JPH0513328A - 混晶半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

混晶半導体装置およびその製造方法

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JPH0513328A
JPH0513328A JP23614691A JP23614691A JPH0513328A JP H0513328 A JPH0513328 A JP H0513328A JP 23614691 A JP23614691 A JP 23614691A JP 23614691 A JP23614691 A JP 23614691A JP H0513328 A JPH0513328 A JP H0513328A
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mixed crystal
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semiconductor device
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JP23614691A
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Yoshiaki Nakada
義昭 中田
Osamu Ueda
修 上田
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 III−V族化合物半導体混晶を用いた半導
体装置に関し、混晶半導体を用いつつ、合金散乱を抑制
することのできる混晶半導体装置を提供することを目的
とする。 【構成】 半導体装置における電荷キャリアが通過する
領域またはその近傍の領域の少なくとも一部が、2成分
混晶を形成する各成分であるIII−V族化合物の(1
10)面単分子層の規則的交互積層で形成されているこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置に関し、特に
III−V族化合物半導体混晶を用いた半導体装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】III−V族半導体は種々の優れた性質
を有し、直接遷移型バンドギャップ構造を利用した光半
導体装置、キャリアの移動度が高いことを利用した高速
(高周波)半導体装置等として利用されている。
【0003】また二種類以上のIII−V族半導体の混
晶を形成するとバンドギャップ、格子定数等を調整する
ことができるので、所望の性質を有する半導体領域を得
るため混晶半導体が用いられる。たとえば、半導体レー
ザ装置においては、能動発光領域にキャリアを集中さ
せ、かつ発光した光を所定領域内に閉じ込めて、所望の
波長の発光を得るため、種々の混晶半導体が用いられて
いる。
【0004】従来の電界効果トランジスタ(FET)
は、良質で大口径の基板が入手できることや、ヘテロ接
合を形成する材料との格子整合性等の条件により、Ga
As系の材料が広く用いられていた。たとえば、GaA
sを電子走行層とし、AlGaAsを電子供給層とする
高電子移動度トランジスタ(HEMT)等が作成されて
いる。
【0005】AlGaAsはGaAsよりバンドギャッ
プが広く、伝導帯エネルギレベルが高い。このため、G
aAs層に近接してn型AlGaAs層を配置するとA
lGaAs層からGaAs層へ電子が移動する。
【0006】GaAs層を高純度(i型)の高移動度結
晶で形成しても、多量の電子を外部より供給することが
できる。この電子はヘテロ接合界面に形成されるポテン
シャル井戸に捉えられ2次元電子ガス(2DEG)を形
成し、高速度動作を行う。
【0007】このように、電界効果トランジスタのチャ
ネルは電子移動度の高いGaAsで形成するのが通常で
あった。GaAsとAlGaAsとの組合わせを利用す
る場合、伝導帯の不連続があまり大きくない(禁制帯幅
の60%程度)ため、2次元電子ガス濃度が低く、また
電子供給層であるAlGaAs層へのドーピング濃度を
あまり高くできない。
【0008】さらに、高速動作をするデバイスを開発す
るためには、チャネル層はできればさらに高い移動度を
有する材料で形成することが望ましい。この条件を満た
す材料として、InAsとGaAsとの混晶半導体であ
るInGaAsがある。このInGaAsをチャネル
(電子走行層)に用いると、キャリアのドリフト速度は
GaAsにおけるよりも速くなる。
