JPH0512667U - 可変型油圧モータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピストン反力を小さくでき、駆動ピストンの
摺動性を良くし、小型で重量の軽量化を図れる可変型油
圧モータを提供すること。 【構成】 ケーシング５内に斜板１を傾転自在に設け、
斜板１は背部に第１のシート面２と、この第１のシート
面２と角度の異なる第２のシート面３とを有し、前記斜
板１はケーシング５に設けた駆動ピストン７に押された
時前記第１のシート面２又は第２のシート面３の一方を
ケーシング５の内面に選択的に当接させる可変型油圧モ
ータにおいて、前記斜板１の背部に駆動ピストン７と対
向する傾斜面１１を形成し、この傾斜面１１の傾斜方向
を前記第１のシート２面又は第２のシート面３の傾斜方
向とは反対方向に向けて形成すると共に第１のシート面
２又は第２のシート面３の角度と等しいか又は小さい角
度で形成し、当該傾斜面１１に駆動ピストン７を当接さ
せてなるとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はブルドーザやショベルドーザ等の高速および低速の２速の走行が要求 される車両に使用される可変型油圧モータに関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種の可変型油圧モータとして、例えば特開昭５９−７９０７６号公報に開 示されたものが開発されている。

【０００３】 この可変型油圧モータは、図４、図５に示すように、斜板１の背部に角度θ３ の第１のシート面２とこの第１のシート面２と角度の異なる第２のシート面３と を形成し、二つのシート面２，３の交差線上に設けた支点たるボール４を介して ハウジング５に傾転自在に支持させ、ハウジング５にはシリンダ６を形成し、シ リンダ６内には第１のシート面２と対向する駆動ピストン７を設けたものである 。

【０００４】 例えば、低速時には斜板１の第１のシート面２がハウジング５の内面に当接し 、高速走行させるときはシリンダ６に高圧油を導き、駆動ピストン６を図中右方 向に押圧する。

【０００５】 この場合、駆動ピストン６のシュー８が揺動しながら第１のシート面２を押圧 し、斜板１はボール４を支点にして揺動し、傾転角を変更すると共に第２のシー ト面３がハウジング３の内面に当接する。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

高速走行の為、図５に示すように斜板１を角度θ３だけ傾転する場合、駆動ピ ストン７のシュー８の中心も駆動ピストン７の中心線に対して角度θ３だけ揺動 して傾き、この時ピストン推力Ｆによる分力Ｆ１およびＦ２がピストン反力とし て作用する。

【０００７】 また、この分力Ｆ２により駆動ピストン７を傾斜させようとする分力Ｆ３，Ｆ ４が発生し、駆動ピストン７の摺動性を損ない、機器の損傷をまねく。

【０００８】 この為、上記分力Ｆ３，Ｆ４を押え、摺動性を良くするためには、シリンダ６ と駆動ピストン７を長くすれば良いが、この場合にはハウジング５の肉厚が大き くなり、大型で重量アップとなってしまう不具合がある。

【０００９】 そこで、本考案の目的はピストン反力を小さくでき、駆動ピストンの摺動性を 良くし、小型で重量の軽量化を図れる可変型油圧モータを提供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、本考案の構成はケーシング内に斜板を傾転自在に 設け、斜板は背部に第１のシート面と、この第１のシート面と角度の異なる第２ のシート面とを有し、前記斜板はケーシングに設けた駆動ピストンに押された時 前記第１のシート面又は第２のシート面の一方をケーシングの内面に選択的に当 接させる可変型油圧モータにおいて、前記斜板の背部に駆動ピストンと対向する 傾斜面を形成し、この傾斜面の傾斜方向を前記第１のシート面又は第２のシート 面の傾斜方向とは反対方向に向けて形成すると共に第１のシート面又は第２のシ ート面の角度と等しいか又は小さい角度で形成し、当該傾斜面に駆動ピストンを 当接させたことを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】

駆動ピストンで斜板を押圧したとき、斜板の傾斜面は傾斜状態から徐々に垂直 状態に変化し、この結果駆動ピストンとその先端のシューは水平又はほぼ水平に 動き、よって駆動ピストンを傾斜させようとする反力が小さくなり、シリンダと 駆動ピストンが短かくても摺動性が損なわれない。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１乃至図３にもとづいて説明する。

【００１３】 可変型油圧モータＡはケーシング５と、回転軸９と、シリンダブロック１０と 、斜板１とを有している。

【００１４】 斜板１の前側摺動面４２にはシリンダロック３内に摺動自在に挿入されたプラ ンジャ３１のシュー３２が当接している。

【００１５】 斜板１の背部には角度θ３の第１のシート面２とこの第１のシート面２と角度 の異なる第２のシート面３とを有し、更に第１のシート面３に連続すると共に第 １のシート面３の傾斜方向と反対方向に傾斜し、且つ角度θ３と等しいか又はこ の角度θ３より小さい角度の傾斜面たる第３のシート面１１とが形成されている 。

