JPH05126166A - 油圧式動力伝達継手 - Google Patents

油圧式動力伝達継手

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JPH05126166A
JPH05126166A JP28342691A JP28342691A JPH05126166A JP H05126166 A JPH05126166 A JP H05126166A JP 28342691 A JP28342691 A JP 28342691A JP 28342691 A JP28342691 A JP 28342691A JP H05126166 A JPH05126166 A JP H05126166A
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cam
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Satoru Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 相対回転可能な入出力軸間の差動回転によっ
て駆動される油圧ポンプから吐出される油圧の流動抵抗
を制御する制御弁を、外部からの信号によって作動させ
るアクチュエータを備える油圧式動力伝達継手におい
て、小型で耐久性信頼性が高く、トルク伝達状態、フリ
ー状態及びロック状態を容易に制御できるようにする。 【構成】 電磁ソレノイド70を継手の外側に非接触で
設け、電磁ソレノイド70への通電によって生じる磁気
吸引力と可動磁性体60に付勢するバネ64,66部材
のバネ力との関係で可動磁性体60に固着するスプール
48,50を段階的に変位させるアクチュエータを備
え、スプール48,50の変位に応じてトルク伝達状
態、フリー状態及びロック状態を設定するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2つの動力回転軸の回
転速度差に対するトルク伝達特性を自在に制御すること
ができる油圧式動力伝達継手に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、このような油圧式動力伝達継手と
しては、例えば、特開平1−154228号に開示され
たものがある。この油圧式動力伝達継手は、相対回転可
能な第1の回転部材と第2の回転部材間の回転速度差に
より駆動される油圧ポンプと、その油圧ポンプの吐出路
に外部からの制御信号に応じた流動抵抗を発生する流動
抵抗制御手段を備え、外部からの制御信号により第1,
第2の回転部材間の伝達トルクを制御するものであり、
更に、第1又は第2の回転部材の中心部に、これらの軸
方向に作用する電磁式アクチュエータを設けて、この電
磁式アクチュエータによって上記流動抵抗制御手段を直
接作動させることで、第1,第2の回転部材間のトルク
伝達特性を制御する構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の油圧式動力伝達継手にあっては、上記電磁式
アクチュエータが第1,第2の回転部材の軸中心に連設
して構成されているので軸方向に長く大きな構造とな
り、四輪駆動車用トランスファの出力軸端側に取り付け
るような場合に、車両への取付けが困難となったり、取
付けのための大きなスペースを確保しなければならない
という装着性に問題があった。
【0004】又、流動抵抗を3段階に制御する場合に
は、電磁式アクチュエータに設けられた可動磁性体を駆
動するためのソレノイドコイルを2個必要としており、
装置が大型化する問題もあった。本発明はこのような従
来の課題に鑑みてなされたものであり、上記電磁式アク
チュエータの構造を改善することにより、上記のような
問題のないより小型の油圧式動力伝達継手を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この様な目的を達成する
ために本発明は、相対回転可能な入出力軸間に設けら
れ、これら両軸の差動回転によって駆動される油圧ポン
プと、該油圧ポンプの出口部に設けられ吐出油圧の流動
抵抗を制御する制御弁と、外部からの信号によって、該
制御弁を作動させるアクチュエータを備え、これら両軸
の回転速度差および外部からの制御信号に応じたトルク
を伝達する油圧式動力伝達継手において、外部の部材に
固定され、ソレノイドコイルと該ソレノイドコイルを取
り巻いて継手と非接触状態に保持される磁気枠と、上記
