JPH05125842A - 炭素繊維複合高伸度防水フイルムの製造方法および炭素繊維複合高伸度防水フイルムならびにそれを用いたコンクリート亀裂の漏水防止工法 - Google Patents

炭素繊維複合高伸度防水フイルムの製造方法および炭素繊維複合高伸度防水フイルムならびにそれを用いたコンクリート亀裂の漏水防止工法

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JPH05125842A
JPH05125842A JP31331791A JP31331791A JPH05125842A JP H05125842 A JPH05125842 A JP H05125842A JP 31331791 A JP31331791 A JP 31331791A JP 31331791 A JP31331791 A JP 31331791A JP H05125842 A JPH05125842 A JP H05125842A
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carbon fiber
layer
composite high
high elongation
waterproof film
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Masanori Matsuyama
正典 松山
Isamu Tsuda
勇 津田
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OOZEKI KAGAKU KOGYO KK
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
OOZEKI KAGAKU KOGYO KK
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐候性、耐熱性、耐アルカリ性などの耐薬品
性、強度のいずれにも優れた炭素繊維複合高伸度防水フ
ィルムを提供するとともに、それを用いて施工性良好に
漏水を良好に防止できるようにする。 【構成】 樹脂で結着した炭素繊維不織布に、炭化水素
系エマルションとゴムラテックスとを混合して調製した
混合液を塗布し、その混合液を炭素繊維に含浸させて乾
燥することにより炭素繊維複合高伸度防水フィルムを作
成する。また、炭化水素系エマルションとゴムラテック
スとに、更に遷移金属を混合して調製した混合液を用い
て炭素繊維複合高伸度防水フィルムを作成する。コンク
リート躯体1の表面にプライマー層2を形成し、そのプ
ライマー層2の表面に、上述したいずれかの炭素繊維複
合高伸度防水フィルムを敷設して炭素繊維層3を形成し
た後、その炭素繊維層3の表面に防水層4を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建物の屋上や擁壁(止
水壁)などのコンクリート躯体において亀裂が発生した
場合にその亀裂からの漏水を防止するために用いる炭素
繊維複合高伸度防水フィルムの製造方法および炭素繊維
複合高伸度防水フィルムならびにそれを用いたコンクリ
ート亀裂の漏水防止工法に関する。
【0002】
【従来の技術】上述のような防水フィルムとしては、従
来、ナイロンやビニロンなどの合成樹脂繊維とかガラス
繊維による不織布にエチレン酢酸ビニル(EVA)系な
どの炭化水素系エマルションを含浸して形成したものが
あった。
【0003】また、上述防水フィルムを用いてコンクリ
ート亀裂の漏水を防止する場合、従来、エチレン酢酸ビ
ニル(EVA)系などの炭化水素系エマルションをコン
クリート躯体の表面に塗布してプライマー層を形成し、
そのプライマー層が乾燥した後に、プライマー層の表面
に、上述した漏水防止フィルムを敷設し、その防水フィ
ルムの表面に防水層を形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の合
成樹脂繊維とかガラス繊維による不織布による防水フィ
ルムでは、耐候性、耐熱性、耐アルカリ性などの耐薬品
性に劣り、漏水防止効果が早期に低下する欠点があっ
た。
【0005】また、そのような防水フィルムを用いた従
来の漏水防止工法では、合成樹脂繊維とかガラス繊維に
よる不織布を敷設することにより、コンクリート躯体の
亀裂発生に起因する引っ張りに対しての強度は向上でき
るものの、その亀裂発生に伴う伸び量が少なく、亀裂発
生に伴うコンクリート躯体の挙動に対する追随性が悪
