JP3306681B2 - 高電子移動度半導体装置 - Google Patents

高電子移動度半導体装置

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JP3306681B2
JP3306681B2 JP20597793A JP20597793A JP3306681B2 JP 3306681 B2 JP3306681 B2 JP 3306681B2 JP 20597793 A JP20597793 A JP 20597793A JP 20597793 A JP20597793 A JP 20597793A JP 3306681 B2 JP3306681 B2 JP 3306681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超格子構造を用いた高
電子移動度半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、2次元状態の電子が移動する
領域と不純物をドーピングする領域を空間的に分離する
ことに(変調ドーピング)よって、電子の不純物散乱を
抑制し、低温での電子の移動度を増大して低雑音、高速
動作を可能にした高電子移動度トランジスタ(HEM
T)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このH
EMTにおいて、室温での電子の散乱が、不純物散乱よ
りも光学フォノン散乱が支配的になるため、現時点では
室温における移動度の増大は実現していない。本発明
は、電子の光学フォノン散乱を抑制して室温における電
子の移動度を増大して高速電子移動度半導体装置を提供
することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる高電子移
動度半導体装置においては、傾斜基板のテラスの上に、
光学フォノン散乱を抑制するミニバンドを形成する周期
構造を有する構成を採用した。
【0005】この場合、周期構造として縦型超格子、市
松模様構造の超格子、細線化された超格子を用いること
ができる。
【0006】また、周期構造として縦型超格子、市松模
様構造の超格子、細線化された超格子をHEMTのチャ
ネル層として用いて高電子移動度半導体装置を実現する
ことができる。
【0007】
【作用】本発明のように、光学フォノンのエネルギーよ
り大きいエネルギーギャップと、光学フォノンのエネル
ギーより小さいバンド幅を有するミニバンドを形成する
周期構造を傾斜基板の上に形成すると、光学フォノンの
散乱を有効に抑制することができる。また、この周期構
造を電子のチャネル層として用いることによって、室温
において高速動作可能な高電子移動度半導体装置を実現
することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (第1実施例)図1は、第1実施例の高電子移動度半導
体装置の製造工程説明図であり、(A)〜(D)は各工
程を示している。この図において、1はInP傾斜基
板、2はテラス、3はステップエッジ、4はInAs単
分子層、5はGaAs単分子層、6はInAs単結晶
層、7はGaAs単結晶層である。この工程説明図によ
って第1実施例の高電子移動度半導体装置の製造方法を
説明する。
【0009】第1工程(図1(A)参照) この実施例においては、(110)面から〔00−1〕
方向に1.45°傾いたInP傾斜基板1を調整する。
なお、上記〔00−1〕の「−1」は、通常「1」の上
にバーを付して「1」と逆の方向を示すものを意味して
いる。光学フォノン散乱を抑制するためには、ミニバン
ドのバンド幅が光学フォノンのエネルギーよりも小さく
なければならないが、そのようなミニハンドを得るため
には、(110)面から〔00−1〕方向への傾きは2
°以下でなければならない。
【0010】第2工程(図1(B)参照) 次いで、このInP傾斜基板1の上に分子線エピタキシ
ー法(MBE法)によってInAs単分子層4をステッ
プエッジ3から半ステップ分成長する。この成長法によ
ると、InAs単分子層4はInP傾斜基板1のテラス
2の上にステップエッジ3から成長する。
【0011】第3工程(図1(C)参照) 次いで、原料ガスを切り換えて、GaAs単分子層5を
テラス2の上に残りの半ステップ分成長する。