【0009】また、InGaAsのチャネル(電子走行
層)に対して電位障壁を形成する材料としてInAlA
sを用いて電子供給層を形成すると、伝導帯の不連続値
が大きく、またより高濃度のドーピングが可能であり、
GaAsを用いたチャネル(電子走行層)よりも優れた
特性が期待される。
【0010】しかしながら、チャネルにInGaAs等
の混晶半導体を用いた場合には、キャリア輸送に関し混
晶固有の合金散乱の現象がある。キャリアをホットエレ
クトロンの状態で高速に移動させるホットエレクトロン
トランジスタ(HET)が開発されている。HETにお
いては、エミッタ領域とベース領域との間にエミッタバ
リア領域を設け、エミッタ領域からベース領域へエミッ
タバリア領域をトンネリングで通過して、注入されたキ
ャリアはベース領域を高速度で移動する。
【0011】また、ベース領域とコレクタ領域との間に
もコレクタバリア領域が設けられ、ベース電極とコレク
タ電極との間にバイアス電圧が印加されたとき、ベース
電流が流れることを禁止している。
【0012】このようなHETは、たとえば半絶縁性G
aAs基板の上にn型GaAs領域を形成してコレクタ
とし、その上にノンドープのAlGaAs領域を形成し
てコレクタバリア領域とし、その上にGaAs領域を形
成してベースとし、その上にノンドープのAlGaAs
領域を形成してエミッタバリア領域とし、その上にn型
GaAsを形成してエミッタ領域として構成される。
【0013】このように構成されたHETを、たとえば
77Kに保持し、ベースにエミッタ電圧に対して正の電
圧を印加すると、エミッタ領域から電子がエミッタ・ベ
ース間のエミッタバリアをトンネル効果で突き抜け、ベ
ース領域をホットエレクトロンの状態で進行し、コレク
タ側のコレクタバリアも越え、その大部分がコレクタに
達する。ベース電圧の制御により、極めて高速度のトラ
ンジスタ動作が行なえる。
【0014】上述の構成においては、GaAs/AlG
aAsヘテロ接合構造が用いられているが、GaAsの
伝導帯には最低順位であるバンドギャップ約1.53e
Vの谷(Γ点)の上に、バンドギャップ約1.7eVの
谷(L点)があり、GaAsベース層内のコレクタバリ
アを越え得るエネルギのホットエレクトロンが、高レベ
ルの谷に遷移して速度が低下する現象がある。
【0015】この問題に対処するため、伝導帯の谷のレ
ベル差がGaAsより大きく、約0.8eVのInGa
Asをベース層等に用いるホットエレクトロントランジ
スタ等が提案されている。
【0016】InGaAs混晶においては、InとGa
の2種の原子が結晶格子のIII族元素の位置に不規則
に入る。このため、格子ポテンシャルが乱れる。ホット
エレクトロンのベースにInGaAsを用いれば、ホッ
トエレクトロンの結晶格子による散乱確率が増大し、コ
レクタ伝達効率が減少して、増幅率等が制限される。
【0017】図2に従来の技術による混晶材料の格子模
型を概略的に示す。図において、ΔはIn原子を表し、
□はGa原子を表し、○はAs原子を表す。InGaA
s混晶半導体においては、V族原子位置にはAs原子が
配置されている。III族原子の位置にはInかGaが
配置されるが、どのIII族原子位置にIn原子が入
り、どのIII族原子位置にGa原子が入るかは不確定
である。
【0018】Ga原子と比較してIn原子は原子半径が
大きいので、III族原子位置にGa原子が入るかIn
原子が入るかによって、周囲に与える影響は異なる。こ
のため、結晶格子の規則性が乱れてキャリアの運動に対
して散乱が生じる。このようにIII族原子の位置が不
確定であることにより、電気的に中性な合金散乱が生じ
る。
【0019】なお、III族原子の位置が不確定な場合
を説明したが、V族原子の位置が不確定な場合も同様の
合金散乱を生じる。III族原子もV族原子も共にその
位置が不確定な時は異算的合金散乱が生じる。
【0020】キャリアの移動度を制限する散乱機構とし
ては、フォノン散乱、イオン化不純物散乱、合金散乱等
が知られている。GaAs等の化合物半導体において
も、フォノン散乱やイオン化不純物散乱は存在する。
【0021】しかしながら、合金散乱は混晶固有の散乱
機構である。活性化エネルギを有するフォノン散乱や、
イオン化不純物散乱等と比べ、合金散乱はその性質上あ
まり温度依存性を有さない。そのため、低温において、
その存在が顕著になる。
【0022】そこで、不規則混晶を規則化させ、合金散
乱を低減することが提案されている。規則混晶の製造方
法としては、自動的に1原子層で成長が停止することを
利用した原子層結晶成長法(ALE)があるが、成長速
