JPH05133079A - フリーアクセスフロア用床パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パネル全体について均質な強度が得られ、製
造が容易で、安価なフリーアクセスフロア用床パネルを
提供する。 【構成】 上側の鋼板１と下側の鋼板２とを周縁部１
ａ，２ａで接合し、中空部４を有する床パネルの外殻を
形成する。下側の鋼板２の外面から上側の鋼板１の内面
に向けて、複数のスタッドピン５を中空部４に通す。ス
タッドピン５の軸部５ａの先端を上側の鋼板１の内面に
スタッド溶接し、上下の鋼板１，２を連結する。中空部
４にはモルタル等の充填材９を充填する。下側の鋼板２
には、予め円形の凹部６をプレス加工しておき、スタッ
ドピン５のヘッド部５ｂを収納し、鋼板２外面からのヘ
ッド部５ｂの突出をなくす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコンクリート等の基準床
面上に、支持脚等を介して多数の床パネルを敷設してな
るフリーアクセスフロアにおいて、二重床の上部床を形
成する床パネルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コンクリート床等の基準床面上に支持脚
を介して床パネルを敷設し、床パネルと基準床面との間
にケーブル類を配線するための空間を形成した二重床構
造、すなわちフリーアクセスフロアが知られている。

【０００３】上記フリーアクセスフロアに用いられる床
パネルとしては、従来、アルミダイカスト製の床パネ
ル、ＧＲＣ（ガラスファイバー補強コンクリート）製の
床パネル、パーティクルボード製の床パネル、パーティ
クルボードや強化セメント板を鋼板で挟んだ構造の床パ
ネル等が知られているが、それぞれ一長一短がある。ま
た、これらの床パネルにおける問題点を解決するものと
して、パネルの表面及び裏面を構成する金属プレートの
間に中空部を形成し、モルタル等の充填材を注入したも
のが開発されている。

【０００４】充填材を注入する形式のものとしては、例
えば特開昭６１−２８６４５４号公報に、パネルの製作
を容易にするとともに耐火性を持たせる目的で、パネル
厚さ方向中間に配置した凸部を有する補強板と、上板及
び下板を溶接し、空隙に耐火材ないし補強材としての充
填材を注入した床パネルが開示されている。

【０００５】また、特開平２−９１３５３号公報には、
軽量で十分な強度を有し、かつ製造が容易でコストの低
減を図ることができるものとして、上面板と下面板から
なる鋼板製の床パネルにおいて、上面板と下面板の周縁
部を挟着及びかしめにより結合するとともに、下面板に
形成された凸部の頂部と上面板をかしめ等により結合
し、中空部にモルタル等の無機質系充填材を注入したも
のが開示されている。

【０００６】また、上述した形式のものとは別に、特開
昭６３−１８１８５４号公報には、フリーアクセスフロ
アにおいて通信ケーブル等の配線と、電力ケーブル等の
配線を分け、通信ケーブル等の配置変更を容易に行える
ようにするため、床パネルの下面側の周囲に水平方向に
突出する縁部を形成する等して、隣り合う床パネル間
に、バネル下の空間とは別に配線溝を形成したものが開
示されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】アルミダイカスト製の
床パネルは製造コストが高く、補強用リブを形成する
等、パネル厚が大きくなるのに対し、パネルの表面及び
裏面を構成する金属プレートの間に中空部を形成し、充
填材を注入する形式のものは、比較的製造が容易で、軽
量で強度の高いものが可能であるという利点がある。

【０００８】しかし、特開昭６１−２８６４５４号公報
記載のものは、凸部を形成した補強板の製作や、補強板
と上板及び下板の溶接等でコストが高くなるという問題
がある。

【０００９】また、特開平２−９１３５３号公報記載の
ものも、凸部を形成した下面板の成形や、下面板の凸部
と上面板の接合が面倒であり、また注入される充填材の
厚さが一定でないため、パネル全体について均質な強度
が得られないという問題がある。

【００１０】本発明はパネルの表面及び裏面を構成する
上下の鋼板の間に、必要とするパネル厚に対応する中空
部を形成し、両鋼板を周縁部で接合するとともに中空部
に充填材を注入する形式のフリーアクセスフロア用床パ
ネルについて、中空部位置で上下の鋼板を連結する複数
の止め金具を用いることで、上記従来技術における問題
点の解決を図ったものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明のフリーアクセス
フロア用床パネルは、表面及び裏面を構成する２枚の鋼
板の間に、必要とするパネル厚に対応する中空部を形成
し、両鋼板を周縁部で接合するとともに、中空部を通る
複数の止め金具で上下方向に連結し、該中空部に充填材
を注入したものである。充填材としては例えばモルタル
等が使用されるが、軽量化を図るため、軽量気泡コンク
リートや発泡性樹脂等の使用も考えられる。

