JPH0512913A - 電気化学素子、それに用いる固体電解質 - Google Patents

電気化学素子、それに用いる固体電解質

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JPH0512913A
JPH0512913A JP3046145A JP4614591A JPH0512913A JP H0512913 A JPH0512913 A JP H0512913A JP 3046145 A JP3046145 A JP 3046145A JP 4614591 A JP4614591 A JP 4614591A JP H0512913 A JPH0512913 A JP H0512913A
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electrolyte
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polymerization
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JP3046145A
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English (en)
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Toshiyuki Osawa
利幸 大澤
Toshiyuki Kahata
利幸 加幡
Okitoshi Kimura
興利 木村
Sachiko Yoneyama
祥子 米山
Tetsuya Samura
徹也 佐村
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Ricoh Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 イオン伝導度及び均一性にすぐれるととも
に、十分な固体強度を有する固体電解質及びそれを含む
電気化学素子を提供する。 【構成】 高分子量重合体中に非水電解液を含有する粘
弾性体であって、該非水電解液の含有率が高分子量重合
体に対して少なくとも200重量%以上であり、かつ該
粘弾性体の弾性率が102〜105dyne/cm2及び
伸びが20%以上である固体電解質を用いたことを特徴
とする電気化学素子。重合性化合物100重量部と電解
質塩濃度が1.0モル/l以上である非水電解液が重合
性化合物に対して200重量部以上900重量部以下の
範囲で混合溶解した重合性組成物の重合反応により生成
される粘弾性状固体電解質において、該固体電解質が重
合性化合物に対して溶媒130重量部以上を含有するこ
とを特徴とする固体電解質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高いイオン伝導度、均
一性及び十分な固体強度を有する固体電解質を含有する
電気化学素子、それに用いる固体電解質に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】電気化学反応を利用した
電気化学素子の固体化(固形化)が強く望まれている。従
来より、電気化学素子としての電池は電解液を使用して
いるため、電解液の漏れ、溶媒の揮発による電池内の乾
燥があるばかりでなく、電池容器内では、電解液のかた
よりにより隔膜が部分的に乾燥状態になり、このことが
内部インピーダンスの上昇あるいは内部短絡の原因にな
る。またエレクトロクロミックデバイスの表示用固体電
解質としても動作速度を十分に満足するものは得られて
いない。これらの欠点を解決するための方法として高分
子固体電解質を用いることが提案されている。その具体
的例として、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖を
含有するマトリックスポリマーと無機塩の固溶体が挙げ
られるが、このものは完全固体であり、加工性にも優れ
るものの、そのイオン伝導度は室温で10/105S/cm
と通常の非水電解液に比べて3桁ほど低い。この低い伝
導度を改良する方法として、高分子固体電解質の薄膜化
も提案されているが、ミクロンオーダーの薄膜を電池内
部の電界が均一になるようにコントロールすることは難
しくかつ信頼性も低い。
【0003】高分子固体電解質のイオン伝導度を向上さ
せるために、高分子に有機電解液を溶解させて半固形状
のものにする方法(特開昭54-104541号公報)や、電解質
を加えた液状モノマーを重合反応させて電解質を含む架
橋重合体とする方法(特開昭63-94501号公報)が提案され
ている。しかし、前者の方法で得られる固体電解質はそ
の固体強度が十分でないという問題を含み、また、後者
の方法で得られる固体電解質は、十分な固体強度を有す
るものの、イオン伝導度の点で未だ不満足であるという
問題を含む。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の高分
子を基材とする固体電解質に見られる前記問題点を解決
し、イオン伝導度及び均一性にすぐれるとともに、電気
化学素子用固体電解質としての使用に十分な固体強度を
有する高分子を基材とする固体電解質を用いた電気化学
素子、それに用いる固体電解質を提供することをその課
題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、意外にも、重合性
化合物を溶解させて重合反応を行わせる際に、重合性化
合物に対する非水電解液の使用割合を少くとも200重量%
以上、900重量%以下の範囲で、非水電解液中の電解
質塩濃度を1.0モル/l以上、好ましくは1.5モル/l以上
の高濃度に保持し、かつ溶媒成分を重合性化合物100
重量部に対し130重量部以上、400重量部以下の範
囲に保持する時には、得られる重合反応物が電気化学素
子用固体電解質として十分な固体強度とイオン伝導度を
有する粘弾性体となり、電気化学素子用固体電解質とし
てすぐれた性能を有することを見出した。また、この重
合反応を電気化学素子の構成要素の一部又は全部の存在
下で行うことにより、固体電解質が一体化した電気化学
素子を容易に製造し得ることを見出した。本発明はこれ
らの知見に基づいて完成されたものである。
【0006】すなわち、本発明によれば、高分子量重合
体中に非水電解液を含有する粘弾性体であって、該非水
電解液の含有率が高分子量重合体に対して少なくとも2
00重量%以上であり、かつ該粘弾性体の弾性率が10
2〜105dyne/cm2及び、伸びが20%以上であ