ソレノイドコイルへの通電によって磁気吸引力を発生す
る可動磁性体と、上記可動磁性体の移動に伴って段階的
に荷重が変化するバネ部材を備え、上記ソレノイドコイ
ルへの通電電流を段階的に変化させることで、前記可動
磁性体を段階的に変位させるアクチャエータを構成する
とともに、上記可動磁性体の変位に応じて開口面積が変
化し、且つ圧油からの油圧反力を受けない弁を設けた。
【0006】
【作用】このような構成を有する本発明の油圧式動力伝
達継手によれば、油圧ポンプの出力部に設けられた吐出
油の流動抵抗を制御するための流動抵抗制御手段及び電
磁式アクチュエータを、入出力駆動軸に対して同芯状に
設けたので、軸方向の長さを短縮できる。
【0007】又、ソレノイドコイルが1個で済むので、
小型且つ低コスト化を実現できる。更に、この油圧式動
力伝達継手を外部から直接に接触して制御する必要がな
く、非接触で動力伝達特性を制御することができること
から、耐久性、信頼性を向上することができる。又、上
記ソレノイドコイルへの通電電流を制御するための制御
手段を簡素な電気回路等で容易に実現することができる
ので、この油圧式動力伝達継手を制御するための所謂コ
ントローラを小型且つ簡単化することができる。
【0008】更に、弁による開口面積が可動磁性体の変
位に応じて段階的に変化するので、段階的にトルク伝達
特性を設定することができ、車両性能を発揮する為の制
御として優れている。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面と共に説明す
る。全体構造を示す図1において、2は駆動力が入力さ
れる入力軸、4はベアリング6を介して入力軸2に相対
回転可能に支持された磁性体からなるハウジングであ
り、ハウジング4の側端に形成されたスプライン継手8
に出力軸(図示せず)が連結する。
【0010】ハウジング4のスプライン継手8側に形成
されたピストン室内には、摺動自在なアキュムレータピ
ストン10が収容され、ハウジング4の内側に固定され
たリテーナ12に介装されたリターンスプリング14で
左側に付勢され、更に、オイルシール16とOリング1
7でピストン室がシールされている。18はハウジング
4にスラストニードル20を介して設けられたカムであ
り、カム18のカム面22は、図2に示すように複数個
のカム山とカム谷が1つずつ交互に形成されている。
又、カム18の外周には、所定間隔毎に突起18aが設
けられ、ハウジング4の内側には同数の位置決め突起4
aが設けられており、これらの突起18a,4aが当接
しない角度θ内でカム18が回転可能となっている。
【0011】ここで、カム18がハウジング4に対して
回転可能な角度θは、カム18のカム山の数をNcとす
ると、θ≒π/Ncに設定されている。尚、この実施例
ではカム山とカム谷の数Ncを5個ずつに設定してい
る。24は入力軸2にスプライン嵌合されたロータであ
り、周方向に沿って複数個のプランジャ室26が形成さ
れている。プランジャ室26の数は、カム18のカム面
22に設けられたカム山の数Ncに基づく所定の関係で
決められており、この実施例では、5個のカム山に対し
て9個のプランジャ室26が等間隔で形成されている。
【0012】夫々のプランジャ室26には、プランジャ
28がリターンスプリング30を介して進退移動可能に
収納され、夫々のプランジャ室26の底部には、吸入吐
出孔32が形成されている。34はロータリバルブであ
り、ハウジング4の内壁に嵌合固定することで一体に回
転すると共に、ボールベアリング36を介して入力軸2
に対して相対回転可能に支持されている。
【0013】ロータリバルブ34のロータ24に対向す
る面には、5個ずつの吸入ポート38と吐出ポート40
が交互に等間隔で形成され、吸入ポート38には更にロ
ータ24の外側の油供給部44と連通する吸入路42が
形成されている。尚、吐出ポート40は、図1の縦断面
図で表せない箇所に在るため説明上図1には示していな
いが、他の縦断面部分を示す図3に示すように、吐出ポ
ート40は、低圧の吸入路42と油供給部44とは連通
せず、吐出路45を介して後述する高圧室46に連通し
ている。即ち、吸入ポート38は、吸入行程となるロー
タ24の吸入吐出孔32へ低圧の吸入路42から油を供
給するためにあり、吐出ポート40は、吐出行程となる
ロータ24の吸入吐出孔32から吐出される圧油を吐出
路45を経て後述する高圧室46に供給するために設け
られている。
【0014】次に、カム18、ロータ24、プランジャ
28及びロータリバルブ34の相対関係を図4及び図5