度が遅いため、不純物混入の問題があり、合金散乱低減
に伴う移動度増大等は現実には得られていない。
【0023】また、単原子層制御が可能だと言われる分
子線結晶成長(MBE)、有機金属気相成長(MOCV
D)においては、1原子層での自動停止機構がなく、精
密に1原子層ずつ制御するのはかなり複雑な作業を必要
とする。仮に基板表面上に1原子層分の原子を付着する
ことができても、内部拡散等のためその周期性に乱れが
生じてしまう。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】InGaAs等の混晶
半導体を用いてチャネル(電子走行層)やベース等を形
成した場合、フォノン散乱やイオン化不純物散乱等の他
に合金散乱が生じる。特に、動作温度を低温とした場
合、合金散乱の影響が顕著となり、移動度が相対的に低
下して本来の高速性が生かしきれないことになる。
【0025】本発明の目的は、混晶半導体を用いつつ、
合金散乱を抑制することのできる混晶半導体装置を提供
することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】合金散乱は、結晶を構成
する原子の位置の不確定性から生じている。従って、位
置の不確定性が消滅すれば合金散乱も消滅する。
【0027】図1は本発明の原理説明図である。図1
(A)において、半導体装置1は、キャリアが走行する
領域またはその近傍の領域の少なくとも一部として規則
混晶半導体領域2を有する。この規則混晶半導体領域2
は、(110)面を有する下地結晶5の上に第1のII
I−V族化合物の単分子層6と、第2のIII−V族化
合物の単分子層7の1層ずつの規則的交互積層構造で形
成されている。
【0028】図1(B)は、III族元素AとV族元素
Dとの化合物であるIII−V族化合物ADの単分子層
6と、III族元素BとV族元素Dの化合物であるII
I−V化合物BDの単分子層7との交互積層からなる規
則混晶を示す。
【0029】V族元素はDのみであり、図中左側の概略
結晶構造図に示すように、規則的なV族サイトを占め
る。III族元素AとIII族元素Bとは、図中高さ方
向(成長方向である<110>方向)に交互にIII族
元素サイトを占める。
【0030】なお、III−V族化合物単分子層6と、
III−V族化合物単分子層7とは、図中右側に示すよ
うに(110)面を有する下地結晶5上に交互に積層さ
れている。
【0031】なお、図1(B)左側の図面に見られるよ
うに、高さ方向である<110>方向に単分子積層を形
成したとき、同時に横方向である<00−1>方向にも
規則性が生じている。
【0032】図1(C)は、III族元素AとV族元素
Dとの化合物であるIII−V族化合物ADの単分子層
6と、III族元素AとV族元素Cとの化合物であるI
II−V族化合物ACの単分子層7との交互積層を形成
した場合を示す。
【0033】図1(B)と同様に、交互積層単分子層
は、(110)面を有する下地結晶5の上に形成されて
いる。また、積層方向である<110>方向に規則性が
生じると同時に、横方向である<00−1>方向にも規
則性が生じている。
【0034】電極3から電極4に向って(または電極3
aから電極4aに向かって)流れるキャリアは、キャリ
ア走行領域2内において、図中右側に示すような規則的
積層構造中を流れる。なお、キャリア走行領域の近傍の
領域を規則的積層構造としてもよい。
【0035】(110)面を有する下地結晶上には、同
時に2種類のIII−V族化合物ABとCDとを供給し
ても、AB層とCD層の規則的交互積層構造を形成する
ことができる。
【0036】
【作用】図1(B)、(C)に示すように、化合物AD
の単分子層と化合物BDの単分子層、または化合物AD
の単分子層と化合物ACの単分子層とを規則的に交互に
積層すれば、成分としては混晶を形成しつつ、その構成
原子の位置は規則的に確定される。位置の不確定性が消
滅することにより、混晶半導体中の合金散乱は消滅し、
このため、高電子移動度が実現できることが期待され
る。
【0037】本発明者らは、下地結晶面として(11
0)面を用いると、混晶を形成すべき2種類のIII−
V族化合物の原料を同時に下地結晶上に供給しても、下
地結晶上に各III−V族化合物単分子層が1分子層宛
交互に積層された単分子層超格子が形成できることを見
出した(これを自然超格子と言う)。
【0038】また、この交互積層構造において、合金散
乱により制限される移動度を上回る高い移動度が得られ
ること、すなわち合金散乱が実際に抑制されることを発
見した。