る固体電解質及びそれを用いたことを特徴とする電気化
学素子が提供される。
【0007】また、本発明によれば、重合性化合物10
0重量部と電解質塩濃度が1.0モル/l以上である非
水電解液が重合性化合物に対して200重量部以上90
0重量部以下の範囲で混合溶解した重合性組成物の重合
反応により生成される粘弾性状固体電解質において、該
固体電解質が重合性化合物に対して溶媒130重量部以
上を含有することを特徴とする固体電解質の製造方法が
提供される。
【0008】さらに、本発明によれば、電気化学素子の
構成要素の一部又は全部に重合開始剤を含有する重合性
組成物を含浸した後、熱又は活性光線により固化せしめ
た粘弾性状固体電解質複合体が提供される。
【0009】本発明の固体電解質は、高分子量重合体基
材と、非水電解液とから構成される全体が均質な粘弾性
体からなるものである。また本発明の粘弾性体の固体電
解質は高いイオン伝導度、低弾性率、低いガラス転移温
度(Tg)、高温安定性、易加工性、低いクリープ特性およ
び粘着性を有し、さらに多量の電解液を含みながら保液
性に優れたものである。その上、保形性の優れたもので
ある。本発明の固体電解質の交流インピーダンス法によ
る25℃のイオン伝導度は本電解質の構成要素である非水
電解液の伝導率に大きく影響を受けるとともに、それを
超えるものではないが、固体化によってその伝導率の低
下はほとんどなく、通常1/104〜1/102S/cmを有
する。動的粘弾性試験機(RHEOMETRIC,INC(株)RDS-770
0)による弾性率は通常106dyne/cm2以下、好ましくは1
02〜105dyne/cm2であり、Tgは-30℃以下であり、100
℃に置いても溶解することはない。伸びは20%以上で
最大400%程度まで延伸することが可能であり、18
0度折り曲げても破断することはない。クリープはクリ
ープメーター(山電(株)RE-3305、プランジャー断面積
2cm2、荷重30g)を使用して歪量の時間変化を測定した
ところ、歪量は時間で変化せず低いクリープ特性を有す
る。クリープメーターを使用して荷重25g/cm2で本固
体電解質を圧縮しても内部に含まれる電解液が流出する
ことはない。更に、この粘弾性体は高い粘着性を示し、
粘弾性体同士を張り合わせた後、剥離しようとしても材
料破壊を生じ、張り合わせ面から剥がれることはない。
【0010】本発明の固体電解質は、重合性化合物100
重量を、200重量部以上900重量部以下の電解質濃度
が1.0モル/l以上の非水電解液に溶解させて重合反応
を行なわせることによって製造することができる。この
場合、重合性化合物は、熱重合性の他、光、紫外線、電
子線、γ線、X線等の活性光線で重合性を示すものであ
る。
【0011】本発明で用いる重合性化合物は、その分子
内に酸素原子、窒素原子、イオウ原子等の炭素以外の原
子を含むものである。これらの原子を含有する重合性化
合物を非水電解液に溶解させ、重合反応させて得られる
固体電解質(粘弾性体)においては、その炭素以外の原子
は電解質塩のイオン化を促進させ、固体電解質のイオン
伝導性、強度を向上させる働きもあると考えられる。
【0012】また、本発明で用いる重合性化合物の種類
は、特に制約されず、熱重合及び活性光線重合などの重
合反応を生起して得るものが包含されるが、特に活性光
線による光重合及び熱重合反応によるものが好ましく、
熱重合反応によるものが特に好ましい。熱重合性の重合
反応としてはウレタン化反応、エポキシ、アクリレート
基による重合反応等が挙げられるがウレタン化反応が好
ましい。また活性光線重合反応としてはアクリレート、
ポリエン/ポリチオール及び架橋性マクロマー(有機シラ
ン、ポリイソチアナフテン等)による重合反応が挙げら
れるが、好ましくはアクリレート、ポリエン/ポリチオ
ールによる反応である。
【0013】以下、熱重合におけるウレタン化反応、活
性光線重合におけるアクリート、ポリエン/ポリチオー
ル反応について詳述する。
【0014】(熱重合反応)熱重合反応を生起する重合性
化合物として、ポリウレタンを形成するポリイソシアネ
ートとポリオール及び/又は架橋剤との組合せ及びその
予備重合物を挙げることができる。ポリオールとして
は、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社
発行)99頁〜117頁記載のポリオールが挙げられ、
そのうちアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなど)を重
合して形成した融点が10℃以下のポリオキシアルキレ
ンポリオールが好ましい。この場合、オキシアルキレン
基は、単独であっても2種以上であっても良い。また2
種以上のオキシアルキル基は混合して用いても共重合し
て用いても良いが、特にエチレンオキシドとプロピレン
オキシドを共重合したポリオールが好ましい。ポリオキ
シアルキレンポリオールの融点は通常10℃以下、好ま
しくは0℃〜−60℃である。融点が10℃をこえると
その結晶性のためイオン伝導度が低下する。ポリオキシ
アルキレンポリオールの水酸基価は通常84以下、好ま
しくは60以下である。水酸基価が84を超えると固体
電解質のイオン伝導度が低くなる。ポリイソシアネート
としては、前述記載の書籍90頁〜98頁記載のポリイ
ソシアネートのうち、トリレンジイソシアネート、4,
4′-メタフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート及びこれらのプレポリマーが好ましい。N
CO基の含有割合は、通常、48%(重量%)以下、好
ましくは40%以下である。NCO基含有割合が48%
を超えると固体電解質のイオン伝導度が低くなる。架橋
剤としては前述の書籍122頁〜123頁記載の架橋剤
のうち、多価アルコール類、多価アミン類のほか水も使
用できる。このうちエチレングリコールなどの多価アル
コール類が好ましい。ポリオール及び又は架橋剤とポリ
イソシアネートは必要により触媒の存在下で重付加反応
を起してポリウレタンを与える。この場合、触媒として
はポリウレタンに慣用されているものが挙げられ、具体
例としては、トリエチレンジアミン、スタナスオクトエ
ート等である。
【0015】(光重合反応)活性光線重合性化合物として
は、(メタ)アクリレートや、ポリエンとポリチオール
との組合せ等が挙げられる。(メタ)アクリレートとし
ては単官能、多官能(メタ)アクリレートが挙げられ
る。単官能アクリレートとしてはアルキル(メタ)アク
リレート[メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリ
レート等]、複素環(メタ)アクリレート[テトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレート等]、ヒドロキシア
ルキル(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチルアクリ
レート、ヒドロキシプロピルアクリレート等]、ヒドロ
キシポリオキシアルキレン(オキシアルキレン基の炭素
数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート[ヒドロ
キシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等]、
アルコキシ(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜
4)(メタ)アクリレート[メトキシエチルアクリレー
ト、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルア
クリレート等]及びアルコキシポリアルキレン(メタ)
アクリレート〔エトキシジエチレングリコールアクリレ
ート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート
等〕があげられる。多官能(メタ)アクリレートの例と
してはUV、EB硬化技術((株)総合技術センター発
行)142頁〜152頁記載の光重合性モノマー及び光
重合性プレポリマーのうち3官能以上のモノマー、プレ
ポリマー(トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリストリール(トル)ペンタ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)
アクリレート等)が好ましい。単官能(メタ)アクリレ
ートに多官能(メタ)アクリレートを混合して使用して
もよい。(メタ)アクリレートのうち好ましいものは単
官能(メタ)アクリレートのヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシポリオキシアルキレン
(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリレート系
モノマーの添加量は電解液に対して50%以下、好まし
くは10〜40%、さらに好ましくは20〜30%が良
い。
【0016】ポリエン/ポリチオール反応は基本的には
次式の通りである。 RSH→RS・+H・ RS・+CH2=CH−CH2R′ →RS−CH2−CH−CH2R′ RSH ――→RS−CH2−CH2−CH2R′+RS・ (前記式中、R及びR′はアルキル基等の有機基であ
る)
【0017】ポリエンとしては、(ポリ)アリルエーテ
ル化合物、(ポリ)アリルエステル化合物があげられ
る。(ポリ)アリルエーテル化合物の例としては、置
換、未置換のアリルアルコールにエポキシ化合物[エチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキ
サイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイ
ド、エピハロヒドリン、アリルグリシジルエーテル等]
を付加した化合物が挙げられる。このうち好ましいもの
は置換、未置換のアリルアルコールにエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイドを付加した化合物である。
(ポリ)アリルエステル化合物としてはアリルアルコー
ル又は上記の(ポリ)アリルエーテル化合物とカルボン
酸との反応生成物があげられる。カルボン酸の例として
は脂肪族、脂環式および芳香族の、飽和及び不飽和の、
モノおよびポリカルボン酸、[酢酸、プロピオン酸、酪
酸、オクタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、安息香酸などのモノカルボン酸(炭素数1〜2
0);アジピン酸、フタル酸などのジカルボン酸等]が
あげられる。このうち好ましいものは(ポリ)アリルエ
ーテル化合物とポリカルボン酸の反応生成物である。
【0018】ポリチオールとしては液状ポリサルファイ
ド;脂肪族、脂環式および芳香族(ポリ)チオール化合
物;メルカプトカルボン酸エステルがあげられる。液状
ポリサルファイドとしてはチオコールLPシリーズ(東
レチオコール(株))があげられる。このうち好ましい
ものは平均分子量が400以下のものである。脂肪族、
脂環式および芳香族(ポリ)チオール化合物の例として
はメタン(ジ)チオール、エタン(ジ)チオールが挙げ
られる。メルカプトカルボン酸エステルとしてはメルカ
プトカルボン酸と多価アルコールのエステル化反応また
はメルカプトカルボン酸アルキルエステルと多価アルコ
ールとのエステル交換反応により得られる化合物が挙げ
られる。メルカプトカルボン酸の例としては2−メルカ
プト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸があげられる。
多価アルコールの例としてはエチレングリコール、トリ
メチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル、ショ糖およびこれらのアルキレンオキサイド付加物
(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレ
ンオキサイド等)があげられる。多価アルコールとして
好ましいものは3価以上の多価アルコールでアルキレン
オキサイド付加物を含まないものである。メルカプトカ
ルボン酸アルキルエステルの例としては2−メルカプト
酢酸エチルエステル、3−メルカプトプロピオン酸メチ
ルエステル等が挙げられる。ポリチオールのうちで好ま
しいものは液状ポリサルファイドおよびメルカプトカル
ボン酸エステルである。
【0019】以上述べてきたアクリレート、ポリエン/
ポリチオール等の活性光線重合性化合物の重合開始剤と
しては光重合開始剤が使用できる。光重合開始剤として
は、カルボニル化合物{ベンゾイン類[ベンゾイン、ベ
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベン
ゾイン等]、アントラキノン類[アントラキノン、メチ
ルアントラキノン、クロルアントラキノン等]、その他
の化合物[ベンジル、ジアセチル、アセトフェノン、ベ
ンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート等]}、
