JPH0511740B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、射出成形機の電動式射出装置に関す
るものである。

(ロ) 従来の技術 従来の射出成形機のスクリユー制御方法として
は、特公昭59−47979号公報に示されるものがあ
る。これは、射出時の溶融樹脂の逆流を防止する
逆流防止リングの後進作動を円滑にするために、
スクリユーヘツドにリードねじを設けて、計量工
程完了後、スクリユーを短時間計量工程とは逆方
向に回転するようにしたものである。こうするこ
とにより、逆流防止リングを後進させてスクリユ
ーのシール用接触面に接触させ、射出時の溶融樹
脂の逆流が少なくなるようにしたものである。

また、別の従来の射出成形機として、特開昭62
−19423号公報に示されるものがある。これは、
逆流防止リングを後進させるためにスクリユーと
逆流防止リングとの間にカムを設けたものであ
る。すなわち、計量工程が終了した時点でスクリ
ユーを計量時の回転方向とは逆方向に回転させる
と、カムの作用により逆流防止リングが後進し、
溶融樹脂の逆流を防止する状態となる。

(ハ) 発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記のような従来の射出成形機
には、スクリユー逆転時にスクリユーの軸方向位
置が正確に保持されないという問題点がある。す
なわち、計量工程終了後にスクリユーを逆転する
間、スクリユーの軸方向位置は油圧シリンダによ
つて保持されているが、油圧シリンダによる軸方
向位置の制御は油圧のリーク、油温の変動、油の
圧縮性などにより厳密さに欠けるのに加えて、積
極的にスクリユー位置の保持制御が行われるわけ
ではないので、スクリユー逆転中に多少のスクリ
ユー軸方向位置の変動が発生する。スクリユーの
軸方向位置が変動すると、計量された溶融樹脂の
量が変動し、成形不良の原因となる。そこで、上
記のような従来の射出装置に対して特開昭61−
215029号公報に示されるようなスクリユー位置の
保持制御を行うことが考えられる。これは、射出
成形材計量完了時のスクリユー位置を検出してこ
の位置にスクリユーを保持するようにしたもので
ある。すなわち、スクリユー位置検出器によつて
検出した射出成形材計量完了時のスクリユー位置
を目標位置としてサンプルホールド回路によつて
保持し、スクリユーの現在位置と目標位置とを比
較器によつて比較し、比較器からの偏差出力に応
じてモータを回転させることによりスクリユーを
目標位置に保持するようにする。

しかしながら、上記のような従来の射出装置と
スクリユー位置の保持制御とを組み合わせたもの
においては、スクリユーヘツドにリードねじを設
けるようにするか、又はスクリユーと逆流防止リ
ングとの間にカムを設けるようにしているので、
製作済みの通常の射出装置に対して上記のような
構成のものに改造しようとすると、射出装置を分
解して部品を交換（スクリユーをリードねじ付き
のものに）したり、部品（カム）を追加したりす
る必要があるだけでなく、改造に手間がかかり、
射出装置の価格が高くなるという問題点がある。

本発明は、このような課題を解決することを目
的としている。

(ニ) 課題を解決するための手段 本発明は、標準的な構成の射出装置を用い、ス
クリユーの軸方向位置を所定位置に保持した状態
で逆回転させることにより上記課題を解決する。
すなわち、本発明による射出成形機の電動射出装
置は、スクリユー１２の先端部に配置された逆流
防止リング１６と、スクリユー１２の軸方向位置
を検出するスクリユー軸方向位置検出器５８と、
これからの信号に基づいてスクリユー１２の回転
及び軸方向移動を指令するコントローラ５６と、
を有するものであつて、上記スクリユー１２の後
端部に連結されたスプライン軸２２と、これと一
体に回転するが軸方向には移動可能であるように
組付けられたスプラインナツト２４と、これと一
体に結合された第１プーリ２６と、スクリユー回
転駆動用電動機３０と、これに取付けられた第２
プーリ３２と、第１プーリ２６及び第２プーリ３
２間に掛け渡された第１ベルト２８と、スプライ
ン軸２２のスクリユー連結側とは反対側の端部に
連結されたボールねじ３４と、これに組付けられ
たボールナツト３６と、これに取付けられた第３
プーリ４０と、スクリユー軸方向駆動用電動機４
４と、これに取付けられた第４プーリ４６と、第
３プーリ４０及び第４プーリ４６間に掛け渡され
た第２ベルト４２と、を有しており、上記コント
ローラ５６は、計量工程終了時の上記スクリユー
軸方向位置検出装置５８によつて検出された上記
スクリユー１２の軸方向停止位置を保持するよう
にスクリユー軸方向駆動用電動機４４を制御する
とともに、スクリユー１２を計量工程時の回転方
向とは逆方向に回転させるようにスクリユー回転
駆動用電動機３０を作動させるように構成されて
いることを特徴としている。なお、かつこ内の符
号は後述の実施例の対応する部材を示す。