【0012】第4工程(図1(D)参照) この工程を繰り返すことによって、InP傾斜基板1の
テラス2の上にInAs単結晶層6とGaAs単結晶層
7からなる周期構造、すなわち、縦型超格子が形成され
る。
【0013】図2は、第1実施例のチャネル層の説明図
であり、(A)は第1図に示される構造のInAs単結
晶層6とGaAs単結晶層7のエネルギーバンドの関係
を示し、(B)は縦型超格子のエネルギーバンドの周期
構造によって周期方向の電子の運動に対してミニバンド
が形成されることを示している。第1図に示される構造
のInAs単結晶層6とGaAs単結晶層7のエネルギ
ーバンドは図2(A)に示されているように、量子井戸
層となるInAs単結晶層6の幅が41.09Åであ
り、障壁層となるGaAs単結晶層7の幅が41.09
Åであり、そのポテンシャルの差が0.65〔eV〕で
ある。
【0014】また、図2(B)に示されているように、
縦型超格子のエネルギーバンドの周期構造によって周期
方向の電子の運動に対してミニバンドが形成されてい
る。この図において、EF はフェルミ準位であり、E
1minは192.2〔meV〕、E1maxは218.1〔m
eV〕、E2minは607.4〔meV〕、E2maxは80
6.7〔meV〕、E1max−E1minは25.9〔me
V〕、E2min−E1maxは389.3〔meV〕である。
【0015】光学フォノンの散乱は、電子が光学フォノ
ンを放出または吸収することによって生じる。したがっ
て、電子がフォノンを放出または吸収した後の遷移先が
ミニバンドの禁止帯であるならば、光学フォノン散乱は
生じないことになる。
【0016】上記の条件を満足するためには、電子が1
番低いミニバンドのみに詰まり、2番目のミニバンドか
ら上のミニバンドは空席になるようにドーピングなどし
て電子を供給し、さらに、1番低いミニバンドの幅E
1max−E1minを最も小さいエネルギーをもつ光学フォノ
ンのエネルギーよりも小さくし、1番低いミニバンドと
2番目のミニバンドの間のバンドギャップE2min−E
1maxを、最も大きいエネルギーをもつ光学フォノンのエ
ネルギーよりも大きくするとよい。このようにすると、
電子が光学フォノン放出または吸収したあとの遷移先が
禁止帯になるので、光学フォノン散乱は抑制される。
【0017】第1実施例において、この条件が満足され
ていることを確認する。InAsの光学フォノンのエネ
ルギーは30.1〔meV〕、GaAsの光学フォノン
のエネルギーは36.3〔meV〕であり、先にみたよ
うに、一番低いミニバンドのバンド幅は25.9〔me
V〕、1番低いミニバンドと第2番目のミニバンドの間
のバンドギャップは389.3〔meV〕となっている
から、これらの数値を比較すると第1実施例においては
上記の条件が満足されていることがわかる。
【0018】しかし、この条件を満足しても、光学フォ
ノン散乱を完全に抑制することができるわけではない。
すなわち、周期構造の方向をx軸とし、この周期構造に
直交する方向をy軸とすると、x方向の電子の運動に対
しては前述のとおり、電子の散乱を抑制するミニバンド
を形成することができるが、y軸方向の運動に対しては
連続したままでミニバンドは形成されないから光学フォ
ノンの散乱は抑制されない。。
【0019】したがって、電子が光学フォノンを吸収し
てy軸方向の運動量を獲得する可能性がある。しかし、
y方向の散乱はx軸方向の運動量の変化への寄与が小さ
いから、その移動度への効果は小さく、結局、光学フォ
ノンの散乱はほとんど抑制されて、室温においても電子
の移動度を増大させることができる。
【0020】上記の縦型超格子は従来から知られている
HEMTのチャネル層として用いることができる。
【0021】図3は、第1実施例のHEMTの説明図で
あり、(A)は第1実施例のHEMTの構成説明図、
(B)はそのチャネルのエネルギーバンド説明図であ
る。この図において、11はInP傾斜基板、12はバ
ッファー層、13はi型の縦型超格子、14は二次元電
子ガス、15はバッファー層を兼ねる電子供給層、16
はソース領域、17はドレイン領域、18はソース電
極、19はドレイン電極、20はゲート電極である。
【0022】この図3(A)のHEMTの構成説明図に
よって、この実施例のHEMTの製造工程の説明を兼ね
てその構成を説明する。まず、(110)面から〔00