硫黄化合物{ジフェニルサルファイド、ジフェニルスル
フィド、ジチオカーバメート等}、多縮合環系灰化水素
のハロゲン化物{α−クロルメチルナフタリン等}、色
素類{アクリルフラビン、フルオレセン等}、金属塩類
{塩化鉄、塩化銀等}、オニウム塩類{P−メトキシベ
ンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロフォスフェート、
ジフェニルアイオドニウム、トリフェニルスルフォニウ
ム等}などが挙げられる。これらは単独でも、あるいは
2種以上の混合物としても使用できる。好ましい光重合
開光剤はカルボニル化合物、硫黄化合物およびオニウム
塩類である。必要により熱重合開始剤[アゾビスイソブ
チロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等]も併用で
きる。増感剤、貯蔵安定剤も必要により併用できる。そ
の具体例としては「UV、EB硬化技術((株)総合技
術センター発行)」158頁〜1569頁記載の増感
剤、貯蔵安定剤のうち前者として尿素、ニトリル化合物
[N,N−ジ置換−P−アミノベンゾニトリル等]、燐
化合物[トリ−n−ブチルホスフィン等]が好ましく、
後者として第4級アンモニウムクロライド、ベンゾチア
ゾールおよびハイドロキノンが好ましい。
【0020】重合開始剤は活性光線重合性化合物に対し
通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%
である。この範囲外では適度な反応性が得られない。増
感剤及び貯蔵安定剤は活性光線重合性化合物100部に
対し通常0.1〜5部である。
【0021】本発明の固体電解質は重合性化合物および
重合開始剤を含む非水電解液を容器に入れるか、あるい
は支持体(例えばフィルム、金属、ガラス)にコーティ
ングして、熱または活性光線で重合することにより得ら
れる。活性光線としては通常、光、紫外線、電子線、X
線が使用できる。これらのうち、好ましくは、100〜
800nmの波長の活性光線である。
【0022】本発明で用いる電解液は基本的には水系、
非水系どちらにも有効であるが特に非水電解液の製法と
して優れる。従って本発明における固体電解質もリチウ
ム電池のような非水電解液電池の固体電解質として優れ
た性能を発揮する。非水電解液としては、電解質塩を非
水溶媒に溶解させたものが挙げられ、電解質塩としては
通常の非水電解液電池に用いるものであれば、特に制限
はない。このようなものとしては、例えば、LiClO
4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiSb
6、LiCF3SO3、LiCF3COO、NaCl
4、NaBF4、NaSCN、KBF4、(C494
BF4、(C254NBF4、(C494NClO4
1種あるいは2種以上が挙げられる。
【0023】非水溶媒としてはプロピレンカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スル
ホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチ
ルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2
−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン
の他、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチル
テトラグライム、エチルグライム、エチルジグライム、
ブチルジグライム等のグライム類が挙げられる。これら
のうち、グライム類とプロピレンカーボネート及び/又
はγ−ブチロラクトンとの組み合わせがイオン伝導度、
電解質塩の溶解性の点で特に好ましい。
【0024】非水電解液中の電解質塩の濃度は非水溶媒
1000重量部に対し、通常、1〜7モル、好ましくは
2〜5モルの割合である。1モル未満では充分な固体強
度を有する固体電解質が得られない。また、7モルを超
えると無機塩の溶解が難しくなる。電解液はマトリック
スを形成する高分子量重合体に対し、通常、200重量
%以上、好ましくは250〜1000重量%である。2
00重量%未満ではイオン伝導度が低く、1000重量
%を超えると固形化が困難になる。
【0025】本発明の所定の固体電解質を得るためには
電解質塩濃度と重合性化合物量との適切な配合が必要で
あり両者の間には密接な関係がある。アクリレートを用
いた固体化においては、塩濃度が下限の1.0モル/l
では固体化のための重合性化合物濃度は30〜50%程
度必要となり、3モル/l以上の高濃度では10〜20%程
度の添加量で充分な特性を有する固体電解質が作製でき
る。
【0026】また、本発明の非水電解液には、非水電解
液の表面張力を下げて、隔膜あるいは活物質への浸透を
向上させる浸漬助剤を添加することが好ましい。このよ
うな浸漬助剤としては、シリコンオイル、シリコン−ア
ルキレンオキサイド付加物等のシリコン誘導体;ポリプ
ロピレンオキシド誘導体;パーフルオロアルキルスルホ
ン酸塩;パーフルオロアルキルカルボン酸塩;パーフル
オロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物、パーフルオ
ロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化ア
ルキルエステル等のフッ素誘導体が挙げられる。これら
のうち好ましいものはシリコン誘導体及びフッ素誘導体
である。この浸漬助剤は、固体電解質中、通常、0.1
〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%である。
この範囲外では経済的な浸漬効果が得られない。
【0027】本発明の電気化学素子が電池の場合には基
本的には正極活物質からなる正極、負極活物質からなる
負極及び隔膜の電池要素と、固体電解質より構成され
る。本発明の固体電解質そのものに隔膜としての機能を
兼用させることも可能であるが、極間の電界を均一に
し、信頼性向上のために隔膜と一体化することが好まし
く、特に二次電池においてはこのような配慮が必要であ
る。本発明の場合、この隔膜と固体電解質との一体化は
容易で、前記したように隔膜を有する電池容器内におい
て直接固体電解質を形成することにより、あるいは隔膜
中に固体電解質形成用組成物を含浸させ、重合反応を行
なうことにより達成することができる。この場合、固体
電解質形成用組成物には、浸漬助剤を添加するのが好ま