【0039】たとえば、III族元素としてA、Bを用
い、V族元素としてDを用いる場合、結晶材料である
A、Bを同時に下地結晶上に供給すると、下地結晶上に
はA、Bがランダムに供給されているにも係わらず、下
地結晶上でAD−BDが1分子層ずつ自然に配列する。
【0040】(110)面上で上述の規則的積層構造が
得られるメカニズムは未だ明らかではないが、(11
0)面の原子配列が規則的積層構造を作るのに適してい
るためと考えられる。
【0041】このような2種類のIII−V族化合物が
1分子層宛規則的に積層された混晶を形成することによ
り、合金散乱が減少することが期待される。また、2種
類のIII−V族化合物を形成するための原料を同時に
供給しても、規則混晶が形成され、合金散乱の減少が期
待できるため、原料の交互供給を行なう場合と比べ、成
長速度を速くすることができ、成長時の不純物混入を低
減することができる。
【0042】
【実施例】図3にInGaAsをチャネル(電子走行
層)として用いた電界効果型半導体装置の構成を概略的
に示す。半絶縁性のInP基板11は、<00−1>方
向に約5度オフした(110)面を有する。
【0043】この半絶縁性InP基板11の上に、厚さ
約3500ÅのInAlAsバッファ層12を成長す
る。このバッファ層中においては、Inx Al1-x As
の組成xが0.52から0.49まで徐々に変化させら
れており、InPに格子整合する組成から、組成が徐々
に変化させられている。
【0044】この組成勾配層12の上に、厚さ約500
ÅのIn0.5 Ga0.5 As層からなるチャネル層13が
成長される。チャネル層13はGaAs単分子層とIn
As単分子層との規則的交互積層で形成される。このチ
ャネル層が電流を運ぶキャリアの走行層となる。
【0045】チャネル層13の上に厚さ約100Åのノ
ンドープIn0.49Al0.51As層からなるスペーサ層1
4が成長される。このスペーサ層14上に、Siを3×
10 17cm-3ドープした厚さ約900ÅのIn0.49Al
0.51As層が電子供給層15として成長される。この上
にさらに厚さ約100ÅのノンドープのIn0.49Al
0.51As層からなるアイソレーション層16が成長さ
れ、積層構造を完成する。
【0046】これらの積層構造の成長は、たとえば、M
BEにより約450℃の成長温度で0.5μm/hの成
長速度で行った。成長条件は、たとえばInのビーム強
度を約0.9×10-7Torr、Gaのビーム強度を約0.
4×10-7Torr、Asのビーム強度を約5×10-6Torr
とした。条件を調整することにより、チャネル層13の
成長時には(110)面上でIn0.5 Ga0.5 Asの自
然超格子を成長できる。
【0047】(110)面から<00−1>または<1
11>方向に5度傾けたInP基板上に、MBE(分子
線エピタキシ)法により、成長温度450℃で成長した
InGaAs自然超格子層の平面TEM回折像のスケッ
チを図4に示す。
【0048】基本的格子面からの回折スポット(図中、
2−20、1−11、002等で示したもの)と共に、
超格子の形成する回折スポットが小さいが明確でかつ規
則正しいスポットとして観察される。
【0049】このようにして、成長方向に沿って、In
As/GaAsの単分子層超格子が形成されていること
がわかる。上述と同様の条件で、成長温度のみは変化さ
せて成長したInGaAs自然超格子層の厚膜の3次元
電子の移動度をファンデアポー(van der Paw )法によ
るホール測定を用いて求めた。測定結果をまとめて図5
に示す。
【0050】横軸が成長温度を示し、縦軸が移動度を示
す。液体窒素温度(77K)と室温(300K)とで測
定したデータをプロットする。移動度は種々の散乱機構
の結合として説明できるが、温度が低くなるとフォノン
散乱、イオン化不純物散乱等が減少するので、本来の移
動度の優劣がより明確に観察できる。
【0051】300Kのプロットでは、中央部がわずか
に持上がっていることが認められる。77Kのプロット
では、より明確に成長温度依存性が認められる。概ね3
90℃〜480℃の成長温度で成長した時、良好な移動
度が得られている。
【0052】また、秩序構造の度合(規則化の度合)を
示すと考えられるTEM回折像における超格子回折スポ
ットの強度は、結晶成長温度を390℃〜480℃にし
た時強くなる。従って、成長温度は、390℃〜480
℃の温度が好ましい。
【0053】InPに格子整合するInx Ga1-x As
の組成は、x=0.53である。規則混晶形成に際して
は、Inの組成0.53が、Gaの組成0.47に対し
