露点温度が−70℃
のヘリウムガスで置換した後、80cm/hrの速度で
下降させながら最高温度域を通過させて透明ガラス化を
行った。
【0028】こうして得られた透明石英ガラスを、カー
ボン製発熱体を有する電気炉内で、軟化点以上の175
0℃に加熱して自重変形を行わせ、170φ×400m
mの円柱インゴット形状に成形した。こうして得られた
石英ガラスインゴットの長手方向の中心部より、170
φ×57mmの石英ガラスインゴットを切り出し、形状
を揃えるために円筒研削を行い、160φとした後、精
密干渉計(ZygoIV)により屈折率分布を評価した。
【0029】またOH量分布は、170φ×400mm
石英ガラスインゴットより屈折率分布を評価した部分の
すぐ隣の場所より、2mm厚みのガラス板を切り出し日
本分光社製簡易FTIR装置により3700cm-1の吸
収により定量した。Cl含有量は得られた石英ガラスを
アルカリ溶融したのち、イオンクロマトグラフィー法に
より定量した。また、アルミニウム含有量は得られた石
英ガラスをフッ酸洗浄後、フッ酸分解し原子吸光法によ
り定量した。また、徐冷点は、サンプルサイズ2.4m
m×5mm×60mmのサンプルを切り出し、スパン5
2mmで、ビームベンディング法により測定した。結果
を表1に示す。
【0030】
【比較例】アルミニウムの添加をせず、1250℃での
熱処理を行わなかった他は、実施例1と同一の方法で石
英ガラスインゴットを作製した。その屈折率分布、OH
量分布幅、Cl含有量、および徐冷点を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】上述したように、本発明のポリシリコン
TFT方式LCD用石英ガラス基板は、徐冷点が高く、
耐熱性が高い優れた特徴を有する。また光学的均質性に
も優れた特徴を有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム含有量が5〜40ppm、ハ
    ロゲン含有量が10ppm以下、OH含有量が100p
    pm以下、重金属およびアルカリの含有量の総計が1p
    pm以下であって、徐冷点が1180℃以上であること
    を特徴とするポリシリコンTFT方式LCD用石英ガラ
    ス基板。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリシリコンTFT方式L
    CD用石英ガラス基板において、基板面内の屈折率の変
    動幅が5×10-6以下であることを特徴とするポリシリ
    コンTFT方式LCD用石英ガラス基板。
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