しい。正極活物質としては、カルコゲナイト化合物〔T
iS2、Nb34、Mo34、CoS2、FeS2、V2
5、Cr25、MnO2、CoO2等〕や、無機酸化物の
他、正極電気活性高分子〔ポリアニリン、ポリピロー
ル、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリジフェニルベン
ジジン等の導電性高分子や、メタロセンポリマー等〕を
挙げることができる。これらのうち好ましいものは正極
電気活性高分子であり、より好ましくは導電性高分子で
ある。
【0028】負極活物質としては、金属〔Li、Na、
K、Ag、Cu、Zn等〕、合金〔Liと、Al、M
g、Pb、Si、Ga、In等との合金〕、負極電気活
性高分子〔ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラ
フェニレン、ポリピリジン、ポリアセン等〕、グラファ
イト等が挙げられる。これらのうち、好ましいものは、
リチウム、リチウム合金、負極電気活性高分子である。
正極及び負極活物質にそれぞれ正極電気活性高分子及び
負極電気活性高分子を使用した場合、電解液中の電解質
はドーピング量に相当する以上溶解せしめる必要があ
り、高濃度でかつ電解液の含有量も高いことが望まれ
る。
【0029】隔膜としては、イオン移動に対して低抵抗
であり、かつ、溶液保持性に優れたものが用いられる。
例えば、ガラス繊維フィルター;ポリエステル、テフロ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子ポアフィ
ルター;不織布あるいはガラス繊維と高分子からなる不
織布を用いることができる。中でも0.1〜0.01μ
mのミクロポア径を有するポリプロピレン製不織布と固
体電解質との複合化物は性能面において特に有用であ
る。
【0030】本発明の電気化学素子は、前記した重合性
化合物の高分子量重合体と非水電解液からなる粘弾性体
を従来の固体電解質の代わりに用いて得ることができ
る。本発明の固体電解質は、非水電解液中に溶解させた
重合性化合物を重合させ、反応液を柔軟性に富む粘弾性
体に変換させることにより形成されるので、例えば、電
極、隔膜あるいは電気化学素子、電気化学素子要素の存
在下において直接重合反応を行なって形成するのが好ま
しい。即ち、電極あるいは隔膜等の電気化学素子要素に
固体電解質形成用組成物を含浸させ、加熱あるいは活性
光線の照射等の前述した重合手段により粘弾性体とし、
固体電解質と電気化学素子要素の一体化を行なうことが
好ましい。各電気化学素子要素の固体電解質との一体化
は、各電気化学素子要素と別個に一体化させてもよい
が、正極と隔膜、負極と隔膜あるいは正極と隔膜と負極
とを積層後固体電解質との一体化を行なってもよい。こ
のように各電気化学素子要素と前記固体電解質が一体化
していれば正極、負極での電極反応及びイオンの移動が
スムーズに進行させることができ、電気化学素子の内部
抵抗を大幅に低減することができる。
【0031】複合化という点においては、本固体電解質
は導電性高分子との複合化において好ましい特性を有す
る。これは、重合する前のモノマー溶液のしみこみが高
分子材料の膨潤により、高分子内部まで充分浸透しその
後重合反応により固体化することができるため、他の活
物質と比較して明確な界面を持たず固体電解質と活物質
又は被覆層として用いられるポリマーの界面抵抗を小さ
くすることが出来るためである。従来のイオン解離基を
含むポリマーマトリックスと無機塩の固溶体に代表され
るような固体電解質は活物質との界面において分極が生
じやすく大きな界面抵抗を有する。これに対して本発明
の固体電解質は前述したごとく溶液の性質を持ちつつ固
体状であるため通常の電解液と同様に陰イオン、陽イオ
ンとも移動が容易なため、導電性高分子を用いる電気化
学素子やその要素においては分極等が生じにくくより好
ましい組み合わせであるといえる。
【0032】導電性高分子と本発明の固体電解質の複合
化方法は一般的には固体電解質形成用組成物を導電性高
分子に含浸させた後、前述したような重合手段により粘
弾性体とし複合化を行なう。
【0033】本発明の高分子材料は、例えばピロール、
チオフェン等を単量体とする複素五員環系化合物重合
体、ベンゼン、アズレン等を単量体とする芳香族炭化水
素系化合物重合体、アニリン、ジフェニルベンジジン等
を単量体とするアミン系化合物重合体、負極被覆体とし
て有用なポリアリーレンビニレン、またエチレン、ブタ
ジエン、ヘキサトリエン等のハロゲン誘導体を単量体と
する不飽和脂肪族系化合物重合体を使用することができ
る。該単量体の重合方法としては酸化剤を使用する化学
重合法、電気エネルギー利用する電解重合法を用いるこ
とができる。
【0034】化学重合は、単量体を含む溶液中に酸化剤
を加え、単量体を酸化することにより実施する。酸化剤
としては、ヨウ素、しゅう素、ヨウ化しゅう素などのハ
ロゲン;五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、フッ化ケ
イ素、五塩化リンなどの金属ハロゲン化物;硫酸、硝
酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸などのプロトン酸;三酸
化イオウ、二酸化窒素、重クロム酸カリウム、過マンガ
ン酸カリウムなどの含酸素化合物;過硫酸ナトリウム、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;
過酸化水素、過酢酸、ジフルオロスルホニルパーオキサ
イドなどの過酸化物等が挙げられる。化学重合法におい
ては、高重合度の高分子が合成される場合、重合体は不
溶性であり、粉末状に合成される。粉末状の活物質(無
機材料、有機材料を問わない)の場合、活物質と電解液
の複合化方法はおおきく分けて二通りある。ひとつは
成形体としての活物質に電解液を固体化せしめる方法、
ふたつめは電解液も成形体の成分として活物質、電解
液の混合成形体を作製し固体化せしめる方法がある。化
学重合において粉末状に合成された導電性高分子におい
ては、方法によれば、あらかじめ所望の形状の電極
(ペレット状、シート状等)を作成したのち、これに固
体電解質形成用組成物を含浸させ、加熱あるいは活性光
線等の前述した重合手段により導電性高分子と固体電解
質の複合化を行なえる。方法によれば、粉末状の導電
性高分子に適量の固体電解質形成用組成物を添加し、充
分導電性高分子に組成物をしみこませたのち、混合しペ
ースト状とし、所望の形態にしたのち加熱あるいは活性
光線等の前述した重合手段により複合化することができ