(ホ) 作用 計量工程終了時点のスクリユーの軸方向位置が
スクリユー軸方向位置検出装置によつて検出さ
れ、このスクリユー停止位置を保持するようにス
クリユー軸方向駆動用電動機を制御した状態にお
いては、逆流防止リングの上流側の樹脂圧力の方
が下流側の樹脂圧力よりは大きく、逆流防止リン
グはスクリユーヘツド側に押し付けられている。
この状態からスクリユーを計量工程とは逆方向に
回転させると、逆流防止リングの上流側の溶融樹
脂は、スクリユー側に引き戻されることになり、
逆流防止リングの上流側の樹脂圧力は下流側の樹
脂圧力よりも低くなる。これにより、逆流防止リ
ングがシール位置に押し付けられ、溶融樹脂の逆
流が防止される状態となる。スクリユー逆転中に
スクリユーが軸方向に移動することが防止される
ので、溶融樹脂は正確に計量された状態が維持さ
れる。次いで、射出工程が開始される。これによ
り、樹脂量が変動しない精密な成形を行うことが
できる。射出装置のスクリユーヘツドにリードね
じを設けたり、逆流防止リングにカムを設けたり
する必要がないので、射出装置を安価なものとす
ることができる。

(ヘ) 実施例 第１図に示すように、シリンダ１０内にスクリ
ユー１２が挿入されており、このスクリユー１２
の先端にはスクリユーヘツド１４が設けられてお
り、またスクリユー１２とスクリユーヘツド１４
との間には逆流防止リング１６が設けられてい
る。シリンダ１０の後端側にはホツパー１８が設
けられており、ここから原料２０を投入可能であ
る。スクリユー１２と一体に回転するように、こ
れの後端側にスプライン軸２２が設けられてお
り、このスプライン軸２２と一体に回転するが軸
方向には移動可能であるようにスプラインナツト
２４が組付けられている。スプラインナツト２４
には第１プーリ２６が一体に回転するように設け
られており、この第１プーリ２６は第１ベルト２
８を介して計量用サーボモータ３０の第２プーリ
３２と回転力伝達可能に連結されている。スプラ
イン軸２２の更に後端側にボールねじ３４が設け
られており、このボールねじ３４にボールナツト
３６が組付けられている。これによりボールナツ
ト３６の回転運動がボールねじ３４の軸方向運動
に変換される。ボールナツト３６は回転部材３８
を介して第３プーリ４０と一体に回転するように
連結されており、この第３プーリ４０は第２ベル
ト４２を介して射出用サーボモータ４４の第４プ
ーリ４６と回転力伝達可能に連結されている。計
量用サーボモータ３０はドライバアンプ４８によ
つて制御され、計量用サーボモータ３０の回転は
パルス発生器５０によつて検出され、ドライバア
ンプ４８にフイードバツクされている。また、射
出用サーボモータ４４はドライバアンプ５２によ
つて制御され、射出用サーボモータ４４の回転は
パルス発生器５４によつて検出され、ドライバア
ンプ５２にフイードバツクされている。ドライバ
アンプ４８及びドライバアンプ５２はコントロー
ラ５６からの指令に基づいて作動する。コントロ
ーラ５６にはスクリユー１２の軸方向位置を検出
する位置検出器５８からの信号が入力されてい
る。