−1〕方向に1.45°傾いたInP傾斜基板11の上
に、MBE法によってIn0.53 Ga0.47Asからなる
バッファー層12を成長する。
【0023】その上に、先に説明したInAs層とGa
As層からなりチャネル層となるi型の縦型超格子13
を成長する。その上に、n−In0.52Al0.48Asから
なるバッファー層を兼ねる電子供給層15を成長する。
【0024】その上からn型不純物イオンを選択的に注
入してソース領域16とドレイン領域17を形成し、ソ
ース領域16とドレイン領域17の上にソース電極18
とドレイン電極19を形成する。また、ソース領域16
とドレイン領域17の間のバッファー層を兼ねる電子供
給層15上にゲート電極20を形成して完成する。な
お、14はバッファー層を兼ねる電子供給層15によっ
て変調ドープされた二次元電子ガス(2DEG)であ
る。
【0025】この実施例のHEMTのチャネル層のエネ
ルギーバンド図が図3(B)に示されているが、z軸方
向にはヘテロ接合界面に二次元電子ガス(2DEG)が
形成されており、電子が進行するx方向には、光学フォ
ノン散乱を抑制するミニバンドが形成されている。この
HEMT構造によって、室温における高電子移動度半導
体装置が実現される。
【0026】(第2実施例)図4は、第2実施例の高電
子移動度半導体装置の製造工程説明図であり、(A)〜
(D)は各工程を示している。この図において、21は
InP基板、22はテラス、23はステップエッジ、2
4はGaAs単分子層、25はInAs単分子層、26
は市松模様型超格子である。この工程説明図によって第
2実施例の高電子移動度半導体装置の製造方法を説明す
る。
【0027】第1工程(図4(A)参照) この実施例においては、(110)面から〔00−1〕
方向に1.7°傾いたInP基板21を調製する。この
基板においては、1つのテラス22の幅は12分子層で
ある。
【0028】第2工程(図4(B)参照) 次いで、このInP基板21のテラス22の上に分子線
エピタキシー法(MBE法)によってGaAs単分子層
24をステップエッジ23から始まって12分子成長す
る。
【0029】第3工程(図4(C)参照) 次いで、原料ソースを切り換えて、12分子のGaAs
単分子層24の上に、InAs単分子層25を13分子
成長する。
【0030】第4工程(図4(D)参照) この工程を繰り返すことによって、InP基板21のテ
ラス22の上に、GaAs単分子層24とInAs単分
子層25からなる周期構造、すなわち、市松模様型超格
子26が形成される。
【0031】図5は、第2実施例のチャネル層の説明図
であり、(A)は第2実施例のチャネル層となる市松模
様型超格子の製造工程を示し、(B)はそのエネルギー
バンドを示し、(C)はミニバンドを示している。
【0032】図5(A)の模式図によって、第2実施例
のチャネル層となる市松模様型超格子の製造工程の一部
を説明する。この図において、31,34はGaAs単
分子層●、32,33はInAs単分子層○である。
【0033】この図は、市松模様型超格子の2段だけを
示したもので、傾斜InP基板の上に、12分子のGa
As単分子層31,34と13分子のInAs単分子層
32,33が交互に積層して成長されている。
【0034】この図で下層になっているInAs単分子
層32と、その上層のInAs単分子層33とは、Ga
As単分子層31,34を介して1.5分子だけ重なり
あっている。この重なり具合によって、GaAs単分子
層あるいはInAs単分子層によって生じるエネルギー
バンドの高ポテンシャル領域と低ポテンシャル領域の実
効的な幅を調節することができる。光学フォノンを抑制
するためには、この重なりは1.5以上必要である。
【0035】前記の周期構造の分子配列に有効質量近似
を用いると、そのエネルギーバンド構造は、図5(B)
のようになる。すなわち、この実施例においては、周期
構造は成長方向、および、成長方向に直交する方向に生
じ、高ポテンシャル領域の幅が2.935Åでそのポテ
ンシャルは0.325〔eV〕、低ポテンシャル領域の
幅が8.805Åでそのポテンシャルは−0.325
〔eV〕であり、その間隔が67.505Åである。
【0036】上記のエネルギーポテンシャルが周期構造
によって生じるミニバンドは図5(C)に示されている
が、E1minは300.2〔meV〕、E1maxは319.