る。もちろん方法を問わず必要に応じて他の添加
物、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック
に代表されるような導電材、テフロン等の結着剤を加え
ることも可能である。一般的には、後者の結着剤は、本
固体電解質が兼ねるので必要がない利点を有している。
【0035】ペーストを用いた場合の電極の作製につい
ては任意の形状が可能と考えられるが、例えばペレット
状の場合、ペーストをそのまま成形、あるいは多孔質炭
素体、発泡金属等にねりこみ、ペレット状とすることが
できる。シート状の場合ブラスト処理を施こしたパンチ
ングメタルホイル、金属メッシュ、エキスパンドメタ
ル、炭素繊維等のシート状材料にペーストをねりこむ
か、あるいはぬることによりシート状とすることができ
る。
【0036】電解重合法による導電性高分子の合成は、
一般的には、例えば、J.Electrochem.S
oc.,Vol.130.No.7.1506〜150
9(1983)、Electrochem.Act
a.,Vol.27.No.1.61〜85(198
2)、J.Chem.Soc.,Chem.Commu
n.,1199〜(1984)などに示されているが、
単量体と電解質とを溶媒に溶解した液を所定の電解槽に
入れ、電極を浸漬し、陽極酸化あるいは陰極還元による
電解重合反応を起こさせることによって行なうことがで
きる。電解質としては、例えば、アニオンとして、BF
4AsF6、SbF6、PF6、ClO4、HSO4、SO4
及び芳香族スルホン酸アニオンが、また、カチオンとし
て、H、4級アンモニウムカチオン、リチウム、ナトリ
ウムまたはカリウムなどを例示することが出来るが特に
これらに限定されるものではない。また、溶媒として、
例えば、水、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピ
レンカーボネイト、γ−ブチルラクトン、ジクロルメタ
ン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、あるいはニト
ロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベン
ゼンなどのニトロ系溶媒などを挙げることが出来るが、
特にこれらに限定されるものではない。電解重合は、定
電圧電解、定電流電解、定電位電解のいずれもが可能で
ある。電解重合法においては、シート状導電体を反応電
極とすることで実質的に一段階でシート状電極を形成す
ることが可能なため、本質的にシート状電極の作成に向
いている方法である。本固体電解質との複合化において
は、電極より導電性高分子をとり粉末状として利用する
場合は前述の方法を用いることになるが電解重合に
より得られた電解をそのまま用いる場合は得られた電極
の導電性高分子に充分固体電解質組成物をしこませたの
ち、重合反応を実施することにより複合化が可能であ
る。
【0037】またこのような導電性高分子を基本とする
電極のエネルギー容量を向上させるために無機の活物質
材料をさらに複合化してゆくことも可能である。使用で
きる活物質としては、カルコゲナイト系化合物で、Ti
2、Nb34、MoS2、CoS2、FeS2、V25
Cr25、MnO2、CoO2、WO3等が挙げられる。
複合化の方法としては、これらカルコゲナイト系化合物
の粉末を前述した粉末状導電性高分子と固体電解質の複
合化の系にこの粉末を加えて実施する方法あるいは前述
したような電解重合時にこれらの粉末を系中に分散さ
せ、導電性高分子にとりこませ複合化してゆく方法が可
能である。
【0038】以上、導電性高分子を主体とする活物質と
固体電解質との複合化、電極形成法について延べたが、
負極活物質となりうるアルカリ金属、特に、リチウム、
及びリチウム系合金と固体電解質の複合化については、
粉末状(粒塊状)の活物質(LiAl,LiMg,Li
Pb,LiAlMg,LiAlMn等)と固体電解質の
複合化及び電極の形状については、粉末状の導電性高分
子の場合と同様な手法が可能である。シート状の金属活
物質においてはその表面に固体電解質形成用組成物がま
んべんなくいきわたるようにしたのち加熱あるいは活性
光線等の重合法により固体電解質を表面に形成させるこ
とにより実施される。このような複合化は、界面抵抗を
下げるのに重要なことはもちろんであるが、負極活物質
であるLiやLiAl系合金等の金属活物質の界面に固
体電解質が確実に複合化することによりモス状リチウム
やデンドライトの発生やLiAl合金の崩壊を抑制する
こともでき負極の充放電効率の向上、ひいては、電池サ
イクル寿命の向上につながるため非常に重要なことであ
る。また、負極の充放電効率の向上という面から考える
と固体化すべき電解液に充放電効率向上に寄与する種々
の添加剤を加えて固体化することもできる。このような
添加剤としては、有機系材料として、ベンゼン、クラウ
ンエーテル(12クラウン−4,15クラウン5等)、
ヘテロ原子を含有する五員環系化合物(2−メチルフラ
ン,2,5−ジメチルフラン、2−メチルチオフェン、
2,5−ジメチルチオフェン、4−メチルチアゾール
等)が挙げられる。無機系としては、Mg,Feなどの
金属イオン〔電解質としてMg(ClO42、MgCl
2,Fe(ClO42,FeCl2等〕が挙げられる。添
加量としては添加物によって最大の効果を示す量が異な
りPPmオーダーから1mol/l程度である。
【0039】本発明によれば、正極、負極セパレータを
固体電解質と一体化させた発電素子を得ることができる
が、基本的に電気化学素子の形態によって制限を受ける
ものでない。例えば、発電素子の場合、コイン型、円筒
型、角型、シート型等の各種電池容器に実装することが
できる。また、本発明によれば、コンデンサー等の電気
化学素子を得ることができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以
下において、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示
す。また、実施例、比較例において使用した材料は次の
通りである。尚、非水溶媒及び電解質塩は十分に精製を
行い、水分20ppm以下としたもので更に脱酸素及び脱窒
素を行った電池グレードのものを使用し、すべての操作
はアルゴンガス雰囲気でおこなった。また、イオン伝導
度の測定温度は25℃で行った。
【0041】固体電解質形成用組成物(I) プロピレンカーボネート及び1,2−ジメトキシエタン
を各々重量比6:4の割合で混合した非水溶媒1000
部に3モルのLiBF4を溶解せしめた電解液を79.