次にこの実施例の作用について説明する。ま
ず、スクリユー１２がシリンダ１０内で前進した
状態（第１図中で左方向に移動した状態）で、計
量用サーボモータ３０を回転駆動すると、第２プ
ーリ３２、第１ベルト２８、第１プーリ２６、ス
プラインナツト２４及びスプライン軸２２を介し
てスクリユー１２が回転駆動され、シリンダ１０
内の原料２０が混練計量され、前方へ移送され
る。これにより、スクリユー１２はシリンダ１０
前方の溶融樹脂６０の圧力により押され後退す
る。スクリユー１２が後退する際、射出用サーボ
モータ４４は所定のトルクを発生する状態とされ
ており、これにより第４プーリ４６、第２ベルト
４２、第３プーリ４０、回転部材３８、ボールナ
ツト３６及びボールねじ３４を介してスクリユー
１２に第１図中左向きの力が作用し、溶融樹脂６
０の圧力に対して所定の抵抗力を与えるようにし
てある。こうして計量動作が行われ、スクリユー
１２が所定位置まで後退すると、計量用サーボモ
ータ３０及び射出用サーボモータ４４の作動が停
止され、スクリユー１２の回転及び軸方向の移動
が停止する。射出用サーボモータ４４が停止する
と、スクリユー１２が停止位置に保持されるよ
う、サーボロツク状態とされる。このためのスク
リユー１２の軸方向位置は位置検出器５８によつ
て検出される。この時点での逆流防止リング１６
の上流側の溶融樹脂圧力P₀と下流側の溶融樹脂
圧力P₁との関係は第２図のａに示す状態となつ
ている。すなわち、逆流防止リング１６の上流側
の圧力P₀の方が大きく、逆流防止リング１６は
第１図中で左方向に押された状態となつている。
上述のようにして、スクリユー１２の軸方向位置
を保持した状態で、計量用サーボモータ３０を所
定時間又は所定回転角度だけ計量動作時とは逆方
向に回転する。これによりスクリユー１２の周囲
の溶融樹脂は上流側に押し戻されることになり、
逆流防止リング１６の上流側の溶融樹脂圧力P₀
は急速に低下し、第２図ｂに示すように、逆流防
止リング１６の下流側の溶融樹脂圧力P₁よりも
低くなる。このため、逆流防止リング１６は第１
図中で右方向に押され、スクリユー１２の端面と
接触しシール状態となる。次いで、射出工程が行
われるが、この間はスクリユー１２が回転しない
ように計量用サーボモータ３０がサーボロツク状
態とされ、射出用サーボモータ４４を回転駆動す
ることによりスクリユー１２が前進し、シリンダ
１０前方側の溶融樹脂６０が射出される。射出開
始前にスクリユー１２を逆方向に回転させる際、
スクリユー１２の軸方向位置を停止位置に確実に
保持しているので、シリンダ１０の前方に計量さ
れる溶融樹脂の量は所定どおりのものとなつてお
り、またスクリユー１２を逆転することにより逆
流防止リング１６はシール状態にあるので、射出
動作の際、正確に所定量の溶融樹脂が射出され、
精密な射出成形を行うことができる。なお、スク
リユー１２の軸方向位置は射出用サーボモータ４
４のパルス発生器５４を用いて検出することもで
きる。

(ト) 発明の効果 以上説明してきたように、本発明によると、標
準の構成の射出装置を改造する場合であつても、
射出装置のスクリユーヘツドにリードねじを設け
たり、逆流防止リングにカムを設けたりする必要
がないので、射出装置を安価なものとすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す図、第２図は溶
融樹脂の圧力の変化特性を示す図である。 １０…シリンダ、１２…スクリユー、１６…逆
流防止リング、２２…スプライン軸、２４…スプ
ラインナツト、２６…第１プーリ、２８…第１ベ
ルト、３０…計量用サーボモータ（スクリユー回
転駆動用電動機）、３２…第２プーリ、３４…ボ
ールねじ、３６…ボールナツト、４０…第３プー
リ、４２…第２ベルト、４４…射出用サーボモー
タ（スクリユー軸方向駆動用電動機）、４６…第
４プーリ、５６…コントローラ、５８…位置検出
器（スクリユー軸方向位置検出器）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スクリユー１２の先端部に配置された逆流防
   止リング１６と、スクリユー１２の軸方向位置を
   検出するスクリユー軸方向位置検出器５８と、こ
   れからの信号に基づいてスクリユー１２の回転及
   び軸方向移動を指令するコントローラ５６と、を
   有する射出成形機であつて、 上記スクリユー１２の後端部に連結されたスプ
   ライン軸２２と、これと一体に回転するが軸方向
   には移動可能であるように組付けられたスプライ
   ンナツト２４と、これと一体に結合された第１プ
   ーリ２６と、スクリユー回転駆動用電動機３０
   と、これに取付けられた第２プーリ３２と、第１
   プーリ２６及び第２プーリ３２間に掛け渡された
   第１ベルト２８と、スプライン軸２２のスクリユ
   ー連結側とは反対側の端部に連結されたボールね
   じ３４と、これに組付けられたボールナツト３６
   と、これに取付けられた第３プーリ４０と、スク
   リユー軸方向駆動用電動機４４と、これに取付け
   られた第４プーリ４６と、第３プーリ４０及び第
   ４プーリ４６間に掛け渡された第２ベルト４２
   と、を有しており、上記コントローラ５６は、計
   量工程終了時の上記スクリユー軸方向位置検出装
   置５８によつて検出された上記スクリユー１２の
   軸方向停止位置を保持するようにスクリユー軸方
   向駆動用電動機４４を制御するとともに、スクリ
   ユー１２を計量工程時の回転方向とは逆方向に回
   転させるようにスクリユー回転駆動用電動機３０
   を作動させるように構成されていることを特徴と
   する射出成形機の電動式射出装置。