【００１２】止め金具はパネル厚に対応した所定の長さ
の軸部を有し、軸部が中空部を通って上下の鋼板を連結
する。止め金具は中空部に注入した充填材とともに補強
材を構成し、また充填材の注入に際し、その注入圧に抵
抗して両鋼板の間隔を一定に保持し、上下の鋼板に膨ら
み等の変形が生じないようにしている。

【００１３】なお、止め金具として、従来から外装仕上
材や建築材等の施工に使用されているスタッドピンを用
い、スタッドピンの軸部を一方の鋼板に通し、その先端
をスタッドピン施工用溶接機で他方の鋼板の内面にスタ
ッド溶接するようにすれば、止め金具による鋼板の止め
付けが非常に簡単となる。

【００１４】また、本発明の床パネルは表裏両面をほぼ
平滑に形成することで、裏返しての表裏両面の使用が可
能であり、鋼板の外面に止め金具のヘッド部を収納する
ための凹部を形成することで、鋼板の外面を略面一にす
ることができる。

【００１５】

【実施例】次に、図示した実施例について説明する。

【００１６】図面は本発明の一実施例を示したもので、
図１及び図２に示すように、パネルの上側の鋼板１と下
側の鋼板２とで、パネルの外殻が形成されている。

【００１７】本実施例において、上側の鋼板１はほぼ平
坦に形成され、下側の鋼板２は周縁部を除く中央に底面
が略平坦な大きな凹部２ｂが形成され、両者を周縁部１
ａ，２ａで接合することで、モルタル等の充填材９を注
入するための中空部４を形成している。

【００１８】図６は周縁部１ａ，２ａの接合構造の一例
を示したもので、上側の鋼板１の周縁部１ａを折り曲げ
て下側の鋼板２のフランジ状の周縁部２ａを挟着し、さ
らに図２中、符号３で示すように複数箇所にかしめを行
い、上下の鋼板１，２のずれを防止し、一体性を高めて
いる。

【００１９】また、中空部４については下側の鋼板２の
外面から上側の鋼板１の内面に向けて、止め金具として
のスタッドピン５を通し、図３に示すように軸部５ａの
先端を鋼板１の内面に溶着することで、上下の鋼板１，
２を連結している。下側の鋼板２のスタッドピン５取り
付け位置には、プレス成形による円形の凹部６が形成さ
れ、スタッドピン５のヘッド部５ｂを収納し、鋼板２外
面からのヘッド部５ｂの突出をなくし、略平滑なパネル
表面を形成している。なお、図中、符号７はスタッドピ
ン５を通すために、凹部６の中央に穿設した貫通孔を示
す。

【００２０】中空部４内には、下側の鋼板２に設けた充
填材注入口８からモルタル等の充填材９を圧入し、その
硬化により上下の鋼板１，２と一体化された強固な床パ
ネルが形成される。図５は充填材注入口８の鉛直断面を
示したものである。

【００２１】図１及び図２中、符号１０は１／４円状の
切欠きを有するパネル結合用段付部を示し、床パネルの
４隅に位置し、隣接する４枚の床パネルを円盤状の連結
部材（図示せず）で上下から挟み込み、結合するために
利用される。なお、このような床パネルの連結構造は、
例えば特開平２−９１３５２号公報に開示されており、
床パネルの浮き上がりを防止することができる。また、
符号１１は支持脚取り付け部を示したものであるが、床
パネルの支持構造はこれに限定されるものでなく、高さ
調整可能とした支持脚等、従来のフリーアクセスフロア
に利用されている種々の形式の支持構造が利用できる。

【００２２】また、本実施例において、鋼板１を上側、
鋼板２を下側として説明したが、鋼板２を上側に用いて
もよく、また鋼板１側からスタッドピン５を通し、鋼板
２の内面に溶着してもよい。さらに、本実施例において
は鋼板２側のみ中空部としての凹部２ｂを形成し、凹部
２ｂの外側周縁部に段部１２が生じるが、鋼板２側が上
側にくるよう床パネルを裏返して用いれば、この段部１
２により隣り合う床パネルとの間に溝部が形成され、従
来の技術の項で述べた特開昭６３−１８１８５４号公報
記載の発明のように、その部分を通信ケーブル等の配線
溝として利用することができる。