と共に詳述する。まず、図4において、ハウジング4の
内側にカム18が装着され、夫々に設けられた複数の突
起4a,18aによって、所定の角度θの範囲での相対
回転が可能となっている。そして、上述した様に、カム
18のカム面22は5個のカム山とカム谷が形成されて
いるので、夫々のカム山の最上点とカム谷の最下点との
成す角度βは36°となっている。更に、カム面に対向
する9個のプランジャ28は、図4の一点鎖線で示す円
の様に、40°ずつ位置する。
【0015】又、ロータリバルブ34は、図5に示す様
に、ロータ24に対向する面に5個ずつの吸入ポート3
8と吐出ポート40が交互に設けられているので、吸入
ポート38と吐出ポート40の成す角度γは36°とな
っている。更に、これらの吸入ポート38と吐出ポート
40に対向してロータ24には一点鎖線の円で示す様
に、プランジャ28と吸入吐出孔32が対向する。
【0016】そして、図4中の矢印Dの方向へ、ロータ
24がハウジング4とロータリバルブ34に対して相対
回転すると、カム18がロータ24と連れ回りした後、
ハウジング4の突起4aとカム18の突起18aが当接
することによって、その相対回転が止まり、カム面22
のカム谷からカム山に連れて作動するプランジャ28は
吐出行程の動作となってプランジャ室26内の圧油を吸
入吐出孔32から吐出し、一方、カム山からカム谷に連
れて作動するプランジャ28は吸入行程の作動となって
プランジャ室26内へ油を吸入する。又、矢印Dとは逆
方向に回転しても、同様の吸入・吐出行程が行なわれ
る。
【0017】尚、図5に示すロータリバルブ34の複数
の切欠き部34aは、ハウジング4の内壁に嵌合固定す
るために設けられている。又、図1の縦断面図は、図5
のα−α線に沿った位置関係での継手全体の断面を示
し、図3の部分縦断面図は、図5中の吐出行程が行なわ
れる吐出ポート40とプランジャ28の位置関係での断
面(例えば、図中の二点鎖線δの部分)を示すものであ
る。
【0018】再び図1に基づいて構造を説明すると、ロ
ータリバルブ34には、全ての吐出ポート40(図3参
照)と連通する高圧室46が形成され、更に、高圧室4
6の一端と連通して中心軸Qと平行の方向に貫通する第
1のスプール孔47が形成され、第1のスプール孔47
内に第1のスプール48が進退可能に挿入している。
又、第1のスプール孔47とは別の箇所に、吸入路42
と連通し且つロータリバルブ34の左側端まで貫通する
連通孔52が形成されている。
【0019】更に、ロータリバルブ34には、高圧室4
6の他の一端と連通して中心軸Qと平行の方向に貫通す
る第2のスプール孔49が形成され、第2のスプール孔
49内に第2のスプール50が進退可能に挿入してい
る。又、第2のスプール孔49の一端と吸入路42の間
にオリフィス54が形成されている。56は、非磁性体
から成るキャップ状のカバーであり、ハウジング4の一
端に止め輪58で固着されると共に、入力軸2との間が
シールされている。
【0020】60は、強磁性体から成る可動磁性体であ
り、一端には第1のスプール48と第2のスプール50
が固着している。62は、非磁性体から成るカップ状の
位置決め部材であり、一端が可動磁性体60に遊嵌して
いる。64は、可動磁性体60の一端とロータリバルブ
34の端面の間に介在する第1のスプリングであり、可
動磁性体60とロータリバルブ34を離す様に作用して
いる。
【0021】66は、可動磁性体60の一端と位置決め
部材62の間に介在する第2のスプリングであり、可動
磁性体60と位置決め部材62の間隔を広げる方向に作
用する。更に、図6に基づいて、可動磁性体60と位置
決め部材62の構造を述べれば、夫々の底端には入力軸
2を挿入させる大径の穴が形成されており、可動磁性体
60には、位置決め部材62の係止用突起62aが内側
から遊嵌する係止溝60aが形成されている。
【0022】そして、位置決め部材62の外側と可動磁
性体60の内側の間に第1のスプリング64が配置さ
れ、この第1のスプリング64は可動磁性体60とロー
タリバルブ34を離す様に作用する。又、第2のスプリ
ング66は位置決め部材62の底端62bの内側と可動
磁性体60の内側に介在するので、可動磁性体60と位
置決め部材62の間でのみ相互の間隔を広げる様に作用
する。
【0023】再び図1において、68は磁気ソレノイド
を構成する磁性体から成る磁気枠、70は磁気枠68に
惓装されたソレノイドコイルであり、磁気枠68はハウ
ジング4の外側端と対向する様にして外側から嵌まる部