く、防水層に亀裂が生じやすくて漏水防止効果が低い欠
点があった。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、請求項1に係る発明の炭素繊維複合高
伸度防水フィルムの製造方法および請求項3に係る発明
の炭素繊維複合高伸度防水フィルムは、耐候性、耐熱
性、耐アルカリ性などの耐薬品性のいずれにも優れたも
のを提供することを目的とし、そして、請求項2に係る
発明の炭素繊維複合高伸度防水フィルムの製造方法は、
遷移金属化合物による架橋効果によって伸び性および強
度に優れたものを提供することを目的とし、また、請求
項4に係る発明の炭素繊維複合高伸度防水フィルムは、
架橋効果によって伸び性および強度に優れたものを提供
することを目的とし、また、請求項5に係る発明の炭素
繊維複合高伸度防水フィルムは、より高い架橋効果を持
たせて、伸び性および強度に一層優れたものを提供でき
るようにすることを目的とし、そして、請求項6に係る
発明のコンクリート亀裂の漏水防止工法は、コンクリー
ト躯体の亀裂発生に伴う防水層での亀裂発生を抑制して
漏水防止効果を向上できるようにするとともに炭素繊維
不織布を利用することにより耐候性、耐熱性、耐薬品性
などを向上できるように、かつ、施工性を向上できるよ
うにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の炭
素繊維複合高伸度防水フィルムの製造方法は、上述のよ
うな目的を達成するために、樹脂で結着した炭素繊維不
織布に、炭化水素系エマルションとゴムラテックスとを
混合して調製した混合液を塗布し、その混合液を炭素繊
維不織布に含浸させて乾燥することを特徴としている。
【0008】また、請求項2に係る発明の炭素繊維複合
高伸度防水フィルムの製造方法は、上述のような目的を
達成するために、樹脂で結着した炭素繊維不織布に、炭
化水素系エマルションとゴムラテックスと遷移金属化合
物とを混合して調製した混合液を塗布し、その混合液を
炭素繊維不織布に含浸させて乾燥することを特徴として
いる。
【0009】炭化水素系エマルションとしては、エチレ
ン酢酸ビニル系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系
などのエマルションを使用できる。ゴムラテックスとし
ては、スチレンブタジエンラバー(SBR)系、ネオプ
レン系、クロロプレン系などの合成ゴムおよび天然ゴム
等を使用できる。ゴムラテックスを入れることにより、
炭化水素系エマルションが炭素繊維不織布中に浸透しや
すくなる。炭素繊維不織布を結着する樹脂としては、エ
ポキシ樹脂やウレタン樹脂などを使用できる。
【0010】炭素繊維としては、ピッチ系、ポリアクリ
ロニトリル(PAN)系、フェノール系、セルロース系
等各種のものを使用でき、また、チョップド・ストラン
ド状やモノフィラメント状のいずれであっても良いが、
マトリックスとの接触面積を増大するうえで、モノフィ
ラメント状のものを使用するのが好ましく、より好まし
くは、カール状のものを使用することである。
【0011】モノフィラメント状の炭素繊維を使用する
場合には、その繊維直径が 5〜30μmのものを使用する
のが好ましい。 5μm未満では、強度が低下し、一方、
30μmを越えると、マトリックスとの接触面積が減少す
るからである。そして、繊維長が 3mm以上のものを使用
するのが好ましい。 3mm未満のものでは、繊維相互の絡
み付きが悪くて引っ張り強度が低下するからである。ま
た、目付が30〜60g/m2 のものを使用するのが好まし
い。30g/m2 未満では、マトリックスとの接触面積が
減少し、一方、60g/m2 を越えると、含浸させるのに
必要な混合液の量が増加して高価になり不経済になるか
らである。また、嵩密度が 0.006〜0.012 g/cm3 のも
のを使用するのが好ましい。 0.006g/cm3 未満では、
マトリックスとの接触面積が減少し、一方、 0.012g/
cm3 を越えると、混合液の含浸性が低下して部分的に空
洞が発生するのでマトリックスとの接触面積が減少する
ことになるからである。すなわち、目付が30〜60g/m
2 で、かつ、嵩密度が 0.006〜0.012 g/cm3 程度の炭
素繊維不織布は、混合液を適度に含浸することができる
ので好ましい。
【0012】遷移金属化合物としては、磁性酸化鉄、酸
化銅、酸化マンガン等を使用できる。この中でも、磁気
モーメントを有し、電子移動を活性化すると考えられる