5〔meV〕、E2minは378.5〔meV〕、E2max
は468.1〔meV〕、E 1max−E1minは19.3
〔meV〕、E2min−E1maxは59.0〔meV〕であ
る。
【0037】第2実施例において、光学フォノン散乱を
抑制する条件が満足されていることが確認される。In
Asの光学フォノンのエネルギーは30.1〔me
V〕、GaAsの光学フォノンのエネルギーは36.3
〔meV〕、1番低いミニバンドのバンド幅は19.3
〔meV〕、1番低いミニバンドと2番目のミニバンド
の間のバンドギャップは59.0〔meV〕となってい
る。これらの数値を比較すると、第2実施例においては
前述の条件が満足されていることがわかる。
【0038】上記の市松模様型超格子は従来から知られ
ているHEMTのチャネル層として用いることができ
る。
【0039】図6は、第2実施例のHEMTの説明図で
あり、(A)は構成を示し、(B)はそのチャネルのエ
ネルギーバンドを示している。この図において、41は
InP傾斜基板、42はバッファー層、43はi型の市
松模様型超格子、44は二次元電子ガス、45はバッフ
ァー層を兼ねる電子供給層、46はソース領域、47は
ドレイン領域、48はソース電極、49はドレイン電
極、50はゲート電極である。
【0040】この図6(A)のHEMTの構成説明図に
よって、この実施例のHEMTの製造工程の説明を兼ね
てその構成を簡単に説明する。(110)面から〔00
−1〕方向に1.7°傾いたInP傾斜基板41の上
に、MBE法によってIn0.53Ga0.47Asからなるバ
ッファー層42を成長する。その上に、先に説明したI
nAs層とGaAs層からなるチャネル層となるi型の
市松模様型超格子43を成長する。その上にn−In
0.52Al0.48Asからなるバッファー層を兼ねる電子供
給層45を成長する。
【0041】その上からn型不純物を選択的に注入して
ソース領域46とドレイン領域47を形成し、ソース領
域46とドレイン領域47の上にソース電極48とドレ
イン電極49を形成する。また、ソース領域46とドレ
イン領域47の間のバッファー層を兼ねる電子供給層4
5上にゲート電極50を形成して完成する。なお、44
はバッファー層を兼ねる電子供給層45によって変調ド
ープされた二次元電子ガス(2DEG)である。
【0042】この実施例のHEMTのチャネルのバンド
図が図6(B)に示されているが、z軸方向にはヘテロ
接合界面に二次元電子ガス(2DEG)が形成されてお
り、電子が進行するx方向には、電子の光学フォノン散
乱を抑制するミニバンドが形成されているため、室温に
おける高電子移動度半導体装置が実現される。
【0043】(第3実施例)図7は、第3実施例の高電
子移動度半導体装置の製造工程説明図であり、(A)〜
(E)は各工程を示している。この図において、51は
InP傾斜基板、52はテラス、53はステップエッ
ジ、54はInAs単分子層、55はGaAs単分子
層、56はAlAs単分子層である。この工程説明図に
よって第3実施例の高電子移動度半導体装置の製造方法
を説明する。
【0044】第1工程(図7(A)参照) この実施例においては、(110)面から〔00−1〕
方向に1.7°傾いたInP傾斜基板51を用いる。光
学フォノン散乱を抑制するためには、ミニバンドのバン
ド幅が光学フォノンのエネルギーよりも小さくなければ
ならないが、そのようなミニバンドを得るためには、
(110)面から〔00−1〕方向への傾きは2°以下
でなければならない。
【0045】第2工程(図7(B)参照) 次いで、このInP傾斜基板51のテラス52の上に分
子線エピタキシー法(MBE法)によってInAs単分
子層54をステップエッジ53から1ステップ分成長す
る。。
【0046】第3工程(図7(C)参照) 次いで、原料を切り換えて、GaAs単分子層55をテ
ラス52の上に半ステップ分成長する。
