JPH0512694Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、薬剤が水に溶解する際に生ずる吸熱
を利用して、冷凍機械を使用することなく食品を
簡易に冷却するための冷却容器に関するものであ
る。

＜従来の技術＞ 硝酸アンモニウム等の薬剤が水に溶解して吸熱
することは良く知られており、これらの薬剤を食
品と非接触の状態で食品に隣接して容器中に収容
し、使用時には薬剤と水を混合して簡便に食品を
冷却する容器は、特開昭59−32772号公報、実開
昭59−60170号公報、実開昭61−172069号公報等
に示されている。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 薬剤が水に溶解するする際に生ずる溶解熱を利
用した冷却容器では、薬剤への注水機構がどうし
ても必要となる。しかしながら現在提案されてい
る冷却容器の注水機構では、反応水を一気に薬剤
と混合させることはできず、吸熱反応を起こすの
に時間がかかり、効率が良くない上に、操作を誤
ると、反応が開始されない場合さえあつた。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案の冷却容器は、薬剤への注水構造を改善
し、被冷却物の冷却時間を短縮すると共に、簡単
な操作で確実に反応が開始されるようにすること
を目的としてなされたものであつて、薬剤容器内
に薬剤を収容すると共に、反応水を充填し蓋材に
より封止された水容器を外部より操作可能に収納
した冷却容器であつて、前記水容器は、押圧によ
り凹状に変位可能な凸状の天面を有し、該天面内
方には、天面中心からやや外方の位置から垂下す
る略柱状の蓋材破壊部材が複数設けられ、さらに
該蓋材破壊部材は天面が凹状に変位した際に水容
器開口部を封止する蓋材よりも下方に突出する長
さに設けられていることを特徴とする冷却容器で
ある。

＜作用＞ 本考案の冷却容器において、凸状に設けられた
水容器の天面は、外部からの押圧により凹状に変
位する。天面が凸状から凹状に変位すると、天面
内方に設けられた蓋材破壊部材は降下しながら天
面中心方向から見て外方に移動する。この際蓋材
破壊部材先端は、弧を描きながら移動することに
なる。蓋材破壊部材は天面が凹状に変位した際に
は水容器の開口部を封止する蓋材よりも下方に突
出する長さに設けられており、前述のように弧を
描いて移動する際、蓋材破壊部材の先端は蓋材を
破壊しながら移動する。

＜実施例＞ 次に本考案について、図面に従つて詳細に説明
する。本考案の冷却容器は第１図に示す実施例の
如く、容器本体９の内部を薬剤容器８で２室に区
切つている。容器本体９は、例えば金属あるいは
紙管でできており、薬剤容器８は金属またはプラ
スチツクでできている。容器本体９と薬剤容器８
は、可動蓋２と共に端部で巻締められて固定され
ると共に密封されている。可動蓋２上にはさらに
カバー１が取り付けられている。薬剤容器８の外
側の容器本体９内部にはジユース、酒等の内容物
１１が充填されている。

薬剤容器８内部には反応水７と反応して吸熱す
る薬剤１０が充填されると共に、水容器５が外部
より操作可能に収納される。本考案で用いる薬剤
１０としては、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウ
ム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、尿素等の
公知の材料を単独で、あるいは２種以上を混合し
て使用することができる。また水容器５には水、
または添加物を加えた水からなる反応水７が充填
されており、開口部は蓋材６により封止されてい
る。蓋材６は後述する蓋材破壊部材４により容易
に破壊される材料からなり、例えば紙、金属箔、
プラスチツクフイルム、あるいはこれらの積層体
等が用いられる。この水容器５の天面３は、押圧
により凸状から凹状への変位が可能に形成される
と共に、該天面３内方には、天面３の中心からや
や離れた位置から垂下する柱状の蓋材破壊部材４
が複数設けられている。この蓋材破壊部材４は、
その先端４′が下方に行くに従つて中心に向かう
よう傾斜して形成されていることが好ましい。蓋
材破壊部材４の形状は、円柱状、三角柱状、多角
柱状あるいは錐状等任意であり、先端４′が鋭利
に形成される三角乃至多角柱状が好ましい。ま
た、蓋材破壊部材４の先端４′のみを他の形状、
例えば刃状、かぎ状、針状等に形成してもよい。
いずれにしても蓋材破壊部材４は蓋材６を破壊可
能に形成されている。第１図に示すように、蓋材
破壊部材４は使用前には水容器５の中に入つてい
るが、第２図に示したように、使用する際には蓋
材６を内側に破り外側に向かい大きく破くように
なつている。この冷却容器を使用するには、カバ
ー１を外し、可動蓋２を押すだけで良い。可動蓋
２が押されると、第２図に示すように水容器５の
天面３が凹状に変位し、蓋材破壊部材４が、蓋材
６を破りつつ内側から大きく穴をあけ反応水７が
薬剤１０上に一気に降り注ぐ、このようにして薬
剤１０と反応水７は混合され溶解する際に吸熱
し、薬剤容器８の壁を介して内容物１１を冷却す
る。

＜考案の効果＞ 本考案による冷却容器は以上述べた構成からな
つているので、外部からの操作により簡単に水容
器の蓋材を内側から大きく破壊することができ
る。このため確実に反応を開始させることができ
ると共に、反応水と薬剤の混合が速くなるので、
冷却時間を短縮することができ、従来の問題点を
解決することができる実用上優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図は同実施例の使用状態を示す断面図である。 ３……天面、４……蓋材破壊部材、５……水容
器、６……蓋材、７……反応水、８……薬剤容
器、９……容器本体、１０……薬剤、１１……内
容物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被冷却物を収容する容器本体内部に、混合によ
   り吸熱反応を生じる薬剤および反応水を区画して
   収容する薬剤容器を設け、収容時には前記薬剤及
   び反応水を混合させて被冷却物を冷却する容器に
   おいて、薬剤容器内に薬剤を収容すると共に、反
   応水を充填し蓋材により封止された水容器を外部
   より操作可能に収納した冷却容器であつて、前記
   水容器は、押圧により凹状に変位可能な凸状の天
   面を有し、該天面内方には、天面中心からやや外
   方の位置から垂下する略柱状の蓋材破壊部材が複
   数設けられ、さらに該蓋材破壊部材は天面が凹状
   に変位した際に水容器開口部を封止する蓋材より
   も下方に突出する長さに設けられていることを特
   徴とする冷却容器。