磁性酸化鉄が特に好ましい。
【0013】また、請求項3に係る発明の炭素繊維複合
高伸度防水フィルムは、上述のような目的を達成するた
めに、炭化水素樹脂とゴムが炭素繊維不織布に含浸され
ていることを特徴としている。
【0014】また、請求項4に係る発明の炭素繊維複合
高伸度防水フィルムは、上述のような目的を達成するた
めに、架橋した炭化水素と架橋したゴムが炭素繊維不織
布に含浸されていることを特徴としている。
【0015】また、請求項5に係る発明の炭素繊維複合
高伸度防水フィルムは、上述のような目的を達成するた
めに、炭化水素とゴムがそれぞれおよび互いに架橋した
状態で炭素繊維不織布に含浸されていることを特徴とし
ている。
【0016】請求項6に係る発明のコンクリート亀裂の
漏水防止工法は、上述のような目的を達成するために、
コンクリート躯体の表面にプライマー層を形成し、その
プライマー層の表面に、請求項3、4または5のいずれ
かに記載の炭素繊維複合高伸度防水フィルムを敷設して
炭素繊維層を形成した後、その炭素繊維層の表面に防水
層を形成することを特徴としている。
【0017】炭素繊維層の厚みとしては、 0.5〜 1.5mm
にするのが好ましい。 0.5mm未満では、厚み方向に直交
する方向での伸び量が少なくなり、一方、 1.5mmを越え
ると、混合液の含浸性が低下するからである。
【0018】防水層としては、エチレン酢酸ビニル系、
アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の塗膜防水ある
いは塩ビ系、アスファルト系、ゴムラテックス系等の市
販のシート防水が使用できる。
【0019】
【作用】請求項1に係る発明の炭素繊維複合高伸度防水
フィルムの製造方法の構成によれば、種々考察の結果、
炭化水素系エマルション(例えば、EVA:エチレン酢
酸ビニル)単独では炭素繊維不織布の内部に液が浸透し
にくく、炭化水素系エマルション(EVAの場合の分子
径は 0.4〜 0.7μm程度)よりも分子径が小さいゴムラ
テックス(分子径は 0.2μm程度)を併用することによ
り、炭素繊維不織布の内部にも液が浸透しやすくなるこ
とを見出すに至った。この点に着目することにより、炭
素繊維不織布によって、耐候性、耐熱性、耐薬品性のい
ずれをも高めることができ、更に、引っ張っても容易に
切断されない強度を得ることができたのである。
【0020】請求項2に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルムの製造方法の構成によれば、遷移金属化合
物の作用により、炭化水素エマルションおよび/または
ゴムラテックスが架橋するとともに炭素繊維不織布と共
働して炭素繊維層が伸び、伸び性および強度のいずれを
も高めることができる。
【0021】請求項3に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルム構成によれば、炭化水素樹脂とゴムとを炭
素繊維不織布の内部にまで含浸させ、これによって炭素
繊維層が伸び、伸び性および強度のいずれをも高めるこ
とができる。
【0022】請求項4に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルム構成によれば、炭化水素およびゴムそれぞ
れの架橋効果と炭素繊維不織布との共働により炭素繊維
層が伸び、伸び性および強度のいずれをも高めることが
できる。
【0023】請求項5に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルム構成によれば、炭化水素およびゴムそれぞ
れの架橋効果のみならず、相互の架橋効果と炭素繊維不
織布との共働により炭素繊維層が伸び、伸び性および強
度のいずれをも一層高めることができる。
【0024】請求項6に係る発明のコンクリート亀裂の
漏水防止工法の構成によれば、炭素繊維不織布の表面に
混合液を塗布して含浸させる工程を不用にして施工でき
ながら、防水層を形成した状態において、コンクリート
躯体の亀裂発生に伴うコンクリート躯体の挙動に追随し
て炭素繊維層が伸び、炭素繊維層が緩衝層として良好に
作用することにより、コンクリート躯体の挙動が防水層
に波及することを防止することができ、そして、炭素繊
維不織布によって、耐候性、耐熱性、耐薬品性のいずれ
をも高めることができる。
【0025】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0026】<第1実施例>先ず、エチレン酢酸ビニル