【００２３】図４は止め金具の他の実施例を示したもの
で、上記実施例のスタッドピン５の代わりに、かしめ丸
鋼を軸部１３ａとし、両端にヘッド部１３ｂ，１３ｃを
有するかしめ部材１３を用いている。軸部１３ａと一方
のヘッド部１３ｂはスタッドピンでもよく、上下の鋼板
１，２を貫通させて、他方のヘッド部１３ｃを固着し、
かしめることで、両鋼板１，２を連結することができ
る。

【００２４】

【発明の効果】 中空部を通り上下の鋼板を連結する
止め金具が、内部に注入された充填材とともに補強材と
して機能し、床パネルの変形を防止する。

【００２５】 充填材の注入に際し、止め金具が注入
圧に抵抗して上下の鋼板間の間隔を一定に保持するた
め、均一な厚さの床パネルが形成される。

【００２６】 パネルの表面及び裏面を構成する２枚
の鋼板は、両鋼板の接合部となる周縁部を除き、略平滑
に形成することができるため、裏返しての表裏両面の使
用が可能である。

【００２７】 上下の鋼板は複雑な形状でないため、
プレス成形等により簡単に製作することができ、かしめ
等の方法で接合し、充填材の注入により簡単に床パネル
を製造することができる。従って、製造コストの低減も
図れる。

【００２８】 止め金具としてスタッドピンを用いれ
ば、スタッドピン施工用溶接機で両鋼板を簡単に止め付
けることができる。

【００２９】 止め金具として軸部の両端にヘッド部
を形成したものを用いることもでき、その場合、止め金
具に対するかしめ等の方法で、両鋼板を簡単に連結する
ことができる。

【００３０】 止め金具のヘッド部については、鋼板
の外面にヘッド部収納用の凹部を形成することで、鋼板
の外面と略面一とすることができ、平滑なパネル表面が
得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の床パネルの一実施例を示したもので、
(a) は平面図、(b) は一部断面で示した側面図である。

【図２】図１に対応する底面図である。

【図３】上記実施例における止め金具位置の鉛直断面図
である。

【図４】止め金具の変形例を示した鉛直断面図である。

【図５】上記実施例における充填材注入口位置の鉛直断
面図である。

【図６】上記実施例における床パネル周縁部の構造を示
す鉛直断面図である。

【符号の説明】

１，２…鋼板、１ａ，２ａ…周縁部、２ｂ…凹部、３…
かしめ部、４…中空部、５…スタッドピン、５ａ…軸
部、５ｂ…ヘッド部、６…凹部、７…貫通孔、８…充填
材注入口、９…充填材、１０…パネル結合用段付部、１
１…支持脚取り付け部、１２…段部、１３…かしめ部
材、１３ａ…軸部、１３ｂ，１３ｃ…ヘッド部、

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネルの表面及び裏面を構成する２枚の
   鋼板の間に、必要とするパネル厚に対応する中空部を形
   成し、前記両鋼板を周縁部で接合してなるフリーアクセ
   スフロア用床パネルにおいて、前記パネル厚に対応した
   所定の長さを有し、前記中空部を通る上下方向の軸部を
   有する複数の止め金具で、前記両鋼板を連結し、前記中
   空部に充填材を注入したことを特徴とするフリーアクセ
   スフロア用床パネル。
2. 【請求項２】 前記止め金具は前記軸部が前記鋼板の一
   方を貫通し、該軸部の一端に板状のヘッド部を有するス
   タッドピンであり、前記軸部の先端を前記鋼板の他方の
   内面に溶着することにより、前記両鋼板を連結している
   請求項１記載のフリーアクセスフロア用床パネル。
3. 【請求項３】 前記止め金具は前記軸部が前記両鋼板を
   貫通し、該軸部の両端に板状のヘッド部を形成して、前
   記両鋼板を連結している請求項２記載のフリーアクセス
   フロア用床パネル。
4. 【請求項４】前記鋼板の一方または両方の外面には、前
   記止め金具の前記ヘッド部を収納し、前記鋼板の外面と
   前記止め金具のヘッド部の表面とを略面一とするための
   凹部が形成されている請求項２または３記載のフリーア
   クセスフロア用床パネル。