て約0.06過剰となる。この過剰のInを取り込もう
とすると、本来GaAs/InAs/GaAs/InA
sとなるべき構造において、GaAs/InAs/In
As/GaAsとなる部分が生じ、逆位相領域を形成す
る原因になるとも考えられる。
【0054】図6に、逆位相領域を示す。図6の破線の
上の部分と破線の下の部分においては、位相が反転して
おり、逆位相領域を形成している。この時、破線の上下
に近接する部分においては、InAsが2分子層並ぶこ
とになる。
【0055】規則混晶形成に際しては、逆位相領域防止
のために、x=0.53よりもx=0.5が望ましい。
x=0.53でInGaAs混晶を実際に成長した場
合、高分解能電子顕微鏡観察によると、InAs/In
Asの逆位相領域が多いことが観察された。
【0056】また、上述の条件で形成した図3の構造の
InGaAs/n−InAlAs選択ドープ構造の選択
された試料において得られた2次元電子ガスの移動度を
図7に示す。
【0057】(110)基板上に成長した試料の<−1
10>方向の2次元電子ガス移動度μ1(110)は、
従来から用いられている(001)基板上の不規則混晶
の2次元電子ガス移動度μ2(001)よりも遙かに大
きな値を示した。この測定結果を図7(A)に示す。な
お、キャリア濃度N1(110)、N2(001)を併
せて示す。
【0058】また、参考のため理論的に計算されている
合金散乱により制限される移動度を図7(B)に示す。
図7(A)の<−110>方向の2次元電子ガス移動度
は、理論的な合金散乱により制限される移動度よりも大
きく、(110)基板上で結晶が規則化され、合金散乱
が抑制されていることが示されたと考えられる。
【0059】なお、2次元電子ガスの移動度には方位依
存性が観察され、<−110>方向の値が<001>方
向の値よりも大きかった。したがって、2次元電子ガス
を<−110>方向に流すデバイスを設計することより
高速な動作が期待できる。
【0060】これらの結晶成長は、分子線結晶成長法
(MBE)あるいは有機金属気相成長法(MOCVD)
を用いて成長することができる。また、原子層エピタキ
シ(ALE)およびマイグレーションエンハースメント
エピタキシ(MEE)を用いてInとGaを交互に供給
して成長すれば、その規則性をより増大することができ
ると考えられる。
【0061】図3に戻って、以上のように形成した積層
構造の上に、ゲート電極17、ソース電極18、ドレイ
ン電極19を<−110>方向に沿って形成することに
よって、電界効果型半導体装置を完成する。たとえば、
ゲート電極17はAlで形成し、ソース電極18および
ドレイン電極19はAuGe/Auで形成し、オーミッ
ク電極とする。
【0062】基板として<00−1>方向に約5度のオ
フ角度を有する(110)面InP基板を用いたが、約
0.1度から10度傾いた基板を下地基板として用いる
ことが平坦なエピタキシャル成長のために好ましい。
【0063】ただし、通常のMBE法によってはファセ
ット成長等を起こして平坦なエピタキシャル成長の難し
い(110)ジャストの面にも、MEE等によれば平坦
なエピタキシャル成長を行うことが可能である。
【0064】このような、下地基板の表面を用いると、
In原子とGa原子とを同時に供給しても、たとえば、
InAsとGaAsとを1原子層づつ交互に成長するこ
とができる。
【0065】もちろん、(110)面を用い、かつソー
スを交互に供給することにより、規則的混晶層を形成す
ることも可能である。このようにして、自然超格子が形
成される特性を有する面を用いることにより、優れた規
則的構造を実現することができ、合金散乱を実効的に低
減することが可能である。
【0066】不純物の混入を防止し、短時間に高純度の
規則的混晶層を形成するには、同時供給の方が適してい
る。この場合、シャッタ開閉の回数も低減させ、成長装
置のダメージも低減することができる。
【0067】一方、ソースを切換えることによって、選
択的に原子層を成長する方法を用いれば、成長される混
晶結晶の規則性をより改善することが可能であろう。以
上、主としてInP基板の上にIn0.5 Ga0.5 As混
晶半導体を成長する場合について説明したが、In0.5
Al0.5 Asの場合も全く同様に規則混晶を形成できる
ことを確認した。成長温度も390℃〜480℃が好ま
しい。
【0068】図8は、In0.5 Ga0.5 As規則混晶を
ベースに用いたHETの構造を示す。<00−1>方向
へ5度傾けた(110)面を有する反絶縁性InP基板
21の上に、n型In0.53Ga0.47As混晶で形成され