系の炭化水素系エマルション(S−400:住友化学工
業株式会社製)50重量部と、スチレンブタジエンラバー
系の合成ゴムラテックス(トマックスーパー:日本ラテ
ックス加工株式会社製)50重量部とを攪拌混合して混合
液を調製しておく。一方、目付が30g/m2 、繊維直径
が13μm、繊維長が 3〜30mmのものが混在して平均繊維
長が 8mm、厚みが 0.5mmの炭素繊維を15重量%のエポキ
シ樹脂で結着したピッチ系炭素繊維不織布(S−25
3:大阪瓦斯株式会社製)を準備し、そのピッチ系炭素
繊維不織布に上記混合液を塗布して含浸させた後、それ
を乾燥して第1実施例の炭素繊維複合高伸度防水フィル
ムを作成する。
【0027】<第2実施例>先ず、エチレン酢酸ビニル
系の炭化水素系エマルション(S−400:住友化学工
業株式会社製)50重量部と、スチレンブタジエンラバー
系の合成ゴムラテックス(トマックスーパー:日本ラテ
ックス加工株式会社製)50重量部と、遷移金属化合物で
ある磁性酸化鉄(戸田工業株式会社製)3重量部とを攪
拌混合して混合液を調製しておく。一方、目付が30g/
2 、繊維直径が13μm、繊維長が 3〜30mmのものが混
在して平均繊維長が 8mm、厚みが 0.5mmの炭素繊維を15
重量%のエポキシ樹脂で結着したピッチ系炭素繊維不織
布(S−253:大阪瓦斯株式会社製)を準備し、その
ピッチ系炭素繊維不織布に上記混合液を塗布して含浸さ
せた後、それを乾燥して第2実施例の炭素繊維複合高伸
度防水フィルムを作成する。
【0028】次に、上記第1実施例および第2実施例そ
れぞれの炭素繊維複合高伸度防水フィルムを用いたコン
クリート亀裂の漏水防止工法について説明する。なお、
第1実施例または第2実施例のいずれの炭素繊維複合高
伸度防水フィルムを用いた場合でも施工形態は同じであ
り、炭素繊維複合高伸度防水フィルムとして説明する。
【0029】先ず、施工に先立って、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体エマルション 150重量部と、アルミナセメン
ト30重量部と、4号珪砂70重量部とを攪拌混合して調製
した防水材(パラテックスA材:大関化学工業株式会社
製)および炭化水素系エマルションであるプライマー溶
液(APプライマー:大関化学工業株式会社製)を準備
しておく。
【0030】そして、図1の断面図に示すように、コン
クリート躯体1の表面に、ローラーでプライマー溶液を
300g/m2 塗布してプライマー層2を形成し、そのプ
ライマー層2の表面に炭素繊維複合高伸度防水フィルム
を敷設して炭素繊維層3を形成する。
【0031】その後、炭素繊維層3の表面に、ローラー
で前記防水材を 1,700g/m2 塗布して防水層4を形成
し、コンクリート亀裂に起因する漏水を防止する。
【0032】次に、比較実験結果について説明する。比
較例の試料としては、次のものを用いた。 <第1比較例>前述したコンクリート亀裂の漏水防止工
法における炭素繊維層3を無くした。 <第2比較例>前述したコンクリート亀裂の漏水防止工
法における炭素繊維複合高伸度防水フィルムに代えて、
ナイロン繊維不織布を用いた。
【0033】試験としては、上述第1および第2実施例
それぞれの炭素繊維複合高伸度防水フィルムを用いて塗
膜層を作成するとともに、第1および第2比較例それぞ
れにおいて塗膜層を作成し、それを室温20℃で1週間養
生した後、引張試験およびゼロスパン伸び試験を行っ
た。
【0034】引張試験としては、JIS A 6008合成高分子
ルーフィング試験法に基づき、2号型ダンベル打ち抜き
試験片を作り、伸び率(%)を測定した。また、ゼロス
パン伸び試験としては、図2の斜視図に示すように、 1
50×30×5 mmのスレート板5の表面に、前述した塗膜層
6を作成し、スレート板5の長手方向中央部の裏面にカ
ッターで切れ込み7を入れ、切れ込み7部分を予め割
り、引張速度5mm/minで引っ張り、塗膜層6にピンホ
ールが生じるまでの値を伸び量(mm)として測定した。
【0035】上記測定の結果、下記の測定値を得た。 伸び率(%) ゼロスパン伸び量(mm) 第1比較例: 192 5.00 第2比較例: 28 5.71 第1実施例: 280 8.32 第2実施例: 305 9.70
【0036】上記結果から、本発明に係る第1および第
2実施例それぞれの炭素繊維複合高伸度防水フィルムを
用いた場合に、第1比較例はもちろんのこと、ナイロン
繊維不織布を使用した第2比較例に比べて、伸び量が2
