JPS6160269B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、斜板式アキシヤルプランジヤ型油圧
作動装置、特にケーシングに回転自在に支承され
たシリンダブロツクと；このシリンダブロツク内
にその回転軸線と平行で、かつその回転軸線から
偏心して設けられたシリンダ穴と；このシリンダ
穴に滑動し得るように嵌合されたプランジヤと；
このプランジヤの先端が常時接触するように前記
シリンダブロツクに対向して設けられた斜板と；
この斜板の背面から突出して設けられ、前記回転
軸線と直交する傾斜軸線を中心とした円弧面を有
する弓形の軸受部と；前記ケーシングに設けら
れ、前記軸受部の円弧面に摺動可能に係合するよ
う該円弧面と同曲率に形成された円弧状受面を有
する軸受台と；よりなり、前記斜板の、前記傾斜
軸線回りの傾斜角を変化させることによつて前記
プランジヤの滑動ストロークを随時に調節できる
ようにした形式のものに関する。

上記形式の油圧作動装置の利点は、斜板の背面
側をケーシングによつて直接支持させるので、そ
の支持点と、斜板に作用するプランジヤのスラス
トの作用点とを比較的近接（従つて該スラストに
基づいて斜板に生じる曲げモーメントの腕の長さ
を短縮）させることができて、該斜板に高い曲げ
剛性を付与できることにあるが、従来の上記形式
の油圧作動装置では、例えば実公昭34−19156号
公報に示されるように、斜板背面の前記軸受部と
ケーシングの軸受台との係合状態を積極的に保持
するための手段が何も設けられていないので、次
のような不具合がある。即ち、その油圧作動装置
がポンプとして作動している状態においてプラン
ジヤの伸長行程（吸入行程）では、プランジヤ背
後のシリンダ穴内に作動油が吸入されてそこが多
少とも負圧傾向となるので、プランジヤには背圧
即ちシリンダブロツク側へのスラストが作用し、
このスラストのために、斜板の、当該プランジヤ
近傍の前記軸受部がケーシングの軸受台より多少
浮き上がることがあり、その浮き上がりによれ
ば、斜板にガタつきが生じて装置の運転音が高く
なつたり、或いはプランジヤの滑動ストロークに
変動が生じて装置のポンプ効率が低下する等の不
具合を来たすおそれがある。

本発明は、かかる従来のものの不具合を解決し
得る構造簡単な、前記斜板式アキシヤルプランジ
ヤ型油圧作動装置を提供することを目的とし、そ
の特徴は、前記形式の斜板式アキシヤルプランジ
ヤ型油圧作動装置において、斜板の傾斜軸線方向
の両端部に一対のボスを突設し、その各ボスとケ
ーシングとの間には、斜板背面の軸受部とケーシ
ングの軸受台との係合状態を保持するように斜板
を付勢するばねを設けたことにある。

以下図面により本発明の一実施例について説明
すると、シリンダブロツク１の両側に設けられた
軸２，３は、それぞれ軸受４，５によりケーシン
グ６に支承されていて、シリンダブロツク１が回
転軸線Ａ−Ａの回りに回転できるようになつてい
る。シリンダブロツク１には、その回転軸線Ａ−
Ａに平行で、かつこれから偏心して複数個のシリ
ンダ穴７が設けられ、この各シリンダ穴７にそれ
ぞれプランジヤ８が滑動し得るように嵌合されて
いる。各プランジヤ８の先端には、球継手９を介
してシユー１０が連結されている。

シリンダブロツク１に対向して、円板状の斜板
１１が設けられている。この斜板１１の中心部に
は孔１２が形成され、この孔１２を軸２が貫通し
ている。斜板１１のシリンダブロツク１に対向す
る面の周縁部にはリング状のシユーホルダ支持具
１１が止めビス１４により取付けられている。シ
ユー１０は、この支持具１３により支持されるシ
ユーホルダ１５を介して、斜板１１の面に常時接
触しながら滑動するように保持されている。シユ
ー１０と斜板１１の表面間を潤滑するように、シ
ユー１０には絞り孔１６が設けられ、シリンダ穴
７内の作動油の一部がその絞り孔１６を通してシ
ユー１０の接触面に導かれるようになつている。