【0047】第4工程(図7(D)参照) 次いで、原料を切り換えて、AlAs単分子層56をテ
ラス52の上に残りの半ステップ分成長する。
【0048】第5工程(図7(E)参照) 第2工程から第4工程を繰り返すことによって、InP
傾斜基板51のテラス52の上に、InAs単分子層5
4とGaAs単分子層55からなるInGaAs単結晶
層と、InAs単分子層54とAlAs単分子層56か
らなるInAlAs単結晶から構成される周期構造、す
なわち、縦型超格子が形成される。
【0049】図8は、第3実施例のチャネル層の説明図
であり、(A)は第3実施例のInGaAs単結晶層と
InAlAs単結晶のエネルギーバンドの関係を示し、
(B)はミニバンドを示している。
【0050】図8(A)は、図7に示される構造のIn
GaAs単結晶層とInAlAs単結晶層のエネルギー
バンドの関係を示すもので、量子井戸層となるInGa
As単結晶層の幅が35.0Åであり、障壁層となるI
nAlAs単結晶層の幅が35.0Åであり、そのポテ
ンシャルの差が0.55〔eV〕であることが示されて
いる。
【0051】図8(B)は、縦型超格子のエネルギーバ
ンドの周期構造によって周期方向の電子の運動に対して
ミニバンドが形成されたことが示されている。この図に
おいて、EF はフェルミ準位であり、E1minは176.
4〔meV〕、E1maxは201.5〔meV〕、E2min
は595.0〔meV〕、E2maxは820.3〔me
V〕、E1max−E1minは25.1〔meV〕、E2min
1maxは393.5〔meV〕である。
【0052】第3実施例において、光学フォノン散乱を
抑制する条件が満足されていることを確認する。すなわ
ち、InAsの光学フォノンのエネルギーは30.1
〔meV〕、GaAsの光学フォノンのエネルギーは3
6.3〔meV〕、1番低いミニバンドのバンド幅は2
5.1〔meV〕、1番低いミニバンドと2番目のミニ
バンドの間のバンドギャップは393.5〔meV〕と
なっているから、これらの数値を比較すると、第3実施
例においては前述の条件が満足されていることがわか
る。
【0053】図9は、第3実施例のHEMTの説明図で
あり、(A)は構成を示し、(B)はそのチャネルのエ
ネルギーバンドを示している。この図において、61は
InP傾斜基板、62はバッファー層、63はi型の縦
型超格子、64は二次元電子ガス、65はバッファー層
を兼ねる電子供給層、66はソース領域、67はドレイ
ン領域、68はソース電極、69はドレイン電極、70
はゲート電極である。
【0054】この図9(A)のHEMTの構成説明図に
よって、この実施例のHEMTの製造工程の説明を兼ね
てその構成を説明する。まず、(100)面から〔00
−1〕方向に1.7°傾いたInP傾斜基板61の上
に、MBE法によってIn0.53Ga0.47Asからなるバ
ッファー層62を成長する。その上に、先に説明したI
nGaAs層とInAlAs層からなりチャネル層とな
るi型の縦型超格子63を成長する。その上にn−In
0.52Al0.48Asからなるバッファー層を兼ねる電子供
給層65を成長する。
【0055】その上からn型不純物を選択的に注入して
ソース領域66とドレイン領域67を形成し、ソース領
域66とドレイン領域67の上にソース電極68とドレ
イン電極69を形成する。また、ソース領域66とドレ
イン領域67の間のバッファー層を兼ねる電子供給層6
5の上にゲート電極70を形成して完成する。なお、6
4はバッファー層を兼ねる電子供給層65によって変調
ドープされた二次元電子ガス(2DEG)である。
【0056】この実施例のHEMTのチャネル層のエネ
ルギーバンド図が図9(B)に示されているが、z軸方
向にはヘテロ接合界面に二次元電子ガス(2DEG)が
形成されており、電子が進行するx方向には、電子の光
学フォノン散乱を抑制するミニバンドが形成されてい
る。このHEMT構造によって、室温における高電子移