2%、エトキシジエチレングリコールアクリレートを1
9.5%、メチルベンゾイルフォーメートを0.8%及
びシリコン−アルキレンオキサイド付加物を0.5%の
割合で混合したもの。
【0042】固体電解質形成用組成物(II) プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及び1,
2−ジエトキシエタンを各々重量比7:1:2の割合で
混合した非水溶媒1000部に3モルのLiBF4を溶
解せしめて電解液とし、この電解液を68.8%、エト
キシジエチレングリコールアクリレートを30%および
ベンゾインイソプロピルエーテルを1.2%の割合で混
合したもの。
【0043】固体電解質形成用組成物(III) プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンを各々重
量比8:2の割合で混合した非水溶媒1000部に1モ
ルのLiBF4を溶解せしめ電解液とし、この電解液8
9.1%に、ポリエン(分子量400のポリオキシエチ
レングリコール400部にアリルグリシジルエーテル3
42部を反応させたもの)6.4%、ペンタエリスリト
ールテトラキスチオグリコレート3.6%、メチルベン
ゾイルフォーメート0.4%及びシリコン−アルキレン
オキサイド付加物0.5%の割合で混合したもの。
【0044】固体電解質形成用組成物(IV) 分子量3000のポリエチレンオキシドトリオール10
0部、ジブチル錫ジラウレート0.06部、トリレン−
2,4−ジイソシアネート8.5部、LiBF45.4
部をメチルエチルケトン100部に溶解したもの。
【0045】固体電解質形成用組成物(V) プロピレンカーボネート及び1,2−ジメトキシエタン
を各々重量比6:4の割合で混合した非水溶媒1000
部に3モルのLiBF4を溶解せしめた電解液を79.
2%、ヒドロキシエチルアクリレートを19.5%、メ
チルベンゾイルフォーメートを0.8%及びシリコン−
アルキレンオキサイド付加物を0.5%の割合で混合し
たもの。
【0046】実施例1 5.5NのH2SO4水溶液1000部中に0.5モルの
アニリンを溶解した表面抵抗4オームのネサガラス(1
×2cm)上に0.8VvsSCEの定電位で0.02
C/cm2の電荷量でポリアニリン薄膜を形成した。こ
れを所定の還元処理により完全還元体とした後、充分に
乾燥して対極及び参照極にリチウムを使用してビーカー
型のセルを作製した。このセルに固体電解質形成用組成
物(II)を入れ、蛍光灯で8時間活性光線を照射した。
該組成物は完全に粘弾性体状に固化して流動性が無く、
相当の粘着力を持ち電極と一体化した。ポリアニリンを
作用極として、電位掃引速度50mV/sec及び20
mV/secでサイクリックボルタモメトリーを測定し
たところ、そのボルタモグラムから、電解液中と同様に
良好なドーピング特性を示すことが確認された。固体電
解質のイオン伝導度は1.0×1/103S/cmであ
った。
【0047】実施例2 過硫酸アンモニウムと塩酸からA.G.MacDiamid et al.,C
onducting Polymers.,105(1987)に示された方法により
ポリアニリンを合成した。還元処理を十分に行った後、
ポリアニリン白色粉末75部、アセチレンブラック25
部を混練して直径14.5mm、厚さ0.6mmの円盤
状合剤に加圧成型し正極とした。この合剤に固体電解質
形成用組成物(I)を充分しみこませ、ガラス基板に挟
んで高圧水銀灯により活性光線を照射して含浸した該組
成物を固体せしめた。つぎに隔膜(ポリサイエンス製ジ
ュラガー2502)に同様にして該組成物を充分しみこ
ませ、これをガラス基板に挟んで高圧水銀灯により活性
光線を照射して含浸した該組成物を固化せしめた。負極
には厚さ0.1mmのリチウムを使用した。前記正極、
隔膜及び負極を積層し、CR2016タイプのコイン型
電池を作製した。
【0048】実施例3 β層を有する電解二酸化マンガン(EMD)とアセチン
ブラック(電化ブラック)及びPTFEディスパージョ
ン(三井フロロケミカル製PJ−30)を7.5:2.