分68aと、可動磁性体60に対向する部分68bを有
する筒状に形成され、ソレノイドコイル70は入力軸2
に対して同芯状に磁気枠68に惓装されている。
【0024】尚、磁気枠68の一端部68aとハウジン
グ4の外側端面との間は比較的狭いエアギャップによっ
て非接触、他端部68bも同様に比較的狭いエアギャッ
プによってカバー56と非接触となっている。又、この
実施例では、ソレノイドコイル70に電流を流さない場
合(以下、第1の制御モードという)と、電流値I1の
第1の制御電流を供給することで、磁気枠68、可動磁
性体60、ロータリバルブ34及びハウジング4の間に
発生する磁路による磁力F1により、第1のスプリング
64のバネ力に抗して可動磁性体60を一定距離だけ移
動させる場合(以下、第2の制御モードという)と、電
流値I2(但し、I2>I1)の第2の制御電流を供給
することで、磁気枠68、可動磁性体60、ロータリバ
ルブ34及びハウジング4の間に発生する磁路による磁
力F2(但し、F2>F1)により、第1,第2のスプ
リング64,66のバネ力に抗して、可動磁性体60を
一定距離だけ移動させる場合(以下、第3の制御モード
という)との3種類のポジション設定を行う制御モード
を設定しており、この3種類の制御モードを得るため
に、各制御モードにおける制御電流による磁力F1,F
2と、第1,第2のスプリング64,66のバネ力f
1,f2との関係が、図7に示すように、設定されてい
る。
【0025】即ち、ソレノイドコイル70に電流を流さ
ない第1の制御モードでは、可動磁性体60が第1のス
プリング64によって最も左側へ移動されることから、
可動磁性体60の変位可能量は、位置決め部材62の底
端62bとロータリバルブ34の端面の間に設けられて
いる一定の隙間間隔L1未満となり、後述する通常のト
ルク伝達特性が得られる。
【0026】次に、第2の制御モードでは、第1のスプ
リング64のバネ力f1よりも大きく、第1のスプリン
グ64のバネ力f1と第2のスプリング66のバネ力f
2との合計f1+f2よりも小さな磁力F1(即ち、f
1<F1<f1+f2)を発生させるような電流値I1
の第1の制御電流を供給する。これにより、可動磁性体
60の変位可能量LはL1<L<L2の範囲となり、後
述するフリー特性が得られる。
【0027】第3の制御モードでは、第1のスプリング
64のバネ力f1と第2のスプリング66のバネ力f2
との合計f1+f2よりも大きく、ある安全範囲内の磁
力F3よりも小さな磁力F2(即ち、f1+f2<F2
<F3)を発生させるような電流値I2の第2の制御電
流を供給する。これにより、可動磁性体60の変位可能
量LはL2<L<L3の範囲となり、後述するロック特
性が得られる。
【0028】尚、図3に示すように、L1は位置め部材
62の移動可能ストローク、即ち、可動磁性体60が最
も左側に移動したときの位置め部材62の底端62bと
ロータリバルブ34の端部との隙間間隔であり、L2は
可動磁性体60の移動可能ストローク、即ち、可動磁性
体60が最も左に移動したときの可動磁性体60とロー
タリバルブ34の端部との隙間間隔である。
【0029】次にかかる構造の実施例の動作を説明す
る。まず、ソレノイドコイル70に電流を供給しない第
1の制御モードを設定すると、図8に示す様に、可動磁
性体60は電磁ソレノイドの影響を受けないので、第1
のスプリング64によって最も左側に付勢されて静止す
る。この結果、第1のスプール48が高圧室46と連通
孔52間の接続を閉鎖し、一方、第2のスプール50が
高圧室46とオリフィス54を連通状態にする。
【0030】この第1の制御モードでのカム18、ロー
タ24及びロータリバルブ34の位置関係は、直線上に
展開して示した断面図9の様になる。そして、カム18
とロータ24との間で回転速度差が生じると、あるプラ
ンジャ28が吸入行程にある場合(上側矢印で示す場
合)は、ロータリバルブ34の吸入ポート38とプラン
ジャ室26の吸入吐出孔32が通じる位置関係となり、
吸入路42からロータ24の吸入吐出孔32を通じてプ
ランジャ室26に油を吸入し、あるプランジャ28が吐
出行程にある場合(下側矢印で示す場合)は、吸入行程
とは逆の関係となり、ロータ24に形成されたプランジ
ャ室26に通じる。そして、このようなプランジャ28
の吸入行程と吐出行程は9個のプランジャ28について
図9のように交互に生じ、吐出側と吸入側はロータリバ
ルブ34のオリフィス54を介して連通するので、オリ
フィス54の流動抵抗に応じた圧力を吐出側に発生し、