倍近くになり、コンクリート躯体1において亀裂が発生
したときに、そのコンクリート躯体1の挙動に炭素繊維
層3が良好に追随し、防水層4に亀裂が発生することを
防止して漏水を良好に防止できることが明らかである。
【0037】また、第2実施例の炭素繊維複合高伸度防
水フィルムを用いた場合によれば、第1実施例の炭素繊
維複合高伸度防水フィルムを用いた場合に比べて、遷移
金属化合物である磁性酸化鉄を入れることにより架橋効
果が発揮され、伸び率、ゼロスパン伸び量および塗膜強
度のいずれをも向上できることが明らかである。
【0038】次に、実施例工法と従来例工法それぞれに
よる効果につき、図3の概略断面図を用いて説明する。
【0039】実施例工法においては、図3の(a)に示
すように、前述方法により、コンクリート躯体1上に、
プライマー層2、炭素繊維層3、防水層4をその順に形
成し、更に、防水層4の表面に保護層8を形成した。
【0040】一方、従来例工法においては、図3の
(b)に示すように、コンクリート躯体01上にプライ
マー層02を形成するとともに、そのプライマー層02
上にナイロン製格子状補強材を敷設して補強層03を形
成し、その補強層03上にウレタン等から成る塗膜防水
層04を形成し、更に、その塗膜防水層04の表面に、
実施例工法におけると同じ保護層05を形成した。上記
保護層8,05は無くても良い。
【0041】上記結果、コンクリート躯体1,01で発
生した亀裂Kが大きい場合に、従来例工法では、図3の
(b)に示すように、亀裂Kが塗膜防水層04にまで波
及して漏水防止効果を発揮できない。これに対して、実
施例工法では、コンクリート躯体1からの亀裂Kが炭素
繊維層3を構成する炭素繊維複合高伸度防水フィルムに
まで進行しても、その炭素繊維層3を構成する炭素繊維
複合高伸度防水フィルムで止まるか、あるいは、炭素繊
維層3を構成する炭素繊維複合高伸度防水フィルムの伸
びによって亀裂Kが炭素繊維層3を構成する炭素繊維複
合高伸度防水フィルムまで波及しない。
【0042】請求項3に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルムとしては、炭化水素樹脂とゴムそれぞれを
炭素繊維不織布に個別に含浸させたものをも含む。
【0043】請求項4に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルムとしては、遷移金属化合物などにより予め
架橋した炭化水素と遷移金属化合物などにより予め架橋
したゴムそれぞれを炭素繊維不織布に個別に含浸させた
ものをも含む。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1に係る発明の炭素繊維複合高伸度防水フィルムの製造
方法、および、請求項3に係る発明の炭素繊維複合高伸
度防水フィルムによれば、炭素繊維不織布によって、耐
候性、耐熱性、耐薬品性などを向上するとともに強度を
向上した防水フィルムを得ることができ、この防水フィ
ルムを使用して漏水防止を行うことにより、長期にわた
って漏水を良好に防止できる。
【0045】請求項2に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルムの製造方法によれば、遷移金属化合物によ
る架橋効果を発揮させ、伸び性および強度のいずれをも
一層向上した防水フィルムを得ることができ、この防水
フィルムを使用して漏水防止を行うことにより、漏水を
一層良好に防止できる。
【0046】請求項4に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルムによれば、炭化水素およびゴムそれぞれに
よる架橋効果を発揮させ、伸び性および強度のいずれを
も一層向上でき、この防水フィルムを使用して漏水防止
を行うことにより、漏水を一層良好に防止できる。
【0047】請求項5に係る発明の炭素繊維複合高伸度
防水フィルムによれば、炭化水素およびゴムそれぞれに
よる架橋効果のみならず、相互の架橋効果をも発揮さ
せ、伸び性および強度のいずれをもより一層向上でき、
この防水フィルムを使用して漏水防止を行うことによ
り、漏水をより一層良好に防止できる。
【0048】請求項6に係る発明のコンクリート亀裂の
漏水防止工法によれば、防水層を形成した状態におい
て、コンクリート躯体の亀裂発生に伴うコンクリート躯
体の挙動に追随して炭素繊維層が伸び、炭素繊維層が緩
衝層として良好に作用することにより、コンクリート躯
体の挙動が防水層に波及することを防止でき、そして、