【００１６】 斜板１は第１のシート面２と第３のシート面３との交差線Ｂを支点にして傾転 し、この交差線Ｂ上に配設したボール４を介してケーシング５の内面に傾転自在 に支持されている。

【００１７】 斜板１が第１のシート面２を介してケーシング５の内面に当接している時は傾 転角が大きくて低速となり（図１）、斜板１が傾転して第２のシート面３がケー シング５の内面に当接している時は傾転角が小さく高速となる（図２）。

【００１８】 ケーシング５内にはシリンダ６とシリンダ６に接続された油路１３が形成され 、シリンダ６内には前記斜板１の第３のシート面１１と対向する駆動ピストン７ が摺動自在に挿入されている。

【００１９】 駆動ピストン７はピストン１５とシュー８とピストン１５にシュー８を揺動自 在に接続する球体１６とからなり、シュー８は第３のシート面１１に常時当接し ている。

【００２０】 低速時には、油路１３はタンクに接続され、斜板１はシリンダブロック１０の プランジャ３１とそのシュー３２で押されて図１に示すように第１のシート面２ がケーシング５の内面に当接している。

【００２１】 高速時には、油路１３にポンプから高圧油を導くと、図において、駆動ピスト ン７が右方向に移動し、斜板１を角度θ３だけ傾転させ、第２のシート面３をケ ーシング５の内面に当接する。

【００２２】 この際、第３のシート面１１は図２に示すように、ほぼ垂直になり、ピストン １５とシュー８は駆動ピストン７の軸線に沿って水平となり、ピストン１５に対 してこれを傾斜させようとする反力は小さくなるか、又は零となる。

【００２３】 即ち、ピストン１５とシュー８とで斜板１を押圧したとき、ピストン推力Ｆに よる分力Ｆ１とＦ２とがピストン反力として作用する。

【００２４】 このとき，分力Ｆ２によってピストン１５には反力Ｆ３，Ｆ４が作用する。

【００２５】 分力Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４は斜板傾転角θ３の増加とともに増加するが、第３のシ ート面１１の傾斜角は角度θ３より小さく、加工によって零か又は零に近くする ことができる。

【００２６】 この結果、ピストン１５を傾斜させようとする分力Ｆ３，Ｆ４を零又は零近く にして小さくできる。

【００２７】 逆に油路１３の高圧油をタンクに戻して斜板１を図１の状態に傾転させると、 斜板１はプランジャ３１からの推力で押され、ピストン１５とシュー８は押し戻 される。

【００２８】 このとき、第３のシート面１１が傾斜していてピストン１５には傾斜させよう とする反力が作用するが、第３のシート面１１の傾斜角をあらかじめ、第１のシ ート面の傾斜角θ３より小さくすることにより、発生する反力を小さくすること ができる。

【００２９】 尚、第３のシート面は第２のシート面３に連続して下方に設け、この下方の第 ３のシート面に対向して駆動ピストン７を設けてもよい。この場合の作動は前記 の場合と逆となる。

【００３０】

【考案の効果】

本考案によれば、第１のシート面又は第２のシート面に連続する傾斜面を設け 、この傾斜面の傾斜角を第１のシート面又は第２のシート面の傾斜方向とは逆方 向に形成すると共に、第１のシート面又は第２のシート面の傾斜角と等しいか又 は小さく形成し、この傾斜面に駆動ピストンを当接させたから、斜板の傾転時に 発生する駆動ピストンを傾斜させようとする反力を小さくでき、駆動ピストンの 摺動性を向上できる。

【００３１】 同様に、駆動ピストンの傾斜を押えるようにシリンダや駆動ピストンを長く成 形する必要がなく、よって駆動ピストンを装着させるケーシング部の肉厚を薄く でき、全体が小型で軽量化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る斜板と駆動ピストンの略示拡大断
面図である。

【図２】斜板を押圧したときの斜板と駆動ピストンの略
示拡大断面図である。

【図３】本考案に係る可変型油圧モータの一部切欠き断
面図である。

【図４】従来の斜板の略示断面図である。

【図５】従来の斜板を押圧したときの斜板と駆動ピスト
ンの略示断面図である。

【符号の説明】

１ 斜板 ２ 第１のシート面 ３ 第２のシート面 ５ ケーシング ７ 駆動ピストン １１ 傾斜面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシング内に斜板を傾転自在に設け、
   斜板は背部に第１のシート面と、この第１のシート面と
   角度の異なる第２のシート面とを有し、前記斜板はケー
   シングに設けた駆動ピストンに押された時前記第１のシ
   ート面又は第２のシート面の一方をケーシングの内面に
   選択的に当接させる可変型油圧モータにおいて、前記斜
   板の背部に駆動ピストンと対向する傾斜面を形成し、こ
   の傾斜面の傾斜方向を前記第１のシート面又は第２のシ
   ート面の傾斜方向とは反対方向に向けて形成すると共に
   第１のシート面又は第２のシート面の角度と等しいか又
   は小さい角度で形成し、当該傾斜面に駆動ピストンを当
   接させたことを特徴とする可変型油圧モータ。