カム18とロータ24間で図12の特性曲線Aの様な特
性のトルク伝達が行われる。尚、トルク伝達特性Aはオ
リフィス54の内径に応じて調整される。
【0031】ソレノイドコイル70に前記第1の制御電
流I1を供給する第2の制御モードを設定すると、磁気
枠68、可動磁性体60、ロータリバルブ34及びハウ
ジング4の間に磁路が形成され、図10に示すように、
該第1の制御電流I1に対応した磁力F1によって可動
磁性体60が右側へ移動し、位置決め部材62の底端6
2bがロータリバルブ34に当接する位置で静止する。
同時に、第1のスプール48も位置決め部材62の底端
62bとロータリバルブ34の間の隙間が無くなる分だ
け右側へ移動する。この結果、高圧室46と連通孔52
間が開放状態となり、第2のスプール50の位置にかか
わらず、高圧室46の圧油を低圧の吸入路42側へ失陥
させる。したがって、図12の特性曲線Bに示す様な所
謂フリー状態となり、伝達トルクが得られなくなる。
【0032】ソレノイドコイル70に前記第2の制御電
流I2を供給する第3の制御モードを設定すると、図1
1に示す様に、該制御電流I2に応じた磁路が磁気枠6
8、可動磁性体60、ロータリバルブ34及びハウジン
グ4間に生じ、これによる磁力F2(但し、F2>F
1)によって可動磁性体60が第1,第2のスプリング
64,66に抗してロータリバルブ34に当接するまで
移動して静止する。この結果、第1のスプール48が高
圧室46と連通孔52間を閉鎖すると同時に、第2のス
プール50が高圧室46とオリフィス54の間を閉鎖す
る。したがって、ロータ24とカム18間に回転速度差
を生じて、吐出行程による高圧室46の圧油が上昇して
も、圧油が放出されないので、図12の特性曲線Cに示
す様な所謂ロック状態の特性が得られる。
【0033】この様にこの実施例によれば、外部に非接
触で設けられた磁気枠68及びソレノイドコイル70に
よって可動磁性体60を移動させることで第1,第2の
スプール48,50を3ポジションに設定することによ
り、通常のトルク伝達、フリー状態、ロック状態を切替
設定することができる。次に、他の実施例を図13ない
し図16に基づいて説明する。この実施例は、図1に示
す可動磁性体60に設けられた第1のスプール48と第
2のスプール50に代えて、一個のスプール72によっ
て、通常のトルク伝達、フリー状態、ロック状態を切替
設定することができる構造にしたものである。尚、これ
らの図において、図1と同一又は相当する部分を同一符
号で示し、カム18、ロータ24、プランジャ28等で
構成される油圧ポンプの構造は、図1と同じである。
【0034】図1との相違点を述べると、可動磁性体6
0の一端に固着された中空管状のスプール72が高圧室
46に連通するスプール孔74に挿入し、更に、図14
に示すように、スプール72の側端にスリット状の貫通
孔76が形成されている。ソレノイドコイル70に電流
を供給しないと、図13に示す様に、第1のスプリング
64によって可動磁性体60及びスプール72が最も左
側に移動して静止する。この結果、高圧室46と貫通孔
76との連通部分の開口量が最大となり、高圧室46の
油が貫通孔76及びスプール72の中空部分を介して低
圧の吸入路42へ失陥するので、トルク伝達が行なわれ
ず、図12の特性曲線Bに示す様な所謂フリー状態とな
る。
【0035】ソレノイドコイル70に第1の制御電流I
1を供給すると、磁気枠68、可動磁性体60、ロータ
リバルブ34及びハウジング4の間に磁路が形成され、
図15に示すように、該第1の制御電流I1に対応した
磁力F1によって可動磁性体60が第1のスプリング6
4に抗して右側へ移動し、位置決め部材62の底端62
bがロータリバルブ34に当接する位置で静止し、同時
に、スプール72も位置決め部材62の底端62bとロ
ータリバルブ34の間の隙間が無くなる分だけ右側へ移
動する。この結果、高圧室46と貫通孔76の予め決め
られた僅かな部分が連通状態となり、この連通部分がオ
リフィスとしての機能を発揮する。この状態で入力軸2
とハウジング4の間での回転速度差による油圧ポンプの
吸入・吐出動作があると、該連通部分による流動抵抗に
応じた圧力を吐出側に発生するので、図12の特性曲線
Aの様な特性のトルク伝達が行われる。
【0036】ソレノイドコイル70に第2の制御電流I
2(I2>I1)を供給すると、図16に示す様に、該
制御電流I2に応じた磁路が磁気枠68、可動磁性体6
0、ロータリバルブ34及びハウジング4間に生じ、こ