たコレクタ層22、ノンドープのInPで形成された厚
さ約1500Åのコレクタバリア層23を成長する。
【0069】コレクタバリア層23の上に、InAs/
GaAs交互単分子積層の規則混晶で形成されたベース
層24を形成する。ベース層24の上に、ノンドープの
InPで形成した厚さ約250Åエミッタバリア層2
5、n型In0.53Ga0.47As混晶で形成されたエミッ
タ層26を形成する。これらの半導体層は、MBE法に
よって成長温度430℃でエピタキシャル成長されてい
る。
【0070】本実施例のベース層は、2元III−V族
化合物であるInAsとGaAsとの単原子層超格子構
造であり、ドナー不純物としてたとえばシリコンが一様
に濃度0.5×1018cm-3程度ドープされている。
【0071】また、ベース層の厚さはたとえば500Å
である。コレクタ領域22、ベース領域24、エミッタ
領域26の上には、それぞれコレクタ電極27、ベース
電極28、エミッタ電極29が形成される。コレクタ電
極27とベース電極28は、たとえば厚さ約200Åの
金ゲルマニュウム合金(AuGe)層と厚さ約2800
ÅのAu層を積層した構造である。
【0072】また、エミッタ電極29は、たとえば厚さ
約200ÅのAuGe層、厚さ約1000ÅのAu層、
厚さ約3000Åのタングステンシリサイド(WSi)
層を積層した構造である。
【0073】ベース領域24は、InGaAs混晶であ
るが、原子の位置は規則的に配列された規則混晶であ
る。このため、ベース領域内においてポテンシャルが周
期化し、合金散乱が減少する。これによりベース領域内
において合金散乱が実質的に減少する。
【0074】なお、エミッタバリア領域としてInPを
用いる場合を説明したが、エミッタバリア領域をInA
lAsの規則混晶で形成してもよい。エミッタバリア領
域をInAlAs規則混晶で形成した場合、混晶半導体
でエミッタバリア領域を形成するにも係わらず、エミッ
タバリア領域内でIII族元素の位置の不確定性はな
く、合金散乱は減少する。
【0075】また、結晶格子の乱れの影響はその近傍に
も及ぶ。キャリア走行する領域の近傍に混晶領域が存在
する場合は、その近傍領域を交互単分子積層で形成する
ことにより散乱の減少を期待できる。
【0076】以上、III族元素を2種類含むIII−
V族混晶半導体の場合を説明したが、同様の減少がV族
元素を2種類含むIII−V族半導体においても観察さ
れた。
【0077】(110)面から<00−1>または<1
1−1>方向に5度傾けたInP基板上に、分子線エピ
タキシ(MBE)により成長温度500℃でGaAs
0.5 Sb0.5 混晶を成長し、自然超格子を得た。この自
然超格子層の平面TED像のスケッチは、図4に示した
ものとほぼ同様である。基本的格子面からの回折スポッ
トと共に、超格子の形成を示す回折スポットが小さいが
明確で、かつ規則正しいスポットとして観察された。
【0078】このようにして、成長方向に沿ってGaS
b/GaAsの単分子層超格子が形成されていることが
わかった。このようなGaSb/GaAs交互単分子積
層をキャリアが走行する領域、またはその近傍の領域の
少なくとも一部として用いることができる。不規則性の
消滅により、合金散乱の低減が期待できる。
【0079】基板として、<00−1>方向に約5度の
オフ角度を有する(110)面InP基板を用いたが、
約0.1度から10度傾いた基板を下地基板として用い
ることが、平坦なエピタキシャル成長のために好まし
い。
【0080】成長温度に関しては、450℃前後では組
成ゆらぎによる変調構造が発生してしまい、逆に600
℃程度まで昇温すると再蒸発が大きく、表面が荒れる。
480℃〜550℃程度が好ましい成長温度と考えられ
る。
【0081】このように、(110)面上では自然超格
子が成長できる等、自然に規則化が起きる。(110)
面上に2種類のIII−V族原料を交互に供給すれば、
成長される混晶の規則性をさらに改善することも可能で
あろう。
【0082】以上、実施例に沿って本発明を説明した
が、本発明はこれらに制限されるものではない。たとえ
ば、種々の変更、改良、組合わせ等が可能なことは当業
者に自明であろう。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電荷キャリアが通過する領域、またはその近傍の領域の
少なくとも一部として交互積層単分子層III−V族半
導体混晶層を用いることにより、合金散乱の少ない半導
体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】従来の混晶を示すモデル図である。