斜板１１は、各プランジヤ８の先端の球継手９
の中心を結ぶ平面Ｂ−Ｂ内で、かつシリンダブロ
ツク１の回転軸線Ａ−Ａに直交する傾斜軸線Ｃ−
Ｃの回りに傾動し得るように支承される。そのた
めに、斜板１１の背面側には、傾斜軸線Ｃ−Ｃを
中心とする円弧面を有する弓形の軸受部１７が設
けられている。この軸受部１７はリブ状をなし、
斜板１１の孔１２の両側に設けられている。軸受
部１７の中央部には重量軽減孔１８が形成され、
この軸受部１７によつて斜板１１の重量が過大と
なることがないようにされている。ケーシング６
には、前記軸受部１７の円弧面に摺動可能に係合
するよう該円弧面と同曲率に形成された円弧状受
面を有する軸受台１９が設けられている。また、
斜板１１の、傾斜軸線Ｃ−Ｃ方向の両端部には、
傾斜軸線Ｃ−Ｃと平行に弓形の斜板ボス２０，２
０が一体に突設されている。一方、ケーシング６
には、傾斜軸線Ｃ−Ｃ上に摺動リング２１が嵌合
されており、この摺動リング２１内に斜板ボス２
０が挿入されている。摺動リング２１と斜板ボス
２０との間にはコイルばね２２が設けられてお
り、このコイルばね２２によつて、斜板ボス２０
を介して斜板１１が軸受台１９の方向に押圧され
ている。斜板ボス２０は斜板１１に加わる荷重を
支持する必要はなく、しがつて、斜板ボス２０と
摺動リング２１間には間隙が設けられる。コイル
ばね２２は、斜板１１の軸受部１７が軸受台１９
から離脱するのを防止してその両者１７，１９の
係合状態を保持するためのものであるから、装置
が油圧ポンプとして作動している状態において伸
長行程（吸入行程）にあるプランジヤ８に作用す
る背圧に対向し得るだけの強さが必要である。

斜板１１の一端には、図示しないアクチユエー
タが連結されるフツク２３が設けられ、そのアク
チユエータを作動させることにより斜板１１が傾
動されてその位置に保持されるようになつてい
る。

次に前記実施例の作用について説明する。

いま第１図の状態において、軸２を駆動してシ
リンダブロツク１を回転軸線Ａ−Ａの回りに回転
させると、プランジヤ８の先端に連結されたシユ
ー１０が斜板１１の面に常時接触するように保持
されているので、プランジヤ８はシリンダ穴７に
沿つて往復動する。このとき、プランジヤ８が収
縮した状態から伸長した状態に至る行程では、シ
リンダ穴７内に作動油が吸入され、次のプランジ
ヤ８が伸長した状態から収縮した状態に至る行程
でその作動油が吐出される。したがつて、吸入行
程にあるシリンダ穴７を油タンクに連結し、吐出
行程にあるシリンダ穴７を負荷に連結すれば、こ
れは油圧ポンプとして作動することになる。上記
吐出行程においては、プランジヤ８がシリンダ穴
７内の作動油を押圧する反動力として、斜板１１
にはプランジヤ８からシユー１０を介して押圧力
が加えられる。この押圧力は斜板１１背面の軸受
部１７を介してケーシング６の軸受台１９により
支承される。このとき、シユー１０を介して斜板
１１に加えられる押圧力によつて斜板１１には曲
げ応力が作用するが、軸受部１７は斜板１１の中
央両側に設けられているので、該軸受部１７と上
記曲げ応力の作用点との間の距離を比較的短くす
ることができ、したがつて、斜板１１に加えられ
る曲げモーメントも小さくなるから、斜板１１に
は高い曲げ剛性を付与することができる。また、
前記吸入行程においては、シリンダ穴７内の圧力
が低下する結果、プランジヤ８には背圧、すなわ
ちシリンダブロツク１側へのスラストが作用し、
このスラストのために、斜板１１の、プランジヤ
８近傍の軸受部１７が軸受台１９より浮き上がろ
うとする。しかしながら、斜板１１の両端に設け
られた斜板ボス２０がコイルばね２２によつて付
勢されているので、この付勢力によつて前記軸受
台１９の浮き上がりを抑えることができる。尚、
その付勢力の作用点である前記ボス２０は前記ス
ラストが最大となる。斜板１１の傾斜軸線Ｃ−Ｃ
方向両端部に近く、かつそのスラストの作用点よ
りも斜板半径方向外側に位置することから、比較
的小さな付勢力で前記軸受部１７の浮き上がりを
極めて効果的に抑えることができる。

次にアクチユエータを作動させて、フツク２３
を移動させると、斜板１１の軸受部１７とケーシ
ング６の軸受台１９がともに同じ曲率の円弧面で
係合しているので、斜板１１はその円弧の中心、
すなわち傾斜軸線Ｃ−Ｃの回りに回動する。この
とき、斜板ボス２０の回動に伴つてコイルばね２
２及び摺動リング２１も傾動軸線Ｃ−Ｃの回りに
回動する。斜板１１はコイルばね２２によつて軸
受台１９の方向に押圧されているので、この間に
軸受部１７と軸受台１９の係合が外れることはな
い。斜板１１の傾斜角が変わるとプランジヤ８の
滑動ストロークが変わるので、シリンダ穴７内の
作動油の吸入量及び吐出量が変化し、油圧ポンプ
の吐出量が変化する。すなわち、斜板１１の傾斜
角を変化させることによつて可変吐出ポンプとす
ることができる。

