JPH05123731A - 高温鋼材端部の放熱防止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温鋼材端部の放熱を防止して、鋼材中央部
と端部との温度差を是正する。 【構成】 圧延機前面の高温鋼材３を搬送するローラー
テーブル１の上面を覆って設置された保温カバー２内
に、鋼材３の幅に応じて幅方向に移動可能とした防熱板
４を吊り下げ、この防熱板４を、この鋼材の保温カバー
進入時における端部温度に等しい温度に加熱し、前記鋼
材３の端部に接近させて保持することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼材の熱間圧延工程に
おける加熱炉出側から仕上圧延機に至る搬送テーブル上
を移動する高温鋼材の温度低下を防止する保温装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】最近では、ホットチャージ、直送圧延、
直接焼入れ等、高温鋼材の保有熱を有効利用する生産プ
ロセスが実現されつつあり、高温鋼材の搬送ラインにお
ける保温が重要な技術テーマの一つとなっている。搬送
ラインが水平方向のローラーテーブル構造である場合に
は、ローラーテーブル上部、あるいは上下に、セラミッ
クファイバーシート等の断熱材を内張りした保温カバー
を設置して放熱を防止することが一般に行われている。
一例として、特開昭57-154361 号公報に記載されたロー
ラーテーブル上の保温カバーを図４に示す。１はローラ
ーテーブル、２は保温カバー、３は高温鋼材で、保温カ
バー２はカバー本体22と断熱材内張り21により構成され
る。これらの保温カバーは、圧延トラブル時における鋼
材の取り出しや、ローラーテーブルのメインテナンス等
の必要からライン方向にたとえば10ｍ程度の長さに分割
されており、それぞれが例えばシリンダ等により駆動さ
れて上方に開閉可能となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
保温カバーは、高温鋼材全体からの放熱の抑制には効果
が認められるものの、その効果は主として鋼材中央部に
よるものであり、保温カバー進入時点ですでに中央部に
対して低温となっている鋼材端部の放熱防止にはあまり
有効ではないことが明らかとなった。

【０００４】本発明は、このような鋼材内の温度差を是
正し、端部に対しても効果のある保温カバーを提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、圧延機前面の
高温鋼材を搬送するローラーテーブルの上面を覆って設
置された保温カバー内に、搬送する鋼材の幅に応じて幅
方向に移動可能とした防熱板を吊り下げ、この防熱板
を、この鋼材の保温カバー進入時における端部温度に等
しい温度に加熱し、前記鋼材の端部に接近させて保持す
ることを特徴とする高温鋼材端部の放熱防止方法であ
る。

【０００６】

【作 用】本発明によれば、保温カバー内の高温鋼材の
端部近傍に防熱板を吊り下げ、この防熱板を、この鋼材
の保温カバー進入時における端部温度に等しい温度に加
熱し、前記鋼材の端部に接近させて保持するようにした
ので、端部における熱の授受は零となり、保温カバー進
入時に存在していた温度分布は幅方向の熱流によって均
一化され、端部の放熱が防止される。

【０００７】

【実施例】図１に本発明の一実施例を示す。この図はロ
ーラーテーブルを搬送方向から見た断面図で、ローラー
テーブル１上方に設置された保温カバー２の上部よりロ
ーラーテーブル上の鋼材３の端部近傍に防熱板４を吊り
下げ手段５により吊り下げ、この防熱板を、図示しない
加熱手段によってこの鋼材の保温カバー進入時における
端部温度に等しい温度になるように加熱している。図１
のＡＡ視を図２に示す。

【０００８】防熱板４の加熱手段としては、例えば防熱
板４の裏面に電熱線を貼りつけて通電するか、防熱板４
そのものに直接通電して発熱させる方法などがある。ま
た、加熱する温度は鋼材の保温カバー進入時における端
部の温度に全く等しいことが望ましいが、現実的には鋼
材温度の測定誤差もあり、制御精度もあって±30℃程度
に保持できれば充分である。防熱板と鋼材端部との距
離、図におけるｄは、熱的にはゼロが望ましいが、鋼材
端部の形状は完全な直線ではなく小波や蛇行があり、鋼
材との接触を避けるためには、多少離して設置せざるを
得ない。熱的な効果から見て、ｄ＜ 200mmとすることが
望ましい。このため、ラインに設置されている幅計の情
報から防熱板の幅調整装置６を制御してｄの値を上記範
囲に制御する。

【０００９】図２に示す防熱板４の有効高さｈは、この
テーブル上を通過する材料の平均厚みをｔとすれば、ｔ
＜ｈ＜2t の範囲が望ましく、これ以上あっても効果は
あまり変わりなく消費電力が増加して経済的でない。防
熱板４自身の厚みは、できるだけ薄い方が消費エネルギ
ーが少なく経済的であるが、長時間高温にさらされるた
めステンレス鋼等の腐食しにくい材料の薄板が望まし
い。

【００１０】鋼材に向いていない裏面からの熱放散を少
なくするためには、裏面に断熱材を貼りつけることも効
果的である。本実施例の装置を、熱間圧延工場の粗圧延
機〜仕上圧延機間のローラーテーブル上に設置された保
温カバーに100mの長さにわたって取り付けた結果を図３
に○印で示す。比較例として、従来の保温カバーのみの
場合を△印で示してあるが、鋼材端部の温度降下で見
て、約85℃の差が認められた。

【００１１】なお、このときの鋼材との距離ｄ＝100mm
、防熱板の厚み１mm、防熱板の有効高さｈ＝ 70mm
(平均板厚50mm) 、進行方向に延長100m設置した。加熱
手段は電気を防熱板に直接通電した。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、高温鋼材全体からの放
熱とともに鋼材端部からの放熱の抑制が図られ、中央部
と端部との温度差が是正されて熱延鋼材の品質が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の構成を示す断面図である。

【図２】図１のＡＡ視による部分図である。

【図３】本発明の効果を示すグラフである。

【図４】従来の技術を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ローラーテーブル ２ 保温カバー ３ 高温鋼材 ４ 防熱板 ５ 吊り下げ手段 ６ 幅調整装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧延機前面の高温鋼材を搬送するローラ
   ーテーブルの上面を覆って設置された保温カバー内に、
   搬送する鋼材の幅に応じて幅方向に移動可能とした防熱
   板を吊り下げ、この防熱板を、この鋼材の保温カバー進
   入時における端部温度に等しい温度に加熱し、前記鋼材
   の端部に接近させて保持することを特徴とする高温鋼材
   端部の放熱防止方法。