【図3】本発明の実施例による半導体装置を概略的に示
す断面図である。
【図4】作成した超格子のTEM回折像のスケッチであ
る。
【図5】作成した試料で測定された移動度の成長温度依
存性を示すグラフである。
【図6】逆位相領域を説明するモデル図である。
【図7】得られた規則混晶の移動度を示すグラフであ
る。
【図8】HETの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体装置 2 規則混晶半導体 3、4 電極 5 下地結晶 6、7 III−V族化合物の単分子層 11 (110)InP基板 12 InAlAsバッファ層 13 InGaAsチャネル層(電子走行層) 14 InAlAsスペーサ層 15 InAlAs電子供給層 16 InAlAsアイソレーション層 17 Alゲート電極 18、19 AuGe/Auソース/ドレイン電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体装置における電荷キャリアが通過
    する領域またはその近傍の領域の少なくとも一部(2)
    が、2成分混晶を形成する各成分であるIII−V族化
    合物の(110)面単分子層(6、7)の規則的交互積
    層で形成されていることを特徴とする混晶半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記2成分混晶がInGaAs、InA
    lAs、GaAsSbのいずれかである請求項1記載の
    混晶半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記キャリアが通過する領域またはその
    近傍の領域の少なくとも一部(2)が、(110)面を
    有するInP基板上に形成されている請求項2記載の混
    晶半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記混晶半導体装置は、(110)面ま
    たは(110)面から<00−1>方向または<11−
    1>方向へ0.1度から10度傾けた面を有するInP
    基板上に形成されている請求項2記載の混晶半導体装
    置。
  5. 【請求項5】 (110)面を有する下地結晶(5)上
    に第1のIII−V族化合物分子と第2のIII−V族
    化合物分子とを同時に供給して第1のIII−V族化合
    物の単分子層(6)と第2のIII−V族化合物の単分
    子層(7)とを自動的に規則的に交互に積層することに
    より、半導体装置における、キャリアが走行する領域ま
    たはその近傍の領域の少なくとも一部(2)を形成する
    工程を含むことを特徴とする混晶半導体装置の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記キャリアが走行する領域またはその
    近傍の領域の少なくとも一部(2)を形成する工程が、
    390℃から480℃の温度でInAs/GaAsまた
    はInAs/AlAsの単分子層交互積層の結晶成長を
    行なうことを含む請求項5記載の混晶半導体装置の製造
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5811179A (en) * 1993-04-06 1998-09-22 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetic recording medium
JP2011518443A (ja) * 2008-06-19 2011-06-23 インテル・コーポレーション シリコン上にバッファ層構造を形成する方法および当該方法により形成された構造
US11107894B2 (en) 2018-02-23 2021-08-31 Korea Institute Of Science And Technology Group III-V compound semiconductor device

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JP2011518443A (ja) * 2008-06-19 2011-06-23 インテル・コーポレーション シリコン上にバッファ層構造を形成する方法および当該方法により形成された構造
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