炭素繊維不織布によって、耐候性、耐熱性、耐薬品性、
強度のいずれをも高めることができ、コンクリート躯体
の亀裂発生にかかわらず、防水層によって漏水を良好に
防止できるようになった。
【0049】しかも、炭素繊維不織布の表面に混合液を
塗布して含浸させる工程が不用で、炭素繊維複合高伸度
防水フィルムを敷設するだけで炭素繊維層を形成できる
から、施工性を大幅に向上でき、広範囲の防水工事を行
う場合にあって、工期を大幅に短縮できて工費を大幅に
低減できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート亀裂の漏水防止工法
を説明する概略断面図である。
【図2】ゼロスパン伸び試験を説明する斜視図である。
【図3】実施例工法および従来例工法の説明に供する断
面図である。
【符号の説明】
1…コンクリート躯体 2…プライマー層 3…炭素繊維層 4…防水層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂で結着した炭素繊維不織布に、炭化
    水素系エマルションとゴムラテックスとを混合して調製
    した混合液を塗布し、その混合液を炭素繊維不織布に含
    浸させて乾燥することを特徴とする炭素繊維複合高伸度
    防水フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂で結着した炭素繊維不織布に、炭化
    水素系エマルションとゴムラテックスと遷移金属化合物
    とを混合して調製した混合液を塗布し、その混合液を炭
    素繊維不織布に含浸させて乾燥することを特徴とする炭
    素繊維複合高伸度防水フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 炭化水素樹脂とゴムが炭素繊維不織布に
    含浸されていることを特徴とする炭素繊維複合高伸度防
    水フィルム。
  4. 【請求項4】 架橋した炭化水素と架橋したゴムが炭素
    繊維不織布に含浸されていることを特徴とする炭素繊維
    複合高伸度防水フィルム。
  5. 【請求項5】 炭化水素とゴムがそれぞれおよび互いに
    架橋した状態で炭素繊維不織布に含浸されていることを
    特徴とする炭素繊維複合高伸度防水フィルム。
  6. 【請求項6】 コンクリート躯体の表面にプライマー層
    を形成し、そのプライマー層の表面に、請求項3、4ま
    たは5のいずれかに記載の炭素繊維複合高伸度防水フィ
    ルムを敷設して炭素繊維層を形成した後、その炭素繊維
    層の表面に防水層を形成することを特徴とするコンクリ
    ート亀裂の漏水防止工法。
JP31331791A 1991-10-31 1991-10-31 炭素繊維複合高伸度防水フイルムの製造方法および炭素繊維複合高伸度防水フイルムならびにそれを用いたコンクリート亀裂の漏水防止工法 Pending JPH05125842A (ja)

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JP31331791A Pending JPH05125842A (ja) 1991-10-31 1991-10-31 炭素繊維複合高伸度防水フイルムの製造方法および炭素繊維複合高伸度防水フイルムならびにそれを用いたコンクリート亀裂の漏水防止工法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020003161A (ko) * 2001-11-20 2002-01-10 유재관 고무성질을 포함한 열가소성 수지 및 에멀젼 제품(유성,수성의고무화 아스팔트)의 2차변형을 이용하여 그라스화이버를 함침시키는 방수공법 및 방수 구조.
CN108724502A (zh) * 2018-06-20 2018-11-02 五冶集团上海有限公司 一种石材的平面加固装置及石材加固方法

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KR20020003161A (ko) * 2001-11-20 2002-01-10 유재관 고무성질을 포함한 열가소성 수지 및 에멀젼 제품(유성,수성의고무화 아스팔트)의 2차변형을 이용하여 그라스화이버를 함침시키는 방수공법 및 방수 구조.
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