動度半導体装置が実現される。
【0057】(第4実施例)第1実施例と第2実施例と
第3実施例においては、先に述べたように電子フォノン
散乱は完全に抑制されるわけではない。周期構造の方向
をx軸とし、この周期構造に直交する方向をy軸とする
と、x軸方向の電子の運動に対しては前述の通り、電子
の散乱を抑制するミニバンドを形成することができる
が、y軸方向に対しては、バンドが連続したままでミニ
バンドは形成されないから光学フォノン散乱は抑制され
ない。したがって、電子が光学フォノンを吸収してy軸
方向の運動量を獲得する可能性がある。
【0058】図10は、第4実施例の高電子移動度半導
体装置の構成説明図である。この図において、71はI
nP傾斜基板、72はテラス、73はInAs単分子
層、74はGaAs単分子層である。この実施例の高電
子移動度半導体装置のチャネル層は、InP傾斜基板7
1のテラス72の上に、InAs単分子層73とGaA
s単分子層74が繰り返し成長され、縦型超格子が形成
され、y軸方向には狭くx軸方向に延びる細線を構成し
ている。
【0059】この構成のチャネル層においては、電子は
光学フォノンを吸収してy軸方向に運動しようとして
も、細線化されているため、電子の遷移先がなく、y軸
方向の光学フォノンをも抑制される。したがって、チャ
ネル層を細線化することによって、電子の移動度はさら
に増大し、室温における高電子移動度半導体装置を実現
することができる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
傾斜基板のテラス上に異なる半導体層を成長することに
よって、縦型超格子、市松模様型超格子等の周期構造を
形成し、これによって電子の光学フォノン散乱を抑制す
るミニバンドを形成し、室温における電子の移動度を向
上することができ、高電子動移度半導体装置の性能向上
に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の高電子移動度半導体装置の製造工
程説明図であり、(A)〜(D)は各工程を示してい
る。
【図2】第1実施例のチャネル層の説明図であり、
(A)は第1図に示される構造のInAs単結晶層6と
GaAs単結晶層7のエネルギーバンドの関係を示し、
(B)は縦型超格子のエネルギーバンドの周期構造によ
って周期方向の電子の運動に対してミニバンドが形成さ
れることを示している。
【図3】第1実施例のHEMTの説明図であり、(A)
は第1実施例のHEMTの構成説明図、(B)はそのチ
ャネルのエネルギーバンド説明図である。
【図4】第2実施例の高電子移動度半導体装置の製造工
程説明図であり、(A)〜(D)は各工程を示してい
る。
【図5】第2実施例のチャネル層の説明図であり、
(A)は第2実施例のチャネル層となる市松模様型超格
子の製造工程を示し、(B)はそのエネルギーバンドを
示し、(C)はミニバンドを示している。
【図6】第2実施例のHEMTの説明図であり、(A)
は構成を示し、(B)はそのチャネルのエネルギーバン
ドを示している。
【図7】第3実施例の高電子移動度半導体装置の製造工
程説明図であり、(A)〜(E)は各工程を示してい
る。
【図8】第3実施例のチャネル層の説明図であり、
(A)は第3実施例のInGaAs単結晶層とInAl
As単結晶のエネルギーバンドの関係を示し、(B)は
ミニバンドを示している。
【図9】第3実施例のHEMTの説明図であり、(A)
は構成を示し、(B)はそのチャネルのエネルギーバン
ドを示している。
【図10】第4実施例の高電子移動度半導体装置の構成
説明図である。
【符号の説明】