また、第１図の状態において、プランジヤ８が
収縮した状態から伸長した状態に至る行程のシリ
ンダ穴７に作動油を圧入し、プランジヤ８が伸長
した状態から収縮した状態に至る行程のシリンダ
穴７から作動油を排出させる。すると、作動油が
圧入されたシリンダ穴７ではそのプランジヤ８に
前方への推力が与えられ、プランジヤ８がシユー
１０を介して斜板１１を押圧する。この押圧力
は、斜板１１によつてその表面に垂直な力と平行
な力となつて作用し、後者の力がシリンダブロツ
ク１を回転軸線Ａ−Ａの回りに回転させる回転ト
ルクとなる。斜板１１の表面に平行な力の大きさ
は、斜板１１の傾斜角に応じて変化するから、ア
クチユエータを作動して斜板１１を傾斜軸線Ｃ−
Ｃの回りに傾動させることにより、可変位の油圧
モータが得られるのである。

以上のように、本発明によれば、ケーシング６
に回転自在に支承されたシリンダブロツク１と；
このシリンダブロツク１内にその回転軸線Ａ−Ａ
と平行で、かつその回転軸線Ａ−Ａから偏心して
設けられたシリンダ穴７と；このシリンダ穴７に
滑動し得るように嵌合されたプランジヤ８と；こ
のプランジヤ８の先端が常時接触するように前記
シリンダブロツク１に対向して設けられた斜板１
１と；この斜板１１の背面から突出して設けら
れ、前記回転軸線Ａ−Ａと直交する傾斜軸線Ｃ−
Ｃを中心とした円弧面を有する弓形の軸受部１７
と；前記ケーシング６に設けられ、前記軸受部１
７の円弧面に摺動可能に係合するよう該円弧面と
同曲率に形成された円弧状受面を有する軸受台１
９と；よりなり、前記斜板１１の、前記傾斜軸線
Ｃ−Ｃ回りの傾斜角を変化させることによつて前
記プランジヤ８の滑動ストロークを随時に調節で
きるようにした、斜板式アキシヤルプランジヤ型
油圧作動装置において、前記斜板１１の、前記傾
斜軸線Ｃ−Ｃ方向の両端部に一対のボス２０，２
０を突設し、その各ボス２０と前記ケーシング６
との間には、前記軸受部１７と軸受台１９との係
合状態を保持するように斜板１１を付勢するばね
２２を設けたので、油圧作動装置がポンプとして
作動している状態においてプランジヤ８の伸長行
程（吸入行程）で、プランジヤ８に作用する背圧
すなわちシリンダブロツク側へのスラストのため
に斜板１１の、当該プランジヤ８近傍の前記軸受
部１７がケーシング６の軸受台１９より浮き上が
ろうとしても、その浮き上がりを、上記ボス２０
に作用するばね２２の付勢力によつて抑えること
ができ、特にその付勢力の作用点であるボス２０
は、上記スラストが最大となる、斜板１１の傾斜
軸線Ｃ−Ｃ方向両端部に近く、かつそのスラスト
の作用点よりも斜板半径方向外側に位置すること
から、比較的小さな付勢力で前記軸受部１７の浮
き上がりを極めて効果的に抑えることができ、そ
の結果、上記浮き上がりに伴う斜板１１のガタつ
きやプランジヤ８の滑動ストロークの変動を未然
に防止できて、装置の運転音低減やポンプ効率ア
ツプに寄与し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の油圧作動装置の一実施例の縦
断面図、第２図はその斜板の背面図、第３図は第
２図の−線による拡大断面図である。 Ａ−Ａ…回転軸線、Ｃ−Ｃ…傾斜軸線、１…シ
リンダブロツク、６…ケーシング、７…シリンダ
穴、８…プランジヤ、１１…斜板、１７…軸受
部、１９…軸受台、２０…ボス、２２…ばね。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ケーシング６に回転自在に支承されたシリン
   ダブロツク１と；このシリンダブロツク１内にそ
   の回転軸線Ａ−Ａと平行で、かつその回転軸線Ａ
   −Ａから偏心して設けられたシリンダ穴７と；こ
   のシリンダ穴７に滑動し得るように嵌合されたプ
   ランジヤ８と；このプランジヤ８の先端が常時接
   触するように前記シリンダブロツク１に対向して
   設けられた斜板１１と；この斜板１１の背面から
   突出して設けられ、前記回転軸線Ａ−Ａと直交す
   る傾斜軸線Ｃ−Ｃを中心とした円弧面を有する弓
   形の軸受部１７と；前記ケーシング６に設けら
   れ、前記軸受部１７の円弧面に摺動可能に係合す
   るよう該円弧面と同曲率に形成された円弧状受面
   を有する軸受台１９と；よりなり、前記斜板１１
   の、前記傾斜軸線Ｃ−Ｃ回りの傾斜角を変化させ
   ることによつて前記プランジヤ８の滑動ストロー
   クを随時に調節できるようにした、斜板式アキシ
   ヤルプランジヤ型油圧作動装置において、前記斜
   板１１の、前記傾斜軸線Ｃ−Ｃ方向の両端部に一
   対のボス２０，２０を突設し、その各ボス２０と
   前記ケーシング６との間には、前記軸受部１７と
   軸受台１９との係合状態を保持するように斜板１
   １を付勢するばね２２を設けたことを特徴とす
   る、斜板式アキシヤルプランジヤ型油圧作動装
   置。