れによる磁力F2(但し、F2>F1)によって可動磁
性体60が第1,第2のスプリング64,66に抗して
ロータリバルブ34に当接するまで移動して静止する。
この結果、スプール72の貫通孔76と高圧室46の連
通が遮断され、高圧室46は密封状態となる。したがっ
て、油圧ポンプの吐出行程による高圧室46の圧油が上
昇しても、圧油が放出されないので、図12の特性曲線
Cに示す様な所謂ロック状態の特性が得られる。
【0037】このように、この実施例によれば、一個の
スプール72の移動位置を可動磁性体60で制御するこ
とによってトルク伝達、フリー状態及びロック状態を設
定することができ、構造の簡素化及び小型化を図ること
ができる。更に他の実施例を図17ないし図20に基づ
いて説明する。この実施例は、図1に示す可動磁性体6
0に設けられた第1のスプール48と第2のスプール5
0に代えて、一個のスプール78によって、通常のトル
ク伝達、フリー状態、ロック状態を切替設定することが
できる構造にしたものである。尚、これらの図におい
て、図1と同一又は相当する部分を同一符号で示し、カ
ム18、ロータ24、プランジャ28等で構成される油
圧ポンプの構造は、図1と同じである。
【0038】図1との相違点を述べると、可動磁性体6
0の一端に固着されたスプール78が高圧室46に連通
するスプール孔80に挿入し、更に、図18に示すよう
に、スプール78の側端から先端にかけて次第に深くな
る切欠溝82が形成されている。ソレノイドコイル70
に電流を供給しないと、図17に示す様に、第1のスプ
リング64によって可動磁性体60及びスプール78が
最も左側に移動して静止する。この結果、高圧室46と
切欠溝82との連通部分の開口量が最大となり、高圧室
46の油が切欠溝82を介して低圧の吸入路42へ失陥
するので、トルク伝達が行なわれず、図12の特性曲線
Bに示す様な所謂フリー状態となる。
【0039】ソレノイドコイル70に第1の制御電流I
1を供給すると、磁気枠68、可動磁性体60、ロータ
リバルブ34及びハウジング4の間に磁路が形成され、
図19に示すように、該第1の制御電流I1に対応した
磁力F1によって可動磁性体60が第1のスプリング6
4に抗して右側へ移動し、位置決め部材62の底端62
bがロータリバルブ34に当接する位置で静止し、同時
に、スプール78も位置決め部材62の底端62bとロ
ータリバルブ34の間の隙間が無くなる分だけ右側へ移
動する。この結果、高圧室46と切欠溝82の予め決め
られた僅かな部分が連通状態となり、この連通部分がオ
リフィスとしての機能を発揮する。この状態で入力軸2
とハウジング4の間での回転速度差による油圧ポンプの
吸入・吐出動作があると、該連通部分による流動抵抗に
応じた圧力を吐出側に発生するので、図12の特性曲線
Aの様な特性のトルク伝達が行われる。
【0040】ソレノイドコイル70に第2の制御電流I
2(I2>I1)を供給すると、図20に示す様に、該
制御電流I2に応じた磁路が磁気枠68、可動磁性体6
0、ロータリバルブ34及びハウジング4間に生じ、こ
れによる磁力F2(但し、F2>F1)によって可動磁
性体60が第1,第2のスプリング64,66に抗して
ロータリバルブ34に当接するまで移動して静止する。
この結果、スプール78の切欠溝82と高圧室46の連
通が遮断され、高圧室46は密封状態となる。したがっ
て、油圧ポンプの吐出行程による高圧室46の圧油が上
昇しても、圧油が放出されないので、図12の特性曲線
Cに示す様な所謂ロック状態の特性が得られる。
【0041】このように、この実施例によっても、一個
のスプール78の移動位置を可動磁性体60で制御する
ことによってトルク伝達、フリー状態及びロック状態を
設定することができ、構造の簡素化及び小型化を図るこ
とができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、油
圧ポンプの出力部に設けられた吐出油の流動抵抗を制御
するための流動抵抗制御手段及び電磁式アクチュエータ
を、入出力駆動軸に対して同芯状に設けたので、軸方向
の長さを短縮できる。又、ソレノイドコイルが1個で済
むので、小型且つ低コスト化を実現できる。
【0043】更に、この油圧式動力伝達継手を外部から
直接に接触して制御する必要がなく、非接触で動力伝達
特性を制御することができることから、耐久性、信頼性
を向上することができる。又、上記ソレノイドへの通電
電流を制御するための制御手段を簡素な電気回路等で容
易に実現することができるので、この油圧式動力伝達継