1 InP傾斜基板 2 テラス 3 ステップエッジ 4 InAs単分子層 5 GaAs単分子層 6 InAs単結晶層 7 GaAs単結晶層 11 InP傾斜基板 12 バッファー層 13 i型の縦型超格子 14 二次元電子ガス 15 バッファー層を兼ねる電子供給層 16 ソース領域 17 ドレイン領域 18 ソース電極 19 ドレイン電極 20 ゲート電極 21 InP基板 22 テラス 23 ステップエッジ 24 GaAs単分子層 25 InAs単分子層 26 市松模様型超格子 31,34 GaAs単分子層 32,33 InAs単分子層 41 InP傾斜基板 42 バッファー層 43 i型の市松模様型超格子 44 二次元電子ガス 45 バッファー層を兼ねる電子供給層 46 ソース領域 47 ドレイン領域 48 ソース電極 49 ドレイン電極 50 ゲート電極 51 InP傾斜基板 52 テラス 53 ステップエッジ 54 InAs単分子層 55 GaAs単分子層 56 AlAs単分子層 61 InP傾斜基板 62 バッファー層 63 i型の縦型超格子 64 二次元電子ガス 65 バッファー層を兼ねる電子供給層 66 ソース領域 67 ドレイン領域 68 ソース電極 69 ドレイン電極 70 ゲート電極 71 InP傾斜基板 72 テラス 73 InAs単分子層 74 GaAs単分子層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−139969(JP,A) 特開 平2−17648(JP,A) 特開 平2−26078(JP,A) 特開 平2−97028(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/338 H01L 21/20 H01L 29/778 H01L 29/80 H01L 29/812

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(110)面から〔00−1〕方向に2.
    0°以下の傾きの面をもったInPを傾斜基板とし、且
    つ、該傾斜基板のテラスの上に成長されて光学フォノン
    散乱を抑制するミニバンドを生成する周期構造をInA
    s層及びGaAs層からなる縦型超格子で構成したこと
    を特徴とする高電子移動度半導体装置。
  2. 【請求項2】(110)面から〔00−1〕方向に2.
    0°以下の傾きの面をもったInPを傾斜基板とし、且
    つ、該傾斜基板のテラスの上に成長されて光学フォノン
    散乱を抑制するミニバンドを生成する周期構造をInG
    aAs層及びInAlAs層からなる縦型超格子で構成
    したことを特徴とする高電子移動度半導体装置。
  3. 【請求項3】縦型超格子がチャネル層であることを特徴
    とする請求項1或いは請求項2記載の高電子移動度半導
    体装置。
  4. 【請求項4】(110)面から〔00−1〕方向に2.
    0°以下の傾きの面をもったInPを傾斜基板とし、且
    つ、該傾斜基板のテラスの上に成長されて光学フォノン
    散乱を抑制するミニバンドを生成する周期構造をInA
    s層とGaAs層とが交互に縦横方向に周期的に連続す
    る市松模様型超格子で構成したことを特徴とする高電子
    移動度半導体装置。
  5. 【請求項5】市松模様型超格子は下層のInAs層並び
    に上層のInAs層がGaAs層を介して1.5分子以
    上重なり合うように縦横方向に周期的に連続して形成し
    たものであることを特徴とする請求項4記載の高電子移
    動度半導体装置。
  6. 【請求項6】市松模様型超格子がチャネル層であること
    を特徴とする請求項4或いは請求項5記載の高電子移動
    度半導体装置。
  7. 【請求項7】超格子が細線化されたものであることを特
    徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1記載の高電子
    移動度半導体装置。
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