0:0.5の重量比で混練し、直径14.5mm、厚さ
0.6mmの円盤状合剤に加圧成型した。この合剤を充
分に加熱乾燥してこれに固体電解質形成用組成物(II
I)を含浸させてガラス基板に挟み、活性光線により該
組成物を固化せしめて正極を得た。この正極、実施例2
の隔膜及び負極を用いてCR2016タイプのコイン型
電池を作製した。
【0049】実施例4 厚さ0.02mmの粗面化したSUS基板の片面に電解
重合法により厚さ0.1mmのポリアニリンを析出せし
めた。これに固体電解質形成用組成物〔I〕を充分にし
みこませてガラス基板に挟み1kgで加圧して活性光線
を照射し、シート状正極を得た。次に隔膜(トーネンタ
ピルスPO10SW−OOO)に固体電解質形成用組成
物(I)を充分にしみこませガラス基板に挟んで高圧水
銀灯により活性光線を照射することにより該組成物を固
化せしめた。負極には厚さ0.1mmのリチウムを使用
した。前記正極、隔膜及び負極を積層し、4×5cmの
シート型電池を作製した。外装材にはPET/アルミニ
ウム/ポリプロピレンの積層体を用いヒートシールによ
り密封した。
【0050】実施例5 負極に厚さ0.3mmのアルミニウムと厚さ0.1mm
のリチウムを張り合わせ、加熱することによりアルミニ
ウムとリチウム/アルミニウム合金積層体を使用し、負
極のリチウム/アルミニウム合金表面にも固体電解質形
成用組成物(I)をしみこませて固化した。この負極を
用いた以外は実施例2と同様にしてCR2016タイプ
のコイン型電池を作製した。
【0051】比較例1 実施例2において固体電解質形成用組成物(I)の代わり
に固体電解質形成用組成物(IV)を使用し80℃、3日
間加熱して固体電解質を形成する以外は同様にして電池
を作製した。
【0052】比較例2 実施例4において固体電解質形成用組成物(I)の代わ
りに固体電解質形成用組成物(IV)を使用し80℃、3
日間加熱して固体電解質を形成する以外は同様にして電
池を作製した。
【0053】電池性能試験 実施例2〜5、比較例1〜2で作製した電池を0.5m
Aの定電流で充放電を行い電池性能を評価した。その結
果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】実施例6 前記固体電解質形成用組成物〔I〕の電解液を69.1
%、エトキシグリコールアクリレートを29.6%にし
た以外は同様の組成物〔I〕を使用した。これをビーカ
に入れ、8時間蛍光灯からの活性光線を照射し、得られ
る重合反応物の性状を調べた。その結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】実施例7 前記固体電解質形成用組成物〔II〕において、電解液中
の電解質塩濃度を変化させて各種の組成物を作り、これ
をビーカに入れ、8時間蛍光灯からの活性光線を照射
し、得られる重合反応物の性状を調べた。その結果を表
3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】実施例8 前記固体電解質形成用組成物〔III〕において、電解液
中の電解質塩濃度を変化させて各種の組成物を作り、こ
れをビーカに入れ、8時間蛍光灯からの活性光線を照射
し、得られる重合反応物の性状を調べた。その結果を表
4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】実施例9 下記成分組成の熱重合性の固体電解質形成用組成物を調
製した。 トリレンジイソシアネート 2.4重量部 ポリオキシアルキレンポリオール 27.6重量部 電解液 70重量部 触媒(ジブチルスズラウレート) 0.1重量部 なお、前記ポリオキシアルキレンポリオールとしてはグ
リセリンにエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド
=8/2(重量比)を付加重合し分子量3000(融点
は0℃以下)のものを用いた。また、電解液としては、
γ-ブチルラクトンにLiBF4を3モル/l溶解したも
のを用いた。前記組成物をビーカに入れ、温度50℃で
1時間加熱し、得られた重合反応物の性状を調べた。そ
の結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】実施例10 前記固体電解質形成用組成物〔Vにおいて、電解液中の
電解質塩濃度を変化させて各種の組成物を作り、これを
ビーカに入れ、8時間蛍光灯からの活性光線を照射し、
得られる重合反応物の性状を調べた。その結果を表6に
示す。
【0064】
【表6】
【0065】
【発明の効果】本発明の電気化学素子は、それに用いた
固体電解質が多量の電解液を含有する高分子量重合体の
粘弾性体からなることから、イオン伝導度が高く、電解
液の漏れがなく、電気化学素子内が乾燥せず、電解液の
かたよりがなく、隔膜が部分的に乾燥状態にならないの
で内部インピーダンスが上昇しない。従って内部短絡が
起こらず信頼性に優れた電池および高電圧の薄型電池が
得られるので電気機器に軽量化、小型化に貢献できると
いう効果を奏する。更に本発明の固体電解質は電池以外
のコンデンサー、キャパシター、センサー、生体関連機
器(心電図電極、超音波接触子、高周波治療パッド
等)、エレクトロミックデバイス等にも使用できるので
電気機器に軽量化、小型化に貢献できるという効果を奏
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 興利 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 米山 祥子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 佐村 徹也 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋化成工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子量重合体中に非水電解液を含有す
    る粘弾性体であって、該非水電解液の含有率が高分子量
    重合体に対して少なくとも200重量%以上であり、か
    つ該粘弾性体の弾性率が102〜105dyne/cm2
    及び伸びが20%以上である固体電解質を用いたことを
    特徴とする電気化学素子。
  2. 【請求項2】 重合性化合物100重量部と電解質塩濃
    度が1.0モル/l以上である非水電解液が重合性化合
    物に対して200重量部以上900重量部以下の範囲で
    混合溶解した重合性組成物の重合反応により生成される
    粘弾性状固体電解質において、該固体電解質が重合性化
    合物に対して溶媒130重量部以上を含有することを特
    徴とする固体電解質。
  3. 【請求項3】 電気化学素子の構成要素の一部又は全部
    に重合開始剤を含有する重合性組成物を含浸した後、熱
    又は活性光線により固化せしめた粘弾性状固体電解質複
    合体。
  4. 【請求項4】 前記請求項3の電気化学素子の構成要素
    が導電性高分子であることを特徴とする電気化学素子。
JP3046145A 1990-03-16 1991-02-18 電気化学素子、それに用いる固体電解質 Pending JPH0512913A (ja)

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