手を制御するための所謂コントローラを小型且つ簡単化
することができる。
【0044】更に、弁による開口面積が可動磁性体の変
位に応じて段階的に変化するので、段階的にトルク伝達
特性を設定することができ、車両性能を発揮する為の制
御として優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の全体構造を示す断面図であ
る。
【図2】カムの形状を示す斜視図である。
【図3】高圧室及び吐出ポートの位置関係を説明するた
めの部分断面図である。
【図4】カムとプランジャの位置関係を示す説明図であ
る。
【図5】ロータリバルブの構造及びプランジャの位置関
係を示す説明図である。
【図6】可動磁性体と位置決め部材の形状を示す斜視図
である。
【図7】可動磁性体を駆動するための駆動力と可動磁性
体に設けられるスプリングのバネ力との関係を示す説明
図である。
【図8】トルク伝達時の動作を説明するための部分断面
図である。
【図9】トルク伝達時の動作を更に説明するためにカム
及びプランジャ部分を直線上に展開して示した断面図で
ある。
【図10】フリー状態の動作を説明するための部分断面
図である。
【図11】ロック状態の動作を説明するための部分断面
図である。
【図12】動力伝達特性を示す特性図である。
【図13】他の実施例の構造を説明するための要部構造
を示す断面図である。
【図14】他の実施例におけるスプールの形状を示す部
分斜視図である。
【図15】他の実施例におけるトルク伝達時の動作を説
明するための部分断面図である。
【図16】他の実施例におけるロック状態の動作を説明
するための部分断面図である。
【図17】更に他の実施例の構造を説明するための要部
構造を示す断面図である。
【図18】更に他の実施例におけるスプールの形状を示
す部分斜視図である。
【図19】更に他の実施例におけるトルク伝達時の動作
を説明するための部分断面図である。
【図20】更に他の実施例のロック状態の動作を説明す
るための部分断面図である。
【符号の説明】
2;入力軸 4;ハウジング 4a;突起 8;スプライン継手 10;アキュムレータピストン 18;カム 18a;突起 22;カム面 24;ロータ 26;プランジャ室 28;プランジャ 30;リターンスプリング 32;吸入吐出孔 34;ロータリバルブ 34a;切欠き部 38;吸入ポート 40;吐出ポート 42;吸入路 44;油供給部 45;吐出路 46;高圧室 47;第1のスプール孔 48;第1のスプール 49;第2のスプール孔 50;第2のスプール 52;連通孔 54;オリフィス 56;カバー 58;止め輪 60;可動磁性体 60a;係止溝 62;位置決め部材 62a;係止用突起 62b;底端 64;第1のスプリング 66;第2のスプリング 68;磁気枠 70;ソレノイドコイル 72;スプール 74;スプール孔 76;貫通孔 78;スプール 80;スプール孔 82;切欠溝

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対回転可能な入出力軸間に設けられ、該
    入出力軸の差動回転によって駆動される油圧ポンプと、 該油圧ポンプの出口部に設けられ吐出油圧の流動抵抗を
    制御する制御弁と、 外部からの信号によって該制御弁を作動させるアクチュ
    エータを備え、 上記入出力軸の回転速度差および外部からの制御信号に
    応じたトルクを伝達する油圧式動力伝達継手において、 外部の部材に固定され、ソレノイドコイルと該ソレノイ
    ドコイルを取り巻いて、継手と非接触状態に保持される
    磁気枠と、 上記ソレノイドコイルへの通電によって磁気吸引力を発
    生する可動磁性体と、 上記可動磁性体の移動に伴って段階的に荷重が変化する
    バネ部材と、 上記ソレノイドコイルへの通電電流を段階的に変化させ
    ることで、上記可動磁性体を段階的に変位させるアクチ
    ュエータを構成するとともに、上記可動磁性体の変位に
    応じて開口面積が変化し、且つ圧油からの油圧反力を受
    けない弁を設けたことを特徴とする油圧式動力伝達継
    手。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110778618A (zh) * 2019-11-18 2020-02-11 重庆理工大学 一种圆筒式变体积磁流变风扇自动离合器
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